JP2010083442A - ニーブラケットおよび自動車乗員の膝保護方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ニーブラケットを、直線的ではなく、比較的大きく屈曲させた場合でも、要求される前記圧壊特性を発揮しうるアルミニウム合金製ニーブラケットを提供する。
【解決手段】ニーブラケット1は、単一のアルミニウム合金押出中空形材からなり、一対の面板2、3とこれらの面板間をつなぐ複数本の板状リブ4、5、6、7とから少なくとも構成され、一対の面板2、3はその中央部に下方に屈曲したV字形状あるいはU字形状の屈曲部2a、3aを有し、各屈曲点11、12同士を結ぶ仮想連結線13を挟んで隣り合う互いに平行な板状リブ5、6とで、下方に折れ変形する屈曲構造体を形成するとともに、この仮想連結線13が乗員の膝の想定押し込み力方向に対して直角となるように配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金中空形材からなり、優れたエネルギー吸収性能を持つニーブラケット(自動車乗員の膝支持体、膝保護部材、ニーパネルの支持ブラケット等)および自動車乗員の膝保護方法に関するものである。
従来から、自動車などの車体には、車体衝突時に乗員の膝(脚部とも言う)を保護する、ニープロテクタやニーボルスターとも称される、ニーブラケットが設けられている。このニーブラケットには、軽量化とエネルギー吸収性能などの観点から、アルミニウム合金押出中空形材が素材として多く用いられている。
このニーブラケットは、乗員の膝保護の目的から、自動車車室内の配置位置として、前座席の前方で、乗員と車体との間にあって車体前後方向に配置される。そして、車体後方側の端部は、乗員の膝に対して向き合うニーパネル(受圧板、受け板など)に固定される一方、車体前方側の端部は車体へ固定される。この車体への固定は、通常、車室内前方に設けられた、ステアリングコラムを支持するためのインパネ補強材に接合されて行われる。インパネ補強材は、車体幅方向に延在している長尺の管状部材で、インパネリーンフォース、ステアリングサポートビーム、ステアリングハンバービーム、クロスカービームとも言う。
ニーブラケットには、乗員の膝部に対する車体部材への最適位置での取り付けや、車体前後方向での連続的な塑性変形による衝突エネルギー吸収量を確保するためにも、その車体前後方向に亙る断面形状(隔壁)は、ある程度の長さ (ストローク) が必要である。このストロークが短ければ、衝突エネルギー吸収が吸収しきれずに、膝部への荷重が上昇してしまい、乗員の膝部を保護することができなくなる。
したがって、ニーブラケット(の隔壁)には、前記塑性変形を開始する初期荷重が乗員の膝に傷害を与えない程度に小さいことが要求される。また、そのストロークの範囲での塑性変形途中において、局所変形などが生じて、折れ曲がりや破損が発生することが無く、連続的に塑性変形して、一定の衝突エネルギー吸収量を確保し続けることが要求される。言い換えると、ニーブラケットには、乗員の膝衝突の際に必要なエネルギー吸収量を確保することと、乗員の膝に傷害のダメージを与えないこととを両立させた圧壊特性が求められる。
これに対して、アルミニウム合金押出中空形材からなるニーブラケットにおいても、優れた圧壊特性を発揮するための断面形状(車体前後方向に亙る断面の全体形状)は、従来から種々提案されている。例えば、特許文献1では、ニーパネルの取り付け側から、順次車体前方側へ、順次塑性変形していくように、水平なパンタグラフ状 (菱形状) に一体的に構成された一定長さの隔壁を有する。
また、特許文献2、3では、ニーブラケットは、乗員の膝の位置に対して、斜め上方から下方に向かって向き合うように、膝の前方に配置され、上方へ湾曲する長状のフレーム(面板)とこれをつなぐ板状リブとで、トラス状あるいは角形状の複数連設された隔壁を構成する。そして、前記特許文献1同じく、ニーパネルの取り付け側から順次車体前方へ、隔壁を塑性変形させていく。これらのような隔壁は、軽量化目的とその複雑な断面構造から、前記した通り、通常は、アルミニウム合金押出中空形材によって一体的に形成される。
ただ、これら従来のアルミニウム合金押出中空形材から一体的に形成される隔壁では、乗員保護用部材としての要求性能を発揮できる隔壁の長さには限界がある。これに対して、自動車車体に応じて、その隔壁長さを自由に調節でき、衝突エネルギー吸収量を確保および自由に調節できるアルミニウム合金製ニーブラケットも提案されている。例えば、特許文献4、5などでは、断面が菱形形状のアルミニウム合金中空形材同士を、その断面方向に複数個互いに連結してエネルギー吸収部を構成し、隔壁長さを調節でき、衝突エネルギー吸収量も確保したニーブラケットが提案されている。
米国特許3、931、988号明細書 特開平5−238338号公報 特開2003−127814号公報 特開2005−53437号公報 特開2005−53438号公報
これら提案されている、アルミニウム合金中空形材からなるニーブラケットは、乗員と車体との間の車体前後方向の全体形状が、直線状や円弧状などを含めて、概ね直線的であれば、上記所定の圧壊荷重特性を得ることができ、優れたエネルギー吸収性能を発揮しやすい。
ただ、車室内前方に設けられたダッシュボックスとの位置関係や、乗員の膝に対して向き合うニーパネルの形状などの設計によっては、ニーブラケットが直線的であった場合、ダッシュボックスなどの他の車体部品と干渉する場合が起こり得る。
このような干渉を防止するためには、ニーブラケットを、直線的ではなく、干渉する箇所を迂回すべく、比較的大きく屈曲させる必要がある。即ち、車体に配置されたダッシュボックスなどの他の車体部品との干渉防止が可能な屈曲度に、ニーブラケットを、干渉する箇所においてV字あるいはU字形状に屈曲させる必要がある。
しかし、このように、ニーブラケットを比較的大きく屈曲させた場合、アルミニウム合金中空形材からなるニーブラケットでは、所定の圧壊荷重特性を得ることが難しいという問題がある。これは、車体衝突時に、前記ニーパネルを介して、前記乗員の膝の押し込み力(圧壊荷重)がニーブラケットの車体前後方向に負荷された場合に、前記屈曲部における圧壊方向が異なる(大きくずれる)ことによる。
通常は、ニーブラケットが車体前後方向に概ね直線的であり(多少の全体的な湾曲形状を含む)、前記した直線的に概ね車体前後方向に配置されている。したがって、前記乗員の膝の押し込み力(圧壊荷重)方向、即ち、乗員の膝の押し込み力の想定される負荷方向と、ニーブラケットの圧壊方向とは、同一線上にくるなど大きなずれはなく、上記所定の圧壊荷重特性を得やすい。
しかし、ニーブラケットが、前記干渉防止のために、比較的大きく屈曲していると、前記押し込み力方向と圧壊方向とに大きなずれが生じるために、アルミニウム合金中空形材からなるニーブラケットには、局所変形や不安定な変形が生じやすくなる。この局所変形が、ニーブラケット(の隔壁)の塑性変形途中において生じると、前記した通り、折れ曲がりや破損が発生しやすくなり、連続的に塑性変形して、一定の衝突エネルギー吸収量を確保し続けることが困難となる。言い換えると、ニーブラケットに要求される、ダメージを与えない荷重しか乗員の膝に負荷しないことと、乗員の膝衝突の際に必要なエネルギー吸収量を確保することとを両立させた圧壊特性が達成できなくなる。
そして、この傾向は、前記乗員の膝の押し込み力を受ける前記ニーパネル(受圧板)の延在方向が、前記乗員の膝の押し込み力方向に対して垂直方向から傾斜しているなど、衝突時の荷重の作用方向が、前記押し込み力の方向と違う場合にも助長される。即ち、このような場合にも、アルミニウム合金中空形材からなるニーブラケットには、不安定な変形が生じやすくなり、上記所定の圧壊荷重特性が得られない。
したがって、本発明の目的は、ニーブラケットを比較的大きく屈曲させるなど、前記乗員の膝の押し込み力方向と圧壊方向とに大きなずれがある場合や、衝突時の荷重の作用方向が前記乗員の膝の押し込み力の方向と違う場合にでも、ニーブラケットに要求される前記圧壊特性を発揮しうるアルミニウム合金製ニーブラケットおよび自動車乗員の膝保護方法を提供しようとするものである。
この目的を達成するために、本発明のニーブラケットの要旨は、自動車車室内の前座席の前方に配置され、以下のa〜gの要件を有することである。
a.このニーブラケットは、単一のアルミニウム合金押出中空形材からなり、この押出形材の押出方向が車体幅方向となるように配置されている。
b.この単一のアルミニウム合金押出中空形材は、一対の面板とこれらの面板間をつなぐ複数本の板状リブとから少なくとも構成されている。
c.前記一対の面板の車体後方側の端部は、乗員の膝に対して向き合うニーパネルに固定されて荷重点とされる一方で、前記一対の面板の車体前方側の端部は車体へ固定されて支持点とされる。
d.前記面板は、各々その中央部に、下方に向けてV字形状あるいはU字形状の断面形状に屈曲する屈曲部を有する。
e.前記板状リブのうち、前記面板屈曲部における各屈曲点同士を結ぶ仮想連結線を挟んで相隣り合う板状リブ同士が、この仮想連結線に対して互いに平行に設けられている。
f.これら互いに平行な板状リブと前記面板中央部の屈曲部とで、前記ニーブラケットの荷重点と支持点との間の屈曲構造体を形成している。
g.前記ニーブラケットは、前記仮想連結線が、車体衝突時の前記ニーパネルへの乗員の膝の想定押し込み力方向に対して直角となるように車体前後方向に配置されている。
ここで、前記仮想連結線を挟んで、前記板状リブが車体前後側に各々同数ずつ設けられるとともに、前記仮想連結線を中心にして、前記板状リブが車体前後方向に面対称に設けられていることが好ましい。また、前記ニーパネルの受圧部分の延在方向が前記乗員の膝の想定押し込み力方向に対して直角である場合には、前記面板同士の厚みが略同じであることが好ましい。また、前記ニーパネルの受圧部分の延在方向が前記乗員の膝の想定押し込み力方向に対して直角方向から傾斜している場合には、前記面板の内、下方の面板の厚みが上方の面板の厚みよりも薄いことが好ましい。また、前記ニーブラケットが、車体に配置されたダッシュボックスとの干渉防止が可能なように、車体前後方向に亙って屈曲していることが好ましい。
更に、本発明の自動車乗員の膝保護方法の要旨は、これらいずれかの要旨のニーブラケットを用い、前記ニーパネルの受圧部分に乗員の膝が衝突した際に、前記ニーブラケットの荷重点と支持点との間に形成した屈曲構造体を下方に向けて変形させて、前記乗員の膝衝突の衝撃を緩和することである。
本発明において、ニーブラケットが単一のアルミニウム合金押出中空形材からなり、前記したa〜cの要件からなることは、従来の単一のアルミニウム合金押出中空形材からなるニーブラケットと概ね同じである。
本発明の特徴点は、ニーブラケット(面板)が車体前後方向に亙るV字形状あるいはU字形状の断面形状を有することを前提に、前記fの要件のように、前記ニーブラケットの荷重点と支持点との間に屈曲構造体を形成することである。これによって、本発明の自動車乗員の膝保護方法の前記要旨のように、前記ニーパネルの受圧部分に乗員の膝が衝突した際に、前記ニーブラケットの荷重点と支持点との間に形成した屈曲構造体を下方に向けて変形させて、前記乗員の膝衝突の衝撃を緩和することができる。
この効果は、本発明のニーブラケットが、ダッシュボックスなどの車体部材との干渉防止のために、前記したV字形状あるいはU字形状の断面形状を有して、車体前後方向に亙って大きく屈曲(湾曲)している際に最も発揮される。本発明のように屈曲したニーブラケットでは、前記押し込み力方向と圧壊方向とに大きなずれが生じるために、前記乗員の膝衝突による押し込み力(圧壊荷重)が負荷された際に、所定の圧壊荷重特性が得られず、必然的にニーブラケットに局所変形や不安定な変形が生じやすくなる。
これに対して、本発明では、前記ニーパネルの受圧部分(荷重点)に乗員の膝が衝突した際に、前記屈曲構造体を下方に向けて変形させて、ニーブラケットの局所変形や不安定な変形を防止する。この結果、所定の圧壊荷重特性が得られ、乗員の膝衝突の衝撃を大きく緩和することができる。本発明では、前記乗員の膝衝突による押し込み力が負荷された際に、ニーブラケットの荷重点と支持点との間の車体前後方向に亙る断面部位の内、前記屈曲構造体にて、下方への折れ変形が積極的に生じるように設計して、この効果を達成する。
このため、本発明は、前記屈曲構造体での折れ変形が支配的になるように、この屈曲構造体を、前記したd〜fの要件で構成する。すなわち、前記面板はその中央部に下方に向けて屈曲する屈曲部をそれぞれに有し、前記板状リブのうち、前記仮想連結線を挟んで相隣り合う板状リブ同士をこの仮想連結線に対して互いに平行に設ける。そして、これら互いに平行な板状リブと前記面板中央部の屈曲部とで、前記ニーブラケットの荷重点と支持点との間に、いわば「矢羽根」などの形状に類似した断面形状で、V字形状あるいはU字形状の断面形状とも言える屈曲構造体を形成している。更に、本発明は、前記屈曲構造体での折れ変形が支配的になるように、これら屈曲構造体の構成の他に、前記ニーブラケットの配置の仕方あるいは取り付け方として、前記仮想連結線が、車体衝突時の前記ニーパネルへの乗員の膝の想定押し込み力方向に対して垂直となるように車体前後方向に配置するようにする。
このようにすることで、前記乗員の膝衝突による押し込み力による変形が、前記面板の前記中央部における屈曲構造体(面板の各屈曲点ないし前記仮想連結線)に集中する。この結果、ニーブラケットが、前記車体部材との干渉防止のために車体前後方向に亙って比較的大きく屈曲し、前記押し込み力方向と圧壊方向とに大きなずれが生じていても、前記面板の前記中央部における屈曲点以外の部位では、却って、局所変形や不安定な変形が生じにくくなる。
以上のように、本発明では、ニーブラケットが前記車体部材との干渉防止のために車体前後方向に亙って比較的大きく屈曲していても、乗員の膝衝突の際の必要エネルギー吸収量を確保することと、乗員の膝に傷害を与えないこととの両立が可能である。また、本発明は前記した押し込み力方向とニーブラケットの圧壊方向とに大きなずれがある場合や、衝突時の荷重の作用方向が前記乗員の膝の押し込み力の方向と違う場合に有効である。したがって、このような問題がある場合であれば、本発明は、ニーブラケットが全体として(車体前後方向に亘る断面形状として)、必ずしも前記車体部材との干渉防止のために車体前後方向に亙って屈曲しておらずとも、直線的であっても良い。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて以下に詳述する。先ず、図1、2によって、本発明ニーブラケットの基本的な構成と作用効果(メカニズム)とを示す。図1、2はニーブラケットの車体前後方向に亙る断面図であり(側面図でもある)、図2は、図1のニーブラケットが前記車体衝突時の乗員の膝の押し込み力によって変形した状態を示す。これら図1、2におけるニーブラケットの断面が、図1、2の左右方向である、車体の前後方向(図1の左方向が前側)に亙って延在するよう、前記自動車車室内に配置される。
(基本構造)
図1において、ニーブラケット1は、単一のアルミニウム合金押出中空形材からなり、一対の面板2、3とこれらの面板間をつなぐ、複数本の(4本の)補強用の板状リブ4、5、6、7とから少なくとも構成されている。このニーブラケット1の車体前後方向に亙る断面において、一対の面板2、3は、板厚方向を車体上下方向として、互いに車体上下方向に間隔をあけながら、上方の面板2と下方の面板3とが互いに略平行に、車体前後方向に延在する。
図1のニーブラケット1は、車体前後方向の全体形状(断面形状)が、V字形状あるいはU字形状に、屈曲ないし湾曲した形状を有している。これは、車室内前方に設けられたダッシュボックスなどの他の車体部品や部材との干渉を防止するためであるが、後述する屈曲構造体を中央部に有しさえすれば、車体前後方向の全体形状(断面形状)が屈曲せずとも、直線的であっても良い。
図1における、これらアルミニウム合金押出中空形材の押出断面形状が、ニーブラケット1の車体前後方向に亙る基本的な断面構成となる。なお、図1における押出中空形材の押出方向は、図1の車体前後方向(図1の左右方向)に対して直角方向の、図1の手前から図の奥に向かう方向となる。
ニーブラケット1を構成する単一のアルミニウム合金押出中空形材における、前記一対の面板2、3と、板状リブ4、5、6、7とは、後述する図3に示すように、車体幅方向に亙って所定の均一な板幅を有し、この板幅がニーブラケット1の車体幅方向の幅を規定している。
ここで、ニーブラケット1の構成に関して使用した前記「少なくとも」という意味は、これら面板や板状リブ以外に、図1で示すフランジ9、9や端板8など、他の車体部材との接合用などの必要部分や部位を有しても良いという意味である。なお、図1では、フランジ9、9や端板8などの、面板や板状リブ以外の必要部分や部位も、単一のアルミニウム合金押出中空形材から構成し、面板や板状リブとともに予め一体に熱間押出している。しかし、他の車体部材との取り付け方によっては、必要に応じて、これら他の車体部材との接合用などの必要部分や部位を別途作製しておき、ニーブラケット1(アルミニウム合金押出中空形材)に対して、後から接合しても良い。
フランジ9、9は面板2、3の車体前方側の各端部2b、3bから前方に(図1の左側に)張り出された、車体であるインパネ補強材20との接合用のフランジである。このフランジ9、9は、ニーブラケット1を固定する車体部材や車体部材の形状、位置、あるいは接合手段の選択や設計に応じて、その形状や構造を含めて、ニーブラケット1に選択的に設けられる。
(ニーブラケットの支持点と荷重点)
図1の態様では、このフランジ9、9によって、インパネ補強材20の外周部を挟持する形で、ニーブラケット1が車体に固定され、前記一対の面板2、3の車体前方側の端部の支持点とされる。接合自体はボルト、リベットなどの機械的な接合手段によって接合する。ここで、インパネ補強材20が鋼製の場合には異材接合となり、電食防止のための絶縁皮膜乃至塗膜を介在させることが必要となる。一方、インパネ補強材20がニーブラケット1と同じアルミニウム合金製で同種接合となる場合には不要である。なお、前記異材接合の場合、溶接のみによる接合は、接合強度の点で好ましくない。
また、端板8は面板2、3の車体後方側の各端部2c、3cに設けられた、図示しないニーパネルとの接合用の端板(車体上下方向に張り出したフランジ付き)である。この端板8が、乗員の膝に対して向き合うニーパネル30に固定され、前記一対の面板2、3の車体後方側の端部の荷重点とされる。
この図1の態様では、この車体上下方向に延在する端板8が、面板2、3の車体後方側の各端部2c、3cとともに、想定される乗員の膝の押し込み力(以下、想定されるを省略して、単に、乗員の膝の押し込み力あるいは押し込み力とも言う)に対する受圧面を構成する。この図1の場合、図1に矢印と点線14(乗員の膝の軌跡)とで示す押し込み力方向は図1の横方向である。しかし、この押し込み力方向の角度や方向は、ニーブラケット1の取り付け位置自体が、水平方向とは限らず、角度がついた斜めにもなるため、これに応じて種々異なる。ただ、図1のように、このような押し込み力の方向に対する前記受圧面の延在方向は、ほぼ直角(図1の場合は略垂直)となっている。すなわち、ニーブラケット1の取り付け位置によって、押し込み力方向が、図1の場合からより角度がついて傾いた場合でも、前記受圧面の延在方向は、ほぼ直角とすることが好ましい。
なお、この端板8は、後述する固定するニーパネルの位置や形状、あるいは接合手段の選択や設計に応じて、その形状や構造を含めて、ニーブラケット1に選択的に設けられる。
(屈曲構造体)
前記した通り、図1のニーブラケット1(面板2、3)は、車室内前方に設けられたダッシュボックスなどの、他の車体部品や部材との干渉を防止するために、
車体前後方向に亙る全体形状として、V字形状あるいはU字形状に、屈曲ないし湾曲した形状を有している。ニーブラケット1が、このように、他の車体部品や部材との干渉防止のために、車体前後方向に亙って比較的大きく屈曲している場合には、前記した通り、図1に矢印と点線14(乗員の膝の軌跡)とで示す、図1では水平な押し込み力方向と、下方に屈曲しているニーブラケット1の圧壊方向とに大きなずれが生じる。このために、必然的に、ニーブラケット1に局所変形や不安定な変形が生じやすくなる。
これに対して、図1の実施態様では、ニーブラケット1の荷重点(端板8)と支持点(フランジ9、9)との間に、前記「矢羽根」などの形状に類似した断面形状で、V字形状あるいはU字形状の断面形状とも言える屈曲構造体を形成させている。そして、ニーパネルを介したニーブラケット1の受圧部分(荷重点:端板8)に乗員の膝が衝突した際に、前記屈曲構造体を下方に向けて変形させて、ニーブラケット1の局所変形や不安定な変形を防止する。この結果、所定の圧壊荷重特性が得られ、乗員の膝衝突の衝撃を大きく緩和することができる。
このように、本発明では、前記押し込み力によるニーブラケット1の前記車体前後方向に亙る断面部位の変形に対して、他の断面部位よりも、屈曲構造体の下方に向かう折れ変形が支配的になるようにする。これによって、前記乗員の膝の押し込み力方向と圧壊方向とに大きなずれがある場合や、衝突時の荷重の作用方向が前記乗員の膝の押し込み力の方向と違う場合にでも、ニーブラケットに要求される圧壊特性を達成することが可能となる。
屈曲構造体の構成を以下に具体的に説明する。図1の場合、ニーブラケット1は、その一対の面板2、3が、互いにその中央部2a、3aにおいて、下方に向けて屈曲している。即ち、上方の面板2は屈曲点(最下点)11、面板3は屈曲点(最下点)12を有している。これら面板2、3の中央部2a、3aの屈曲部(あるいは中央部の屈曲部2a、3a)が、後述する仮想連結線13に対して車体前後方向で平行に隣り合う板状リブ5、6とともに屈曲構造体を形成している。すなわち、ニーブラケット1の車体前後方向中央部に、面板2,3中央部の屈曲部2a、3aと、平行に隣り合う板状リブ5、6とによって、前記屈曲点11、12を頂点とするV字形状あるいはU字形状の断面形状を有する屈曲構造体を形成している。
本発明は、この屈曲構造体の下方に向かう折れ変形が、前記押し込み力によるニーブラケット1の前記車体前後方向に亙る断面部位の変形に対して、ニーブラケット1の部位の内で支配的になるようにする。
この屈曲構造体での折れ変形が支配的になるように、この屈曲構造体に、最も圧壊しやすく荷重が小さくて弱い部位を設け、折れ変形が積極的に生じるように設計する。この屈曲構造体における、この最も圧壊しやすく荷重が小さくて弱い部位が、前記面板2、3同士の中央部2a、3aにおける屈曲の各屈曲点11、12であり、これら屈曲点11、12を結ぶ仮想連結線13に沿った部位の存在である。
但し、この屈曲構造体を単純に弱くすれば良いというものではなく、車体衝突時の乗員の膝の押し込み力に対して、この屈曲構造体の局所変形や割れ、あるいは不安定な変形の発生を防止して、下方に向かう折れ変形が積極的に生じるようにするためには、構造体としてのそれなりの強度や剛性が必要である。
このために、本発明では、前記板状リブのうち、前記仮想連結線13を挟んで相隣り合う板状リブ5、6同士を、この仮想連結線13に対して互いに平行に設ける。したがって、この図1では、板状リブ5、6同士は、その向きがほぼ垂直に(車体上下方向に)に設けられている。そして、これら板状リブ5,6と、面板中央部の屈曲部2a、3aとで、ニーブラケット1の荷重点(端板8)と支持点(フランジ9、9)との間に、V字形状あるいはU字形状の断面形状を有する前記「矢羽根」に類似した断面形状の構造体として形成している。
なお、前記仮想連結線13に対して車体前後方向で隣り合う板状リブ5、6同士は、この仮想連結線13に対して互いに平行でさえあれば、板状リブ5、6同士の車体上下方向の向きは必ずしも図1のように垂直でなくとも良い。即ち、板状リブ5、6同士が平行に、かつ車体上下方向に互いに傾斜して設けられても良い。
これに対して、板状リブ5、6同士が、仮想連結線13に対して互いに平行ではなく、互いに近づくあるいは離れるように、車体上下方向に比較的大きく傾斜して設けられたような場合には、前記押し込み力による変形が、面板2、3同士の中央部2a、3aにおける屈曲の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13に集中しなくなる。
(ニーブラケットの取り付け方)
そして、更に、本発明は、前記屈曲構造体での折れ変形が支配的になるように、これら屈曲構造体の構成の他に、前記ニーブラケットの配置の仕方あるいは取り付け方として、前記仮想連結線が、車体衝突時の前記ニーパネルへの乗員の膝の想定押し込み力方向に対して垂直となるように車体前後方向に配置するようにする。
すなわち、図1において、ニーブラケット1の前記仮想連結線13が、図1に矢印と点線14とで示す、車体衝突時の乗員の膝の想定押し込み力方向に対して、直角となるように車体前後方向に配置されているようにする。図1では、前記押し込み力方向がほぼ水平であるので、前記仮想連結線13も、これに対して直角方向のほぼ垂直方向となる。なお、押し込み力方向が水平から傾いた場合でも、前記仮想連結線13方向は、この押し込み力方向に対してほぼ直角とする。
このように構成することで、ニーブラケット1の最も弱い部位を積極的に折れ変形させることができる。言い換えると、前記押し込み力によるニーブラケット1の前記車体前後方向に亙る断面部位の変形に対して、前記面板2、3同士の中央部2a、3aにおける屈曲の各屈曲点11、12や仮想連結線13に沿った部位での折れ変形を支配的にできる。
(押し込み力方向と受圧面の延在方向との関係)
図1の場合、矢印と点線14とで示す押し込み力方向は略水平であり、この押し込み力の方向に対する、図示しないニーパネルの乗員の膝の受圧面と端板8とが平行だとすると、受圧面の延在方向はほぼ直角(垂直)となっている。ここで、押し込み力方向は、車体設計上、略水平の場合のみには限らず、水平方向から傾いている場合も当然ある。しかし、押し込み力の方向がいずれの場合でも、押し込み力の方向に対して、前記受圧面の延在方向がほぼ直角となっている場合に、前記本発明構成によって前記押し込み力による変形が、前記面板2、3同士の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13に集中する効果、言い換えると前記屈曲構造体の下方への折れ変形が生じる効果が、最大限に発揮される。
(ニーブラケットの変形機構)
図2は、図1のニーブラケット1が前記車体衝突時の乗員の膝の押し込み力によって変形した状態を示し、点線が元の図1の初期形状のニーブラケット1を、実線が変形後のニーブラケット1を各々示す。この図2は、後述する図9、11のニーブラケット1の変形解析結果を集約して記載したものでもある。
この図2から分かる通り、前記した本発明構成によって、前記押し込み力による変形が、前記面板2、3同士の中央部2a、3aにおける屈曲の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13に集中していることが分かる。そして、板状リブ5,6と、面板中央部の屈曲部2a、3aとで構成する「矢羽根」形状の構造体部分が、局所変形や割れ、あるいは不安定な変形を生ずることなく、構造体全体としての形状を保ちつつ、下方に折れ変形していることが分かる。
このため、ニーブラケット1が、前記車体部材との干渉防止のために、車体前後方向に亙って比較的大きく屈曲し、前記押し込み力方向と圧壊方向とに大きなずれが生じていても、前記屈曲構造体(面板中央部2a、3aにおける屈曲の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13)以外の部位では、局所変形や不安定な変形が生じにくくなる。この結果、ニーブラケット1が前記車体部品や部材との干渉防止のために、車体前後方向に亙って比較的大きく屈曲していても、乗員の膝衝突の際の必要エネルギー吸収量を確保することと、ダメージを与えない荷重しか乗員の膝に負荷しないこととの両立が可能である。
(ニーブラケットの全体形状)
図1の場合、ニーブラケット1は、車体前後方向の全体形状として、V字形状あるいはU字形状に屈曲ないし湾曲した形状を有している。これは、前記したように、屈曲構造体のV字形状あるいはU字形状の断面形状と、屈曲構造体の車体前後方向の周囲部分を含めた面板2、3全体のV字形状あるいはU字形状の断面形状の、形状(角度、大きさなど)が一致しているからである。ただ、これらの形状は図1のように必ずしも互いに一致させる必要はなく、面板2、3全体のV字形状あるいはU字形状の断面形状と、屈曲構造体のV字形状あるいはU字形状の断面形状との、角度や大きさなどを変えても勿論良い。
また、屈曲させる部分を中央部の前記屈曲構造体(前記屈曲部)のみとし、この屈曲構造体の車体前後方向の周囲部分の面板2、3を、屈曲構造体と同じ角度に屈曲させない、例えばフラットな形状(図1における周囲部分の面板2、3を横方向乃至水平方向に延在させる)としても良い。この場合、ニーブラケットは、中央部の屈曲部を除き、全体として(車体前後方向に亘る断面形状として)は屈曲せずに、直線的となる。なお、前記したV字形状あるいはU字形状の意味は、厳密な意味でのV字あるいはU字の形状ではなく、V字あるいはU字に近似し、V字あるいはU字と言える形状をも含みうるものである。
仮に、従来のように、ニーブラケット1の全体形状が単に直線的であった場合や多少の湾曲があった場合には、ニーブラケット1の車体前後方向の配置角度を変えて、水平ではなく車体上下方向に角度を付けて傾斜させたとしても、ダッシュボックスなどの他の車体部品や部材との干渉は防止できにくい。これに対して、本発明では、ニーブラケット1の中央部に屈曲部を設けているので、この中央部の屈曲部を除き、ニーブラケット全体形状が例え前記した直線的であったとしても、この屈曲部において他の車体部品や部材との干渉の回避が容易である。ただ、この屈曲部やニーブラケット1全体の屈曲度は、他の車体部品や部材との干渉を防止して、迂回できるよう、図1などの実施態様のように、比較的大きく屈曲させることが好ましい。
より具体的に、前記面板2、3中央部の各屈曲部2a、3aは、車体に配置されたダッシュボックスなどとの干渉防止が可能な、下方への屈曲度を有することが好ましい。もちろん、この屈曲度は、板状リブ5,6と、面板中央部の屈曲部2a、3aとで構成する、前記屈曲構造体の下方への折れ変形を保障するものでなければならない。ただ、乗用車の車種毎の車体設計(ダッシュボックスなどの形状や大きさ)によって異なるものの、前記屈曲構造体の下方への折れ変形を保障した上で、干渉防止が可能な屈曲度を定量化すると、この屈曲度は、ニーブラケット1の車体前後方向に亙る断面の長さLが120〜200mm程度の場合には、直線に対する屈曲角度が80〜120度程度である。
(板状リブの態様)
図1では、屈曲構造体を構成する板状リブ5、6以外にも、仮想連結線13を挟んで、前記板状リブ4や7が車体前後側に各々設けられている。すなわち、この図1では、仮想連結線13を挟んで、板状リブ4、5の2本が車体前方側に、板状リブ6、7の2本が車体後方側に設けられている。
板状リブ4や7も、前記屈曲構造体を構成する板状リブ5、6と同様に、面板2、3の変形強度を向上させるための補強用のリブである。但し、板状リブ4や7などの、板状リブ5、6以外の板状リブは、前記屈曲構造体を構成しないゆえに、その位置や向きや本数などの設け方は、板状リブ5、6よりも自由に設けることができる。言い換えると、これらの前記屈曲構造体を構成しない板状リブは、面板2、3間に配置されるとともに、これらの面板2、3に両端部が各々接合され、概ね車体上下方向に延在してさえいれば、必要な補強に応じて、その位置や向きや本数などの設け方は自由に選択される。因みに、これら前記屈曲構造体を構成しない板状リブの本数は、変形強度を向上させることが可能な複数本とし、車体前方向か後方向かの片側1〜3本ずつ、合計で2〜6本の複数本設けることが好ましい。
板状リブは必ずしも車体前後側に各々同数ずつ設けられる必要はない。しかし、前記同数ずつにしないと、面板2、3同士の中央部2a、3aにおける屈曲の各屈曲点11、12や仮想連結線13に沿った部位での折れ変形をより確実に支配的にすることや、このための設計条件が難しくなる可能性がある。このため、図1でも、車体前側に板状リブ4、5の2本、車体後側に板状リブ6、7の2本の、同数ずつ設けられている。
更に、これら車体前後側の互いの板状リブ同士の間隔や設置角度、面板2、3交点などの配置を、仮想連結線13を中心にして、車体前後方向に面対称に設けられていることが好ましい。図1でも車体前側の板状リブ4、5の2本と、車体後側の板状リブ6、7の2本とが、仮想連結線13を中心にして、車体前後方向に面対称に設けられている。これらによって、板状リブによる面板2、3の変形強度向上効果を更に上げ、面板2、3同士の中央部2a、3aにおける屈曲の各屈曲点11、12や仮想連結線13に沿った部位での折れ変形をより確実に支配的にできる。
なお、車体前後側の互いの板状リブ同士の設け方を、必ずしも、前記車体前後方向に面対称にせずとも、図8に示すように、車体前後側で変えても良い。例えば、図8のニーブラケットの車体前後方向に亙る断面図では、前記仮想連結線13に対して車体前後方向で隣り合う板状リブ5、6同士は互いに平行とし、かつ、車体前側の板状リブ4や車体前後側の板状リブ6、7の位置は同じとしつつ、車体前側の板状リブ5を仮想連結線13に、より近接させている。
また、これら車体前後側の互いの板状リブ同士の間隔についても、前記屈曲構造体の機能を阻害しない範囲で、面板補強の観点から基本的には自由に設計できる。この点、図1、2では、この面板補強の観点から、設けられた各板状リブと上方の面板2との各交点間の距離d(間隔)が、下方の面板3との各交点間の距離dに比して短い。また、車体前側では、板状リブ4と5の上方の面板2との各交点間の距離d1(間隔)が、下方の面板3との各交点間の距離d2に比して短い。車体後側では、板状リブ6と7の上方の面板2との各交点間の距離d3(間隔)が、下方の面板3との各交点間の距離d4に比して短い。因みに、図1、2では、板状リブ4と5の上方の面板2との交点、板状リブ6と7の上方の面板2との交点は隣接しており、d1、d3は殆ど0であり、板状リブ4と5、板状リブ6と7は逆V字状の形状(断面形状)を形成している。
なお、このように、各板状リブと上方の面板2との各交点間の距離(間隔)が、下方の面板3との各交点間の距離dに比して短い方が、前記屈曲構造体の折れ変形をより確実に支配的にできる利点もある。このような構成例として、図1、2の場合では、車体前側の板状リブ4と5や、車体後側の板状リブ6と7との、上方の面板2との各交点を同じ位置として、交点間の距離を無くして、下方の面板3との各交点間の距離に比して短かくしている。したがって、この図1、2の場合には、車体前側の板状リブ4と5や、車体後側の板状リブ6と7は、前記した仮想連結線13に対して車体前後方向で隣り合う板状リブ5、6同士を、この仮想連結線13に対して互いに平行としたことにもより、逆V字状の形状をなしている。
(ニーブラケット取り付け態様)
次に、ニーブラケットを自動車車室内へ取り付けた本発明の態様を説明する。図3はこの態様を示す斜視図である。図4は図3のニーブラケットの存在部分(図3の左側のニーブラケット)における車体前後方向に亙る断面図である。図3では、ニーブラケット1が、自動車車室内の前座席である運転者席(車室内の右側)側の前方、あるいは運転者席に座る乗員50の脚部51の前方、に配置されている態様を示している。なお、車体幅方向の反対側にある助手席側(車室内の左側)でも、ニーブラケット1の態様は基本的に同じである。
図3において、ニーブラケット1は、矢印で示す車体幅方向に互いに間隔を開けて2本設けられ、前記した自動車車室内の前座席前方であって、車体前後方向に延在して配置されている。このニーブラケット1の本数は、通常は図3のように2本であるが、この本数自体は、必要本数さえあれば、特に限定されない。
ニーブラケット1は、前記した通り、素材である単一のアルミニウム合金押出中空形材の矢印で示す押出方向が、車体幅方向となる、あるいは車体幅方向に平行となるように、その長手方向が、これとは直角の方角となるように、前記自動車車室内に配置されている。
前記一対の面板2、3の車体後方側の各端部2c、3cは、端板8を介して、乗員の膝に対して向き合うニーパネル30に、ボルトやリベットなどの機械的な接合手段66によって固定される。なお、図3、4におけるニーパネルとの接合用の端板8は、一対の面板2、3の車体後方側の各端部2c、3cに設けられている点は、前記図1、2と同じであるが、前記図1、2の端板8のような、車体上下方向に張り出したフランジは付いていない。この端板8や、そのフランジなどの形状は、固定するニーパネルの位置や形状、あるいは接合手段の選択や設計に応じて、その形状や構造を含めて、適宜選択される。
一方、前記一対の面板2、3の車体前方側の各端部2b、3bは、接合用のフランジ9、9を介して、ボルト、リベットなどの機械的な接合手段61、62、63(図示せず、61の下方側)、64(62の下方側)によって、車体であるインパネ補強材20へ固定される。
ここで、9、9は、前記図1、2と同じく、面板2、3の車体前方側の各端部2b、3bから前方に(図1の左側に)、車体の上下方向に間隔を開けて、平行に張り出された、車体であるインパネ補強材20との接合用のフランジである。このフランジ9、9形状も、ニーブラケット1を固定する車体部材や車体部材の形状、位置、あるいは接合手段の選択や設計に応じて、その形状や構造を含めて、適宜選択される。図3、4の態様でも、前記図1、2と同じく、このフランジ9、9によって、インパネ補強材20の外周部を挟持する形で、ニーブラケット1を車体に固定し、ボルト、リベットなどの機械的な接合手段61〜64によって接合する。
図3、4において、ニーブラケット1は、図1、2と同様に、その一対の面板2、3が、互いにその中央部2a、3aにおいて、下方に向けて屈曲している。即ち、上方の面板2は屈曲点(最下点)11、面板3は屈曲点(最下点)12を有し、ニーブラケット1の車体前後方向に亙る断面の全体形状は、前記屈曲点11、12を頂点とするV字形状あるいはU字形状を有する。このV字形状あるいはU字形状の屈曲は、車室内前方に設けられたダッシュボックス40などの、他の車体部品や部材との干渉を防止するのに十分な大きさ(屈曲度)を有する。
ニーブラケット1が直線的であった場合や多少湾曲させていた場合には、また、ニーブラケット1の車体前後方向の配置角度を変えて、水平ではなく、車体上下方向に角度を付けて傾斜させたとしても、ダッシュボックスなどの他の車体部品や部材との干渉は防止できない。言い換えると、ニーブラケット1は、直線的ではなく、他の車体部品や部材と干渉する箇所を迂回すべく、比較的大きく屈曲させ、変形させる必要がある。即ち、車体に配置されたダッシュボックスなどの他の車体部品との干渉防止が可能な屈曲度に、ニーブラケットを、干渉する箇所においてV字あるいはU字形状に屈曲させる必要がある。
このように屈曲していることを前提として、ニーブラケット1は、図1、2と同様に、前記した仮想連結線13が、車体衝突時の前記ニーパネル30への、矢印で示す乗員50の膝51の想定押し込み力方向に対して、垂直となるように車体前後方向に配置されている。
(その他の態様)
以上説明した態様では、前記図1で説明した通り、ニーブラケット1の前記車体後方側の、端板8や面板2、3の車体後方側の各端部2c、3cで構成される受圧面の延在方向(車体の上下方向)が、図1に矢印と点線14(乗員の膝の軌跡)とで示す、想定される押し込み力方向に対してほぼ直角となっている。この結果、前記した通り、押し込み力方向と受圧面の延在方向との関係として、前記本発明構成によって前記押し込み力による変形が前記面板2、3同士の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13に集中する効果、前記屈曲構造体での折れ変形が支配的になる効果が最大限に発揮される。
これに対して、車体設計上、この押し込み力の方向に対する前記受圧面の延在方向はほぼ直角とできない場合も生じる。図5に示すように、車体設計上、想定される乗員の膝の押し込み力方向に対して、受圧面の延在方向が直角方向ではなく、直角から大きく傾いている場合がある。図5の場合、乗員の膝の押し込み力方向が図のほぼ横方向であるので、受圧面の延在方向は、図の縦(上下)方向から大きくずれて、車体後方側に(図の右側に)大きく傾いている。
このような場合には、前記本発明構成によって前記押し込み力による変形が前記面板2、3同士の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13に集中する効果が最大限に発揮されにくくなる。即ち、このような場合を図7に示す。図7において、乗員の膝の押し込み力が作用した場合、点線で示す元の形状からの変形後の形状を実線で示す通り、受圧面が反時計回りに回転するように変形してしまう。この結果、前記本発明構成によって前記押し込み力による変形が前記面板2、3同士の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13に集中しなくなり、前記屈曲構造体での折れ変形が支配的にはならない。このため、ニーブラケットの局所変形や不安定な変形を防止できず、前記安定した圧壊荷重特性が得にくくなる。
このため、前記した安定した圧壊荷重特性を得る(前記効果を十分に発揮させる)ためには、更なる条件の付加(対策)が必要である。この対策を図6に示す。図6において、ニーブラケット1の基本構成は図1の場合と全く同じであるが、前記屈曲構造体における面板2、3同士の厚みが前記図1の場合と異なる。即ち、前記図1の場合は、両方の面板2、3の厚みが全く同じか、ほぼ同じである。これに対して、図6の場合は、前記屈曲構造体における面板2、3の内、下方の面板3の厚みを、上方の面板2の厚みよりも薄くしている。
これによって、前記屈曲構造体(面板3の中央部3aにおける屈曲点12)の強度なり剛性なりを低下させ、前記屈曲構造体の折れ変形をより発生しやすくする。したがって、前記押し込み力による変形が前記面板2、3同士の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13に集中する効果や、前記屈曲構造体での折れ変形が支配的になる効果が発揮されやすくなる。但し、この下方の面板3の厚みが上方の面板2の厚みよりも薄い差厚効果は、ニーブラケットが屈曲しており、かつ前記屈曲構造体があることを前提とする。ニーブラケットの車体前後方向に亘る断面形状が直線的であれば、単に強度を弱めるだけで、逆効果となる。なお、前記効果を得るために、厚みを薄くするのは、前記屈曲構造体における面板3の範囲のみでよい。ただ、面板3全体の厚みや、面板3全体ではなく前記屈曲構造体の周辺部の面板3の厚みを部分的に、前記強度を弱めるだけの逆効果とならない範囲で、前記屈曲構造体における面板3同様に、上方の面板2の厚みよりも薄くしても良い。
(中空形材の設計)
図1、3あるいは図5、6、8などのニーブラケット1の車体前後方向に亙る断面(アルミニウム合金中空押出形材の押出断面)の設計は、車体の設計条件と、本発明の効果発揮(前記押し込み力が負荷された際に、面板2、3の中央部2a、3a:仮想連結線13に沿った部位で、最も圧壊しやすく、折れ変形が生じるようにする)のための設計条件とから定まる。ニーブラケット1の車体前後方向に亙る断面(アルミニウム合金中空押出形材の押出断面)の設計は、車体前後方向に亙るニーブラケット1(断面)の長さ、車体上下方向に亙るニーブラケット1(断面)の高さ、車体幅方向に亙るニーブラケット1の幅、面板や板状リブの板厚、長さ、配置位置などである。
ここで、最適なあるいは実用的なニーブラケット1(断面)の長さL、前記ニーブラケット1(断面)の高さH、前記車体幅方向に亙るニーブラケット1の幅Wの各比は、Lが100〜200mm程度とすると、L/Hが1.8〜3.5、L/Wが60〜80程度である。LやLの比が、これら下限値を越えて大きくなりすぎると、ニーブラケット1のストロークが長くなり過ぎ、エネルギー吸収部である長手方向 (車体前後方向) に亙る断面の圧壊強度が低下し、前記押し込み力(衝突エネルギー)に対し、前記塑性変形することができずに、長手方向に折れ曲がりや破損が生じ易くなる。このため、膝部との小さい衝突荷重(前記押し込み力)では塑性変形できなくなり、前記ストロークの間で衝突エネルギー(前記押し込み力)吸収量を確保することができなくなる可能性がある。
ニーブラケット1の面板や板状リブ、端板、接合用のフランジなどの肉厚(壁厚乃至板厚)は、軽量化のためのアルミニウム合金採用の利点を活かすためには、5mm以下の比較的薄いことが好ましい。本発明では、肉厚が5mm以下の薄いものでも、乗員の膝衝突時の衝撃吸収効果を高めることが可能であり、車体の重量増加を最小限に抑える意味からも、肉厚が5mmを越える必要は無い。また、面板や板状リブ、端板、接合用のフランジなどの肉厚を同じとする必要はなく、本発明の効果発揮と軽量化を図る観点から適宜変えて良い。
このようなニーブラケット1の薄肉、軽量化のためには、使用するアルミニウム合金は、通常は高強度なほど良い。しかし、本発明では、局所変形や不安定な変形が生じにくく、前記面板の中央部における屈曲構造体の折れ変形を保障するためには、0.2%耐力が150〜220MPaの範囲の中強度で、伸びが高い材料である方が好ましい。加工硬化の度合い(n値)が小さいと、逆に、負荷される荷重(ひずみ)が1点に集中しやすく、局所変形(割れや折れを含め)あるいは不安定な変形が生じやすくなる。これに対して、加工硬化の度合い(n値)が大きいと、前記屈曲構造体の曲げ変形となる屈曲部2a、3a部位の塑性領域が広がりやすく、前記負荷される荷重が分散され、局所変形あるいは不安定な変形が生じにくくなる。
これらの要求特性を満足するアルミニウム合金材としては、通常、この種構造部材用途に汎用される、AA乃至JIS規格に規定された5000系、6000系、7000系等の汎用 (規格) アルミニウム合金を熱間押出にて製造した押出中空形材を、要求性能に見合った調質乃至熱処理を施したものが好適かつ選択的に用いられる。ただ、これらのアルミニウム合金調質材のうちでも、前記中強度で伸びが高い材料として、特に、6063などの6000系アルミニウム合金のT7などの過時効材が好ましい。
以上説明した種々のニーブラケットの形状につき、前記押し込み力による変形を解析した結果を、実施例として以下に示す。
図9、10は前記図1の発明例ニーブラケット、図11、12は前記図6の発明例ニーブラケットの解析結果である。図9、11はニーブラケットの変形の経時変化を示す車体前後方向に亙る断面図(側面図)、図10、図12は図9、11の各解析結果の荷重変位曲線を示す説明図である。
一方、図13、14は前記図5の比較例ニーブラケット、図15、16、図17、18は従来のニーブラケットの解析結果である。図13、15、17はニーブラケットの変形の経時変化を示す車体前後方向に亙る断面図(側面図)、図14、16、18は図13、15、17の各解析結果の荷重変位曲線を示す説明図である。
前記図9、11、13、15、17の各図は、前記図10、12、14、16、18の各図の圧壊荷重曲線(荷重変位曲線)における各変位(量)毎の、荷重変形状態の経時変化を各々示す。これら図9、11、13、15、17の各図の左側から順に、押込み前(押込み量0mm)、押込み(量)=変位(量)10mm、押込み(量)20mm、押込み(量)30mm毎の荷重変形状態の経時変化を示す。
解析は、ニーブラケットに対する車体後方側(乗員側:図の右側)からの膝衝突による前記押し込み力の荷重負荷を想定した時の、変形の経時変化と荷重−変位関係を各々静的圧壊解析にて求めた。解析ソフトは汎用の有限要素ソルバーABAQUSを用いた。素材中空押出形材は、共通して、6000系の6063アルミニウム合金押出中空形材のT7調質材として、0.2%耐力は170MPaとした。
ニーブラケットの面板、板状リブなどの各部材の肉厚は、図11、12の発明例ニーブラケットの差厚面板を除き、共通して同じ4.0mmとした(なお、図11、12の発明例ニーブラケットも板状リブの肉厚は4.0mmとした)。ニーブラケットの外寸形状は、共通して、前記長さL:120mm、前記高さH:60mm、前記幅Wは30mmとし、L/Hが2.0、L/Wが40程度となるようにし、屈曲度は直線に対する屈曲角度が120度とした。
発明例の図9、11の4本の板状リブ4、5および6、7の面板2、3との各交点間の距離d1、d3は0mm、d2、d4は20mmとした。これら板状リブの内、仮想連結線13に対して車体前後方向で隣り合う板状リブ5、6同士は、この仮想連結線13に対して互いに平行に、かつその向きがほぼ垂直に(車体上下方向に)に設けた。また、これら車体前後側の互いの板状リブ同士の間隔や設置角度、面板2、3交点などの配置を、仮想連結線13を中心にして、車体前後方向に面対称に設けた。
図9、10は前記図1の発明例ニーブラケットであり、この押し込み力の方向に対する前記受圧面の延在方向はほぼ直角である。これに対して、図11、12は前記図6の発明例ニーブラケットであり、想定される乗員の膝の押し込み力方向に対して、受圧面の延在方向が直角方向ではなく、垂直方向から大きくずれて、車体後方側に(図の右側に)大きく傾いている。そして、面板2、3の内、上方の面板2の厚みを4.8mm,下方の面板3の厚みを3.6mmとして,前記上方の面板2の厚みよりも薄くなっている。
比較例の図13のニーブラケットは、面板2、3の厚みが同じである点以外の条件は、前記図11の発明例ニーブラケットと同じである。
従来例の図15、16、17、18のニーブラケットは、共通して、前記発明例の図9、11の4本に比して、板状リブが4、5および6の3本しかなく、面板2、3との各交点間の距離d1、d3は30mm、d2は40mmとした。また、仮想連結線13に対して車体前後方向で隣り合う板状リブ5、6同士は、この仮想連結線13に対して互いに平行ではなく、かつその向きが垂直に対して大きく傾くように設けた。したがって、これら車体前後側の互いの板状リブ同士の配置は、仮想連結線13を中心にした、車体前後方向に面対称ともなっていない。
そして、従来例の図15、16のニーブラケットは、押し込み力の方向に対する前記受圧面の延在方向はほぼ直角である。これに対して、従来例の図17、18は、想定される乗員の膝の押し込み力方向に対して、受圧面の延在方向が直角方向ではなく、垂直方向から大きくずれて、車体後方側に(図の右側に)大きく傾いている。なお、面板2、3の厚みは同じである。
図9、10の発明例ニーブラケット、図11、12の発明例ニーブラケットは図10、12に示す通り、荷重変位における最大荷重を低くすることができ、乗員の膝衝突に見合った小さな衝突荷重で、エネルギー吸収に必要な断面方向 (幅方向) の塑性変形を生じることができる。また、塑性変形による変位が進んでも、局所的な変形や部分的な破断などが起こらず、荷重低下量が極めて少なく、ニーブラケットのストロークに渡って、継続的にエネルギー吸収が行われ、乗員の膝衝突に必要なエネルギー吸収量を確保できることが分かる。
これに対し、図13、14の比較例では、前記した図7と同様に、乗員の膝の押し込み力が作用した場合、薄い実線で示す元の形状からの変形後の形状を実線で示す通り、受圧面が反時計回りに回転するように変形してしまう。この結果、前記押し込み力による変形が前記面板2、3同士の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13に集中しなくなり、折れ変形が生じず、荷重低下量が大きく、前記した安定した圧壊荷重特性が得にくい。
従来例の図15、16、17、18のニーブラケットは、塑性変形による変位が進んだ場合、局所的な変形や部分的な破断などが起こり、荷重低下量が極めて大きい。この結果、前記押し込み力による変形が前記面板2、3同士の各屈曲点11、12あるいは仮想連結線13に集中しなくなり、折れ変形が生じず、荷重低下量が大きく、前記した安定した圧壊荷重特性が得にくい。
これらの結果から、本発明ニーブラケットの各要件の意義、特に、ニーブラケットに前記屈曲構造体を設ける意義や、ニーブラケットを前記仮想連結線が前記想定押し込み力方向に対して直角となるように車体前後方向に配置することの意義が具体的に裏付けられる。
本発明によれば、ニーブラケットを、比較的大きく屈曲させた場合でも、要求される前記圧壊特性を発揮しうるアルミニウム合金製ニーブラケットを提供することができる。このため、ニーブラケットにおいて、乗員の膝衝突の際に必要なエネルギー吸収量を確保することと、ダメージを与えない荷重しか乗員の膝に負荷しないこととの両立が図れる。また、ニーブラケットへのアルミニウム合金材の用途を大きく拡大するものであり、工業的な価値が大きい。
ニーブラケットの一態様を示す断面図である。 図1のニーブラケットの変形状態を示す断面図である。 ニーブラケットの取り付け態様を示す斜視図である。 図3の断面図である。 ニーブラケットの別の態様を示す断面図である。 ニーブラケットの別の態様を示す断面図である。 図5のニーブラケットの変形状態を示す断面図である。 ニーブラケットの別の態様を示す断面図である。 ニーブラケットの解析による変形の経時変化を示す断面図である。 図9の圧壊荷重曲線を示す説明図である。 ニーブラケットの解析による変形の経時変化を示す断面図である。 図11の圧壊荷重曲線を示す説明図である。 比較例ニーブラケットの解析による変形の経時変化を示す断面図である。 図13の圧壊荷重曲線を示す説明図である。 従来例ニーブラケットの解析による変形の経時変化を示す断面図である。 図15の圧壊荷重曲線を示す説明図である。 従来例ニーブラケットの解析による変形の経時変化を示す断面図である。 図17の圧壊荷重曲線を示す説明図である。
符号の説明
1:ニーブラケット、2、3:面板、2a、3a:面板中央部の屈曲部、4、5、6、7:板状リブ、8、10:端板、9:フランジ、11、12:屈曲点、13:仮想連結線、14:押し込み方向、20:インパネ補強材乗員、30:ニーパネル、40:ダッシュボックス、50:乗員、51:膝、60〜:機械的接合手段、

Claims (6)

  1. 自動車車室内の前座席の前方に配置され、以下のa〜gの要件を有することを特徴とするニーブラケット。
    a.このニーブラケットは、単一のアルミニウム合金押出中空形材からなり、この押出形材の押出方向が車体幅方向となるように配置されている。
    b.この単一のアルミニウム合金押出中空形材は、一対の面板とこれらの面板間をつなぐ複数本の板状リブとから少なくとも構成されている。
    c.前記一対の面板の車体後方側の端部は、乗員の膝に対して向き合うニーパネルに固定されて荷重点とされる一方で、前記一対の面板の車体前方側の端部は車体へ固定されて支持点とされる。
    d.前記面板は、各々その中央部に、下方に向けてV字形状あるいはU字形状の断面形状に屈曲する屈曲部を有する。
    e.前記板状リブのうち、前記面板屈曲部における各屈曲点同士を結ぶ仮想連結線を挟んで相隣り合う板状リブ同士が、この仮想連結線に対して互いに平行に設けられている。
    f.これら互いに平行な板状リブと前記面板中央部の屈曲部とで、前記ニーブラケットの荷重点と支持点との間の屈曲構造体を形成している。
    g.前記ニーブラケットは、前記仮想連結線が、車体衝突時の前記ニーパネルへの乗員の膝の想定押し込み力方向に対して直角となるように車体前後方向に配置されている。
  2. 前記仮想連結線を挟んで、前記板状リブが車体前後側に各々同数ずつ設けられるとともに、前記仮想連結線を中心にして、前記板状リブが車体前後方向に面対称に設けられている請求項1に記載のニーブラケット。
  3. 前記ニーパネルの受圧部分の延在方向が前記乗員の膝の想定押し込み力方向に対して直角であり、前記面板同士の厚みが略同じである請求項1または2に記載のニーブラケット。
  4. 前記ニーパネルの受圧部分の延在方向が前記乗員の膝の想定押し込み力方向に対して直角方向から傾斜しており、前記面板の内、下方の面板の厚みが上方の面板の厚みよりも薄い請求項1乃至3のいずれか1項に記載のニーブラケット。
  5. 前記ニーブラケットが車体前後方向に亙って屈曲している請求項1乃至4のいずれか1 項に記載のニーブラケット。
  6. 請求項1から5のいずれかのニーブラケットを用いて自動車乗員の膝を保護する方法であって、前記ニーパネルの受圧部分に乗員の膝が衝突した際に、前記ニーブラケットの荷重点と支持点との間に形成した屈曲構造体を下方に向けて変形させて、前記乗員の膝衝突の衝撃を緩和することを特徴とする自動車乗員の膝保護方法。
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