JP2010083031A - インクジェット記録方法、前処理液、インクセットおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

【課題】インクジェット記録装置の構成部材の腐食のおそれがなく、かつ印刷品質およびインクの速乾性の一方を選択的に向上可能な前処理液を用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】インクジェット記録に先立ち、記録媒体２１に前処理液３２を塗布する前処理工程と、記録媒体に顔料インク２５をインクジェット方式により吐出して記録する記録工程とを有するインクジェット記録方法であって、前処理液が、顔料凝集剤および水を含み、顔料凝集剤が、コハク酸イオンおよび酢酸イオンの少なくとも一方のイオンを含むことを特徴とする。
【選択図】図３

Description

本発明は、インクジェット記録方法、前処理液、インクセットおよびインクジェット記録装置に関する。

インクジェット記録の印刷品質の向上を目的として、インクとは別に処理液を用意し、前記処理液を記録用紙に塗布することが実施されている。例えば、下記特許文献１には、前記記録用紙と同色の樹脂や金属酸化物を用いた処理液が開示されている。前記処理液を、印刷の前後もしくは同時に、記録用紙の裏面（印刷面と反対側）に塗布することにより、前記記録用紙の裏面におけるインク濃度を低減させ、いわゆるインクの裏抜けを防止する。これにより、印刷物のコントラストが向上し、この点で、印刷品質が向上する。

一方、インクジェット記録装置の印刷速度の高速化に伴い、インクに対し、前記記録用紙への浸透性および速乾性が求められている。しかしながら、インクの浸透性を高めると印刷物の光学濃度が低下し、この点で印刷品質が低下するという問題がある。また、前記処理液を用いた方法では、光学濃度および速乾性を向上させることができない。さらに、インクジェット記録装置では、処理液と直接接触する部分もあるため、前記処理液による前記装置の構成部材の腐食のおそれもある。

特開２００３−１８２２０３号公報

そこで、本発明は、インクジェット記録装置の構成部材の腐食のおそれがなく、かつ印刷品質およびインクの速乾性の一方を選択的に向上可能な前処理液を用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。

前記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録方法は、
インクジェット記録に先立ち、被記録媒体に前処理液を塗布する前処理工程と、前記被記録媒体に顔料インクをインクジェット方式により吐出して記録する記録工程とを有するインクジェット記録方法であって、
前記前処理液が、顔料凝集剤および水を含み、
前記顔料凝集剤が、コハク酸イオンおよび酢酸イオンの少なくとも一方のイオンを含むことを特徴とする。

本発明のインクジェット記録方法では、顔料凝集剤として、コハク酸イオンおよび酢酸イオンの少なくとも一方を含む前処理液を用いる。このため、本発明のインクジェット記録方法では、前記前処理液による部材の腐食のおそれがない。また、前記前処理液を被記録媒体の記録面に塗布し、前記塗布部に顔料インクにより記録（印刷）すれば、得られる印刷物の光学濃度が向上する。そして、前記前処理液を被記録媒体の記録面と反対側の面に塗布し、前記記録面の前記塗布部に対応する部分に顔料インクにより記録（印刷）すれば、インクの速乾性が向上する。

本発明のインクジェット記録方法において、前記コハク酸イオンおよび前記酢酸イオンのカウンターイオンは、水素イオンであることが好ましい。

本発明のインクジェット記録方法において、前記被記録媒体における前記前処理液の塗布箇所は、前記被記録媒体の顔料インクによる記録面（以下、「表面」という）の少なくとも記録部分、または、前記被記録媒体の顔料インクによる記録面と反対側の面（以下、「裏面」という）の少なくとも前記記録部分に対応する部分であることが好ましい。

本発明のインクジェット記録方法において、さらに、前記前処理液が、浸透剤を含み、前記浸透剤が、グリコールエーテルを含むことが好ましい。

本発明のインクジェット記録方法において、前記グリコールエーテルは、ジプロピレングリコール−ｎ−プロピルエーテル（ＤＰＰ）およびジエチレングリコール−ｎ−ヘキシルエーテル（ＤＥＨＥ）の少なくとも一方であることが好ましい。

本発明のインクジェット記録方法において、前記顔料インクは、自己分散型顔料を含むことが好ましい。

本発明の前処理液は、顔料インクを用いるインクジェット記録において、前記インクジェット記録に先立ち、被記録媒体に塗布するための前処理液であって、前記前処理液が、顔料凝集剤および水を含み、前記顔料凝集剤が、コハク酸イオンおよび酢酸イオンの少なくとも一方を含むことを特徴とする。

本発明のインクセットは、顔料インクおよび前処理液を含むインクセットであって、前記前処理液が、本発明の前処理液であることを特徴とする。

本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部およびインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、さらに、前処理液を塗布する手段を含み、前記前処理液が、本発明の前処理液であることを特徴とする。

つぎに、本発明のインクジェット記録方法について、詳細に説明する。本発明のインクジェット記録方法は、前述のとおり、前処理工程および記録工程を含む。

本発明のインクジェット記録方法の記録対象となる前記被記録媒体は、例えば、記録用紙があげられる。前記記録用紙としては、普通紙があげられる。本発明において、「普通紙」とは、例えば、ノートやレポート用紙等に用いられている上質紙や、コーティングがなされていないコピー用紙等、記録面に特殊な加工や塗布処理がなされていない紙のことをいう。前記普通紙としては、例えば、Ｈａｍｍｅｒｍｉｌｌ社製の「Ｌａｓｅｒ Ｐｒｉｎｔ」、Ｍ−ｒｅａｌ社製の「ＤＡＴＥ ＣＯＰＹ紙」、ＸＥＲＯＸ社製の「Ｘｅｒｏｘ４２００」、富士ゼロックスオフィスサプライ（株）製の「４２００ＤＰ ＰＡＰＥＲ」等があげられる。

前記前処理工程は、インクジェット記録に先立ち、被記録媒体に前処理液を塗布する工程である。

前記前処理工程に用いる前処理液は、顔料凝集剤および水を含む。

前記顔料凝集剤は、前記被記録媒体上において、前記前処理液および前記顔料インクが接触した際に、前記顔料インク中の顔料を凝集する機能を有する。前記顔料凝集剤は、コハク酸イオンおよび酢酸イオンのいずれか、または双方を含む。前記コハク酸イオンおよび酢酸イオンは、酸の形態で供給してもよいし、塩の形態で供給してもよいが、好ましくは、コハク酸および酢酸の形態で供給することである。塩の形態で供給する場合の塩は、例えば、酢酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸カリウム、コハク酸カリウム等の形態がある。

コハク酸イオン単独の場合、前記前処理液全体に対するコハク酸イオンの配合量は、例えば、１重量％〜１０重量％であり、好ましくは、１重量％〜５重量％である。酢酸イオン単独の場合、前記前処理液全体に対する酢酸イオンの配合量は、例えば、１重量％〜１０重量％であり、好ましくは、１重量％〜５重量％である。コハク酸イオンおよび酢酸イオンを併用する場合、前記前処理液全体に対する前記両イオンの合計配合量は、例えば、１重量％〜１０重量％であり、好ましくは、１重量％〜５重量％である。

前記水は、イオン交換水または純水であることが好ましい。前記前処理液全体に対する前記水の配合量（水割合）は、例えば、他の成分の残部としてもよい。

前記前処理液は、さらに、浸透剤を含むことが好ましい。前記浸透剤としては、グリコールエーテルが好ましい。前記グリコールエーテルとしては、ジプロピレングリコール−ｎ−プロピルエーテル（ＤＰＰ）およびジエチレングリコール−ｎ−ヘキシルエーテル（ＤＥＨＥ）が好ましい。前記グリコールエーテルは、前記ＤＰＰおよび前記ＤＥＨＥ以外のものも使用可能である。前記ＤＰＰおよび前記ＤＥＨＥ以外のグリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−ｎ−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−ｎ−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ｎ−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−ｎ−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−ｎ−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−ｎ−プロピルエーテル、プロピレングリコール−ｎ−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−ｎ−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−ｎ−プロピルエーテルおよびトリプロピレングリコール−ｎ−ブチルエーテル等があげられる。前記前処理液全体に対する前記グリコールエーテルの配合量は、例えば、１重量％〜１５重量％、好ましくは、２重量％〜１０重量％である。前記前処理液は、前記顔料凝集剤、前記浸透剤および水に加え、その他の成分を含有していてもよい。

前記前処理液は、前記被記録媒体の塗布面によって、光学濃度および速乾性のいずれかを向上させることができる。前述のように、前記前処理液を、前記被記録媒体の表面に塗布すれば、光学濃度が向上し、前記被記録媒体の裏面に塗布すれば、速乾性が向上する。これらの特性向上のメカニズムについて、本発明者は、つぎのように推測している。すなわち、まず、前記前処理液を、前記被記録媒体の表面に塗布すると、前記顔料凝集剤の作用により、顔料インク中の顔料が、前記被記録媒体の表面で効率良く凝集する。この結果、印刷物の光学濃度が向上する。一方、前記前処理液を、前記被記録媒体の裏面に塗布すると、前記顔料凝集剤が、前記裏面から前記被記録媒体中に前記表面方向に向かって浸透する。前記被記録媒体の表面からは、顔料インクの顔料が前記裏面方向に向かって浸透し、前記被記録媒体の中間層で、前記顔料が、前記顔料凝集剤の作用で凝集して定着する。この結果、顔料インクの速乾性が向上する。なお、これらのメカニズムは、あくまでも推察であり、これらの推察によって、本発明は、なんら制限および限定されない。また、速乾性とは、換言すれば、印刷後、短時間で被記録媒体に顔料インクが定着し、他の部材等に接触しても顔料インクが転写しないことを意味する。

前記前処理工程において、前記前処理液の塗布は、例えば、吐出方式、スタンプ塗布、刷毛塗り、ローラ塗布等の方法により実施できる。前記吐出方式は、例えば、インクジェット方式等により、前記前処理液を前記被記録媒体に吐出して塗布する方式である。前記スタンプ塗布、刷毛塗りおよびローラ塗布は、その名に示すとおり、それぞれ、スタンプ、刷毛およびローラを用いて塗布する方式である。

前記前処理工程において、前記被記録媒体における前記前処理液の塗布面は、目的に応じ適宜決定できる。前述のように、前記被記録媒体の塗布面は、光学濃度の向上を目的とする場合は表面となり、速乾性の向上を目的とする場合は裏面となることが好ましい。また、前記前処理液の塗布は、前記被記録媒体の表面または裏面の全面でもよいし、一部でもよい。一部に塗布する場合、前記被記録媒体の表面の少なくとも記録（印刷）予定部分が塗布部になり、または、前記被記録媒体の裏面の前記表面の記録（印刷）予定部分に対応する部分が塗布部になる。一部に塗布する場合、塗布部の大きさは、記録（印刷）部分よりも大きい方がよい。例えば、図１（Ａ）に示すように、記録用紙１０に対し、文字（Ｘ）を印字する場合は、前記文字の線幅よりも大きな線幅で塗布部６０を形成するように前処理液を塗布することが好ましい。また、図１（Ｂ）に示すように、記録用紙１０に対し、図柄を印刷する場合は、前記図柄よりも大きな塗布部７０を形成するように前処理液を塗布することが好ましい。

つぎに、前記記録工程は、インクジェット記録方式により、被記録媒体に顔料インクを吐出して記録する工程である。

前記記録工程に使用される前記顔料インクとしては、例えば、顔料、水および水溶性有機溶剤を含むインクを使用できる。

前記顔料は、例えば、カーボンブラック、無機顔料および有機顔料等が使用できる。前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等があげられる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料およびカーボンブラック系無機顔料等をあげることができる。前記有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料；フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料；塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料；ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック昼光蛍光顔料等があげられる。また、その他の顔料であっても水相に分散可能なものであれば使用できる。これら顔料の具体例としては、例えば、Ｃ．Ｉ．ピグメントブラック１、６および７；Ｃ．Ｉ．ピグメントイエロー１、２、３、１２、１３、１４、１５、１６、１７、５５、７３、７４、７５、８３、９３、９４、９５、９７、９８、１１４、１２８、１２９、１３８、１５０、１５１、１５４、１８０、１８５および１９４；Ｃ．Ｉ．ピグメントオレンジ３１および４３；Ｃ．Ｉ．ピグメントレッド２、３、５、６、７、１２、１５、１６、４８、４８：１、５３：１、５７、５７：１、１１２、１２２、１２３、１３９、１４４、１４６、１４９、１６６、１６８、１７５、１７６、１７７、１７８、１８４、１８５、１９０、２０２、２２１、２２２、２２４および２３８；Ｃ．Ｉ．ピグメントバイオレット１９６；Ｃ．Ｉ．ピグメントブルー１、２、３、１５、１５：１、１５：２、１５：３、１５：４、１６、２２および６０；Ｃ．Ｉ．ピグメントグリーン７および３６等があげられる。

前述のとおり、前記顔料は、自己分散型顔料を含むことが好ましい。前記自己分散型顔料は、例えば、顔料粒子の表面にカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン基等の親水性官能基およびそれらのその塩の少なくとも一種が、直接または多価の基を介して化学結合により導入されていることによって、分散剤を使用しなくても水に分散可能なものである。

前記自己分散型顔料は、例えば、特開平８−３４９８号公報、特表２０００−５１３３９６号公報等に記載の方法によって表面処理された自己分散型顔料を用いることができる。前記自己分散型顔料は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「ＣＡＢ−Ｏ−ＪＥＴ（登録商標）２００」、「ＣＡＢ−Ｏ−ＪＥＴ（登録商標）２５０」、「ＣＡＢ−Ｏ−ＪＥＴ（登録商標）２６０」、「ＣＡＢ−Ｏ−ＪＥＴ（登録商標）２７０」、「ＣＡＢ−Ｏ−ＪＥＴ（登録商標）３００」および「ＣＡＢ−Ｏ−ＪＥＴ（登録商標）７００」；オリエント化学工業（株）製の「ＢＯＮＪＥＴ（登録商標）ＢＬＡＣＫ ＣＷ−１」、「ＢＯＮＪＥＴ（登録商標）ＢＬＡＣＫ ＣＷ−２」および「ＢＯＮＪＥＴ（登録商標）ＢＬＡＣＫ ＣＷ−３」；東洋インキ製造（株）製の「ＬＩＯＪＥＴ（登録商標）ＷＤ ＢＬＡＣＫ ００２Ｃ」；等があげられる。

前記自己分散型顔料に用いることができる顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。また、前記表面処理を行うのに適した顔料としては、例えば、三菱化学（株）製の「ＭＡ８」および「ＭＡ１００」、デグサ社製の「カラーブラックＦＷ２００」等のカーボンブラックがあげられる。

前記顔料インク全体に対する前記顔料の配合量（顔料割合；顔料固形分量）は、例えば、印刷物に所望される光学濃度または色彩等により、適宜決定できる。前記顔料割合は、例えば、０．１重量％〜２０重量％であり、好ましくは、０．３重量％〜１５重量％である。前記顔料は、１種類を単独で用いてもよいし、２種類以上を併用してもよい。

前記水は、イオン交換水または純水であることが好ましい。前記顔料インク全体に対する前記水の配合量（水割合）は、例えば、他の成分の残部としてもよい。

前記水溶性有機溶剤としては、例えば、インクジェットヘッドのノズル先端部におけるインクの乾燥を防止する湿潤剤および被記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤があげられる。

前記湿潤剤は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、ｎ−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ｎ−ブチルアルコール、ｓｅｃ−ブチルアルコール、ｔｅｒｔ−ブチルアルコール等の低級アルコール；ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド；アセトン等のケトン；ジアセトンアルコール等のケトアルコール；テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル；ポリアルキレングリコール、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコール；２−ピロリドン；Ｎ−メチル−２−ピロリドン；１，３−ジメチル−２−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの湿潤剤は、１種類を単独で用いてもよいし、２種類以上を併用してもよい。これらの中で、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。

前記顔料インク全体に対する前記湿潤剤の配合量（湿潤剤割合）は、例えば、０重量％〜９５重量％であり、好ましくは、１０重量％〜８０重量％であり、さらに好ましくは、１０重量％〜５０重量％である。

前記浸透剤は、例えば、グリコールエーテルがあげられる。前記グリコールエーテルは、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−ｎ−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−ｎ−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ｎ−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−ｎ−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−ｎ−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−ｎ−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−ｎ−プロピルエーテル、プロピレングリコール−ｎ−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−ｎ−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−ｎ−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−ｎ−プロピルエーテルおよびトリプロピレングリコール−ｎ−ブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、１種類を単独で用いてもよいし、２種類以上を併用してもよい。

前記顔料インク全体に対する前記浸透剤の配合量（浸透剤割合）は、例えば、０重量％〜２０重量％である。前記浸透剤割合を前記範囲とすることで、前記顔料インクの記録用紙等の被記録媒体への浸透性を、より好適なものとできる。前記浸透剤割合は、好ましくは、０．１重量％〜１５重量％であり、より好ましくは、０．５重量％〜１０重量％である。

前記顔料インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。

前記顔料インクは、例えば、顔料、水および水溶性有機溶剤と、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。

前記記録工程におけるインクジェット記録は、インクジェットヘッドを用いて顔料インクを被記録媒体に吐出することにより実施できる。

図２に、本発明のインクジェット記録方法の一例を示す。まず、図２（Ａ）に示すように、記録用紙２１の表面の記録部分に対し、インクジェットヘッドのノズル２３から前処理液２２を吐出して塗布して塗布部を形成する。つぎに、同図（Ｂ）に示すように、記録用紙２１を、矢印方向に移動させる。つぎに、同図（Ｃ）に示すように、インクジェットヘッドのノズル２４を用いて顔料インク２５を前記塗布部に吐出して記録する。この例において、顔料インク２５は、前処理液２２の作用により凝集し、この結果、高い光学濃度の印刷物が得られる。

図３に、本発明のインクジェット記録方法の別の例を示す。図３において、図２と同一部分には同一符号を付している。この例では、記録用紙の裏面にスタンプ塗布で前処理液を塗布する方法である。まず、図３（Ａ）に示すように、スタンプ面に前処理液３２が塗布されたスタンプ３１を、記録用紙２１の裏面Ｒ側に配置し、矢印で示すように、スタンプ３１を移動させてスタンプ面を記録用紙２１の裏面Ｒに接触させる。その後、前記スタンプ面を記録用紙２１の裏面Ｒから離すと、前記スタンプ面の接触により、同図（Ｂ）に示すように、前処理液３２が、記録用紙２１の裏面Ｒに転写される。そして、同図（Ｃ）に示すように、前処理液３２は、記録用紙２１の裏面Ｒから内部に浸透する。つぎに、同図（Ｄ）に示すように、インクジェットヘッドのノズル２４から、顔料インク２５を、記録用紙２１の表面Ｆに吐出する。吐出された顔料インク２５は、同図（Ｅ）に示すように、記録用紙２１の表面Ｆから内部に浸透し、前処理液３２と接触して凝集する。この結果、顔料インク２５は、記録用紙２１内部に短時間で定着するため、速乾性が向上する。

本発明によれば、被記録媒体の表面の少なくとも記録部分、または、前記被記録媒体の裏面の少なくとも前記記録部分に対応する部分に、前記前処理液を塗布することにより作成された前処理済被記録媒体を得ることができる。

つぎに、本発明のインクジェット記録装置について説明する。前述のとおり、本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部およびインク吐出手段を備え、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段により吐出するインクジェット記録装置であって、さらに、前処理液を塗布する手段を含み、前記前処理液が、本発明の前処理液であることを特徴とする。これらを除き、本発明のインクジェット記録装置の構成は、例えば、従来公知のインクジェット記録装置と同様であってもよい。

本発明のインクジェット記録装置は、ライン型インクジェットヘッドが搭載されたインクジェット記録装置であることが好ましい。ただし、本発明のインクジェット記録装置は、これに限定されない。本発明のインクジェット記録装置は、例えば、シリアル型インクジェットヘッドが搭載されたインクジェット記録装置であってもよい。前記ライン型インクジェット記録装置とは、被記録媒体の幅以上の記録幅（印刷幅）を持つライン型インクジェットヘッドを用い、前記インクジェットヘッドを固定した状態で前記被記録媒体の幅方向の記録を一括して行うことができるインクジェット記録装置である。これに対し、前記シリアル型インクジェット記録装置では、インクジェットヘッド自体が前記被記録媒体の記録面の幅方向に移動しながら記録を行う。前記ライン型インクジェット記録装置は、前記シリアル型インクジェット記録装置と比較して、格段に印刷速度が速い。

図４の構成図に、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す。本例のインクジェット記録装置１０１は、ライン型インクジェットヘッドを搭載し、記録用紙Ｐの記録面に対して、インクジェット方式で、本発明の前処理液を塗布する構成の装置である。図示のように、このインクジェット記録装置１０１は、１つの前処理液用カートリッジ１’と、４つのインクカートリッジ１と、１つの前処理液用ヘッド２’と、４つのインクジェットヘッド２と、給紙部１１と、排紙部１２と、ベルト搬送機構１３と、前記インクジェット記録装置１０１全体を制御する制御装置１６とを主要な構成要素として含む。前記前処理液用カートリッジ１’と前記インクカートリッジ１は、同じ構成である。同様に、前記前処理液用ヘッド２’と前記インクジェットヘッド２は、同じ構成である。前記給紙部１１は、前記ベルト搬送機構１３の一方の側（同図においては左側）に配置されている。前記排紙部１２は、前記ベルト搬送機構１３の他方の側（同図においては右側）に配置されている。

前記インクジェット記録装置１０１の内部には、前記給紙部１１から前記ベルト搬送機構１３を介し、前記排紙部１２に向かって記録用紙Ｐが搬送される記録用紙搬送経路が形成されている。矢印Ｘは、前記記録用紙Ｐが搬送される用紙搬送方向を示す。前記給紙部１１は、記録用紙ストッカ１１ａと、ピックアップローラ１１ｃとを含む。前記記録用紙ストッカ１１ａは、その内部に前記記録用紙Ｐを積層した状態で収容するものであり、その上面に開口部が形成されている。前記記録用紙ストッカ１１ａは、記録用紙搬送方向Ｘの下流側（同図において右側）に向かって傾斜した状態で配置されている。前記記録用紙ストッカ１１ａ内には、底面から上方開口部に向かって、バネ１１ｄにより付勢された支持板１１ｂが配置され、この支持板１１ｂ上に記録用紙Ｐが積層状に載置されている。前記ピックアップローラ１１ｃは、モータ（図示せず）により駆動されることで、前記記録用紙ストッカ１１ａ内に積層された記録用紙Ｐを上から一枚ずつピックアップする（取り出す）とともに、ピックアップした記録用紙Ｐを記録用紙搬送方向の上流から下流に送り出すものである。前記給紙部１１のすぐ下流側には、記録用紙検知センサ５９が配置されている。前記記録用紙検知センサ５９は、送り出された前記記録用紙Ｐが、前記ベルト搬送機構１３の記録用紙搬送方向Ｘのすぐ上流側（同図において左側）に位置する印刷待機位置に到達したか否を検知するためのものであり、前記印刷待機位置にある記録用紙Ｐの下流側の端部を検出することができるように調整されている。送り出された前記記録用紙Ｐは、前記印刷待機位置を通過して、前記ベルト搬送機構１３に搬送される。

前記ベルト搬送機構１３は、２つのベルトローラ６および７と、搬送ベルト８と、プラテン１５と、搬送モータ（図示せず）とを含む。前記搬送ベルト８は、前記２つのベルトローラ６および７の間に掛け渡されるように巻き回されたエンドレスベルトである。前記搬送ベルト８の外側の面を、外周面８ａとする。前記プラテン１５は、前記搬送ベルト８により囲まれた領域内において、後述の４つのインクジェットヘッド２と対向する位置に配置されている。前記プラテン１５は、前記４つのインクジェットヘッド２と対向する領域において、前記搬送ベルト８が下方に撓まないように前記搬送ベルト８を支持するものである。前記ベルトローラ７と対向する位置には、ニップローラ４が配置されている。前記ニップローラ４は、前記ベルト搬送機構１３に搬送された記録用紙Ｐが、前記外周面８ａに載置されたとき、この記録用紙Ｐを外周面８ａに押さえ付けるものである。前記搬送モータが、前記ベルトローラ６を回転させると、前記搬送ベルト８が駆動（回転）する。これにより、前記搬送ベルト８が、前記押さえ付けられた記録用紙Ｐを粘着保持しつつ、前記排紙部１２に向けて搬送する。前記搬送ベルト８のすぐ下流側には、剥離機構１４が設けられている。前記剥離機構１４は、前記外周面８ａに粘着されている記録用紙Ｐを、前記外周面８ａから剥離して、前記排紙部１２に向けて送るように構成されている。

前記前処理液用カートリッジ１’は、本発明の前記前処理液を含む。前記４つのインクカートリッジ１は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの４色のインクを、それぞれ１色ずつ含む。例えば、前記ブラックインクが、前記顔料インクである。前記前処理液用カートリッジ１’および前記４つのインクカートリッジ１は、記録用紙搬送方向Ｘに沿って、前記ベルト搬送機構１３上に並べて固定されている。前記前処理液用カートリッジ１’および前記４つのインクカートリッジ１は、それぞれ、その下端に前処理液用ヘッド２’およびインクジェットヘッド２を有する。前記搬送ベルト８によって搬送される記録用紙Ｐが、前記前処理液用ヘッド２’のすぐ下方を順に通過する際に、記録用紙Ｐの表面に向けて、まず、前記前処理液吐出面２ａ’から前記前処理液が吐出される。ついで、前記搬送ベルト８によって搬送される記録用紙Ｐが、４つのインクジェットヘッド２のすぐ下方を順に通過する際に、前記インク吐出面２ａから各色のインク滴が吐出される。これにより、記録用紙Ｐの表面に印刷ができる。

図４に示す装置では、記録用紙Ｐの表面に対する前記前処理液の塗布をインクジェット方式で行うが、本発明は、これに限定されない。本発明のインクジェット記録装置は、前記記録用紙Ｐが、ニップローラ４とベルトローラ７の間に送り込まれる前に、スタンプ塗布、刷毛塗りやローラ塗布等の方式により、前記記録用紙Ｐの表面に前記前処理液が塗布される方式であってもよい。また、図４に示す装置は、ライン型インクジェットヘッドを採用するが、本発明は、これに限定されず、シリアル型インクジェットを採用した装置であってもよい。

図５の構成図に、本発明のインクジェット記録装置の構成の別の例を示す。同図において、図４と同一部分には同一符号を付している。本例のインクジェット記録装置１０２は、記録用紙Ｐの裏面に対し、スタンプ塗布で、本発明の前処理液を塗布する構成の装置である。したがって、本例のインクジェット記録装置１０２では、インクジェット方式による前処理液の塗布手段（図４における前処理液用カートリッジ１’および前処理液用ヘッド２’）が無い。これら以外は、本例のインクジェット記録装置１０２の構成は、前述の図４に示す装置と同じである。

図示のように、本例のインクジェット記録装置１０２では、ベルト搬送機構１３とピックアップローラ１１ｃの間であって、記録用紙Ｐの裏面側（同図において記録用紙Ｐの下方）に、スタンプ４１が配置されている。スタンプ４１は、スタンプ部４１ａと前処理液収容部４１ｂを含む。スタンプ部４１ａは、柔軟性のある高吸液性基材から形成されている。印刷する場合、スタンプ部４１ａは、記録用紙Ｐの裏面と接触し、前処理液収容部４１ｂから供給される前処理液を、記録用紙Ｐ裏面に塗布する。

図５に示す装置では、記録用紙Ｐの裏面に対する前記前処理液の塗布をスタンプ塗布で行うが、本発明は、これに限定されない。本発明のインクジェット記録装置は、前記被記録媒体Ｐが、ニップローラ４とベルトローラ７の間に送り込まれる前に、インクジェット方式、刷毛塗りやローラ塗布等の方式により、前記記録用紙Ｐの裏面に前記前処理液が塗布される方式であってもよい。また、図５に示す装置は、ライン型インクジェットヘッドを採用するが、本発明は、これに限定されず、シリアル型インクジェットを採用した装置であってもよい。

つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実
施例および比較例により限定および制限されない。

（前処理液の調製）
前処理液組成成分（表１および２）を、均一に混合して、実施例１〜８および比較例１〜７の前処理液を得た。

（顔料インクの調製）
顔料インク組成成分（表３）における、「ＣＡＢ−Ｏ−ＪＥＴ（登録商標）３００」を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、「ＣＡＢ−Ｏ−ＪＥＴ（登録商標）３００」に前記インク溶媒を徐々に加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙（株）製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ（孔径３．００μｍ）でろ過することで、二種類のインクジェット記録用顔料インク（インク１およびインク２）を得た。

実施例および比較例における各種特性および物性を、下記方法により測定および評価をした。

（１）印刷品質評価
フィルム（住友スリーエム（株）製の「ＯＨＰフィルム マルチプリントタイプＧＣ６０００」）上に、実施例および比較例の前処理液を、バーコーター（（株）安田精機製作所製のバーコーターのロッドＮｏ．８）を用いて均一に広げた。つぎに、前記フィルム上に、記録用紙を、表面を下にして被せ、前記記録用紙の表面を前記フィルム上の前記前処理液に接触させて、前記表面に前記前処理液を吸収させ、塗布を行った。前記記録用紙に塗布された前記前処理液の量の平均（平均塗布量）は、１．１×１０^−６ｇ／ｍｍ^２であった。前記記録用紙としては、普通紙（Ｈａｍｍｅｒｍｉｌｌ社製の「Ｌａｓｅｒ Ｐｒｉｎｔ」）を使用した。

ついで、二種類の前記顔料インクのいずれか一方を、ブラザー工業（株）製のインクジェットプリンタ搭載デジタル複合機ＤＣＰ−３３０Ｃに搭載可能なインクカートリッジに充填し、前記インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機を用い、実施例および比較例の前処理液で前処理された記録用紙の表面に対して、顔料インクを用いて解像度６００ｄｐｉ×６００ｄｐｉで、被覆率１００％のベタ印字を行うことにより、インクジェット方式で記録を行った。実施例１〜４では、二種類の前記顔料インク（インク１およびインク２）の双方について、それぞれ、評価を行った。実施例５〜８、比較例１〜３、５および６では、インク１を用いて、評価を行った。比較例４および７では、インク２を用いて、評価を行った。また、対照例１として、前記前処理液の塗布を行わない前記記録用紙の表面に対して、インク１を用い、実施例および比較例と同じインクジェット方式で記録を行った。さらに、対照例２として、インク１に代えてインク２を用いたこと以外は、対照例１と同様にして記録を行った。記録用紙における印刷部分の光学濃度（ＯＤ）値を、Ｇｒｅｔａｇ Ｍａｃｂｅｔｈ社製の分光測色計Ｓｐｅｃｔｒｏｌｉｎｏ（光源：Ｄ_５０、視野：２°、フィルター：Ｓｔａｔｕｓ Ｔ）により測定し、下記評価基準に従って評価した。なお、前記ＯＤ値が大きいほど、印刷品質に優れていたことになる。

印刷品質評価 評価基準
Ａ：ＯＤ値が、１．２４以上
Ｂ：ＯＤ値が、１．２０以上１．２４未満
Ｃ：ＯＤ値が、１．２０未満

（２）速乾性評価
ライン型インクジェット搭載型インクジェット記録装置に搭載されるベルト搬送機構を用いて、つぎのように、速乾性評価を行った。まず、前記記録用紙の裏面に前記前処理液を塗布したことを除き、前記（１）の印刷品質評価で用いた方法と同じ方法で、前記記録用紙に、実施例および比較例の前処理液をそれぞれ塗布し、ついで、インクジェット方式で、前記記録用紙の表面に顔料インクを用いて記録を行った。対照例として、前記前処理の塗布を行わない前記記録用紙に対しても、同様にインクジェット方式で記録を行った（対照例１および２）。前記記録用紙への前記顔料インクの吐出の１．６秒後に、前記ベルト搬送機構の上流側に位置するベルトローラとニップローラの間に、前記記録済みの前記記録用紙を、記録面を上に向けて送り込み、ついで、前記ニップローラ（直径１４ｍｍ）を４回転以上回転させて、前記記録用紙を下流側に搬送した。前記記録用紙の印刷部分における前記顔料インクが前記ニップローラへ転写することが原因で生じる、前記記録用紙の記録面における前記顔料インクの転写具合を、目視により、下記評価基準に従って評価した。

速乾性評価 評価基準
Ｇ ：顔料インクの転写が、前記ニップローラの４回転以内で収まった。
ＮＧ：顔料インクの転写が、前記ニップローラの４回転を超えても収まらなかった。

（３）腐食性評価
密閉容器中で、４２合金（ニッケル含有量：約４２％、鉄含有量：約５８％）試験片を、実施例および比較例の前処理液に浸漬させ、前記密閉容器を６０℃に保持した恒温槽で２週間保存した。その後、前記試験片を取り出し、前記試験片に付着した前処理液を取り除いた後、重量を計測した。そして、下記式に基づき、前記試験片の重量変化を求め、下記評価基準に従って、前記前処理液による前記試験片の腐食の程度を評価した。
重量変化（％）＝［（Ｗｂ−Ｗａ）／Ｗｂ］×１００
Ｗｂ：前処理液浸漬前の前記４２合金試験片の重量
Ｗａ：前処理液浸漬後の前記４２合金試験片の重量

腐食性評価 評価基準
Ａ：前記４２合金試験片の重量変化が、３％未満であった。
Ｂ：前記４２合金試験片の重量変化が、３％以上５％未満であった。
Ｃ：前記４２合金試験片の重量変化が、５％以上１０％未満であった。
Ｄ：前記４２合金試験片の重量変化が、１０％以上であった。

（４）総合評価
実施例および比較例の前処理液について、前記（１）〜（３）の結果から、下記評価基準に従って総合評価を行った。

総合評価 評価基準
Ｇ ：すべての評価結果が、Ａ、ＢまたはＧであった。
ＮＧ：評価結果のいずれかに、Ｃ、ＤまたはＮＧがあった。

実施例の前処理液の組成および評価結果を表１に示す。ここで、実施例１〜４の印刷品質評価、速乾性評価および腐食性評価は、顔料インクとしてインク１およびインク２を使用したどちらの場合でも、同等の評価結果となった。比較例の前処理液の組成および評価結果、並びに対照例の評価結果を表２に示す。前記（１）および（２）の評価試験で用いた顔料インクの組成を表３に示す。

表１に示すとおり、実施例１〜６の前処理液を用いた場合、印刷品質評価および速乾性評価が、良好であった。実施例７および８の前処理液を用いた場合でも、印刷品質評価および速乾性評価が、良好であった。実施例１〜８の前処理液は、いずれも、４２合金試験片を腐食させなかった。一方、表２に示すとおり、比較例１および２の前処理液を用いた場合、印刷品質評価および速乾性評価が、低かった。また、比較例３および４の前処理液は、４２合金試験片を腐食させた。比較例５の前処理液、比較例６の前処理液および比較例７の前処理液は、印刷品質評価および速乾性評価が、低かった。対照例１および２では、印刷品質評価および速乾性評価が低かった。

以上のように、本発明のインクジェット記録方法によれば、光学濃度および速乾性を選択的に向上させることが可能であり、かつ前記前処理液による部材の腐食のおそれがない。本発明のインクジェット記録方法は、各種のインクジェット記録に広く適用可能である。

図１（Ａ）および（Ｂ）は、本発明のインクジェット記録方法による記録例を示す図である。 図２（Ａ）〜（Ｃ）は、本発明のインクジェット記録方法の一例を示す工程図である。 図３（Ａ）〜（Ｅ）は、本発明のインクジェット記録方法のその他の例を示す工程図である。 図４は、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す構成図である。 図５は、本発明のインクジェット記録装置の構成のその他の例を示す構成図である。

符号の説明

１’ 前処理液用カートリッジ
１ インクカートリッジ
２’ 前処理液用ヘッド
２ インクジェットヘッド
２ａ’ 前処理液吐出面
４ ニップローラ
６、７ ベルトローラ
８ 搬送ベルト
１１ 給紙部
１１ａ 記録用紙ストッカ
１１ｂ 支持板
１１ｃ ピックアップローラ
１２ 排紙部
１３ ベルト搬送機構
１５ プラテン
１６ 制御装置
１０、２１、Ｐ 記録用紙
２２、３２ 前処理液
２３、２４ ノズル
２５ 顔料インク
３１、４１ スタンプ
４１ａ スタンプ部
４１ｂ 前処理液収容部
５９ 用紙検知センサ
１０１、１０２ インクジェット記録装置

Claims (9)

1. インクジェット記録に先立ち、被記録媒体に前処理液を塗布する前処理工程と、前記被記録媒体に顔料インクをインクジェット方式により吐出して記録する記録工程とを有するインクジェット記録方法であって、
   前記前処理液が、顔料凝集剤および水を含み、
   前記顔料凝集剤が、コハク酸イオンおよび酢酸イオンの少なくとも一方のイオンを含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
2. 前記コハク酸イオンおよび前記酢酸イオンのカウンターイオンが、水素イオンである請求項１記載のインクジェット記録方法。
3. 前記被記録媒体における前記前処理液の塗布箇所が、前記被記録媒体の記録面の少なくとも記録部分、または、前記被記録媒体の記録面と反対側の面の少なくとも前記記録部分に対応する部分である請求項１または２記載のインクジェット記録方法。
4. さらに、前記前処理液が、浸透剤を含み、前記浸透剤が、グリコールエーテルを含む請求項１〜３のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
5. 前記グリコールエーテルが、ジプロピレングリコール−ｎ−プロピルエーテルおよびジエチレングリコール−ｎ−ヘキシルエーテルの少なくとも一方である請求項４記載のインクジェット記録方法。
6. 前記顔料インクが、自己分散型顔料を含む請求項１〜５のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
7. 顔料インクを用いるインクジェット記録において、前記インクジェット記録に先立ち、被記録媒体に塗布するための前処理液であって、
   前記前処理液が、顔料凝集剤および水を含み、
   前記顔料凝集剤が、コハク酸イオンおよび酢酸イオンの少なくとも一方を含むことを特徴とする前処理液。
8. 顔料インクおよび前処理液を含むインクセットであって、
   前記前処理液が、請求項７記載の前処理液であることを特徴とするインクセット。
9. インク収容部およびインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、
   さらに、前処理液を塗布する手段を含み、
   前記前処理液が、請求項７記載の前処理液であることを特徴とするインクジェット記録装置。

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