JP2010082694A - 鍛造ビレット及びホイール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、軽金属合金を鋳造して鋳造ビレット4とし、該鋳造ビレット4を加圧圧縮して得られる鍛造ビレット10であって、金属結晶粒子のJIS H0542の切断法に基づく平均粒径が、30μm以下である鍛造ビレット10である。
【選択図】図1
Description
近年、かかるホイールにおいては、極力、軽量でデザイン性の高いものが望まれている。
また、鋳造したマグネシウム合金を歪加工し、再結晶化したマグネシウム合金からなる車両用ホイールが知られている(例えば、特許文献2参照)。
これらのホイールは、いずれも鋳造されたビレット(以下「鋳造ビレット」という。)から鍛造成形することによって、得られるものである。
H1/H2≧3.5
(式中、H1は、鋳造ビレットの加圧圧縮される方向の長さを示し、H2は、鍛造ビレットの加圧圧縮された方向の長さを示す。)
H1/H2≧4.0
(式中、H1は、鋳造ビレットの加圧圧縮される方向の長さを示し、H2は、鍛造ビレットの加圧圧縮された方向の長さを示す。)
よって、上記鍛造ビレットによれば、機械的強度が優れ、しかも、機械的強度が均一な鍛造製品を製造することができる。
かかる鍛錬比の値を境にして、急激に軽金属合金の微粒子化が促進される。
また、作業性の観点から、ディスク部、外リム部及び内リム部が、一体となっていることが好ましい。
図1は、本発明に係る鍛造ビレットの第1実施形態を示す斜視図である。
図1に示す第1実施形態に係る鍛造ビレット10は、円柱状の本体部1からなる。
ここで、鍛流線とは、金属組織において鍛造製品に生じる、結晶粒径が少なくとも12μmより小さい金属結晶粒子の流れの状態を意味する。なお、かかる鍛流線は、加圧圧縮により金属結晶粒子の結晶粒径が9μmより微細になると金属組織の流れがより明確になる。
上記鍛造ビレット10においては、円柱の中心部から放射状に鍛流線が延びていることが好ましい。
平均粒径が30μmを超えると、平均粒径が上記範囲内にある場合と比較して、機械的強度が不十分となる場合がある。
ここで、本明細書において、「平均粒径」は、JIS H0542の切断法に基づいて測定した値である。具体的には、JIS H0542の切断法による評価方法の規定においては、試験線の縦線、横線及び2本の対角線の線分が少なくとも50個の結晶粒と交差するように倍率を決定するとしているが、本発明においては、顕微鏡1視野を660μm×860μmと設定し、縦線及び横線の線分を494.237μmとし、対角線の線分を741.355μmと設定して、少なくとも50個以上の結晶粒と交差するようにして測定した値である(図57参照)。なお、図57の(a)は、平均粒径測定例として挙げた電子顕微鏡写真であり、(b)は、(a)の試験線と捕捉交点数の関係を示すグラフであり、(c)は、1視野(660μm×860μm)の例を示す図であり、(d)及び(e)は、(a)を用いた平均粒径の測定例である。ここで、1視野の計測方法は、補足交点数による測定である(直線上にある粒界の数を手動で数え、粒界の数により、結晶粒度、平均粒径を算出する。)。
また、測定部位は、鍛造ビレット、ホイールの各部分、いずれも中央付近とする。
上記鍛造ビレット10の耐力は、150MPa以上であることが好ましい。なお、耐力は、JIS Z 2241に準じて測定した値である。
上記鍛造ビレット10の伸度は、8%以上であることが好ましい。なお、伸度は、JIS Z 2241に準じて測定した値である。
上記鍛造ビレット10のブリネル硬度は、65HB以上であることが好ましい。なお、ブリネル硬度は、JIS Z 2243に準じて測定した値である。
これらの場合、軽量なホイールが得られる。また、かかる軽金属合金の性能を向上させるため、添加金属を添加することも可能である。
したがって、上記軽金属合金が、カルシウムを4〜8質量%含むことが好ましいということになる。
カルシウムの含有割合が4%未満であると、含有割合が上記範囲にある場合と比較して、再結晶化が進み難く、微細な結晶が得られない傾向にあり、カルシウムの含有割合が8%を超えると、含有割合が上記範囲にある場合と比較して、均質なカルシウムの添加合金が得られない傾向にある。
これらの中でも汎用性の観点から、Al−Mg−Si系が好ましい。
これらの中でも、鋳造法は、連続鋳造法を用いることが好ましい。この場合、金属結晶粒子の結晶粒径がより均一な鍛造ビレット10が得られるようになる。
流し込む速さが65mm/min未満であると、速さが上記範囲内にある場合と比較して、金属結晶粒子の結晶粒径が不均一となる傾向にあり、流し込む速さが90mm/minを超えると、速さが上記範囲内にある場合と比較して、鋳造ビレット製造時に破損する虞がある。
そして、その後、冷却されることにより、円柱状の鋳造ビレットが得られる。
ここで、上記冷却は、急冷することが好ましい。この場合、結晶粒が細かくなるメリットがある。なお、得られた円柱状の鋳造ビレットは必要に応じて、軸方向に対して垂直方向に切断してもよい。
図2に示すように、鍛造ビレット10は、鋳造ビレット4を軸方向に加圧圧縮することにより得られる。
これらの中でも、加圧圧縮は、密閉鍛造によるものであることが好ましい。
図3に示すように、密閉鍛造においては、鋳造ビレット4が軸方向に加圧圧縮される際、金属組織が横方向に広がるのを抑制できる。すなわち、横方向の拘束力Pも加わることにより、鍛造ビレット10が中腹部で膨らんだ太鼓形状になるのを抑制し、金属結晶粒子の結晶粒径も微細化できる。
これらの中でも、加工条件は、熱間鍛造であることが好ましい。
具体的には、上記加圧圧縮は、300〜550℃の温度、9.8×103kN〜88.2×103kNの圧力条件下で行うことが好ましい。なお、9.8×103kN〜88.2×103kNの圧力は、鍛造機(プレス機)の推力規模に換算すると、1000〜9000トンとなる。
ここで、上記冷却は、急冷することが好ましい。
H1/H2≧3.5
式中、H1は、鋳造ビレットの加圧圧縮される方向の長さ、すなわち、鋳造ビレットの軸方向の高さを意味し、H2は、鍛造ビレットの加圧圧縮された方向の長さ、すなわち、鍛造ビレットの軸方向の高さを意味する(図2参照)。
また、上記H1/H2(鍛錬比)は、4.0以上であることがより好ましい。H1/H2(鍛錬比)が4.0から金属結晶粒子の粒径の微細化の傾向が小さくなる。
H1/H2≧4.0
式中、H1は、鋳造ビレットの加圧圧縮される方向の長さ、すなわち、鋳造ビレットの軸方向の高さを意味し、H2は、鍛造ビレットの加圧圧縮された方向の長さ、すなわち、鍛造ビレットの軸方向の高さを意味する(図2参照)。
また、上記H1/H2(鍛錬比)は、4.5以上であることがより好ましく、5.5以上であることが特に好ましい。H1/H2(鍛錬比)が5.5から金属結晶粒子の粒径の微細化の傾向が小さくなる。
図4中、L方向とは、スラブの長手方向、ST方向とは、スラブの厚さ方向である。なお、第1実施形態に係る鍛造ビレット2を当てはめると、L方向が、鍛造ビレット2の長さ(軸)方向に相当し、ST方向が、鍛造ビレット2の直径方向に相当する。
図4に示すように、鍛錬比を大きくするほど鍛錬効果は向上し、均質で機械的性質や健全性に優れた製品が得られる。
図5の(a)は、本実施形態に係るホイールを示す正面図であり、(b)は、(a)のI−I’断面図である。
本実施形態に係るホイール3(マルチピース)は、ディスク部6と、ディスク部の周縁に設けられる外リム部7及び内リム部8と、を備える。すなわち、上記ホイール3は、ディスク部6と、該ディスク部6の周縁に連結しディスク部6の面方向に延設された外リム部7と、ディスク部6の周縁に連結しディスク部6の面とは垂直方向に立設された内リム部8と、を備える。
また、ディスク部6は、円盤状のハブ部6aと、該ハブ部6aから放射Y字状に延びるスポーク部11と、を備える。すなわち、上記ホイール3においては、スポーク部11の先端に外リム部7と内リム部8とが連結されていることとなる。なお、ハブ部6aは、緩やかに湾曲した曲面となっていることが好ましい。この場合、押圧時の原材料の流れが一様となるので、鍛錬比がより均等化される。
また、隣合うスポーク部11同士の間は、空部9が設けられている。
ここで、全鍛錬比とは、上述した鋳造ビレット4に対する鍛造ビレット10の鍛錬比に、鍛造ビレット10に対するホイール3の鍛錬比を乗じたものである。すなわち、全鍛錬比は、「鋳造ビレット4の高さH1」÷「ホイール3の高さH3」で表される値である。なお、ホイール3の高さH3は、図5の(b)に示す。なお、ホイールの高さH3は、鍛造成形された方向のホイールの各部の高さの平均で算出される。
また、ディスク部6、外リム部7及び内リム部8は、一体となっている(ワンピース)ので、ホイール3は、機械的強度がより優れ、且つ機械的強度がより均一なものとなる。
ホイール3は、上述した鍛造ビレット10を公知の方法に基づいて、金型で鍛造成形して得られる。
図6に示すように、鍛造ビレットからホイールへの製造過程においては、鍛造成形工程と、熱処理工程と、仕上工程とを備える。
これらの中でも、第1鍛造成形21、第2鍛造成形22及び第3鍛造成形23は、いずれも密閉鍛造であることが好ましい。この場合、機械的強度がより均一なホイール3を製造することが可能となる。
これらの鍛造成形は、300℃以上の温度、好ましくは300〜550℃の温度、9.8×103kN〜88.2×103kNの圧力で施すことが好ましい。
熱処理は、軽金属合金がアルミニウム合金である場合、JIS H0001に基づくT6条件で行われる。具体的には、500〜580℃で3〜5時間溶体化処理がされ、3〜7分間焼入れがされ、150〜200℃で7〜9時間人工時効処理がなされる。
また、軽金属合金がマグネシウム合金である場合、JIS H0001に基づくT5条件で行われる。具体的には、300〜380℃で1〜3時間人工時効処理がなされる。
ここで、スピニング加工は、プレホイール3aの予備部材5を絞り込むことによって、リム部の成形する加工であり、穴開け加工は、マシニングセンターで、プレホイール3aに穴を開け、スポーク部11や模様を形成する加工であり、切削加工は、旋盤で、プレホイール3aの周囲を削り、リム部を形成する加工であり、ミーリング加工は、ホイールの略全体を削り出して成型を行う加工である。
本実施形態に係るホイールの製造方法によれば、凹凸や空部等を形成することにより、デザイン性に優れる軽量化されたホイール3となる。なお、必要に応じて、化学的表面処理、鍍金、ショット、塗装等を施してもよい。
図7は、本発明に係る鍛造ビレットの第2実施形態を示す斜視図である。
図7に示す第2実施形態に係る鍛造ビレット10aは、多角柱、すなわち、ここでは六角柱状の本体部1からなる点で第1実施形態に係る鍛造ビレット10と相違する。なお、ホイール及びホイールの製造方法等は上述したことと同様である。
図8の(a)に示すように、上記鍛造ビレット10aは、軽金属合金を鋳造して円柱状の鋳造ビレット4とし、この鋳造ビレット4を六角柱の型を用いた密閉鍛造により、軸方向P1に加圧圧縮して図8の(b)に示すプレ鍛造ビレット12とする。
次いで、図8の(c)に示すように、得られたプレ鍛造ビレット12を、側面を下にして立てる。そして、再びプレ鍛造ビレット12を六角柱の型を用いた密閉鍛造により、軸とは異なる方向P2、すなわち垂直方向から加圧圧縮して図8の(d)に示す鍛造ビレット10aとする。なお、このときプレ鍛造ビレット12は、多角柱状であるので、プレ鍛造ビレット12の側面を下にして位置決めし易い。すなわち、加圧圧縮した方向とは異なる方向に加圧圧縮しやすい。
これに対し、上述したように、プレ鍛造ビレットを加圧圧縮した方向とは異なる方向に更に加圧圧縮することにより、NG領域の一部が更に微細化されるので、全体としてNG領域を減らすことができる。
まず、図9の(a)に示すように、鋳造ビレット4を加圧圧縮すると、中腹部分が微細領域Aとなり、上下両端がNG領域Bとなる。
そして、これの側面を下にして立てて、再び上方から加圧圧縮すると、図9の(b)に示すように、中腹部分が微細領域Aとなり、図9の(a)の微細領域Aは残る。すなわち、四方向の角の部分がNG領域Bとなる。
更に、これの側面を下にして立てて、再び上方から加圧圧縮すると、図9の(c)に示すように、中腹部分が微細領域Aとなり、図9の(a)及び図9の(b)の微細領域Aは残る。すなわち、八方向の角の部分がNG領域Bとなる。
更に、これの側面を下にして立てて、再び上方から加圧圧縮すると、図9の(d)に示すようになり、また更に、これの側面を下にして立てて、再び上方から加圧圧縮すると、図9の(e)に示すようになる。
すなわち、異なる方向からの加圧圧縮を繰り返すことにより、NG領域Bを段階的に少なくすることができる。
このように、鋳造ビレットを一方向に加圧圧縮した後、異なる方向に加圧圧縮すると、微細領域Aの占める割合が増加し、これを繰り返すことにより段階的に微細領域Aの占める割合が増えていく。この現象を利用して鍛造ビレットの有効利用領域を増やし、材料の歩留まりを大きく向上させることができる。実際では、少なくとも5回の加圧圧縮で95%が微細領域Aとなり、5%がNG領域となる。
これらの中でも、加工条件は、熱間鍛造であることが好ましい。
具体的には、上記加圧圧縮は、300〜550℃の温度、9.8×103kN〜88.2×103kNの圧力条件下で行うことが好ましい。
このうち、いずれかのH1/H2(鍛錬比)が、上述した第1実施形態に係る鍛造ビレット10と同じ範囲であることが好ましい。なお、加圧圧縮により金属結晶粒子が微粒子化された場合、後の加圧圧縮の鍛錬比が小さい場合であっても、金属結晶粒子が大きくなることはない。
本実施形態に係る鍛造ビレット10bは、円柱状の鋳造ビレット4から鍛造ビレット10bを製造する方法が上述した第1実施形態に係る鍛造ビレット10と相違する。
図10に示すように、鍛造ビレット10bの製造方法においては、鋳造ビレット4を加圧圧縮により、正レンズ型ビレット4aとし、続いて、これを加圧圧縮により、負レンズ型ビレット4bとした後、円柱状の鍛造ビレット10bとする。
図11の(a)は、本発明に係る鍛造ビレットの第4実施形態を示す断面図である。
図11の(a)に示すように、第4実施形態に係る鍛造ビレット10cは、円柱状の本体部1と、該本体部1の一方の面に連続する逆円錐台状の凹凸部2aとを備える。すなわち、第4実施形態に係る鍛造ビレット10cは、凹凸部2aを備える点で第1実施形態に係る鍛造ビレット10と相違する。
図12の(a)は、第4実施形態に係る鍛造ビレットが鍛造成形される状態を模式的に示す断面図である。
図12の(a)に示すように、鍛造ビレット10cは、下金型51により、鍛造成形される場合、凹凸部2aは、下金型51に当接した後、鍛造ビレット10cの面方向に放射状に延転することになる。このため、延転された部分(例えば、ハブ部)は、金属組織の金属結晶粒子が微細化されることになり、得られるホイールの機械的強度が向上すると共に、金属結晶粒子の結晶粒径が均一化される。
図11の(b)は、本発明に係る鍛造ビレットの第5実施形態を示す断面図である。
図11の(b)に示すように、第5実施形態に係る鍛造ビレット10dは、円柱状の本体部1と、該本体部1の一方の面に連続する内壁がテーパー状になったリング状の凹凸部2bとを備える。すなわち、第5実施形態に係る鍛造ビレット10dは、凹凸部2bを備える点で第1実施形態に係る鍛造ビレット10と相違する。
図12の(b)は、第5実施形態に係る鍛造ビレットが鍛造成形される状態を模式的に示す断面図である。
図12の(b)に示すように、鍛造ビレット10dは、下金型51により、鍛造成形される場合、凹凸部2bは、下金型51に当接した後、鍛造ビレット10dの面方向の内側に向かって延転することになる。このため、延転された部分(例えば、ハブ部)は、金属組織の金属結晶粒子が微細化されることになり、得られるホイールの機械的強度が向上すると共に、金属結晶粒子の結晶粒径が均一化される。
図11の(c)は、本発明に係る鍛造ビレットの第6実施形態を示す断面図である。
図11の(c)に示すように、第6実施形態に係る鍛造ビレット10eは、円柱状の本体部1と、該本体部1の一方の面に連続する内壁がテーパー状になり、外側が段差になったリング状の凹凸部2cとを備える。すなわち、第6実施形態に係る鍛造ビレット10eは、凹凸部2cを備える点で第1実施形態に係る鍛造ビレット10と相違する。
図12の(c)は、第6実施形態に係る鍛造ビレットが鍛造成形される状態を模式的に示す断面図である。
図12の(c)に示すように、鍛造ビレット10eは、下金型51により、鍛造成形される場合、凹凸部2cは、下金型51に当接した後、鍛造ビレット10eの面方向の内側に向かって延転することになる。このため、延転された部分(例えば、ハブ部)は、金属組織の金属結晶粒子が微細化されることになり、得られるホイールの機械的強度が向上すると共に、金属結晶粒子の結晶粒径が均一化される。
予備部材を別途製造する場合、鍛造圧を軽減することができる。また、この場合は、ディスク部のみかディスク部と外リム部を鍛造成形するから鍛造後の平均高さが小さくなる。このため、鍛錬比を大きくできるという利点もある。
(a)鍛造ビレットを用いてディスク部を単体で作り、更に外リム部と内リム部を一体に形成したリム部を単体で作成してこれらのそれぞれに円環状の取着座を設けておき複数のボルトとナットで結合する。
(b)鍛造ビレットを用いてディスク部を単体で作り、外リム部と内リム部を別々に作り上記と同じ要領で一体化する。
(c)鍛造ビレットを用いてディスク部を作るとき外リム部を一体に成形し、別途作成された内リム部を複数のボルトとナットで結合する。
(d)鍛造ビレットを用いてディスク部を作るとき内リム部を一体に成形し、別途作成された外リム部を複数のボルトとナットで結合する。
(e)鍛造ビレットを用いてディスク部を作るとき外リム部と内リム部を予備部材として一体に成形する。
軽金属合金として重さ19.8kgのアルミニウム合金を準備した。これを溶融して溶融原料とした。
そして、ファンで冷却することにより、高さ72.5mmの円柱状の鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は2.0である。
鋳造ビレットを、加圧圧縮し、高さ58.0mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例1と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は2.5である。
鋳造ビレットを、加圧圧縮し、高さ48.3mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例1と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は3.0である。
鋳造ビレットを、加圧圧縮し、高さ41.4mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例1と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は3.5である。
鋳造ビレットを、加圧圧縮し、高さ36.2mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例1と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は4.0である。
鋳造ビレットを、加圧圧縮し、高さ32.2mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例1と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は4.5である。
鋳造ビレットを、加圧圧縮し、高さ29.0mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例1と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は5.0である。
規格番号A6082の鋳造ビレットの代わりに、規格番号A6151の鋳造ビレットを用いたこと以外は、実施例1〜7と同様にして、鍛造ビレットを得た。
軽金属合金として重さ13.2kgの純マグネシウム合金を準備した。これを溶融して溶融原料とした。
そして、ファンで冷却することにより、高さ72.3mmの円柱状の鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は2.0である。
鋳造ビレットを、高さ58.0mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例8と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は2.5である。
鋳造ビレットを、高さ48.3mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例8と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は3.0である。
鋳造ビレットを、高さ41.4mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例8と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は3.5である。
鋳造ビレットを、高さ36.2mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例5と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は4.0である。
鋳造ビレットを、高さ32.2mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例5と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は4.5である。
鋳造ビレットを、高さ28.9mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例5と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は5.0である。
鋳造ビレットを、高さ26.3mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例5と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は5.5である。
鋳造ビレットを、高さ24.1mmの鍛造ビレットとしたこと以外は実施例5と同様にして、鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は6.0である。
軽金属合金として重さ19.8kgの純アルミニウムを準備した。これを溶融して溶融原料とした。
次いで、かかるプレ鍛造ビレットを側面が下になるように90度起こして垂直に立て、密閉鍛造により加圧圧縮を施した。
そして、ファンで冷却することにより、高さ117mmの六角柱の鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの金属結晶粒子の平均粒径は13.5μmであり、鍛錬比は4.1である。
アルミニウム合金からなる鋳造ビレット(規格番号:A6082)を比較例1とし、マグネシウム合金からなる鋳造ビレット(規格番号:AZ80)を比較例2とした。
実施例1〜14,16〜24及び比較例1,2で得られた鍛造ビレット及び鋳造ビレットをJIS H0542の切断法に準じて観察し、金属結晶粒子の数及び金属結晶粒子の平均粒径を測定した。なお、金属結晶粒子の数は、1.75mm×1.3mm(2.275mm2)辺りの数を測定した。得られた結果を表1に示す。
また、実施例1〜7の鍛錬比と金属結晶粒子の数との関係を示すグラフを図13に、実施例8〜14の鍛錬比と金属結晶粒子の数との関係を示すグラフを図14に、及び実施例15〜22の鍛錬比と金属結晶粒子の数との関係を示すグラフを図15にそれぞれ示す。
さらに、実施例1〜22の鍛造ビレットの略中心部分を拡大した顕微鏡写真を図16〜図37に、比較例1及び2の鋳造ビレットの略中心部分を拡大した顕微鏡写真を図38及び図39にそれぞれ示す。なお、表中「−」は、未測定を意味する。
また、軽金属がアルミニウム合金の場合、鍛錬比が3.5から結晶粒径が急激に細かくなり始め、4.5で安定化することがわかった。一方、軽金属がマグネシウム合金の場合、鍛錬比が4.0から結晶粒径が急激に細かくなり始め、5.5で安定化することがわかった。
さらに、実施例23における鍛造ビレットは、実施例5の鍛造ビレットの結晶粒子数、平均粒径、共に同等であったが、微粒子化された領域が大きくなっていた。
実施例1〜23で得られた鍛造ビレットに対して、JIS Z 2241に準じて引張り強度を測定した。得られた結果を表2に示す。
実施例1〜23で得られた鍛造ビレットに対して、JIS Z 2241に準じて0.2%耐力を測定した。得られた結果を表2に示す。
実施例1〜23で得られた鍛造ビレットに対して、JIS Z 2241に準じて伸度を測定した。得られた結果を表2に示す。
実施例1〜23で得られた鍛造ビレットに対して、JIS Z 2243に準じてブリネル硬度を測定した。得られた結果を表2に示す。
実施例1の方法に準じて、表3に示すように、鍛錬比の異なる鍛造ビレットを作成した。
実施例25〜30で得られた鍛造ビレットの略中央部分を拡大した顕微鏡写真を図33〜図38に、それぞれ示す。
実施例5で得られた鍛造ビレットに対して、図6に示すように、第1鍛造成形、第2鍛造成形、第3鍛造成形を施した(いずれも密閉鍛造)。なお、第1鍛造成形の加工条件は、350〜400℃の温度、68600kNの圧力の熱間鍛造とし、第2及び第3鍛造成形の加工条件は、350〜400℃の温度、80360kNの圧力の熱間鍛造とした。
そして、ファンで冷却することにより、スポーク部を凸状に形成しプレホイールを得た。
実施例19で得られた鍛造ビレットに対して、図6に示すように、第1鍛造成形、第2鍛造成形、第3鍛造成形を施した(いずれも密閉鍛造)。なお、第1鍛造成形の加工条件は、340〜390℃の温度、29400kNの圧力の熱間鍛造とし、第2鍛造成形の加工条件は、44100kN、第3鍛造成形の加工条件は、39200kNの圧力の熱間鍛造とした。
そして、ファンで冷却することにより、スポーク部を凸状に形成しプレホイールを得た。
実施例5で得られた鍛造ビレットの代わりに、比較例1の鋳造ビレットを用いたこと以外は、実施例31と同様にして、ホイールを得た。
実施例19で得られた鍛造ビレットの代わりに、比較例2の鋳造ビレットを用いたこと以外は、実施例32と同様にして、ホイールを得た。
実施例31,32及び比較例3及び4で得られたホイールの各部分の結晶粒径(μm)を測定した。得られた結果を表4に示す。また、表5に示すように、各部分の略中央を拡大した顕微鏡写真を図39〜図54に、それぞれ示す。
軽金属合金として重さ13.2kgの純マグネシウム合金を準備した。これを溶融して溶融原料とした。
そして、ファンで冷却することにより、高さ32.2mmの円柱状の鍛造ビレットを得た。なお、鍛造ビレットの鍛錬比は4.5である。
得られた鍛造ビレットを用いたこと以外は、実施例32と同様にして、ホイールを得た。
純マグネシウム合金の代わりに、軽金属合金としてカルシウム2質量%を含むマグネシウム合金を用いたこと以外は、実施例33と同様にして、ホイールを得た。
純マグネシウム合金の代わりに、軽金属合金としてカルシウム4質量%を含むマグネシウム合金を用いたこと以外は、実施例33と同様にして、ホイールを得た。
純マグネシウム合金の代わりに、軽金属合金としてカルシウム8質量%を含むマグネシウム合金を用いたこと以外は、実施例33と同様にして、ホイールを得た。
純マグネシウム合金の代わりに、軽金属合金としてカルシウム15質量%を含むマグネシウム合金を用いたこと以外は、実施例33と同様にして、ホイールを得た。
純マグネシウム合金の代わりに、軽金属合金としてイットリウムを含むマグネシウム合金(商品名:WE43)を用いたこと以外は、実施例33と同様にして、ホイールを得た。
実施例33〜38で得られたホイールのスポーク部に対して、20℃、100℃、200℃、300℃に加温した場合におけるJIS Z 2241に準じた引張り強度を測定した。得られた結果を表6及び図55に示す。
実施例33〜38で得られたホイールのスポーク部に対して、20℃、100℃、200℃、300℃に加温した場合におけるJIS Z 2241に準じた0.2%耐力を測定した。得られた結果を表7及び図56に示す。なお、表7中「−」は、伸びが少なく測定できなかったものである。
実施例33〜38で得られたホイールのスポーク部に対して、20℃、100℃、200℃、300℃に加温した場合におけるJIS Z 2241に準じた伸度を測定した。得られた結果を表8に示す。なお、表8中「−」は、伸びが少なく測定できなかったものである。
実施例33〜38で得られたホイールのスポーク部に対して、JIS Z 2243に準じてブリネル硬度、及び、シャルピー衝撃値(J/cm2)を測定した。得られた結果を表9に示す。
得られるホイールは、車両用、航空機用車輪等の用途に好適に用いられる。特に、車両用に用いると、自動車を軽量化できるので、ガソリン等による環境負荷を低減でき、低コスト化も可能となる。
2a,2b,2c・・・凹凸部
3・・・ホイール
3a・・・プレホイール
4・・・鋳造ビレット
4a・・・正レンズ型ビレット
4b・・・負レンズ型ビレット
5・・・予備部材
6・・・ディスク部
6a・・・ハブ部
6b・・・ボルト挿通穴
7・・・外リム部
8・・・内リム部
9・・・空部
10,10a,10b,10c,10d,10e・・・鍛造ビレット
11・・・スポーク部
12・・・プレ鍛造ビレット
21・・・第1鍛造成形
22・・・第2鍛造成形
23・・・第3鍛造成形
51・・・下金型
A・・・微細領域
B・・・NG領域
H1,H2・・・高さ
P1,P2・・・方向
Claims (18)
- 軽金属合金を鋳造して鋳造ビレットとし、該鋳造ビレットを加圧圧縮して得られる鍛造ビレットであって、
金属結晶粒子のJIS H0542の切断法に基づく平均粒径が、30μm以下である鍛造ビレット。 - 前記軽金属合金がアルミニウム合金であり、
下記式を満たす請求項1記載の鍛造ビレット。
H1/H2≧3.5
(式中、H1は、鋳造ビレットの加圧圧縮される方向の長さを示し、H2は、鍛造ビレットの加圧圧縮された方向の長さを示す。) - 前記軽金属合金がマグネシウム合金であり、
下記式を満たす請求項1記載の鍛造ビレット。
H1/H2≧4.0
(式中、H1は、鋳造ビレットの加圧圧縮される方向の長さを示し、H2は、鍛造ビレットの加圧圧縮された方向の長さを示す。) - 鍛流線を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレット。
- 前記加圧圧縮が、密閉鍛造によるものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレット。
- 多角柱状である請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレット。
- 前記鋳造ビレットを一方向に加圧圧縮してプレ鍛造ビレットとし、該プレ鍛造ビレットを加圧圧縮した方向とは異なる方向に更に加圧圧縮して得られる請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレット。
- 前記加圧圧縮が300〜550℃の温度、9.8×103kN〜88.2×103kNの圧力条件下で施される請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレット。
- 前記軽金属合金が、カルシウムを4〜8質量%含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレット。
- 車両のホイール製造用である請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレット。
- 飛翔体部品用、運送用機器部品用、産業用機器部品用、建築資材用の機器、光学用機器部品用又はこれら用途の部材製造用である請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレット。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレットを鍛造成形して得られるプレホイール。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレットを鍛造成形して得られるホイール。
- ディスク部と、該ディスク部の周縁に設けられる外リム部及び内リム部と、を備えるホイールにおいて、
前記ディスク部、前記外リム部及び前記内リム部から選ばれる少なくとも1つの部分が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレットから製造されたものであるホイール。 - 前記ディスク部、前記外リム部及び前記内リム部から選ばれる少なくとも1つの部分の金属結晶粒子のJIS H0542の切断法に基づく平均粒径が30μm以下である請求項14記載のホイール。
- 前記ディスク部、前記外リム部及び前記内リム部が、一体となっている請求項14記載のホイール。
- 前記ディスク部が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレットから製造されたものであり、
該ディスク部に、前記外リム部及び前記内リム部からなるリム部が取り付けられた請求項14記載のホイール。 - 前記ディスク部が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造ビレットから製造されたものであり、
該ディスク部に、前記外リム部及び前記内リム部が取り付けられた請求項14記載のホイール。
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