JP2010082636A - 柱状部材の溶接方法、放熱部材の製造方法および放熱部材 - Google Patents
柱状部材の溶接方法、放熱部材の製造方法および放熱部材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】溶接残渣と溶接焼けの発生を抑制してピンをスタッド溶接により基板の上に接合することが可能な柱状部材の溶接方法および放熱部材の製造方法と、その方法によって溶接残渣と溶接焼けの発生が抑制された放熱部材を提供する。
【解決手段】板11の主表面の上に薄板14を配置し、薄板14の主表面の上にピン12の底面を配置し、ピン12の底面を薄板14の主表面から離隔させた状態から、ピン12に通電し、ピン12の底面を薄板14の主表面に近づけることにより、放電させて、スタッド溶接することによってピン12の底面を板11の主表面の上に接合する。放熱部材1は、主表面を有する板11と、板11の主表面の上にスタッド溶接によって底面が接合されたピン12とを備え、板11に接合されるべきピン12の領域に対して実際に接合されている領域の割合は、板11の主表面への投影平面に換算して90%以上である。
【選択図】図5
【解決手段】板11の主表面の上に薄板14を配置し、薄板14の主表面の上にピン12の底面を配置し、ピン12の底面を薄板14の主表面から離隔させた状態から、ピン12に通電し、ピン12の底面を薄板14の主表面に近づけることにより、放電させて、スタッド溶接することによってピン12の底面を板11の主表面の上に接合する。放熱部材1は、主表面を有する板11と、板11の主表面の上にスタッド溶接によって底面が接合されたピン12とを備え、板11に接合されるべきピン12の領域に対して実際に接合されている領域の割合は、板11の主表面への投影平面に換算して90%以上である。
【選択図】図5
Description
この発明は、一般的には柱状部材の溶接方法、放熱部材の製造方法および放熱部材に関し、特定的にはパワーデバイス等の半導体装置から発生する熱を放散するために用いられる柱状部材の溶接方法、放熱部材の製造方法および放熱部材に関するものである。
従来から、熱膨張係数が半導体装置の構成材料と近似するとともに優れた放熱性を備えた放熱基板材料として、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)の芯材と銅(Cu)またはアルミニウム(Al)の表面材とのクラッド合金、または、アルミニウム−シリコン(Si)複合合金が用いられている。
また、たとえば、国際公開第WO2006/077755号パンフレット(特許文献1)では、放熱部材としての半導体装置用部材の構成が提案されている。この半導体装置用部材は、アルミニウム−炭化ケイ素複合材料からなる基材と、基材の両側表面の上に接合されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる表面層とから構成される。
ところで、電車や電気自動車等の輸送用機器では、パワーデバイスをさらに小型化して省スペース化を図ること、パワーデバイスの出力を増大することが求められている。このような要求に応えるためには、放熱部材の単位面積あたりの放熱性をより高める必要がある。
放熱部材において材質に起因する熱伝導率等の物性値が限定される場合、放熱性を高めるためには放熱面積を拡大することが有効である。そこで、放熱面積を拡大するために、一般にフィンやピンといった形状の部材を放熱面に取り付けることが提案されている。
たとえば、特開平6−291227号公報(特許文献2)では、放熱フィン取付用の金属スタッドをスタッド溶接により上記の放熱基板材料に接合することが提案されている。
また、たとえば、特開平10−321774号公報(特許文献3)では、放熱部材としてのヒートシンクの製造方法が提案されている。このヒートシンクの製造方法では、アルミニウム展伸材からなる基板の上にピン形フィンをスタッド溶接により接合する方法が採用されている。
国際公開第WO2006/077755号パンフレット
特開平6−291227号公報
特開平10−321774号公報
しかしながら、ピンをスタッド溶接により基板の上に接合すると、接合時に溶け込んだ基板材料とピン材料との一部が溶接残渣としてピンの周囲で基板の表面上に溶接後に存在する。このため、ピンの接合後に基板の表面を清浄化するために、後工程で溶接残渣をウォータジェット等によって除去する必要があった。特に従来のスタッド溶接方法では過大な溶接残渣が生じるので、その溶接残渣をウォータジェットによって完全に除去することができずにウォータジェット処理後においても溶接残渣が残存するという問題があった。
また、ピンをスタッド溶接により基板の上に接合すると、接合時に基板表面が通電による発熱で加熱されることによって溶接焼けがピンの周囲で基板の表面に生じる。このため、ピンの接合後に基板の表面を清浄化するために、後工程で溶接焼けを除去する必要があった。しかし、溶接焼けはウォータジェットによって除去することができない。そこで、溶接焼けを除去するためにショットブラスト処理を基板の表面に施すと、ピンや基板の表面が損傷されてしまうという問題があった。
さらに、放熱部材においてピンが接合された基板の表面と反対側の表面には、パワーデバイス等の半導体装置が搭載される。半導体装置をはんだによって接合するために基板の表面にはニッケルめっきが施される。マスキング処理等を施して半導体装置の搭載部のみにニッケルめっきを施すことは製造コストを高くするので、ニッケルめっきは、ピンが接合された基板の表面とピンの表面にも同時に施される。この場合、上記の溶接残渣や溶接焼けが基板の表面に生じていると、放熱部材が冷熱サイクルの雰囲気に繰り返し置かれることにより、めっき層と基板との界面にブリスターが発生する。このブリスターの発生に起因して、ニッケルめっき層が剥離しやすくなる。ところで、放熱部材の使用時においては、ピンが接合された基板の表面は冷却水に接触する状態に置かれる。ニッケルめっき層がピンや基板の表面から剥離すると、剥離しためっき層部分は冷却水中で異物として作用し、ラジエータやポンプにおける冷却水通路を詰まらせるという問題を引き起こす。また、ピンや基板の材料がアルミニウムや銅の場合には、ニッケルめっき層が剥離した箇所にて上記の冷却水によってアルミニウムや銅が腐食するために、アルミニウム粒子や銅粒子が冷却水中で異物として作用し、ラジエータやポンプにおける冷却水通路を詰まらせるという問題を引き起こす。その結果、放熱部材の信頼性が低下する。
そこで、この発明の目的は、溶接残渣と溶接焼けの発生を抑制してピンをスタッド溶接により基板の上に接合することが可能な柱状部材の溶接方法および放熱部材の製造方法と、その方法によって溶接残渣と溶接焼けの発生が抑制された放熱部材を提供することである。
本発明者らは、溶接残渣と溶接焼けの発生を抑制してピンをスタッド溶接により基板の上に接合するためには、ピンが接合されるべき基板の一部表面、すなわち、ピンの直下に位置付けられる基板の一部表面のみを集中的に加熱して溶融する必要があることに着目して、種々検討を重ねた。その結果、本発明者らは、ピンと基板との間に基板よりも薄い板材を介在させた状態で、スタッド溶接を行うと、スタッド溶接時に生じるピンと基板の溶け込み量を小さくすることができることを見出した。このような知見に基づいて本発明はなされたものであり、以下の特徴的な構成を備えている。
この発明に従った柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法は、次のステップを備える。
(a)第1の厚みを有する第1の板状部材の主表面の上に、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の板状部材を配置するステップ。
(b)第2の板状部材の主表面の上に柱状部材の底面を配置するステップ。
(c)柱状部材の底面を第2の板状部材の主表面から離隔させた状態から、柱状部材に通電し、柱状部材の底面を第2の板状部材の主表面に近づけることにより、放電させて、スタッド溶接することによって柱状部材の底面を第1の板状部材の主表面の上に接合するステップ。
この発明の柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法においては、柱状部材の底面をスタッド溶接により第1の板状部材の主表面の上に接合する際には、基板としての第1の板状部材の表面は薄い第2の板状部材で被覆されている。そして、スタッド溶接時に、柱状部材の底部と、柱状部材の底面の下に位置付けられた相対的に厚い第1の板状部材と相対的に薄い第2の板状部材の両者の一部とが溶け込むことにより、柱状部材の底面が第1の板状部材の主表面に接合される。この場合、薄い第2の板状部材は厚い第1の板状部材よりも熱容量が小さいので、スタッド溶接において柱状部材の通電時に生じる放電によって、柱状部材の直下に位置する第2の板状部材の領域が優先して集中的に加熱されて溶融される。これにより、柱状部材の底部が溶融する際、柱状部材の直下に位置付けられた第2の板状部材と第1の板状部材の両者の一部を集中的に溶融させることができる。その結果、スタッド溶接による柱状部材と第1の板状部材の溶け込み量を小さくすることが可能になる。したがって、接合時に溶け込んだ第1の板状部材と柱状部材との一部が溶接残渣や溶接焼けとして柱状部材の周囲で第1の板状部材の上に生じるのを抑制することができる。
なお、スタッド溶接による柱状部材と第1の板状部材の溶け込み量を小さくすることができるので、溶接時に第1の板状部材が溶融した部分の表面形状が平坦化される。このことは、溶接時に生じた余剰の溶融物やガスを溶接箇所から外側に排出することが容易になる作用をもたらす。これにより、柱状部材と第1の板状部材との間の接合の信頼性を高めることができる。
また、スタッド溶接時には、柱状部材が接合される第1の板状部材の表面の周囲は第2の板状部材で覆われている。これにより、溶接残渣が生じたとしても、その溶接残渣の大部分は第2の板状部材の表面上に付着し、後工程で第2の板状部材を除去することによって第1の板状部材の表面上に残存する溶接残渣の量を少なくすることができる。
さらに、溶接焼けが生じたとしても、その溶接焼けの大部分は第2の板状部材の表面上に存在し、後工程で第2の板状部材を除去することによって第1の板状部材の表面上に残存する溶接焼けの量を少なくすることができる。
この発明の柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法において、第2の厚みが、0.005mm以上0.1mm以下であることが好ましい。
厚みが0.005mm以上0.1mm以下である第2の板状部材を用いる場合、上記の溶け込み量を小さくすることができ、溶接残渣と溶接焼けの発生を効果的に抑制することができる。
また、この発明の柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法において、第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々は、アルミニウム、銅およびマグネシウムからなる群より選ばれた1種の金属を含むことが好ましい。
上述したように、本発明の溶接方法または製造方法では、柱状部材と第1の板状部材との間の接合の信頼性を高めることができる。このため、第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々がアルミニウムを含む場合、アルミニウムの材質としての本来の特性を効果的に発揮することができるので、優れた放熱性を備えた放熱部材を得ることが可能となる。
第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々が銅を含む場合、銅は内部にガス成分を酸化銅等の状態で含有する。この場合、スタッド溶接時に第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々が加熱されると、ガスが発生する。このガス発生によって溶接部に粒界割れやボイド等の欠陥が生じる。このため、柱状部材の接合部の信頼性が低下しやすい。ところが、上述したように本発明の溶接方法または製造方法では、溶接時に生じた余剰の溶融物やガスを溶接箇所から外側に排出することが容易になる作用をもたらすので、柱状部材と第1の板状部材との間の接合の信頼性を高めることができる。したがって、第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々が銅を含む場合、柱状部材の接合の信頼性を高めるという作用効果がより効果的に発揮される。
また、第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々がマグネシウムを含む場合、アルミニウムを含む場合と同様にスタッド溶接時にガスは発生しない。しかし、マグネシウムの沸点が1000℃程度と低いために、スタッド溶接時に第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々が加熱されると、マグネシウムのガスが発生する。このガス発生によって溶接部に粒界割れやボイド等の欠陥が生じる。このため、柱状部材の接合部の信頼性が低下しやすい。ところが、上述したように本発明の溶接方法または製造方法では、溶接時に生じた余剰の溶融物やガスを溶接箇所から外側に排出することが容易になる作用をもたらすので、柱状部材と第1の板状部材との間の接合の信頼性を高めることができる。したがって、第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々がマグネシウムを含む場合にも、柱状部材の接合の信頼性を高めるという作用効果がより効果的に発揮される。
さらに、この発明の柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法において、第1の板状部材の主表面の上に第2の板状部材を配置するステップでは、柱状部材の底面が接合される第1の板状部材の主表面の領域以外の領域において第1の板状部材と第2の板状部材とは両面接着部材によって接着されていることが好ましい。この場合、この発明の柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法は、柱状部材の底面を第1の板状部材の主表面の上に接合するステップの後、第2の板状部材と両面接着部材を第1の板状部材の主表面の上から除去するステップをさらに備えることが好ましい。
このようにすることにより、スタッド溶接後に余剰の第2の板状部材を両面接着部材とともに容易に除去することができる。
この発明に従った放熱部材は、主表面を有する板状部材と、板状部材の主表面の上にスタッド溶接によって底面が接合された柱状部材とを備え、板状部材に接合されるべき柱状部材の領域に対して実際に接合されている領域の割合は、板状部材の主表面への投影平面に換算して90%以上である。
このように本発明の放熱部材においては、柱状部材が板状部材に実際に接合されている領域の割合を高めることができるので、柱状部材の接合の信頼性を高めることができる。その結果、放熱部材の信頼性を高めることができる。
この発明の放熱部材において、柱状部材の中心から外周面までの距離をRとすると、スタッド溶接によって生じた溶接残渣が、柱状部材の外周面から0.75Rの距離だけ離れた柱状部材の外周面の相似形状を板状部材の主表面に投影した領域の範囲内に存在することが好ましい。
このように本発明の放熱部材においては、溶接残渣の存在範囲を限定することができるので、短時間で溶接残渣をほぼ全部除去することができる。これにより、放熱部材の信頼性を高めることができる。
また、この発明の放熱部材において、第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々は、アルミニウム、銅およびマグネシウムからなる群より選ばれた1種の金属を含むことが好ましい。
第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々がアルミニウムを含む場合、アルミニウムの材質としての本来の特性を効果的に発揮することができるので、優れた放熱性を備えた放熱部材を得ることが可能となる。また、第1の板状部材、第2の板状部材および柱状部材の各々が銅またはマグネシウムを含む場合、柱状部材の接合の信頼性を高めるという作用効果がより効果的に現れる。
以上のようにこの発明の柱状部材の溶接方法によれば、溶接残渣と溶接焼けの発生を抑制して柱状部材をスタッド溶接により板状部材の上に接合することが可能になるので、柱状部材と板状部材との間の接合の信頼性を高めることができる。また、この発明の放熱部材の製造方法によれば、柱状部材の接合の信頼性を高めることができるので、放熱部材の信頼性を高めることができる。この発明の放熱部材によれば、柱状部材の接合の信頼性を高めることができるので、放熱部材の信頼性を高めることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一つの実施の形態として放熱部材の概略的な断面を示す断面図である。
図1に示すように、放熱部材1は、板状部材としての主表面を有する板11と、板11の主表面の上にスタッド溶接によって底面が接合された多数本の柱状部材としてのピン12とを備える。板11とピン12の材質としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金のいずれかであるのが好ましい。
図2は、この発明のもう一つの実施の形態として放熱部材の概略的な断面を示す断面図である。
図2に示すように、放熱部材2は、主表面を有する板11と、板11の主表面の上にスタッド溶接によって底面が接合された多数本のピン12とを備える。板11は、基材111と、基材111の両側表面の上に接合された表面層112とから構成される。表面層112とピン12の材質としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金のいずれかであるのが好ましい。基材111は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属または合金をマトリクスとしてそのマトリクスに炭化ケイ素粒子などの分散材が分散している複合材料であるのが好ましい。
図3は、この発明の放熱部材において柱状部材の接合部の一つの形態を示す図である。図3の(A)は接合部の状態を板状部材の主表面に投影して示す図、(B)は柱状部材の接合部を含む部分断面図、(C)は柱状部材の周囲で板状部材の主表面の一部を示す部分平面図である。
図3の(B)に示すように、一つの例として、断面が円形状のピン12は、本体部120と、本体部120の底部に形成された鍔部121とから形成される。後述する本発明の方法によって、ピン12の底面、すなわち、鍔部121の底面が板11の主表面の上にスタッド溶接で接合されている。ピン12の底面と板11の主表面との間には接合部13が形成されている。接合部13は、スタッド溶接によってピン12と板11の一部が溶融した後、凝固した部分であり、たとえば、柱状晶からなる。接合部13は、板11との境界に接合界面を有する。接合界面と板11の主表面との間の距離が溶け込み深さDである。本発明のスタッド溶接によって形成された接合部13では、溶け込み深さDが小さい。また、接合部13の表面は平坦化されており、板11の主表面から突出している突出量が小さい。
図3の(A)に示すように、たとえば、超音波映像装置を用いて、接合部13を観察すると、板11に接合されるべきピン12の領域に対して実際に接合されている領域130は、板11の主表面への投影平面に換算して90%以上である。いいかえれば、接合部13において実際に接合されていない領域である空隙等の欠陥部131は、板11の主表面への投影平面に換算して10%以下である。
図3の(C)に示すように、ピン12の中心Oから、接合されるピン12の鍔部121の外周面までの距離をRとすると、スタッド溶接によって生じた溶接残渣132は、鍔部121の外周面から0.75Rの距離だけ離れた鍔部121の外周面の相似形状を板11の主表面に投影した領域の範囲内、この例では半径が1.75Rの同心円の範囲内に存在する。
図4は、従来の放熱部材において柱状部材の接合部の一つの形態を示す図である。図4の(A)は接合部の状態を板状部材の主表面に投影して示す図、(B)は柱状部材の接合部を含む部分断面図、(C)は柱状部材の周囲で板状部材の主表面の一部を示す部分平面図である。
図4の(B)に示すように、従来の方法によって、ピン12の底面、すなわち、鍔部121の底面が板11の主表面の上にスタッド溶接で接合されている。ピン12の底面と板11の主表面との間には、接合部13がピン12の周囲で板11の主表面から突出するように形成されている。接合部13は、スタッド溶接によってピン12と板11の一部が溶融した後、凝固した部分であり、たとえば、柱状晶からなる。接合部13は、板11との境界に接合界面を有する。接合界面と板11の主表面との間の距離が溶け込み深さDである。従来の接合部13では、溶け込み深さDが大きい。また、接合部13の表面は、ピン12の周囲で板11の主表面から突出している。
図4の(A)に示すように、たとえば、超音波映像装置を用いて、接合部13を観察すると、板11に接合されるべきピン12の領域に対して実際に接合されている領域130は、板11の主表面への投影平面に換算して90%未満である。いいかえれば、接合部13において実際に接合されていない領域である空隙等の欠陥部131は、板11の主表面への投影平面に換算して10%を超える。
図4の(C)に示すように、ピン12の中心Oから、接合されるピン12の鍔部121の外周面までの距離をRとすると、スタッド溶接によって生じた溶接残渣132は、鍔部121の外周面から0.75Rの距離だけ離れた鍔部121の外周面の相似形状を板11の主表面に投影した領域の範囲内だけでなく、範囲外にも存在し、この例では半径が1.75Rの同心円の範囲外にも存在する。
図5は、この発明の柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法の一つの実施形態としてスタッド溶接の動作を説明するための部分断面図である。
図5に示すように、この発明の柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法では、まず、第1の厚みを有する第1の板状部材として、相対的に厚い板11の主表面の上に、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の板状部材として、薄板14を配置する。
そして、薄板14の主表面の上にピン12の底面を配置する。この場合、ピン12は、スタッド溶接装置50のスタッドホルダー51で保持されている。また、ピン12は、スタッドホルダー51内で、押圧ピン52を介して所定の荷重でバネ等によって付勢された状態で保持されている。ピン12は、断面が円形状の本体部120と、本体部120の底部に形成された鍔部121とから構成される。鍔部121の底部には、テーパ状部122と、テーパ状部122の中心から下部に突出した小径の突起部123とが形成されている。
その後、ピン12の底面、すなわち、鍔部121における突起部123の底面を薄板14の主表面から離隔させた状態で、この例では所定のギャップGだけ突起部123の底面を薄板14の主表面から離隔させた状態から、スタッド溶接装置50からピン12に通電して、ピン12の底面を薄板14の主表面に近づけることにより、放電させる。このとき、ピン12は、押圧ピン52を介して所定の荷重でバネ等によって付勢された状態から解放されることによって、薄板14に向かって移動する。この通電時のピン12の移動速度と、ピン12によって板11に与えられる荷重は、スタッド溶接における重要な条件である。このようにしてスタッド溶接が行われることにより、図3に示すように、ピン12の底面が板11の主表面の上に接合される。
本発明者らは、溶接残渣と溶接焼けの発生を抑制してピン12をスタッド溶接により板11の上に接合するためには、ピン12が接合されるべき板11の一部表面、すなわち、ピン12の直下に位置付けられる板11の一部表面のみを集中的に加熱して溶融する必要があることに着目して、種々検討を重ねた。その結果、本発明者らは、図5に示すように、ピン12と板11との間に板11よりも薄い薄板14を介在させた状態で、スタッド溶接を行うと、スタッド溶接時に生じるピン12と板11の溶け込み量を小さくすることができる、すなわち、図3の(B)に示すように溶け込み深さDを小さくすることができることを見出した。このような知見に基づいて本発明はなされたものである。
図5に示すように、この発明のピン12の溶接方法または放熱部材1、2の製造方法においては、ピン12の底面をスタッド溶接により板11の主表面の上に接合する際には、板11の表面は薄板14で被覆されている。そして、スタッド溶接時に、ピン12の底部、すなわち、鍔部121におけるテーパ状部122と突起部123と、ピン12の底面の下に位置付けられた相対的に厚い板11と相対的に薄い薄板14の両者の一部とが溶け込むことにより、ピン12の底面が板11の主表面に接合される。この場合、薄板14は厚い板11よりも熱容量が小さいので、スタッド溶接においてピン12の通電時に生じる放電によって、ピン12の直下に位置する薄板14の領域が優先して集中的に加熱されて溶融される。これにより、ピン12の底部が溶融する際、ピン12の直下に位置付けられた薄板14と板11の両者の一部を集中的に溶融させることができる。その結果、図3の(B)に示すようにスタッド溶接によるピン12と板11の溶け込み量、すなわち、溶け込み深さDを、従来のスタッド溶接方法、すなわち、ピン12と板11との間に薄板14を介在させないでスタッド溶接を行った場合(図4の(B))に比較して、小さくすることが可能になる。したがって、接合時に溶け込んだ板11とピン12との一部が溶接残渣や溶接焼けとしてピン12の周囲で板11の上に生じるのを抑制することができる。
たとえば、従来のスタッド溶接方法では図4の(C)に示すようにスタッド溶接によって生じた溶接残渣132は、鍔部121の外周面から0.75Rの距離だけ離れた鍔部121の外周面の相似形状を板11の主表面に投影した領域の範囲内だけでなく、範囲外にも存在する。これに対して、本発明の方法では図3の(C)に示すようにスタッド溶接によって生じた溶接残渣132は、鍔部121の外周面から0.1Rの距離だけ離れた鍔部121の外周面の相似形状を板11の主表面に投影した領域の範囲内に存在する。
従来のスタッド溶接方法でスタッド溶接によって生じた溶接残渣132は過大であるので、ウォータジェットによって全部除去することは困難でウォータジェット処理後に残存する。これに対して、本発明の方法では、溶接残渣132がピン12の周囲で板11の上に生じたとしても、ウォータジェットによって容易に短時間で除去することができる。
なお、図5に示すように、一般に、接合されるピン12の底部には、溶接時に生じる余剰の溶融部を溶接箇所から外側に容易に排出することができるように、突起部123とともにテーパ状部122が形成されている。しかし、従来のスタッド溶接方法では、図4の(B)に示すようにスタッド溶接によるピン12と板11の溶け込み量、すなわち、溶け込み深さDが大きいので、上記のテーパ状部122によって余剰の溶融部を溶接箇所から外側に排出することができない。また、板11が溶融した部分の表面形状は、ピン12の鍔部121の周囲で板11の主表面から突出し、複雑な形状を有する。これに対して、本発明の方法では図3の(B)に示すようにスタッド溶接によるピン12と板11の溶け込み量、すなわち、溶け込み深さDを小さくすることができるので、溶接時に板11が溶融した部分の表面形状が平坦化される。このことは、溶接時に生じた余剰の溶融物やガスを溶接箇所から外側に排出することが容易になる作用をもたらす。これにより、ピン12と板11との間の接合の信頼性を高めることができる。
図6は、この発明の柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法の一つの実施形態としてスタッド溶接によって柱状部材が接合された直後の状態を模式的に示す部分断面図である。
スタッド溶接時には、ピン12が接合される板11の表面の周囲は薄板14で覆われている。これにより、溶接残渣132が生じたとしても、図6の(A)に示すように、その溶接残渣132の大部分は薄板14の表面上に付着し、後工程で薄板14を除去することによって板11の表面上に残存する溶接残渣132の量を少なくすることができる。
さらに、溶接焼けが生じたとしても、その溶接焼けの大部分は薄板14の表面上に存在し、後工程で薄板14を除去することによって板11の表面上に残存する溶接焼けの量を少なくすることができる。
この発明のピン12の溶接方法または放熱部材1、2の製造方法において、薄板14の厚みが、0.005mm以上0.1mm以下であることが好ましい。
薄板14の厚みが0.005mm以上0.1mm以下である場合、上記の溶け込み深さDを小さくすることができ、溶接残渣と溶接焼けの発生を効果的に抑制することができる。薄板14の厚みが0.005mm未満であれば、溶接残渣と溶接焼けの発生を抑制することが困難になる。薄板14の厚みが0.1mmを超えると、図6の(B)に示すように、薄板14がピン12と板11に溶着されてしまう。
なお、上述したようにスタッド溶接において通電時のピン12の移動速度と、ピン12によって板11に与えられる荷重は、スタッド溶接における重要な条件である。これらの条件は、溶接の過程においてピン12の底面が板11の主表面に押し付けられた際に余剰の溶融物が接合部13から除去されるために必要であり、さらには、溶融物が凝固するまでピン12を板11の主表面に向かって適切に押圧し続けるために必要である。一般に、スタッド溶接時におけるピン12の移動は、バネの付勢力によって行われる。バネ定数、バネの自由長は、スタッド溶接装置50の仕様によって異なるが、本発明者らによれば、上記の荷重を30N以上にすることにより、図3の(B)に示す接合部13の溶け込み深さDを小さくすることができ、図3の(A)に示す欠陥部131の割合を少なくすることができるという知見が得られている。
また、この発明のピン12の溶接方法または放熱部材1、2の製造方法において、板11、薄板14およびピン12の各々は、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金のいずれかからなることが好ましい。
上述したように、本発明の溶接方法または製造方法では、ピン12と板11との間の接合の信頼性を高めることができる。このため、板11、薄板14およびピン12の各々がアルミニウムを含む場合、アルミニウムの材質としての本来の特性を効果的に発揮することができるので、優れた放熱性を備えた放熱部材1、2を得ることが可能となる。
板11、薄板14およびピン12の各々が銅を含む場合、銅は内部にガス成分を酸化銅等の状態で含有する。この場合、スタッド溶接時に板11、薄板14およびピン12の各々が加熱されると、ガスが発生する。このガス発生によって溶接部に粒界割れやボイド等の欠陥が生じる。このため、ピン12の接合部13の信頼性が低下しやすい。ところが、上述したように本発明の溶接方法または製造方法では、溶接時に生じた余剰の溶融物やガスを溶接箇所から外側に排出することが容易になる作用をもたらすので、ピン12と板11との間の接合の信頼性を高めることができる。したがって、板11、薄板14およびピン12の各々が銅を含む場合、ピン12の接合の信頼性を高めるという作用効果がより効果的に発揮される。
また、板11、薄板14およびピン12の各々がマグネシウムを含む場合、アルミニウムを含む場合と同様にスタッド溶接時にガスは発生しない。しかし、マグネシウムの沸点が1000℃程度と低いために、スタッド溶接時に板11、薄板14およびピン12の各々が加熱されると、マグネシウムのガスが発生する。このガス発生によって溶接部に粒界割れやボイド等の欠陥が生じる。このため、ピン12の接合部13の信頼性が低下しやすい。ところが、上述したように本発明の溶接方法または製造方法では、溶接時に生じた余剰の溶融物やガスを溶接箇所から外側に排出することが容易になる作用をもたらすので、ピン12と板11との間の接合の信頼性を高めることができる。したがって、板11、薄板14およびピン12の各々がマグネシウムを含む場合にも、ピン12の接合の信頼性を高めるという作用効果がより効果的に発揮される。
なお、本発明の放熱部材1、2において、板11、薄板14およびピン12の材質の組み合わせとしては、同種の金属を含む組み合わせ、たとえば、板11、薄板14およびピン12の各材質がアルミニウムを含むことが好ましいが、異種の金属を含む組み合わせ、たとえば、板11がマグネシウムを含む材料、薄板14が銅を含む材料、ピン12がアルミニウムを含む材料という組合せでもよい。
図7は、この発明の柱状部材の溶接方法または放熱部材の製造方法のもう一つの実施形態にて用いられる各部材の配置を模式的に示す斜視図である。
図7に示すように本発明のピン12の溶接方法または放熱部材1、2の製造方法において、板11の主表面の上に薄板14を配置するステップでは、ピン12の底面が接合される板11の主表面の領域以外の領域、すなわち、貫通孔151の領域以外の領域において、板11と薄板14とは、貫通孔151が形成された両面接着テープ15によって接着されていることが好ましい。この場合、この発明のピン12の溶接方法または放熱部材1、2の製造方法は、ピン12の底面を板11の主表面の上に接合するステップの後、薄板14と両面接着テープ15を板11の主表面の上から除去するステップをさらに備えることが好ましい。
このようにすることにより、スタッド溶接後に余剰の薄板14を両面接着テープ15とともに容易に除去することができる。
なお、両面接着テープ15の基材には、ポリイミドフィルム等を用いるのが好ましい。ポリイミドフィルムは、耐熱性が高いだけでなく、自己消化性を有するので、本発明のようにスタッド溶接時に加熱される用途に適している。
図3の(A)に示すように本発明の放熱部材1、2では、板11に接合されるべきピン12の領域に対して実際に接合されている領域130の割合は、板11の主表面への投影平面に換算して90%以上である。
このように本発明の放熱部材1、2においては、ピン12が板11に実際に接合されている領域130の割合を高めることができるので、ピン12の接合の信頼性を高めることができる。その結果、放熱部材1、2の信頼性を高めることができる。
図3の(C)に示すように、この発明の放熱部材1、2において、ピン12の中心から外周面までの距離をRとすると、スタッド溶接によって生じた溶接残渣132が、ピン12の外周面から0.75Rの距離だけ離れたピン12の外周面の相似形状を板11の主表面に投影した領域の範囲内に存在することが好ましい。
このように本発明の放熱部材1、2においては、溶接残渣132の存在範囲を限定することができるので、ウォータジェット等により短時間で溶接残渣132をほぼ全部除去することができる。これにより、放熱部材1、2の信頼性を高めることができる。
なお、放熱部材1、2では、放熱性を高めるために多数のピン12を高い密度で形成する必要がある。高密度で多数のピン12を板11の主表面上にスタッド溶接で形成すると、溶接残渣や溶接焼けを機械的方法等で除去することが困難になる。また、ピン12と板11との間の伝熱特性を高めるためには、ピン12の接合部において発生する空隙等の欠陥部131を少なくする必要がある。本発明の方法で作製された放熱部材1、2では、接合時に溶け込んだ板11とピン12との一部が溶接残渣や溶接焼けとしてピン12の周囲で板11の上に生じるのを抑制することができ、かつ、欠陥部131の存在割合を小さくしてピン12の接合の信頼性を高めることができるので、上記の要求に対応することができる。
本発明の放熱部材1、2において、ピン12が接合される側の板11の表面は、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金のいずれかから形成されているのが好ましい。これは、良好な溶接状態を得るためには、少なくとも溶接されるべき表面に一定量以上の上記の金属元素が必要であるからである。しかし、たとえば、厚みが10μm程度のニッケルめっき層等が板11の表面に形成されていても、本発明の方法によるスタッド溶接は可能である。
一般に放熱部材1、2において、ピン12が接合される側と反対側の板11の表面には、パワーデバイス等の半導体装置をはんだによって接合するためにニッケルめっきが施される。このとき、ピン12が接合される側と反対側の板11の表面のみにニッケルめっきを施すことは、マスキング処理等を行う必要があるので、製造コストを高めることになる。このため、ピン12が接合される側の表面も含めて放熱部材1、2の全表面にニッケルめっきが施される。この場合、スタッド溶接によってピン12が接合された側の板11の表面に溶接焼けや溶接残渣が存在すると、ニッケルめっきの密着性が低下する。その結果、放熱部材1、2が冷熱サイクルの雰囲気に繰り返し置かれることにより、ブリスターが発生する。このブリスターの発生に起因して、ニッケルめっき層が剥離しやすくなる。ところで、放熱部材1、2の使用時においては、ピン12が接合された板11の表面は冷却水に接触する状態に置かれる。ニッケルめっき層がピン12や板11の表面から剥離すると、剥離しためっき層部分は冷却水中で異物として作用し、ラジエータやポンプにおける冷却水通路を詰まらせるという問題を引き起こす。また、ピン12や板11の材料がアルミニウムや銅の場合には、ニッケルめっき層が剥離した箇所にて上記の冷却水によってアルミニウムや銅が腐食するために、アルミニウム粒子や銅粒子が冷却水中で異物として作用し、ラジエータやポンプにおける冷却水通路を詰まらせるという問題を引き起こす。本発明の放熱部材1、2では、溶接焼けや溶接残渣の発生を抑制することができるので、上述した問題が引き起こされるのを防止することが可能になる。
なお、本発明の放熱部材1、2においてピン12の形状は、図5に示されるものに限定されるものではなく、円柱、多角柱、異形柱等でもよい。また、ピン12が接合される表面は、板11のような平面に限定されるものではなく、たとえば、管の外周面等の曲面でもよく、相対的に大きなブロック体の一部表面でもよい。さらに、板11、薄板14およびピン12の材質は、上述した材料に限定されるものではなく、鉄または鉄合金、チタンまたはチタン合金等でもよい。
(実施例1)
日本スタッドウェルディング株式会社製のスタッド溶接装置(型番NSW CD9)とシグマ光機株式会社製のXYステージとを組み合わせて溶接装置を構成した。この溶接装置を用いて、図5に示すように、ピン12の底面を板11および薄板14の主表面の上に配置してスタッド溶接することによって発明例の試料(以下の表1に示す試料番号1〜9)を作製した。比較のため、図5にて、薄板14を用いないでピン12の底面を板11の主表面の上に配置してスタッド溶接することによって比較例の試料(表1に示す試料番号10〜13)を作製した。
日本スタッドウェルディング株式会社製のスタッド溶接装置(型番NSW CD9)とシグマ光機株式会社製のXYステージとを組み合わせて溶接装置を構成した。この溶接装置を用いて、図5に示すように、ピン12の底面を板11および薄板14の主表面の上に配置してスタッド溶接することによって発明例の試料(以下の表1に示す試料番号1〜9)を作製した。比較のため、図5にて、薄板14を用いないでピン12の底面を板11の主表面の上に配置してスタッド溶接することによって比較例の試料(表1に示す試料番号10〜13)を作製した。
各試料で用いたピン12、板11および薄板14の材質を表1に示す。表1にて、A1050とA5052はJISで規定されたアルミニウム合金の合金番号を示し、C1200はJISで規定された無酸素銅の番号を示し、AZ31はJISで規定されたマグネシウム合金の番号を示し、SUS304はJISで規定されたステンレス鋼の番号を示し、純Tiは純チタンを示し、PCM35は株式会社アライドマテリアル製の商品番号を示し、銅(Cu)を35質量%、モリブデン(Mo)を65質量%含むCu−Mo合金である。
ピン12は、図5に示すような形状のものを用いた。ピン12の全長は8.8mm、本体部120の外径は3mm、本体部120の長さは7.3mm、鍔部121の外径は4mm、鍔部121の長さは0.7mm、鍔部121の下部に形成されたテーパ状部122のテーパ高さは0.1mm、突起部123の外径は0.6mm、鍔部121の底面から突出している突起部123の長さは0.8mmであった。板11の大きさは一辺が50mmの正方形状、板11の厚みは5mmであった。薄板14の大きさは一辺が20mmの正方形状、薄板14の厚みは0.030mmであった。なお、薄板14は、その端部を粘着テープで板11に固着することにより固定した。ピン12の溶接箇所は、薄板14の中央部付近とした。
スタッド溶接の条件は、表1に示すように電圧、ギャップ(図5に示すG)、ピン12によって板11に与えられる荷重を設定した。
このようにしてスタッド溶接によってピン12が接合された板11の各試料について接合部を評価した。
まず、日立建機ファインテック株式会社製の超音波映像装置を用いて、図3と図4の(A)に示すように、25MHzのプローブで接合部を13を観察した。板11に接合されるべきピン12の領域に対して実際に接合されている領域130の割合を、超音波画像から画像解析することによって、板11の主表面への投影平面に換算した値として算出した。その結果を表1の接合割合に示す。
次に、図3と図4の(B)に示すように、接合部13の断面を光学顕微鏡で観察することによって溶け込み深さDを測定した。その結果を表1に示す。
また、図3と図4の(C)に示すように、溶接残渣132を目視にて観察した。溶接残渣132が、ピン12と板11の接合境界、すなわち、図3と図4の(C)に示す鍔部121の外周縁から1mm以内に存在する場合は○、その外周縁から1〜1.5mm以内に存在する場合は△、その外周縁から1.5mmを超えた範囲に存在する場合は×として評価し、その結果を表1に示す。
さらに、溶接焼けを目視にて観察した。目視にて当該箇所が他の箇所に比較して溶接に起因して変色していると認められるものを溶接焼けとした。溶接焼けが、ピン12と板11の接合境界、すなわち、図3と図4の(C)に示す鍔部121の外周縁から1mm以内に存在する場合は○、その外周縁から1〜3mm以内に存在する場合は△、その外周縁から3mmを超えた範囲に存在する場合は×として評価し、その結果を表1に示す。
なお、溶接残渣と溶接焼けは、溶接直後に評価し、発明例の試料(試料番号1〜9)については溶接直後に薄板14を板11の主表面の上から除去した後で評価した。
表1から、発明例の試料では、接合部13における欠陥部131の割合が低下し、接合割合が90%以上であり、溶け込み深さが比較例の試料に比べて小さいことがわかる。
また、発明例の試料では、溶接残渣132がピン12の外周面、すなわち、鍔部121の外周縁から0.75R(1.5mm)の距離だけ離れた鍔部121の外周面の相似形状を板11の主表面に投影した領域の範囲内に存在することがわかる。これは、比較例の試料に比べて溶接残渣の発生が抑制されるとともに、薄板14の除去とともに薄板14の表面に付着した溶接残渣132を除去することができたことを示している。
さらに、発明例の試料では、比較例の試料に比べて溶接焼けの発生が抑制されるとともに、薄板14の除去とともに薄板14の表面に発生した溶接焼けを除去することができたことを示している。
なお、発明例の試料では、溶接後にウォータジェットを施すことにより、溶接残渣132を短時間で全部除去することができた。ただし、溶接焼けは、溶接後にウォータジェットを施しても除去することができなかった。これに対して、比較例の試料では、溶接後にウォータジェットを施しても溶接残渣132を全部除去することができず、ショットブラストを施すことにより溶接残渣132を全部除去することができたが、ピン12と板11に損傷が生じた。また、ショットブラストを施す代わりに、10%の水酸化アルミニウム水溶液に浸漬することにより溶接残渣132を除去することができたが、ピン12と板11に損傷が生じた。
図10は、この発明の一つの実施例として発明例の試料番号2の試料にて板11の主表面に接合されたピン12の外観を示す写真である。
図11は、この発明の一つの比較例として比較例の試料番号11の試料にて従来のスタッド溶接方法によって板11の主表面に接合されたピン12の外観を示す写真である。
図10と図11の比較から、比較例の試料では溶接残渣や溶接焼けが過大に発生しているのに対して、発明例の試料では、溶接残渣や溶接焼けの発生が抑制されていることがわかる。
上記の実施例1では、ピン12の本体部120の外径は3mmであったが、この外径を12mmまで変化させて、スタッド溶接を行ったが、表1と同様の結果を得た。
(実施例2)
実施例1と同一のスタッド溶接条件で、板11の厚みを変化させて、どの程度の厚みの板11までスタッド溶接が可能かどうかについて調査した。その結果を表1の接合可能板厚に示す。接合可能板厚とは、ピン12が接合される側の板11の表面と反対側の板11の表面に熱影響による局所的な変形が現れず、かつ、溶接後の板11に極端な反り等の変形が発生しないときの板11の最小厚みとした。なお、熱影響による局所的な変形は、板11の溶け込み深さと同様にして光学顕微鏡により板11の断面を観察することによって評価した。
実施例1と同一のスタッド溶接条件で、板11の厚みを変化させて、どの程度の厚みの板11までスタッド溶接が可能かどうかについて調査した。その結果を表1の接合可能板厚に示す。接合可能板厚とは、ピン12が接合される側の板11の表面と反対側の板11の表面に熱影響による局所的な変形が現れず、かつ、溶接後の板11に極端な反り等の変形が発生しないときの板11の最小厚みとした。なお、熱影響による局所的な変形は、板11の溶け込み深さと同様にして光学顕微鏡により板11の断面を観察することによって評価した。
表1から、本発明の方法では、より薄い厚みの板11に対してもピン12をスタッド溶接することができることがわかる。
上記の実施例2では、ピン12の本体部120の外径は3mmであったが、この外径を12mmまで変化させて、スタッド溶接を行ったが、表1と同様の結果を得た。
(実施例3)
実施例1と同一のスタッド溶接条件で、表1の試料番号1の試料について、薄板14の厚みを変化させて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1と同一のスタッド溶接条件で、表1の試料番号1の試料について、薄板14の厚みを変化させて、実施例1と同様の評価を行った。
表2から、薄板14の厚みが0.005mm〜0.09mmの範囲では、溶け込み深さを小さくすることができ、溶接残渣と溶接焼けの発生を効果的に抑制することができることがわかる。薄板14の厚みが0.1mmを超えると、図6の(B)に示すように薄板14がピン12と板11に溶着されてしまった。
(実施例4)
本実施例では、板11として、図2に示すように、JISの合金番号がA1050であるアルミニウム合金をマトリクスとして、そのマトリクス中に炭化ケイ素(SiC)粒子を体積割合で60%含む基材111の両面に、厚みが0.3mmのJISの合金番号がA1050であるアルミニウム合金からなる表面層112を接合したものを準備した。板11の大きさは一辺が120mmの正方形状、板11の厚みは5mmであった。
本実施例では、板11として、図2に示すように、JISの合金番号がA1050であるアルミニウム合金をマトリクスとして、そのマトリクス中に炭化ケイ素(SiC)粒子を体積割合で60%含む基材111の両面に、厚みが0.3mmのJISの合金番号がA1050であるアルミニウム合金からなる表面層112を接合したものを準備した。板11の大きさは一辺が120mmの正方形状、板11の厚みは5mmであった。
上記の板11の片面に、JISの合金番号がA1050であるアルミニウム合金からなるピン12を6mm間隔で板11の60mm×60mmの平面領域に121本、本発明の方法により、薄板14を介在させて、スタッド溶接によって接合した。このようにして放熱部材2を作製した。
板11の製造方法は以下の通りである。太平洋ランダム株式会社製の純度が99.5%、粒度が♯320のSiC粉末と、JISの合金番号がA1050である東洋アルミニウム株式会社製のアルミニウム合金粉末と、助剤を混合し、SiC粒子の混合割合が65体積%の混合粉末を準備した。厚みが0.3mm、一辺が120mmの正方形状で、JISの合金番号がA1050のアルミニウム合金からなる2枚の板で、上記の混合粉末を挟みこんだ状態で、約700トンの圧力をプレスで加えることにより、5.2mm×120mm×120mの大きさに成形した。得られた成形体を窒素ガス雰囲気中にて温度650℃で8時間、加熱した後、さらに成形体に高温下で約2000トンの圧力をプレスで加えた。得られた板状体を温度630℃に加熱した後、板厚を5mmにするために圧延加工した。圧延加工後、ナイロン製のブラシを用いて板状体の表面を物理的に洗浄するとともに、水酸化ナトリウム水溶液と硝酸水溶液を用いて板状体の表面を化学的に洗浄した。
以上のようにして得られた板11の所定の位置に薄板14を配置するために、図7に示すような両面接着テープ15を用いた。両面接着テープ15として、予め、住友スリーエム株式会社製の両面接着カプトンテープ4390(615mm×200mm)を板11と同一寸法の120mm×120mmの大きさに切断したものを用いた。切断した両面接着テープ15において、ピン12が接合される板11の位置に対応する箇所に相当する位置に、直径が4.2mmの穴あけポンチを用いて、貫通孔151を形成した。レーザ切断等によって貫通孔を形成してもよい。この両面接着テープ15を板11の片面に貼り付けた。さらに、両面接着テープ15の反対側の面に、JISの合金番号がA1050のアルミニウム合金からなる厚みが0.03mmの薄板14を貼り付けた。
次に、XYステージを利用して、ピン12を板11の所定の位置に接合するためにスタッド溶接を行った。スタッド溶接の条件は、表1の試料番号1と同様とした。
すべてのピン12を溶接した後、両面接着テープ15とともに薄板14を板11の表面から除去した。このとき、発生した溶接残渣も容易に除去することができた。溶接焼けは、ピン12の周囲で両面接着テープ15が溶解した箇所に限定された範囲で発生した。
一方、比較のため、薄板14を使用しないで作製した放熱部材1では、発生した過大な溶接残渣を除去することが困難であり、溶接焼けが過大に発生した。
(実施例5)
実施例4と同様の方法によって、表3に示す材質のピン12、板11および薄板14を組み合わせて用いて、実施例4と同一の大きさの放熱部材1を作製した。表3に示す薄板14の材質PCM75は、株式会社アライドマテリアル製の商品番号を示し、銅(Cu)を75質量%、モリブデン(Mo)を25質量%含むCu−Mo合金である。材質CPC141は、株式会社アライドマテリアル製の商品番号を示し、商品番号PCM35(銅(Cu)を35質量%、モリブデン(Mo)を65質量%含むCu−Mo合金)の表面にCu板をクラッド圧延により接合したものである。接合条件は、表3に示すように、表1の発明例の試料のものを採用した。なお、比較のため、薄板14を使用しないで放熱部材1を作製した。
実施例4と同様の方法によって、表3に示す材質のピン12、板11および薄板14を組み合わせて用いて、実施例4と同一の大きさの放熱部材1を作製した。表3に示す薄板14の材質PCM75は、株式会社アライドマテリアル製の商品番号を示し、銅(Cu)を75質量%、モリブデン(Mo)を25質量%含むCu−Mo合金である。材質CPC141は、株式会社アライドマテリアル製の商品番号を示し、商品番号PCM35(銅(Cu)を35質量%、モリブデン(Mo)を65質量%含むCu−Mo合金)の表面にCu板をクラッド圧延により接合したものである。接合条件は、表3に示すように、表1の発明例の試料のものを採用した。なお、比較のため、薄板14を使用しないで放熱部材1を作製した。
得られた放熱部材1の性能を評価するために図8に示す評価装置を作製した。
図8は、この発明の実施例5にて作製された放熱部材の性能を評価するための評価装置の構成を概略的に示す図である。
図8に示すように、放熱部材1においてピン12が接合された側の板11の表面は、アルミニウム製の冷却ユニット500に接続されている。冷却ユニット500の内部には、ポンプ510により冷却水を流通させるための冷媒流通路530が形成されている。冷媒流通路530内の冷却水は、ピン12が接合された側の板11の表面に直接接触するように配置されている。冷却ユニット500は、ラジエータ520を備えているので、最終的に熱を大気に放出する。
通常、放熱部材1の冷却面と反対側の表面には、パワーデバイス等の半導体装置が搭載される。この半導体装置で生じた局所発熱を効率よく放散させることが放熱部材1に求められる。本評価装置では、半導体装置の代わりに、出力120Wの大きさが40mm×40mmの面状ヒータ310を放熱部材1の冷却面と反対側の表面に配置して、放熱部材1の冷却性能を評価した。なお、面状ヒータ310と放熱部材1とは接合せず、面状ヒータ310の上にニチアス株式会社製の耐熱板320(ルミボード:大きさ60mm×60mm×30mm)を載置し、さらにその上に鋼製の3kgの重り330を載置した。
上記のように構成された評価装置において、ポンプ510で5L/minで冷却水を循環させ、電源300から電圧100V、電流8Aで面状ヒータ310を作動させて、面状ヒータ310から放熱部材1に熱負荷を与えたときに、放熱部材1と面状ヒータ310との間に配置した熱電対で検出された温度を温度計400で測定した。
薄板14を使用しないで作製した従来の放熱部材1と比較して、本発明の方法で作製した本発明の放熱部材1において、測定された上記の温度が1〜5℃低下したものを△、5℃以上低下したものを○で評価し、その結果を表3に示す。
本発明の方法で作製された放熱部材1では、薄板14を使用しないで作製した従来の放熱部材1に比べて、半導体装置で発生した熱をより効果的に放散することができることがわかる。
(実施例6)
実施例5と同様にして、本発明の方法で作製した4種類の放熱部材1と、薄板14を使用しないで作製した従来の4種類の放熱部材1を準備した。各放熱部材1の表面に約8μmの厚みで無電解Ni−Pめっきを施した。これらの試料に、日立アプライアンス株式会社製の液槽式ヒートショック試験装置(型番ES−66EX)を用いて、−40℃の温度で5分間と120℃の温度で5分間の熱処理を1サイクルとして、4000サイクルの熱負荷を与えた。その結果、本発明の方法で作製された放熱部材1では、薄板14を使用しないで作製した従来の放熱部材1に比べて、ニッケルめっき層の剥離やブリスターの発生が抑制されていることを確認した。
実施例5と同様にして、本発明の方法で作製した4種類の放熱部材1と、薄板14を使用しないで作製した従来の4種類の放熱部材1を準備した。各放熱部材1の表面に約8μmの厚みで無電解Ni−Pめっきを施した。これらの試料に、日立アプライアンス株式会社製の液槽式ヒートショック試験装置(型番ES−66EX)を用いて、−40℃の温度で5分間と120℃の温度で5分間の熱処理を1サイクルとして、4000サイクルの熱負荷を与えた。その結果、本発明の方法で作製された放熱部材1では、薄板14を使用しないで作製した従来の放熱部材1に比べて、ニッケルめっき層の剥離やブリスターの発生が抑制されていることを確認した。
(実施例7)
図9は、実施例7にて作製された放熱部材の断面構造を概略的に示す断面図である。
図9は、実施例7にて作製された放熱部材の断面構造を概略的に示す断面図である。
図9に示すように、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si3N4)のそれぞれからなる厚みが約0.7mmで、平面の大きさが30mm×20mmのセラミック板16を作製した。セラミック板16の両面にはCuめっき層17を形成した。
また、JISで規定された合金番号C1200からなる厚みが0.06mm、0.12mm、0.3mmで、平面の大きさが28mm×18mmの無酸素銅板11Cと、JISで規定された合金番号A1050からなる厚みが0.06mm、0.12mm、0.3mmで、平面の大きさが28mm×18mmのアルミニウム合金板11Aとを準備した。アルミニウム合金板11Aの片面には約8μmの厚みでNi−Pめっき層18を形成した。
上記のように表面処理されたアルミニウム合金板11Aと無酸素銅板11Cとの間に、上記のように表面処理されたセラミック板16を介在させた状態で、真空雰囲気中にて、温度320℃で60分間、10MPaの圧力を加えて熱処理を施すことにより、銅同士または銅−ニッケル間の拡散接合によって金属とセラミックの積層体を得た。
そして、図9に示すように、アルミニウム合金板11Aに対しては表1の試料番号1の溶接条件でピン12Aをスタッド溶接することにより、無酸素銅板11Cに対しては表1の試料番号2の溶接条件でピン12Cをスタッド溶接することにより、それぞれ、放熱部1Aと1Cを作製した。この場合、本発明の方法により薄板14を用いてピン12をスタッド溶接した放熱部1Aと1Cに対して、比較のため、薄板14を使用しないで放熱部1Aと1Cを形成した試料も作製した。
その結果、アルミニウム合金板11Aまたは無酸素銅板11Cの厚みが0.3mmの場合、薄板14の有無に関係なく、ピン12を接合することができた。アルミニウム合金板11Aの厚みが0.12mmの場合、薄板14の有無に関係なく、ピン12を接合することができたが、無酸素銅板11Cの厚みが0.12mmの場合、薄板14を使用しないときでも、薄板14を使用したときでも、セラミック板16に割れが生じた。アルミニウム合金板11Aの厚みが0.06mmの場合、薄板14を使用しないとき、ピン12を接合後、ピン12が脱落し、薄板14を使用したとき、ピン12を接合することができたが、無酸素銅板11Cの厚みが0.06mmの場合、薄板14を使用したときでも、セラミック板16に割れが生じた。なお、セラミック板16の表面に直接、ピン12をスタッド溶接によって接合することを試みたが、接合することができなかった。
材質がA1050であるアルミニウム合金板11Aの厚みが0.12mmの場合に、ピン12Aの接合強度を調べるために、ペンチによる簡易なピン12Aの折り曲げ試験を実施した。その結果、薄板14を使用してスタッド溶接したとき、破断がピン12Aの胴部で生じるのに対して、薄板14を使用しないでスタッド溶接したとき、破断面がセラミック板16の表面を露出させる部分を含み、より小さな曲げ力でむしれるようにピン12Aが外れた。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものであることが意図される。
1,2:放熱部材、11:板、12:ピン、13:接合部、14:薄板、15:両面接着テープ、132:溶接残渣、151:貫通孔。
Claims (11)
- 第1の厚みを有する第1の板状部材の主表面の上に、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の板状部材を配置するステップと、
前記第2の板状部材の主表面の上に柱状部材の底面を配置するステップと、
前記柱状部材の底面を前記第2の板状部材の主表面から離隔させた状態から、前記柱状部材に通電し、前記柱状部材の底面を前記第2の板状部材の主表面に近づけることにより、放電させて、スタッド溶接することによって前記柱状部材の底面を前記第1の板状部材の主表面の上に接合するステップとを備えた、柱状部材の溶接方法。 - 前記第2の厚みが、0.005mm以上0.1mm以下である、請求項1に記載の柱状部材の溶接方法。
- 前記第1の板状部材、前記第2の板状部材および前記柱状部材の各々は、アルミニウム、銅およびマグネシウムからなる群より選ばれた1種の金属を含む、請求項1または請求項2に記載の柱状部材の溶接方法。
- 前記第1の板状部材の主表面の上に前記第2の板状部材を配置するステップでは、前記柱状部材の底面が接合される前記第1の板状部材の主表面の領域以外の領域において前記第1の板状部材と前記第2の板状部材とが両面接着部材によって接着され、
前記柱状部材の底面を前記第1の板状部材の主表面の上に接合するステップの後、前記第2の板状部材と前記両面接着部材を前記第1の板状部材の主表面の上から除去するステップをさらに備える、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の柱状部材の溶接方法。 - 第1の厚みを有する第1の板状部材の主表面の上に、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の板状部材を配置するステップと、
前記第2の板状部材の主表面の上に柱状部材の底面を配置するステップと、
前記柱状部材の底面を前記第2の板状部材の主表面から離隔させた状態から、前記柱状部材に通電し、前記柱状部材の底面を前記第2の板状部材の主表面に近づけることにより、放電させて、スタッド溶接することによって前記柱状部材の底面を前記第1の板状部材の主表面の上に接合するステップとを備えた、放熱部材の製造方法。 - 前記第2の厚みが、0.005mm以上0.1mm以下である、請求項5に記載の放熱部材の製造方法。
- 前記第1の板状部材、前記第2の板状部材および前記柱状部材の各々は、アルミニウム、銅およびマグネシウムからなる群より選ばれた1種の金属を含む、請求項5または請求項6に記載の放熱部材の製造方法。
- 前記第1の板状部材の主表面の上に前記第2の板状部材を配置するステップでは、前記柱状部材の底面が接合される前記第1の板状部材の主表面の領域以外の領域において前記第1の板状部材と前記第2の板状部材とが両面接着部材によって接着され、
前記柱状部材の底面を前記第1の板状部材の主表面の上に接合するステップの後、前記第2の板状部材と前記両面接着部材を前記第1の板状部材の主表面の上から除去するステップをさらに備える、請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の放熱部材の製造方法。 - 主表面を有する板状部材と、
前記板状部材の主表面の上にスタッド溶接によって底面が接合された柱状部材とを備え、
前記板状部材に接合されるべき前記柱状部材の領域に対して実際に接合されている領域の割合は、前記板状部材の主表面への投影平面に換算して90%以上である、放熱部材。 - 前記柱状部材の中心から外周面までの距離をRとすると、スタッド溶接によって生じた溶接残渣が、前記柱状部材の外周面から0.75Rの距離だけ離れた前記柱状部材の外周面の相似形状を前記板状部材の主表面に投影した領域の範囲内に存在する、請求項9に記載の放熱部材。
- 前記第1の板状部材、前記第2の板状部材および前記柱状部材の各々は、アルミニウム、銅およびマグネシウムからなる群より選ばれた1種の金属を含む、請求項9または請求項10に記載の放熱部材。
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