JP2010082487A - 焼却灰の水洗処理方法及びシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焼却灰1が供給される洗浄槽20と、該洗浄槽内にて水に浸漬された焼却灰1を撹拌する撹拌手段とを備える焼却灰の水洗処理装置において、洗浄槽底部に堆積した焼却灰1をすくい上げて洗浄槽内上方に搬送するバケットスクレーパ40と、該バケットスクレーパが所定間隔で複数取り付けられたコンベア30とを備え、前記コンベア30は、灰撹拌時には、バケットスクレーパ40の灰載置面が上方に向いた状態で上方に移動させ、所定位置でバケットスクレーパ40を反転させて焼却灰を落下させ、該焼却灰を少なくとも鉛直方向に撹拌し、灰排出時には、バケットスクレーパ40の裏面で処理灰2を押し出し排出する。
【選択図】図3
Description
特許文献2(特開2005−288328号公報)には、複数設置した洗浄槽で焼却灰を洗浄し、さらに洗浄槽に二酸化炭素ガスを導入して洗浄するとともに、洗浄槽が具備する循環配管路に設けられた湿式破砕機により焼却灰を破砕するようにした構成が開示されている。
洗浄槽に供給された焼却灰を水に浸漬させた状態で撹拌しながら水洗処理し、該焼却灰に含まれる塩素分を除去する焼却灰の水洗処理方法において、
前記焼却灰を機械的手段により洗浄槽内上方に持ち上げた後、重力沈降させて、該焼却灰を少なくとも鉛直方向に撹拌することを特徴とする。
焼却灰は比重が大きく、水平方向のみの撹拌では十分な撹拌混合性が得られないため、本発明のように鉛直方向に撹拌する機械的手段を備えることにより、撹拌混合性を高めることができ、焼却灰と水の接触を多くすることにより塩素除去率を大幅に向上させ、処理時間を短縮化することが可能となる。よって、水洗処理により塩素濃度の低い焼却灰を得ることができ、焼却灰をセメント原料等の再資源化原料として好適に用いることが可能となる。
このように、機械的手段により焼却灰をすくい上げて洗浄槽内上方に持ち上げた後、重力により沈降させるようにし、焼却灰を鉛直方向に撹拌することにより、比重が大きい焼却灰であっても、撹拌混合性を高めることができ、焼却灰が水と十分に接触するため塩素除去率が向上するとともに、処理時間の短縮化が可能となる。また、焼却灰を強制的にすくい上げて洗浄槽内上方に持ち上げているため、確実に且つ十分に鉛直方向の撹拌を行うことができる。
このように、洗浄槽内に上昇流を形成し、焼却灰を洗浄槽内上方に持ち上げた後、重力により沈降させるようにして撹拌することにより、比重が大きい焼却灰であっても、撹拌混合性を高めることができ、焼却灰が水と十分に接触するため塩素除去率が向上するとともに、処理時間の短縮化が可能となる。また、上昇水流によって焼却灰を撹拌しているため、簡単な装置構成とすることが可能となる。さらに、循環させる水は、灰の少ない上澄み液としているため、循環配管が焼却灰により閉塞したり、磨耗することを防止できる。
前記撹拌手段が、前記焼却灰を洗浄槽内上方に持ち上げる機械的手段であり、該機械的手段により持ち上げた焼却灰を重力沈降させて、該焼却灰を少なくとも鉛直方向に撹拌することを特徴とする。
前記無端環状ガイドは、前記灰搬送部の灰載置面が上方に向いた状態で該灰搬送部を上方に移動させ、所定位置で前記灰搬送部を反転させて、該灰搬送部上の焼却灰を落下させるように形成されることを特徴とする。
前記灰排出コンベアを前記無端環状ガイドとして用い、
前記無端環状ガイドは、前記焼却灰の排出時には正回転に駆動されて前記灰搬送部の裏面で前記焼却灰を押し出し排出し、前記焼却灰の水洗時には逆回転に駆動されて前記灰搬送部の灰載置面で前記焼却灰を持ち上げ、該焼却灰を撹拌することを特徴とする。
本構成によれば、灰排出用コンベアが灰撹拌用コンベア(無端環状ガイド)の機能を兼ね備えることにより、装置の高効率化、小型化が可能となる。
さらにまた、前記洗浄槽内の死水域に空気又は水を噴出して水流を形成する灰詰まり防止手段を備えることを特徴とする。これにより、焼却灰が死水域に滞留することを防止し、焼却灰の水洗処理を効率的に行うことが可能となる。
また、機械的手段により焼却灰をすくい上げて洗浄槽内上方に持ち上げた後、重力により沈降させるようにし、焼却灰を鉛直方向に撹拌することにより、比重が大きい焼却灰であっても、撹拌混合性を高めることができ、焼却灰が水と十分に接触するため塩素除去率が向上するとともに、処理時間の短縮化が可能となる。さらに、焼却灰を強制的にすくい上げて洗浄槽内上方に持ち上げているため、確実に且つ十分に鉛直方向の撹拌を行うことができる。
さらに、灰排出用コンベアが灰撹拌用コンベアの機能を兼ね備えるように構成することにより、装置の高効率化、小型化が可能となる。
図1〜図3は本発明の実施例1〜実施例3に係る水洗処理装置の概略側面図を夫々示し、図4は図3に示した水洗処理装置のX−X断面図、図5は図3に示した水洗処理装置が備えるバケットスクレーパの側面図、図6は本発明の実施形態が適用される焼却灰処理システムの一例を示すブロック図である。
焼却灰は比重が大きく、水平方向のみの撹拌では十分な撹拌混合性が得られないため、本実施形態のように鉛直方向に撹拌する機械的手段を備えることにより、撹拌混合性を高めることができ、焼却灰と水の接触を多くすることにより塩素除去率を大幅に向上させ、処理時間を短縮化することが可能となる。よって、水洗処理により塩素濃度の低い焼却灰を得ることができ、焼却灰をセメント原料等の再資源化原料として好適に用いることが可能となる。
この焼却灰処理システムは、焼却炉から排出された焼却灰1が投入される比重差分離装置51と、該比重差分離装置51にて金属片等の異物が除去された焼却灰が供給される水洗処理設備と、を備える。
前記比重差分離装置51は、分離液を介して、比重の大きい金属片や大径焼却灰等の異物と、比重の小さい焼却灰とを分離する周知の装置である。
前記水洗処理設備は、前段側水洗処理設備と後段側水洗処理設備が直列に配設された2構成となっており、夫々洗浄槽52、54、固液分離装置53、55を備える。本実施形態の洗浄槽は、洗浄槽52又は洗浄槽54の何れか一方、又は両方に適用できる。前段側水洗処理設備では焼却灰の10〜40倍量、後段側水洗処理設備では焼却灰の5〜20倍量の水で洗浄する。
洗浄槽52には、焼却灰の水洗時に洗浄水のpH値を測定するpH計63が設置されており、該洗浄水のpHを逐次監視している。pH調整は、バルブ61を制御して硫酸タンク56からの硫酸供給量を調整することにより行われる。硫酸は、焼却灰1tに対して10kgから100kg添加され、pHは10〜11に調整される。
後段側水洗処理設備は、前記前段側水洗処理設備と同様の構成を備える。
前段側水洗処理設備の洗浄槽52にて水洗された後の焼却灰を含む処理水は、固液分離装置53に導入され、該固液分離装置53にて焼却灰4と排水5とに分離される。焼却灰4は、後段側水洗処理設備の洗浄槽54に供給され、該洗浄槽54にて水洗された後、固液分離装置55にて処理灰7と排水8とに分離される。
前段側水洗処理設備の固液分離装置53にて分離された排水5を系外へ排出する排出ラインと、該排水5を洗浄槽52に返送する循環ラインとを備え、排出ライン上にはバルブ62が設置されている。また、排水5の電導度を測定する電導度計64を備えており、該電導度計64の測定値に基づいてバルブ62を制御し、洗浄槽52への循環量を制御するようになっている。即ち、水洗初期は排水5を循環して洗浄に用い、排水5中の不純物濃度、好適には塩素濃度が所定濃度以上となったらバルブ62を開放して系外へ排水6を排出するようにしている。排水6を系外に排出したときは、水3のバルブ60を制御して、新たに水3を補給する。
本実施例1の水洗処理装置は、水3が貯留された洗浄槽10と、該洗浄槽上部に設けられた焼却灰投入部10aと、洗浄槽下部に設けられた処理灰排出部11と、洗浄槽底部に堆積した焼却灰1を洗浄槽内上方に持ち上げるリフター(機械的手段)12とを備える。図1では、鉛直方向に長辺を有する方形状の洗浄槽10を示しているが、洗浄槽10の形状は限定されない。また、洗浄槽10の底面をホッパ状に形成し、そのホッパ下端にバルブ(不図示)を設けて、水洗処理後にバルブを開放して処理灰2を排出する構成としているが、処理灰排出部11はこれに限定されるものではなく、例えば洗浄槽上方から処理灰をすくい出して排出する構成など、他の手段を用いることも可能である。
本実施例2の水洗処理装置は、水3が貯留された洗浄槽16と、該洗浄槽上部に設けられた焼却灰投入部16aと、洗浄槽下部に設けられた処理灰排出部16bと、洗浄槽底部に堆積した焼却灰1を上方に持ち上げる循環手段(機械的手段)17とを備える。図2では、鉛直方向に長辺を有する方形状の洗浄槽16を示しているが、洗浄槽16の形状は限定されない。また、処理灰排出部16bを洗浄槽下部に設けた構成を示しているが、これに限定されるものではなく、例えば洗浄槽上方から処理灰をすくい出して排出する構成など、他の手段を用いることも可能である。
所定時間、撹拌して水洗処理した処理灰2は、処理灰排出部16bより排出される。
図3に示すように、本実施例3の水洗処理装置は、水3が貯留された洗浄槽20と、該洗浄槽上部に設けられた焼却灰投入部21と、洗浄槽下部に設けられた処理灰排出部22と、洗浄槽底部に堆積した焼却灰1を上方に持ち上げるコンベア(機械的手段)30とを備える。尚、本実施例3では、コンベア30が水洗処理後の処理灰2を排出する機能を兼ね備えた構成につき説明するが、撹拌用のコンベア30とは別に、処理灰排出用のコンベアを備えた構成としてもよい。
コンベアチェーン31は、洗浄槽20底面に沿って平行に配置された部位Aと、部位Aから上方に向けて延設された部位Bと、部位Bから洗浄槽上面に沿って配置された部位Cと、部位Cから一旦上方に突出した後、下降するように配置された部位Dと、部位Dから斜め上方に向けて延設された部位Eと、部位Eから反転する部位Fと、部位Fから斜め下方に向けて延設された部位Gとからなる。スプロケット32は、この形状にコンベアチェーン31を形成する位置に夫々設置される。
バケットスクレーパ40は、図5に示すように、正回転時の進行方向には平板状のスクレーパ42を有し、逆回転時の進行方向にはバケット41を有する。
また、図4に示すように、死水域に対して水又は空気を吹き込むノズル25を設けることが好ましい。
所定時間、撹拌して水洗処理した後、コンベア30の回転方向を正回転に切り替え、洗浄槽底部に堆積した処理灰2をバケットスクレーパ40のスクレーパ42で押し出し移動させ、処理灰排出部22より排出する。
さらに、焼却灰1の撹拌用コンベア30が、水洗処理後の処理灰排出機能を兼ね備えることにより、装置の高効率化、小型化が可能となる。
さらにまた、実施例1及び実施例3において、洗浄槽内に空気又は水を供給して水流を形成するようにしてもよく、これにより、バケットに収容された焼却灰近傍の水が局所的に塩素濃度が高くなった場合にも、水流により常に新しい水に入れ替わり、塩素除去効果を高めることが可能となる。
2 処理灰
3 水
10、16 洗浄槽
12 リフター
15 バケット
17 循環手段
18 循環配管
18a ノズル
19 ポンプ
20 洗浄槽
30 コンベア
31 コンベアチェーン
32 スプロケット
33 持ち上げ部
34 落下部
40 バケットスクレーパ
41 バケット
42 スクレーパ
Claims (9)
- 洗浄槽に供給された焼却灰を水に浸漬させた状態で撹拌しながら水洗処理し、該焼却灰に含まれる塩素分を除去する焼却灰の水洗処理方法において、
前記焼却灰を機械的手段により洗浄槽内上方に持ち上げた後、重力沈降させて、該焼却灰を少なくとも鉛直方向に撹拌することを特徴とする焼却灰の水洗処理方法。 - 前記機械的手段により洗浄槽底部に堆積した焼却灰をすくい上げて洗浄槽内上方まで持ち上げた後、該機械的手段から前記焼却灰を放出して焼却灰を重力沈降させることを特徴とする請求項1記載の焼却灰の水洗処理方法。
- 前記機械的手段により洗浄槽内に上昇水流を形成し、該上昇水流に搬送させて焼却灰を洗浄槽内上方まで持ち上げた後、重力沈降させることを特徴とする請求項1記載の焼却灰の水洗処理方法
- 焼却灰が供給される洗浄槽と、該洗浄槽内にて水に浸漬された焼却灰を撹拌する撹拌手段とを備える焼却灰の水洗処理装置において、
前記撹拌手段が、前記焼却灰を洗浄槽内上方に持ち上げる機械的手段であり、該機械的手段により持ち上げた焼却灰を重力沈降させて、該焼却灰を少なくとも鉛直方向に撹拌することを特徴とする焼却灰の水洗処理装置。 - 前記機械的手段が、前記洗浄槽底部に堆積した焼却灰をすくい上げて洗浄槽内上方に搬送する灰搬送部と、前記灰搬送部が所定間隔で複数取り付けられた無端環状ガイドとを備え、
前記無端環状ガイドは、前記灰搬送部の灰載置面が上方に向いた状態で該灰搬送部を上方に移動させ、所定位置で前記灰搬送部を反転させて、該灰搬送部上の焼却灰を落下させるように形成されることを特徴とする請求項4記載の焼却灰の水洗処理装置。 - 前記水洗処理した後の焼却灰を排出する灰排出コンベアを備えた焼却灰の水洗処理装置であって、
前記灰排出コンベアを前記無端環状ガイドとして用い、
前記無端環状ガイドは、前記焼却灰の排出時には正回転に駆動されて前記灰搬送部の裏面で前記焼却灰を押し出し排出し、前記焼却灰の水洗時には逆回転に駆動されて前記灰搬送部の灰載置面で前記焼却灰を持ち上げ、該焼却灰を撹拌することを特徴とする請求項5記載の焼却灰の水洗処理装置。 - 前記灰搬送部は、前記焼却灰を載置する平板と、該平板の灰載置面側にツメが具備されたバケット状に形成されてなることを特徴とする請求項5若しくは6記載の焼却灰の水洗処理装置。
- 前記洗浄槽の死水域に空気又は水を噴出して水流を形成する灰詰まり防止手段を備えることを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の焼却灰の水洗処理装置。
- 前記機械的手段が、前記洗浄槽上方からポンプにより吸引した水を洗浄槽底部に循環させる循環配管と、該循環させた水を前記洗浄槽底部から噴出させる複数のノズルとから構成され、前記ノズルから噴出させた水により洗浄槽内に上昇水流を形成することを特徴とする請求項4記載の焼却灰の水洗処理装置。
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