JP2010080529A - 化学気相成長方法 - Google Patents

化学気相成長方法

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Abstract

【課題】安定した成膜を行うことができ、かつ高品位のルテニウム膜を得ることができる化学気相成長方法の提供。
【解決手段】テトラ(μ−トリフルオロアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム、テトラ(μ−ペンタフルオロプロピオナト)ジ(アセトン)ジルテニウムの如きルテニウム化合物を気化せしめ、当該気化したルテニウム化合物を反応室に供給して基体上に析出させる工程と、気化したルテニウム化合物の反応室への供給を停止して、前記反応室内に残留している気化したルテニウム化合物を除去する工程と、基体上に析出したルテニウム化合物を分解せしめルテニウム膜を形成する工程と、を含む化学気相成長方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、化学気相成長方法に関する。
DRAM(Dynamic Random Access Memory)に代表される半導体デバイスは、その高集積化と微細化に伴い、デバイスを構成する各金属膜、金属酸化膜の材料変更が必要となっている。
なかでも、半導体デバイス内の多層配線用途での導電性金属膜の改良が要求されており、新たに導電性の高い銅配線への変換が進んでいる。この銅配線の導電性を高める目的で多層配線の層関絶縁膜材料には低誘電率材料(Low−k材料)が用いられているが、この低誘電率材料中に含まれている酸素原子が銅配線に容易に取り込まれその導電性を下げるといった問題が生じている。その為、低誘電率材料からの酸素の移動を防ぐ目的で、低誘電率材料と銅配線の間にバリア膜を形成する技術が検討されている。このバリア膜用途として、誘電体層からの酸素を取り込みにくい材料およびドライエッチングにより容易に加工できる材料として、金属ルテニウム膜が注目されている。さらには上記銅配線をメッキ法にて埋め込むダマシン成膜法に於いて、上記バリア膜とメッキ成長膜双方の役割を同時に満たす目的から、金属ルテニウムが注目されている(非特許文献1および2参照)。
また、半導体デバイスのキャパシタにおいても、アルミナ、五酸化タンタル、酸化ハフニウム、チタン酸バリウム・ストロンチウム(BST)のような高誘電率材料の電極材料として、金属ルテニウム膜はその高い耐酸化性と高い導電性から注目されている(特許文献1)。
上記の金属ルテニウム膜の形成には、従来スパッタリング法が多く用いられてきたが、近年、より微細化した構造や、薄膜化、量産性への対応として、化学気相成長法の検討が行われている(特許文献2〜4参照)。
しかし、これらの方法には、真空チャンバーや高圧電流装置など高価な装置を必要としコストがかかること、また大口径の基体への適用が困難であるという工業化への解決すべき課題がある。
しかし、一般に化学気相成長法で形成した金属膜は微結晶の集合状態が疎であるなど表面モルフォロジーが悪く、上記モルフォロジーの問題を解決する手段として、ビス(ジピバロイルメタナート)ルテニウムやルテノセン、ビス(アルキルシクロペンタジエニル)ルテニウムを化学気相成長材料に用いた検討が行われている(特許文献5〜7参照。)。
さらにこれらの化学気相成長材料を製造工程で用いる場合、その製造条件安定の目的からも材料の良好な保存安定性が要求される。しかし、既存のルテノセンやビス(アルキルシクロペンタジエニル)ルテニウム等は、空気の混入などにより短時間で材料の酸化、性能劣化が生じ、結果として成膜したルテニウムの導電性が低下してしまい、その保存安定性と空気中での安定な取扱い性に問題がある。保存安定性が良好なビス(ジピバロイルメタナート)ルテニウムなどを化学気相成長材料に用いると、成膜されたルテニウム膜中の不純物が多く、良質なルテニウム膜が得られない問題がある。上記問題を解決する手段として、その他にカルボニル化合物やジエン化合物を配位子に持ったルテニウム化合物、ルテニウム(II)価を用いた化合物が検討されてきたが(特許文献8〜10)、それぞれ化合物の保存安定性と成膜されたルテニウム膜中の低残留不純物の両立が困難であり、課題である。
電子材料 2003年11月号PP47−49 Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.43,No.6A(2004)PP3315−3319 特開2003−100909号公報 特開2003−318258号公報 特開2002−161367号公報 特表2002−523634号公報 特開平06−283438号公報 特開平11−35589号公報 特開2002−114795号公報 特開2002−212112号公報 特開2003−342286号公報 特開2006−241557号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、安定した成膜を行うことができ、かつ高品位のルテニウム膜を得ることができる化学気相成長方法を提供することにある。
本発明によると、上記課題は、(a)下記式(1)で表わされる化合物および下記式(2)で表わされる化合物の少なくとも一種以上のルテニウム化合物を気化せしめ、当該気化したルテニウム化合物を反応室に供給して基体上に析出させる工程と、(b)気化したルテニウム化合物の反応室への供給を停止して、前記反応室内に残留している気化したルテニウム化合物を除去する工程と、(c)基体上に析出したルテニウム化合物を分解せしめルテニウム膜を形成する工程と、を含む化学気相成長方法により達成される。
Figure 2010080529
(式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基又または炭素数1〜10のアルコキシ基であり、そしてX及びYはそれぞれ独立に水、炭素数1〜10のケトン化合物、炭素数1〜10のエーテル化合物、炭素数1〜10のエステル化合物、炭素数1〜6のニトリル化合物である。)
Figure 2010080529
(式(2)中、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基又または炭素数1〜10のアルコキシ基である。)
本発明の化学気相成長方法は、安定した成膜を行うことができ、かつ高品位のルテニウム膜を得ることができる。
本発明の化学気相成長方法は、(a)特定のルテニウム化合物を気化せしめ、当該気化したルテニウム化合物を反応室に供給して基体上に析出させる工程と、(b)気化したルテニウム化合物の反応室への供給を停止して、前記反応室内に残留している気化したルテニウム化合物を除去する工程と、(c)基体上に析出したルテニウム化合物を分解せしめルテニウム膜を形成する工程と、を含むものである。
まず、本発明の化学気相成長方法に用いるルテニウム化合物について説明する。本発明の化学気相成長方法に用いるルテニウム化合物は、下記(1)式で表される化合物および下記式(2)で表される化合物の少なくとも一種以上である。
Figure 2010080529
(式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基又または炭素数1〜10のアルコキシ基であり、そしてX及びYはそれぞれ独立に水、炭素数1〜10のケトン化合物、炭素数1〜10のエーテル化合物、炭素数1〜10のエステル化合物、炭素数1〜6のニトリル化合物である。)
Figure 2010080529
(式(2)中、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基又または炭素数1〜10のアルコキシ基である。)
上記式(1)に於いて、炭素数1〜10の炭化水素基としては炭素数1〜7の炭化水素基であることが好ましく、その具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基を挙げることができる。また炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基としては炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。その具体例としては、例えばクロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2.2.2−トリフルオロ−エチル基、ペンタフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペンタフルオロフェニル基を挙げることができる。また炭素数1〜10のアルコキシ基としては炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、その具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチトキシ基、イソブトシキ基、t−ブトキシ基、n−ヘキサオキシ基、フェノキシ基を挙げることができる。R1、R2、R3及びR4の好ましい例としては、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2.2.2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基を挙げることができる。
また、炭素数1〜10のケトン化合物としては、炭素数1〜7のケトン化合物が好ましく、その具体例としては、アセトン、2−ブタノン、3-メチル−2−ブタノン、2−ペンタノン、ピナコロン、3−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノンを挙げることができる。炭素数1〜10のエーテル化合物としては、炭素数1〜6のエーテル化合物が好ましく、その具体例としては、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジプロピルエーテルが挙げられる。炭素数1〜10のエステル化合物としては、炭素数1〜7のエステル化合物が好ましく、その具体例としては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、ペンチルアセテート、アミルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、ジメチルカルボナト、ジエチルカーボネートを挙げることができる。炭素数1〜6のニトリル化合物の具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリルが挙げられる。X及びYの好ましい例としては、水、アセトン、2−ブタノン、メチルアセテート、メチルプロピオネート、ジメチルカーボネート、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリルを挙げることができる。
上記式(2)に於いて、炭素数1〜10の炭化水素基としては炭素数1〜7の炭化水素基であることが好ましく、その具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基を挙げることができる。また炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基としては炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。その具体例としては、例えばクロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2.2.2−トリフルオロ−エチル基、ペンタフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペンタフルオロフェニル基を挙げることができる。また炭素数1〜10のアルコキシ基としては炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、その具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチトキシ基、イソブトシキ基、t−ブトキシ基、n−ヘキサオキシ基、フェノキシ基を挙げることができる。R5、R6、R7及びR8の好ましい例としては、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、モノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2.2.2−トリフルオロ−エチル基、ペルフルオロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基を挙げることができる。
上記式(1)および式(2)で表される化合物の合成法は、D.Rose and G.Wilkinson,J.Chem.Soc.(A),1791,(1970)およびA.J.Lindsay and G.Wilkinson,J.Chem.Soc.Dalton Trans.,2321,(1985)を参照できる。
本発明の方法に使用される上記式(1)または上記式(2)で表される化合物は、例えば三塩化ルテニウム・三水和物をアルコール溶液中で、水素雰囲気下かつ酸化白金(アダムス)触媒存在下において還元反応を行って二塩化ルテニウムを得る。そして、得られた二塩化ルテニウムとリチウム塩とを反応させた後、配位子交換反応を行うことにより得ることができる。なお、上記式(1)で表される化合物を例えば50℃〜300℃で熱処理することにより上記式(2)で表される化合物を得ることが可能である。
反応温度、反応溶媒等は、所望する上記式(1)または上記式(2)で表される化合物の種類に応じて適宜に選択されるべきである。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば
テトラ(μ−ホルマト)(2水和物)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(2−ブタノン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(ジメチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(テトラヒドロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(ジメチルカルボナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(メチルアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(メチルプロピオナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−アセタト)(2水和物)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(2−ブタノン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(ジメチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(テトラヒドロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(ジメチルカルボナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(メチルアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(メチルプロピオナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−プロピオナト)(2水和物)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジ(2−ブタノン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジ(ジメチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジ(テトラヒドロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジ(ジメチルカルボナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジ(メチルプロピオナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−モノフルオロアセタト)(2水和物)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−モノフルオロアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−モノフルオロアセタト)(ジ2−ブタノン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−モノフルオロアセタト)ジ(ジメチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−モノフルオロアセタト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−モノフルオロアセタト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−モノフルオロアセタト)ジ(ジメチルカルボナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−モノフルオロアセタト)(ジメチルモノフルオロアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−モノフルオロアセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)(2水和物)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)(ジ2−ブタノン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(ジメチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(ジメチルカルボナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)(ジメチルトリフルオロメチルアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)(2水和物)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)(ジ2−ブタノン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(ジメチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(ジメチルカルボナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)(ジメチルテトラフルオロエチルアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−メトキシアセタト)(2水和物)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)(ジ2−ブタノン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジ(ジメチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジ(ジメチルカルボナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)(ジメチルメトキシアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−エトキシアセタト)(2水和物)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−エトキシアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−エトキシアセタト)(ジ2−ブタノン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−エトキシアセタト)ジ(ジメチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−エトキシアセタト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−エトキシアセタト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−エトキシアセタト)ジ(ジメチルカルボナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−エトキシアセタト)(ジメチルエトキシアセタト)ジルテニウム(II,II))、テトラ(μ−エトキシアセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
等を挙げることができる。
これらのうち、
テトラ(μ−ホルマト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ホルマト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−アセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−プロピオナト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(ジエチルエーテル)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−テトラフルオロエチルアセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
テトラ(μ−メトキシアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジ(テトラヒトロフラン)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジ(アセトニトリル)ジルテニウム(II,II)、
が好ましい。
上記式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば
テトラ(μ−ホルマト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト))ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−プロピオナト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−モノフルオロアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ペンタフルオロエチルアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−エトキシアセタト)ジルテニウム(II,II)、
等を挙げることができる。
これらのうち、
テトラ(μ−ホルマト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−アセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−トリフルオロメチルアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−ペンタフルオロエチルアセタト)ジルテニウム(II,II)、テトラ(μ−メトキシアセタト)ジルテニウム(II,II)
が好ましい。
上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物は、溶媒に溶解させて組成物として用いることも可能である。溶媒としては、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物を溶解し、且つこれらと反応しないものであれば特に限定されない。かかる溶媒としては、例えば炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、エーテル溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、その他極性溶媒等を挙げることができる。
上記炭化水素溶媒としては、例えばn−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、シクロオクタン、デカン、シクロデカン、ジシクロペンタジエンの水素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワラン等を挙げることができる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、ジメチルジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、ブロモベンゼン、フルオロベンゼン等を挙げることができる。
上記エーテル溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、ブチルグリシジルエーテル、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、フェントール、2−メチルフェントール、3−メチルフェントール、4−メチルフェントール、ベラトロール、2−エトキシアニソール、1,4−ジメトキシベンゼン等を挙げることができる。
上記アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、アリルアルコール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、n-ヘプタノール、オクタノール、ジエチレングリコール、1.2-ブタンジオール、1.3-ブタンジオール、プロピレングリコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、フェノール、3−クロロ−1−プロパノール、等を挙げることができる。
上記エステル溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、クロロ酢酸エチル、アセト酢酸エチル、クロロ炭酸メチルエステル、クロロ炭酸エチルエステル等を挙げることができる。
上記ケトン溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、ジエチルケトン、メチルヘキシルケトン等を挙げることができる。
上記その他極性溶媒としては、蟻酸、酢酸、硫酸 等を挙げることができる。
これら溶媒は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
これらのうち、溶解性と得られる組成物溶液の安定性の点から炭化水素溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒およびそれらの組み合わせによる混合溶媒を用いるのが好ましい。その際、炭化水素溶媒としては、例えばシクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、ベンゼン、トルエン又はキシレンを使用することが好ましく、エーテル溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、フェントール、ベラトロール、2−エトキシアニソール又は1,4−ジメトキシベンゼンを使用することが好ましく、エステル溶媒としては酢酸エチルを使用する事が好ましい。またケトン溶媒としてアセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンを使用する事が好ましい。
本発明の上記(1)式で表される化合物および上記式(2)で表される化合物を溶媒に溶解させて用いる場合には、上記(1)式で表される化合物および上記式(2)で表される化合物の合計重量が化学気相成長材料の総重量に占める割合は、好ましくは1〜65重量%であり、より好ましくは5〜40重量%である。
続いて、(a)下記式(1)で表わされる化合物および下記式(2)で表わされる化合物の少なくとも一種以上のルテニウム化合物を気化せしめ、当該気化したルテニウム化合物を反応室に供給して基体上に析出させる工程について説明する。
上記式(1)で表される化合物及び/または上記式(2)で表される化合物を気化する場合には、通常加熱処理を行う。加熱する温度は、使用する上記式(1)または上記式(2)で表される化合物の種類により異なるが、該化合物の気化温度に対して0〜100℃高い温度であることが好ましく、10〜60℃高い温度であることがより好ましい。具体的設定温度としては、例えば80〜300℃とすることができ、好ましくは100〜250℃である。このとき、系全体を減圧にすることで、上記式(1)または上記式(2)で表される化合物の気化をより低温で行うこともできる。
続いて、気化した上記式(1)で表される化合物及び/または上記式(2)で表される化合物は、反応室内に供給され、該反応室内に設置された基体上に析出される。なお、ここでいう析出とは、分子間力に基づいて基体上に上記式(1)で表される化合物または上記式(2)で表される化合物を吸着させることを含む概念である。
気化した化学気相成長材料を反応室に導くための配管及びバルブ類の温度は、使用する上記式(1)または上記式(2)で表される化合物の種類により異なるが、該化合物の気化温度に対して−30〜+80℃の範囲の温度であることが好ましく、−10〜+50℃の範囲の温度であることがより好ましい。具体的設定温度としては、例えば50〜300℃とすることができ、好ましくは70〜250℃である。
反応室の温度は、使用する上記式(1)または上記式(2)で表される化合物の種類により異なるが、使用する化学気相成長材料の気化温度に対して0〜120℃高い温度であることが好ましく、20〜80℃高い温度であることがより好ましい。具体的設定温度としては、例えば80〜300℃とすることができ、好ましくは100〜250℃である。
なお、基体の温度としては、使用する上記式(1)または上記式(2)で表される化合物の種類により異なるが、使用する化学気相成長材料の気化温度に対して−20℃〜+100℃の範囲の温度であることが好ましく、0〜60℃の範囲の温度であることがより好ましい。具体的設定温度としては、60〜280℃であることが好ましく、80〜230℃であることがより好ましい。
化学気相成長を行うための装置の各部分及び基体の温度を上記の範囲に設定することにより、配管等において詰まりが起こらず、成膜すべき基体上のみにおいて効率的に成膜を行うことができることとなり、また、基体を必要以上に加熱する結果とならないことから、原料の有効利用及び得られる製品の品質双方の点から好ましい。
本発明の化学気相成長方法において、気化した化合物を輸送するために、キャリアガスを利用してもよい。
キャリアガス種としては、不活性ガス、還元性ガス若しくは酸化性ガス又はこれらの混合気体が挙げられる。
上記不活性気体としては例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等を、還元性気体としては例えば水素、アンモニア等を、酸化性気体としては例えば酸素、一酸化炭素、亜酸化窒素等をそれぞれ挙げることができる。
キャリアガスとしては、不活性気体のみを使用することが好ましい。
キャリアガスを利用する場合、その流量は、標準状態換算で、一分間あたり反応室の容積の0.001〜10倍の範囲であることが好ましく、0.01〜5倍の範囲であることがより好ましい。
本発明の化学気相成長方法に用いられる基体を構成する材料は、材料の材質、形状等に特に制限はないが、例えば、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Ir、Cu、Au、Al等の金属膜、TaN、TiN、ZrN、AlN等の金属窒化膜、あるいは絶縁膜である。
上記絶縁膜としては、例えば熱酸化膜、PETEOS膜(Plasma Enhanced−TEOS膜)、HDP膜(High Density Plasma Enhanced−TEOS膜)、熱CVD法により得られる酸化シリコン膜,ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)、FSGと呼ばれる絶縁膜、誘電率の低い絶縁膜等が挙げられる。
上記熱酸化膜は、高温にしたシリコンを酸化性雰囲気に晒し、シリコンと酸素あるいはシリコンと水分を化学反応させることにより形成されたものである。
上記PETEOS膜は、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件としてプラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
上記HDP膜はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
上記熱CVD法により得られる酸化シリコン膜は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により形成されたものである。
上記ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により得ることができる。
また、上記FSGと呼ばれる絶縁膜は、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で成膜することができる。
上記誘電率の低い絶縁膜としては、例えば有機SOG、水素含有SOG、有機高分子からなる低誘電率材料、SiOF系低誘電率材料、SiOC系低誘電率材料等を挙げることができる。ここで、「SOG」とは”Spin On Glass”の略であり、基体上に前駆体を塗布し、次いで熱処理等により成膜した絶縁膜材料の意味である。
上記有機SOGとしては、例えばメチル基等の有機基を含有するケイ素酸化物から構成されるものであり、基体上に例えばテトラエトキシシランとメチルトリメトキシシランの混合物等を含有する前駆体を塗布し、次いで熱処理等をすることにより得ることができる。
上記水素含有SOGとしては、ケイ素−水素結合を含有するケイ素酸化物から構成されるものであり、基体上に例えばトリエトキシシラン等を含有する前駆体を塗布し、次いで熱処理等をすることにより得ることができる。
上記有機高分子からなる低誘電率材料としては、例えばポリアリーレン、ポリイミド、ポリベンゾシクロブテン、ポリフッ化エチレン等を主成分とする低誘電率材料を挙げることができる。
上記SiOF系低誘電率材料は、フッ素原子を含有するケイ素酸化物から構成されるものであり、例えば化学気相蒸着法により得た酸化ケイ素にフッ素を添加(ドープ)することにより得ることができる。
上記SiOC系低誘電率材料は、炭素原子を含有するケイ素酸化物から構成されるものであり、例えば四塩化ケイ素と一酸化炭素との混合物を原料とする化学気相蒸着法により得ることができる。
上気したもののうち、有機SOG、水素含有SOG及び有機高分子からなる低誘電率材料は、形成された膜中に微細な空孔(ポア)を有するものであってもよい。
ルテニウム膜が形成される基体はトレンチを有していてもよく、トレンチは、上記のような材料からなる基体上に公知の方法例えば、フォトリソグラフィー等によって形成される。
上記トレンチは、どのような形状、大きさのものであってもよいが、トレンチの開口幅すなわち表面開口部の最小距離が300nm以下であり、かつトレンチのアスペクト比すなわちトレンチの深さをトレンチの表面開口部の最小距離で除した値が3以上である場合に、本発明の有利な効果が最大限に発揮される。上記トレンチの開口幅は、更に10〜250nmであることができ、特に30〜200nmであることができる。上記トレンチのアスペクト比は、更に3〜40であることができ、特に5〜25であることができる。
続いて、工程(b)について説明する。工程(b)においては、気化したルテニウム化合物の反応室への供給を停止して、前記反応室内に残留している気化したルテニウム化合物を除去する。なお、工程(b)を終えた後に、上記工程(a)および工程(b)を繰り返し行うことも可能である。繰り返し数は、目的とする膜厚によるが、2回以上であることが好ましく、2〜50回であることがより好ましく、2〜20回であることが更に好ましい。この範囲の繰り返し数とすることで、成膜を均一に行うことができ、また、高品質の膜が得られることとなる。
反応室内に残留している気化したルテニウム化合物の除去は、例えば、反応室の圧力を、工程(a)における第二設定圧力よりも低い第一設定圧力に変動させることで行うことができる。上記第一設定圧力としては、0.0001〜300Paであることが好ましく、0.001〜200Paであることがより好ましい。上記第二設定圧力としては、350〜900Paであることが好ましく、400〜800Paであることがより好ましい。第一設定圧力と第二設定圧力は、上記した範囲の中で適宜に設定されることが好ましいが、これら設定圧力は、使用する化学気相成長材料に応じて選択されるべきである。反応室の圧力が、第一設定圧力に達し、次いで第二設定圧力を経て再度第一設定圧力に達するまでの時間(圧力の繰り返し周期)としては、0.5〜200秒であることが好ましく、1〜150秒であることがより好ましく、1〜120秒であることが更に好ましい。反応室の圧力を、第一設定圧力と、該第一設定圧力よりも高い第二設定圧力とに、交互に達せしめるように変動させるものである。圧力の変動は、鋸刃状、パルス状等であることができる。
また、反応室内に残留している気化したルテニウム化合物の除去は、他には、例えば反応室内に不活性ガス、還元性ガス若しくは酸化性ガス又はこれらの混合気体を供給することで行うことができる。
上記不活性気体としては例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等を、還元性気体としては例えば水素、アンモニア等を、酸化性気体としては例えば酸素、一酸化炭素、亜酸化窒素等をそれぞれ挙げることができる。
キャリアガスとしては、不活性気体のみを使用することが好ましい。
キャリアガスを利用する場合、その流量は、標準状態換算で、一分間あたり反応室の容積の0.001〜100倍の範囲であることが好ましく、0.01〜50倍の範囲であることがより好ましい。
工程(b)における反応室の温度は、使用する上記式(1)または上記式(2)で表される化合物の種類により異なるが、工程(a)と同じ温度であることが好ましい。具体的には、化学気相成長材料の気化温度に対して0〜120℃高い温度であることが好ましく、20〜80℃高い温度であることがより好ましい。具体的設定温度としては、例えば80〜300℃とすることができ、好ましくは100〜250℃である。
続いて、工程(c)について説明する。工程(c)では、工程(b)の後に、基体上に析出したルテニウム化合物を分解せしめルテニウム膜を形成する。具体的には、基体上に析出したルテニウム化合物を、熱処理及び/又は光処理することによって、基体上にルテニウム膜が形成される。
上記熱処理の温度は、好ましくは180〜450℃であり、より好ましくは200〜400℃であり、更に好ましくは250〜400℃である。熱処理時間は、好ましくは30秒〜120分であり、より好ましくは1〜90分、更に好ましくは10〜60分である。
上記光照射に用いる光源としては、例えば水銀ランプ、重水素ランプ、希ガスの放電光、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、希ガスハロゲンエキシマレーザー等を挙げることができる。上記水銀ランプとしては、例えば低圧水銀ランプ又は高圧水銀ランプを挙げることができる。上記希ガスの放電光に用いる希ガスとしては、例えばアルゴン、クリプトン、キセノン等を挙げることができる。上記希ガスハロゲンエキシマレーザーに使用する希ガスハロゲンとしては、例えばXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArCl等を挙げることができる。
これらの光源の出力としては、好ましくは10〜5,000Wであり、より好ましくは100〜1,000Wである。これらの光源の波長は特に限定されないが、好ましくは170nm〜600nmである。また、形成されるルテニウム膜の膜質の点で、レーザー光の使用が特に好ましい。また、より良好なルテニウム膜を形成する目的で、酸化性ガス雰囲気下でプラズマ酸化させることもできる。このときのプラズマ酸化の酸化条件としては、例えばRF電力を20〜100Wとし、導入ガスとして酸素ガスを90〜100%とし残りをアルゴンガスとし、導入ガスの導入圧を0.05〜0.2Paとし、プラズマ酸化時間を10秒から240秒とすることができる。
この塗布工程及び熱処理及び/又は光照射工程中の雰囲気は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスからなるのが好ましい。さらに必要に応じて水素、アンモニアなどの還元性ガスを混入してもよい。
上記加熱工程は、真空中で行ってもよく、減圧下、常圧下又は加圧下で行ってもよいが、真空中又は減圧下で行うことが好ましい。減圧下で行う場合の圧力としては、上記第一設定圧力と同様の範囲で設定することが好ましい。
上記の如くして、本発明の化学気相成長方法により得られたルテニウム膜は、後述の実施例から明らかなように、純度が高く、密着性が良好である。また、得られたルテニウム膜の膜厚としては、使用する用途に応じて適宜設定することができるが、0.5nm〜1000nmであることが好ましく、0.5nm〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることが特に好ましい。本発明の化学気相成長方法により得られたルテニウム膜は、配線材料のバリア膜、メッキ成長膜、キャパシタの電極等に好適に使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、以下の記載は、本発明の態様例を概括的に示すものであり、かかる記載により本発明は限定されるものではない。
また、各種の評価は、それぞれ以下のようにして行なった。
(膜厚)
膜厚及び膜密度は斜入射X線分析装置(フィリップス社製、形式「X’Pert MRD」)により測定した。
(ESCAスペクトル)
ESCAスペクトルは日本電子(株)製、形式「JPS80」にて測定した。
(密着性)
密着性は、JIS K−5400に準拠して碁盤目テープ法によって評価した。
(合成例1) テトラ(μ−アセタト)ジルテニウム(II,II)の合成
三塩化ルテニウム・3水和物2.0210g、アダムス酸化白金触媒0.0138g、メタノール25mLをオートクレーブを用いて水素6atm下、3時間攪拌し、青色の溶液を得た。攪拌終了後、濾過を行い、窒素置換したシュレンクに移し、そこに酢酸リチウム2.3580gを加え、18時間加熱還流を行った。還流終了後、熱時濾過を行い、メタノールで3回洗浄し、80℃で真空乾燥し、テトラ(μ−アセタト)ジルテニウム0.9207gを茶色の粉末として得た。収率は54重量%であった。
ここで得られた固体の元素分析を実施したところ、炭素:21.91%、水素2.70%であった。なおテトラ(μ−アセタト)ジルテニウムとしての理論値は、炭素:21.92%、水素:2.76%であった。
IR(KBr、cm−1):2936vw、1556vs、1444vs、1352s、1046m、944w、691s、621w、581w.
(合成例2) テトラ(μ−トリフルオロアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)の合成
窒素置換したシュレンクにテトラ(μ−アセタト)ジルテニウム0.9059g、トリフルオロ酢酸ナトリウム1.696g、トリフルオロ酢酸28mL、無水トリフルオロ酢酸4mLを入れ、3日間加熱還流した。還流終了後、濾過を行い深紅色の溶液を得た。溶媒を真空留去し、エーテルで抽出した。再び真空留去し、アセトンを用いて再結晶を行い、ヘキサンで洗浄後、真空乾燥し、テトラ(μ−トリフルオロアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム1.3517gを赤紫色の固体として得た。収率は65重量%であった。
ここで得られた固体の元素分析を実施したところ、炭素:22.19%、水素1.62%であった。なお、テトラ(μ−トリフルオロアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウムとしての理論値は、炭素21.83%、水素1.57%であった。
19F−NMR(CDCl)δ−91.68(s、CCF).図1。
IR(KBr、cm−1):2928w、2918w、1681s、1644s、1195vs、1167s、859m、777m、736s、552m、529m.
(合成例3) テトラ(μ−ペンタフルオロプロピオナト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)の合成
窒素置換したシュレンクにテトラ(μ−アセタト)ジルテニウム100.4mg、ペンタフルオロプロピオン酸ナトリウム194.1mg、ペンタフルオロプロピオン酸3.6mL、無水ペンタフルオロプロピオン酸0.4mLを入れ、3日間加熱還流した。還流終了後、濾過を行い深紅色の溶液を得た。溶媒を真空留去し、エーテルで抽出した。再び真空留去し、アセトン/ヘキサンを用いて再結晶を行い、ヘキサンで洗浄後、真空乾燥し、テトラ(μ−ペンタフルオロプロピオナト)ジ(アセトン)ジルテニウム122.4mgを赤紫色の固体として得た。収率は55重量%であった。
ここで得られた固体の元素分析を実施したところ、炭素:22.56%、水素1.53%であった。なお、テトラ(μ−ペンタフルオロプロピオナト)ジ(アセトン)ジルテニウムとしての理論値は、炭素22.28%、水素1.25%であった。
19F−NMR(CDCl)δ−78.62(s、12F、C )、−140.21(s、8F、C ).図2。
IR(KBr、cm−1):2932w、2866w、1683s、1670sh、1639s、1438m、1333m、1227s、1192sh、1165s、1036s、832m、737m、553m.
(実施例1)
図3に概略図で示した化学気相成長装置(反応室の容積は3.2Lである。)を用いて実施した。原料Pとして合成例2で得られたテトラ(μ−トリフルオロアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)5gを装置の原料容器10に入れ、内部を窒素置換した後、原料容器10を装置に取り付けた。表面に熱酸化SiO膜を有する基板21を反応室20内のサセプタ部22に設置し、反応室20を窒素置換した後に反応炉を100Paに減圧した。反応室12の圧力が安定した後、加熱器23により反応室20が200℃、サセプタ部22及び基板21が150℃に安定するまで加熱した。続いて、原料容器10および原料ガス室30を200℃に加熱し、原料容器10および原料ガス室30の温度が200℃で安定した後原料容器10のバルブ40を開き、キャリアガスとしての窒素ガスを、標準状態に換算した値として400mL/minの流量で流し、原料ガス室30及び配管の圧力を600Paに設定した。また、これとは別に反応室20にキャリアガスAとしての窒素ガスを、標準状態に換算した値として580mL/minの流量で流し、反応室10及び配管の圧力を100Paに設定した。
上記状態で90秒間保持する前工程を経た後、原料ガス室30のバルブ40を開いて反応室20の圧力を600Pa(第二設定圧力)の状態で3秒間原料ガスを反応室20内にシャワーヘッド24を介して流した。バルブ40を閉じた後、反応室20の下流側に設けた減圧ポンプ60のバルブ50の開くことで減圧排気を行い、反応室20の圧力を0.003Pa(第一設定圧力)とした。そして、原料ガスの供給を3秒間、減圧排気を120秒間それぞれ保持する繰り返しを行った。このときの圧力変動パターンおよび原料ガス室30のバルブ40の開閉の概略を、図4に示した。
周期を20回繰り返した後、原料容器10および原料ガス室30のバルブ40を閉じ、その後反応炉に窒素ガスを標準状態に換算した値として550mL/minの流量で流しながら、反応室20の圧力を100Paに保ち、基板21およびセプタ部22の温度を350℃まで上昇させ、30分間加熱処理した。その後室温まで反応室20、基板21、およびサセプタ部22を冷却し、反応室30を窒素にて常圧に戻し、基板21を取り出した。化学気相成長反応終了後、装置の配管、バルブ類には付着物や析出物はなかった。
上記の操作により、基板21上に金属光沢を有する膜が得られた。この膜の膜厚は97Åであった。この膜のESCAスペクトルを測定したところ、Ru3d軌道に帰属されるピークが280eV及び284eVに観察され、他の元素に由来するピークは全く観察されず、この膜はルテニウム金属であることが判った。この膜の抵抗率を4端子法で測定したところ、25.6μΩcmであった。また、ここで形成された膜につき、基板との密着性を碁盤目テープ法によって評価したところ、基板とRu膜との剥離は全く見られなかった。この膜の膜密度は11.2g/cmであった。
(実施例2)
図3に概略図で示した化学気相成長装置(反応室の容積は3.2Lである。)を用いて実施した。原料Pとして合成例2で得られたテトラ(μ−トリフルオロアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)5gを装置の原料容器10に入れ、内部を窒素置換した後、原料容器10を装置に取り付けた。表面に熱酸化SiO膜を有する基板21を反応室20内のサセプタ部22に設置し、反応室20を窒素置換した後に反応室20を100Paに減圧した。反応室20の圧力が安定した後、加熱器23を用いて反応室20が200℃、サセプタ部22及び基板21が150℃に安定するまで加熱した。続いて、原料容器10および原料ガス室30を200℃に加熱し、原料容器10および原料ガス室30の温度が200℃で安定した後原料容器10のバルブを開き、キャリアガスAとしての窒素ガスを、標準状態に換算した値として400mL/minの流量で流し、原料ガス室30及び配管の圧力を600Paに設定した。また、これとは別に反応室20にキャリアガスAとしての窒素ガスを、標準状態に換算した値として580mL/minの流量で流し、反応室20及び配管の圧力を100Paに設定した。
上記状態で90秒間保持する前工程を経た後、原料ガス室30のバルブ40を開いて反応室20の圧力を600Paの状態で3秒間原料ガスを反応室20内にシャワーヘッド24を介して流した。バルブ40を閉じた後、反応室内にキャリアガスである窒素ガスを、標準状態に換算した値として580mL/minの流量で300秒流しながら反応室20内を600Paの状態に保持した。続いて窒素ガスの供給を止めたと同時に原料ガスのバルブを開いて、同様の条件で3秒間原料ガスを流した。この原料ガス供給と窒素ガスフローの動作を繰り返し実施した。
周期を20回繰り返した後、原料容器10および原料ガス室30のバルブを閉じ、その後反応室20に窒素ガスを標準状態に換算した値として550mL/minの流量で流しながら、反応室20の圧力を100Paに保ち、基板21およびサセプタ部22の温度を350℃まで上昇させ、30分間加熱処理した。その後室温まで反応室20、基板21、およびサセプタ部22を冷却し、反応室20を窒素にて常圧に戻し、基板21を取り出した。化学気相成長反応終了後、装置の配管、バルブ類には付着物や析出物はなかった。
上記の操作により、基板21上に金属光沢を有する膜が得られた。この膜の膜厚は124Åであった。この膜のESCAスペクトルを測定したところ、Ru3d軌道に帰属されるピークが280eV及び284eVに観察され、他の元素に由来するピークは全く観察されず、この膜はルテニウム金属であることが判った。この膜の抵抗率を4端子法で測定したところ、32.1μΩcmであった。また、ここで形成された膜につき、基板との密着性を碁盤目テープ法によって評価したところ、基板とRu膜との剥離は全く見られなかった。この膜の膜密度は11.1g/cmであった。
(実施例3)
図3に概略図で示した化学気相成長装置(反応室の容積は3.2Lである。)を用いて実施した。原料Pとして合成例3で得られたテトラ(μ−ペンタフルオロプロピオナト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)6gを装置の原料容器10に入れ、内部を窒素置換した後、原料容器10を装置に取り付けた。表面に熱酸化SiO膜を有する基板21を反応室20内のサセプタ部22に設置し、反応室20を窒素置換した後に反応炉を100Paに減圧した。反応室12の圧力が安定した後、加熱器23を用いて反応室20が200℃、サセプタ部22及び基板21が150℃に安定するまで加熱した。続いて、原料容器10および原料ガス室30を200℃に加熱し、原料容器10および原料ガス室30の温度が200℃で安定した後原料容器10のバルブ40を開き、キャリアガスとしての窒素ガスを、標準状態に換算した値として400mL/minの流量で流し、原料ガス室30及び配管の圧力を600Paに設定した。また、これとは別に反応室20にキャリアガスAとしての窒素ガスを、標準状態に換算した値として580mL/minの流量で流し、反応室10及び配管の圧力を100Paに設定した。
上記状態で90秒間保持する前工程を経た後、原料ガス室30のバルブ40を開いて反応室20の圧力を600Pa(第二設定圧力)の状態で3秒間原料ガスを反応室20内にシャワーヘッド24を介して流した。バルブ40を閉じた後、反応室20の下流側に設けた減圧ポンプ60のバルブ50の開くことで減圧排気を行い、反応室20の圧力を0.003Pa(第一設定圧力)とした。そして、原料ガスの供給を3秒間、減圧排気を120秒間それぞれ保持する繰り返しを行った。このときの圧力変動パターンおよび原料ガス室30のバルブ40の開閉の概略を、図4に示した。
周期を20回繰り返した後、原料容器10および原料ガス室30のバルブ40を閉じ、その後反応炉に窒素ガスを標準状態に換算した値として550mL/minの流量で流しながら、反応室20の圧力を100Paに保ち、基板21およびセプタ部22の温度を350℃まで上昇させ、30分間加熱処理した。その後室温まで反応室20、基板21、およびサセプタ部22を冷却し、反応室30を窒素にて常圧に戻し、基板21を取り出した。化学気相成長反応終了後、装置の配管、バルブ類には付着物や析出物はなかった。
上記の操作により、基板21上に金属光沢を有する膜が得られた。この膜の膜厚は89Åであった。この膜のESCAスペクトルを測定したところ、Ru3d軌道に帰属されるピークが280eV及び284eVに観察され、他の元素に由来するピークは全く観察されず、この膜はルテニウム金属であることが判った。この膜の抵抗率を4端子法で測定したところ、20.3μΩcmであった。また、ここで形成された膜につき、基板との密着性を碁盤目テープ法によって評価したところ、基板とRu膜との剥離は全く見られなかった。この膜の膜密度は11.2g/cmであった。
(実施例4)
図3に概略図で示した化学気相成長装置(反応室の容積は3.2Lである。)を用いて実施した。原料Pとして合成例3で得られたテトラ(μ−ペンタフルオロプロピオナト)ジ(アセトン)ジルテニウム(II,II)6gを装置の原料容器10に入れ、内部を窒素置換した後、原料容器10を装置に取り付けた。表面に熱酸化SiO膜を有する基板21を反応室20内のサセプタ部22に設置し、反応室20を窒素置換した後に反応室20を100Paに減圧した。反応室20の圧力が安定した後、加熱器23を用いて反応室20が200℃、サセプタ部22及び基板21が150℃に安定するまで加熱した。続いて、原料容器10および原料ガス室30を200℃に加熱し、原料容器10および原料ガス室30の温度が200℃で安定した後原料容器10のバルブを開き、キャリアガスAとしての窒素ガスを、標準状態に換算した値として400mL/minの流量で流し、原料ガス室30及び配管の圧力を600Paに設定した。また、これとは別に反応室20にキャリアガスAとしての窒素ガスを、標準状態に換算した値として580mL/minの流量で流し、反応室20及び配管の圧力を100Paに設定した。
上記状態で90秒間保持する前工程を経た後、原料ガス室30のバルブ40を開いて反応室20の圧力を600Paの状態で3秒間原料ガスを反応室20内にシャワーヘッド24を介して流した。バルブ40を閉じた後、反応室内にキャリアガスである窒素ガスを、標準状態に換算した値として580mL/minの流量で300秒流しながら反応室20内を600Paの状態に保持した。続いて窒素ガスの供給を止めたと同時に原料ガスのバルブを開いて、同様の条件で3秒間原料ガスを流した。この原料ガス供給と窒素ガスフローの動作を繰り返し実施した。
周期を20回繰り返した後、原料容器10および原料ガス室30のバルブを閉じ、その後反応室20に窒素ガスを標準状態に換算した値として550mL/minの流量で流しながら、反応室20の圧力を100Paに保ち、基板21およびサセプタ部22の温度を350℃まで上昇させ、30分間加熱処理した。その後室温まで反応室20、基板21、およびサセプタ部22を冷却し、反応室20を窒素にて常圧に戻し、基板21を取り出した。化学気相成長反応終了後、装置の配管、バルブ類には付着物や析出物はなかった。
上記の操作により、基板21上に金属光沢を有する膜が得られた。この膜の膜厚は124Åであった。この膜のESCAスペクトルを測定したところ、Ru3d軌道に帰属されるピークが280eV及び284eVに観察され、他の元素に由来するピークは全く観察されず、この膜はルテニウム金属であることが判った。この膜の抵抗率を4端子法で測定したところ、32.1μΩcmであった。また、ここで形成された膜につき、基板との密着性を碁盤目テープ法によって評価したところ、基板とRu膜との剥離は全く見られなかった。この膜の膜密度は11.1g/cmであった。
上記の操作により、基板21上に金属光沢を有する膜が得られた。この膜の膜厚は114Åであった。この膜のESCAスペクトルを測定したところ、Ru3d軌道に帰属されるピークが280eV及び284eVに観察され、他の元素に由来するピークは全く観察されず、この膜はルテニウム金属であることが判った。この膜の抵抗率を4端子法で測定したところ、29.5μΩcmであった。また、ここで形成された膜につき、基板との密着性を碁盤目テープ法によって評価したところ、基板とRu膜との剥離は全く見られなかった。この膜の膜密度は11.1g/cmであった。
合成例2で得られたテトラ(μ−トリフルオロアセタト)ジ(アセトン)ジルテニウムの19F−NMRスペクトル図。 合成例3で得られたテトラ(μ−ペンタフルオロプロピオナト)ジ(アセトン)ジルテニウムの19F−NMRスペクトル図。 実施例に用いた化学気相成長装置の概略図である。 実施例1および実施例3における反応室の圧力変化を示す概略図である。
符号の説明
1 化学気相成長装置
10 原料容器
20 反応室
21 基板
22 サセプタ部
23 加熱器
24 シャワーヘッド
30 原料ガス容器
40 バルブ
50 バルブ
60 減圧ポンプ
A キャリアガス
P 原料

Claims (5)

  1. (a) 下記式(1)で表わされる化合物および下記式(2)で表わされる化合物の少なくとも一種以上のルテニウム化合物を気化せしめ、当該気化したルテニウム化合物を反応室に供給して基体上に析出させる工程と、
    (b) 気化したルテニウム化合物の反応室への供給を停止して、前記反応室内に残留している気化したルテニウム化合物を除去する工程と、
    (c) 基体上に析出したルテニウム化合物を分解せしめルテニウム膜を形成する工程と、
    を含む化学気相成長方法。
    Figure 2010080529
    (式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基又または炭素数1〜10のアルコキシ基であり、そしてX及びYはそれぞれ独立に水、炭素数1〜10のケトン化合物、炭素数1〜10のエーテル化合物、炭素数1〜10のエステル化合物、炭素数1〜6のニトリル化合物である。)
    Figure 2010080529
    (式(2)中、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のハロゲン化炭化水素基又または炭素数1〜10のアルコキシ基である。)
  2. 工程(a)および工程(b)を繰り返し行う、化学気相成長方法。
  3. 反応室内に残留している気化したルテニウム化合物の除去が、反応室の圧力を、工程(a)における第二設定圧力よりも低い第一設定圧力に変動させることで行われる、請求項1または2に記載の化学気相成長方法
  4. 第一設定圧力が0.0001〜300Paであり、第二設定圧力が350〜900Paである、請求項3に記載の化学気相成長方法。
  5. 反応室内に残留している気化したルテニウム化合物の除去が、反応室内に不活性ガス、還元性ガス若しくは酸化性ガス又はこれらの混合気体を供給することで行われる、請求項1または2に記載の化学気相成長方法。
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