JP2010080304A - 電気化学セル水素極材料の製造方法 - Google Patents

電気化学セル水素極材料の製造方法 Download PDF

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孝幸 深澤
Norikazu Osada
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Abstract

【課題】 高い耐久性と優れた出力特性を有する電気化学セル用水素極を提供する。
【解決手段】 触媒前駆体として10〜30m/gの比表面積を有するNi−Al複合酸化物もしくはNi−Mg複合酸化物粒子を用い、イオン導電性粒子と組み合わせて電極とした後に、還元処理によりNi微粒子を析出させて作製する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固体酸化物燃料電池(SOFC)および固体電解質高温水蒸気電解セル(SOEC)等の固体酸化物型電気化学セル用、そのセル用水素極材料およびその製造方法に関する。
固体酸化物型電気化学セルは、固体酸化物燃料電池(SOFC)および高温水蒸気電解セル(SOEC)等であるが、固体酸化物型電気化学セルはその高い作動温度(700〜1000℃)から、SOFCとして発電効率が高くCOの発生も少ない次世代のクリーンな発電システムとして期待されており、またSOECとして一段階で高純度の水素を製造することのできる高効率水素製造法として期待されている。
固体酸化物型電気化学セルの水素極材料としては、一般的にはイオン導電性を有するセラミックス粒子と電子導電性を有する金属粒子を混合する方法が、また、より高性能化を目的として電子と酸化物イオンの混合導電性を有するSDC(SmをドープしたCeO)粒子を用い、その表面にNiの微粒子を高分散担持させる方法などが開示されている(非特許文献1参照)。
SDC混合導電体を用いる方法では、SDCのネットワークで構成した多孔質体中に金属塩水溶液等の含浸法によりNi粒子を形成させる。これによりNi粒子のサイズを1桁以上小さくすること、およびより少ないNi添加量にて高い触媒活性を得て、さらに電極内の完全な電子ネットワークを形成することに成功している。また、SDCは電子導電性も併せ持つため、原理的には微細なNi粒子とSDCの境界面すべてが三相界面ということになる。Ni−SDC間の結合性は比較的良いとされるが、Ni粒子は溶液含浸、焼成、還元によって作製されるため、時間とともに粒子のサイズが変化し、また焼成過程で粒子同士の焼結が起こって不均一な組織になる。
J.Electrochem.Soc.,141,[2],342−346,1994. 特開2005−103468号公報
水素極における触媒の活性を上げるには、触媒である金属粒子(Niなど)を微細にして活性点を増やすことが必要であるが、従来の水素極の製造方法では高温還元性雰囲気下において容易に金属粒子の移動、成長、凝集が起こってしまう。
そこで、本発明ではNiなどの触媒金属の粒子径が小さく、触媒金属の粒子の移動、成長、凝集が起こり難く、かつ少ない触媒添加量で出力特性に優れた水素極の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明にかかる電気化学セルは、イオン導電性を有する固体酸化物電解質層を挟み、一方の面に水素極と、この一方の面に対向する他方の面に酸素極とを有する固体酸化物型電気化学セルにおいて、前記水素極が、10〜30m/gの比表面積を有する複合酸化物(反応化合物)粒子と、イオン導電性を有する酸化物粒子とを混合ペースト化し、前記固体酸化物電解質上に積層形成、焼結した後に、還元処理をすることを特徴とする。
本発明によれば、上記構成の製造方法によって、電気化学セルの高活性を達成することができる。
以下、本発明による固体酸化物型電気化学セル用水素極の製造工程の一例を図1のフローチャートに基づいて説明するが、本発明は以下の実施の形態や実施例に限定されるものではない。また、以下の説明で参照する模式図は、各構成の位置関係を示す図であり、粒子の大きさ、形状や各層の厚さの比等は実際のものと必ずしも一致するものではない。
<比表面積10〜30m/gの複合酸化物の調整工程>
まず、Ni、Co,Fe,Cuからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の触媒金属の酸化物の粉末とAl酸化物(Al)又は/及びMg酸化物(MgO)の粉末を混合して、成形した後に、1200℃から1450℃(1300℃)で焼成して、MeAlもしくはMeMgO(Me:Ni、Co,Fe,Cuからなる群から選ばれた1種以上、0.2<x≦0.8、0.2<y≦0.8)で表される反応化合物である複合酸化物を得る。この複合酸化物を微粉末化等の操作により比表面積が10〜30m/gの範囲になるように調整する。
複合酸化物の粒径は比表面積が10〜30m/gにすることが好ましい。比表面積が10m/gより小さい場合には、セルの出力特性に与える影響は小さく、一方、30m/gより大きくなると粉末同士の凝集が起こりやすく、また、燃料極の密度が上がり、ガス拡散のための気孔が十分確保できなくなる恐れがあるからである。
比表面積の調整方法は、ボールミルを用いた乾式粉砕法、湿式粉砕法、共沈法、ゾルゲル法や凍結乾燥法等によってすることが可能である。
<混合ペースト物を得る工程>
前記加工工程によって得た反応化合物型の複合酸化物粒子とイオン導電性酸化物を含有する混合物をペースト化して、混合ペースト物を得る。
Y,Gdのうち少なくとも一種からなる金属塩とCeからなる金属塩を含有する水溶液を用いた場合、得られる水素極材料を構成する粒子表面に、イオン導電性酸化物の混合導電性物質の被膜が形成される。被膜が形成されることで、特に電気的な抵抗が低減され水素極の活性が向上する。なお、金属塩として硝酸塩、硫酸塩、塩化塩などを用いることが可能である。例えば硝酸塩水溶液を用いて、SDC被膜を作成する場合は硝酸セリウムと硝酸サマリウムを所定の混合比で混ぜた硝酸塩水溶液を用いればよい。被膜する化合物は800℃を超える高温にて電子伝導性とイオン伝導性の両方を有する混合導電体を用いることが可能である。具体的には、SDC,GDCとYDCからなる群から選ばれた少なくとも一種の複合導電体が挙げられる。また、金属塩水溶液にはPt、Au、Ag、Rh、Ir、Ru、Pdなどの貴金属を一種以上含んでも良い。貴金属が金属塩水溶液に含まれる場合、貴金属は被膜中に存在している。
イオン導電性物質としてはY、Sc、Ybなど希土類酸化物で安定化された(YSZもしくはScSZ、YbSZなど)や、SmをドープしたCeO(SDC)、GdをドープしたCeO(GDC)とYドープしたCeO(YDC)からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有するイオン導電性酸化物が挙げられる。
また、混合導電性被膜は目的の組成に調製した硝酸塩等の金属塩水溶液を用いて予め複合酸化物の表面に塗布、ディッピング、あるいはスプレーコーティング法により形成させ、熱分解し、作製しても構わない。
<積層形成物をえる工程>
ペースト化した混合粉末を固体電解質の表面に積層を形成し、両者の接着強度が高まる温度まで昇温して大気雰囲気下で焼成して焼結体を得る。
なお、焼成温度は混合導電性のコーティング層を形成する金属塩水溶液を用いる場合には、これらが十分に熱分解可能な1000℃以上が好ましい。さらに、1200℃以上1400℃以下の範囲が好ましい。1200℃以下だとイオン伝導体のパスが十分に形成されない恐れがあって好ましくなく、1400℃より高いと焼結が進んで気孔率が低下し反応場が減少してしまう問題があって好ましくない。
焼成する際の時間は特に限定されない。
固体電解質の表面にペースト物を積層状に形成する方法はスクリーン印刷、混合粉末をスラリー化して塗布、ディッピング、あるいはスプレーコーティング法等の方法によって行うことが可能であり、限定されない。
このような混合導電性の被覆を施すことで電気的な抵抗の増加を抑え、また、還元された一つ一つの触媒金属粒子と基材である複合酸化物固溶体との界面を三相界面とすることで飛躍的に反応場を増やすことができる。
固体電解質には緻密質で、高温にて酸化物イオン導電性が高く、酸化および還元性雰囲気下で安定な性質をもった物質を用いることが出来る。具体的にはYやYb、Scなどの希土類酸化物にて安定化されたZrOなどが挙げられる。
<電極面上に網目状の配線を施す工程>
電極面上に電極より高い電子伝導性を有する材料で網目状の配線を施し、これと集電材を接触させる工程を水素極材料の製造工程に加えてもよい。配線に用いる材料としては、Pt、Au、Ni、Co、Feなどからなる群から選ばれた一種以上で、同時に電極に用いる混合導電性を有するYSZ、SDCあるいはGDC材等を混合しペースト化したものを用いる。混合比は全体に対して前記金属の比率を40〜90vol%とするのが好ましい。こうすることで電極との密着性、接合性を良くするとともにそれ自身の触媒的作用も期待できるからである。この配線は、燃料の拡散に悪影響を与えないものとする必要がある。なお、配線の線幅は20〜50μm程度が好ましく、配線間隔は100〜500μm程度が好ましいが特にこれに限定されない。配線部の占有面積としては電極最表面部全体の40%以下にすることが好ましいが、前記範囲に限定されるものではない。
配線を施す方法としてはスクリーン印刷等の方法を採用することが可能である。
網目状の配線を形成した後に400℃〜1300℃、不活性ガス雰囲気または大気中で焼成してペーストを熱分解させ配線を固定化する。
<焼結体に還元処理をする工程>
配線印刷部を焼成後、燃料極を800℃以上1000℃以下の水素雰囲気下にて還元処理する。通常、NiOの還元処理では必要以上に温度を上げないよう900℃程度で行うが、NiAlを主成分とする場合はNiの析出を十分に起こさせるため、900℃以上で還元することがより好ましい。還元時間は特に限定されないがこの還元温度であれば10分程度もあればよい。また、Co,Fe,Cu酸化物の還元処理もNiの場合と同様、水素雰囲気中にて800〜1000℃程度の還元処理を行うことにより、Co、Fe、Cuそれぞれの金属微粒子を析出させることができる。これは、Mg系の化合物を用いた場合にも全く同様である。
さらに、電極表面に施した網目状配線部もこの還元処理によりNiが生成する。
還元性雰囲気下で還元処理をすると、触媒金属が析出する。析出した触媒金属はAl酸化物又は/及びMg酸化物に担持されている。析出した触媒金属は基材との結合性がよく、安定性が良いため、凝集し難いという性質を有する。このようにして形成される金属微粒子の大きさは一般には数十nmである。活性な触媒機能を果たすには、金属微粒子の大きさは5nm以上500nm以下程度であることが好ましい。5nm以下のサイズのものは現実的に作製が困難であるし、500nm以上となると隣接粒子同士が結合してしまって従来のNiOを還元して用いるのと同じ問題を抱えてしまう恐れがある。触媒としてより好ましいサイズは20nm以上100nm以下程度である。このサイズは従来の電極触媒サイズの1〜2桁小さい値のため触媒活性の向上が期待される。このため、添加する複合酸化物の量としては電極を構成する材料全体の5重量%以上80重量%以下の範囲内が良い。より好ましくは10重量%以上50重量%以下である。
本発明による、比表面積を高めた触媒前駆体粒子を用いる場合には、従来の燃料極に比べ、圧倒的に表面部に露出するNi粒子の割合が増大し、反応点(三相界面)を形成するイオン伝導体との接触点の数が飛躍的に増え、結果として触媒の活性が向上することになる。このことによって、燃料極過電圧をより低く抑えるとともに、還元後に生成する絶縁体粒子を細かく分散させることによって電気的な抵抗も低減し、出力特性に優れる水素極材料を得ることが可能になった。
また、水素極材料、水素極に悪影響を及ぼさない別の層を追加するなどの工程を上記製造工程に追加しても良い。
上記の水素極材料を形成工程によって得られた水素極をSOFCモードを例にとって、図2及び3の断面模式図を参照しつつ本実施形態を説明する。なお、この図1では、網目状に施した配線と集電材を省略している。また、図に示されている形状は模式図であり、大きさ、形状等は図のような形態に限られない。
電気化学セルは、固体酸化物電解質板11を挟んで、その一方の面に水素極材料12を、もう一方の面に酸素極材料13を積層して成る。
イオン導電性酸化物15もしくは混合導電性酸化物16と、比表面積が10〜30m/gで表面部に微細なNi粒子を担持してなるNi−Al系複合酸化物17と、それらの表面の一部もしくは全体を混合導電性酸化物の被膜18で覆われた粒子との混合相(電極層)により形成されている。また、この水素極12は、集電効率を上げるために、電極層の表層部に形成された、電極層より電子導電性の高い材料を含む図4に示すような配線19と、配線19に電気接続する集電体14を備えてもよい。
集電効率を上げるために、触媒金属の粒子が微細で孤立分散しているため集電体14との接触を十分に取るのに工夫が必要である。通常、金属メッシュなど集電材なるものを電極に押し付けて接触を取るが、本実施形態においては、電極上に電極より高い電子伝導性を有する材料で網目状の配線21を施し、これと集電体14とを接触させることで集電効率を向上させる(図4(b−1)、(b−2))。
酸素極13は混合導電性を示す酸化物であり一般式Ln1−xBO3−x(Ln=希土類元素;A=Sr、Ca、Ba;B=Cr、Mn、Fe、Co、Niのうち少なくとも1種)で表される複合酸化物からなる。これらの複合酸化物は酸素を効率よく解離すると同時に電子導電性を有している。また、前記複合酸化物で若干不足するイオン導電性を、イオン導電性酸化物を併せて添加することにより補うことも可能である。このイオン導電性酸化物としては、SmをドープしたCeO、もしくはGdをドープしたCeO、YをドープしたCeOのいずれか一つを用いる。これらは還元性雰囲気では混合導電性を示すが、酸素含有雰囲気中では高いイオン導電性を示すものであり、かつ前記混合導電性を示す酸化物と反応をしないものである。
図5は、水素極12の三相界面の模式図である。この図は、Ni−Al系酸化物から還元析出させた触媒(Ni)、混合導電体(SDC)、及び供給ガスHが存在する界面において生じる反応を模式的に示している。酸素極13にて解離された酸化物イオン(O2−)は固体酸化物電解質11を通って水素極12へと移動し、水素と反応して水を生成する。このときに生成する電子を外部回路として取り出し発電に供する。
酸素極側での酸素の解離および水素極側での水素と酸素イオンとの反応は、いずれも電極内の電子−酸化物イオン−反応ガスが共に介する三相界面において起こる。そのため、これら三相界面をいかに多く形成するかが重要な課題となる。
本願発明では、燃料極側の電子伝導体であり触媒であるNi粒子の大きさを小さくして、かつそれらが酸化物イオン導電体と接触する点を増やすことができる、すなわち、三相界面を多く形成することが可能である。触媒前駆体であるNiAl粒子が大きな状態では、直接イオン導電性粒子を接触するNi粒子の数が少なく、析出したNi粒子が有効に利用されていなかった。さらに、還元後に生成するAl粒子も大きいため電気的に大きな抵抗となっていた。本発明ではNiAl粒子を小さくすることで、表面に露出するNi量が増えると共に、絶縁性のAl粒子による抵抗増加を抑えることができる。
図1および5には分かりやすいように粒子16,20,被膜21を誇張して表現しているが、実際には焼結によりそれぞれの粒子が結合・一体化し、ネットワークを形成している。また、電極中のガス拡散性を考慮すると、電極層は多孔質であることが好ましく、あらかじめ焼成時に焼失して気孔を形成する気孔形成材を混合しておいても構わない。気孔形成材の例としては有機系のもので、例えばアクリル系の球状粒子などがある。
本実施形態によれば、触媒量を少なくすることができるため、混合導電体部分を大きくとることが可能になり、固体電解質との熱膨張的な差や整合ミスマッチによる差を小さく抑えることができる。
また、この析出した触媒金属の粒子は、基材であるAl又は/及びMgOの表面部に一層だけ存在し、基材との整合性が良く、強い結合を有している。したがって、高温還元性雰囲気にさらされても容易に移動することが無いという特徴も有している。
さらに、金属粒子が微細で孤立して存在するため、急激な酸化に対しても体積膨張が局所的に抑えられ、破壊に至りにくいという利点もある。
以上説明したように、本実施形態により作製される水素極によれば、微細なNi粒子を基材固定化することが可能で、しかも少ないNi添加量により高い活性と長時間安定性を提供可能である。この水素極を用いれば、酸素極に適当な電極触媒と組み合わせることにより、平板型セルに限らず円筒型や電極支持型など、安価で高出力なセルの実現が可能になる。
また、NiAlを還元して作製するNi粒子担持Alは、メタンなど炭化水素系燃料の改質触媒としても用いられる。すなわち、多様な燃料にも対応が可能になる。
以上の手段によって、本発明によれば、安価な溶液法を用いて導電性を付与した触媒を調製することができ、安定で出力性能に優れる固体酸化物型電気化学セルの実現に必要な、高活性な水素極を提供することができる。また、電極調製プロセスにおいてもスクリーン印刷、スプレーコーティングなど安価な製法が適用でき、低コストで作製可能である。
本実施の形態について実施例によってさらに詳細に説明する。本発明で考えられる電極構成材料の組み合わせを金属粒子がNiの場合を例にとって示す。
電極に用いるイオン導電性を有する焼結体および混合導電性の膜としてSmをドープしたCeOを、酸化物固溶体としてNiAlを例に挙げて説明する。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
<複合酸化物固溶体の調製>
平均粒径約1μmのNiO粉末と平均粒径約0.4μmのAl粉末をモル比で1:1になるように秤量し乳鉢にて混合した。混合粉末をプレス成形してアルゴン中、1300℃で5時間焼結を行った。
一方、平均粒径約1μmのNiO粉末と平均粒径約1μmのMgO粉末をモル比で1:2となるように秤量し、それらの粉末に対して0.2モル%となるようにSc粉末を添加して乳鉢にて混合した。混合粉末をプレス成形してアルゴン中、1300℃で5時間焼結を行った。
得られた反応化合物の構成相をX線回折法により測定した。次に前記反応化合物を遊星ボールミルにより粉砕し、平均粒径および粒度分布の異なる試料を用意した。これら粉末の比表面積および粒度分布をそれぞれ、Nガス吸着法およびレーザー粒度分布測定機により測定した。結果をまとめて表1に表す。
〈混合導電性被膜用金属塩水溶液の調整〉
混合導電性膜には目的の組成のSDCと同量になるようCeおよびSmの硝酸塩水溶液を混合し、SDCとして0.4Mになるように水溶液を調製し、混合導電性被膜用金属塩水溶液とした。
〈セルの作製〉
前記Ni−Al系複合酸化物粉砕粉末として表1に示す比表面積の異なるものと、イオン導電性を有する粒子として平均粒径0.3μmのSDC(Sm0.2Ce0.8)粒子とを、重量比で20:80重量比になるように混合した。これに混合導電性被膜用金属塩水溶液を混合粉末に対して約30重量%加えて高速回転混合機によりペースト化した。このペーストをスクリーン印刷機で、固体酸化物電解質の中央にφ6mmの大きさで印刷した。印刷後、大気炉に入れ、それぞれを1300℃にて2時間焼成を行った。次に、反対面にPt電極を同様に印刷して酸素極とし、また電解質側面にPt参照極を塗って、960℃で30分間焼成した。その後、YSZ粉末を混合したNiペースト(Ni:YSZが重量比で82:18になるように混合)を、線幅30μm程度、配線間隔500μmほどの配線状になるように作製したスクリーンメッシュを通して、作製した電極表層部に網目状配線印刷を施した。その後、アルゴン雰囲気中、1000℃で30分間の熱処理を施し、網目状配線を電極表面に固定化した(実施例1〜3)
(実施例4)
複合酸化物としてScを微量添加したNi1/3Mg2/3Oと、平均粒径0.3μmのSDC粒子とを重量比で20:80に混合し、燃料極化した以外は全て実施例1〜3と同様に作製したハーフセルを用意した。
(比較例1)
複合酸化物としてNi−Al系を用い、比表面積が6.1m/gである粉末を用意し、実施例1〜3と同様にセルを作製した。
(比較例2)
複合酸化物としてNi−Al系を用い、比表面積が32.0m/gになるまで粉砕した粉末を用意し、実施例1〜3と同様にセルを作製した。
(比較例3)
複合酸化物としてNi1/3Mg2/3Oを用い、比表面積が7.8m/gである粉末を用意し、実施例1〜3と同様にセルを作製した。
<セル特性評価試験>
作製した平板型固体酸化物電気化学セルをセル特性評価装置にセットし、水素極側、酸素極側それぞれをパイレックス(登録商標)ガラス材によりシールした。電解質側面にφ0.1mmのPt線を付け参照極とした。Ar雰囲気中で昇温したのち、水素極に水素を導入して還元処理を行った。水素還元時間は1000℃で10分間とした。
次に、水素極に50mL/minのH+HOを、酸素極に30mL/minのドライ空気を導入し、セル出力特性を評価した。また、カレントインターラプト法によるIR分離も行った。
以下に結果について示す。
実施例1〜4および比較例1〜3で用いた複合化合物の構成相は、X線回折試験の結果、Ni−Al系複合酸化物では、NiAlのピークが主で、わずかではあるがAlとNiのピークが、Ni−Mg系ではNi1/3Mg2/3O固溶体のピークがそれぞれに検出された。
酸化物固溶体の水素中還元における重量変化を熱重量分析装置(TG)により測定した結果、Ni−Al系、Ni−Mg系ともに800℃あたりから重量の減少が観察され、1000℃でそれぞれ、およそ7%および10%の重量減少があった。
また、還元処理後のNiAlおよび(Ni,Mg)OのSEM観察を行った結果、還元後のSDC被膜つきNiAlでは、およそ10nm〜40nm程度のNi粒子が高度に分散しているのが観察された。
表2に本発明に係るセル特性の結果をまとめて示す。
比較例1では細かい粒径のNi粒子は多数観察されるが、発電特性の向上には至っていない。これに対し、実施例1〜3では、触媒であるNiAlの比表面積の増加に伴って、顕著に最大出力密度が上昇しているのが分かる。同様に、セルの電気抵抗も減少している。ここでいうセル抵抗とは燃料極の抵抗に加え、電解質のオーム抵抗も含まれている。本実験における電解質のオーム抵抗はおよそ0.5Ωcmであり、実施例3においては燃料極の抵抗はほとんど0であるといえる。
粉砕により比表面積を高くすると、実際には粒度分布において平均粒径より小さいサイズの粒子の数が大きく増加しており、これによって周りのイオン導電性粒子と接触するチャンスが増大し、結果的に出力特性が大きく向上したものと考えられる。セル抵抗においても絶縁性のAl粒子自体も小さくなることで、電子伝導を阻害する要因が除去されたのではないかと考える。
一方、比較例2においては、燃料極のオーム抵抗としては低い値を示したが、出力密度は低下した。試験後の組織を観察したところ、空隙が少なく、粒子が密に詰まってしまったような組織をしていた。これにより反応場である三相界面が大きく減少してしまったものと考えられる。
このように、触媒となる前駆体の粒子サイズを小さくすることで、セルの出力特性を上げ、オーム抵抗を低減させる効果があることがわかった。
一方、Ni−Mg系複合セラミックスにおいても、同様の効果が確認された。また、この系の場合、Scの他にAlあるいはCrを微量添加しても同じようにNiの析出が促進され、高い出力性能を示すことがわかった。
このように、還元後に金属微粒子を析出させて電極触媒となる複合酸化物の粒径を10〜30m/gの範囲になるように作製することにより、高い出力密度と高い耐性を両立する固体酸化物型電気化学セルを提供することが可能になる。
本発明の実施形態に係る燃料極の製造工程を示す図である。 本発明の実施形態にかかる固体酸化物型燃料電池(SOFC)水素極の断面構造模式図である。 本発明の実施形態に係るSOFCの断面構造模式図である。 本発明の実施形態に係る燃料極の製造過程における断面及び平面模式図である。 本発明の実施形態に係る燃料極の三相界面を説明する断面模式図である。
符号の説明
11・・・固体電解質板
12・・・水素極
13・・・酸素極
14・・・集電体
15・・・イオン導電体酸化物
16・・・混合導電性酸化物
17・・・金属粒子担持アルミニウム複合酸化物
18・・・混合導電体被膜
19・・・網目状配線印刷
20・・・複合酸化物固溶体粒子

Claims (5)

  1. 10〜30m/gの比表面積を有する複合酸化物と、イオン導電性を有する酸化物を含有する混合物をペースト化して混合ペースト物を得る工程と、
    固体酸化物電解質層の面に前記混合ペースト物を積層状に形成して積層形成物を得る工程と、
    前記積層形成物を焼成して焼結体を得る工程と、
    前記焼結体に還元処理をする工程とを含有する電気化学セル水素極の製造方法。
  2. 前記複合酸化物が、Ni、Co、FeとCuからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の触媒金属酸化物と、
    Al酸化物又は/及びMg酸化物とを含有する反応化合物であることを特徴とする請求項1記載の電気化学セル水素極の製造方法。
  3. 前記混合ペースト物を得る工程において、Y,SmとGdからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属塩とCeの金属塩水溶液中で前記混合物を混合することを特徴とする請求項1記載の電気化学セル水素極の製造方法。
  4. 前記イオン導電性を有する酸化物がY、Sc、Ybからなる群から選ばれた少なくとも1種で安定化されたZrO、SmをドープしたCeO(SDC)、GdをドープしたCeO(GDC)とYドープしたCeO(YDC)からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有する導電性酸化物であることを特徴とする請求項1記載の電気化学セル水素極の製造方法。
  5. 前記水素極の製造方法において、前記イオン導電性を有する酸化物と、Ni、Co、FeとCuからなる群から選ばれた少なくとも一種を含有する成分を燃料極層上部に網目状に配線を施す工程と、
    前記網目状に施した配線を焼成する工程と、
    前記焼成した配線と集電体とを接触させる工程とを含有することを特徴とする請求項1記載の電気化学セル水素極の製造方法。
JP2008248162A 2008-09-26 2008-09-26 電気化学セル水素極材料の製造方法 Pending JP2010080304A (ja)

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