JP2010079397A - 電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレードサーバなどの電子装置において、着脱自在なブレード内の発熱を効率よく冷却可能な冷却システムを備えた電子装置を提供する。
【解決手段】ブレードサーバなどの電子装置であって、各ブレード内に装着される、CPUを含む複数の半導体デバイスを冷却する冷却システムを備えたものにおいて、冷却システムは、CPUなど比較的発熱量のデバイスからの発熱を外部に輸送するサーモサイフォン64と、より発熱の小さなデバイスの熱をサーモサイフォンへ輸送するヒートパイプと、ブレードの筐体内への装着によりサーモサイフォンと熱的に接続され、その熱を集めて輸送するサーマルハイウェイ51と、サーマルハイウェイで集められて輸送される熱を筐体の外部に輸送するための凝縮器55を備える。
【選択図】図9

Description

本発明は、ブレードサーバに代表されるように、筐体の内部に多数の発熱素子を着脱自在に装着した電子装置に関し、特に、かかる装置内においても良好な冷却効果が得られる電子装置の冷却構造に関する。
近年、ブレードサーバに代表される電子装置においては、ブレードと呼ばれる板状の筐体内の回路基板上に中央処理装置(CPU)等の半導体デバイスをメモリや電子部品と共に搭載し、これら複数のブレードを箱状のラック内に高密度で搭載する。なお、近年においては、当該ブレードに搭載される中央処理装置(CPU)等の半導体デバイスは、その高集積化、処理能力の高速化、更には、高機能化によって、発熱量を増大している。
一方、半導体デバイスは、一般に、所定の温度を超えると、その性能の維持を図れなくなるだけではなく、場合によっては、破損することもある。このため、冷却等による温度管理が必要とされ、発熱量の増大する半導体デバイスを効率的に冷却する技術が強く求められている。
なお、サーバ等の電子装置においては、メンテナンスや、ユーザのニーズに合わせたシステムを柔軟に構築でき、かつ、ユーザ側のニーズの変化に対応して拡張できることなどを理由として、所謂、ラックマウント方式が広く普及している。さらに、ラックマウント方式では、種々の機能、性能を持った個別の装置を着脱自在に選択、配置して電子装置を構成するものであり、システムの小形化を図りやすい利点を有している。
このような技術背景において、発熱量の増大する半導体デバイス(CPU等)を搭載した電子回路基板(所謂、ブレード)には、ラック内に自在に装着できる機能を有することが求められ、かつ、その冷却装置には、かかるブレードを効率よく冷却することが出来る、高性能な冷却能力が期待されている。なお、従来、空冷式の冷却装置が多く採用されていたが、しかしながら、上述した状況から、既に限界に近づいており、そのため、新たな方式の冷却システムが期待されており、例えば、水等の冷媒を利用した冷却システムに注目が集まっている。
本発明に関連する従来技術としては、例えば、以下の特許文献1によれば、上述したラックマウント方式において、ラック内に着脱自在に装着されたCPUブレードの半導体デバイスの熱を、受熱ジャケットを介して、直接、冷却媒体で冷却する技術が、より具体的には、当該受熱ジャケットを、自動開閉バルブを介して、ブレードサーバ内の液冷冷却システムに対して取り外し可能に接続する技術が開示されている。
また、以下の特許文献2には、やはり、サーバを含む電子装置内において、液冷システムを搭載する際のスペースの占有や専用筐体の設置等の問題に対応するための技術が開示されている。
さらに、以下の特許文献3によれば、CPUブレードの取り外しを容易にするため、外部の冷却システムとCPUブレード上の半導体デバイスとの熱的な接続を、ソケット構成のエキスパンダにより実現する技術が開示されて、また、以下の特許文献4には、超大型コンピュータ及びスーパーコンピュータに好適な半導体装置であって、冷却水を供給する配管により、外部の冷却システムと熱的に接続するための技術が開示されている。
特開2002−374086号公報 特開2007−72635号公報 特開平7−122869号公報 特開平6−4179号公報
しかしながら、上述した従来技術では、半導体デバイスの高集積化、処理能力の高速化、更には、高機能化によって、その発熱量の増大が著しいブレードサーバに代表される電子装置においては、必ずしも、必要な冷却能力を得ることは難しかった。なお、特に、近年のブレードサーバでは、メンテナンス等のためにラック内に着脱自在に装着されるCPUブレードは、装置の小型・軽量化の要求と共に、その容量も更に限られてきており、かかる狭小な空間内においても当該半導体デバイスなどを確実に冷却すると共に、更には、エコロジー対策からも、より効率的で効果的な電子装置のための冷却方法・装置が強く求められている。
そこで、本発明の目的は、上述したブレードサーバを含む電子装置において、特に、着脱自在なCPUブレードの半導体デバイスを含む発熱体を効率よく、最適に冷却することを可能にする新規な冷却システムを備えた電子装置を提供することをその目的とする。
すなわち、本発明は、特に、上述したブレードサーバのように、狭小な空間内に多数の発熱体である半導体デバイスを高集積化して配置した電子装置においては、各素子からの発熱を効率よく集めて移送(熱輸送)することによれば、即ち、フリークーリングにより、省電力で安価な冷却が可能であるとの発明者らの認識に基づいて達成されたものである。
本発明によれば、上述した本発明の目的を達成するため、まず、電子回路基板上に複数の半導体デバイスを搭載し、当該電子回路基板を、複数、筐体内に着脱自在に装着した電子装置であって、更に、前記電子装置内に装着される複数の電子回路基板上の半導体デバイスを冷却する冷却システムを備えたものにおいて、前記各電子回路基板上には発熱量の異なる複数の半導体デバイスが搭載されており、前記冷却システムは、前記各電子回路基板毎に設けられ、かつ、前記電子回路基板上に搭載された前記複数の半導体デバイスのうち、比較的発熱量の大きな第1の半導体デバイスからの発熱を外部に輸送する第1の熱輸送部と、前記電子回路基板上において、前記第1の半導体デバイスより発熱の小さな第2の半導体デバイス毎に設けられ、当該第2の半導体デバイスの発熱を前記第1の熱輸送部へ輸送する第2の熱輸送部と、前記電子装置の筐体内に設けられ、前記電子回路基板の当該筐体内への装着により、前記第1の熱輸送部と熱的に接続され、もって、前記第1の熱輸送部及び前記第2の熱輸送部からの熱を集めて輸送する第3の熱輸送部と、前記第3の熱輸送部により集められて輸送された熱を、当該筐体の外部に輸送するための放熱部とを備えており、更に、前記第1の熱輸送部による熱輸送量は、前記第2の熱輸送部の熱輸送量よりも大きく、かつ、前記第3の熱輸送部の熱輸送量よりも小さく設定されている電子装置が提供される。
また、本発明によれば、前記に記載した電子装置において、前記各電子回路基板はそれぞれの筐体内に収納されており、かつ、前記第1の熱輸送部は、その一部を前記第1の半導体デバイスの表面に熱的に接続すると共に、他の一部を、当該筐体の上面に露出して配置されていることが好ましく、更には、前記第3の熱輸送部は、その一部を、前記電子装置の筐体内において、前記第1の熱輸送部の露出面に対向するように配置されていることが好ましい。
また、本発明によれば、更に、前記第1の熱輸送部の露出面と前記前記第3の熱輸送部の対向面との間に、サーマルコネクタを介在していることが好ましく、その際、前記第2の熱輸送部は、その一端を前記第2の半導体デバイスの表面に熱的に接続すると共に、その他端を前記第1の熱輸送部の一面に熱的に接続していることが好ましい。加えて、本発明によれば、前記第1の熱輸送部をサーモサイフォンにより構成し、前記第2の熱輸送部をヒートパイプで構成し、更に、前記第3の熱輸送部をサーマルハイウェイで構成したことが好ましい。そして、本発明によれば、電子装置であって、前記電子装置はラックマウント方式のブレードサーバであり、そして、前記電子回路基板は、それぞれ、当該ブレードサーバを構成するブレードである電子装置が提供される。
以上に述べた本発明によれば、電子装置の内部に着脱自在に装着される多数のブレード内に高密度で搭載される発熱体である、CPUを始めとする各種の半導体デバイスを、サーマルハイウェイやサーモサイフォン等の大量の熱輸送手段を利用すると共に、ヒートパイプ等のサーモ素子を最適に利用することにより、低コストで、かつ、効率よく冷却することが出来ることから、ラックマウント方式のブレードサーバを始め、特に、その内部に発熱体を多数、高密度で搭載する電子装置の小型化と共に、その省電力化をも図ることを可能にするという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら、詳細に説明する。
まず、添付の図1には、本発明になる冷却システムが適用される電子装置の代表例として、ブレードサーバ、特に、ラックマウント方式のブレードサーバが、その外観斜視図により示されている。図において、ラック1は、筐体2と蓋体3、4(3は表扉、4は裏扉)とを含んでおり、その内部には、例えば、IEC(International Electrical Commission)規格/EIA(The Electrical Industries Association)規格などの特定の規格に基づいて、所定の形状・寸法で形成された、複数(本例では3個)のシャーシ5が設けられており、そして、これら複数のシャーシ5の内部には、それぞれ、以下にその詳細を説明するが、個々に所定の機能を備えたブレードが、複数、縦方向に並べられて挿入されている。なお、これらのブレードは、上記シャーシ5内に自在に挿抜が可能であり、そして、選択により、自由に配置して搭載することが可能であり、そのことから、システム構成の柔軟性と拡張性とを併せ持つものである。
次に、添付の図2には、上述したラック1内に設けられるシャーシ5の一つが、その内部に挿抜が可能な複数のブレード6と共に示されている。即ち、図において、符号51は、上記シャーシ5の上面に取り付けられたヒートシンクであり、その詳細は後にも説明するが、以後、「サーマルハイウェイ」と呼ばれる、大量の熱を輸送する手段51を構成するものである。
また、図にも示すように、上記各シャーシ5は、その正面側(図2の左側)には、その内部に外形略板状の複数(例えば、10枚前後)のブレード6が挿抜可能な、所謂、ブレード収納空間52を形成すると共に、その背面側(図2の右側)には、その内部に電源等を含む装置を内蔵するための空間53(例えば、電源室と言う)を、バックボード54(図3を参照)によって区画している。そして、当該電源室の更に背面側には、以下に詳細に説明する凝縮器55(本例では、空冷凝縮器55とそのファン56)が、2組、取り付けられている。なお、図において、符号57は、上記サーマルハイウェイ51と空冷凝縮器55との間に接続された配管であり、また、図中の符号58は、後にも詳述するが、空冷凝縮器55で生成される飽和水を強制的にサーマルハイウェイ51へ戻すための飽和水(戻し)ポンプを示している。
そして、上記シャーシ5内に挿入される各ブレード6は、やはり上記の図2や図3からも明らかなように、ブレードシャーシ61上に配線板62を取り付けており、その表面には、例えば、CPU(中央演算装置)や各種のLSI、又はメモリなど、ブレードの機能を達成するために必要であり、かつ、発熱源でもある複数の半導体デバイス(図には、その一部を63により示す)を搭載している。そして、この図には示さないが、主要な発熱源であるCPUに熱的に接続された状態で(具体的には、この図では、CPUの表面に接続した状態で)外形略T字状のサーモサイフォン64(詳細は後に説明する)が設けられると共に、更には、上記サーモサイフォン64と熱的に接続され、もって、配線板62上の半導体デバイス63の熱を効率的に上記サーモサイフォン64に輸送するためのヒートパイプ65が複数本設けられている。また、図中の符号66、67は、後にも説明するが、上記ブレード6をシャーシ5内に挿入することにより、シャーシ5との間に、自動的に、必要な電気的な接続を得るためにブレード側に設けたコネクタ(信号コネクタ66、給電コネクタ67)を示している。
更に、添付の図3には、上記シャーシ5内に挿入されるブレード6の一つを取り出して、その内部詳細を示している。即ち、各ブレード6は、上記配線板62を搭載するブレードシャーシ61を含んでおり、そして、当該ブレードを構成する上記配線板62上に搭載された各種のLSIやメモリなどの半導体デバイスの内、特に、上記ブレードでの主な発熱源となる単数又は複数(本例では2個)のCPU(中央演算部)68が、上記サーモサイフォン64の一方の側面に、例えば、熱伝導グリース又は熱伝導シートなどの伝熱部材69を介して、熱的に接続されている。
また、本例では、上記サーモサイフォン64の他方の側面には、複数のヒートパイプ65、65…が取り付けられ、かつ、各ヒートパイプ65の一端は、上記CPU68よりもその発熱量の小さな素子、例えば、MCHやその他のLSIやメモリ(図では、一括して、符号63で示す)の表面に取り付けられている。なお、このヒートパイプ65と、上記サーモサイフォン64又は素子63との取付方法としては、例えば、熱伝導接着剤や接着テープを利用することが考えられ、即ち、この接合手段としては、ブレードのメンテナンスを考慮し、後に、当該ヒートパイプ65を、サーモサイフォン64や素子63から、比較的容易に、取り外すことが出来るものであることが好ましい。
また、図にも示すように、各ヒートパイプ65は、その内部の冷媒の循環が促進されることから、上記サーモサイフォン64との接続部を傾斜して取り付けられることが好ましい。なお、この図において、符号54(図2を参照)は、上述した電源等を含む装置を内蔵するための空間53(例えば、電源室と言う)を区画するバックボードであり、図からも明らかなように、当該バックボードには、上記ブレード6側のコネクタ66、67に対応する位置に、コネクタ66’、67’(信号コネクタ66’、給電コネクタ67’)が設けられており、もって、上記ブレード6をシャーシ5内に挿入することにより、シャーシ5との間には、自動的に、必要な電気的な接続が得られるようになっている。
また、この図3には、上記サーモサイフォンの断面が示されており、この断面からも明らかなように、当該サーモサイフォン64は、垂直方向に伸び、その両壁面に上記CPU68とヒートパイプ65が熱的に接続される、板(箱)状の蒸発(沸騰)部(又は、冷却部)641と共に、当該蒸発(沸騰)部の上方に配置されて上記大量の熱を輸送する手段であるサーマルハイウェイ51に熱的に接続するための凝縮部(又は、熱的接続部)642とから構成されている。なお、図の符号7は、上記サーモサイフォン64の凝縮部(又は、熱的接続部)642を、上記大量の熱を輸送する手段であるサーマルハイウェイ51に対し、熱的に良好に接続するための手段である、所謂、熱伝導接触子(サーマルコネクタ)であり、その詳細については、後に説明する。
続いて、上記にはその全体概略を説明したが、本発明になる電子装置(特に、サーバ)に適用される冷却システムを構成する各要素について、以下に、個別に説明する。
<ヒートパイプ>
添付の図4にも示すように、各ヒートパイプ65を、その断面を円形、楕円、又は、矩形に形成した、例えば、銅等の熱伝導率に優れた(高い)金属材料などのチューブ(中空体)の内部空間に、例えば、水などの冷媒を、減(低)圧下で封入(封止)したものであり、その一端を、上記各種のLSIやメモリ等、比較的発熱量の小さい素子63(図3を参照)に熱的に接続し、他端を上記サーモサイフォン64に熱的に接続することにより、当該比較的発熱量の小さい素子63の熱を効果的にサーモサイフォン64へ輸送する。なお、ここでは図示はしないが、各ヒートパイプ65は、上記素子63及びサーモサイフォン64との接続において、内部に封入された冷媒の蒸発(沸騰)及び凝縮を促進するため、その内部壁面を、例えば、内面溝付管やメッシュウィックなどとすることが好ましい。
<サーモサイフォン>
添付の図5(A)及び(B)には、上記サーモサイフォンの内部詳細を示す。即ち、サーモサイフォン64は、上記ヒートパイプと同様、例えば、銅等の熱伝導率に優れた(高い)金属材料などから形成され、垂直方向に伸びた蒸発部(又は、冷却部)641と、上記蒸発部の上方に位置し、以下にも説明するサーマルハイウェイ51の下面(熱伝達面)に沿って伸びた凝縮部(又は、熱的接続部)642とから構成されている。そして、図5(A)にも示すように、凝縮部(又は、熱的接続部)642の上壁の下面(即ち、内壁上面)には、その一方向(例えば、長手方向)に沿って、凝縮フィン643が、例えば、サーモエクセルC(登録商標:日立電線)などにより、形成されており、更に、これら凝縮フィン643が伸びた方向に直交して、複数の凝縮液排除/案内フィン644が、等間隔(間隔=P)で、取り付けられている。また、上記の凝縮液排除/案内フィン644は、上記の蒸発部(又は、冷却部)641においては、その内部の空間において、更に下方まで延びており、かつ、その中央部は「U」字形に切り欠かれて蒸気流路645が形成されている。
図5(B)には、上記サーモサイフォン64の蒸発部(又は、冷却部)641を含む断面が示されており、図からの明らかなように、断面形状が略「T」字状の上述したサーモサイフォンにおいて、上記凝縮部(又は、熱的接続部)642から下方に、即ち、垂直方向に伸びた蒸発部(又は、冷却部)641は、その内壁面には、上述したサーモエクセルE(登録商標:日立電線)などにより、多孔質の伝熱面646が形成されている。なお、この図には、サーモサイフォン64の沸騰部(又は、冷却部)641が、その一方の壁面(図の左側)において、配線板62上に搭載され、かつ、ブレードの主な発熱源となる2個のCPU68の表面に、熱伝導グリース又は熱伝導シートなどの伝熱部材69を介して接続されており、加えて、その他方の壁面(図の右側)には、上記各種のLSIやメモリなどの比較的発熱量の小さい素子63からの熱を輸送するヒートパイプ65が取り付けられた状態が示されている。なお、図の符号651は、これらヒートパイプ65を上記サーモサイフォン64上に取り付けるための接合部材であり、例えば、接着剤や接着テープを利用することが可能である。また、ここでは図示しないが、上記サーモサイフォン64の表面の一部に溝部などを予め形成しておき、当該溝部にヒートパイプを挿入して固定することも可能であろう。
そして、上述したサーモサイフォン64の内部には、例えば、水などの冷媒が、減(低)圧下で封入(封止)されており、これにより、その内部の冷媒は、主な発熱源であるCPU68からの熱、更には、各種のLSIやメモリなどの素子63からの熱により、上記沸騰部(又は、冷却部)641の沸騰部分(上記伝熱面646により取り囲まれた部分)において沸騰(蒸発)して気相となって上昇し、上記凝縮部(又は、熱的接続部)642に移動し、そこで熱をサーマルハイウェイ51に伝達して凝縮されて再び液体に戻り、上記凝縮液排除/案内フィン644に沿って沸騰部へ戻ることとなる。これを繰り返すことにより、ブレードの主な発熱部であるCPU68を含めた配線板62上の各種素子63からの熱は、効率的に集められて、上記のサーマルハイウェイ51へ輸送されることとなる。
<サーマルハイウェイ>
次に、添付の図6により、上記サーマルハイウェイ51内部の詳細な構造について説明する。このサーマルハイウェイ51も、上記サーモサイフォンと同様に、銅等の熱伝導率に優れた(高い)金属材料などから形成された板状のチャンバ(筐体)512を備えると共に、その内部空間には、液散布管(又は、液分配供給管)513を配置し、更に、その底面には、当該液散布管に沿って、多孔質体からなる気化促進体514が複数設けられている。そして、上記チャンバ(筐体)512の一部には、その内部で発生した冷媒の蒸気を以下にも説明する凝縮器55へ導くための配管515が取り付けられ、また、上記液散布管(又は、液分配供給管)513の一端には、上記凝縮器55から凝縮された液状冷媒を導くための配管516が取り付けられている。また、図における符号58は、上記凝縮器55からの凝縮液を強制的に液散布管513へ送り込むためのポンプ(飽和水ポンプ)を、そして、符号518は、上記液散布管513の下面側に形成されたノズル(噴流ノズル)を示しており、そして、この図からは、これらのノズル518が上記気化促進体514の位置に対応して形成されていることが分かる。
すなわち、上記サーマルハイウェイ51は、上述した複数のサーモサイフォン64から輸送される熱により、上記液散布管513から滴下される凝縮液をその気化促進体514を介して効率的に気化(蒸発)し、当該気化した冷媒蒸気を、配管515を介して、凝縮器55へ輸送する。即ち、この動作を繰り返すことにより、上記複数のサーモサイフォン64から輸送されたブレードからの大量の熱を、効率的に、凝縮器55へ輸送することとなる。
なお、上述したサーマルハイウェイ51は、その他、上記サーモサイフォン64やヒートパイプ65と同様に、そのチャンバ512内の圧力は、液状冷媒である純水のほぼ飽和蒸気圧力に保たれる。即ち、純水の飽和蒸気圧力は、100℃で101000Pa、60℃で19900Pa、50℃で12300Pa、40℃で7380Paであるので、チャンバ使用時の温度を40〜60℃とすると、チャンバ内は、大気圧(100℃の飽和蒸気圧)の約1/10程度に保たれることとなる。
<サーマルコネクタ>
サーマルコネクタ(熱伝導接触子)7(図3を参照)は、上述したブレード6をシャーシ5内に挿入してその取付けを行った際、ブレード側に設けられた上記サーモサイフォン64、特に、その凝縮部(又は、熱的接続部)642の上面と、上記サーマルハイウェイ51の底面との間を、熱的に良好に接続するために用いられる手段である。
例えば、添付の図7の上方にも示すように、このサーマルコネクタ7は、上記サーモサイフォン64の凝縮部642の上面に取り付けられた、例えば、銅、アルミニウム、カーボングラファイトなど、熱伝導率に優れた材料からなるバルーン701と、やはり、熱伝導率に優れた材料からなる板状部材702とから構成されている。上記バルーン701の内部には、熱伝導性のグリース703が充填されており、かつ、その一端(図の右端)には、Oリング704が設けられている。更に、バルーン701の下面とサーモサイフォン64の凝縮部642の上面との間には、熱伝導性の接着剤705が施されていると共に、その上面のサーマルハイウェイ51との接触面には、熱伝導性のグリース又はシート706が設けられている。
上述したサーマルコネクタ7によれば、図7の下方にも示すように、ブレード6をシャーシ5内に挿入することにより、Oリング704を介して、上記板状部材702がバルーン701の内部に挿入され、バルーン内部のグリースが加圧されてバルーン701が膨張(図の矢印を参照)し、もって、上記サーモサイフォン64と上記サーマルハイウェイ51との間に、熱的に良好に接続状態を確保することが可能になる。
<凝縮器>
凝縮器55は、ブレードサーバ内において、各ブレード6のCPUや各種のLSIを含めた、多数の発熱源からの熱を集めて輸送する上記サーマルハイウェイ51の熱を、更に、当該サーバの外部へ輸送するための手段を構成しており、その方式としては、例えば、添付の図8(A)に示す空冷式のもの(空冷凝縮器)や図8(B)に示す水冷式のもの(水冷凝縮器)が採用される。
まず、図8(A)に示す空冷凝縮器55は、図にも明らかなように、配管の間に多数のフィンを設けた凝縮器と、それに空気を供給するファン56とから構成されており、もって、後にも説明する外部の冷却システムである、例えば、フリークーリングシステムを構成するフリークーリング放熱器100(空冷式)へ、上記サーマルハイウェイ51の熱へ輸送する。
他方、図8(B)に示す水冷凝縮器55は、図にも明らかなように、その凝縮器内において、供給される液状冷媒に熱を伝達し、もって、後にも説明する外部の冷却システムであるフリークーリングシステムを構成するフリークーリング放熱器100(水冷式)へ、上記サーマルハイウェイ51からの熱へ輸送する。なお、図中の符号59は、上記サーマルハイウェイ51からの熱を上記フリークーリング放熱器へと輸送するポンプである。なお、上述したフリークーリング放熱器は、例えば、上記ブレードサーバを構成する裏扉4に設けられる。
続いて、上記に構成を説明した要素により構成される、本発明になる冷却システムの、電子装置の代表例であるブレードサーバにおける動作を、添付の図9を参照しながら説明する。
即ち、この図からも明らかなように、本発明によれば、各ブレード内では、ブレードサーバを構成する配線基板上に搭載された各種の発熱素子のうち、その主な発熱源であるCPU68、即ち、その発熱量が大きな素子は、各ブレード内に設けられたサーモサイフォン64に、直接、熱的に接続する。即ち、発熱量の大きい半導体デバイスであるCPU68は、上記サーモサイフォン64の冷却面に接触し、もって、その熱を、上記サーモサイフォンに、直接、輸送している。
他方、冷却の不必要な素子を除いて、上述した各種のLSIやメモリ素子などの発熱量の小さい半導体デバイスには、その一端がサーモサイフォン64に熱的に接続した設けられたヒートパイプ65の他端が接触して設けられており、もって、発熱量の小さい半導体デバイス63からの熱は、上記ヒートパイプ65を介して、やはり、サーモサイフォン64に輸送される。
そして、上記複数のヒートパイプ65からの熱と共に、その冷却面から直接輸送された熱を集めたサーモサイフォン64は、更に、その上部において熱的に接続されたサーマルハイウェイ(気化式熱輸送デバイス)51へ、その熱を輸送する。即ち、サーモサイフォン64は、その凝縮部(又は、熱的接続部)642を形成する上壁の外面をブレードシャーシ61の上部に露出しており、他方、サーマルハイウェイ51は、その下面を上記サーモサイフォン64の露出面に対向するように配置されており、その間の熱的接続を良好に確保している。更には、各ブレード6をシャーシ5内に挿入した際、各サーモサイフォン64をサーマルハイウェイ51へ熱的に接続するためのサーマルコネクタ(熱伝導接触子)7を設けることによれば、より良好な熱的接続を確保することが可能となる。即ち、本発明の冷却システムでは、従来のブレード表面に空気を流して空冷でCPU等の発熱体の冷却を行うことに代え、ヒートパイプやサーマルサイフォンによりその発熱を回収することから、冷却ファンの回転数を大幅に低減することが可能となり、省エネにもつながり、エコロジーの観点からも望ましい。
そして、このサーマルハイウェイ51は、上述した動作により、ブレードサーバの内部、特に、ラック1内に設けられた各シャーシ5内部の、複数のブレード60からの熱を集め、そして、当該熱を装置の外部へ輸送するための凝縮器55へ輸送することとなる。
即ち、図にも示したように、その発熱量が比較的に小さい素子等からの熱は、ヒートパイプ65を利用することにより、一旦、サーモサイフォン64に集めると共に、発熱量が大きなCPUについては、冷却能力のより大きな当該サーモサイフォン64に、直接、接続することにより、その発熱を集め、もって、これら多数のヒートパイプや熱サイフォンからの熱を、更に、強制的熱輸送の採用により大きな熱輸送能力を備えたサーマルハイウェイ51により、凝縮機55を介して、外部へ熱を効率的に輸送するものである。より具体的には、上記の機能を実現するため、上述したヒートパイプ65、サーモサイフォン64、そして、サーマルハイウェイ51は、その熱輸送量QTHにおいて、以下の関係となっている。
THヒートパイプ<QTHサーモサイフォン<QTHサーマルハイウェイ
また、上記サーモサイフォン64の蒸発部(又は、冷却部)641の表面には、上述したように、発熱量が大きなCPUが熱的に直接接続されて冷却されることから、従来のように、配線板62上に搭載されるCPUの配置を決定する際、ブレード内での空気の流れを確保するなどの制限を必要とせず、そのため、配線板上に搭載する素子の密度を高めることが可能となり(高密度化)、もって、ラックマウント方式のブレードサーバなどの電子装置の全体の小型化を可能にする。加えて、上記の説明からも明らかなように、電子装置を構成する各素子の冷却には、フリークーリングを利用することから、より省電力で安価な冷却を実現することが可能となる。
更に、以下には、上記に詳細を説明した本発明になる冷却システムからの熱を外気へ放熱するためのシステムである、所謂、フリークーリングシステム全体の概略について、添付の図10を参照しながら説明する。なお、上述したように、サーバ室200内に設置され、上述した本発明の冷却システムを内部に搭載した単数又は複数のブレードサーバ300からの熱は、上記図8(A)又は8(B)に示した空冷又は水冷の凝縮器55から、当該サーバ室の床面210に配置された配管220内の冷媒(二次冷媒)を介して、例えば、屋外に配置されたフリークーリングシステムへ輸送される。なお、このフリークーリングシステムは、本例では、例えば、図にも示すように、外気に熱を放出する外気冷却ユニットと共に、冷水−冷媒熱交換器を介して高効率熱源を含んだターボ冷凍器とを備えて構成されている。ここで、フリークーリングシステムとは、外気温度が低い場合は、クーリングタワーの水で、従って、外気冷熱を利用して、他方、外気温が高い場合には、冷凍機によって作られる冷水によって二次冷媒が冷やされるシステムを言う。
本発明の電子装置用冷却システムを採用したラックマウント方式のブレードサーバの外観斜視図である。 上記ブレードサーバのラック内に設けられるシャーシの一つを、その内部に挿抜可能なブレードと共に示す外観斜視図である。 上記シャーシ内に挿入されるブレードの一つを取り出して、その内部詳細を示す図である。 本発明の電子装置用冷却システムを構成するヒートパイプの構造の一例を示す断面図である。 本発明の電子装置用冷却システムを構成するサーモサイフォンの構造の一例を示す断面図である。 本発明の電子装置用冷却システムを構成するサーマルハイウェイの構造の一例を示す断面図である。 本発明の電子装置用冷却システムを構成するサーマルコネクタの構造の一例を示す断面図である。 本発明の電子装置用冷却システムを構成する凝縮器の構造の例を示す断面図である。 本発明になる冷却システムの、電子装置の代表例であるブレードサーバにおける動作を示す説明図である。 本発明になる冷却システムからの熱を外気へ放熱するためのシステムであるフリークーリングシステムの概略を示す説明図である。
符号の説明
1…ラック、2…筐体、3、4…蓋体、5…シャーシ、6…ブレード、51…サーマルハイウェイ、54…凝縮器、58…飽和水(戻し)ポンプ、61…ブレードシャーシ、62…配線板、63…発熱源、64…サーモサイフォン、65…ヒートパイプ、68…CPU(中央演算部)。

Claims (7)

  1. 電子回路基板上に複数の半導体デバイスを搭載し、当該電子回路基板を、複数、筐体内に着脱自在に装着した電子装置であって、更に、前記電子装置内に装着される複数の電子回路基板上の半導体デバイスを冷却する冷却システムを備えたものにおいて、
    前記各電子回路基板上には発熱量の異なる複数の半導体デバイスが搭載されており、
    前記冷却システムは、
    前記各電子回路基板毎に設けられ、かつ、前記電子回路基板上に搭載された前記複数の半導体デバイスのうち、比較的発熱量の大きな第1の半導体デバイスからの発熱を外部に輸送する第1の熱輸送部と、
    前記電子回路基板上において、前記第1の半導体デバイスより発熱の小さな第2の半導体デバイス毎に設けられ、当該第2の半導体デバイスの発熱を前記第1の熱輸送部へ輸送する第2の熱輸送部と、
    前記電子装置の筐体内に設けられ、前記電子回路基板の当該筐体内への装着により、前記第1の熱輸送部と熱的に接続され、もって、前記第1の熱輸送部及び前記第2の熱輸送部からの熱を集めて輸送する第3の熱輸送部と、
    前記第3の熱輸送部により集められて輸送された熱を、当該筐体の外部に輸送するための放熱部とを備えており、更に、
    前記第1の熱輸送部による熱輸送量は、前記第2の熱輸送部の熱輸送量よりも大きく、かつ、前記第3の熱輸送部の熱輸送量よりも小さく設定されていることを特徴とする電子装置。
  2. 前記請求項1に記載した電子装置において、前記各電子回路基板はそれぞれの筐体内に収納されており、かつ、前記第1の熱輸送部は、その一部を前記第1の半導体デバイスの表面に熱的に接続すると共に、他の一部を、当該筐体の上面に露出して配置されていることを特徴とする電子装置。
  3. 前記請求項2に記載した電子装置において、前記第3の熱輸送部は、その一部を、前記電子装置の筐体内において、前記第1の熱輸送部の露出面に対向するように配置されていることを特徴とする電子装置。
  4. 前記請求項3に記載した電子装置において、前記第1の熱輸送部の露出面と前記前記第3の熱輸送部の対向面との間に、サーマルコネクタを介在していることを特徴とする電子装置。
  5. 前記請求項4に記載した電子装置において、前記第2の熱輸送部は、その一端を前記第2の半導体デバイスの表面に熱的に接続すると共に、その他端を前記第1の熱輸送部の一面に熱的に接続していることを特徴とする電子装置。
  6. 前記請求項5に記載した電子装置において、前記第1の熱輸送部をサーモサイフォンにより構成し、前記第2の熱輸送部をヒートパイプで構成し、そして、前記第3の熱輸送部をサーマルハイウェイで構成したことを特徴とする電子装置。
  7. 前記請求項1〜6の何れか一に記載した電子装置であって、前記電子装置はラックマウント方式のブレードサーバであり、そして、前記電子回路基板は、それぞれ、当該ブレードサーバを構成するブレードであることを特徴とする電子装置。
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