JP2010078660A - 電気光学装置及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気光学装置のコントラストの低下を防止しつつ、耐光性や耐熱性を向上させ、且つ部品点数の削減や薄型化を可能とする。
【解決手段】電気光学装置は、一対の基板(10、20)と、一対の基板間に挟持された電気光学物質(150)と、一対の基板の少なくとも一方の基板の電気光学物質に対向する側に形成され、一方の基板の基板面に沿った面内で第1方位に傾き、且つ無機材料を含む複数の第1柱状構造物(211)を有する第1配向層(210)と、第1配向層の上層側に形成され、面内で第1方位に対して90度に近づく方位である第2方位に傾き、且つ無機材料を含む複数の第2柱状構造物(161)を有する第2配向層(16)とを備える。電気光学装置において、第1配向層及び第2配向層の各々に、電気光学物質の一部が含浸されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、例えば液晶等の電気光学物質を透過する光の位相差を補償する光学補償機能を備えた、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えて構成される、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
この種の装置では、電気光学物質における複屈折によって生じる光の位相差(或いは、位相ずれ)を、例えば位相差板等によって補償し、コントラストの低下を防止することが図られる。
この種の装置の一例としての液晶表示装置として、例えば特許文献1には、カラー表示を形成する三基本色の画素に対応して異なる位相差の3種の領域が分布する位相差板と、偏光板とからなる積層体を液晶セルの外側又は内側に有する液晶表示装置が開示されている。或いは、特許文献2には、互いに対向する上基板及び下基板間に液晶層を挟持し、1つのドット領域内に透過表示領域及び反射表示領域を有する半透過反射型の液晶表示装置が開示されている。ここでは特に、上基板の内面に設けられた位相差層のうち、反射表示領域の位相差層を構成する高分子液晶の配向状態と、透過表示領域の位相差層を構成する高分子液晶の配向状態とを互いに異ならせる技術が開示されている。
また、この種の装置に用いられる位相差フィルムとして、例えば、透明高分子フィルムの少なくとも片面に、正の屈折率異方性を有し且つ光学主軸がフィルムの法線方向から20度〜70度傾斜している、TiOを含んでなる斜方蒸着層を備える位相差フィルムが提案されている(特許文献3参照)。
特開平8−334619号公報 特開2004−226829号公報 特開平11−211914号公報
特許文献1及び3に開示されている技術では、部品点数の削減や薄型化が困難になる可能性があるという技術的問題点がある。また、特許文献2に開示されている技術では、高分子液晶の配向状態を決定する配向膜が有機材料によって構成されている。すると、この種の装置を、例えば液晶プロジェクタにおけるライトバルブとして用いる場合、強力な光源光により配向膜が劣化する可能性があるという技術的問題点がある。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、コントラストの低下を防止しつつ、耐光性や耐熱性を向上させ、且つ部品点数の削減や薄型化が可能な電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するために、一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された電気光学物質と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板の前記電気光学物質に対向する側に形成され、前記一方の基板の基板面に沿った面内で第1方位に傾き、且つ無機材料を含む複数の第1柱状構造物を有する第1配向層と、前記第1配向層の上層側に形成され、前記面内で第1方位に対して90度に近づく方位である第2方位に傾き、且つ無機材料を含む複数の第2柱状構造物を有する第2配向層とを備え、前記第1配向層及び前記第2配向層の各々に、前記電気光学物質の一部が含浸されている。
本発明の電気光学装置によれば、例えば液晶等である電気光学物質は、一対の基板間に挟持されている。第1配向層は、一対の基板の少なくとも一方の基板の電気光学物質に対向する側に形成されている。第1配向層は、一方の基板の基板面に沿った面内で第1方向に傾き、且つ、例えば一酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム(MgO)等の無機材料を含んでなる複数の第1柱状構造物を有している。
第2配向層は、第1配向層の上層側に形成されており、前記面内で第1方位に対して90度に近づく方位である第2方位に傾き、且つ、例えば二酸化珪素(SiO)等の無機材料を含んでなる複数の第2柱状構造物を有している。ここで、「第1方位に対して90度に近づく方位である第2方位」とは、第1方位と第2方位とが互いになす角が90度に近づくような方位を意味する。尚、第2配向層は、典型的には、一対の基板間に挟持される電気光学物質に対し、所定のプレティルトを与える。
電気光学物質の一部は、第1配向層及び第2配向層の各々に含浸されている。本発明の電気光学装置では、上述の如く、第1配向層及び第2配向層は、夫々、複数の第1柱状構造物及び複数の第2柱状構造物を有している。このため、第1配向層及び第2配向層の各々は、多孔質となる。そして、本発明に係る電気光学物質を構成する分子のサイズは、第1配向層及び第2配向層の各々に形成された孔のサイズ(即ち、複数の第1柱状構造物各々の相互間の距離、複数の第2柱状構造物各々の相互間の距離)より小さいため、孔の中に電気光学物質が浸入することとなる。
上述の如く、複数の第1柱状構造物が傾いている第1方位と、複数の第2柱状構造物が傾いている第2方位とが互いになす角は、90度に近づくように設定されている。そして、第1配向層及び第2配向層の各々には、電気光学物質が含浸されている。このため、第1配向層は該第1配向層に含浸された電気光学物質によって、第2配向層がプレティルトを与える電気光学物質によって生じる光の位相差を補償する光学補償層として機能することとなる。
複数の第1柱状構造物及び複数の第2柱状構造物は、無機材料を含んで形成されているので、電気光学装置の耐光性や耐熱性を向上させることができる。また、第1配向層は、一対の基板の少なくとも一方の基板と一体として形成されているため、別途位相差板等を設ける必要が無く、部品点数を削減することができる。更に、第1配向層に含まれる複数の第1柱状構造物は、例えば斜方蒸着や異方性スパッタ等により形成することができるので、第1配向層を比較的薄く形成することができる。
以上の結果、本発明の電気光学装置によれば、コントラストの低下を防止しつつ、耐光性や耐熱性を向上させ、且つ部品点数の削減や薄型化を実現することができる。
本発明の電気光学装置の一態様では、前記第1配向層の厚さは、前記電気光学物質の他の部分及び前記第2配向層に含浸された電気光学物質によって生じる光の位相差を補償するように設定されている。
この態様によれば、電気光学物質の他の部分及び第2配向層に含浸された電気光学物質によって生じる光の位相差を無くす、或いは低減することができる。ここで、第1配向層の厚さは、電気光学物質の他の部分及び第2配向層に含浸された電気光学物質によって生じる光の位相差を補償するように設定されている。より具体的には、第1配向層の厚さは、生じる光の位相差が、第1配向層に含浸された電気光学物質によって補償されるように設定されている。
尚、「補償するように」とは、多少なりとも生じる光の位相差を低減するようにという意味である。従って、第1配向層の厚さは、多少なりとも生じる光の位相差を低減するように、電気光学物質が第1配向層に浸入可能な厚さとして設定すればよい。例えばコントラストを向上させて高品質な画像を表示させるという観点からは、生じる光の位相差を無くすように、第1配向層の厚さが設定されることが望ましい。
尚、「電気光学物質の他の部分」とは、一対の基板間に挟持された電気光学物質のうち、第1配向層及び第2配向層のいずれにも含浸されない電気光学物質を意味する。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の第1柱状構造物の各々と前記基板面の法線とが互いになす角は、80度以上85度以下であり、前記複数の第2柱状構造物の各々と前記法線とが互いになす角は、45度以上65度以下である。
この態様によれば、第1柱状構造物と基板面の法線とが互いになす角は、80度以上85度以下である。言い換えれば、第1柱状構造物と基板面とが互いになす角は、5度以上10度以下である。他方、第2柱状構造物と法線とが互いになす角は、45度以上65度以下である。言い換えれば、第2柱状構造物と基板面とが互いになす角は、25度以上45度以下である。
このため、本発明に係る電気光学物質の一例として、誘電率異方性が負の液晶を用いれば、垂直配向モードの液晶表示装置を製造することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の第1柱状構造物は、一酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化マグネシウムのうち少なくとも一つを含んでなり、前記複数の第2柱状構造物は、二酸化珪素を含んでなる。
この態様によれば、比較的安価にして、当該電気光学装置を製造することができ、実用上非常に有利である。
本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像を表示可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、携帯オーディオプレーヤ、ワードプロセッサ、デジタルカメラ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル等の各種電子機器を実現できる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下図面を参照しながら、本発明に係る電気光学装置及び電子機器の各実施形態を説明する。尚、本実施形態では、電気光学装置の一例として、駆動回路内蔵型のTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリックス駆動方式の液晶装置を挙げる。
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に、対向基板の側から見た液晶装置の概略的な平面図であり、図2は、図1のH−H´断面図である。
図1及び図2において、液晶装置は、対向配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とから構成されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、例えばシール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
TFTアレイ基板10上における、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101及びサンプリング回路7、走査線駆動回路104、外部回路接続端子102が夫々形成される。
TFTアレイ基板10上における周辺領域において、シール領域より外周側に、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が、TFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、TFTアレイ基板10上の周辺領域のうちシール領域より内側に位置する領域には、TFTアレイ基板10の一辺に沿う画像表示領域10aの一辺に沿って且つ額縁遮光膜53に覆われるようにしてサンプリング回路7が配置される。
また、走査線駆動回路104は、TFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間を電気的に接続するため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域において、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、上下導通端子106が配置されると共に、このTFTアレイ基板10及び対向基板20間には上下導通材が上下導通端子106に対応して該端子106に電気的に接続されて設けられる。
図2において、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aには、画素スイッチング用素子としてのTFTや走査線、データ線等の配線上に画素電極9aが、更にその上には、光学補償層210(図示せず)及び配向膜16が形成されている。尚、本実施形態では、画素スイッチング素子はTFTの他、各種トランジスタ或いはTFD等により構成されてもよい。
他方、対向基板20上の画像表示領域10aには、格子状又はストライプ状の遮光膜23が形成され、この遮光膜23上(図2中遮光膜23より下側)に、液晶層50を介して複数の画素電極9aと対向する対向電極21が形成され、更に、光学補償層220(図示せず)及び配向膜22が形成される。
液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。そして、液晶装置の駆動時、夫々に電圧が印加されることで、画素電極9aと対向電極21との間には液晶保持容量が形成される。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等が形成されていてもよい。
尚、本実施形態に係る「TFTアレイ基板10」及び「対向基板20」は、本発明に係る「一対の基板」の一例である。また、本実施形態に係る「光学補償層210」及び「光学補償層220」は、本発明に係る「第1配向層」の一例であり、本実施形態に係る「配向膜16」及び「配向膜22」は、本発明に係る「第2配向層」の一例である。また、本実施形態に係る「液晶」は、本発明に係る「電気光学物質」の一例である。
尚、液晶装置は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)であってもよい。LCOSは、単結晶Si基板上にCMOS構造のMOSFETを形成し、その上に液晶層を形成するタイプの液晶ディスプレイである。一般的には、基板が光を透過しないのでLCDモードは反射型となる。MOSFETは、画素部のスイッチング素子に用いられる他、データ線駆動回路等の周辺駆動回路や必要に応じて信号制御のコントロール回路にも用いられる場合がある。トランジスタの構造は、Si基板にLSIプロセスでn型及びp型のMOSFETを形成するものである。反射型であることから、画素電極には、光の反射率向上のため、Al電極を用いることが多い。
次に、配向膜及び光学補償層について、図3を参照して説明する。図3は、図2と同趣旨の、図1のH−H´線断面図である。尚、以降の図においては、説明の便宜上、図2で示した液晶装置の詳細な部材については適宜省略し、直接関連のある部材のみを示す。また、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
図3に示すように、TFTアレイ基板10の液晶層50と対向する側には、光学補償層210及び配向膜16が積層されている。他方、対向基板20の液晶層50と対向する側には、光学補償層220及び配向膜22が積層されている。尚、光学補償層は、TFTアレイ基板10及び対向基板20のうち少なくとも一方に設けられていればよい。
次に、配向膜及び光学補償層について、図4乃至図7を参照して、詳細に説明する。ここに、図4は、TFTアレイ基板上に形成された柱状構造物が傾いている方位を示す概念図である。図5は、図4のA−A´線断面図であり、図6は、図4のB−B´線断面図である。図7は、図5の一部を拡大して示す拡大断面図である。
尚、図4中に示す矢印a1は、後述する光学補償層210を構成する柱状構造物211が、TFTアレイ基板10の基板面に沿う面内において傾いている方位を示している。他方、矢印a2は、後述する配向膜16を構成する柱状構造物161が、前記面内において傾いている方位を示している。
図5及び図6に示すように、光学補償層210は、例えばSiO、Al、TiO、MgO等の無機材料を含んでなる複数の柱状構造物211を備えて構成されている。また、配向膜16は、例えばSiO等の無機材料を含んでなる複数の柱状構造物161を備えて構成されている。即ち、配向膜16は、無機配向膜である。ここに、本実施形態に係る「柱状構造物211」及び「柱状構造物161」は、夫々、本発明に係る「第1柱状構造物」及び「第2柱状構造物」の一例である。
尚、ここでは図示しないが、対向基板20に形成された光学補償層220及び配向膜22も、夫々、光学補償層210及び配向膜16と同様に構成されている。
図5及び図6に示すように、柱状構造物161及び211は、TFTアレイ基板10の基板面に対して、夫々傾いている。図5に示すように、柱状構造物211と、TFTアレイ基板10の基板面の法線とが互いになす角は、θ1である。他方、図6に示すように、柱状構造物161と、TFTアレイ基板10の基板面の法線とが互いになす角は、θ2である。ここで、角度θ1は、例えば80度以上85度以下であり、角度θ2は、例えば45度以上65度以下である。
また、図4に示すように、TFTアレイ基板10の基板面に沿う面内において、柱状構造物211が傾いている方位を示す矢印a1と、柱状構造物161が傾いている方位を示す矢印a2とが互いになす角は、例えば90度である。
図7に示すように、光学補償層210を構成する複数の柱状構造物211各々の間、及び配向膜16を構成する複数の柱状構造物161各々の間には、例えば誘電率異方性が負の液晶分子150が浸入している。この結果、配向膜16がプレティルトを与える液晶分子150によって生じる位相差を、光学補償層210に含浸された液晶分子150(即ち、複数の柱状構造物211各々の間に侵入した液晶分子150)によって補償することができる。
次に、光学補償層の厚さとコントラスト比について、図8を参照して説明する。ここに、図8は、光学補償層の厚さとコントラスト比との関係の一例を示す特性図である。
図8に示す特性図を取得するための液晶装置は、先ず、TFTアレイ基板及び対向基板の各々の上に、Alを基板法線に対して82度の角度で蒸着し、光学補償層を構成する複数の柱状構造物を形成する。続いて、該形成された光学補償層の上に、SiOを基板法線に対して50度の角度で70nm(ナノメートル)積層して、配向膜を構成する柱状構造物を形成する。
次に、TFTアレイ基板及び対向基板間の距離が3μm(マイクロメートル)になるように、シール材を介して互いに貼り合わせる。続いて、屈折率異方性Δnが0.15であるネガ液晶を、TFTアレイ基板及び対向基板間に注入して、液晶装置が作成される。
尚、作成された液晶装置おける配向膜がネガ液晶に与えるプレティルト角は85度であり、液晶層において生じる光の位相差は、約20nmである。
図8に示すように、光学補償層の厚さが約250nmである場合に、コントラスト比が最も良くなることが分かる。従って、光学補償層によって、液晶層において生じる光の位相差が補償されていると結論付けることができる。
<電子機器>
次に、図9を参照しながら、上述した液晶装置を電子機器の一例であるプロジェクタに適用した場合を説明する。上述した液晶装置は、プロジェクタのライトバルブとして用いられている。図9は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
図9に示すように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等の構成を有しており、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像は、液晶パネル1110Gによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図9を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。 図1のH−H´線断面図である。 図1のH−H´線断面図である。 TFTアレイ基板上に形成された柱状構造物が傾いている方位を示す概念図である。 図4のA−A´線断面図である。 図4のB−B´線断面図である。 図5の一部を拡大して示す拡大断面図である。 光学補償層の厚さとコントラスト比との関係の一例を示す特性図である。 電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
符号の説明
10…TFTアレイ基板、16、22…配向膜、20…対向基板、50…液晶層、150…液晶分子、161、211…柱状構造物、210、220…光学補償層

Claims (5)

  1. 一対の基板と、
    前記一対の基板間に挟持された電気光学物質と、
    前記一対の基板の少なくとも一方の基板の前記電気光学物質に対向する側に形成され、前記一方の基板の基板面に沿った面内で第1方位に傾き、且つ無機材料を含む複数の第1柱状構造物を有する第1配向層と、
    前記第1配向層の上層側に形成され、前記面内で第1方位に対して90度に近づく方位である第2方位に傾き、且つ無機材料を含む複数の第2柱状構造物を有する第2配向層と
    を備え、
    前記第1配向層及び前記第2配向層の各々に、前記電気光学物質の一部が含浸されている
    ことを特徴とする電気光学装置。
  2. 前記第1配向層の厚さは、前記電気光学物質の他の部分及び前記第2配向層に含浸された電気光学物質によって生じる光の位相差を補償するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記複数の第1柱状構造物の各々と前記基板面の法線とが互いになす角は、80度以上85度以下であり、
    前記複数の第2柱状構造物の各々と前記法線とが互いになす角は、45度以上65度以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
  4. 前記複数の第1柱状構造物は、一酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化マグネシウムのうち少なくとも一つを含んでなり、
    前記複数の第2柱状構造物は、二酸化珪素を含んでなる
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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