JP2008209693A - 液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスクリネーションの発生を防ぎながらコントラストの高い表示を液晶のプレチルト角を自由に制御して実現することができる液晶装置を提供する。
【解決手段】TFT基板の画素電極9上に形成された多孔質シリカ膜30と、多孔質シリカ膜30上に、該多孔質シリカ膜30に対して設定角度傾いて形成された液晶50を配向させる柱状構造物60と、を具備し、多孔質シリカ膜30と柱状構造物60とにより、液晶50を、所定のプレチルト角θ3を有して配向させる配向膜16を構成していることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】TFT基板の画素電極9上に形成された多孔質シリカ膜30と、多孔質シリカ膜30上に、該多孔質シリカ膜30に対して設定角度傾いて形成された液晶50を配向させる柱状構造物60と、を具備し、多孔質シリカ膜30と柱状構造物60とにより、液晶50を、所定のプレチルト角θ3を有して配向させる配向膜16を構成していることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、第1の基板と該第1の基板に対向する第2の基板との間に液晶が介在された液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器に関する。
周知のように、例えば光透過型の液晶装置は、ガラス基板、石英基板等からなる2枚の基板間に液晶が介在されて構成されている。
また、液晶装置は、一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと称す)等のスイッチング素子及び画素電極をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両基板間に介在された液晶層による光学応答を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能としている。
また、TFTを配置したTFT基板と、このTFT基板に相対して配置される対向基板とは、別々に製造される。TFT基板及び対向基板は、例えば石英基板上に、所定のパターンを有する半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜を積層することによって構成される。層毎に各種膜の成膜工程とフォトリソグラフィ工程を繰り返すことによって形成されるのである。
このようにして形成されたTFT基板及び対向基板は、パネル組立工程において高精度(例えばアライメント誤差1μm以内)に貼り合わされる。このパネル組立工程の一例を説明すると、先ず、各基板の製造工程において夫々製造されたTFT基板の画素電極上、及び対向基板の対向電極上に、液晶分子を基板面に沿って配向させるための、例えばSiO2等から構成された無機配向膜が形成される。
無機配向膜は、プレチルト角に相当する所定の角度を以て、対象基板に複数本、柱状構造物として蒸着されて形成されることにより、形成後、ラビング処理を不要として、液晶のプレチルト角を規定することができる。尚、このような無機配向膜の形成方法は、斜方蒸着法と称される。
次いで、例えば液晶封入方式により、TFT基板と対向基板との間に液晶が介在される場合には、TFT基板と対向基板との一方の基板上に、接着剤となるシール材が、一部に注入口となる切り欠きを有するよう略周状に塗布され、このシール材が用いられてTFT基板に対し、対向基板が貼り合わされる。
次いで、アライメントが施されてそれぞれ圧着硬化された後、真空下においてTFT基板のシール材の注入口の近傍に、規定量の液晶がそれぞれ滴下され、その後、大気解放されることにより、注入口を介して液晶がTFT基板と対向基板との間にそれぞれ注入され、最後に、注入口が、封止材により封止されて、液晶装置が製造される。
ところで、上述した斜方蒸着法によって形成された無機配向膜により、例えば液晶を垂直配向させる際、画素電極または対向電極に垂直な面に対して、液晶のプレチルト角を小さく設定すると、無機配向膜による液晶のアンカリング力が弱くなるため、液晶分子の配列乱れ、所謂ディスクリネーションが発生しやすいといった問題があった。
よって、通常は、液晶のプレチルト角がディスクリネーションの発生が防げる角度となるよう、無機配向膜を構成する複数本の柱状構造物が設定された角度に斜方蒸着されている。
ところが、液晶のプレチルト角を、ディスクリネーションの発生が防げる角度に設定すると、今度は、液晶装置における表示画像のコントラストが低下してしまうといった問題があった。尚、以上の問題は、無機配向膜により液晶を水平配向させる場合であっても同様である。
このような問題に鑑み、特許文献1には、無機配向膜を、多孔質SOG膜から成る無機多孔質膜から構成することにより、液晶を垂直配向させる際、無機多孔質膜に形成された複数の細孔の方向に沿って液晶の配向を規定して、液晶のアンカリングを高めてディスクリネーションの発生を防ぐとともに、画素電極または対向電極に垂直な面に対して、液晶のプレチルト角を小さく設定することにより、表示画像の高コントラストを実現することができる液晶装置が開示されている。
特開2004−69870号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、無機多孔質膜に対して、該膜の膜厚方向において、画素電極または対向電極に垂直な方向に形成された複数の細孔により、液晶の配向を規定することから、電圧無印加の際は、液晶は、画素電極または対向電極に垂直な方向に配向されてしまう、即ち画素電極または対向電極に垂直な面に対してプレチルト角を殆ど有さないよう配向されてしまう。
よって、液晶のプレチルト角を自由に制御出来ないため、液晶に対し電圧を印加した際、液晶の倒れ方向を規定することができないことから、表示不良が発生してしまう場合があるばかりか、やはりディスクリネーションが発生しやすいといった問題があった。
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、ディスクリネーションの発生を防ぎながらコントラストの高い表示を液晶のプレチルト角を自由に制御して実現することができる液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る液晶装置は、第1の基板と該第1の基板に対向する第2の基板との間に液晶が介在された液晶装置であって、前記第1の基板と前記第2の基板との少なくとも一方の基板の電極上に形成された多孔質シリカ膜と、前記多孔質シリカ膜上に、該多孔質シリカ膜に対して設定角度傾いて形成された前記液晶を配向させる柱状構造物と、を具備し、前記多孔質シリカ膜と前記柱状構造物とにより、前記液晶を、所定のプレチルト角を有して配向させる配向膜を構成していることを特徴とする。
本発明によれば、多孔質シリカ膜と柱状構造物とによりプレチルト角を自由に制御できるとともに、液晶は、多孔質シリカ膜により、アンカリング力が強められていることから、多孔質シリカ膜と柱状構造物とによりプレチルト角を、ディスクリネーションが生じ難くかつコントラストの高い表示を実現することができる角度に設定できる液晶装置を提供することができる。
また、前記プレチルト角は、前記電極に対する前記液晶の傾きにより規定され、前記傾きは、前記多孔質シリカ膜に形成された前記多孔質シリカ膜の膜厚方向において前記電極に対して垂直に貫通されて形成された複数の孔の方向と、前記柱状構造物による前記液晶の配向方向との挟み角の中間方向に規定されることを特徴とする。
本発明によれば、多孔質シリカ膜と柱状構造物とにより、液晶のプレチルト角を規定する電極に対する液晶の傾きは、多孔質シリカ膜の複数の孔の方向と、柱状構造物による液晶の配向方向との挟み角の中間方向に規定できることにより、液晶は、多孔質シリカ膜の複数の孔により、多孔質シリカ膜の膜厚方向において電極に対して垂直な方向にアンカリング力が強められていることから、多孔質シリカ膜と柱状構造物とによりプレチルト角を、ディスクリネーションが生じ難くかつコントラストの高い表示を実現することができる角度に設定できる液晶装置を提供することができる。
さらに、前記多孔質シリカ膜と前記柱状構造物とは、前記液晶を、前記電極に対して垂直な面に対し前記プレチルト角を有して垂直配向させる前記配向膜であり、前記柱状構造物は、SiO2から構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、多孔質シリカ膜とSiO2から構成された柱状構造物とによりプレチルト角を自由に制御することができるとともに、垂直配向される液晶は、多孔質シリカ膜により、アンカリング力が強められていることから、多孔質シリカ膜とSiO2から構成された柱状構造物とにより垂直配向される液晶のプレチルト角を、ディスクリネーションが生じ難くかつコントラストの高い表示を実現することができる角度に設定できる液晶装置を提供することができる。
また、前記多孔質シリカ膜と前記柱状構造物とは、前記液晶を、前記電極に対し前記プレチルト角を有して水平配向させる前記配向膜であり、前記柱状構造物は、Al2O3、SiO、MgF2又はTiO2から構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、多孔質シリカ膜と、Al2O3、SiO、MgF2又はTiO2から構成された柱状構造物とによりプレチルト角を自由に制御することができるとともに、水平配向される液晶は、多孔質シリカ膜により、アンカリング力が強められていることから、多孔質シリカ膜と、Al2O3、SiO、MgF2又はTiO2から構成された柱状構造物とにより水平配向される液晶のプレチルト角を、ディスクリネーションが生じ難くかつコントラストの高い表示を実現することができる角度に設定できる液晶装置を提供することができる。
本発明に係る液晶装置の製造方法は、第1の基板と該第1の基板に対向する第2の基板との間に液晶が介在された液晶装置の製造方法であって、前記第1の基板と前記第2の基板との少なくとも一方の基板の電極上に多孔質シリカ前駆体溶液をそれぞれ塗布する塗布工程と、前記多孔質シリカ前駆体溶液が塗布された基板を加熱して、前記多孔質シリカ前駆体溶液に複数の孔を形成して、前記多孔質シリカ前駆体溶液から多孔質シリカ膜を形成する加熱工程と、前記多孔質シリカ膜上に、前記液晶を配向させる柱状構造物を、前記多孔質シリカ膜に対して設定角度傾くよう形成する柱状構造物形成工程と、を具備していることを特徴とする。
本発明によれば、電極上に多孔質シリカ前駆体溶液を塗布した後、加熱工程によって多孔質シリカ膜を形成し、該多孔質シリカ膜上に柱状構造物を形成することにより、形成後の多孔質シリカ膜と柱状構造物とによりプレチルト角を自由に制御することができるとともに、液晶は、形成後の多孔質シリカ膜により、アンカリング力が強められることから、多孔質シリカ膜と柱状構造物とによりプレチルト角をディスクリネーションが生じ難くかつコントラストの高い表示を実現することができる角度に設定できる液晶装置の製造方法を提供することができる。
本発明に係る電子機器は、請求項1〜請求項4にいずれか1項に記載の液晶装置を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、多孔質シリカ膜と柱状構造物とによりプレチルト角を自由に制御することができるとともに、液晶は、多孔質シリカ膜により、アンカリング力が強められていることから、多孔質シリカ膜と柱状構造物とによりプレチルト角を、ディスクリネーションが生じ難くかつコントラストの高い表示を実現することができる角度に設定できる液晶装置を具備する電子機器を提供することができる。
以下、図面を参照にして本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態において液晶装置は、光透過型の液晶装置を例に挙げて説明する。
また、液晶装置において対向配置される一対の基板の内、一方の基板は、第1の基板である素子基板(以下、TFT基板と称す)を、また他方の基板は、TFT基板に対向する第2の基板である対向基板を例に挙げて説明する。
図1は、本実施の形態の液晶装置の平面図、図2は、図1中のII-II線に沿って切断した断面図である。
図1、図2に示すように、液晶装置1は、例えば、石英基板やガラス基板等を用いたTFT基板10と、該TFT基板10に対向配置される、例えばガラス基板や石英基板等を用いた対向基板20との間に、液晶50が介在されて構成される。対向配置されたTFT基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。
TFT基板10の液晶50と接する領域に、液晶装置1の表示領域40を構成するTFT基板10の表示領域10hが構成されている。また、表示領域10hに、画素を構成するとともに、後述する対向電極21とともに液晶50に駆動電圧を印加する、透明電極、例えば既知のITOから構成された画素電極9がマトリクス状に配置されている。
また、対向基板20の液晶50と接する領域に、液晶50に画素電極9とともに駆動電圧を印加する透明電極、例えば既知のITOから構成された対向電極21が設けられており、対向電極21の表示領域10hに対向する領域に、液晶装置1の表示領域40を構成する対向基板20の表示領域20hが構成されている。
TFT基板10の画素電極9上に、無機配向膜から構成された配向膜16が設けられており、また、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上にも、無機配向膜から構成された配向膜26が設けられている。
配向膜16、26は、例えば液晶50を画素電極9、対向電極21に対してそれぞれ垂直な面に対し所定のプレチルト角θ3(図3参照)を有して垂直配向させるものである。尚、配向膜16、26の構成は、後述する。
また、TFT基板10の表示領域10hにおいては、複数本の図示しない走査線と複数本の図示しないデータ線とが交差するように配線され、走査線とデータ線とで区画された領域に画素電極9がマトリクス状に配置される。そして、走査線とデータ線との各交差部分に対応して図示しない薄膜トランジスタ(TFT)が設けられ、このTFT毎に画素電極9が電気的に接続されている。
TFTは走査線のON信号によってオンとなり、これにより、データ線に供給された画像信号が画素電極9に供給される。この画素電極9と対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。
対向基板20に、液晶装置1の表示領域40を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。
液晶50がTFT基板10と対向基板20との間に、既知の液晶注入方式で注入される場合、シール材52は、シール材52の1辺の一部において欠落して塗布されている。
シール材52の欠落した箇所は、該欠落した箇所から貼り合わされたTFT基板10及び対向基板20との間において、シール材52により囲まれた領域に液晶50を注入するための切り欠きである液晶注入口108を構成している。液晶注入口108は、液晶注入後、封止剤109によって封止される。
シール材52の外側の領域に、TFT基板10の図示しないデータ線に画像信号を所定のタイミングで供給して該データ線を駆動するドライバであるデータ線駆動回路101と外部回路との接続のための外部接続端子102とが、TFT基板10の液晶注入口108が位置する1辺に沿って設けられている。尚、外部接続端子102は、対向基板20に設けられていても構わない。
外部接続端子102に、液晶装置1を、プロジェクタ等の電子機器と電気的に接続する、図示しない特定の長さを有する柔軟なフレキシブル配線基板(Flexible Printed Circuits、以下FPCと称す)の一端が接続される。FPCの他端がプロジェクタ等の電子機器に接続されることにより、液晶装置1と電子機器とは電気的に接続される。
外部接続端子102が設けられたTFT基板10の1辺に隣接する2辺に沿って、TFT基板10の図示しない走査線及びゲート電極に、走査信号を所定のタイミングで供給することにより、ゲート電極を駆動するドライバである走査線駆動回路103、104が設けられている。走査線駆動回路103、104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置において、TFT基板10上に形成されている。
また、TFT基板10上に、データ線駆動回路101、走査線駆動回路103、104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成されている。そして、TFT基板10と対向基板20相互間に、下端が上下導通端子107に接触し上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられており、該上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
次に、上述した配向膜16の構成を、図3を用いて説明する。図3は、図2の画素電極上に形成された配向膜の構成を、配向膜によって垂直配向される液晶とともに概略的に示す部分断面図である。尚、配向膜26の構成は、配向膜16の構成と同様であるため、以下、配向膜16の構成を主に説明する。
図3に示すように、配向膜16は、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とにより構成されている。尚、図示しないが、配向膜26も、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とにより構成されている。
詳しくは、画素電極9上に、多孔質シリカ膜30が形成されており、多孔質シリカ膜30に、該多孔質シリカ膜30の膜厚方向において、画素電極9に対して垂直に貫通されたnm(ナノメートル)サイズの複数の孔31が形成されている。
尚、図示しないが、対向電極21上に形成された多孔質シリカ膜30にも、該多孔質シリカ膜30の膜厚方向において、対向電極21に対して垂直に貫通されたnm(ナノメートル)サイズの複数の孔31が形成されている。
複数の孔31は、液晶50に対して強固なアンカリング力を有するとともに、複数の孔31に入り込んだ液晶50を、孔の貫通方向であるα方向、即ち、画素電極9、対向電極21に対してそれぞれ垂直な方向に配向させる。
また、多孔質シリカ膜30上に、該多孔質シリカ膜30に対し設定角度θ1傾くよう、例えばSiO2から構成された複数の柱状構造物60が、上述した斜方蒸着法により形成されている。
複数の柱状構造物60は、液晶50を、設定角度θ1を有して斜方蒸着された複数の柱状構造物60に沿って、β方向に配向させるものである。よって、複数の柱状構造物60の設定角度θ1を可変することにより、液晶50の配向方向βを自由に可変することができる。即ち、複数の柱状構造物60は、周知の無機配向膜と同様の構成を有している。
以上のように構成された多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とにより構成された配向膜16によって垂直配向される液晶50の画素電極9に対し垂直な面に対する液晶50のプレチルト角θ3を規定する傾きは、図3に示すように、多孔質シリカ膜30に形成された複数の孔31による液晶50の配向方向αと、複数の柱状構造物60による液晶50の配向方向βとの挟み角θ2の中間方向γに規定される。
尚、図示しないが、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とにより構成された配向膜26によって垂直配向される液晶50の対向電極21に対し垂直な面に対するプレチルト角θ3を規定する傾きも、多孔質シリカ膜30に形成された複数の孔31による液晶50の配向方向αと、複数の柱状構造物60による液晶50の配向方向βとの挟み角θ2の中間方向γに規定される。
次に、図1〜図3のように構成された液晶装置の製造方法、具体的には、液晶装置1における配向膜16、26の形成方法について、図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。尚、配向膜16、26の形成方法以外の液晶装置の製造方法については、周知であるため、その説明は省略する。
図4に示すように、先ず、ステップS1において、既知の半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜を積層することによって複数の薄膜が形成されたTFT基板10の画素電極9上及び対向基板20の対向電極21上に、例えば株式会社アルバック製ISM−1.5から構成された多孔質シリカ前駆体溶液を塗布する塗布工程を行う。
次いで、ステップS2において、多孔質シリカ前駆体溶液が塗布されたTFT基板10、対向基板20を加熱して焼成することにより、多孔質シリカ前駆体溶液から多孔質シリカ膜30を形成する加熱工程を行う。
加熱工程の結果、多孔質シリカ膜30に、該多孔質シリカ膜30の膜厚方向において、画素電極9、対向電極21に対してそれぞれ垂直に貫通される、例えばnm(ナノメートル)サイズの複数の孔31が形成される。
最後に、ステップS3において、多孔質シリカ膜30上に、該多孔質シリカ膜30に対し設定角度θ1傾くよう、例えばSiO2から複数の柱状構造物60を、上述した斜方蒸着法により形成する。
尚、本実施の形態においては、プレチルト角θ3を規定する液晶50の傾きを、上述したように、配向方向αと配向方向βとの挟み角θ2の中間方向γに規定することから、最終的なプレチルト角θ3を考慮して、複数の柱状構造物60を、画素電極9、対向電極21に対して垂直な面に対し、従来の無機配向膜のみで液晶のプレチルト角を規定する場合に比べ、それぞれ大きな角度となるよう斜方蒸着する。
このように、本実施の形態においては、配向膜16、26は、複数の孔31が形成された多孔質シリカ膜30と、該多孔質シリカ膜30上に、斜方蒸着法により多孔質シリカ膜30に対し設定角度θ1傾くよう形成された複数の柱状構造物60とにより構成されていると示した。
また、配向膜16、26によってそれぞれ垂直配向される液晶50の画素電極9、対向電極21に対して垂直な面に対するプレチルト角θ3を規定する傾きは、多孔質シリカ膜30に形成された複数の孔31の貫通方向、即ち、複数の孔31による液晶50の配向方向αと、複数の柱状構造物60による液晶50の配向方向βとの挟み角θ2の中間方向γに規定されると示した。
このことによれば、垂直配向される液晶50は、複数の柱状構造物60の設定角度θ1を可変するのみで、複数の柱状構造物60の配向方向βを可変でき、中間方向γを可変することができるため、液晶50のプレチルト角θ3を自由に制御することができる。
また、多孔質シリカ膜30の複数の孔31により、多孔質シリカ膜30の膜厚方向において画素電極9、対向電極21に対してそれぞれ垂直な方向となる複数の孔31による配向方向αにアンカリング力が強められていることから、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とにより自由に制御可能なプレチルト角θ3を、ディスクリネーションが生じ難くかつコントラストの高い表示を実現することができる角度に設定できる液晶装置1及び液晶装置1の製造方法を提供することができる。
以下、変形例を、図5を用いて示す。図5は、図2の画素電極上に形成された配向膜の構成を、配向膜によって水平配向される液晶とともに概略的に示す部分断面図である。
本実施の形態においては、配向膜16、26は、液晶50を画素電極9、対向電極21に対してそれぞれ垂直な面に対し所定のプレチルト角θ3を有して垂直配向させると示した。
これに限らず、配向膜16、26は、液晶50を、画素電極9、対向電極21に対してそれぞれ所定のプレチルト角θ6を有して水平配向させても構わない。以下、図5を用いて具体例を示す。
図5に示すように、多孔質シリカ膜30上に、該多孔質シリカ膜30に対し設定角度θ4傾くよう、例えばAl2O3、SiO、MgF2又はTiO2から構成された複数の柱状構造物60が、上述した斜方蒸着法により形成されている。尚、多孔質シリカ膜30の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
複数の柱状構造物60は、液晶50を、多孔質シリカ膜30に対して設定角度θ4を有して斜方蒸着された複数の柱状構造物60に沿って、δ方向に配向させるものである。即ち、複数の柱状構造物60は、周知の無機配向膜と同様の構成を有している。
以上のように構成された多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とにより構成された配向膜16によって水平配向される液晶50の画素電極9に対するプレチルト角θ6を規定する傾きは、図5に示すように、多孔質シリカ膜30に形成された複数の孔31による液晶50の配向方向αと、複数の柱状構造物60による液晶50の配向方向δとの挟み角θ5の中間方向εに規定される。
尚、図示しないが、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とにより構成された配向膜26によって水平配向される液晶50の対向電極21に対するプレチルト角θ6を規定する傾きも、多孔質シリカ膜30に形成された複数の孔31による液晶50の配向方向αと、複数の柱状構造物60による液晶50の配向方向δとの挟み角θ5の中間方向εに規定される。
このように、配向膜16、26によって水平配向される液晶50の画素電極9、対向電極21にそれぞれ対するプレチルト角θ6を規定する傾きを、多孔質シリカ膜30に形成された複数の孔31の貫通方向、即ち、複数の孔31による液晶50の配向方向αと、複数の柱状構造物60による液晶50の配向方向δとの挟み角θ5の中間方向εに規定すれば、水平配向される液晶50は、複数の柱状構造物60の設定角度θ4を可変するのみで、複数の柱状構造物60の配向方向δを可変でき、中間方向εを可変することができるため、液晶50のプレチルト角θ6を自由に制御することができる。
また、多孔質シリカ膜30の複数の孔31により、多孔質シリカ膜30の膜厚方向において画素電極9、対向電極21に対してそれぞれ垂直な方向となる複数の孔31による配向方向αにアンカリング力が強められる。よって、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とにより自由に制御可能なプレチルト角θ6を、ディスクリネーションが生じ難くかつコントラストの高い表示を実現することができる角度に設定できる液晶装置1及び液晶装置1の製造方法を提供することができる。尚、その他の効果は、上述した実施の形態と同様である。
また、以下、別の変形例を示す。
本実施の形態においては、配向膜16、26は、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とから構成されていると示した。
これに限らず、配向膜16と配向膜26とのいずれか一方のみを、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とから構成しても構わないということは勿論である。具体的には、配向膜16のみを、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とから構成した場合、配向膜26は、通常の無機配向膜、即ち、複数の柱状構造物60のみから構成しても構わない。または、配向膜26のみを、多孔質シリカ膜30と複数の柱状構造物60とから構成した場合、配向膜16は、通常の無機配向膜、即ち、複数の柱状構造物60のみから構成しても構わない。
また、液晶装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した液晶装置は、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールを例に挙げて説明したが、これに限らず、TFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールであっても構わない。
また、液晶装置は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等であっても構わない。LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスタを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
さらに、本発明の液晶装置が用いられる電子機器としては、投写型表示装置、具体的には、プロジェクタが挙げられる。図6は、図1の液晶装置が3つ配設されたプロジェクタの構成を示す図である。
同図に示すように、プロジェクタ1100に、液晶装置1は、各々RGB用のライトバルブとして、例えば3つ(1R,1G,1B)配設されている。
プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投写光が発せされると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ1R,1G,1Bに各々導かれる。
この際、特にB光は、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。
そして、ライトバルブ1R,1G,1Bにより各々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投写レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投写される。
1…液晶装置、9…画素電極、10…TFT基板、16…配向膜、20…対向基板、21…対向電極、26…配向膜、30…多孔質シリカ膜、31…複数の孔、50…液晶、60…柱状構造物、1100…プロジェクタ、θ1…設定角度、θ2…挟み角、θ3…プレチルト角、θ4…設定角度、θ5…挟み角、θ6…プレチルト角、α…孔の方向、β…柱状構造物による液晶の配向方向、γ…中間方向、δ…柱状構造物による液晶の配向方向、ε…中間方向。
Claims (6)
- 第1の基板と該第1の基板に対向する第2の基板との間に液晶が介在された液晶装置であって、
前記第1の基板と前記第2の基板との少なくとも一方の基板の電極上に形成された多孔質シリカ膜と、
前記多孔質シリカ膜上に、該多孔質シリカ膜に対して設定角度傾いて形成された前記液晶を配向させる柱状構造物と、
を具備し、
前記多孔質シリカ膜と前記柱状構造物とにより、前記液晶を、所定のプレチルト角を有して配向させる配向膜を構成していることを特徴とする液晶装置。 - 前記プレチルト角は、前記電極に対する前記液晶の傾きにより規定され、
前記傾きは、前記多孔質シリカ膜に形成された前記多孔質シリカ膜の膜厚方向において前記電極に対して垂直に貫通されて形成された複数の孔の方向と、前記柱状構造物による前記液晶の配向方向との挟み角の中間方向に規定されることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。 - 前記多孔質シリカ膜と前記柱状構造物とは、前記液晶を、前記電極に対して垂直な面に対し前記プレチルト角を有して垂直配向させる前記配向膜であり、
前記柱状構造物は、SiO2から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。 - 前記多孔質シリカ膜と前記柱状構造物とは、前記液晶を、前記電極に対し前記プレチルト角を有して水平配向させる前記配向膜であり、
前記柱状構造物は、Al2O3、SiO、MgF2又はTiO2から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。 - 第1の基板と該第1の基板に対向する第2の基板との間に液晶が介在された液晶装置の製造方法であって、
前記第1の基板と前記第2の基板との少なくとも一方の基板の電極上に多孔質シリカ前駆体溶液をそれぞれ塗布する塗布工程と、
前記多孔質シリカ前駆体溶液が塗布された基板を加熱して、前記多孔質シリカ前駆体溶液に複数の孔を形成して、前記多孔質シリカ前駆体溶液から多孔質シリカ膜を形成する加熱工程と、
前記多孔質シリカ膜上に、前記液晶を配向させる柱状構造物を、前記多孔質シリカ膜に対して設定角度傾くよう形成する柱状構造物形成工程と、
を具備していることを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の液晶装置を具備したことを特徴とする電子機器。
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---|---|---|---|
JP2007046593A JP2008209693A (ja) | 2007-02-27 | 2007-02-27 | 液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器 |
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---|---|---|---|---|
JP2010078660A (ja) * | 2008-09-24 | 2010-04-08 | Seiko Epson Corp | 電気光学装置及び電子機器 |
JP2011158530A (ja) * | 2010-01-29 | 2011-08-18 | Seiko Epson Corp | 液晶装置、液晶装置の製造方法 |
JP2013104990A (ja) * | 2011-11-14 | 2013-05-30 | Seiko Epson Corp | 液晶装置および電子機器 |
JP2014059498A (ja) * | 2012-09-19 | 2014-04-03 | Seiko Epson Corp | 液晶装置、液晶装置の製造方法及びプロジェクター |
-
2007
- 2007-02-27 JP JP2007046593A patent/JP2008209693A/ja not_active Withdrawn
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