JP2010077828A - 内燃機関のオイル劣化抑制装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オイルに含まれる清浄分散剤の消費を抑制し、スラッジの生成さらにはオイルの劣化を抑制する。
【解決手段】シリンダ内壁22或いはその近傍に、スラッジプリカーサを焼却するための焼却部材20を設ける。シリンダ内壁に沿って流下するオイル及びブローバイガス中のスラッジプリカーサを焼却部材で焼却でき、スラッジプリカーサのオイルへの混入を未然に防止できる。これにより清浄分散剤の消費を抑制し、スラッジの生成さらにはオイルの劣化を抑制できる。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダ内壁22或いはその近傍に、スラッジプリカーサを焼却するための焼却部材20を設ける。シリンダ内壁に沿って流下するオイル及びブローバイガス中のスラッジプリカーサを焼却部材で焼却でき、スラッジプリカーサのオイルへの混入を未然に防止できる。これにより清浄分散剤の消費を抑制し、スラッジの生成さらにはオイルの劣化を抑制できる。
【選択図】図1
Description
本発明は内燃機関のオイル劣化抑制装置に係り、特に、スラッジの主因となるスラッジプリカーサの消失に好適な内燃機関のオイル劣化抑制装置に関する。
自動車用等の内燃機関において、潤滑油たるオイルの劣化を抑制し、オイルのライフを長期化すると共にオイル交換の頻度を少なくする要請が常に存在する。オイルは使用につれスラッジが徐々に混入し、このスラッジが混入したオイルは粘度増加や添加剤消費により、潤滑剤として十分に機能しにくくなる。このため、オイル中へのスラッジ混入を可能な限り抑制する必要がある。
スラッジは、オイル中に含まれるオレフィンと、ブローバイガス若しくは燃焼ガスに含まれるNOxやSOxと、水とを主成分とし、これら主成分が熱や酸の力で反応し、スラッジプリカーサやスラッジバインダといった前駆物質を経て生成される。スラッジは視覚的には泥或いはヘドロ状の物質である。
このうち、スラッジプリカーサは、オイル中に混入した不純物の一種であって、スラッジの主因となるものである。スラッジプリカーサは、燃料中のオレフィンやアロマなどの炭化水素と、ブローバイガス若しくは燃焼ガス中のNOx、SOx、H2Oなどが熱により反応してできる物質であり、カルボニル基やニトロ基、ベンゼン核、硫酸塩、燐、金属摩耗粉を含む重合体である。大きさは70〜1000nm程度で、分子量は300以下である。スラッジプリカーサ同士が重合し、分子量の大きい不溶解分となり、不溶解分は凝集若しくは沈殿してスラッジとなる。特に燃焼室内の燃料の一部が完全燃焼せず、受熱により分子構造が変化しスラッジプリカーサとなることがある。
一方、エンジンオイルでは、その1〜2割程度を添加剤が占めており、添加剤には清浄分散剤が含まれている。清浄分散剤は例えば過塩基性金属フェネートやポリアルケニルこはく酸イミドを含む。オイル中にスラッジプリカーサが混入すると、スラッジプリカーサが清浄分散剤により取り囲まれてオイル中に浮遊、分散するようになる。
オイル劣化抑制のため、特許文献1では、オイルクーラの冷却管内に電極と濾材を設け、オイルが冷却管内を通過する際にオイル中のスラッジやスラッジプリカーサといった不純物を帯電させ、濾材で捕捉している。
しかしながら、特許文献1に記載の技術によると、不純物を捕捉すると同時に清浄分散剤も捕捉されてしまい、オイル中の清浄分散剤の量ないし濃度が低下するという清浄分散剤消費の問題がある。また、清浄分散剤の量ないし濃度が低下した結果、スラッジプリカーサ分散機能も低下し、オイル中でスラッジプリカーサが重合、凝集、沈殿しやすくなり、スラッジの生成ひいてはオイルの劣化を促進する問題もある。
そこで本発明は、上述の課題に鑑みて創案され、その目的は、清浄分散剤の消費、スラッジの生成さらにはオイルの劣化を抑制することができる内燃機関のオイル劣化抑制装置を提供することにある。
本発明によれば、シリンダ内壁或いはその近傍に、スラッジプリカーサを焼却するための焼却部材を設けたことを特徴とする内燃機関のオイル劣化抑制装置が提供される。
かかる構成によれば、シリンダ内壁に沿って流下するオイル中のスラッジプリカーサと、ピストン・シリンダ間の隙間から漏れ出てシリンダ内壁に沿って流下するブローバイガス中のスラッジプリカーサを、焼却部材で焼却することができる。これにより、スラッジプリカーサのオイル中への混入を未然に防止し、オイルに含まれる清浄分散剤の消費を抑制すると共に、スラッジの生成さらにはオイルの劣化を抑制することができる。
好ましくは、前記焼却部材は、前記シリンダ内壁の最下部或いはその近傍に設けられる。これによりシリンダ内壁に沿って流下するオイル及びブローバイガス中のスラッジプリカーサを最大限焼却することができる。
好ましくは、前記焼却部材は、断熱材を介してシリンダブロックに埋設される。これにより焼却部材の加熱時におけるシリンダブロックの溶損を防止できる。
代替的に、前記焼却部材は、支持部材を介してシリンダブロックに離間して取り付けられてもよい。こうするとシリンダ内壁に付着しているオイルをスラッジプリカーサと一緒に焼却してしまうことを防止でき、オイルの消費を抑制することができる。
好ましくは、前記焼却部材は電熱線からなる。こうすることで焼却部材の作動・非作動の制御や温度制御を電気的に容易に行えるとともに、設置容易、構成単純、低コスト等の利点がある。
好ましくは、スラッジプリカーサ焼却後のガスを吸気通路に環流させるための環流通路が設けられる。
スラッジプリカーサはその大部分が炭化水素からなるため、これを焼却するとCO2、NOx、SOx等のガスとH2O(水蒸気)が発生する。このうち特にNOx、SOxはH2Oと反応して硝酸や硫酸を生成し、オイル酸化の原因をなすと共にスラッジプリカーサ、スラッジバインダといった前駆物質を生成させる原因となる。当該環流通路を設けると、スラッジプリカーサ焼却後のガスを環流通路を通じて吸気通路に環流させ、燃焼室内で燃焼させることができ、当該焼却後ガスを好適に後処理することができると共に、当該ガスに起因するさらなるオイル劣化を確実に抑制することができる。
好ましくは、前記焼却部材の少なくとも作動・非作動を制御する焼却制御手段が設けられ、前記焼却制御手段は、検出水温が所定値以下のときに前記焼却部材を作動させる。
まだエンジンが十分に暖まっていない冷間時では、シリンダ内壁に燃料が付着しやすいため、当該燃料でオイルを希釈させやすい状況にある。しかしながら、検出水温が所定値以下のときに焼却部材を作動させるようにすると、当該付着燃料を焼却部材で焼却できるため、オイル希釈を大幅に抑制することができる。
好ましくは、吸気負圧に応じて前記環流通路を開閉するPCVバルブと、前記焼却部材の少なくとも作動・非作動を制御する焼却制御手段とが設けられ、前記焼却制御手段は、スロットルバルブが所定開度以上のときに前記焼却部材を非作動とする。
スロットル開度が大きい高負荷運転時では吸気負圧が非常に小さいため、PCVバルブが閉となってスラッジプリカーサ焼却後のガスを吸気通路に環流させることができないことがある。この状態でスラッジプリカーサの焼却を継続すると焼却ガスによりエンジンに悪影響を与える可能性がある。しかしながら、スロットルバルブが所定開度以上のときに焼却部材を非作動とすれば、焼却ガスの発生を防止してエンジンを保護することができる。
好ましくは、前記焼却部材の少なくとも作動・非作動を制御する焼却制御手段が設けられ、前記焼却制御手段は、前記内燃機関のフューエルカット時に前記焼却部材を非作動とする。
内燃機関の減速時等のフューエルカット時には、燃料噴射が行われず、ブローバイガスが発生しない。よってブローバイガスに起因するスラッジプリカーサも発生しないので、このときに焼却部材を非作動とすれば、焼却部材を加熱するエネルギを無駄に消費することを回避できる。
好ましくは、前記焼却部材は、多気筒内燃機関の各気筒に設けられ、
前記各気筒の焼却部材の少なくとも作動・非作動を個別に制御する焼却制御手段が設けられ、
前記焼却制御手段は、燃焼行程にある気筒の焼却部材を作動させ、他の行程にある気筒の焼却部材を非作動とする。
前記各気筒の焼却部材の少なくとも作動・非作動を個別に制御する焼却制御手段が設けられ、
前記焼却制御手段は、燃焼行程にある気筒の焼却部材を作動させ、他の行程にある気筒の焼却部材を非作動とする。
燃焼行程では、燃焼室内での燃料の燃焼により燃焼室内の温度が上昇し、スラッジプリカーサが生成しやすい環境となる。よって、燃焼行程にある気筒の焼却部材を作動させ、他行程にある気筒の焼却部材を非作動とすることにより、燃焼行程気筒で生成されたスラッジプリカーサを焼却できると同時に、他行程気筒での無駄なオイル焼却やエネルギ消費を避けられ、効率よくスラッジプリカーサを焼却することができる。
本発明によれば、清浄分散剤の消費、スラッジの生成さらにはオイルの劣化を抑制することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明の好適実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1には第1実施形態に係る内燃機関の断面図が概略的に示されている。図示されるように、エンジン1はシリンダブロック2と、ピストン3と、シリンダブロック2の下部に設けられたクランクケース4と、シリンダブロック2の上部に設けられたシリンダヘッド5と、シリンダヘッド5の上部に設けられてこれを上方から覆うヘッドカバー6と、クランクケース4の下部に設けられてこれを下方から覆うオイルパン7とを備える。本実施形態ではシリンダブロック2とクランクケース4が一体に形成されているが、別体で形成されてもよい。シリンダブロック2にはシリンダ23が画成され、このシリンダ23内でピストン3が昇降する。
シリンダヘッド5上には動弁室8が画成され、動弁室8は具体的にはシリンダヘッド5とヘッドカバー6により画成され、両者に囲まれた空間からなる。動弁室8には、吸気ポートPi及び排気ポートPeをそれぞれ開閉する吸気弁Vi及び排気弁Veと、吸気弁Vi及び排気弁Veをそれぞれ閉方向に付勢するバルブスプリング(図示せず)と、吸気弁Vi及び排気弁Veをそれぞれ開方向に駆動する吸気カムシャフトCi及び排気カムシャフトCeとが設けられる。動弁室8には図示しないオイル供給口から動弁系潤滑のためのオイルが供給されている。
他方、クランクケース4とオイルパン7によりクランク室9が画成され、クランク室9にはクランクシャフト(図示せず)が設けられると共に、その底部にオイル(図示せず)が貯留される。
吸気通路10にはスロットルバルブ11とエアフィルタ12が設けられている。スロットルバルブ11の下流側にはサージタンク13が設けられ、多気筒内燃機関であるエンジン1の各気筒の吸気ポートPiにサージタンク13から吸気を分配するようになっている。各気筒の排気ポートPeには排気通路(図示せず)が接続される。
本実施形態のエンジンは車両用火花点火式内燃機関(具体的にはガソリンエンジン)であり、吸気ポートに燃料噴射するインジェクタInと、シリンダヘッド5に取り付けられた点火プラグ(図示せず)とを有するが、エンジンの種類、気筒数、用途等に特に限定はない。エンジンは圧縮着火式内燃機関(具体的にはディーゼルエンジン)であってもよい。
クランク室9とサージタンク13はブローバイガス通路14により接続、連通されている。ブローバイガス通路14は、クランク室9内のブローバイガスを吸気通路10特にサージタンク13に送るための通路である。ブローバイガス通路14、特にその入口部には、吸気負圧の大きさ、即ち負荷に応じて開度が変更されるPCVバルブ15が設けられる。なおPCVとはPositive Crankcase Ventilationの略称である。他方、動弁室8と、スロットルバルブ11より上流側の吸気通路10とは、動弁室側新気通路17により接続、連通されている。本実施形態では動弁室側新気通路17はエアフィルタ12の直後の位置に接続されている。
シリンダブロック2とシリンダヘッド5には、これらを上下に貫通する孔2A,5Aが設けられ、この孔2A,5Aにより、動弁室8とクランク室9とを連通するオイル落とし通路18が形成される。このオイル落とし通路18は好ましくは本実施形態のように複数設けられる。オイル落とし通路18は、動弁系の潤滑を終えてシリンダヘッド5上に滞留したオイルをクランク室9及びオイルパン7へ向けて落とすための通路である。
特に、シリンダブロック2のシリンダ内壁22には、スラッジプリカーサを焼却するための焼却部材が設けられている。焼却部材は本実施形態の場合電熱線20からなり、シリンダ内壁22の最下部の位置で、断熱材21を介してシリンダブロック2に埋設されている。ここでシリンダ内壁22が、シリンダブロック2に一体化されたシリンダライナによって画成されることがあるが、この場合でもシリンダライナはシリンダブロック2の一部として、本発明にいうシリンダブロックに含まれる。電熱線20は好ましくはニクロム線(Ni−Cr合金)からなり、断熱材21は好ましくはセラミックからなる。
図2に電熱線20周辺の構造を拡大して示す。図示するように、断熱材21は、全体形状がリング状であり、シリンダ内壁22の下端のコーナー部をなすようにシリンダブロック2に埋設されると共に、シリンダ23内或いはシリンダ23の中心に向かって開放された周溝24を有する。周溝24は、断熱材21の長手方向即ちシリンダ内壁22の周方向に沿って1周されており、この周溝24内に電熱線20が配置且つ固定されている。電熱線20も周溝24に沿って1周されている。電熱線20及び断熱材21は、シリンダ内壁24と面一となるように配置され、シリンダ内壁22に沿って流下してきたオイルやブローバイガスに含まれるスラッジプリカーサを電熱線20により効率的に焼却するようになっている。
図3には電熱線20の結線状態を示す。図示するように、本実施形態のエンジンは4気筒であり、これら各気筒に電熱線20が設けられている。各気筒の電熱線20は直列に接続され、当該電熱線列の一端が電子制御ユニット(以下ECUという)50を介してバッテリ51に接続され、他端がグランドGNDに接続されている。ECU50は電熱線列の作動・非作動、即ちオン(通電)・オフ(非通電)を制御し、また供給電流を制御して電熱線列の温度制御をも行う。電熱線列に電流が供給されることで各気筒の電熱線20は瞬時に且つ同時に加熱可能である。なお本実施形態ではバッテリ51の正極をECU50を介して電熱線20に接続し、バッテリ51の負極をグランドGNDに接続してアースしている。
図1に戻って、エンジン1には、その冷却水の温度を検出するための水温センサ30が設けられている。水温センサ30の信号は先のECU50に送られる。ECU50は、エンジン運転状態に応じてインジェクタInと点火プラグも制御し、またスロットルバルブ11が電子制御式の場合はスロットルバルブ11も制御する。
かかる構成によれば、シリンダ内壁22に焼却部材たる電熱線20を設けたので、シリンダ内壁22に沿って流下するオイル中のスラッジプリカーサと、ピストン・シリンダ間の隙間から漏れ出てシリンダ内壁22に沿って流下するブローバイガス中のスラッジプリカーサを、通電により加熱された電熱線20で焼却することができる(なおオイルとブローバイガスの流れ方向を図2に矢示する)。これにより、スラッジプリカーサのオイル中への混入を未然に防止し、オイルに含まれる清浄分散剤の消費を抑制すると共に、スラッジの生成ひいてはオイルの劣化を未然に防止することができる。さらにシリンダ内壁22に付着した燃料があればこれも焼却できるので、シリンダ内壁22に付着したオイルの燃料による希釈も抑制でき、当該希釈によるオイルの劣化や粘度低下を抑制することができる。
また、電熱線20がシリンダ内壁22の最下部に設けられているので、シリンダ内壁22に沿って流下するオイル及びブローバイガス中のスラッジプリカーサを電熱線20で最大限焼却することができる。
電熱線20が断熱材21を介してシリンダブロック2に埋設されているので、電熱線20の加熱時におけるシリンダブロック2の溶損を確実に防止できる。また焼却部材を電熱線20から形成したので、そのオンオフや温度制御を電気的に容易に行えるとともに、設置容易、構成単純、低コスト等の利点がある。
ここで、スラッジプリカーサはその大部分が炭化水素からなるため、これを焼却するとCO2、NOx、SOx等のガスとH2O(水蒸気)が発生する。このうち特にNOx、SOxはH2Oと反応して硝酸や硫酸を生成し、オイル酸化の原因をなすと共にスラッジプリカーサ、スラッジバインダといった前駆物質を生成させる原因となるので、好ましくないものである。しかしながら、本実施形態によれば、スラッジプリカーサ焼却後のガスをブローバイガス通路14を通じて吸気通路10、特にサージタンク13に環流させ、最終的に燃焼室内で燃焼させることができる。よって当該焼却後ガスを好適に後処理することができ、当該ガスに起因するさらなるオイル劣化を確実に防止することができる。
この説明で分かるように、ブローバイガス通路14が本発明にいう環流通路をなすものである。
なお、スラッジプリカーサ焼却後、その燃えカスが残ることも考えられるが、それでもスラッジプリカーサの大部分がガスとして吸気通路に環流されるため、トータルでのスラッジプリカーサの分子量が大幅に低減し、たとえ燃えカスがオイル中に混入したとしても従来に比べるとスラッジプリカーサによるオイルへの悪影響は著しく減殺される。また、本実施形態の場合、焼却後ガスの環流効果はPCVバルブ15が開となっている場合に限り得られる。PCVバルブ15は、エンジンの常用域である低中負荷時に開弁し、高負荷時には閉弁するものである。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図4に第2実施形態に係る構成を示す。図示するように、この第2実施形態では電熱線周辺の構成が前記第1実施形態と異なるのみで、他の構成は前記第1実施形態と同様である。
この第2実施形態では、電熱線20が、シリンダ内壁22(特にその最下部)の近傍に設けられ、支持部材25を介してシリンダブロック2に離間して取り付けられている。即ち、1気筒当たりに複数の、ステーからなる支持部材25が、シリンダ周方向に所定間隔で設けられ、支持部材25の基端部がシリンダブロック2に固定され、支持部材25の先端部に電熱線20が固定されている。支持部材25はシリンダ内壁22の下面22Aからシリンダ中心に向かって斜め下に伸長される。結果的に電熱線20は、シリンダ内壁22の下端コーナー部から僅かに斜め下の位置に離間して配置される。本実施形態では、シリンダ内壁22のシリンダ軸方向のほぼ延長線上に電熱線20の外周端縁が位置するよう、電熱線20が配置されている。
この構成によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を発揮できるが、これに加えて次のような作用効果も発揮できる。即ち、前記第1実施形態では電熱線20がシリンダ内壁22に直接設けられているため、シリンダ内壁22に付着しているオイルも一緒に焼却してしまう虞があるが、本実施形態では電熱線20がシリンダ内壁22から離間されているため、当該付着オイルの焼却を抑制し、オイルの消費を抑制すると共に、シリンダ内壁22に沿って流下するブローバイガス中のスラッジプリカーサを選択的に焼却できる。また、断熱材21の代わりにより安価な支持部材25を用いればよいので、コスト的にも有利である。
次に、第3実施形態について説明する。図5に示すように、本実施形態は前記実施形態と電熱線20の結線状態が異なり、各気筒の電熱線20はECU50に並列に接続されている。各気筒の電熱線20の一端がECU50に接続され、ECU50はバッテリ51からの電力を各気筒の電熱線20に個別に供給し、各気筒の電熱線20のオン・オフと温度とを個別に制御する。各気筒の電熱線20の他端はそれぞれグランドGNDに接続されている。なお、その他の点は第1実施形態と同様である。
ECU50は、次の(a)〜(d)の制御のうち、少なくとも一つ、好ましくは全てを実行する。
(a)燃焼行程にある気筒の電熱線20をオンし、他の行程(吸気行程、圧縮行程又は排気行程)にある気筒の電熱線20をオフする。
(b)水温センサ30により検出された水温が所定値以下のときに全気筒の電熱線20をオンする。
(c)スロットルバルブ11が所定開度以上のときに全気筒の電熱線20をオフする。なお、スロットルバルブ11の開度は図示しないスロットル開度センサにより検出される。
(d)エンジン1の減速時等のフューエルカット(燃料噴射停止)時に全気筒の電熱線20をオフする。
(a)燃焼行程にある気筒の電熱線20をオンし、他の行程(吸気行程、圧縮行程又は排気行程)にある気筒の電熱線20をオフする。
(b)水温センサ30により検出された水温が所定値以下のときに全気筒の電熱線20をオンする。
(c)スロットルバルブ11が所定開度以上のときに全気筒の電熱線20をオフする。なお、スロットルバルブ11の開度は図示しないスロットル開度センサにより検出される。
(d)エンジン1の減速時等のフューエルカット(燃料噴射停止)時に全気筒の電熱線20をオフする。
(a)に関し、燃焼行程では、燃焼室内での燃料の燃焼により燃焼室内の温度が上昇し、スラッジプリカーサが生成しやすい環境となる。よって、燃焼行程にある気筒の電熱線20のみをオンし、他行程にある気筒の電熱線20をオフすることにより、燃焼行程気筒で生成されたスラッジプリカーサを焼却できると同時に、他行程気筒での無駄なオイル焼却や電力消費を避けられ、効率よくスラッジプリカーサを焼却することができる。
(b)に関し、まだエンジンが十分に暖まっていない冷間時では、シリンダ内壁22に燃料が付着しやすいため、当該燃料でオイルを希釈させやすい状況にある。しかしながら(b)の制御によれば、全気筒の電熱線20をオンして当該付着燃料を電熱線20で焼却できるため、オイル希釈を大幅に抑制することができる。従って上記水温の所定値は、かかる燃料付着が問題となるような温度範囲の最大値として設定される。
(c)に関し、スロットル開度が大きい高負荷運転時(全開も含む)にあっては、吸気負圧が非常に小さく、PCVバルブ15が閉となって、スラッジプリカーサ焼却後のガスを吸気通路に環流させることができない。この状態でスラッジプリカーサの焼却を継続すると焼却ガスによりエンジンに悪影響を与える可能性がある。従って、このときに全気筒の電熱線20をオフし、焼却ガスの発生を防止してエンジンを保護するようにしている。
(d)に関し、エンジン1の減速時等のフューエルカット時には、燃料噴射が行われず、ブローバイガスが発生しない。よってブローバイガスに起因するスラッジプリカーサも発生しないので、全気筒の電熱線20をオフし、電力の無駄な消費を回避するようにしている。
なお(b)、(c)及び(d)の制御は前記第1及び第2実施形態とも組み合わせ可能である。また(a)〜(d)の制御は前記第2実施形態とも組み合わせ可能である。また多気筒エンジンにおける(b)〜(d)の制御は、全気筒一律にオン・オフしないで一部気筒のみオン・オフすることも可能である。
以上、本発明の好適実施形態を述べたが、本発明は上記以外の実施形態を採ることも可能である。例えば、焼却部材は電熱線に限らず、他の部材を用いることが可能であり、例えば高温流体が流れる管路や触媒により形成してもよい。また焼却部材は必ずしもシリンダ内壁の最下部或いはその近傍に設ける必要はなく、ピストン、コンロッド及びクランクシャフトとの干渉がなければ任意の位置に配置可能である。この意味で焼却部材は少なくともピストンの可動範囲より下の位置に設置すればよい。焼却部材はシリンダ周方向に1周する必要は必ずしもなく、シリンダ周方向に間欠的に或いは不連続に設けてもよく、さらにはシリンダ周方向の一箇所のみに設けてもよい。焼却部材は電熱ブロック等で形成することも可能である。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 エンジン
2 シリンダブロック
4 クランクケース
5 シリンダヘッド
6 ヘッドカバー
7 オイルパン
9 クランク室
10 吸気通路
11 スロットルバルブ
14 ブローバイガス通路
17 動弁室側新気通路
20 電熱線
22 シリンダ内壁
23 シリンダ
21 断熱材
25 支持部材
30 水温センサ
50 電子制御ユニット(ECU)
51 バッテリ
2 シリンダブロック
4 クランクケース
5 シリンダヘッド
6 ヘッドカバー
7 オイルパン
9 クランク室
10 吸気通路
11 スロットルバルブ
14 ブローバイガス通路
17 動弁室側新気通路
20 電熱線
22 シリンダ内壁
23 シリンダ
21 断熱材
25 支持部材
30 水温センサ
50 電子制御ユニット(ECU)
51 バッテリ
Claims (10)
- シリンダ内壁或いはその近傍に、スラッジプリカーサを焼却するための焼却部材を設けたことを特徴とする内燃機関のオイル劣化抑制装置。
- 前記焼却部材は、前記シリンダ内壁の最下部或いはその近傍に設けられることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
- 前記焼却部材は、断熱材を介してシリンダブロックに埋設されることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
- 前記焼却部材は、支持部材を介してシリンダブロックに離間して取り付けられることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
- 前記焼却部材は電熱線からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
- スラッジプリカーサ焼却後のガスを吸気通路に環流させるための環流通路を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
- 前記焼却部材の少なくとも作動・非作動を制御する焼却制御手段が設けられ、
前記焼却制御手段は、検出水温が所定値以下のときに前記焼却部材を作動させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。 - 吸気負圧に応じて前記環流通路を開閉するPCVバルブと、前記焼却部材の少なくとも作動・非作動を制御する焼却制御手段とが設けられ、
前記焼却制御手段は、スロットルバルブが所定開度以上のときに前記焼却部材を非作動とすることを特徴とする請求項6記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。 - 前記焼却部材の少なくとも作動・非作動を制御する焼却制御手段が設けられ、
前記焼却制御手段は、前記内燃機関のフューエルカット時に前記焼却部材を非作動とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。 - 前記焼却部材は、多気筒内燃機関の各気筒に設けられ、
前記各気筒の焼却部材の少なくとも作動・非作動を個別に制御する焼却制御手段が設けられ、
前記焼却制御手段は、燃焼行程にある気筒の焼却部材を作動させ、他の行程にある気筒の焼却部材を非作動とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
Priority Applications (1)
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JP2008244372A JP2010077828A (ja) | 2008-09-24 | 2008-09-24 | 内燃機関のオイル劣化抑制装置 |
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ID=42208538
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2008
- 2008-09-24 JP JP2008244372A patent/JP2010077828A/ja active Pending
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WO2013057768A1 (ja) * | 2011-10-20 | 2013-04-25 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関のオイル劣化判定装置 |
CN103890332A (zh) * | 2011-10-20 | 2014-06-25 | 丰田自动车株式会社 | 内燃机的油劣化判定装置 |
JPWO2013057768A1 (ja) * | 2011-10-20 | 2015-04-02 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関のオイル劣化判定装置 |
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