JP2010077473A - 白金ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多面体形状の白金ナノ粒子をカーボン担体に効率よく生成させることができる白金ナノ粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】カーボン担体と、分散媒と、白金を含む白金化合物と、カーボン担体の表面に吸着可能な吸着剤と、白金の結晶の特定の部位をキャッピング可能なキャッピング剤とを準備する。カーボン担体と分散媒と白金化合物と吸着剤とが混合する第1混合液を形成する。その後、第1混合液とキャッピング剤とが混合す第2混合液を形成する。第2混合液を還元処理して白金ナノ粒子を生成させると共に白金ナノ粒子をカーボン担体に担持させる。
【選択図】図1

Description

本発明はナノサイズの多面体形状をもつ白金ナノ粒子を製造する製造方法に関する。
近年、多面体形状をもつ白金ナノ粒子は、不定形の白金ナノ粒子に比較し、触媒活性等の性能が優れていることが知られている。そこで、非特許文献1および2によれば、白金錯体を用い、液相還元法により白金ナノ粒子を合成させる際に、ポリアクリル酸ナトリウムをキャピング剤として用い、ポリアクリル酸ナトリウムを白金結晶核の結晶の特定の面へ選択的に吸着させてキャピング処理し、結晶の特定の面の成長を抑制し、逆に、白金結晶核の他の面への成長を促すことにより、反応活性が高い面(100面と推察される)をもつ多面体形状の白金ナノ粒子を合成させる技術が開示されている。このものでは、ポリアクリル酸ナトリウムは、これを構成する側鎖のカルボニル基が白金表面と吸着することでキャピング剤として働くと記載されている。
非特許文献3は、ポリアクリル酸ナトリウムの他に、ヨウ化ナトリウム(NaI)を添加し、反応活性が高い面(100面と推察される)をもつ多面体形状の白金粒子を製造する技術が開示されている。
特許文献1には、塩化白金酸カリウムとポリアクリル酸ナトリウムとを水に溶解して水溶液を形成する工程、水溶液に水素をバブリングすることにより白金コロイド溶液を生成させる工程と、白金コロイド溶液にカーボンブラックを添加する工程と、その後、白金コロイド溶液のpHを3〜12に調整し、コロイド粒子をカーボンブラックの粒子に吸着させる工程と、コロイド粒子を吸着したカーボンブラックを液から分離させる工程とを順に実施し、立方体形状または正四面体形状の白金粒子をカーボンブラックの粒子の表面に担持させる方法が知られている。
特許文献2には、白金化合物の溶液と、陽イオンまたは陰イオンで形成された特異吸着化学種と、ポリアクリル酸ナトリウムとを混合する工程と、白金化合物の溶液からの析出により白金結晶を成長させる工程とを含む白金ナノ粒子の製造方法が知られている。特許文献2の実施例によれば、塩化白金酸溶液にポリアクリル酸ナトリウム水溶液を加え、その後、ヨウ化ナトリウム水溶液または硫酸ナトリウム水溶液を加えて混合液を形成し、その後、混合液に水素ガスを吹き込むことにより塩化白金酸の還元を実施している。
Chemistry of Materials,8(1966) 1161-1163 Electrochimica Acta,52(2006) 1632-1638 燃料電池,Vol.5,No.3(2006) 69-72頁 特開2002−42825号公報 特開2007−131926号公報
上記した技術によれば、多面体形状の白金粒子を製造することができると記載されている。更に、産業界では、多面体形状の白金ナノ粒子をカーボンブラック等のカーボン担体に効率よく生成させることができる製造方法が要望されている。
上記した特許文献2では、水素をバブリングして白金ナノ粒子を生成させた白金コロイド溶液に、カーボンブラックを混合させる。このように白金ナノ粒子を生成させた後の白金コロイド溶液にカーボンブラックを混合させるため、カーボンブラックの粒子と白金ナノ粒子とが距離的に分離されやすいおそれがある。
この場合、白金ナノ粒子同士が凝集して粒径が大きくなるだけでなく、露出結晶面も変わってしまうおそれがある。また、非特許文献1〜3および特許文献3は、白金ナノ粒子自体の生成に関する技術であり、白金ナノ粒子をカーボンブラック等のカーボン担体の表面に生成させて担持させる技術ではない。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、多面体形状の白金ナノ粒子をカーボン担体の表面に効率よく生成させて担持させることができる白金ナノ粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、白金ナノ粒子の製造方法について長年にわたり開発を進めている。そして、カーボンブラック等のカーボン担体と、純水やアルコール等の分散媒と、白金を含む白金化合物と、カーボン担体の表面に吸着可能なヨウ化物や塩化物等の吸着剤と、白金の結晶の特定の部位をキャッピング可能なポリアクリル酸ナトリウム等のキャッピング剤とを用い、白金ナノ粒子を生成させてカーボン担体に担持させる製造方法を実施するとき、吸着剤およびキャッピング剤を添加するにあたり、カーボン担体に対して、吸着剤を添加する順番およびキャッピング剤を添加する順番が白金ナノ粒子の生成において大きな影響を与えることを、本発明者は発見し、試験で確認し、本発明方法を完成させた。
即ち、先ず、カーボン担体と、分散媒と、白金を含む白金化合物と、カーボン担体の表面に吸着可能な吸着剤と、白金の結晶の特定の部位をキャッピング可能なキャッピング剤とを準備する。その後、分散媒とカーボン担体と白金化合物と吸着剤とが混合する第1混合液を形成する。その後、第1混合液とキャッピング剤とを混合させることにより、第2混合液を形成する。その後、第2混合液を還元剤で還元処理して白金ナノ粒子を生成させると共に、白金ナノ粒子をカーボン担体に担持させる。このようにすれば、キャッピング剤がカーボン担体に過剰に吸着されることが抑制され、キャッピング剤を有効利用でき、多面体形状をなす白金ナノ粒子をカーボン担体に効果的に担持させ得ることを知見した。
その理由としては、必ずしも明確ではないものの次のように推察される。即ち、(i)キャッピング剤はカーボン担体の表面に吸着され易いこと、(ii)キャッピング剤がカーボン担体の表面に吸着されると、白金の結晶の特定の部位をキャッピングするというキャッピング剤の本来の機能が発揮されにくくなり、キャッピング剤が白金に良好に作用できず、白金ナノ粒子の多面体形状が成長されにくくなるためと推察される。
そこで、カーボン担体とキャッピング剤とを混合させる前の段階において、カーボン担体と吸着剤とを予め混合してカーボン担体の表面に吸着可能な吸着剤で吸着させるようにし、その後、キャッピング剤を配合すれば、カーボン担体の表面に吸着され易い性質を有するキャッピング剤がカーボン担体の表面に吸着されることが抑制され、ひいては、白金の結晶の特定の部位をキャッピングさせるキャッピング剤の本来の機能を発揮させ易いためと推察される。
すなわち、本発明に係る白金ナノ粒子の製造方法は、(1)カーボン担体と、分散媒と、白金を含む白金化合物と、カーボン担体の表面に吸着可能な吸着剤と、白金の結晶の特定の部位をキャッピング可能なキャッピング剤とを準備する準備工程と、(2)カーボン担体と分散媒と白金化合物と吸着剤とが混合する第1混合液を形成する第1混合液形成工程と、(3)その後、第1混合液とキャッピング剤とが混合する第2混合液を形成する第2混合液形成工程と、(4)第2混合液を還元剤で還元処理して白金ナノ粒子を生成させると共に白金ナノ粒子をカーボン担体に担持させる還元工程とを含む。
本発明方法によれば、カーボン担体とキャッピング剤とを混合させる前の段階において、予めカーボン担体と吸着剤とを混合することにより、カーボン担体の表面に吸着剤で吸着させるようにしている。このような本発明方法によれば、多面体形状の白金ナノ粒子をカーボン担体の表面に効率よく生成させて担持させることができる。
その理由としては、前述したように、キャッピング剤がカーボン担体の表面に吸着させるに先立って、吸着剤でカーボン担体の表面を予め吸着させるようにしているため、カーボン担体の表面に吸着され易い性質を有するキャッピング剤がカーボン担体の表面に吸着されることが抑制され、ひいては、白金の結晶の特定の部位をキャッピングさせるキャッピング剤の本来の機能を発揮させ易いためと推察される。
好ましくは、カーボン担体は、白金ナノ粒子を担持できる導電性を有する導電性担体であり、粒子状のカーボンおよび/または繊維状のカーボンが挙げられる。カーボン担体が粒子状である場合、平均粒径は5ナノメートル〜100マイクロメートル、10ナノメートル〜50マイクロメートル、20ナノメートル〜5マイクロメートルが例示される。更に、10〜10000ナノメートル、20〜5000ナノメートル、20〜1000ナノメートル、20〜100ナノメートルが例示される。粒子状の担体の場合、比表面積はBET法(N)で20〜4000m/g、30〜3500m/g、40〜3000m/gが例示される。カーボン担体としてはカーボンブラック、カーボンナノチューブ(カーボンナノホーンを含む)、カーボンナノウォール、更には、黒鉛、ピッチ、コークス粉等が挙げられる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが例示される。
繊維状の担体の場合、平均径は2〜1000ナノメートル、20〜500ナノメートルが例示され、カーボン繊維が挙げられる。カーボン長繊維、カーボン短繊維が挙げられる。
好ましくは、吸着剤は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの少なくとも一つを含む化合物が挙げられる。好ましくは、吸着剤は、ナトリウム(Na),カリウム(K),ルビジウム(Rb),セシウム(Cs),ベリリウム(Be),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba)のうちの1種または2種以上を含む。ここで、ナトリウム(Na),カリウム(K),ルビジウム(Rb),セシウム(Cs)はアルカリ金属である。ベリリウム(Be),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba)はアルカリ土類金属である。
本発明者等による試験によれば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの少なくとも一つを含む化合物(例えばハロゲン化合物)は、ポリアクリル酸ナトリウム等のキャッピング剤を使用しない場合であっても、白金ナノ粒子を多面体形状にさせる機能を有することを確認している(本出願時に未公知)。このようにポリアクリル酸ナトリウム等のキャッピング剤を使用しない場合であっても、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの少なくとも一つを含む化合物が白金ナノ粒子を多面体形状にさせる機能を有する理由としては、現段階では必ずしも明確ではないものの、白金ナノ粒子の核を構成する白金結晶の特定の結晶面にアニオンが吸着し、そのアニオンの周囲にカチオンが吸着するため、白金結晶の成長工程において結晶の特定の結晶面の結晶成長が阻害され、これにより結晶の特定の面方位を有する白金結晶を成長させることができるものと推察される。
好ましくは、吸着剤はハロゲン化合物が挙げられる。ハロゲン化合物は、ヨウ化物、塩化物および臭化物のうちの1種または2種以上が挙げられる。殊に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの少なくとも一つを含むヨウ化物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの少なくとも一つを含む塩化物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの少なくとも一つを含む臭化物が挙げられる。
ヨウ化物としては、好ましくは、ヨウ化カリウム(KI),ヨウ化ルビジウム(RbI),ヨウ化セシウム(CsI),ヨウ化リチウム(LiI),ヨウ化ナトウム(NaI)のうちの1種または2種以上が挙げられる。塩化物としては、好ましくは、塩化カリウム(KCl),塩化ルビジウム(RbCl),塩化セシウム(CsCl),塩化リチウム(LiCl),塩化ナトリウム(NaCl)のうちの1種または2種以上が挙げられる。臭化物としては、好ましくは、臭化カリウム(KBr),臭化ナトリウム(NaBr),臭化セシウム(CsBr),臭化リチウム(LiBr)のうちの1種または2種以上が挙げられる。
好ましくは、白金化合物は、白金を含む化合物であれば良く、塩化白金酸、塩化白金酸カリウム、ジニトロジアミン白金、テトラクロロヘキサアンミン白金、ジクロロテトラアンミン白金、塩化白金、塩化白金酸水和物のうち1種または2種以上が挙げられる。更に白金化合物としては、ヨウ化白金酸、臭化白金酸、フッ化白金酸が挙げられ、更に、これらのそれぞれのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
白金化合物としては白金錯体溶液が挙げられる。白金錯体溶液の濃度は、白金錯体の組成、要請される白金ナノ粒子のサイズ、白金ナノ粒子の凝集度等によっても相違するが、例えば、10M〜10−8M(モル/リットル)とすることができる。白金錯体溶液では白金錯体が凝集していない方が好ましい。
白金錯体等の白金化合物の組成、要請される白金ナノ粒子のサイズ、白金ナノ粒子の凝集度等によっても相違するが、ヨウ化物は、白金化合物の白金のモル数の1〜150倍のモル数、更には、5〜100倍のモル数、殊に10〜70倍のモル数、20〜40倍のモル数をもつことができる。同様に、塩化物は、白金のモル数の1〜150倍のモル数、更には、5〜100倍のモル数、殊に10〜70倍のモル数、20〜40倍のモル数をもつことができる。臭化物についても同様とすることができる。
本発明方法によれば、好ましくは、第1混合液形成工程は、カーボン担体と分散媒とを混合して分散液を形成する工程と、その後、分散液と吸着剤と白金化合物とを混合して第1混合液を形成する工程とを含むことができる。この場合、吸着剤を白金化合物よりも先に分散液に混合しても良いし、あるいは、白金化合物を吸着剤よりも先に分散液に混合しても良い。
また、第1混合液形成工程は、カーボン担体と分散媒と吸着剤とをほぼ同時に混合して第1混合液を形成する工程を含むことができる。
好ましくは、第1混合液形成工程は、カーボン担体を分散させた分散液に白金化合物を混合させ、その後、吸着剤を分散液に混合させることにより第1混合液を形成することができる。
好ましくは、第1混合液形成工程は、カーボン担体を分散させた分散液に吸着剤の一部とを混合させ、その後、白金化合物を分散液に混合させ、その後、吸着剤の残部を分散液に混合させることにより第1混合液を形成することができる。この場合、第1混合液形成工程によれば、白金化合物の混合時期に対して時間的に前および後のそれぞれにおいて、吸着剤が分散液に混合される。これにより、時間的に、カーボン担体→吸着剤→白金化合物→吸着剤の順に混合される。この場合、吸着剤で白金化合物を挟むことが期待される。故に、吸着剤と白金化合物との接触面積、接触頻度を高めることを期待できる。従って、白金化合物に対して、吸着剤が多角形状の白金粒子を生成できる性質を有する場合には、多角形状の白金粒子をカーボン担体の表面に生成させるのに一層有利である。
好ましくは、還元工程において使用される還元剤としては、水素が挙げられる。従って、還元工程は、第2混合液を水素で還元することにより行われることが好ましい。故に、還元工程は、第2混合液に水素ガスを吹き込むバブリングにより行われることが好ましい。還元工程の時間としては特に限定されるものではない。白金錯体の組成、要請される白金ナノ粒子のサイズ、白金ナノ粒子の凝集度、供給する水素ガスの流量等によっても相違するが、還元工程の時間としては、例えば、1分〜100時間、殊に5分〜50時間の範囲内、1時間〜20時間の範囲内とすることができる。但し、これらに限定されるものではない。
還元工程の後、第2混合液を所定時間放置することが好ましい。放置は大気雰囲気あるいは場合によっては加圧雰囲気で行うことができる。放置により、白金錯体のイオンの還元反応を更に進行させることができる。放置時間としては特に限定されるものではなく、白金錯体の組成、要請される白金ナノ粒子のサイズ、白金ナノ粒子の凝集度、供給する水素ガスの単位時間あたりの流量、要請される生産性等によっても相違するが、例えば、1分間〜200時間、10分〜100時間、1時間〜2時間が例示される。但し、これらに限定されるものではない。 上記したキャッピング剤は白金の結晶の特定の部位をキャッピング可能なものである。キャッピング剤はポリマー系キャッピング剤が好ましく、殊に、アクリル酸系水溶性ポリマーが挙げられる。具体的には、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシドのうちの1種または2種以上が挙げられる。キャッピング剤は、白金の結晶の特定の部位をキャッピングさせ、白金の結晶の他の特定の部位の成長を促進させる。更にキャッピング剤は、白金ナノ粒子の結晶の表面が効率良く触媒作用に寄与するようにするために用いられると共に、成長した白金結晶により形成される白金ナノ粒子の凝集を防止する。
キャッピング剤としては、白金ナノ粒子の結晶の結晶の特定の表面に吸着(キャッピング)し易い構造を分子内に含んでいるものが好ましい。このような構造としては親水性基(−COONa基等)が挙げられる。
キャッピング剤として機能するポリアクリル酸ナトリウムは、図1に示す構造を有しており、−COONa基を側鎖として有するポリマーである。この場合、−COONa基の−COO構造が静電的な相互作用により白金の結晶に作用するか、または、白金の結晶に吸着することにより、白金ナノ粒子を構成する結晶の特定の部位に対してキャッピングする作用が得られると推察される。この場合、白金ナノ粒子間にポリマー鎖が介在することにより白金ナノ粒子の凝集が抑制されると推察され、白金ナノ粒子の凝集による触媒活性の低下の抑制を期待できると推定される。
キャッピング剤として機能する安定化ポリマーとして、ポリアクリル酸ナトリウムが用いられる場合には、ポリアクリル酸ナトリウムの重量平均分子量は1000〜50000の範囲内、3000〜10000の範囲内、4000〜8000の範囲内とされることができる。なお、ポリアクリル酸ナトリウムの重量平均分子量は、たとえばGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用い、ポリスチレン換算により求めることができる。キャッピング剤として機能する安定化ポリマーが表面活性化剤としての性質を併有する場合には、カーボンブラック等のカー担体の粒子の沈降を抑制する役割を果たす。第2混合液において、カーボンブラック等のカーボン担体の分散性が向上すれば、白金ナノ粒子をカーボン担体に生成させる効率を高めることができる。
製造された白金ナノ粒子は多面体形状をなしている。殊に、立方体形状(実質的な立方体形状を含む)をもつ多面体形状をなしていることが好ましい。従って、立方体型あるいは疑似立方体型の白金ナノ粒子が製造されることが好ましい。
好ましくは、製造された白金ナノ粒子は1個で50ナノメートル以下のサイズをもつ。更に好ましくは、白金ナノ粒子は1個で40ナノメートル以下、30ナノメートル以下、20ナノメートル以下、10ナノメートル以下のサイズをもつ。白金ナノ粒子は単結晶とすることができるが、単結晶でなくても良い。
なお、製造された白金ナノ粒子同士はカーボン担体に担持されつつ、互いに非接触状態で分離していることが好ましいが、場合によっては、複数個が凝集している二次粒子の形態でも良い。二次粒子の粒径は150ナノメートル以下のサイズ、あるいは、80ナノメートル以下のサイズ、あるいは、70ナノメートル以下、50ナノメートル以下、30ナノメートル以下、10ナノメートル以下のサイズをもつことが好ましい。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
[実施例1]
本発明の実施例1について説明する。先ず、所定の容積(300cc)の純水(分散媒)と、12.45ミリグラム(3.0×10−5モル)のテトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl,白金錯体)と、249.02ミリグラム(1.5×10−3モル)のヨウ化カリウム(KI)と、5.64ミリグラム(1.7×10−6モル)のポリアクリル酸ナトリウム(キャッピング剤)と、13.67ミリグラムのカーボンブラック(カーボン担体)とを準備した。カーボンブラックはケッチェンブラック(ライオン株式会社,ケッチェン EC300JD)であった。カーボンブラックの比表面積はBET法(N)で750〜850m/gであった。ポリアクリル酸ナトリウムの重量平均分子量は3317.65とした。測定はゲル浸透クロマトグラフィーにより行った。
本実施例によれば、純水にカーボンブラックを分散させて分散液を大気雰囲気(常温)において形成した。その後、テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl)を大気雰囲気(常温)において分散液に加えた。その後、その分散液にヨウ化カリウム(KI)を加えて第1混合液を大気雰囲気(常温)において形成した。最後に、第1混合液にポリアクリル酸ナトリウム(ポリマー系キャッピング剤)を加えて第2混合液(第2混合液)を大気雰囲気(常温)において形成した。上記した混合は、純水または分散液に超音波を入力させる超音波分散によって行った。
第2混合液に水素ガスをバブリングさせて還元処理を実施した。バブリングは、大気雰囲気(常温)において、300ミリリットル/分の条件で水素ガスを第2混合液に所定時間(10分間)吹き込んで実施した。
その後、第2混合液を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を担持したカーボンブラックを含むコロイド溶液を作製した。そのコロイド溶液を濾過しつつ濾過物を純水で洗浄処理した。これにより白金ナノ粒子を表面に担持させたカーボンブラックの粒子の集合体を得た。
水素ガスによる還元により、白金イオンが還元されて白金結晶が生成し、白金ナノ粒子が成長する。白金ナノ粒子が成長するとき、キャッピング剤が白金の結晶の特定の部位をキャッピングするため、白金の結晶の特定の部位の成長を抑制し、逆に、白金の結晶の他の面への成長を促すことにより、反応活性が高い面をもつ多面体形状の白金ナノ粒子が生成されるものと考えられる。
上記した本実施例によれば、カーボンブラック→テトラクロロ白金(II)酸カリウム→ヨウ化カリウム→ポリアクリル酸ナトリウムの順に、純水に加えられる。ここで、カーボンブラックをCBとし、テトラクロロ白金(II)酸カリウムをPTとし、ヨウ化カリウムをKIとし、ポリアクリル酸ナトリウムをPAAとするとき、CB→PT→KI→PAAの順に、純水に加えられる。
ここで、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→PT1→KI50→PAA2の順に、純水に加えられることになる。ここで、『KI50』は、モル比で、PTを1と相対表示するときき、KIの配合量が50に相当することを意味する。『PAA2』は、モル比で、PTを1と相対表示するときき、PAAの配合量が2に相当することを意味する。
更に、作製されたコロイド溶液をグリッドに数滴キャストして作製した試料について、透過型電子顕微鏡(TEM,日本電子社製,型式JEM−2000EX)で白金ナノ粒子についての形態および粒径を調べた。粒径はTEMの撮影写真における基準距離に基づいた。図2は白金ナノ粒子の例を基準サイズと共に示す。図2に示すように、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持されていた。白金ナノ粒子の粒径は10ナノメートル以下であり、殊に7〜8ナノメートル程度と極めて微小であった。白金ナノ粒子は単結晶であると推定される。
更に図2から理解できるように、複数の白金ナノ粒子の凝集度は極めて少なく、多数の多面体形状(立方体形状)の白金ナノ粒子が互いに独立して存在していた。このため、燃料電池の膜電極接合体などにおける触媒として白金ナノ粒子が使用されるとき、触媒性能が向上すると考えられる。
上記したように本実施例によれば、カーボンブラック(カーボン担体)とポリアクリル酸ナトリウム(キャッピング剤)とを混合させる前の段階において、カーボンブラックとヨウ化カリウム(吸着剤)とを予め混合することにより、カーボンブラックの粒子の表面をヨウ化カリウム(吸着剤)で予め吸着させるようにしている。このような本実施例によれば、キャッピング剤であるポリアクリル酸ナトリウムがカーボンブラックの粒子の表面に過剰に取られてしまうことが抑制され、ポリアクリル酸ナトリウムが白金の結晶の特定の面に作用するキャッピング作用が良好となり、白金の特定の面の成長に寄与するキャッピング剤としての本来の機能を発揮し易くなるため、多面体形状の白金ナノ粒子をカーボン担体に効率よく生成させることができるものと推察される。
すなわち、本実施例によれば、立方体または立方体に近い形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子が得られる理由としては、必ずしも明確ではないものの、次のように推察される。すなわち、白金錯イオンの水素還元により、白金ナノ粒子の核生成が起きる。このとき、白金ナノ粒子の核は、通常、表面エネルギの最も安定な多面体構造(14面体)を採ると考えられる。ここで、14面体は、(100)面と(111)面とが組み合わさった表面構造を採ると考えられる。白金ナノ粒子を構成する結晶が核成長するとき、キャッピング剤が系内に存在していると、キャッピング剤が白金結晶の(100)面に選択的に吸着し、面成長が抑制され、その結果、<111>軸方向が優先的に面成長し、最終的に、粒子形状が(100)面で囲まれた立方体型をもつ多面体形状をなす白金ナノ粒子が生成されるものと考えられる。
白金は立方晶系(面心立方構造,fcc構造)を有すると考えられる。白金ナノ粒子が立方体を構成したときには、白金ナノ粒子の全ての表面が(100)面で取り囲まれる。従って、立方体の多面体形状をもつ白金ナノ粒子は、他の形状(不定形など)に比較して、触媒活性等の性能が良いと考えられる。
なお本実施例によれば、上記したようにカーボンブラック等の各配合物を配合するとき、純水または分散液に超音波を入力させる超音波分散によって行っているが、これに限らず、超音波を入力させない機械的分散でも良い。
[実施例2]
本実施例は基本的には実施例1と同様である。先ず、所定の容積(300cc)の純水(分散媒)と、12.45ミリグラム(3.0×10−5モル)のテトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl,白金錯体,イオン性白金化合物)と、249.02ミリグラム(1.5×10−3モル)のヨウ化カリウム(KI)と、5.64ミリグラム(1.7×10−6モル)のポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量:3317.65)と、13.67ミリグラムのカーボンブラック(カーボン担体)とを準備した。この場合、ヨウ化カリウム(KI)は2等分した。
そして、純水にカーボンブラックを分散させて分散液を形成した。その後、半分(124.51ミリグラム,1.5×10−5モル)のヨウ化カリウム(KI)をその分散液に加えた。その後、その分散液にテトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl)を加えた。その後、残りの半分の(124.51ミリグラム,1.5×10−5モル)のヨウ化カリウム(KI)を分散液に加えて分散させ、第1混合液(第1混合液)を形成した。最後に、第1混合液にポリアクリル酸ナトリウムを加えて分散させて第2混合液を形成した。実施例1と同様に、上記した各分散は、純水または分散液に超音波を入力させる超音波分散によって行った。
その後、第2混合液に水素ガスをバブリングさせて還元処理を実施した。バブリングは、300ミリリットル/分の条件で、水素ガスを第2混合液に所定時間(10分間)吹き込むことにより実施した。その後、第2混合液を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を担持したカーボンブラックを含むコロイド溶液を作製した。実施例1同様に、そのコロイド溶液を濾過しつつ濾過物を純水で洗浄処理した。これにより白金ナノ粒子を表面に担持させたカーボンブラックの粒子の集合体を得た。この場合、テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl)中の白金イオンを、水素ガスを用いて還元し、生成した白金の結晶核から白金ナノ粒子を成長させる。
本実施例によれば、時間的に、カーボンブラック→ヨウ化カリウム→テトラクロロ白金(II)酸カリウム→ヨウ化カリウム→ポリアクリル酸ナトリウムの順に、純水に加えられる。ここで、カーボンブラックをCBとし、白金錯体であるテトラクロロ白金(II)酸カリウムをPTとし、ヨウ化カリウムをKIとし、ポリアクリル酸ナトリウムをPAAとするとき、CB→KI→PT→KI→PAAの順に、純水に加えられる。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→KI25→PT1→KI25→PAA2の順に、純水に加えられる。
換言すれば、本実施例によれば、第1混合液形成工程において、白金化合物の混合時期に対して、時間的に前および後の双方にそれぞれヨウ化カリウム(吸着剤)が分散液に混合される。これにより、時間的に、カーボンブラック(カーボン担体)→ヨウ化カリウム(吸着剤)→テトラクロロ白金(II)酸カリウム(白金化合物)→ヨウ化カリウム(吸着剤)→キャッピング剤の順に混合される。このため、吸着剤を構成するヨウ化カリウムが白金化合物を挟むことが期待され、吸着剤と白金化合物との接触面積および接触頻度を高めることが期待できる。
ここで、本発明者等の試験によれば、ヨウ化カリウムは白金の結晶の特定の面の成長を促進させ、多角形状の白金粒子を生成できる性質を有することが確認されている(本出願時に未公知)。このため多角形状の白金粒子をカーボン担体の表面に生成させるのに有利である。
そして実施例1と同様に、作製されたコロイド溶液をグリッドに数滴キャストして作製した試料について、透過型電子顕微鏡(TEM)で白金ナノ粒子についての形態および粒径を調べた。粒径はTEMの撮影写真における基準距離に基づいた。図3は白金ナノ粒子の例を基準サイズと共に示す。図3に示すように、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持されていた。白金ナノ粒子の粒径は10ナノメートル以下であり、殊に7〜8ナノメートル程度と極めて微小であった。
以上説明したように本実施例によれば、前述したように、アセチレンブラック(カーボン担体)とポリアクリル酸ナトリウム(キャッピング剤)とを混合させる前の段階において、カーボンブラックとヨウ化カリウム(吸着剤)とを混合してカーボンブラックの粒子の表面をヨウ化カリウム(吸着剤)で予め吸着させるようにしている。このような本実施例によれば、カーボンブラックに吸着され易いポリアクリル酸ナトリウムがカーボンブラックの表面に過剰に吸着されることが抑制され、ポリアクリル酸ナトリウムが白金の結晶の特定の面に作用するキャッピング作用が良好となり、ひいては、多面体形状の白金ナノ粒子をカーボン担体に効率よく生成させることができる。
なお本実施例によれば、上記したように分散は、純水または分散液に超音波を入力させる超音波分散によって行っているが、これに限らず、超音波を入力させない機械的分散でも良い。
[比較例1]
比較例1について説明する。実施例1と同様に、所定の容積(300cc)の純水(分散媒)と、12.45ミリグラム(3.0×10−5モル)のテトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl,錯化合物)と、249.02ミリグラム(1.5×10−3モル)のヨウ化カリウム(KI)と、5.64ミリグラム(1.7×10−6モル)のポリアクリル酸ナトリウム(キャッピング剤)と、13.67ミリグラムのカーボンブラック(カーボン担体)とを準備した。カーボンブラックは実施例1と同様にケッチェンブラック(ライオン株式会社,ケッチェン EC300JD)とした。
純水に、テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl)、ポリアクリル酸ナトリウム、ヨウ化カリウム(KI)をこの順番に溶かして混合液を形成した。最後に、その混合液にカーボンブラックを加えた。
その混合液に水素ガスをバブリングさせて還元処理を実施した。バブリングは、実施例1と同様に、300ミリリットル/分の条件で水素ガスを混合液に所定時間(10分間)吹き込んで実施した。その後、実施例1と同様に、その混合液を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を担持したカーボンブラックを含むコロイド溶液を作製した。
比較例1によれば、テトラクロロ白金(II)酸カリウム+ポリアクリル酸ナトリウム(PAA)+ヨウ化カリウム(KI)がほぼ同時期(PT→PAA→KIの順)に純水に加えられる。最後にカーボンブラックが混合液に加えられる。ここで、カーボンブラックをCBとし、テトラクロロ白金(II)酸カリウムをPTとし、ヨウ化カリウムをKIとし、ポリアクリル酸ナトリウムをPAAとするとき、PT+PAA+KIがほぼ同時期に純水に加えられ、最後にカーボンブラックが混合液に加えられる。
更に比較例1によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、(PT1+PAA2+KI50)→CBとなる。
更に、作製されたコロイド溶液をグリッドに数滴キャストして作製した試料について、透過型電子顕微鏡(TEM,日本電子社製,型式JEM−2000EX)で白金ナノ粒子についての形態および粒径を実施例1と同様に調べた。図4は白金ナノ粒子の例を基準サイズと共に示す。図4に示すように、白金ナノ粒子の粒径は10ナノメートル以下であり、殊に3〜4ナノメートル程度であったものの、カーボンブラックの粒子の表面に担持されていた白金ナノ粒子は不定形であった。
[比較例2]
比較例2について説明する。比較例2では、ポリアクリル酸ナトリウムが加えられた後にヨウ化カリウムが加えられる。実施例1と同様に、所定の容積(300cc)の純水(分散媒)と、12.45ミリグラム(3.0×10−5モル)のテトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl,錯化合物)と、249.02ミリグラム(1.5×10−3モル)のヨウ化カリウム(KI)と、5.64ミリグラム(1.7×10−6モル)のポリアクリル酸ナトリウム(キャッピング剤)と、13.67ミリグラムのカーボンブラック(カーボン担体)とを準備した。カーボンブラックは実施例1と同様にケッチェンブラック(ライオン株式会社,ケッチェン EC300JD)とした。
比較例2によれば、純水にカーボンブラックを分散させて分散液を形成した。その後、テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl)を分散液に加えた。その後、分散液にポリアクリル酸ナトリウムを加えて混合液を形成した、その後、その混合液にヨウ化カリウム(KI)を加えた。
その混合液に水素ガスをバブリングさせて還元処理を実施した。バブリングは、実施例1,2と同様に、300ミリリットル/分の条件で水素ガスを混合液に所定時間(10分間)吹き込んで実施した。その後、混合液を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を担持したカーボンブラックを含むコロイド溶液を作製した。
比較例2によれば、カーボンブラック→テトラクロロ白金(II)酸カリウム→ポリアクリル酸ナトリウム(PAA)→ヨウ化カリウム(KI)→の順に、純水に加えられる。ここで、カーボンブラックをCBとし、テトラクロロ白金(II)酸カリウムをPTとし、ヨウ化カリウムをKIとし、ポリアクリル酸ナトリウムをPAAとするとき、CB→PT→PAA→KIの順に、純水に加えられる。更に、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→PT1→PAA2→KI50の順に、純水に加えられる。このような配合順序によれば、ヨウ化カリウムが加えられる前にポリアクリル酸ナトリウムが加えられるため、ポリアクリル酸ナトリウムはカーボンブラックに吸着されてしまい、白金に対して良好に作用しにくくなると考えられる。
更に、作製されたコロイド溶液をグリッドに数滴キャストして作製した試料について、透過型電子顕微鏡(TEM,日本電子社製,型式JEM−2000EX)で白金ナノ粒子についての形態および粒径を調べた。図5は白金ナノ粒子の例を基準サイズと共に示す。図5に示すように、白金ナノ粒子の粒径は10ナノメートル以下であり、殊に3〜4ナノメートル程度であったものの、カーボンブラックの粒子の表面に担持されていた白金ナノ粒子は不定形であった。
[実施例1B]
本実施例は基本的には実施例1と同様であり、実施例1と基本的には同様の作用効果が得られる。但し、カーボンブラックはアセチレンブラック(電気化学工業株式会社,デンカブラック)とした。カーボンブラックの比表面積はBET法(N)で30〜40m/gであった。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→PT1→KI50→PAA2の順に、純水に加えられた。本実施例においても、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持されていた。白金ナノ粒子の粒径は10ナノメートル以下であり、殊に2〜3ナノメートル程度と極めて微小であった。
[実施例2B]
本実施例は基本的には実施例2と同様であり、実施例2と基本的には同様の作用効果が得られる。但し、カーボンブラックはアセチレンブラック(電気化学工業株式会社,デンカブラック 粒状品)とした。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→KI25→PT1→KI25→PAA2の順に、純水に加えられた。本実施例においても、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持されていたことが確認された。白金ナノ粒子の粒径は10ナノメートル以下であり、殊に2〜3ナノメートル程度と極めて微小であることが確認された。
本実施例によれば、実施例2と同様に、白金化合物の混合時期に対して、時間的に前および後の双方にそれぞれヨウ化カリウム(吸着剤)が分散液に混合された。これにより実施例2と同様に、時間的に、カーボンブラック(カーボン担体)→ヨウ化カリウム(吸着剤)→テトラクロロ白金(II)酸カリウム(白金化合物)→ヨウ化カリウム(吸着剤)の順に混合された。この場合、実施例2と同様に、吸着剤を構成するヨウ化カリウムが白金化合物を挟むことが期待され、吸着剤と白金化合物との接触面積および接触頻度を高めることが期待できる。
[実施例1C]
本実施例は基本的には実施例1と同様であり、実施例1と基本的には同様の作用効果が得られる。但し、ポリアクリル酸ナトリウム(PAA)を実施例1の10倍とする。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→PT1→KI50→PAA20の順に、純水に加えられる。本実施例においても、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持される。
[実施例2C]
本実施例は基本的には実施例2と同様であり、実施例2と基本的には同様の作用効果が得られる。但し、ポリアクリル酸ナトリウム(PAA)を実施例2の10倍とする。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→KI25→PT1→KI25→PAA20の順に、純水に加えられる。本実施例においても、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持される。
[実施例1D]
本実施例は基本的には実施例1と同様であり、実施例1と基本的には同様の作用効果が得られる。但し、ポリアクリル酸ナトリウム(PAA)を実施例1の10倍とする。カーボンブラックはアセチレンブラック(電気化学工業株式会社,デンカブラック 粒状品)とする。カーボンブラックの比表面積はBET法(N)で30〜40m/gであった。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→PT1→KI50→PAA20の順に、純水に加えられる。本実施例においても、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持される。
[実施例2D]
本実施例は基本的には実施例2と同様であり、実施例2と基本的には同様の作用効果が得られる。但し、カーボンブラックはアセチレンブラック(電気化学工業株式会社,デンカブラック 粒状品)とする。ポリアクリル酸ナトリウム(PAA)を実施例1の10倍とする。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、本実施例によれば、CB→KI25→PT1→KI25→PAA20の順に、純水に加えられる。立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持される。
[実施例1E]
本実施例は基本的には実施例1と同様であり、実施例1と基本的には同様の作用効果が得られる。但し、カーボンブラックはアセチレンブラック(電気化学工業株式会社,デンカブラック 粒状品)とする。更にヨウ化カリウム(KI)を実施例1の2倍とする。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→PT1→KI100→PAA2の順に、純水に加えられる。本実施例においても、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持される。
[実施例2E]
本実施例は基本的には実施例2と同様であり、実施例2と基本的には同様の作用効果が得られる。但し、カーボンブラックはアセチレンブラック(電気化学工業株式会社,デンカブラック 粒状品)とする。ポリアクリル酸ナトリウムを実施例2の10倍としている。更にヨウ化カリウム(KI)を実施例1の場合よりも増加させた。具体的には2回目に配合するヨウ化カリウム(KI)の配合量を実施例1の場合よりも増加させた。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→KI25→PT1→KI50→PAA2の順に、純水に加えられる。本実施例においても、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持される。
[実施例1F]
本実施例は基本的には実施例1と同様であり、実施例1と基本的には同様の作用効果が得られる。カーボンブラックはケッチェンブラック(ライオン株式会社,ケッチェン EC300JD)とする。但しヨウ化カリウム(KI)を実施例1の2倍とする。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→PT1→KI100→PAA2の順に、純水に加えられる。本実施例においても、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持される。
[実施例2F]
本実施例は基本的には実施例2と同様であり、実施例2と基本的には同様の作用効果が得られる。カーボンブラックはケッチェンブラック(ライオン株式会社,ケッチェン EC300JD)とする。但し、ポリアクリル酸ナトリウム(PAA)を実施例1よりも2倍に増加させた。具体的には2回目に配合するヨウ化カリウム(KI)の配合量を実施例1の2倍に増加させた。本実施例によれば、モル比で、白金錯体(PT)を1として相対表示するとき、CB→KI25→PT1→KI50→PAA20の順に、純水に加えられる。本実施例においても、立方体または実質的に立方体の形状を有する多面体形状の白金ナノ粒子がカーボンブラックの粒子の表面に担持される。
[試験例]
以下のべる試験例は、カーボンブラックに吸着される吸着剤として用いたハロゲン化物であるヨウ化物または塩化物を用い、多面体形状の白金ナノ粒子を実際に生成させた例である。試験例では、カーボン担体であるカーボンブラックおよびポリアクリル酸ナトリウムを配合しない状態において実行された。ヨウ化物、塩化物はカーボンブラックに吸着されて吸着剤として働くことが期待される。ポリアクリル酸ナトリウム等のキャッピング剤がカーボンブラックに吸着されることを抑制することが期待される。カーボン担体に吸着される吸着剤としてヨウ化物または塩化物を用いるとき、キャッピング剤のキャッピング作用と併せて、多面体状の白金ナノ粒子を生成させるのに一層有効であると考えられる。
[試験例1]
試験例1は、カーボンブラックを配合しない段階において、多面体形状の白金ナノ粒子を実際に生成させた試験例である。試験例1では、所定の容積(300cc)の1×10−4Mの濃度の塩化白金酸カリウム(白金錯体、KPtCl)の溶液(温度:室温)に、ヨウ化カリウム(KI)を添加して混合物を形成した。雰囲気は大気雰囲気とした。Mは容積モル濃度であり、溶液1リットル(1L,1dm)あたりの溶質のモル数を表す溶液の濃度を意味する。この混合物にはポリアクリル酸ナトリウムが含まれていない。添加されるヨウ化カリウム(KI)は、白金錯体モル数(塩化白金酸カリウム(KPtCl)のモル数)の25倍のモル数をもつ。すなわち、モル比で、PT:KI=1:25である。
300ミリリットル/分の条件で水素ガスをこの混合物に所定時間(10分間)吹き込んでバブリングし、水素還元工程を行った。その後、この混合物を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を含むコロイド溶液を作製した。更にコロイド溶液をグリッドに数滴キャストして作製した試料について、透過型電子顕微鏡(TEM,日本電子社製,型式JEM−2000EX)で白金ナノ粒子の形態および粒径を調べたところ、多面体形状の白金ナノ粒子が得られたことが確認された。白金ナノ粒子の粒径は10ナノメートル以下であり、殊に3〜8ナノメートル程度、4〜6ナノメートル程度と極めて微小であった。試験例1では、複数の白金ナノ粒子の凝集度は極めて少なく、多数の多面体形状(立方体形状)の白金ナノ粒子が互いに独立して存在していた。本試験例によれば、多面体形状の白金粒子が得られるのは、ヨウ化物のカチオン(陽イオン)であるカリウムイオンが影響しているものと考えられる。
[試験例2]
本試験例は基本的には試験例1と同様である。所定の容積(300cc)の1×10−4Mの濃度の塩化白金酸カリウム(KPtCl)の溶液(温度:室温)に、ヨウ化ルビジウム(RbI)を添加して混合物を形成した。この混合物にはポリアクリル酸ナトリウムが含まれていない。ヨウ化ルビジウム(RbI)は、白金錯体モル数の25倍のモル数をもつ。試験例1と同様な条件で水素還元工程を行った。その後、この混合物を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を含むコロイド溶液を作製した。上記した透過型電子顕微鏡(TEM)で白金ナノ粒子の例および粒径を調べたところ、多面体形状の白金ナノ粒子が得られたことが確認された。粒径が15ナノメートル以下の粒子、殊に10ナノメートル以下の粒子が多かった。殊に、5〜15ナノメートル程度、5〜10ナノメートル程度と微小の粒子が多かった。更に、複数の白金ナノ粒子の凝集度は極めて少なく、多数の多面体形状(立方体形状)の白金ナノ粒子が互いに独立して存在している割合が多かった。
[試験例3]
本試験例は基本的には試験例1と同様である。所定の容積(300cc)の1×10−4Mの濃度の塩化白金酸カリウム(KPtCl)の溶液(温度:室温)に、ヨウ化セシウム(CsI)を添加して混合物を形成した。ヨウ化セシウム(CsI)は、白金錯体モル数の25倍のモル数をもつ。300ミリリットル/分の条件で水素ガスをこの混合物に所定時間(10分間)吹き込んでバブリングし、水素還元工程を行った。その後、この混合物を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を含むコロイド溶液を作製した。上記した透過型電子顕微鏡(TEM)で白金ナノ粒子の形態および粒径を調べたところ、多面体形状の白金ナノ粒子が得られたことが確認された。粒径が30ナノメートル以下の粒子、殊に20ナノメートル以下の粒子が多かった。更に、複数の白金ナノ粒子の凝集度は無いか、凝集していたとしても少なかった。
[試験例4]
本試験例は基本的には試験例1と同様である。所定の容積(300cc)の1×10−4Mの濃度の塩化白金酸カリウム(KPtCl)の溶液(温度:室温)に、ヨウ化セシウム(CsI)を添加して混合物を形成した。ヨウ化リチウム(LiI)は、白金錯体モル数の25倍のモル数をもつ。試験例1と同様な条件で、水素還元工程を行った。その後、この混合物を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を含むコロイド溶液を作製した。上記した透過型電子顕微鏡(TEM)で白金ナノ粒子の例および粒径を調べたところ、多面体形状の白金ナノ粒子が得られたことが確認された。粒径が30ナノメートル以下の粒子、殊に20ナノメートル以下の粒子が多かった。更に、複数の白金ナノ粒子の凝集度は無いか、凝集していたとしても少なかった。
[試験例5]
本試験例は基本的には試験例1と同様である。所定の容積(300cc)の1×10−4Mの濃度の塩化白金酸カリウム(KPtCl)の溶液(温度:室温)に、ヨウ化ナトウム(NaI)を添加して混合物を形成した。ヨウ化ナトウム(NaI)は、白金錯体モル数の25倍のモル数をもつ。試験例1と同様な条件で水素還元工程を行った。その後、この混合物を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を含むコロイド溶液を作製した。上記した透過型電子顕微鏡(TEM)で白金ナノ粒子の形態および粒径を調べたところ、多面体形状の白金ナノ粒子が得られた。
[試験例6]
試験例6について説明を加える。所定の容積(300cc)の1×10−4Mの濃度の塩化白金酸カリウム(KPtCl)の溶液(温度:室温)に、塩化カリウム(KCl)を添加して混合物を形成した。雰囲気は大気雰囲気とした。添加される塩化カリウム(KCl)は、白金錯体モル数(塩化白金酸カリウム(KPtCl)のモル数)の25倍のモル数をもつ。すなわち、モル比で、PT:KCl=1:25である。試験例1と同様な条件で水素還元工程を行った。その後、この混合物を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を含むコロイド溶液を作製した。透過型電子顕微鏡で白金ナノ粒子の形態および粒径を調べたところ、多面体形状の白金ナノ粒子が得られた。粒径は10ナノメートル以下であり、殊に7〜8ナノメートル程度と極めて微小であった。
[試験例7]
試験例7について説明を加える。所定の容積(300cc)の1×10−4Mの濃度の塩化白金酸カリウム(KPtCl)の溶液(温度:室温)に、塩化ナトリウム(NaCl)を添加して混合物を形成した。雰囲気は大気雰囲気とした。添加される塩化ナトリウム(NaCl)は、白金錯体のモル数(塩化白金酸カリウム(KPtCl)のモル数)の25倍のモル数をもつ。すなわち、モル比で、PT:NaCl=1:25である。試験例1と同様な条件で水素還元工程を行った。その後、この混合物を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を含むコロイド溶液を作製した。透過型電子顕微鏡で白金ナノ粒子の形態および粒径を調べたところ、多面体形状の白金ナノ粒子が得られた。粒径は15ナノメートル以下であり、殊に7〜13ナノメートル程度と極めて微小であった。
[試験例8]
試験例8について説明を加える。所定の容積(300cc)の1×10−4Mの濃度の塩化白金酸カリウム(KPtCl)の溶液(温度:室温)に、塩化ルビジウム(RbCl)を添加して混合物を形成した。雰囲気は大気雰囲気とした。この混合物にはポリアクリル酸ナトリウムが含まれていない。添加される塩化ルビジウム(RbCl)は、白金錯体モル数(塩化白金酸カリウム(KPtCl)のモル数)の25倍のモル数をもつ。すなわち、モル比で、PT:RbCl=1:25である。試験例1と同様な条件で水素還元工程を行った。その後、この混合物を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を含むコロイド溶液を作製した。透過型電子顕微鏡で白金ナノ粒子の形態および粒径を調べたところ、多面体形状の白金ナノ粒子が得られた。粒径は10ナノメートル以下であり、殊に7〜8ナノメートル程度と極めて微小であった。
[試験例9]
試験例9について説明を加える。所定の容積(300cc)の1×10−4Mの濃度の塩化白金酸カリウム(KPtCl,錯化合物)の溶液(温度:室温)に、塩化リチウム(LiCl)を添加して混合物を形成した。雰囲気は大気雰囲気とした。添加される塩化リチウム(LiCl)は、白金錯体のモル数(塩化白金酸カリウム(KPtCl)のモル数)の25倍のモル数をもつ。すなわち、モル比で、PT:LiCl=1:25である。試験例1と同様な条件で、水素還元工程を行った。その後、この混合物を密閉した状態で、一昼夜(10時間)放置して保持工程を行い、白金ナノ粒子を含むコロイド溶液を作製した。透過型電子顕微鏡で白金ナノ粒子の形態および粒径を調べたところ、多面体の多面体形状の白金ナノ粒子が得られた。粒径は20ナノメートル以下であり、殊に6〜15ナノメートル程度と極めて微小であった。
[用途例]
上記した実施例に係る白金ナノ粒子を担持したカーボンブラックは、燃料電池用電極等に対する電極用触媒として用いることができる。燃料電池用電極を作製する方法としては従来公知の方法が好ましく採用され得る。具体的には、白金ナノ粒子を担持したカーボンブラックとポリマー電解質の溶液(たとえばNafion(登録商標)溶液)と混ぜてインクまたはスラリとすることができる。膜電極接合体を構成するための膜電解質膜の表面および裏面にインクまたはスラリを塗布する。または、カーボン繊維の集積体で形成されたガス拡散層のうち、電解質膜に対向する表面に、インクまたはスラリを塗布することができる。
[その他]
本発明は上記した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。実施例1によれば、前述したように、モル比で、PT1→KI50→PAA2とされているが、これに限らず、PT1→KI10〜100→PAA1〜100としても良い。実施例2によれば、前述したように、KI25→PT1→KI25→PAA2とされているが、これに限らず、KI10〜50→PT1→KI10〜70→PAA1〜10としても良い。
上記した各実施例によれば、キャッピング剤としてポリアクリル酸ナトリウムが採用されているが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシドでも、同様な効果が得られるものと考えられる。
テトロクロロ白金(II)酸カリウムの濃度は、実施例に限定されるものではなく、適宜調整できる。水素還元工程においては、300ミリリットル/分の条件で水素ガスを混合液に10分間吹き込んでバブリングしているが、水素ガスの単位時間あたりの供給流量は、これに限定されるものではなく、50〜3000ミリリットル/分等と、混合液の容積などの要因に応じて変更できる。吹き込み時間は10分間に限定されるものではなく、5分間、20分間、40分間等のように適宜変更できる。
本発明は、例えば、燃料電池の膜電極接合体に保持される触媒、改質装置の改質触媒、排気ガス浄化装置に保持される触媒等に利用することができる。
ポリアクリル酸ナトリウムの構造を示す図である。 実施例1に係り、白金ナノ粒子を示す電子顕微鏡写真(TEM)である。 実施例2に係り、白金ナノ粒子を示す電子顕微鏡写真(TEM)である。 比較例1に係り、白金ナノ粒子を示す電子顕微鏡写真(TEM)である。 比較例2に係り、白金ナノ粒子を示す電子顕微鏡写真(TEM)である。

Claims (10)

  1. カーボン担体と、分散媒と、白金を含む白金化合物と、前記カーボン担体の表面に吸着可能な吸着剤と、白金の結晶の特定の部位をキャッピング可能なキャッピング剤とを準備する準備工程と、
    前記分散媒と前記カーボン担体と前記白金化合物と前記吸着剤とが混合する混合液を形成する第1混合液形成工程と、
    その後、前記第1混合液と前記キャッピング剤とが混合する第2混合液を形成する第2混合液形成工程と、
    前記第2混合液を還元剤で還元処理して白金ナノ粒子を生成させると共に前記白金ナノ粒子を前記カーボン担体に担持させる還元工程とを含む白金ナノ粒子の製造方法。
  2. 請求項1において、前記第1混合液形成工程は、前記カーボン担体を分散させた分散液に前記吸着剤の一部を混合させ、その後、前記白金化合物を前記分散液に混合させ、その後、前記吸着剤の残部を前記分散液に混合させることにより前記第1混合液を形成する白金ナノ粒子の製造方法。
  3. 請求項1において、前記第1混合液形成工程は、前記カーボン担体を分散させた分散液に前記白金化合物を混合させ、その後、前記吸着剤を前記分散液に混合させることにより前記第1混合液を形成する白金ナノ粒子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のうちの一項において、前記吸着剤は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの少なくとも一つを含む化合物である白金ナノ粒子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のうちの一項において、前記吸着剤は、ナトリウム(Na),カリウム(K),ルビジウム(Rb),セシウム(Cs),ベリリウム(Be),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba)のうちの1種または2種以上を含む白金ナノ粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のうちの一項において、前記吸着剤は、ヨウ化物、塩化物および臭化物のうちの1種または2種以上である白金ナノ粒子の製造方法。
  7. 請求項1〜6のうちの一項において、前記還元工程は、前記第2混合液を水素で還元することにより行われる白金ナノ粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜7のうちの一項において、前記白金化合物は、塩化白金酸、塩化白金酸カリウム、ジニトロジアミン白金、テトラクロロヘキサアンミン白金、ジクロロテトラアンミン白金、塩化白金、塩化白金酸水和物のうち1種または2種以上を含む白金ナノ粒子の製造方法。
  9. 請求項1〜8のうちの一項において、前記キャッピング剤は、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシドのうちの1種または2種以上である白金ナノ粒子の製造方法。
  10. 請求項1〜9のうちの一項において、前記白金ナノ粒子は50ナノメートル以下の粒径をもつ白金ナノ粒子の製造方法。
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