JP2010076734A - 障害物回避支援装置 - Google Patents

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憲雄 山崎
Shigenori Takimoto
繁規 滝本
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昌人 湯田
Hiroshi Yamanaka
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Abstract

【課題】接触回避のための操舵操作の支援を行う電動パワーステアリング装置を備えた車両において、制動力制御装置の作動が禁止されているときの操舵フィールを向上する。
【解決手段】障害物回避支援装置は、制動力制御装置1と電動パワーステアリング装置2とを備える。制動力制御装置1は、車輪の制動力を制御することにより車両挙動を制御する。制動力制御装置1は制動力制御を禁止する制動力制御カットスイッチ15を備える。電動パワーステアリング装置2は、通常操舵時の操舵アシスト量を決定するEPS基本制御部41と、車両前方に障害物を検知したときに障害物との接触を回避する方向へ操舵アシスト量を補正する回避操作支援制御部42と、回避操作支援停止/作動処理部43を備える。制動力制御カットスイッチ15がオンされているときには、電動パワーステアリング装置2による接触回避のための操舵操作の支援を禁止する。
【選択図】図1

Description

この発明は、障害物回避支援装置に関するものである。
車両操舵時の運転者の操舵力を軽減する車両用電動パワーステアリング装置には、通常操舵時には操舵トルクに応じて操舵アシスト量を制御し、障害物検知装置により車両前方の障害物を検知したときには回避操作を支援する方向へ前記操舵アシスト量を補正する障害物回避支援を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、車輪の制動力を制御することによりアンダーステア抑制やオーバーステア抑制等の車両挙動の抑制を行う制動力制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この制動力制御装置には、例えば新雪やぬかるみからの脱出時など、駆動輪を回転させた方が効果的である場合に、運転者の操作により制動力制御を禁止する制動力制御禁止スイッチ(以下、カットスイッチという)を備えるものもあり、このカットスイッチをオンすると制動力制御装置を作動させないようにすることができる。
特開2007−39017号公報 特開2007−246006号公報
ところで、前記障害物回避支援を行う電動パワーステアリング装置と前記制動力制御装置を備えた車両では、カットスイッチをオンしている状態のときに、電動パワーステアリング装置が障害物回避のための操舵操作の支援制御を行うと、運転者が操舵フィールに違和感を感じる場合があった。
また、制動力制御装置が故障して作動しないときに電動パワーステアリング装置が障害物回避のための操舵操作の支援制御を行ったときにも、同様に運転者が操舵フィールに違和感を感じる場合があった。
そこで、この発明は、制動力制御装置のカットスイッチがオン状態のとき、あるいは、制動力制御装置が故障しているときの操舵フィールを向上させることができる障害物回避支援装置を提供するものである。
この発明に係る車両制御装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、車両前方の障害物を検知し該障害物との接触を回避する操舵操作を支援する操舵装置(例えば、後述する実施例における電動パワーステアリング装置2)と、車輪の制動力を制御することにより車両挙動を制御する制動力制御装置(例えば、後述する実施例における制動力制御装置1)と、を備える障害物回避支援装置であって、前記制動力制御装置の作動が禁止されているときには、前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を禁止することを特徴とする障害物回避支援装置である。
制動力制御装置の作動が禁止されているときは、運転者は運転者自身の運転フィーリングを大事にしたいという意志があることから、このようなときに操舵装置により障害物との接触回避のための操舵操作の支援が行われると、操舵フィールが変化してしまう。請求項1に係る発明では、制動力制御装置の作動が禁止されているときには、前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を禁止するので、操舵フィールが変化することがない。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記操舵装置が接触回避のための操舵操作の支援を行っているときに前記制動力制御装置の作動が禁止状態となった場合は、前記操舵装置による接触回避のための支援制御の制御量(例えば、後述する実施例における補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUE)を徐々に低減させることを特徴とする。
このように構成することにより、操舵フィールの変化を和らげることができる。
請求項3に係る発明は、車両前方の障害物を検知し該障害物との接触を回避する操舵操作を支援する操舵装置(例えば、後述する実施例における電動パワーステアリング装置2)と、車輪の制動力を制御することにより車両挙動を制御する制動力制御装置(例えば、後述する実施例における制動力制御装置1)と、を備える障害物回避支援装置であって、前記制動力制御装置の故障が検出されたときには、前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を禁止することを特徴とする障害物回避支援装置である。
制動力制御装置が故障により作動していないときに操舵装置により接触回避のための操舵操作の支援が行われると、操舵フィールが変化してしまう。請求項3に係る発明では、制動力制御装置の故障が検出されたときには、操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を禁止するので、操舵フィールが変化することがない。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の発明において、前記操舵装置が接触回避のための操舵操作の支援を行っているときに前記制動力制御装置の故障が検出された場合は、前記操舵装置による接触回避のための支援制御の制御量(例えば、後述する実施例における補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUE)を徐々に低減させることを特徴とする。
このように構成することにより、操舵フィールの変化を和らげることができる。
請求項5に係る発明は、車両前方の障害物を検知し該障害物との接触を回避する操舵操作を支援する操舵装置(例えば、後述する実施例における電動パワーステアリング装置2)と、車輪の制動力を制御することにより車両挙動を制御する制動力制御装置(例えば、後述する実施例における制動力制御装置1)と、を備える障害物回避支援装置であって、前記制動力制御装置の作動が禁止されているときに前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援が必要であると判定された場合には、前記制動力制御装置の作動禁止を解除して作動を許可することを特徴とする障害物回避支援装置である。
このように構成することにより、制動力制御装置の作動が禁止されているときに操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援が必要であると判定された場合に、制動力制御装置を作動させ、且つ、前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を実行することにより、操舵フィールの変化を抑制することができる。
請求項1に係る発明によれば、制動力制御装置の作動が禁止されているときには、前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を禁止するので、接触回避のための操舵操作支援に起因する操舵フィールの変化をなくすことができ、操舵フィールが向上する。
請求項2に係る発明によれば、前記操舵装置が接触回避のための操舵操作の支援を行っているときに制動力制御装置の作動が禁止状態となった場合の操舵フィールの変化を和らげることができる。
請求項3に係る発明によれば、制動力制御装置の故障が検出されたときには、前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を禁止するので、接触回避のための操舵操作支援に起因する操舵フィールの変化をなくすことができ、操舵フィールが向上する。
請求項4に係る発明によれば、前記操舵装置が接触回避のための操舵操作の支援を行っているときに制動力制御装置の故障が検出された場合の操舵フィールの変化を和らげることができる。
請求項5に係る発明によれば、制動力制御装置の作動が禁止されているときに操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援が必要であると判定された場合に、制動力制御装置を作動させ、且つ、前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を実行することにより、操舵フィールの変化を抑制することができ、操舵フィールが向上する。
以下、この発明に係る障害物回避支援装置の実施例を図1から図6の図面を参照して説明する。
<実施例1>
初めに、実施例1における障害物回避支援装置を図1から図3の図面を参照して説明する。
図1の構成図に示すように、この車両は、制動力制御装置1と電動パワーステアリング装置2とにより構成された障害物回避支援装置を備えている。
初めに、制動力制御装置1について説明する。制動力制御システム1は、車両の左前輪ブレーキ31と、右前輪ブレーキ32と、左後輪ブレーキ33と、右後輪ブレーキ34と、これら四輪のブレーキ31〜34の制動力を制御する制動力制御部20と、を備えて構成されている。
制動力制御部20には、車両のステアリングシャフトの操舵角を検出する操舵角センサ11と、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ12と、車両の左右方向加速度(以下、横加速度という)を検出する横加速度センサ13と、車両の速度(車速)を検出する車速センサ14とから、それぞれ検出値に応じた出力信号が入力されるとともに、運転者が制動力制御を禁止したいときに運転者によってオン操作される制動力制御カットスイッチ(以下、カットスイッチと称す)15のON/OFF信号が入力される。
なお、カットスイッチ15はオン状態で制動力制御の実行を禁止し、オフ状態で制動力制御の実行を許可する。
制動力制御部20は、制動力制御量算出部21と、ブレーキ制御部22と、スイッチ判定部23とを備えている。
制動力制御量算出部21は、操舵角センサ11、ヨーレートセンサ12、横加速度センサ13、車速センサ14の出力に基づいて、車両の挙動を検出し、車両挙動を安定化させるために作動させるべきブレーキの選択と、制動力制御のための制御量を算出する。
詳述すると、制動力制御量算出部21は、操舵角センサ11により検出された操舵角と車速センサ14により検出された車速に基づいて運転者の意図する規範ヨーレートを算出し、この規範ヨーレートとヨーレートセンサ12により検出された検出ヨーレートとの偏差(以下、ヨーレート偏差という)を算出する。
また、制動力制御量算出部21は、ヨーレートセンサ12により検出された検出ヨーレートと、横加速度センサ13により検出された横加速度と、車速センサ14により検出された車速に基づいて、車両の横滑り角速度を算出する。なお、横滑り角速度は、横加速度を車速で割った値から検出ヨーレートを差し引くことにより算出することができる。
そして、制動力制御量算出部21は、検出ヨーレートの絶対値が規範ヨーレートの絶対値よりも設定値以上大きいときにオーバーステア状態であると判定し、規範ヨーレートの絶対値が検出ヨーレートの絶対値よりも設定値以上大きいときにアンダーステア状態であると判定し、オーバーステアあるいはアンダーステアを抑制するために必要なブレーキの制御量を算出するとともに、作動させるべきブレーキを選択する。すなわち、オーバーステア抑制の場合には車両に旋回外向きのモーメントを発生させるブレーキを選択し、アンダーステア抑制の場合には車両に旋回内向きのモーメントを発生させるブレーキを選択する。
また、制動力制御量算出部21は、横滑り角速度が所定値を越えているときに横滑り状態であると判定し、横滑りを抑制するために必要なブレーキの制御量を算出するとともに、作動させるべきブレーキ、すなわち車両に旋回外向きのモーメントを発生させるブレーキを選択する。
ブレーキ制御部22は、制動力制御量算出部21の算出結果に基づいて、選択された車輪ブレーキ(左前輪ブレーキ31、右前輪ブレーキ32、左後輪ブレーキ33、右後輪ブレーキ34)の作動を制御する。このように車輪の制動力を制御することにより車両挙動の安定化を実現する。
制動力制御量算出部21とブレーキ制御部22との間にはVSAスイッチ24が設けられており、このVSAスイッチ24がオン状態のときには、前述したように、制動力制御量算出部21の算出結果に基づいてブレーキ制御部22が車輪の制動力を制御する制動力制御が実行されるが、VSAスイッチ24がオフ状態のときには前記制動力制御が実行されない。
スイッチ判定部23は、カットスイッチ15のON/OFF信号に基づいてカットスイッチ15のスイッチ状態を判定し、カットスイッチ15がオン状態であると判定したときにカットスイッチオフフラグVSA_F=1をVSAスイッチ24と電動パワーステアリング装置2へ出力し、カットスイッチ15がオフ状態であると判定したときにカットスイッチオフフラグVSA_F=0をVSAスイッチ24と電動パワーステアリング装置2へ出力する。
VSAスイッチ24は、カットスイッチ15がオフ状態であることを示すカットスイッチオフフラグVSA_F=0が入力されたときにオンとなり、カットスイッチ15がオン状態であることを示すカットスイッチオフフラグVSA_F=1が入力されたときにオフとなる。
したがって、この制動力制御装置1では、カットスイッチ15がオフ状態であるときには、VSAスイッチ24がオンとなるので、制動力制御量算出部21の算出結果に基づいてブレーキ制御部22が車輪の制動力を制御する制動力制御が実行され、カットスイッチ15がオン状態であるときには、VSAスイッチ24がオフとなるので、前記制動力制御は実行されない。
次に、電動パワーステアリング装置2について説明する。電動パワーステアリング装置2は、操舵アシストトルクを発生させる電動アシストモータ(以下、アシストモータと略す)51と、アシストモータ51を駆動するモータ駆動回路52と、電動パワーステアリング制御装置(以下、EPS制御装置と略す)40と、を備えて構成されている。
EPS制御装置40には、ステアリングシャフトに印加される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ16と、車両前方の障害物を検知するレーダ17と、操舵角センサ11と、ヨーレートセンサ12と、車速センサ14とから、それぞれ検出値に応じた出力信号が入力される。
レーダ17は、車体前方に向けてミリ波等の電磁波を発信し、その反射波に基づいて障害物を検知し、障害物と自車との相対距離、障害物と自車との相対速度、障害物と自車とのオフセット距離、および障害物の横幅を検出する。なお、障害物と自車とのオフセット距離とは、障害物の中心と自車の中心の車幅方向のずれ量を言う。
EPS制御装置40は、EPS基本制御部41と、回避操作支援制御部(障害物回避支援装置)42と、回避操作支援停止/作動処理部43とを備えている。
EPS基本制御部41は、車速センサ14により検出された車速と、操舵トルクセンサ16により検出された操舵トルクとに基づいて、アシストモータ51のEPS基本制御量EPS_VALUEを算出する。EPS基本制御量EPS_VALUEの算出方法は公知の電動パワーステアリング装置と同じであるので詳細説明は省略するが、概略、操舵トルクが大きくなるにしたがってEPS基本制御量EPS_VALUEが大きくなり、車速が大きくなるにしたがってEPS基本制御量EPS_VALUEが小さくなるように設定される。
回避操作支援制御部42は、レーダ17が検知した車両前方の障害物との接触を回避するために操舵操作を支援する必要があるか否かを判定する。以下、障害物との接触を回避するための操舵操作の支援を、回避操作支援と略す。そして、回避操作支援制御部42は、回避操作支援の必要があると判定した場合に、回避操作支援のための制御量(以下、回避支援制御量と称す)XHK_VALUEを算出し、これを回避操作支援停止/作動処理部43へ出力する。
詳述すると、回避操作支援制御部42は、各種センサの検出値等に基づいて算出した自車の予測進路と、レーダ17の検出結果(障害物と自車との相対距離および相対速度、オフセット距離、および障害物の横幅)とに基づいて、予測進路上に障害物が存在するか否かを判定する。そして、予測進路上に障害物が存在すると判定した場合には、自車が障害物との接触を回避するために必要な回避運動量(横移動量)を算出し、この回避運動量に応じて回避支援制御量XHK_VALUEを算出する。
回避操作支援停止/作動処理部43には、回避操作支援制御部42から回避支援制御量XHK_VALUEが入力されるとともに、制動力制御部20のスイッチ判定部23からカットスイッチオフフラグVSA_Fが入力される。そして、回避操作支援停止/作動処理部43は、回避支援制御量XHK_VALUEとカットスイッチオフフラグVSA_Fとに基づいて、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEを算出する。
そして、EPS制御装置40は、EPS基本制御量EPS_VALUEに補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEを加算して、アシストモータ51の目標電流Ioを求め、この目標電流Ioをモータ駆動回路52へ出力する。
モータ駆動回路52では、アシストモータ51の実電流が前記目標電流Ioと一致するように、フィードバック制御が行われる。
次に、回避操作支援停止/作動処理部43において実行される回避操作支援停止/作動処理(すなわち補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの算出処理)を、図2のフローチャートに従って説明する。
まず、ステップS101において、制動力制御装置1の作動が許可されているか否か、換言すると、カットスイッチ15がオフ状態(VSA_F=0)であるか否かを判定する。
ステップS101における判定結果が「YES」(VSA_F=0)である場合には、ステップS102に進み、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの今回値として回避支援制御量XHK_VALUEを設定して、リターンする。つまり、この場合には、カットスイッチ15がオフ状態であるので、回避操作支援制御部42で算出された回避支援制御量XHK_VALUEがそのまま補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEとして回避操作支援停止/作動処理部43から出力される。
一方、ステップS101における判定結果が「NO」(VSA_F=1)である場合には、ステップS103に進み、回避操作支援を実行していない(回避操作支援非作動中)か否かを判定する。
ステップS103における判定結果が「YES」(回避操作支援非作動中)である場合には、ステップS104に進み、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの今回値として「0」を設定して、リターンする。つまり、この場合には、実質的に回避操作支援が禁止されることとなる。
ステップS103における判定結果が「NO」(回避操作支援作動中)である場合には、ステップS105に進み、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの前回値の符号が「+」か「−」かを判定する。すなわち、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの前回値は左旋回を支援する制御量(例えば+)であるか、右旋回を支援する制御量(例えば−)であるかを判定する。
次に、ステップS106に進み、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの前回値の絶対値から所定の一定値(正数)を減算した値(以下、減算値と称す)を算出する。ただし、減算値がマイナスになった場合にはリミット処理により減算値を「0」にする。
次に、ステップS106で算出した減算値に「+1」あるいは「−1」を乗じることにより、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの前回値と同じ符号にし、この値を補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの今回値として設定し、リターンする。
つまり、回避操作支援作動中(実行中)にカットスイッチ15がオン操作されたときには、ステップS105〜ステップS107の処理を実行することにより、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEを徐々に低減させて、最終的に「0」に収束させる。
このように構成された電動パワーステアリング装置2によれば、カットスイッチ15がオフ状態であるときには、回避操作支援制御部42で算出された回避支援制御量XHK_VALUEがそのまま補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEとして回避操作支援停止/作動処理部43から出力されて、EPS基本制御量EPS_VALUEに加算され、アシストモータ51の目標電流Ioが算出される。したがって、回避操作支援制御部42が障害物との接触を回避するために操舵操作を支援する必要があると判定したときには、電動パワーステアリング装置2は、通常操舵時の操舵アシスト量に、回避操作支援のための操舵アシスト量を加えて操舵アシストを行うので、障害物との接触を回避し易くなる。
一方、回避操作支援非作動中(非実行中)にカットスイッチ15がオン操作されたときには、直ちに回避操作支援が禁止され、カットスイッチ15がオン状態の間、回避操作支援を禁止した状態に保持することができる。
ここで、運転者がカットスイッチ15をオン操作して制動力制御装置1の作動を禁止したときは、運転者は運転者自身の運転フィーリングを大事にしたいという意志があるときである。このようなときに電動パワーステアリング装置2において回避操作支援が行われると、操舵フィールが変化してしまう。しかしながら、この電動パワーステアリング装置2では、上述するようにカットスイッチ15がオン操作されたときには回避操作支援が禁止されるので、回避操作支援の実行に起因する操舵フィールの変化が生じなくなり、操舵フィールが向上する。
また、回避操作支援が行われているときにカットスイッチ15がオン操作されたときには、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEを徐々に低減させていき、最終的に「0」にして回避操作支援を禁止するので、操舵フィールの変化を和らげることができ、運転者に違和感を感じさせないようにすることができる。
次に、図3のフローチャートに従って、アシストモータ51の制御手順を説明する。
まず、ステップS201において、制動力制御装置の作動が許可されているか否かを判定する。
次に、ステップS202に進み、回避操作支援制御量(回避支援制御量XHK_VALUE)を算出する。
次に、ステップS203に進み、回避操作支援停止/作動処理を実行して、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEを算出する。
次に、ステップS204に進み、電動パワーステアリング装置2の制御量(目標電流Io)を算出する。
次に、ステップS205に進み、アシストモータ51を制御する。
実施例1における制動力制御装置1の作動が禁止される場合には、前述したカットスイッチがオフ操作されたときだけでなく、センサ等の故障を含む制動力制御装置1の故障による場合も含まれる。
<実施例2>
次に、実施例2における障害物回避支援装置を図4から図6の図面を参照して説明する。
図4に示すように、実施例2における障害物回避支援装置の構成は、基本的には実施例1のものと同じである。以下、相違点について説明し、同一態様部分には同一符号を付して説明を省略する。
実施例2における制動力制御部20のスイッチ判定部23は、カットスイッチオフフラグVSA_F=0または1をVSAスイッチ24へのみ出力し、電動パワーステアリング装置2のEPS制御装置40には出力されない。なお、VSAスイッチ24は、カットスイッチ15がオフ状態であることを示すカットスイッチオフフラグVSA_F=0が入力されたときにオンとなり、カットスイッチ15がオン状態であることを示すカットスイッチオフフラグVSA_F=1が入力されたときにオフとなる点については実施例1と同じである。
また、実施例2における制動力制御部20は故障判定部25を備えている。故障判定部25は、操舵角センサ11、ヨーレートセンサ12、横加速度センサ13、車速センサ14、カットスイッチ15等の機器類の故障を含む制動力制御装置1の故障の有無を判定し、故障ありと判定したときに故障判定フラグFAIL_F=1をVSAスイッチ24と電動パワーステアリング装置2のEPS制御装置40へ出力し、故障なしと判定したときに故障判定フラグFAIL_F=0をVSAスイッチ24とEPS制御装置40へ出力する。
VSAスイッチ24は、カットスイッチ15のオフ(すなわち、カットスイッチオフフラグVSA_F=0)によりオン状態となっているときに、故障判定部25から故障ありを示す故障判定フラグFAIL_F=1が入力された場合に、オンからオフとなるように動作する。なお、故障判定部25から故障なしを示す故障判定フラグFAIL_F=0がVSAスイッチ24に入力されたときは、VSAスイッチ24のオン/オフ状態は影響を受けず、現状を維持する。
また、実施例2におけるEPS制御装置40の回避操作支援制御部42は、回避操作支援の必要があると判定した場合に、回避支援制御量XHK_VALUEを算出し、回避操作支援停止/作動処理部43へ出力する点は実施例1の場合と同じであるが、それだけでなく、回避操作支援の必要があると判定した場合には回避操作支援フラグXHK_F=1をVSAスイッチ24へ出力し、回避操作支援の必要がないと判定した場合には回避操作支援フラグXHK_F=0をVSAスイッチ24へ出力する。
VSAスイッチ24は、カットスイッチ15のオン(すなわち、カットスイッチオフフラグVSA_F=1)によりオフ状態となっているときに、回避操作支援制御部42から回避操作支援フラグXHK_F=1が入力された場合に、オフからオンとなるように動作する。なお、回避操作支援制御部42から回避操作支援フラグXHK_F=0がVSAスイッチ24に入力されたときは、VSAスイッチ24のオン/オフ状態は影響を受けず、現状を維持する。
実施例2におけるEPS制御装置40の回避操作支援停止/作動処理部43は、EPS制御装置40から入力される回避支援制御量XHK_VALUEと、制動力制御部20の故障判定部25から入力される故障判定フラグFAIL_Fとに基づいて、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEを算出する。補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの算出については後で詳述する。
そして、EPS制御装置40は、EPS基本制御量EPS_VALUEに補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEを加算して、アシストモータ51の目標電流Ioを求める。
次に、実施例2の障害物回避支援装置における電動パワーステアリング装置2の回避操作支援制御を図5のフローチャートに従って説明する。
まず、ステップS301において、制動力制御装置1が故障か否か(すなわち、故障判定フラグFAIL_F=1か否か)を判定する。
ステップS301における判定結果が「YES」(故障)である場合には、ステップS302に進み、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの今回値として「0」を設定することにより、回避操作支援の実行を実質的に禁止する。なお、電動パワーステアリング装置2が回避操作支援を実行しているときにステップS301における判定結果が「YES」となった場合には、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEを徐々に低減させていき、最終的に「0」に収束させる。
一方、ステップS301における判定結果が「NO」(正常)である場合には、ステップS303に進み、回避操作支援制御部42が回避操作支援の必要があると判定しているか否か(すなわち、回避操作支援フラグXHK_Fが1か否か)を判定する。
ステップS303における判定結果が「NO」(XHK_F=0)である場合には、本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS303における判定結果が判定結果が「YES」(XHK_F=1)である場合には、ステップS304に進み、回避操作支援フラグXHK_F=1を制動力制御装置1の制動力制御部20へ出力し、ステップS305に進む。
そして、ステップS305において、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEの今回値として回避支援制御量XHK_VALUEを設定して回避操作支援を実行し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
次に、実施例2の障害物回避支援装置における制動力制御装置1の制動力制御を図6のフローチャートに従って説明する。
まず、ステップS401において、制動力制御装置1が故障か否か(すなわち、故障判定フラグFAIL_F=1か否か)を判定する。
ステップS401における判定結果が「YES」(故障)である場合には、ステップS402に進み、VSAスイッチ24をオフにして本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS401における判定結果が「NO」(正常)である場合には、ステップS403に進み、VSAスイッチ24がオンか否かを判定する。
ステップS403における判定結果が「YES」(VSAスイッチ24がオン)である場合には、ステップS404に進み、制動力制御を実行する。すなわち、制動力制御量算出部21の算出結果に基づいてブレーキ制御部22が車輪の制動力を制御する。
一方、ステップS403における判定結果が「NO」(VSAスイッチ24がオフ)である場合には、ステップS405に進み、回避操作支援フラグXHK_F=1か否かを判定する。
ステップS405における判定結果が「YES」(回避操作支援が必要)である場合には、ステップS406に進み、VSAスイッチ24をオンにして、ステップS404に進む。すなわち、制動力制御装置1が故障でなく、且つ、VSAスイッチ24がオフ状態であるときに、回避操作支援の必要ありと判定されたときには、VSAスイッチ24を強制的にオンに切り換えて、制動力制御を実行する。
一方、ステップS405における判定結果が「NO」(回避操作支援の必要なし)である場合には、本ルーチンの実行を一旦終了する。
この実施例2の障害物回避支援装置によれば、制動力制御装置1の故障が検出されたときには、補正回避支援制御量EPS_HOSEI_VALUEを0とすることにより、回避操作支援を実質的に禁止するので、回避操作支援に起因する操舵フィールの変化をなくすことができ、操舵フィールが向上する。
また、運転者がカットスイッチ15をオン操作することにより制動力制御装置1の作動が禁止されているときに、EPS制御装置40の回避操作支援制御部42により回避操作支援の必要があると判定された場合には、VSAスイッチ24を強制的にオンに切り換えることにより制動力制御装置1を作動させ、且つ、電動パワーステアリング装置2による回避操作支援を実行するので、回避操作支援の実行中も車両挙動が安定させることができるだけでなく、操舵フィールの変化を抑制することができ、操舵フィールが向上する。
この発明に係る障害物回避支援装置を備えた車両の実施例1における構成図である。 前記実施例1における補正回避支援制御量の算出処理を示すフローチャートである。 前記実施例1におけるアシストモータ制御手順を示すフローチャートである。 この発明に係る障害物回避支援装置を備えた車両の実施例2における構成図である。 前記実施例2における電動パワーステアリング装置の回避操作支援制御を示すフローチャートである。 前記実施例2における制動力制御装置の制動力制御を示すフローチャートである。
符号の説明
1 制動力制御装置
2 電動パワーステアリング装置(操舵装置)
15 制動力制御カットスイッチ

Claims (5)

  1. 車両前方の障害物を検知し該障害物との接触を回避する操舵操作を支援する操舵装置と、
    車輪の制動力を制御することにより車両挙動を制御する制動力制御装置と、
    を備える障害物回避支援装置であって、
    前記制動力制御装置の作動が禁止されているときには、前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を禁止することを特徴とする障害物回避支援装置。
  2. 前記操舵装置が接触回避のための操舵操作の支援を行っているときに前記制動力制御装置の作動が禁止状態となった場合は、前記操舵装置による接触回避のための支援制御の制御量を徐々に低減させることを特徴とする請求項1に記載の障害物回避支援装置。
  3. 車両前方の障害物を検知し該障害物との接触を回避する操舵操作を支援する操舵装置と、
    車輪の制動力を制御することにより車両挙動を制御する制動力制御装置と、
    を備える障害物回避支援装置であって、
    前記制動力制御装置の故障が検出されたときには、前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援を禁止することを特徴とする障害物回避支援装置。
  4. 前記操舵装置が接触回避のための操舵操作の支援を行っているときに前記制動力制御装置の故障が検出された場合は、前記操舵装置による接触回避のための支援制御の制御量を徐々に低減させることを特徴とする請求項3に記載の障害物回避支援装置。
  5. 車両前方の障害物を検知し該障害物との接触を回避する操舵操作を支援する操舵装置と、
    車輪の制動力を制御することにより車両挙動を制御する制動力制御装置と、
    を備える障害物回避支援装置であって、
    前記制動力制御装置の作動が禁止されているときに前記操舵装置による接触回避のための操舵操作の支援が必要であると判定された場合には、前記制動力制御装置の作動禁止を解除して作動を許可することを特徴とする障害物回避支援装置。
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