JP2010075048A - 負荷駆動装置およびそれを備える車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動回路のスイッチング損失を確実に低減可能な負荷駆動装置およびそれを備える車両を提供する。
【解決手段】インバータ14の入力電圧Vmには、IGBT素子のスイッチング動作時に生じるサージ電圧と、コンデンサC2の等価直列抵抗に発生する電圧変動とが重畳する。等価直列抵抗は、コンデンサ温度Tcの低下に伴なって抵抗値が増加する温度依存性を有する。またIGBT素子は、インバータ温度Tivの低下に伴なって素子耐圧が低下する温度依存性を有する。制御装置30は、コンデンサ温度Tcが所定の閾値よりも低いとき、入力電圧Vmの上限値を高温時の上限値から電圧変動相当分だけ減少させ、出力電圧がその上限値を超えないように昇圧コンバータ12の目標電圧を制御する。その結果、サージ電圧の許容範囲を確保でき、この許容範囲内で可能な限りスイッチング速度を高めることによりスイッチング損失を低減できる。
【選択図】図1

Description

この発明は、負荷駆動装置およびそれを備える車両に関し、特に、駆動回路のスイッチング損失を低減可能な負荷駆動装置およびそれを備える車両に関する。
通常、電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)等の車両において、電気エネルギーによる駆動力は、高電圧の電池から供給される直流電力をインバータによって3相交流電力に変換し、これにより3相交流モータを回転させることにより得ている。また、車両の減速時には、逆に3相交流モータの回生発電により得られる回生エネルギーを電池に蓄電することにより、エネルギーを無駄なく利用して走行している。
このようなハイブリッド自動車または電気自動車において、インバータは6個のスイッチング素子(たとえばIGBT(Isolated Gate Bipolar Transistor))を3アームのブリッジ接続にし、これらのIGBTのスイッチング動作により入力された直流電力から3相交流モータを駆動するための交流電力を得ている。
ここで、IGBTのスイッチング動作時においては、IGBTをオンからオフにしたときにサージ電圧が発生する。このサージ電圧は、インバータの入力電圧に重畳されてオフ状態にあるIGBTのコレクタ−エミッタ間に印加される。したがって、IGBTの破壊を防ぐためには、インバータの入力電圧とサージ電圧との和をIGBTの素子耐圧以下に抑える必要がある。範囲を超えることがないように、IGBTのゲートに直列に入力抵抗を挿入し、この入力抵抗とIGBTのゲート−エミッタ間の寄生容量とによってゲートに印加する信号電圧の立上りおよび立下り波形をなまらせて、スイッチング速度を遅くすることが行なわれていた。
しかしながら、スイッチング速度を遅くすると、サージ電圧が小さくなる一方で、スイッチング損失が大きくなることから、車両の燃費悪化を招くという問題があった。特に、IGBTの素子耐圧は、素子温度の低下に伴なって低下するという温度依存性を有することから、低温環境下では、サージ電圧の許容範囲に対する制限が厳しくなり、スイッチング損失を抑えることが困難であった。
そこで、たとえば特許文献1は、車両の運転状態に応じてインバータ内の複数の電力素子の入力抵抗の抵抗値を設定する入力抵抗設定手段を備えた電気自動車の制御装置を開示する。
これによれば、入力抵抗設定手段は、バッテリの温度、電力素子の温度、電力素子の消費電力のうちのいずれかに応じて抵抗値を設定する。具体的には、電力素子の温度が比較的高温となる領域では、電力素子の許容サージ耐圧が高いことから、入力抵抗値を小さくすることによってスイッチング速度を速め、限界発生サージ電圧のレベルまでサージ電圧の発生を許すことによってスイッチング損失を減少させることができる。一方、比較的低温領域では、許容サージ耐圧が低いことから、入力抵抗値を大きくすることによって発生サージ電圧を許容サージ耐圧よりも低くすることにより、電力素子を安定に動作させることができる。
特開2001−169407号公報 特開2005−198406号公報 特開2005−354763号公報 特開2004−166341号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の電気自動車の制御装置によれば、電力素子が比較的低温となる領域では、電力素子の入力抵抗値を大きくすることによって、サージ電圧の発生が制限されて電力素子の破壊を回避できるものの、スイッチング速度の低下に起因してスイッチング損失が増大するという問題が依然として残る。
ところで、ハイブリッド自動車または電気自動車においては、直流電源からの直流電圧を昇圧コンバータによって昇圧し、その昇圧した直流電圧をインバータに供給する構成が検討されている(たとえば特許文献2〜4参照)。
このような構成において、昇圧コンバータの出力側とインバータの入力側との間には、昇圧コンバータからの直流電圧を平滑化するためのコンデンサが設けられている。この平滑用のコンデンサとしては、電解コンデンサやフィルムコンデンサ等が適用されるが、その中でも小型かつ大容量が達成可能であるとして、アルミ電解コンデンサが広く用いられている。
しかしながら、アルミ電解コンデンサにおいて、インピーダンスの実数部、いわゆるESR(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)は、低温になるに従って大きくなるという温度特性を有する。そのため、アルミ電解コンデンサをインバータの入力側に設けた場合、低温領域では、コンデンサの充放電時にESRに発生する電圧が増大し、この増大した電圧が電圧変動としてインバータの入力電圧に重畳することになる。したがって、低温領域においては、IGBTの安全動作とスイッチング損失の低減とを両立するためには、上述したサージ電圧に加えて、コンデンサによる電圧変動をさらに考慮する必要がある。
それゆえ、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、駆動回路のスイッチング損失を確実に低減可能な負荷駆動装置を提供することである。
また、この発明の別の目的は、駆動回路のスイッチング損失を確実に低減可能な負荷駆動装置を備えた車両を提供することである。
この発明のある局面によれば、負荷駆動装置は、出力電圧を可変制御可能に構成された直流電源と、スイッチング素子のスイッチング動作により直流電源からの直流電圧を交流電圧に変換して電気負荷を駆動制御する駆動回路と、直流電源と駆動回路との間に配され、直流電源の出力電圧を平滑化して駆動回路に入力する容量素子と、直流電源を制御する制御装置とを備える。スイッチング素子は、スイッチング素子の温度の低下に伴なって素子耐圧が低下する温度依存性を有する。制御装置は、電気負荷からの要求に従って、スイッチング素子の温度に応じて設定される駆動回路の入力電圧の上限値を超えないように、直流電圧の出力電圧を設定する。
上記の負荷駆動装置によれば、スイッチング素子温度に応じて駆動回路の入力電圧の上限値を設定することにより、スイッチング素子温度に拘らず入力電圧に重畳するサージ電圧の許容範囲を確保することができる。その結果、駆動回路のスイッチング損失を確実に低減することができる。
好ましくは、制御装置は、スイッチング素子の温度が低い程、入力電圧の上限値を低く設定する。
上記の負荷駆動装置によれば、スイッチング素子温度が低いときに、素子耐圧の低下に起因してサージ電圧の許容範囲が縮減されるのを防止することができる。
好ましくは、負荷駆動装置は、容量素子の温度を検出する第1の温度センサと、スイッチング素子の温度を検出する第2の温度センサとをさらに備える。容量素子は、容量素子の温度の低下に伴なって等価直列抵抗の抵抗値が増加する温度依存性を有する。制御装置は、等価直列抵抗に発生する電圧変動と容量素子の温度との関係を予め設定しており、設定された関係を参照して、容量素子の温度の検出値に対応する電圧変動を推定する電圧変動推定手段と、スイッチング素子の温度の検出値が所定の閾値以上のとき、スイッチング素子の素子耐圧と入力電圧に重畳するサージ電圧とに基づいて第1の上限値を設定する第1の設定手段と、スイッチング素子の温度の検出値が所定の閾値よりも低いとき、第1の上限値を電圧変動推定手段によって推定された電圧変動に相当する電圧だけ減少させて第2の上限値を設定する第2の設定手段とを含む。
上記の負荷駆動装置によれば、スイッチング素子温度が低いときには、駆動回路の入力電圧の上限値を、スイッチング素子温度が高いときの上限値から容量素子による電圧変動相当分だけ減少させることから、サージ電圧の許容範囲が縮減されるのを防止することができる。
好ましくは、制御装置は、電気負荷の要求出力に基づいて出力電圧の目標値を設定する目標値設定手段と、上限値設定手段が設定した入力電圧の上限値を超えないように目標値を補正する目標値補正手段とをさらに含む。
上記の負荷駆動装置によれば、電圧変換器の出力電圧の目標値を補正することによって容易に駆動回路の入力電圧の上限値を減少させることができる。
好ましくは、容量素子は、電解コンデンサである。
上記の負荷駆動装置によれば、等価直列抵抗が温度の低下に伴なって増加する温度特性を有する電解コンデンサを平滑用コンデンサとして起用することが可能となるため、電解コンデンサの持つ小型かつ大容量の利点を生かして装置の小型化を実現することができる。
この発明によれば、車両は、上述した負荷駆動装置のいずれか1つを備える。
上記の車両によれば、負荷駆動装置のスイッチング損失が低減されることにより、燃費
の向上を実現することができる。
この発明によれば、駆動回路のスイッチング損失を確実に低減することができる。その結果、この発明による負荷駆動装置を搭載した車両の燃費を向上することができる。
この発明の実施の形態による負荷駆動装置が適用されるモータ駆動装置の概略ブロック図である。 図1における制御装置のブロック図である。 IGBT素子の素子耐圧Vinvとインバータ温度Tivとの関係を示す図である。 コンデンサのESRとコンデンサ温度Tcとの関係を示す図である。 インバータの入力電圧、サージ電圧およびスイッチング損失と素子温度との関係を説明するための図である。 この発明によるインバータの入力電圧、サージ電圧およびスイッチング損失と素子温度との関係を説明するための図である。 この発明の実施の形態によるインバータの入力電圧の制御を説明するためのフローチャートである。 コンデンサによる電圧変動ΔVcとコンデンサ温度Tcとの関係を示す図である。 この発明の実施の形態によるインバータの入力電圧の制御を説明するための他のフローチャートである。 この発明の実施の形態によるインバータの入力電圧の制御を説明するための他のフローチャートである。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
図1は、この発明の実施の形態による負荷駆動装置が適用されるモータ駆動装置の概略ブロック図である。
図1を参照して、モータ駆動装置100は、直流電源Bと、電圧センサ10,11と、電流センサ24と、コンデンサC2と、昇圧コンバータ12と、インバータ14と、温度センサ13,18と、制御装置30とを備える。
交流モータM1は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。また、交流モータM1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえばエンジン始動を行ない得るようなモータである。
昇圧コンバータ12は、リアクトルL1と、IGBT素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
リアクトルL1の一方端は直流電源Bの電源ラインに接続され、他方端はIGBT素子Q1とIGBT素子Q2との中間点、すなわち、IGBT素子Q1のエミッタとIGBT素子Q2のコレクタとの間に接続される。
IGBT素子Q1,Q2は、電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。IGBT素子Q1のコレクタは電源ラインに接続され、IGBT素子Q2のエミッタはアースラインに接続される。また、各IGBT素子Q1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ配されている。
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とからなる。U相アーム15、V相アーム16およびW相アーム17は、電源ラインとアースラインとの間に並列に設けられる。
U相アーム15は、直列接続されたIGBT素子Q3,Q4からなる。V相アーム16は、直列接続されたIGBT素子Q5,Q6からなる。W相アーム17は、直列接続されたIGBT素子Q7,Q8からなる。また、各IGBT素子Q3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通に接続されて構成される。U相コイルの他端がIGBT素子Q3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がIGBT素子Q5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がIGBT素子Q7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオンなどの二次電池からなる。電圧センサ10は、直流電源Bから出力される電圧Vbを検出し、検出した電圧Vbを制御装置30へ出力する。
昇圧コンバータ12は、直流電源Bから供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。より具体的には、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWMCを受けると、信号PWMCによってIGBT素子Q2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。
また、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWMCを受けると、コンデンサC2を介してインバータ14から供給された直流電圧を降圧して直流電源Bへ供給する。
コンデンサC2は、昇圧コンバータ12から出力された直流電圧を平滑化し、平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。コンデンサC2には、たとえば、小型大容量化が可能なアルミ電解コンデンサが用いられる。
電圧センサ11は、コンデンサC2の両端の電圧Vmを検出し、その検出した電圧Vmを制御装置30へ出力する。温度センサ18は、コンデンサC2の温度(「コンデンサ温度」と称する。)Tcを検出し、その検出したコンデンサ温度Tcを制御装置30へ出力する。
インバータ14は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると、制御装置30からの信号PWMIに基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TRによって指定されたトルクを発生するように駆動される。
また、インバータ14は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMIに基づいて直流電圧に変換し、変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。
なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合との回生発電を伴なう制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車速を減速(または加速を中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流モータM1に流れるモータ電流MCRTを検出し、検出したモータ電流MCRTを制御装置30へ出力する。
温度センサ18は、インバータ14の温度(「インバータ温度」と称する。)Tivを検出し、その検出したインバータ温度Tivを制御装置30へ出力する。
制御装置30は、外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)からトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNを受け、電圧センサ11から電圧Vmを受け、電流センサ24からモータ電流MCRTを受ける。制御装置30は、電圧Vm、トルク指令値TRおよびモータ電流MCRTに基づいて、後述する方法によりインバータ14が交流モータM1を駆動するときにインバータ14のIGBT素子Q3〜Q8をスイッチング制御するための信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14へ出力する。
また、制御装置30は、インバータ14が交流モータM1を駆動するとき、電圧Vb、Vm、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、後述する方法により昇圧コンバータ12のIGBT素子Q1,Q2をスイッチング制御するための信号PWMCを生成し、生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12へ出力する。
さらに、制御装置30は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、電圧Vm、トルク指令値TRおよびモータ電流MCRTに基づいて、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMIを生成し、生成した信号PWMIをインバータ14へ出力する。この場合、インバータ14のIGBT素子Q3〜Q8は、信号PWMIによってスイッチング制御される。これにより、インバータ14は、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置30は、回生制動時、電圧Vb,Vm、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するための信号PWMCを生成し、生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流モータM1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
図2は、図1における制御装置30のブロック図である。
図2を参照して、制御装置30は、モータ制御用相電圧演算部40と、インバータ用PWM信号変換部42と、インバータ入力電圧指令演算部50と、電圧指令補正部52と、デューティ比変換部54とを含む。
モータ制御用相電圧演算部40は、外部ECUからトルク指令値TRを受け、電圧センサ11から昇圧コンバータ12の出力電圧Vm、すなわち、インバータ14の入力電圧を受け、電流センサ24からモータ電流MCRTを受ける。そして、モータ制御用相電圧演算部40は、これらの入力信号に基づいて、交流モータM1の各相に印加する電圧を計算し、その計算した結果をインバータ用PWM信号変換部42へ出力する。
インバータ用PWM信号変換部42は、モータ制御用相電圧演算部40から受けた計算結果に基づいて、実際にインバータ14の各IGBT素子Q3〜Q8をオン/オフするための信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14の各IGBT素子Q3〜Q8へ出力する。
これにより、各IGBT素子Q3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出力するように交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TRに応じたモータトルクが出力される。
インバータ入力電圧指令演算部50は、外部ECUからのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいてインバータ入力電圧の最適値(目標値)、すなわち、電圧指令Vdc_comを演算し、その演算した電圧指令Vdc_comを電圧指令補正部52へ出力する。
電圧指令補正部52は、インバータ入力電圧指令演算部50から電圧指令Vdc_comを受け、温度センサ18からコンデンサ温度Tcを受け、温度センサ13からインバータ温度Tivを受ける。そして、電圧指令補正部52は、温度センサ18からのコンデンサ温度Tcおよびインバータ温度Tivに基づいて後述する方法によって電圧指令Vdc_comを補正し、補正後の電圧指令Vdc_com1をデューティ比変換部54へ出力する。
デューティ比変換部54は、電圧指令補正部52から補正後の電圧指令Vdc_com1を受け、電圧センサ10から直流電圧Vbを受けると、電圧センサ11からの出力電圧Vmを電圧指令Vdc_com1に設定するためのデューティ比を演算し、その演算したデューティ比に基づいて昇圧コンバータ12のIGBT素子Q1,Q2をオン/オフするための信号PWMCを生成する。そして、デューティ比変換部54は、その生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12のIGBT素子Q1,Q2へ出力する。
なお、昇圧コンバータ12の下側のIGBT素子Q2のオンデューティを大きくすることによりリアクトルL1の電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上側のIGBT素子Q1のオンデューティを大きくすることにより電源ラインの電圧が下がる。そこで、IGBT素子Q1,Q2のデューティ比を制御することで、インバータ14の入力電圧Vmを、直流電源Bの出力電圧を下限として、IGBT素子の素子耐圧などを基に設定された上限値までの任意の電圧に制御可能である。なお、入力電圧Vmの上限値は、後述するようにIGBT素子の素子耐圧とスイッチング動作時に発生するサージ電圧とに基づいて設定される。
このような昇圧コンバータ12の制御を行なうことによってインバータ14の入力電圧Vmを交流モータM1の動作状態に応じて可変させることにより、モータ駆動装置100で発生する損失(モータ損失、インバータ損失および昇圧コンバータ損失を含む)を最小限に抑え、モータ駆動効率を高めることができる。
そして、インバータ14は、直流電源Bの出力電圧以上の高電圧に変換された入力電圧Vmを、IGBT素子Q3〜Q8のスイッチング動作によって交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。
このとき、IGBT素子Q3〜Q8のスイッチング動作時においては、IGBT素子をオンからオフにしたときにサージ電圧が発生する。このサージ電圧は、インバータ14の入力電圧Vmに重畳されてオフ状態にあるIGBT素子のコレクタ−エミッタ間に印加される。したがって、IGBT素子の破壊を防ぐためには、インバータ14の入力電圧Vmとサージ電圧との和をIGBT素子の素子耐圧以下に抑える必要がある。
図3は、IGBT素子の素子耐圧Vinvとインバータ温度Tivとの関係を示す図である。
図3を参照して、IGBT素子の素子耐圧Vinvは、インバータ温度Tivの低下に伴なって減少する。したがって、インバータ温度Tivが低いときほど、素子耐圧Vinvの制約を受けてサージ電圧を小さくする必要がある。
さらに、インバータ14の入力側に設けられたコンデンサC2においては、昇圧コンバータ12のIGBT素子Q1,Q2のスイッチング制御に応じてリプル電流が流れる。そのため、ESRの端子間には、ESRとリプル電流との積で与えられる電圧が発生する。この電圧は、電圧変動ΔVcとしてインバータ14の入力電圧Vmに重畳する。
図4は、コンデンサC2のESRとコンデンサ温度Tcとの関係を示す図である。
図4を参照して、ラインLN1は、コンデンサC2にアルミ電解コンデンサを適用したときのESRの温度依存性を表わす。一方、ラインLN2は、コンデンサC2にフィルムコンデンサを適用したときのESRの温度依存性を表わす。
図4から明らかなように、コンデンサC2にアルミ電解コンデンサを用いた場合、ESRは、コンデンサ温度Tcの低下に伴なって増加する。したがって、コンデンサ温度Tcが低下するに従って、インバータ14の入力電圧Vmに重畳する電圧変動ΔVcが大きくなることが分かる。
なお、コンデンサC2にフィルムコンデンサを用いたときには、ESRがコンデンサ温度Tcによらず略一定値に保たれることから、電圧変動ΔVcを小さく抑えることができる。しかしながら、その一方で、フィルムコンデンサは、小型・大容量という点でアルミ電解コンデンサに劣るため、車両への搭載制約から小型化・薄型化が要求されるコンデンサC2への適用にはアルミ電解コンデンサと比べて不利であると判断される。よって、本実施の形態による負荷駆動装置においては、コンデンサC2にアルミ電解コンデンサを用いた構成に着目して説明する。
以上のように、素子温度(インバータ温度Tivおよびコンデンサ温度Tc)が低いときには、IGBT素子の素子耐圧Vinvが低下する一方で、コンデンサC2による電圧変動ΔVcが増加する。そのため、インバータ14の入力電圧Vmを素子温度が高いときと同程度の高電圧まで設定可能とすることにより、許容されるサージ電圧の大きさが制限されることとなる。
結果として、サージ電圧の制限に反比例するようにインバータ14のスイッチング損失が増大するために、昇圧コンバータ12を用いた可変電圧システムがもたらす損失低減の効果を十分に享受することが困難となる。
図5は、インバータ14の入力電圧Vm、サージ電圧およびスイッチング損失と素子温度との関係を説明するための図である。なお、図5(a)は、素子温度(インバータ温度Tivおよびコンデンサ温度Tc)が相対的に高いときのインバータ14の入力電圧Vmおよび入力電流のタイミングチャートである。図5(b)は、素子温度が相対的に低いときのインバータ14の入力電圧Vmおよび入力電流のタイミングチャートである。
図5(a)を参照して、IGBT素子がオン状態からオフ状態に遷移するときには、サージ電圧ΔVsおよびスイッチング損失が発生する。このサージ電圧ΔVsの大きさは、IGBT素子のオン状態からオフ状態へのターンオフ期間、すなわち、スイッチング速度に依存しており、スイッチング速度を速くするほど大きくなる。
一方、スイッチング損失は、インバータ14の入力電圧Vmと入力電流との乗算積分値で与えられ、図中の領域RGE1の面積に相当する。スイッチング速度を速くするほど、領域RGE1の面積が低減することから、スイッチング損失を抑えることができる。
そのため、図5(a)のように素子温度が高いときには、IGBT素子の素子耐圧Vinvに対して、スイッチング損失の低減に有効な大きさのサージ電圧ΔVsの発生が許容されるように、インバータ14の入力電圧Vmの設定可能な上限値が設定される。このサージ電圧ΔVsの許容範囲内で可能な限りスイッチング速度を速くすることにより、スイッチング損失を低損失に抑えることができる。
これに対して、図5(b)のように素子温度が低いときには、図3の関係に従ってIGBT素子の素子耐圧Vinvが低下する。さらには、上記図4の関係に従ってコンデンサC2のESRが増加することによってESRの端子間電圧が増大し、この端子間電圧が電圧変動ΔVcとして入力電圧Vmに重畳する。そのため、素子温度が高いときと同程度の入力電圧Vmを得るために許容されるサージ電圧ΔVsの電圧範囲は、高温時に比べて著しく制限されることとなる。したがって、この制限された電圧範囲内では、スイッチング速度を高温時と同レベルまで速くすることができないため、スイッチング損失は、図中の領域RGE2で示されるように、高温時と比較して増加する結果となる。
そこで、このような低温時におけるスイッチング損失の増加を抑えるために、この発明による負荷駆動装置は、以下に述べるように、インバータ14の入力電圧Vmの設定可能な上限値を素子温度に応じて可変させる構成とする。
図6は、この発明によるインバータ14の入力電圧Vm、サージ電圧およびスイッチング損失と素子温度との関係を説明するための図である。なお、図6(a)は、素子温度(インバータ温度Tivおよびコンデンサ温度Tc)が相対的に高いときのインバータ14の入力電圧Vmおよび入力電流のタイミングチャートであって、先述の図5(a)と同じものである。
また、図6(a)において、インバータ14の入力電圧Vmは、上述したように、IGBT素子の素子耐圧Vinvとサージ電圧ΔVsの大きさとに基づいて、その上限値が設定されている。
一方、図6(b)は、素子温度が相対的に低いときのインバータ14の入力電圧Vmおよび入力電流のタイミングチャートである。
図6(b)を参照して、この発明による負荷駆動装置は、素子温度が所定の閾値よりも低いときには、インバータ14の入力電圧Vmの設定可能な上限値を、素子温度が所定の閾値以上のときの入力電圧Vmの上限値よりもコンデンサC2による電圧変動ΔVcだけ低下させる構成とする。
このような構成とすることにより、IGBT素子の素子耐圧Vinvが低下し、かつ、コンデンサC2による電圧変動ΔVcが増大する低温環境下においても、高温時と同レベルのサージ電圧ΔVsの発生が許容される。その結果、この許容範囲内で可能な限りスイッチング速度を速くすることにより、図中の領域RGE3に示すように、スイッチング損失を高温時と同等の低損失に抑えることができる。
その一方で、この発明による負荷駆動装置によれば、素子温度が所定の閾値よりも低いときには、インバータ14の入力電圧Vmの上限値が制限されるため、交流モータM1の出力が要求出力を満たさないといった不具合が懸念される。
しかしながら、入力電圧Vmの供給を受けてインバータ14のIGBT素子Q3〜Q8がスイッチング動作を行なうことにより、IGBT素子Q3〜Q8が通電されてスイッチング損失および定常損失が増加する。その結果、インバータ温度Tivを短期間で所定の閾値以上に上昇させることができる。
また、昇圧コンバータ12が昇圧動作を行なうことにより、コンデンサC2が通電されてESRにおける熱損失が増加する。その結果、コンデンサ温度Tcを短期間で所定の閾値以上に上昇させることができる。したがって、インバータ14の入力電圧Vmが制限される期間は、実際には交流モータM1の出力トルク不足には至らない程度の短い期間であるといえる。
さらには、インバータ14の入力電圧Vmの上限値を制限したことによって交流モータM1の出力可能な最大トルクが減少することになるが、素子温度が所定の閾値に達するまでの短い期間において、交流モータM1の要求トルクが最大トルクに設定される可能性は低いことから鑑みても、かかる入力電圧Vmの制限が交流モータM1の出力特性に与える影響は殆どないものと判断できる。
次に、図6で説明したこの発明によるインバータ14の入力電圧Vmの制御動作について詳細に説明する。以下の説明において、入力電圧Vmの制御は、図2の制御装置30における電圧指令補正部52が、温度センサ13,18からそれぞれ与えられるインバータ温度Tivおよびコンデンサ温度Tcの少なくとも一方に応じて、交流モータM1の要求出力を基に設定された電圧指令Vdc_comを補正することにより実行される。
図7は、この発明の実施の形態によるインバータ14の入力電圧Vmの制御を説明するためのフローチャートである。なお、図7のフローチャートは、コンデンサ温度Tcに応じて入力電圧Vmの可変制御を行なう場合の制御動作を示したものである。
図7を参照して、一連の動作が開始されると、インバータ入力電圧指令演算部50は、外部ECUからのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、インバータ入力電圧Vmの目標値である電圧指令Vdc_comを演算する。なお、電圧指令Vdc_comの演算にあたっては、予めIGBT素子の素子耐圧Tinvとサージ電圧ΔVsとに基づいてインバータ14の入力電圧Vmの上限値が設定される。電圧指令Vdc_comは、その設定された上限値を最大値とする。演算された電圧指令Vdc_comは、電圧指令補正部52へ出力される(ステップS01)。
電圧指令補正部52は、温度センサ18からコンデンサ温度Tcを受けると(ステップS02)、コンデンサ温度Tcに基づいてコンデンサC2による電圧変動ΔVcを推定する(ステップS03)。
具体的には、電圧指令補正部52は、図8に示すコンデンサC2による電圧変動ΔVcとコンデンサ温度Tcとの関係を予めマップとして所有している。なお、図8に示す関係は、上記図4に示すコンデンサC2のESRとコンデンサ温度Tcとの関係と、予め実験的に求められたコンデンサC2のリプル電流とに基づいて設定されたものである。そして、電圧指令補正部52は、温度センサ18からコンデンサ温度Tcを受けると、図8のマップの中からコンデンサ温度Tcに対応する電圧変動ΔVcを抽出する。
次に、電圧指令補正部52は、コンデンサ温度Tcが所定の閾値Tc_stdよりも低いか否かを判定する(ステップS04)。なお、所定の閾値Tc_stdは、図8の関係において、電圧変動ΔVcが所定の閾値ΔVc_std以下となるときのコンデンサ温度Tcに予め設定されている。そして、コンデンサ温度Tcが所定の閾値Tc_std以上であると判定されたとき、電圧指令補正部52は、電圧指令Vdc_comを補正することなく、デューティ比変換部54へ出力する(ステップS07)。
一方、ステップS04において、コンデンサ温度Tcが所定の閾値Tc_stdよりも低いと判定されると、電圧指令補正部52は、最初に、インバータ14の入力電圧Vmの上限値をステップS03で推定した電圧変動ΔVcだけ減少させる(ステップS05)。続いて、電圧指令補正部52は、電圧指令Vdc_comを、ステップS05で減少させた入力電圧Vmの上限値以下となるように補正し、その補正後の電圧指令Vdc_com1をデューティ比変換部54へ出力する(ステップS06)。
このように、コンデンサ温度Tcが所定の閾値Tc_stdよりも低いときは、インバータ14の入力電圧Vmの上限値がコンデンサC2による電圧変動ΔVcだけ減少するように電圧指令Vdc_comが補正されて昇圧コンバータ12が駆動される。そして、コンデンサ温度Tcが所定の閾値Tc_std以上に上昇し、電圧変動ΔVcが低減したことに応じて、電圧指令Vdc_comに一致する電圧がインバータ14に供給されるように昇圧コンバータ12が駆動される。その結果、コンデンサC2が低温のときにサージ電圧の許容範囲が電圧変動ΔVcによって侵食されるのを防止することができる。これにより、コンデンサ温度Tcに拘らずインバータ14のスイッチング損失を確実に低減することができる。
[変更例1]
図9は、この発明の実施の形態によるインバータ14の入力電圧Vmの制御を説明するための他のフローチャートである。
図9に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートにおけるコンデンサ温度Tcに応じた入力電圧Vmの可変制御を、インバータ温度Tivに応じて行なわれるように変更したものである。
図9を参照して、一連の動作が開始されると、インバータ入力電圧指令演算部50は、外部ECUからのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、インバータ入力電圧Vmの目標値である電圧指令Vdc_comを演算する。その演算された電圧指令Vdc_comは、電圧指令補正部52へ出力される(ステップS01)。
電圧指令補正部52は、インバータ入力電圧指令演算部50から電圧指令Vdc_comを受け、温度センサ18からコンデンサ温度Tcを受け、温度センサ13からインバータ温度Tivを受ける(ステップS12)。そして、電圧指令補正部52は、上述した方法によって図8のマップの中からコンデンサ温度Tcに対応する電圧変動ΔVcを抽出する(ステップS03)。
さらに、電圧指令補正部52は、図3に示すインバータ14の素子耐圧Vinvとインバータ温度Tivとの関係を予めマップとして所有しており、当該マップを参照してインバータ温度Tivに対応する素子耐圧Vinvを取得する。そして、電圧指令補正部52は、その取得した素子耐圧VinvがステップS03にて推定した電圧変動ΔVcだけ増加するときの素子温度Tivを当該マップから抽出し、その抽出したインバータ温度Tivを所定の閾値Tiv_stdに設定する(ステップS14)。
次に、電圧指令補正部52は、インバータ温度Tivが所定の閾値Tiv_stdよりも低いか否かを判定する(ステップS15)。そして、インバータ温度Tivが所定の閾値Tiv_std以上であると判定されたとき、電圧指令補正部52は、電圧指令Vdc_comを補正することなく、デューティ比変換部54へ出力する(ステップS07)。
一方、ステップS15において、インバータ温度Tivが所定の閾値Tiv_stdよりも低いと判定されると、電圧指令補正部52は、最初に、インバータ14の入力電圧Vmの上限値をステップS03で推定した電圧変動ΔVcだけ減少させる(ステップS05)。続いて、電圧指令補正部52は、ステップS05で設定した入力電圧Vmの上限値以下となるように電圧指令Vdc_comを補正し、その補正後の電圧指令Vdc_com1をデューティ比変換部54へ出力する(ステップS06)。
このように、インバータ温度Tivが所定の閾値Tiv_stdよりも低いときは、インバータ14の入力電圧Vmの上限値がコンデンサC2による電圧変動ΔVcだけ減少するように電圧指令Vdc_comが補正されて昇圧コンバータ12が駆動される。そして、インバータ温度Tivが所定の閾値Tiv_std以上に上昇し、電圧変動ΔVc相当分だけ素子耐圧Vinvが増加したことに応じて、電圧指令Vdc_comに一致する電圧がインバータ14に供給されるように昇圧コンバータ12が駆動される。その結果、インバータ14が低温のときにサージ電圧の許容範囲が電圧変動ΔVcによって侵食されるのを防止することができる。これにより、インバータ温度Tivに拘らずインバータ14のスイッチング損失を確実に低減することができる。
[変更例2]
図10は、この発明の実施の形態によるインバータ14の入力電圧Vmの制御を説明するための他のフローチャートである。
図10に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートにおけるコンデンサ温度Tcに応じた入力電圧Vmの可変制御を、コンデンサ温度Tcおよびインバータ温度Tivに応じて行なわれるように変更したものである。
図10を参照して、一連の動作が開始されると、インバータ入力電圧指令演算部50は、外部ECUからのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、インバータ入力電圧Vmの目標値である電圧指令Vdc_comを演算し、その演算した電圧指令Vdc_comを電圧指令補正部52へ出力する(ステップS01)。
電圧指令補正部52は、インバータ入力電圧指令演算部50から電圧指令Vdc_comを受け、温度センサ18からコンデンサ温度Tcを受け、温度センサ13からインバータ温度Tivを受ける(ステップS12)。そして、電圧指令補正部52は、上述した方法によって図8のマップの中からコンデンサ温度Tcに対応する電圧変動ΔVcを抽出する(ステップS03)。
さらに、電圧指令補正部52は、図10のマップの中からインバータ温度Tivに対応する素子耐圧Vinvを取得する。そして、電圧指令補正部52は、その取得した素子耐圧VinvがステップS03にて検出した電圧変動ΔVcだけ増加するときの素子温度Tivを当該マップから抽出し、その抽出したインバータ温度Tivを所定の閾値Tiv_stdに設定する(ステップS14)。
次に、電圧指令補正部52は、コンデンサ温度Tcが所定の閾値Tc_stdよりも低いか否かを判定する(ステップS04)。そして、コンデンサ温度Tcが所定の閾値Tc_stdよりも低いと判定されたとき、電圧指令補正部52はさらに、インバータ温度Tivが所定の閾値Tiv_stdよりも低いか否かを判定する(ステップS15)。そして、インバータ温度Tivが所定の閾値Tiv_stdよりも低いと判定されると、電圧指令補正部52は、最初に、インバータ14の入力電圧Vmの上限値をステップS03で推定した電圧変動ΔVcだけ減少させる(ステップS05)。続いて、電圧指令補正部52は、ステップS05で設定した入力電圧Vmの上限値以下となるように電圧指令Vdc_comを補正し、その補正後の電圧指令Vdc_com1をデューティ比変換部54へ出力する(ステップS06)。
一方、ステップS04においてコンデンサ温度Tcが所定の閾値Tc_std以上であると判定されたとき、または、ステップS15においてインバータ温度Tivが所定の閾値Tiv_std以上であると判定されたときは、電圧指令補正部52は、電圧指令Vdc_comを補正することなく、デューティ比変換部54へ出力する(ステップS07)。
このように、コンデンサ温度Tcおよびインバータ温度Tivがともに所定の閾値(Tc_stdまたはTiv_std)よりも低いとき、インバータ14の入力電圧Vmの上限値がコンデンサC2による電圧変動ΔVcだけ減少するように電圧指令Vdc_comが補正されて昇圧コンバータ12が駆動される。
すなわち、本変更例によれば、コンデンサ温度Tcおよびインバータ温度Tivのいずれか一方が所定の閾値以上であれば、一連の電圧指令Vdc_comの補正動作が実行されないため、図7および図9のようにコンデンサ温度Tcおよびインバータ温度Tivのいずれかに応じて入力電圧Vmの可変制御を行なうのと比較して、補正動作の実行頻度を減らすことができる。その結果、交流モータM1の出力性能への影響をより一層軽減することができる。
以上のように、この発明の実施の形態によれば、インバータの素子耐圧が低下し、かつ、平滑用コンデンサのESRによる電圧変動が増加する低温環境下において、許容されるサージ電圧の電圧範囲が縮減されるのを防止することができる。この結果、インバータのスイッチング損失を確実に低減することができる。
なお、上記の実施の形態においては、インバータのスイッチング素子にIGBTを採用した場合について説明したが、その他のパワー素子、たとえば、NPNトランジスタおよびMOSトランジスタであってもよい。
また、上記の各実施の形態においては、コンデンサC2にアルミ電解コンデンサを用いる場合を代表的に説明したが、この発明は、素子温度の低下に伴ないESRが増加する温度依存性を有するコンデンサ全般に広く適用され得るものである。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、車両に搭載された負荷駆動装置に適用することができる。
10,11 電圧センサ、12 昇圧コンバータ、13,18 温度センサ、14 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、24 電流センサ、30 制御装置、40 モータ制御用相電圧演算部、42 PWM信号変換部、50 インバータ入力電圧指令演算部、52 電圧指令補正部、54 デューティ比変換部、100 モータ駆動装置、B 直流電源、C2 コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、L1 リアクトル、M1 交流モータ、Q1〜Q8 IGBT素子。

Claims (5)

  1. 出力電圧を可変制御可能に構成された直流電源と、
    スイッチング素子のスイッチング動作により前記直流電源からの直流電圧を交流電圧に変換して電気負荷を駆動制御する駆動回路と、
    前記直流電源と前記駆動回路との間に配され、前記直流電源の出力電圧を平滑化して前記駆動回路に入力する容量素子と、
    前記直流電源を制御する制御装置とを備え、
    前記スイッチング素子は、前記スイッチング素子の温度の低下に伴なって素子耐圧が低下する温度依存性を有し、
    前記制御装置は、前記スイッチング素子の温度が低い程、前記駆動回路の入力電圧の上限値を低く設定するとともに、前記電気負荷からの要求に従って、その設定された前記入力電圧の上限値を超えないように、前記直流電圧の出力電圧を設定する、負荷駆動装置。
  2. 前記容量素子の温度を検出する第1の温度センサと、
    前記スイッチング素子の温度を検出する第2の温度センサとをさらに備え、
    前記容量素子は、前記容量素子の温度の低下に伴なって等価直列抵抗の抵抗値が増加する温度依存性を有し、
    前記制御装置は、
    前記等価直列抵抗に発生する電圧変動と前記容量素子の温度との関係を予め設定しており、設定された前記関係を参照して、前記容量素子の温度の検出値に対応する前記電圧変動を推定する電圧変動推定手段と、
    前記スイッチング素子の温度の検出値が所定の閾値以上のとき、前記スイッチング素子の素子耐圧と前記入力電圧に重畳するサージ電圧とに基づいて第1の上限値を設定する第1の設定手段と、
    前記スイッチング素子の温度の検出値が前記所定の閾値よりも低いとき、前記第1の上限値を前記電圧変動推定手段によって推定された前記電圧変動に相当する電圧だけ減少させて第2の上限値を設定する第2の設定手段とを含む、請求項1に記載の負荷駆動装置。
  3. 前記制御装置は、
    前記電気負荷の要求出力に基づいて前記出力電圧の目標値を設定する目標値設定手段と、
    前記上限値を超えないように前記目標値を補正する目標値補正手段とをさらに含む、請求項1または請求項2に記載の負荷駆動装置。
  4. 前記容量素子は、電解コンデンサである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の負荷駆動装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の負荷駆動装置を備える車両。
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