JP2010074794A - カプラ及び通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非接触で2つの線路同士が結合して通信信号を伝送できるようにした通信体及びそれを備えたカプラを構成する。
【解決手段】カプラ103は、第1の通信体61と第2の通信体62とで構成されている。第1の通信体61、第2の通信体62の何れについても、第1の外導体2及び第2の外導体3の形状が、貫通導体6の配列位置を囲むような形状となっている。誘電体基板1の内部には線状内導体4が配置されている。第2の外導体3の形成面には、線状内導体4の先端付近に、第2の外導体3を部分的に除去した形状の電磁界結合用のスロット5が形成されている。このスロット5は線状内導体4が延びる方向に対して直交方向に長く、その長さは誘電体基板1内を伝搬する通信信号の波長の半波長以下である。これにより、スロット5が配置された第2の外導体3の表面近傍にエバネッセント波が誘起され、このエバネッセント波を介して結合する。
【選択図】図5

Description

この発明は、近接状態で2つの通信体同士が結合するカプラ及び通信装置に関するものである。
平行な2つの外導体の間に線状内導体を配置したトリプレート型ストリップ線路において、一方の外導体形成領域にスロットが配置されたものとして特許文献1〜3が開示されている。
特許文献1はアンテナとして用いるものであり、線路の誘電体損失を無くすために上部外導体とストリップ線路の基板との間、及び下部外導体とストリップ線路の基板との間に支持物を挟んで内部を中空としたものである。
特許文献2は、スロット上に導波管を接続して、ストリップ線路−導波管の線路変換器を構成したものである。
特許文献3は、上部地導体、中間地導体、下部地導体を備える多層伝送線路構体である。
その構造を、図1を基に説明する。
図1の(A)はその上面図、(B)は断面図である。この多層伝送線路構体は、4層をなす誘電体板11A,11B,21A,21B及び地導体12A,32,22B、線路13,24を備えている。中間の地導体32にはストリップ線路13,24のそれぞれの先端部分が互いに対向する位置に結合孔35が形成されている。さらに結合孔35の周囲に複数のショートピン36が形成されている。
実公昭61−10326号公報 特開平1−268203号公報 特開昭54−131851号公報
本発明は2つの通信体を近接配置して互いに結合させるカプラとして用いるものであるが、特許文献1の構造では、それぞれにアンテナを備えた2つの通信体同士で電磁波を空中に放射して通信を行うものであるため、電波法に定められた周波数帯を用いる必要がある。また、それにより、使用可能な周波数帯域が狭く、信号の伝送速度に制限が生じる場合が多い。
特許文献2の線路変換器は、ストリップ線路と導波管との線路変換を行うものであり、基板型の伝送線路同士でのカプラとして用いることはできない。
さらに、特許文献3の多層伝送線路構体では、同一基板上で異なった層に形成された線路間で結合するように構成されているので、別体の通信体同士で通信を行うことはできない。
そこで、この発明の目的は、一方の通信体の予め定められた箇所に他方の通信体を近接させるか置くだけで結合して通信経路が構成され、データ通信が可能となるインターフェイスとしてのカプラ及び通信装置を提供することにある。
本発明のカプラは、既存技術の有線通信や無線通信とは異なったコンセプトの通信システムで用いるものであり、次のように構成する。
(1)この発明の通信体は、線状内導体と、前記内導体を挟む第1・第2の誘電体板と、前記第1の誘電体板の外面に形成された第1の外導体と、前記第2の誘電体板の外面に形成された第2の外導体と、を備え、前記第2の誘電体板の外面の前記線状内導体の先端付近に、前記第2の外導体を部分的に除去した形状のスロットが形成された、第1・第2の通信体から成り、
第1・第2の通信体の前記スロット同士が対向した状態で、第1の通信体と第2の通信体とが結合することを特徴とする。
この構成により、第1・第2の通信体が電磁波を伝送するとともに、スロット同士を近づけた状態で使用するため、電波の不要放射が殆どなく、電波法に定められた周波数以外での周波数帯域で通信を行うことができる。そのため、高速通信も実現できる。
(2)前記第1の通信体または第2の通信体の少なくとも一方の第1・第2の誘電体には、前記スロット及び前記線状内導体を囲む導体壁が形成されたものとする。
この構成により、基板内を伝搬する電磁波が信号の伝送に寄与しない電磁波が基板内で漏れ広がるのを抑制でき、挿入損失が低減される。
(3)前記線状内導体を囲む前記導体壁の幅は前記スロットを囲む前記導体壁の幅より狭く構成する。
これにより、スロットで生じた不要モードが線状内導体を経由して反射するのを遮断できる。そのため、スロット同士の結合が強まる。
(4)前記導体壁は前記第1・第2の外導体同士を導通させる複数の貫通導体が配列されたものとする。
この構成により、基板加工技術で導体壁を構成でき、低コスト化が図れる。
(5)少なくとも前記第1の外導体の面積は前記第1・第2の誘電体板の面積よりも小さく形成する。
この構成により、スロットが設けられている第1の外導体間同士が対向する間隙で平行平板モードが起こることが防止でき、スロット間の間隙からの不要放射が抑えられる。
(6)前記スロットは前記線状内導体の延びる方向に対して直交方向に長く、その長さが前記第1・第2の誘電体板内を伝搬する通信信号の波長の半波長以下とする。
これにより、アンテナとして動作しないため、第1の通信体及び第2の通信体単体で存在するときには電波の放射が生じない。
(7)前記第1の通信体または第2の通信体の少なくとも一方は、前記第1・第2の誘電体板に、前記線状内導体及び前記スロットから成る組を複数組備えたものとする。
この構成により、第1の通信体と第2の通信体とが誘電体板の面方向にずれたときのスロット間の結合の変化が小さくなり、ずれに強い構造となる。
(8)また、この発明の通信装置は、前記第1の通信体を備えた第1の電子機器と、前記第2の通信体を備えた第2の電子機器とから成り、第1の電子機器と第2の電子機器との近接状態で、前記カプラを構成する。
これにより、第1の電子機器と第2の電子機器とは実質的に非接触状態で通信できる。
この発明によれば、第1・第2の通信体が電磁波を伝送するとともに、スロット同士を近づけた状態で使用するため、実質上非接触で結合するカプラが構成できる。また、電波の不要放射が殆どなく、電波法に定められた周波数以外での周波数帯域で通信を行うことができる。そのため、高速通信が可能となる。
《第1の実施形態》
図2は第1の実施形態に係るカプラの構成を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は上面図、(C)は(B)におけるC−C部分の断面図である。この通信体41は、線状内導体4が形成された第1の誘電体板1aと、この第1の誘電体板1aの上部に積層された第2の誘電体板1bとを備え、第1の誘電体板1aの外面(図における下面)に第1の外導体2が形成され、第2の誘電体板1bの外面(図における上面)に第2の外導体3が形成されている。
このように第1の誘電体板1aと第2の誘電体板1bとの積層構造によって誘電体基板1が構成されるとともに、その内部に線状内導体4が配置されている。
そして、第2の誘電体板1bの外面の線状内導体4の先端付近には、第2の外導体3を部分的に除去した形状の電磁界結合用のスロット5が形成されている。このスロット5は線状内導体4が延びる方向に対して直交方向に長く、その長さLは誘電体基板1内を伝搬する通信信号の波長の半波長以下である。
上記スロット5の長さLは幅Wより長く、また線状内導体4の先端から誘電体基板1内の波長で1/4波長である寸法Bだけ戻った位置を中心として形成されている。したがって、スロット5は線状内導体4の電流密度分布の腹、すなわち磁界強度最大の位置にある。
この構造により、通信体41の伝送路部はトリプレート型のストリップラインとして作用する。この通信体41単体ではスロット5はスロットアンテナとして作用しないので、このスロット5から電磁波の放射はない。
図3は、図2に示した通信体41と、その通信体41と同様のもう1つの通信体42とで構成されるカプラ101の構成を示す図である。図3(A)はカプラ101の斜視図、(B)はカプラ101の上面図、(C)は(B)におけるC−C部分の断面図である。
第2の通信体42は第1の通信体41と同様の構成であり、第1の通信体41のスロット5と第2の通信体42のスロット5とが対向した状態で、第1の通信体41と第2の通信体42とが結合する。
誘電体板1a,1bはそれぞれセラミック板からなり、両者を積層した全体の厚さtは約0.30mmである。線状内導体4の線路幅sは0.10mmであり、この線状内導体4と第1・第2の外導体2,3はそれぞれ厚さが約0.02mmの銅電極である。
この通信体41,42はミリ波帯で用いられる。誘電体板1a,1bは比誘電率が約8.5のセラミック板であり、誘電体基板1内を、線状内導体4の長手方向へ電磁波が伝搬する。この誘電体基板1内を伝搬する電磁波の波長は例えば60GHzにおいて約1.7mmである。
図3には表れていないが、通信体41,42を伝搬する信号(電磁波)を励振する信号入力手段又は通信体41,42を伝搬する信号(電磁波)と結合して信号を取り出す信号出力手段が、この通信体41,42に設けられる。
上記スロット5のサイズにより、誘電体基板1を伝搬する電磁波が殆ど減衰することなく、且つスロット5が配置された第2の外導体3の表面近傍にエバネッセント波が誘起される。上記電磁界結合用のスロット5の長さL寸法(1.1mm)は、空気中を伝搬する電磁波の波長(約5.0mm)の1/4未満であるので、第2の外導体3の表面近傍にエバネッセント波が誘起されることになる。
エバネッセント波は空間に向けて指数関数的に減衰する波であり、物体表面の近傍での通信が可能で、且つ遠方への放射には寄与しない特性をもつ。したがって、電波法による放射規制に対して問題とならない。
《第2の実施形態》
図4は第2の実施形態に係るカプラ102の構成を示す斜視図である。
このカプラ102は、第1の通信体51と第2の通信体52とで構成されている。図3に示した通信体41,42と異なり、第1の誘電体板1aと第2の誘電体板1bには、スロット5及び線状内導体4の周囲を囲むように複数の貫通導体6a,6bがそれぞれ配列されている。
第1の誘電体板1aに形成された貫通導体6a及び第2の誘電体板1bに形成された貫通導体6bとによる貫通導体6によって、第1の外導体2と第2の外導体3とがそれぞれ電気的に導通する。
隣接する貫通導体6同士の間隙は0.30mmに定められている。この間隙は誘電体基板1内を伝搬する電磁波の波長の1/4以下である。これにより、配列された貫通導体6は線状内導体4及びスロット5の周囲を囲む導体壁として作用する。
左右の側部に形成された複数の貫通導体6による貫通導体群は、第1の外導体2と第2の外導体3とを同電位にするため、上下の導体の電位差によって励振される平行平板モードが抑圧される。
また、この貫通導体群は方形導波管のH面として作用し、導波管としての幅(H面間の幅)が狭くなるように貫通導体群を配置すれば、遮断周波数が高くなるので、ストリップラインとして動作する周波数での単一モード伝送特性が向上する。すなわち、通信信号の周波数帯の導波管モードが遮断されることによって、ストリップラインのモードでのみ伝送されることになる。
さらに、線状内導体4を囲む前記導体壁の幅はスロット5を囲む導体壁の幅より狭く構成されている。これにより、スロット5で生じた不要モードが線状内導体4を経由して反射するのを遮断できる。
《第3の実施形態》
図5は第3の実施形態に係るカプラ103の構成を示す斜視図である。
このカプラ103は、第1の通信体61と第2の通信体62とで構成されている。図4に示したカプラ102と異なり、第1の通信体61、第2の通信体62の何れについても、第1の外導体2及び第2の外導体3は貫通導体6の配列位置を囲むような形状となっている。
この構成により、スロット5が設けられている第2の外導体3同士の対向する領域が必要最低限な面積となり、その間隙で平行平板モードが起こることが防止でき、この平行平板モードによる外部への不要放射が抑えられる。
図6は、通信周波数帯を60GHzとし、誘電体基板として比誘電率約9のセラミックを使用して構成したカプラ103の解析結果である。第1の通信体61と第2の通信体62のそれぞれの誘電体基板1を0.lmm離してスロット5同士を対向させた時、Sパラメータ特性は図6(A)に示すとおりの結果となった。設計周波数60GHzにおける通過特性S21は−1.8dBであった。
図6(B)は、同じ材料を用い、一方の通信体のスロットの大きさを1.5×0.25mmにしてアンテナとして設計した場合の結果である。
図6の(A)(B)の比較により、カプラとして使用したときの方が、通過特性の良い(挿入損失が低い)周波数帯域が広がっていることが確認できる。
なお、図5に示した2つの通信体61,62の一方の通信体についてのみ、第1の外導体2及び第2の外導体3を貫通導体6の配列位置を囲むような形状にしてもよい。
また、第1の外導体2は広面積に形成し、第2の外導体3についてのみ、貫通導体6の配列位置を囲むような形状にしてもよい。これらの場合にも平行平板モードの発生を抑制できる。
《第4の実施形態》
図7は第4の実施形態に係るカプラ104の斜視図である。このカプラ104は第1の通信体71と第2の通信体62とで構成される。第1の通信体71は、第1の外導体2、第2の外導体3、線状内導体4、及び貫通導体6からなる、トリプレート型ストリップラインを2組備えている。第2の通信体62は、第1の外導体2、第2の外導体3、線状内導体4、及び貫通導体6からなる、トリプレート型ストリップラインを1組備えている。
上記第2の外導体3の形成面には、線状内導体4の先端付近に、第2の外導体3を部分的に除去した形状の電磁界結合用のスロット5が形成されている。通信体71の2つの伝送路は、それぞれのスロット5の向き(長手方向の向き)が平行となるように配置されている。
この構成により、第1の通信体71と第2の通信体62とが誘電体基板1の面方向にずれたときのスロット5間の結合の変化が小さくなり、ずれに強い構造となる。
図7に示した例では、一方の通信体71を複数の伝送路の並列配置構造にしたが、両方の通信体を伝送路の並列配置構造にしてもよい。
なお、以上に示した各実施形態では、リジッドな誘電体基板1を用いたが、通信体を構成する誘電体基板はフレキシブルなものであってもよい。
《第5の実施形態》
図8は第5の実施形態に係る通信装置の構成を示す図である。
第1の電子機器201の上面付近には図7に示した第1の通信体71が設けられていて、第2の電子機器202の下面付近には図7に示した第2の通信体62が設けられている。
第1の電子機器201の所定位置に第2の電子機器202を近接させるか、載置することによって、第1の通信体71と第2の通信体62はカプラを構成する。第1の電子機器201と第2の電子機器202は、このカプラを介して結合して通信することができる。
特許文献3に示されている多層伝送線路構体の上面図及び断面図である。 第1の実施形態に係るカプラの構成を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は上面図、(C)は(B)におけるC−C部分の断面図である。 図2に示した通信体41と、その通信体41と同様のもう1つの通信体42とで構成されるカプラ101の構成を示す図である。 第2の実施形態に係るカプラ102の構成を示す斜視図である。 第3の実施形態に係るカプラ103の構成を示す斜視図である。 通信周波数帯を60GHzとし、誘電体基板として比誘電率約9のセラミックを使用して構成したカプラ103の解析結果である。 第4の実施形態に係るカプラ104の斜視図である。 第5の実施形態に係る通信装置の構成を示す図である。
符号の説明
1…誘電体基板
101〜104…カプラ
1a…第1の誘電体板
1b…第2の誘電体板
2…第1の外導体
3…第2の外導体
4…線状内導体
5…スロット
6…貫通導体
41,51,61,71…第1の通信体
42,52,62…第2の通信体
201…電子機器
202…電子機器

Claims (8)

  1. 線状内導体と、前記線状内導体を挟む第1・第2の誘電体板と、前記第1の誘電体板の外面に形成された第1の外導体と、前記第2の誘電体板の外面に形成された第2の外導体と、を備え、前記第2の誘電体板の外面の前記線状内導体の先端付近に、前記第2の外導体を部分的に除去した形状のスロットが形成された、第1・第2の通信体から成り、
    第1・第2の通信体の前記スロット同士が対向した状態で、第1の通信体と第2の通信体とが結合するカプラ。
  2. 前記第1の通信体または前記第2の通信体の少なくとも一方の第1・第2の誘電体板に、前記スロット及び前記線状内導体を囲む導体壁が形成された請求項1に記載のカプラ。
  3. 前記線状内導体を囲む前記導体壁の幅は前記スロットを囲む前記導体壁の幅より狭い、請求項2に記載のカプラ。
  4. 前記導体壁は前記第1・第2の外導体同士を導通させる複数の貫通導体が配列されて成る、請求項2または3に記載のカプラ。
  5. 少なくとも前記第2の外導体の面積は前記第1・第2の誘電体板の面積よりも小さい、請求項1〜4のいずれかに記載のカプラ。
  6. 前記スロットは前記線状内導体の延びる方向に対して直交方向に長く、その長さが前記第1・第2の誘電体板内を伝搬する通信信号の半波長以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のカプラ。
  7. 前記第1の通信体または第2の通信体の少なくとも一方は、前記第1・第2の誘電体板に、前記線状内導体及び前記スロットから成る組を複数組備えた、請求項1〜6のいずれかに記載のカプラ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の、第1の通信体を第1の電子機器に備え、第2の通信体を第2の電子機器に備え、第1の電子機器と第2の電子機器との近接状態で、前記カプラを構成するようにした通信装置。
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