JP2010072094A - ポリゴンミラースキャナ、ポリゴンミラースキャナの製造方法、光走査デバイス及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転自在に軸支されたロータ11と、ロータ11の外周から突設された第一のフランジ12と、第一のフランジ12の外周面の周方向に沿って配置された複数の鏡面からなる回転多面鏡14と、第一のフランジ12の軸方向一端面に形成されてバランス修正用の重り(51)が配置される第一のバランス修正溝15と、第一のフランジ12と軸方向位置を異ならせてロータ11から突設された小径の第二のフランジ16と、第二のフランジ16の軸方向一端面に形成されてバランス修正用の重り(52)が配置される第二のバランス修正溝17と、第一のバランス修正溝15内及び第二のバランス修正溝17内に成膜された接着強化膜61、62と、を備える。
【選択図】図1
Description
一方、固定子は、ロータの内周面に固定されたマグネットと所定距離だけ離間して対向する巻線コイルと、巻線コイルの通電を切り換える制御装置と、制御装置を配置した基板とを備える。基板上において回転子の回転軸を支持し、回転多面鏡を回転駆動することにより、光ビームを走査するためのモータとして機能する。
回転子を高速回転駆動させると、部品の加工誤差や組立精度などに起因して回転不均衡が生じ、振動や騒音の原因となる。この振動や騒音を低減するためにポリゴンミラースキャナではバランス修正が行われる。
バランス修正は、例えば特許文献1に記載されているように、回転多面鏡の上面及びロータの外周縁にバランス修正用の溝(環状凹所)を形成し、その溝内に紫外線硬化型接着剤からなるバランスウェイトを塗布することにより行われる。
ロータの回転が高速化すると、バランスウェイトにかかる遠心力が増大し、バランスウェイトが剥離したり飛散し易くなるため、特許文献2乃至5ではバランス修正用の溝の形状を工夫したり、溝側面の表面粗さを変更したりして、遠心力によるバランスウェイトの剥離と飛散を防ぎ、振動による画質劣化や騒音等のトラブルが少なくなるような光変更走査装置を提供している。
(a)に示す第一のフランジ100は、外周面が鏡面加工された回転多面鏡101を有し、第一のフランジ100の上面にはバランス修正用のバランス修正溝102を有する。バランス修正溝102内に配置されたバランスウェイト103は、バランス修正溝102内で広がらずに塊となって固着している。このため、バランスウェイト103とバランス修正溝102との接触面積が小さく、密着性が低下し、接着強度が不十分となり、高速回転時に剥離して飛散してしまう虞がある。
(b)に示すように、ロータ110の外周面から突出した第二のフランジ111の上面にバランス修正用のバランス修正溝112を有する。バランス修正溝112内に配置されたバランスウェイト113は、(a)と同様に、バランス修正溝112内で広がらずに塊となって固着している。このため、バランスウェイト113とバランス修正溝112との接触面積が小さく、密着性が低下し、接着強度が不十分となり、高速回転時に剥離して飛散してしまう虞がある。また、バランスウェイト113の底面とバランスウェイト113の側面とが成す接触角βがほぼ90度に近いため、バランスウェイト113の上部はバランス修正溝112内に収まらず、第二のフランジ111の上面から突出し、風切り音等の騒音を発生させるという問題がある。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、製造工程を複雑にしたり、部品コストを高くしたりすることなく、回転子に付着させたバランスウェイトの剥離を防止し、回転中の風切り音等の騒音を低減することができる高性能で信頼性の高いポリゴンミラースキャナを提供することを目的とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記接着強化膜は、ミラー表面に成膜されたコーティング膜と同材質である請求項1に記載のポリゴンミラースキャナを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記コーティング膜は、前記ミラーの反射率を増加させる増反射膜である請求項1又は2に記載のポリゴンミラースキャナを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記増反射膜は、二酸化ケイ素層を含む請求項3に記載のポリゴンミラースキャナを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項2乃至4に記載のポリゴンミラースキャナの製造方法において、前記接着強化膜と前記コーティング膜の成膜は同一工程で行われることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至4に記載のポリゴンミラースキャナを備える光学走査デバイスを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光学走査デバイスを備える画像形成装置を特徴とする。
本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係るポリゴンミラースキャナの断面図である。まず、ポリゴンミラースキャナの基本構成について説明する。
ポリゴンミラースキャナ1は、軸受部により軸支されて自在に回転する回転子10と、回転子10の回転軸21を支持する軸受装置30と、固定された固定子40とから構成される。
回転子10は、円筒状のロータ11と、ロータ11の外周面から径方向に突設された大径の第一のフランジ12と、第一のフランジ12の外周面の周方向に沿って配置された複数の側面部13と、側面部13を鏡面加工して平滑化したミラー面からなる回転多面鏡14と、第一のフランジ12の回転軸先端部21a側の面上に平面視環状かつ断面視凹形状に形成された第一のバランス修正溝15と、第一のフランジ12よりも回転軸後端部21b寄りに配置され、ロータ11の外周面から突設された小径の第二のフランジ16と、第二のフランジ16の回転軸先端部21a側の面上に平面視環状かつ断面視略凹形状に形成された第二のバランス修正溝17と、第二のフランジ16よりも回転軸先端部21a側においてロータ11の外周側面の全周にわたって形成された凹部18と、第一のフランジ12の回転軸先端部21a側の面の中央部から軸方向に突出した先端部19と、ロータ11の内径と略同径の外径を有する円筒形状であるとともにロータ11と同心となるようにその内周面に固着されたマグネット20と、先端部19と固着されてロータ11と第一のフランジ12と先端部19とマグネット20とを回転自在に軸支する回転軸21と、を備える。
なお、上述の回転子10のうちマグネット20と回転軸21とを除く各部分は、第二のフランジ16の底面を基準底面として一体形成される。その際、凹部18を形成することによって回転子10が軽量化される。
ラジアル軸受32は、すべり軸受から構成され、例えば含油軸受等が使用され、ステータヨーク33の小径部33aの内周面に圧入または接着により固定されている。
また、スラスト軸受31は、すべり軸受から構成され、例えば、摺動性、耐磨耗性の良いポリイミド等の樹脂板からなり、ステータヨーク33の小径部33aの下方にある大径部33b内に設けられた凹部に圧入または接着されることにより固定されている。
固定子40は、小径部33aの外周面に巻きめぐらされた巻線コイル41と、制御装置(不図示)が載置される制御基板42とを備える。制御基板42は、軸受装置30を基板平面に対して垂直に固定する。
巻線コイル41は、制御基板42に固定されても良い。また、巻線コイル41の外周の円筒面41aは、マグネット20の内周の円筒面20aと、所定間隔を保ちつつ対向している。制御基板42に載置された制御装置から巻線コイル41への通電を切り換えることにより回転子10が回転駆動して、光ビームを走査するためのモータとして働く。
本実施形態は、第一のバランス修正溝と第二のバランス修正溝の内部に接着強化膜を塗布して、バランスウェイトがよく濡れ広がるようにした点に特徴がある。図2は、第一の実施形態について説明するための部分拡大図であり、(a)は第一のバランス修正溝周辺の拡大図、(b)は第二のバランス修正溝周辺の拡大図である。
本実施形態においてはバランスウェイト51、52として紫外線硬化型接着剤を用いた例により説明するが、上記以外の接着剤、例えば電子線硬化型接着剤や熱硬化型接着剤等を用いても実施可能である。
さらに、バランスウェイト51が濡れ広がることで、バランスウェイト51と第一のバランス修正溝15とが形成する接触角θが小さくなるので、バランスウェイト51の最大高さが第一のバランス修正溝15の溝深さよりも小さくなる。バランスウェイト51上面部分が第一のバランス修正溝15からはみ出なくなるので、回転子10の回転中に発生する風切り音等が低減される。
さらに、バランスウェイト52が濡れ広がることで、バランスウェイト52と第二のバランス修正溝17とが形成する接触角φが小さくなるので、バランスウェイト52の最大高さが第二のバランス修正溝17の溝深さよりも小さくなる。バランスウェイト52上面部分が第二のバランス修正溝17からはみ出なくなるので、回転子10の回転中に発生する風切り音等が低減される。
本発明の第二の実施形態について図3に基づいて説明する。図3は、本発明の第二の実施形態について説明するための、第一のバランス修正溝周辺の部分拡大図である。第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、鏡面加工を施した面に成膜されたコーティング膜と同材質の膜をバランス修正溝内に成膜した点に特徴がある。
図3に示すように、第一のバランス修正溝15内には接着強化膜71が成膜され、鏡面加工された側面部13には光の反射率を増幅させるための増反射膜72(コーティング膜)が成膜されている。接着強化膜71と増反射膜72には、接着剤を濡れ広がらせる親水特性向上機能と増反射機能の両方の機能を有する材料を用いる。具体的には、例えば膜材料に二酸化ケイ素を用いることができる。接着強化膜71と増反射膜72に同材質の膜を用いれば、側面部13に成膜すると同時に、第一のバランス修正溝15内にも成膜することができる。また、第二のバランス修正溝17にも、同時に同材質の膜を成膜することができる。
また、接着強化膜は単層膜であっても多層膜であっても上述の効果を得ることができる。しかし、多層膜とする場合は、最終層膜(最後にコーティングする膜)を増反射膜と同じ材質の膜、例えばSiO2膜とすることが好ましい。
また、上述のポリゴンミラースキャナを光学走査デバイスに搭載すれば、高精度な光学走査デバイスを提供することができる。また、この光学走査デバイスを画像形成装置に搭載すれば、高画質な画像を得ることができる。
Claims (8)
- 回転自在に軸支されたロータと、前記ロータの外周から突設された第一のフランジと、前記第一のフランジの外周面の周方向に沿って配置された複数の鏡面からなる回転多面鏡と、前記第一のフランジの軸方向一端面に形成されてバランス修正用の重りが配置される第一のバランス修正溝と、前記第一のフランジと軸方向位置を異ならせて前記ロータから突設された小径の第二のフランジと、前記第二のフランジの軸方向一端面に形成されてバランス修正用の重りが配置される第二のバランス修正溝と、前記第一のバランス修正溝内及び前記第二のバランス修正溝内に成膜された接着強化膜と、を備えることを特徴とするポリゴンミラースキャナ。
- 前記接着強化膜は、ミラー表面に成膜されたコーティング膜と同材質であることを特徴とする請求項1に記載のポリゴンミラースキャナ。
- 前記コーティング膜は、前記ミラーの反射率を増加させる増反射膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリゴンミラースキャナ。
- 前記増反射膜は、二酸化ケイ素層を含むことを特徴とする請求項3に記載のポリゴンミラースキャナ。
- 請求項1に記載のポリゴンミラースキャナの製造方法において、前記接着強化膜の成膜は同一工程で行われることを特徴とするポリゴンミラースキャナの製造方法。
- 請求項2乃至4に記載のポリゴンミラースキャナの製造方法において、前記接着強化膜と前記コーティング膜の成膜は同一工程で行われることを特徴とするポリゴンミラースキャナの製造方法。
- 請求項1乃至4に記載のポリゴンミラースキャナを備えることを特徴とする光学走査デバイス。
- 請求項7に記載の光学走査デバイスを備えることを特徴とする画像形成装置。
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