JP2010071303A - 真空断熱材 - Google Patents

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俊夫 小林
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Abstract

【課題】真空断熱材に関し、新たな部材を設けることなく、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、外観の凹凸の改善を図る。
【解決手段】真空断熱材は、芯材と吸着剤3とを外被材で覆って外被材の内部を減圧密封してなり、吸着剤3は、内容物4と内容物4を包む包材5で構成され、内容物4の90%以上の粒度が1mm以下で、かつ包材5が少なくとも網目状構造を有した部材を積層して構成されたものである。包材5は、耐水性を有する紙と、ポリエチレン製ワリフシートと、低密度ポリエチレンフィルムとを順次積層したもので、低密度ポリエチレンフィルム側が内側になるように袋状にしてある。これにより、新たな部材を設けることなく、吸着剤3を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、外観の凹凸が少ない真空断熱材を提供出来る。
【選択図】図2

Description

本発明は、芯材と吸着剤とを外被材で覆って外被材の内部を減圧密封してなる真空断熱材に関するものである。
従来、この種の真空断熱材は、芯材と、水分やガスを吸着する吸着剤と、芯材と吸着剤とを包む外被材とを備え、外被材の内部を減圧密封してなり、吸着剤と外被材との間に耐突き刺し性に優れる保護シートを設けることで、真空断熱材表面の変形を小さく抑えて高い断熱性能を長期にわたり維持している(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら、上記従来の真空断熱材の説明をする。図4は従来の真空断熱材の断面図である。
図4に示すように、従来の真空断熱材は、芯材11と、水分やガスを吸着する吸着剤13と、芯材11と吸着剤13とを包む2種類の外被材12a,12bとを備え、外被材12a,12bの内部を減圧密封してなりからなり、相対的に吸着剤13に近接する方の外被材12aと吸着剤13との間に保護シート14を設けている。
相対的に吸着剤13に近接する方の外被材12aは、アルミニウム箔から成る層を有するラミネートフィルムであり、相対的に吸着剤13から離れている方の外被材12bは、アルミニウムを蒸着したアルミ蒸着層からなる層を設けている。
アルミ蒸着層とアルミ箔層の耐突き刺し性を比較すると、アルミ箔層のほうが大きいため、アルミ箔層を含むラミネートフィルム側に吸着剤を配置することにより、ピンホールの発生をより防ぐことが出来る。
外被材12aと吸着剤13との間に配置した保護シート14は、外被材12a,12bと同素材のラミネートフィルムを用いている。保護シート14を外被材12a,12bと同素材にすることにより、外被材12a,12bの端材を用いることができ、ゴミの発生を抑え、省資源化に貢献することが出来る。
従来の形態では、芯材11に吸着剤13を配置可能な凹部を設け、その凹部に吸着剤13を配置している。このとき凹部は任意の深さに切り込みを入れて圧力をかけて成型している。凹部に吸着剤13を配置することにより、芯材11を外被材12a,12bで包むときに吸着剤13の位置を固定することが出来る。
外被材12aと吸着剤13との間に保護シート14を用いないものについては、圧力をかける前にピンホールが発生しており、圧力により完全に破袋してしまっている。しかし、保護シート14を用いたものについては、真空包装時のピンホール発生は無く、ピンホール発生、破袋は皆無であったので、保護シート14を用いることにより、耐突き刺し性は格段に上昇している。
これにより、耐突き刺し性に優れる保護シート14を外被材12aと吸着剤13との間に介在させることで、吸着剤13と外被材12aが直に接触せず、吸着剤13破断面の作用による真空包装時のピンホール発生を防止することが出来る。
外被材12aと吸着剤13との間に保護シート14を介在させたときの真空断熱材の表面形状は平滑であり、凹部と保護シート14を設けることにより、吸着剤13を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑えることが出来ているので、安定して製品を供給することが出来るようになる。
特開2004−218747号公報
しかしながら、上記従来の構成では、吸着剤13と外被材12aとの間に耐突き刺し性に優れる保護シート14を設けているため、長方形の外被材12a,12bの3辺同士をシールした袋の中に芯材11と吸着剤13を挿入する際に、保護シート14を固定する作業に手間がかかるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、保護シートといった新たな部材を設けることなく、耐突き刺し性を改善し、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、外観の凹凸が少ない真空断熱材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、芯材と吸着剤とを外被材で覆って前記外被材の内部を減圧密封してなり、前記吸着剤は、内容物と前記内容物を包む包材で構成され、前記内容物の90%以上の粒度が1mm以下で、かつ前記包材が少なくとも網目状構造を有した部材を積層して構成されたものである。
これによって、保護シートといった新たな部材を設けることなく、耐突き刺し性を改善し、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、真空断熱材の外観の凹凸が少なくなる。
本発明によれば、耐突き刺し性を改善し、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、外観の凹凸が少ない真空断熱材を提供することが出来る。
本発明の請求項1に記載の真空断熱材の発明は、芯材と吸着剤とを外被材で覆って前記外被材の内部を減圧密封してなり、前記吸着剤は、内容物と前記内容物を包む包材で構成され、前記内容物の90%以上の粒度が1mm以下で、かつ前記包材が少なくとも網目状構造を有した部材を積層して構成されたものである。
これにより、吸着剤の内容物粒子個々の大きさが小さくなり、かつ網目状構造を有した包材のため、耐突き刺し性が改善され、真空断熱材内に吸着剤を埋設し、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮しても、吸着剤による外被材への突き刺しを防止することとなる。
以上により、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、外観の凹凸を少なくすることが出来る。
また、請求項2に記載の真空断熱材の発明は、請求項1に記載の発明において、前記内容物に、酸化カルシウムを用いたものである。
これにより、岩石から採掘、粉砕した天然鉱物である酸化カルシウムにおいて、粒子個々の大きさが小さくなり、不規則な形状も均一化され、かつ網目状構造を有した包材のため、耐突き刺し性が改善され、真空断熱材内に吸着剤を埋設し、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮しても、吸着剤による外被材への突き刺しを防止することとなる。
以上により、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、より外観の凹凸を少なくすることが出来る。
また、請求項3に記載の真空断熱材の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記包材の坪量を、60g/m2以上にしたものであり、請求項1から請求項2に記載の発明において、包材の坪量を60g/m2以上としたことにより、包材の目が細かくなり、吸着剤の内容物粒子個々の外部への突き刺しを保護することから、耐突き刺し性が改善される。
これにより、真空断熱材内に吸着剤を埋設し、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮しても、吸着剤による外被材への突き刺しを防止することとなり、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、より外観の凹凸が少なくすることが出来る。
また、請求項4に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記包材を、少なくとも通気孔を有するポリエチレンシートと、通気性を有する紙とを積層したものであり、ポリエチレンシートと紙によって、吸着剤の内容物粒子個々の外部への突き刺しを保護し、耐突き刺し性が改善される。また、ポリエチレンシートが内側になるように包材を袋状にして、袋状の包材の中に吸着剤の内容物を入れた後に、袋状の包材の開口部の対向するポリエチレンシート同士をヒートシールすることができる。
これにより、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮しても、吸着剤による外被材への突き刺しを防止することとなり、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、より外観の凹凸が少なくすることが出来る。
また、請求項5に記載の真空断熱材の発明は、請求項4に記載の発明において、前記包材が、耐水性を有する紙と、ポリエチレン製ワリフシートと、低密度ポリエチレンフィルムとを順次積層したもので構成されるものであり、紙とポリエチレン製ワリフシートと低密度ポリエチレンフィルムによって、吸着剤の内容物粒子個々の外部への突き刺しを保護し、耐突き刺し性が改善される。また、低密度ポリエチレンフィルムが内側になるように包材を袋状にして、袋状の包材の中に吸着剤の内容物を入れた後に、袋状の包材の開口部の対向する低密度ポリエチレンフィルム同士をヒートシールすることができる。
これにより、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮しても、吸着剤による外被材への突き刺しを防止することとなり、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、より外観の凹凸が少なくすることが出来る。
以下、本発明による真空断熱材の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による真空断熱材の断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の真空断熱材は、芯材1と吸着剤3とを外被材2で覆って外被材2の内部を減圧密封してなるもので、詳しくは、袋にした外被材2の中に、芯材1と吸着剤3を挿入し、外被材2の内部圧力を約200Pa以下に真空排気した後に、袋状の外被材2の開口部を封止したものである。
なお、吸着剤3の配設方法としては、主に芯材1の間に挟む方法、芯材1と外被材2の間に挟む方法、両面の外被材2の間に挟む方法などが考えられるが、特に限定するものではない。
芯材1は、多孔質のものであり、材料は、グラスウール、ロックウールといった無機繊維、シリカといった粉末など、特に限定するものではない。
外被材2は、複数のフィルムにより構成されたラミネートフィルムである。ラミネート構成は、特に限定するものではないが、例えばナイロン、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム箔といった金属箔、またはアルミ以外の金属または無酸化物の蒸着膜を有したフィルムである。
ここで、蒸着膜を有したフィルムは、特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレンビニルアルコール共重合体フィルムに蒸着を施したもの、ポリエチレンテレフタレートフィルムに蒸着を施したもの、さらには、それぞれの蒸着膜表面にコート材を施したものがある。
図2は本発明の実施の形態1による真空断熱材に用いた吸着剤3の断面図である。
図2に示すように、本実施の形態で用いる吸着剤3は、内容物4と、内容物4を包む袋状の包材5で構成され、袋状の包材5の中に内容物4を挿入した後に、袋状の包材5の開口部をヒートシールしている。
内容物4は、酸化カルシウム、ゼオライト、シリカゲルなどのガス吸着剤や、水分吸着剤等のゲッター物質で、真空断熱材の真空度を下げる作用や維持する作用があるものであれば、特に限定するものではないが、特に岩石から採掘、粉砕した天然鉱物であるため、通常、個々の形状が不規則である酸化カルシウムが、最も適している。
また、内容物4の90%以上の粒度が、1mm以下であることが望ましい。なぜなら、90%以上の粒度が1mm以上であると、吸着剤3の内容物4の粒子個々の大きさが大きくなり、真空断熱材内に吸着剤3を埋設し、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮した時に、吸着剤3による外被材2への突き刺しを発生させてしまうからである。
さらに、粒度の比率が90%以上としたのは、90%以下であると、特に個々の形状が不規則である天然鉱物の酸化カルシウムは均一化されないため、真空断熱材内に吸着剤3を埋設し、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮した時に、吸着剤3による外被材2への突き刺しを発生させてしまうからである。
ここで、外被材2への突き刺しについて評価した結果を、(表1)および(表2)に示す。
なお、評価は次の方法にて行った。グラスウール目付け量1920g/m2の芯材1を175×280mmの長方形のサイズに裁断し、225×360mmの長方形のサイズの外被材2、内容物4を酸化カルシウム5gとした吸着剤3を用いた。
なお、外被材2のラミネート構成は、真空断熱材の両面ともに最外層からナイロンフィルム(厚さ:25μm)、ナイロンフィルム(厚さ:15μm)、アルミニウム箔(厚さ:6μm)、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:50μm)である。
また、吸着剤3の包材5は、75g/m2の耐水性和紙、78g/m2のポリエチレン製ワリフシート、厚さ25μm、74g/m2の低密度ポリエチレンフィルムを、順次積層したものにて構成されており、低密度ポリエチレンフィルムが内側になるように包材5を袋状にして、袋状の包材5の中に吸着剤3の内容物4を入れた後に、袋状の包材5の開口部の対向する低密度ポリエチレンフィルム同士をヒートシールしている。
そして、芯材1の厚み方向の中心部に吸着剤3を挟み、袋状にした外被材2の中に挿入し、内部圧力を約200Pa以下に真空排気した。その後、吸着剤3を埋設した真空断熱材の膨らみ箇所をロールプレス機により、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮した。
なお、外被材2への突き刺しについて評価は、ピンホールチェッカー(サンコウ電子製ピンホール探知器TRC−220A)にて測定した両面のピンホール合計数とした。ここで、N数は3とし、その小数点以下を四捨五入した平均を取った。
ただし、測定したピンホールにはピンホールチェッカーの測定原理上、完全にラミネートフィルムを貫通していない擬似ピンホールも含まれるものとする。
さらに望ましくは、内容物4の90%以上の粒度が0.1mm以上であることが望ましい。なぜなら、粒度を小さくするほど外被材2への突き刺しを防止することが出来るが、粉砕コストが高くなり、包材5も内容物4がこぼれないように目の細かいものにし、かつ水分の通気性も高めなければならなくなるためである。
なお、内容物4の粒度は、次の方法にて測定するものである。
内容物4の90%以上の粒度が1mm以下とする場合、JIS規格標準ふるい(Φ200mm)で、ふるい目の開きが1.00mmのものを振動ふるい機にセットし、内容物100gをセットしたふるいに5分間かける。ふるい目の開きが1.00mmのふるいを通り抜けた質量を測定し、(数1)により粒度を計算する。
さらに、内容物4の90%以上の粒度が0.1mm以上1mm以下とする場合は、JIS規格標準ふるい(Φ200mm)で、ふるい目の開きが1.00mmと0.1mmのものをふるい目の開きが1.00mmのものを上にして重ね、振動ふるい機にセットする。
内容物4100gをセットしたふるいに5分間かけ、ふるい目の開きが1.00mmのふるいを通り抜け、かつ0.1mmのふるいに残った質量を測定し、(数1)により粒度を計算する。
よって、吸着剤3の内容物4粒子個々の大きさが小さくなり、不規則な形状も均一化され、真空断熱材内に吸着剤3を埋設し、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮しても、吸着剤3による外被材への突き刺しを防止することが出来る。
図3は本発明の実施の形態1による真空断熱材に用いた吸着剤3の包材5の断面図である。
図3に示すように、包材5は、通気性を有する紙7を基材にし、ポリエチレン製ワリフシート6aと低密度ポリエチレンフィルム6bからなるポリエチレンシート6を貼り合わしてから、紙7には貫通しないように内側から透気度を確保するための通気孔を設けたものである。
あるいは、通気性を有する紙7を基材にし、ワリフやクロスといった網目状構造を有するポリエチレンのシートとポリエチレンのフィルムを貼り合わしてから、紙7には貫通しないように内側から透気度を確保するための通気孔を設けたものである。
また、通気性を有する紙7を基材にし、ワリフやクロスといった網目状構造を有するポリエチレンのシートの間に、ポリエチレンのフィルムを貼り合わす場合もある。
以上の構成にすることで、水分吸着で体積が増大した吸着剤3の内容物4の膨張による包材5の破裂に対して耐え得る構造となり、吸着剤3の内容物4粒子個々の外部への突き刺しを保護し、耐突き刺し性が改善される。
よって、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮しても、吸着剤3による外被材2への突き刺しを防止することとなり、吸着剤3を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、より外観の凹凸が少なくすることが出来る。
さらに、通気性を有する紙7は、水分を吸収し真空断熱材の中でガス発生を起こすと内部圧力を高める影響を及ぼすことから、さらに耐水性を有していることが望ましい。
また、ポリエチレンシート6におけるシール面側は、低密度ポリエチレンフィルム6bがより望ましい。なぜなら、低密度ポリエチレンは、ポリプロピレンや高密度ポリエチレンに比べて、ラミネートフィルムの耐ピンホール性、ヒートシール強度、引張・衝撃強度などの機械的強度が強い特性を持っているからである。
なお、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの区別は密度によりすることが出来る。つまり、940kg/m3より高い密度であれば、高密度ポリエチレンであり、940kg/m3より低い密度であれば、低密度ポリエチレンである。
ポリエチレンシート6の反シール面側は、透気度を考慮するとワリフが望ましい。
ワリフは、ポリエチレンなどのオレフィン樹脂で出来たフィルムを延伸し、それを割るようにして作った割繊維を縦、横に連続的に積層、熱融着した網目状構造を有するものであり、薄くて軽量で、通気性に富み、強度も高いといった特性をもっている。
そのため、ポリエチレン製ワリフシート6aは紙7の補強材として最適であり、低密度ポリエチレンフィルム6bとのラミネートにも適しているため、通気性のある高強度の包材5を実現することで耐突き刺し性が改善出来る。
さらに、包材5は、透気度が50秒以上250秒以下であることが望ましい。なぜなら、透気度が50秒以下の場合、吸着剤3の内容物4粒子個々の大きさが小さくなったことによる吸着速度の増加を包材5により抑制出来なり、真空断熱材の内部圧力を悪化させるためである。
ここで、吸着速度についての評価をした結果を(表3)に示す。
なお、評価は次の方法にて行った。内容物4を90%以上の粒度が1mm以下である酸化カルシウム5gとし、包材5は耐水性和紙7、ポリエチレン製ワリフシート6a、厚さ25μmの低密度ポリエチレンフィルム6bにて構成されている吸着剤3を用いた。
透気度の違う各吸着剤3を40℃95%RHの環境下に放置し、重量変化率が1%増加するまでの時間を測定した。この条件下において、真空断熱材用の吸着剤3としては、重量変化率が1%増加するまでに要する時間は、1時間以上が望ましい。
また、透気度が250秒以上の場合、真空断熱材中で発生するガスや水分を吸着しようとしても、ガスや水分が包材5を透りにくくなり、真空断熱材の内部圧力、つまり熱伝導率が悪化してしまうからである。
ここで、熱伝度率の変化についての評価をした結果を(表4)に示す。
なお、評価は次の方法にて行った。グラスウール目付け量1920g/m2の芯材1を175×280mmの長方形サイズに裁断し、225×360mmの長方形サイズの外被材2、内容物4を90%以上の粒度が1mm以下である酸化カルシウム5gとした吸着剤3を用いた。
なお、外被材2のラミネート構成は、真空断熱材の両面ともに最外層からナイロンフィルム(厚さ:25μm)、ナイロンフィルム(厚さ:15μm)、アルミニウム箔(厚さ:6μm)、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:50μm)である。
また、吸着剤3の包材5は、耐水性和紙7、ポリエチレン製ワリフシート6a、厚さ25μmの低密度ポリエチレンフィルム6bにて構成されている。
そして、芯材1の厚み方向の中心部に吸着剤3を挟み、袋状にした外被材2の中に挿入し、内部圧力を約200Pa以下に真空排気した。その後、吸着剤3を埋設した真空断熱材の膨らみ箇所をロールプレス機により、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮した。
なお、熱伝導率は、AUTO−λ(英弘精機製熱伝導率測定装置 HC−074 300)にて測定した。ここで、N数は3とし、その有効数字3桁目を四捨五入した平均を取った。
透気度の違う各吸着剤3を挿入した真空断熱材を40℃90%RHの環境下に1週間放置し、熱伝導率の変化を測定した。この条件下において、真空断熱材の熱伝導率としては、全く変化しないことが望ましい。
なお、透気度はJIS P 8117に基づいて測定するものである。
さらに望ましくは、包材5の透湿度は、100g/m2day以上であることが好ましい。なぜなら、透湿度は100g/m2day以下であると、水分がほとんど包材5を透らなくなり、真空断熱材の内部圧力が悪化してしまうからである。
なお、透湿度はJIS Z 0208に基づいて測定するものである。
よって、吸着剤3の内容物4粒子個々の大きさが小さくなったことによる吸着速度の増加を包材5により抑制し、真空断熱材の内部圧力の悪化を防ぐことが出来る。
また、包材5の坪量は60g/m2以上であることが望ましい。なぜなら、60g/m2以下であると、包材5の目が粗くなり、吸着剤3の内容物4粒子個々の外部への突き刺しを保護出来ず、真空断熱材内に吸着剤3を埋設し、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮した時に、吸着剤3による外被材2への突き刺しを発生させてしまうからである。
ここで、外被材2への突き刺しについて評価した結果を(表5)に示す。
なお、評価は次の方法にて行った。グラスウール目付け量1920g/m2の芯材1を175×280mmの長方形サイズに裁断し、225×360mmの長方形サイズの外被材2、内容物4を90%以上の粒度が1mm以下である酸化カルシウム5gとした吸着剤3を用いた。
なお、外被材2のラミネート構成は、真空断熱材の両面ともに最外層からナイロンフィルム(厚さ:25μm)、ナイロンフィルム(厚さ:15μm)、アルミニウム箔(厚さ:6μm)、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:50μm)である。
また、吸着剤3の包材5は、耐水性和紙7、ポリエチレン製ワリフシート6a、厚さ25μmの低密度ポリエチレンフィルム6bにて構成されている。
そして、芯材1の厚み方向の中心部に吸着剤3を挟み、袋状にした外被材2の中に挿入し、内部圧力を約200Pa以下に真空排気した。その後、吸着剤3を埋設した真空断熱材の膨らみ箇所をロールプレス機により、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮した。
なお、外被材2への突き刺しについて評価は、ピンホールチェッカー(サンコウ電子製ピンホール探知器TRC−220A)にて測定した両面のピンホール合計数とした。ここで、N数は3とし、その小数点以下を四捨五入した平均を取った。
ただし、測定したピンホールにはピンホールチェッカーの測定原理上、完全にラミネートフィルムを貫通していない擬似ピンホールも含まれるものとする。
望ましくは、包材5の坪量は200g/m2以下であることが望ましい。なぜなら、200g/m2以上であると、真空断熱材中で発生するガスや水分を吸着しようとしても、ガスや水分が包材5を透りにくくなり、真空断熱材の内部圧力が悪化してしまうからである。
さらに、包材5の厚みは1mm以上が望ましい。なぜなら、吸着剤3の内容物4の90%以上の粒度が1mm以下としたので、少なくとも包材5の厚みは1mm以上あれば、吸着剤3の内容物4粒子個々が外部への突き刺すことはないからである。
よって、本実施の形態で用いる包材5により、吸着剤3の内容物4粒子個々の外部への突き刺しを保護することとなり、真空断熱材内に吸着剤3を埋設し、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮しても、吸着剤3による外被材2への突き刺しを防止することが出来る。
以上のように、本実施の形態の真空断熱材は、芯材1と吸着剤3とを外被材2で覆って外被材2の内部を減圧密封してなり、吸着剤3は、内容物4と内容物4を包む包材5で構成され、内容物4の90%以上の粒度が1mm以下で、かつ包材5が少なくとも網目状構造を有した部材を積層して構成されたものである。
これにより、保護シートといった新たな部材を設けることなく、吸着剤3を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、真空断熱材の外観の凹凸が少なくすることが出来る。
さらに、本実施の形態では、真空断熱材表面の凹凸が少なくなるように圧縮しても、吸着剤3による外被材2への突き刺しを防止したため、従来使用されている吸着剤では実施不可能であった厚みが薄く、かつ外観の凹凸が少ない真空断熱材への実施も可能である。
つまり、真空断熱材の厚み8mm以下、さらには5mm以下で、かつ吸着剤3を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、外観の凹凸が少ない真空断熱材への実施も可能である。
本発明にかかる真空断熱材は、吸着剤を配置した部分の表面形状の変形を小さく抑え、外観の凹凸が少なくすることが可能となるので、冷蔵庫、自動販売機、風呂蓋、浴槽、折畳み梱包(オリコン)、床暖房、ジャーポット、自動車、住宅、給湯タンクといった真空断熱材を埋設する必要がある製品の用途にも適用出来る。
本発明による真空断熱材の実施の形態1の断面図 同実施の形態の真空断熱材に用いた吸着剤の断面図 同実施の形態の真空断熱材の吸着剤に用いたの包材の断面図 従来の真空断熱材の断面図
符号の説明
1 芯材
2 外被材
3 吸着剤
4 内容物
5 包材
6 ポリエチレンシート
6a ポリエチレン製ワリフシート
6b 低密度ポリエチレンフィルム
7 紙

Claims (5)

  1. 芯材と吸着剤とを外被材で覆って前記外被材の内部を減圧密封してなり、前記吸着剤は、内容物と前記内容物を包む包材で構成され、前記内容物の90%以上の粒度が1mm以下で、かつ前記包材が少なくとも網目状構造を有した部材を積層して構成されたことを特徴とした真空断熱材。
  2. 前記内容物が、酸化カルシウムであることを特徴とした請求項1に記載の真空断熱材。
  3. 前記包材の坪量が、60g/m2以上であることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の真空断熱材。
  4. 前記包材が、少なくとも通気孔を有するポリエチレンシートと、通気性を有する紙とを積層したものであることを特徴とした請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  5. 前記包材が、耐水性を有する紙と、ポリエチレン製ワリフシートと、低密度ポリエチレンフィルムとを順次積層したものであることを特徴とした請求項4に記載の真空断熱材。
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