JP2010071137A - クローズドデッキタイプのシリンダブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダブロックとシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボアの変形を防ぐとともに、シリンダボアの上部を効果的に冷却することができるクローズドデッキタイプのシリンダブロックを提供すること。
【解決手段】クローズドデッキタイプのシリンダブロック10は、内部をピストンが摺動する複数のシリンダ12と、シリンダ12を冷却する冷却水を流通するウォータジャケット16とを備え、ウォータジャケット16より外側には、ヘッドボルト穴15が形成されている。このシリンダブロック10には、内筒部30aと外筒部30bとを備え、内筒部30aの内壁面と外筒部30bの内壁面とを連結する複数の連結部材45が分散して設けられている冷却用中空材30が、シリンダ12の周囲に配置されて鋳包まれている。連結部材45は、ヘッドボルト穴15の中心Xとシリンダ12のボア中心Oとを結ぶ直線上を避けた位置に配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、インサート部材を鋳包むことによりウォータジャケットを形成するクローズドデッキタイプのシリンダブロックに関する。
水冷式のエンジンに用いられるシリンダブロックは、エンジン冷却のためにウォータジャケットを備えている。ウォータジャケットは、シリンダとブロック外壁との間に形成され、その内部に冷却水が流される。ウォータジャケット内に冷却水を流すことにより、シリンダを冷却する効果が得られるとともに、シリンダボアで発生する音を吸収して静音化を図ることができる。
ここで、シリンダブロックは、大きく分けてクローズドデッキタイプとオープンデッキタイプの2種類に分類される。シリンダヘッド締結側であるアッパーデッキ面にシリンダボアを備えるシリンダとブロック外壁とを結ぶブリッジを備えるのがクローズドデッキタイプである。一方、ブリッジを備えず、アッパーデッキ面でシリンダとブロック外壁が分かれているのがオープンデッキタイプである。そして、クローズドデッキタイプのシリンダは、シリンダブロックのアッパーデッキ面にブリッジを備えることで、シリンダとブロック外壁が結合され、振動耐性が向上し騒音が低減できるなどのメリットがあるが、その反面、製作が困難になるというデメリットがある。
近年、シリンダブロックは生産効率などの点からダイカスト成形で製造されることが多くなってきている。ところが、クローズドデッキタイプのシリンダブロックが備えるウォータジャケットを形成するためには、崩壊性の中子を用いる必要がありダイカスト成形の利点を生かすことができない。つまり、シリンダブロックのダイカスト成形時において、ウォータジャケットを形成する中子を崩さない程度の鋳造圧力で溶湯を供給する必要があり、湯流れ速度を遅くする必要がある。そのため、生産速度が低下し、ダイカスト成形でメリットとされる量産効果が得られにくくなってしまう。
このような事情から、クローズドデッキタイプのシリンダブロックに関しては鋳造で成形されるケースも珍しくない。また、シリンダブロックの別の箇所を補強することで剛性を確保し、オープンデッキタイプのシリンダブロックをエンジンに採用するケースもある。しかしながら、より高剛性を求めたい場合(例えば、ディーゼルエンジンに用いる場合)などでは、クローズドデッキタイプのシリンダブロックの方が有利である。したがって、クローズドデッキタイプのシリンダブロックについても生産効率の向上が求められている。
クローズドデッキタイプのシリンダブロックに関して、例えば特許文献1には、中空形状のインサート部材を鋳包んで、インサート部材の内部をウォータジャケットとする技術が開示されている。さらに、特許文献1には、インサート部材の変形を防止すべく、インサート部材の内部に金属粒子や砂などの充填物を配置したり補強リブを設けたりして、インサート部材の強度を高める技術も開示されている。
特開2000−230455号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術のように、インサート部材の内部に金属粒子や砂などの充填物を配置した場合には、鋳造後に充填物を取り出す工程が必要となる。これより、工程が増加して生産性が低下するという問題があった。
一方、インサート部材の内部に補強リブを設けた場合には、鋳造後に充填物を取り出す等の工程は要しない。しかしながら、ウォータジャケットのように比較的大きな空洞部を確保して鋳造圧力が50〜80MPaとなる高圧ダイカスト鋳造を行う場合には、補強リブの設けられていない部分が変形してしまうおそれがあった。なお、このような変形を防止するために、補強リブを複数設けることも考えられる。しかしながら、補強リブを複数設けると、ウォータジャケット内における冷却水の流れが乱されること等により冷却性能が低下して十分な冷却効果を得ることができなくなるという問題があった。
また、一般にシリンダブロックには、次のような課題があった。すなわち、ウォータジャケットよりシリンダ径方向外側に形成されたヘッドボルト穴にヘッドボルトをネジ締めしてシリンダブロックとシリンダヘッドとを締結した場合に、シリンダボアが内側へ歪むことがあった。例えば、図12に示すように、ウォータジャケット116の周囲に等間隔で4つのヘッドボルト穴115を備えたシリンダブロック100をヘッドボルトで締め付けた場合には、シリンダボア111が各ヘッドボルト穴115中心からボア中心Oへ向けて歪みやすかった(4次の変形)。なお、図12において、太線矢印は、ヘッドボルトの締付によりシリンダボア側へ作用する締付力を示し、二点鎖線は、シリンダボアの変形時の様子を示している。このようにシリンダボア111が内側へ歪むと、運転時にピストンの摺動抵抗が増して追従性が悪くなり、潤滑オイルの消費を増大させるなどの問題が生じてしまう。
そこで、このようなシリンダボア111の変形を防止するために、図13に示すように、ウォータジャケット116をヘッドボルト穴115やピストンスのトロークと同程度(例えば80〜90mm)に深く形成することが行われている。これにより、ヘッドボルト締付時にシリンダボア111へ作用する力を、ウォータジャケット116を形成する空洞で吸収して緩和することができる。
しかしながら、特許文献1に開示された技術のように、インサート部材の内部に補強リブを設けた場合には、補強リブの意図的な配置や形状の工夫等がなされていなければ、ヘッドボルト締付時の締付力が、ヘッドボルト付近に設けられた補強リブを介してシリンダボア側へ伝わりやすい。そのため、シリンダボアの変形が生じやすいという問題があった。
また、シリンダボアでは、シリンダヘッド側に近い部分ほど高温となるため、特にボア上部(例えばヘッド側から20〜30mmの領域)を積極的に冷却する必要があった。ところが、ウォータジャケットをヘッドボルトやピストンストロークの長さと同程度に深く形成した場合には、冷却に必要な深さ以上にウォータジャケットが形成されることとなり、ウォータジャケットの下部を通過する冷却水が有効に活用されていなかった。つまり、積極的に冷却される必要のあるシリンダボアの上部が、ウォータジャケットを流れる冷却水により効果的に冷却されていなかった。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、シリンダブロックとシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボアの変形を防ぐとともに、シリンダボアの上部を効果的に冷却することができるクローズドデッキタイプのシリンダブロックを提供することを課題とする。
内部をピストンが摺動する複数のシリンダと、前記シリンダを冷却する冷却水を流通するウォータジャケットとを備えるクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、前記ウォータジャケットよりシリンダ径方向外側に形成され、シリンダヘッドとの締結に用いられるヘッドボルト穴と、内筒部と外筒部とを備え、前記シリンダの周囲に配置され、前記ピストンのストローク長又は前記ヘッドボルト穴の長さに対応して下方まで延設されたウォータジャケットを形成する中空部材とを有し、前記中空部材には、前記内筒部の内壁面と前記外筒部の内壁面とを連結する複数の連結部材が分散して設けられ、前記連結部材には、前記ウォータジャケットを流れる冷却水を前記ウォータジャケット上部へと導く水流制御部材が含まれていることを特徴とする。
本発明に係るシリンダブロックは、ウォータジャケットを形成する中空部材(インサート部材)が鋳包まれてダイカスト鋳造により形成されている。そして、中空部材には、内筒部の内壁面と外筒部の内壁面とを連結する複数の連結部材が設けられている。これにより、中空部材の機械的強度を大幅に向上させることができ、鋳造圧力が50〜80MPaとなる高圧ダイカスト鋳造であっても、中空部材が変形してウォータジャケット内において部分的に冷却水通路が閉塞することを防止することができる。したがって、中空部材の内部に充填物を配置することなく、高圧ダイカスト鋳造により、所望形状のウォータジャケットを形成することができる。
このシリンダブロックでは、中空部材により形成されるウォータジャケットが、ピストンのストローク長又はヘッドボルト穴の長さに対応して下方まで延設されている。そして、ウォータジャケットよりシリンダ径方向外側には、シリンダヘッドとの締結に用いられるヘッドボルト穴が形成されている。こうした構成により、ヘッドボルト締付時にシリンダボア側へ伝わる締付力を、ウォータジャケットを形成する空洞で吸収して緩和することができる。その結果、シリンダブロックとシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボアの変形を防ぐことができる。
なお、ウォータジャケットは、ピストンのストローク長又はヘッドボルト穴の長さと同程度に深く形成されていることが望ましい。なぜなら、ウォータジャケットをピストンのストローク長又はヘッドボルト穴の長さより浅く形成した場合には、浅く形成した分だけヘッドボルト締付時の締付力がシリンダボア側へ伝わりやすくなり、シリンダボアの変形が生じやすくなるからである。他方、ウォータジャケットをピストンのストローク長又はヘッドボルト穴の長さより深く形成した場合には、深く形成した分だけウォータジャケットの下部を流れる冷却水が増加して、冷却効率が悪化するからである。
ここで、連結部材は、中空部材に分散して設けられている。これにより、連結部材を介してシリンダボア側へ伝わる締付力を、一箇所に集中させることなく、複数個所に分散させることができる。したがって、たとえ連結部材によって内筒部と外筒部とが連結されていたとしても、シリンダブロックとシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボアの変形を効果的に防ぐことができる。
また、このように連結部材を分散して設けることにより、ウォータジャケット内における冷却水の流れを乱さないようにすることができる。すなわち、連結部材を設けても分散して配置していることにより、冷却水がスムーズに流れて剥離流れが発生しないため、キャビテーションの発生がなくシリンダブロックの冷却効果を低下させることもない。
さらに、連結部材は、ウォータジャケットを流れる冷却水をウォータジャケット上部へと導く水流制御部材を含み構成されている。したがって、このシリンダブロックでは、水流抑制部材でウォータジャケットを流れる冷却水を意図的にウォータジャケット上部へと導くことにより、積極的に冷却される必要のあるシリンダボアの上部を効果的に冷却することができる。
本発明に係るクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、前記連結部材には、前記中空部材の下部に配置され、前記ウォータジャケット下部を流れる冷却水の流れを抑制する水流抑制部材が含まれていることが望ましい。
このシリンダブロックによると、水流抑制部材によりウォータジャケット下部を流れる冷却水の流れを抑制して、ウォータジャケットを流れる冷却水を意図的にウォータジャケット上部へと導くことができる。これにより、積極的に冷却される必要のあるシリンダボアの上部をより効果的に冷却することができる。
本発明に係るクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、前記連結部材は、前記ヘッドボルト穴中心と前記シリンダのボア中心とを結ぶ直線上を避けた位置に配置されていることが望ましい。
このシリンダブロックでは、連結部材をヘッドボルト穴中心と前記シリンダのボア中心とを結ぶ直線上を避けた位置に配置することにより、ヘッドボルト締付時の締付力が、ヘッドボルト付近に設けられた連結部材を介してシリンダボア側へ伝わるのを確実に防ぐことができる。これにより、シリンダブロックとシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボアの変形をより確実に防ぐことができる。
また、本発明に係るクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、前記連結部材は、前記内筒部又は前記外筒部の少なくとも一方に、前記中空部材内側に突出して設けられた突起により形成されていることが望ましい。
このように、中空部材内側に突出して設けられた突起によって連結部材を形成することにより、プレス成形などで簡単に連結部材を形成することができる。これにより、連結部材を設けても、中空部材の生産性が低下したり、生産コストが上昇したりすることがない。したがって、このような連結部材を有する中空部材を鋳包んで高圧ダイカスト鋳造を行うことにより、シリンダブロックとシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボアの変形を防ぐとともに、シリンダボアの上部の冷却効果を高めたシリンダブロックを、安価かつ容易に製造することができる。
ここで、プレスなどにより成形した突起で連結部材を形成すると、突起の内側(凹部)に溶湯が流れ込む。このため、中空部材の内筒部のみ、又は外筒部のみに突起を設けると、中空部材の内筒部側から受ける溶湯の圧力と外筒部側から受ける溶湯の圧力とに差が生じてしまい、その圧力差によって中空部材が変形してしまうおそれがある。
そこで、本発明に係るクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、前記連結部材は、前記内筒部及び前記外筒部の両方に、前記中空部材内側に突出して設けられた突起の先端部同士を突き合わせることにより形成され、前記内筒部に設けられた突起と前記外筒部に設けられた突起とが対称形状であることが好ましい。
このように、連結部材を、内筒部及び外筒部の両方に、中空部材内側に突出して設けられた突起の先端部同士を突き合わせることにより形成し、内筒部に設けられた突起と外筒部に設けられた突起とを対称形状とすることにより、中空部材の内筒部側から受ける溶湯の圧力と外筒部側から受ける溶湯の圧力とを同等にすることができる。これにより、ダイカスト鋳造時における溶湯の圧力による中空部材の変形を確実に防止することができる。
本発明に係るクローズドデッキタイプのシリンダブロックによれば、上記した通り、シリンダブロックとシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボアの変形を防ぐとともに、シリンダボアの上部を効果的に冷却することができる。
以下、本発明に係るクローズドデッキタイプのシリンダブロックを具体化した最も好適な実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。ここでは、直列4気筒のエンジンに用いられるシリンダブロックに本発明を適用した場合を例示する。
[第一実施形態]
まず、本発明に係るシリンダブロックの第一実施形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、第一実施形態に係るシリンダブロックの概略構成を示す上面図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。
本実施形態に係るシリンダブロック10は、図1に示すように、内部にピストンを摺動させる4つのシリンダ12と、シリンダ12を冷却する冷却水を流通するウォータジャケット16と、ウォータジャケット16の周囲を構成するブロック外壁13とを備えている。このシリンダブロック10は、クローズドデッキタイプであって、シリンダ12とブロック外壁13とがブリッジ14で接続されている。
各シリンダ12は、図2に示すように、円筒形状をなしてシリンダ12内部にピストンを摺動させるためのシリンダボア11と、シリンダボア11に設けられてピストンリングとの摺動面を形成するシリンダライナ12aとを備えている。
ブロック外壁13は、シリンダヘッドとの締結に用いられるヘッドボルト穴15と、クランクキャップとの締結に用いられるクランクボルト穴17とを備えている。
クランクボルト穴17は、ブロック外壁13の下部に設けられている。そして、図示しないクランクキャップとシリンダブロック10のジャーナル部19とでクランクシャフトを挟んだ状態で、クランクボルト穴17にクランクボルトを締め付けることにより、クランクキャップとシリンダブロック10とが締結されるようになっている。
ヘッドボルト穴15は、図1に示すように、各シリンダボア11の周囲であってウォータジャケット16よりシリンダ径方向外側に、円周を4等分するように4つ設けられている。なお、隣り合うシリンダボア11の間には2つのヘッドボルト穴15が設けられており、隣り合うシリンダボア11同士がこれら2つのヘッドボルト穴15を共有する構成となっている。また、各ヘッドボルト穴15は、図2に示すように、アッパーデッキ面10aから下方へと延設されている。そして、シリンダブロック10のアッパーデッキ面10aに図示しないシリンダヘッドの下面を当接させて、ヘッドボルト穴15にヘッドボルトを締め付けることにより、シリンダブロック10とシリンダヘッドが締結されるようになっている。
ウォータジャケット16は、図1に示すように、4つのシリンダ12のすべてを覆うように設けられている。また、ウォータジャケット16は、図2に示すように、ヘッドボルト穴15の長さと同程度の長さ(例えば80〜90mm)となるように下方へ延設されている。なお、ウォータジャケット16は、ピストンのストローク長と同程度の長さに形成されてもよい。このウォータジャケット16は、内部に冷却水を流通させる中空部を形成する冷却用中空材30と、ウォータジャケット16内部を流れる冷却水をシリンダヘッド側へと導くための複数のウォータジャケット突起40と、ウォータジャケット16内部へ冷却水を導入するための冷却水導入口46(図1参照)とを備えている。そして、冷却用中空材30をシリンダブロック10内に鋳包むことにより、冷却用中空材30の内側にウォータジャケット16が形成されている。このウォータジャケット16内部には、エンジン運転時に冷却水が流れるようになっている。これにより、エンジン運転時には、各シリンダ12を冷却水により外周側から冷却できるようになっている。
続いて、本実施形態に係る冷却用中空材30について、図3〜図5を参照しながら詳細に説明する。図3は、シリンダブロック内の冷却用中空材を示す上面図である。図4は、冷却用中空材を示す分解斜視図である。図5は、冷却用中空材を示す正面図である。なお、図3及び図5において、網掛け部Aは、冷却用中空材30においてヘッドボルト穴中心Xとシリンダのボア中心Oとを結ぶ直線上に位置する部位を示している。
冷却用中空材30は、図3に示すように、各シリンダ12側に配されて内筒を形成する内筒部30aと、内筒部30aを外側から覆うように外筒を形成する外筒部30bと、内筒部30aの内壁面と外筒部30bの内壁面とを連結する複数の連結部材45(図2参照)とを備えている。
内筒部30aは、図4に示すように、2枚の内筒金属板31,32を備えている。そして、各内筒金属板31,32を組み合わせることにより、内筒部30aが形成されるようになっている。
各内筒金属板31,32は、シリンダ軸方向両端(上下端)を外側(外筒部30b側)に折り曲げて形成された折り曲げ部31a,31b,32a,32bを備えている。
折り曲げ部31a,32aは、ウォータジャケット突起40に対応する位置に、シリンダ軸方向へ貫通形成された貫通穴41を備えている。これにより、各金属板31〜34を組み合わせたとき、ウォータジャケット突起40の下側開口部が貫通穴41に連通するようになっている。なお、貫通穴41の代わりに、切り欠きを設けてもよい。
外筒部30bは、2枚の外筒金属板33,34を備えている。そして、各外筒金属板33,34を組み合わせることにより、外筒部30bが形成されるようになっている。
各外筒金属板33,34は、シリンダ軸方向両端(上下端)を内側(内筒部30a側)に折り曲げて形成された折り曲げ部33a,33b,34a,34bを備えている。
折り曲げ部33a,34aは、複数のウォータジャケット突起40を備えている。各ウォータジャケット突起40は、円筒形状をなしており、所定間隔をおいて複数設けられている。このウォータジャケット突起40の内側は、図2に示すように、水路開口部16aとなっている。そして、ウォータジャケット突起40の上部は、アッパーデッキ面10aに開口しており、ウォータジャケット突起40の下部は、冷却用中空材30の内部に連通している。こうした構成により、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水を、シリンダヘッドに設けられたウォータジャケットへと導くことができる。
また、一方の外筒金属板33の一端には、冷却水導入口46と連通する開口39が設けられている。そして、冷却水導入口46は、冷却水を取り入れるための取水口36と、取水口36を開口39へと接続するための接続部材35とを備えている。この接続部材35の一端には、取水口36が接合され、接続部材35の他端には、外筒金属板33の開口39が接合されている。このようにして、冷却水導入口46が冷却用中空材30に取り付けられている。
なお、各金属板31〜34は、それらを組み合わせたときにウォータジャケット16の形状となるように、それぞれが図4に示すような所定形状にプレス成形されている。これらの金属板31〜34は、耐食性を考慮してステンレス製であってもよいし、リサイクル性を考慮してシリンダブロック10の素材と同じくアルミニウム合金製であってもよい。また、各金属板31〜34同士の接合には、溶接やロウ付けなどが行われる。
そして、このような金属板31〜34を組み合わせて接合することにより冷却用中空材30が形成されている。具体的には、折り曲げ部31a,31b,32a,32bと折り曲げ部33a,33b,34a,34bとが重ね合わせられ、それぞれが接合されて冷却用中空材30が形成されている。このように、冷却用中空材30の上下端部では、折り曲げ部31a,31b,32a,32bと折り曲げ部33a,33b,34a,34bとが重ね合わされているので、冷却用中空材30の機械的強度が全体的に高められている。
なお、シリンダブロック10に備わる冷却用中空材を、板材に限られず様々な形状の部材を用いて形成することができる。ここで、図6は、変更例に係る冷却用中空材の断面を示した斜視図である。例えば、図6に示すように、パイプ材を用いて冷却用中空材51を形成することができる。ただし、パイプ材を用いて冷却用中空材51をウォータジャケット16の形状に成形するには、複雑な成形加工が必要となるため、生産効率や生産コストの点では、複数の金属板31〜34を用いて冷却用中空材30を形成するほうが望ましい。
連結部材45は、図4に示すように、内筒金属板31,32に外側(外筒部30b側)へ向けて突出形成された複数の突起42a,43a,44aと、外筒金属板33,34に内側(内筒部30a側)へ向けて突出形成された複数の突起42b,43b,44bとを備えている。
各突起42a〜44a、42b〜43bは、エンボス加工により形成されている。そして、突起42a〜44aは、内筒金属板31,32に分散して設けられており、突起42b〜44bは、外筒金属板33,34に分散して設けられている。より詳細には、本実施形態において、突起42aと突起42bとは対応した位置に設けられ、突起43aと突起43bとは対応した位置に設けられ、突起44aと突起44bとは対応した位置に設けられている。
また、突起42aと突起42bとは略対称(同一)形状をなし、突起43aと突起43bとは略対称(同一)形状をなし、突起44aと突起44bとは略対称(同一)形状をなしている。
そして、突起42aと突起42bとは先端部同士を突き当てるように当接し、突起43aと突起43bとは先端部同士を突き当てるように当接し、突起44aと突起44bとは先端部同士を突き当てるように当接している(図2参照)。こうした構成により、冷却用中空材30の内部には、内筒部30aと外筒部30bとを連結した複数の連結部材45が形成されている。そして、これらの連結部材45により、冷却用中空材30の機械的強度が高められている。
本実施形態では、連結部材45は、冷却用中空材30内に分散して配置されている。なぜなら、各金属板31〜34に分散して配置された各突起42a〜44a,42b〜44bにより、連結部材45が構成されているからである。以下では、連結部材45を構成する各突起42a〜44a,42b〜44bの詳細について説明する。
各突起42a〜44a、42b〜43bは、略円形の断面形状をなす円形突起42a,42bと、略誘導流線形の断面形状(フラップ形状)をなす誘導流線型突起43a、43bと、略長丸形の断面形状をなす長丸形突起44a,44bとから構成されている。
円形突起42a,42bは、連結部材45を形成するとともに、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水の流れに抵抗を持たせ、施工ピッチを調整して冷却水の流量を制限する機能を有している。この円形突起42a,42bは、図5に示すように、ヘッドボルト穴15の中心Xとシリンダボア11の中心Oとを結ぶ直線上を避けた位置(網掛け部Aを避けた領域)に配置されている。具体的に、本実施形態では、円形突起42a,42bは、各シリンダボア11ごとに正面側及び背面側であって平面視で四角形の各頂点に対応する位置に配置されている。
誘導流線形突起43a、43bは、連結部材45を形成するとともに、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水の流量を制限することなく、冷却水の流れ方向を効率的に制御する機能を有している。本実施形態では、誘導流線形突起43a、43bは、冷却水の流れ方向へ向けて上方へ傾斜させるように設けられている。これにより、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水をウォータジャケット16上部へと導くことができるようになっている。なお、本実施形態の誘導流線形突起43a、43bが、本発明の「水流制御部材」の一例である。この誘導流線形突起43a、43bも、ヘッドボルト穴15の中心Xとシリンダボア11の中心Oとを結ぶ直線上を避けた位置(網掛け部Aを避けた領域)に配置されている。具体的に、本実施形態では、誘導流線形突起43a、43bは、各シリンダボア11ごとに正面側及び背面側であって平面視で各円形突起42を結んで形成される四角形の対角線の交点付近に配置されている。
長丸形突起44a,44bは、連結部材45を形成するとともに、ウォータジャケット16の下部に配置されてウォータジャケット16の下部を流れる冷却水の流量を制限しつつ、冷却水の流れ方向を制御する機能を有する。本実施形態では、長丸形突起44a,44bは、冷却水の流れ方向に直交するように設けられているため、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水の流れ方向を最も効果的に制御できるようになっている。なお、本実施形態の長丸形突起44a,44bが、本発明の「水流抑制部材」の一例である。この長丸突起44a,44bも、ヘッドボルト穴15の中心Xとシリンダボア11の中心Oとを結ぶ直線上を避けた位置(網掛け部Aを避けた領域)に配置されている。具体的に、本実施形態では、長丸形突起44a,44bは、各シリンダボア11ごとに正面側及び背面側であって平面視で各誘導流線形突起43bの下方に所定の間隔をおいて配置されている。なお、長丸形突起44a,44bの下端は、冷却用中空材30の下端に到達しており、ウォータジャケット16の下部を流れる冷却水の流れを確実に抑制できるようになっている。
ここで、上記した突起の変更例について、図7及び図8に基づき説明する。図7は、変更例に係る突起を示す正面図である。図8は、変更例に係る突起を示す正面図である。
例えば、図7に示すように、長丸形突起52を、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水の流れ方向に沿って設けることにより、連結部材45を形成するとともに、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水の流量を制限する機能を発揮させることもできる。
また、図8に示すように、流線形突起53を、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水の流れ方向に沿って設けることにより、連結部材45を形成するとともに、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水に乱流が発生するのを抑制して、冷却水の流れを整流化する機能を発揮させるもできる。
次に、上記のように構成されたシリンダブロック10の鋳造時の様子について簡単に説明する。シリンダブロック10では、ウォータジャケット16を形成する中空部材30が鋳包まれてダイカスト鋳造により形成されている。すなわち、金型のキャビティ内に溶湯を射出し充填することにより、金型に保持した冷却用中空材30を鋳包んでシリンダブロック10がダイカスト成形される。ここで、ダイカスト製品は、鋳造圧力を上げることにより、成形条件が良好になり品質が向上するため、鋳造圧力を下げると、成形条件が悪化して高品質な製品(シリンダブロック)を得ることができなくなる。このため、本実施の形態では、鋳造圧力が50〜80MPaである高圧ダイカスト鋳造を行っている。これにより、シリンダブロック10の品質を向上させている。
ここで、冷却用中空材30には突起42a〜44a、42b〜43bで形成された連結部材45が分散配置されており、機械的強度が高められている。特に、本実施の形態では、突起37,38を対称形状(同一形状)としている。これにより、突起部分において、冷却用中空材30の内筒部30a側から受ける溶湯の圧力と外筒部30b側から受ける溶湯の圧力とを同等にすることができる。また、本実施の形態では、金属板31,32と金属板33,34の折り曲げ部31a,31b,32a,32bと折り曲げ部33a,33b,34a,34bとを重ね合わせて接合している。これにより、冷却用中空材30のシリンダ軸方向の両端部(上下端部)における機械的強度が高められている。したがって、鋳造圧力が50〜80MPaとなる高圧ダイカスト鋳造においても、溶湯の圧力による冷却用中空材30の変形を確実に防止することができる。
このため、冷却用中空材30を鋳包んで高圧ダイカスト鋳造を行っても、冷却用中空材30が変形してウォータジャケット16内において部分的に冷却水通路が閉塞することがない。したがって、冷却用中空材30の内部に充填物を配置することなく、高圧ダイカスト鋳造によりシリンダブロック10を形成しても、所望形状のウォータジャケット16を設けることができる。その結果、クローズドデッキタイプのシリンダブロック10を高圧ダイカスト鋳造により生産性を低下させることなく製作することができる。
また、このシリンダブロック10では、ウォータジャケット突起40を備えたことにより、シリンダブロック10を鋳造する際、ウォータジャケット突起40内に金型の一部を差し込んで金型に冷却用中空材30を固定できるようになっている。これにより、鋳造時に溶湯の圧力によっても、鋳包む冷却用中空材30がずれないように適切に位置決めして鋳造することができる。したがって、シリンダブロック10内におけるウォータジャケット16の位置精度を高めることができる。
なお、ウォータジャケット突起40は中空形状であるが、中空部分に金型の一部を差し込むことにより、高圧ダイカスト鋳造であっても溶湯の圧力によって変形するのを防止でき、ウォータジャケット突起40内に溶湯が侵入することもない。なお、このウォータジャケット突起40を、冷却用中空材30にパイプを接続して形成してもよいし、冷却用中空材30と一体的に成形してもよい。
また、このシリンダブロック10では、冷却水導入口46に金型の一部を差し込んで金型に冷却用中空材30を固定する際の位置決め精度をより一層向上させることができる。つまり、冷却用中空材30は、ウォータジャケット突起40と冷却水導入口46とにより位置決めされて金型に保持されることで、鋳造時に溶湯の圧力によって、鋳包む冷却用中空材30のずれをより確実に防止することができる。これにより、シリンダブロック10の生産性を向上させるとともに、シリンダブロック10内におけるウォータジャケット16の位置精度を一層高めることができる。なお、冷却水導入口46の内部は空洞となっているが、この空洞部分に金型の一部を差し込むことにより、高圧ダイカスト鋳造であっても溶湯の圧力によって変形することはないし、溶湯が侵入することもない。
次に、上記のように構成されたシリンダブロック10のシリンダヘッド組付時の様子について簡単に説明する。
このシリンダブロック10では、シリンダブロック10のアッパーデッキ面10aにシリンダヘッドの下面を当接させて、ヘッドボルト穴15にヘッドボルトを締め付けることにより、シリンダブロック10とシリンダヘッドが締結される。
ここで、シリンダブロック10では、ウォータジャケット16よりシリンダ径方向外側に、シリンダヘッドとの締結に用いられるヘッドボルト穴15が形成されている。これにより、ヘッドボルト締付時にシリンダボア11側へ伝わる締付力を、ウォータジャケット16を形成する空洞で吸収して緩和することができる。その結果、シリンダブロック10とシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボア11の変形を防ぐことができる。
また、ウォータジャケット16は、ヘッドボルト穴15の長さ又はピストンのストローク長と同程度の長さとなるように下方へ延設されている。ここで、ウォータジャケット16をヘッドボルト穴15の長さ又はピストンのストローク長より浅く形成した場合には、浅く形成した分だけヘッドボルト締付時の締付力がシリンダボア11側へ伝わりやすくなり、シリンダボア11の変形が生じやすくなる。他方、ウォータジャケット16をヘッドボルト穴15の長さ又はピストンのストローク長より深く形成した場合には、深く形成した分だけウォータジャケット16の下部を流れる冷却水が増加して、冷却効率が悪化する。これに対して、本実施形態に係るウォータジャケット16は、ヘッドボルト穴15の長さ又はピストンのストローク長と同程度に深く形成されている。これにより、シリンダボア11の変形と冷却効率の悪化との双方を効果的に防止することができる。
また、このシリンダブロック10では、連結部材45が、冷却用中空材30の内部に分散して設けられている。これにより、連結部材45を介してシリンダボア11側へ伝わる締付力を、一箇所に集中させることなく、複数個所に分散させることができる。したがって、たとえ連結部材45によって内筒部30aと外筒部30bとが連結されていたとしても、シリンダブロック10とシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボア11の変形を効果的に防ぐことができる。
さらに、このシリンダブロック10では、すべての突起42a〜44a、42b〜43b(連結部材45)が、ヘッドボルト穴15の中心Xとシリンダボア11の中心Oとを結ぶ直線上を避けた位置(網掛け部Aを避けた領域)に配置されている。このように配置することにより、ヘッドボルト締付時の締付力が、ヘッドボルト付近に設けられた連結部材45を介してシリンダボア11側へ伝わるのを確実に防ぐことができる。これにより、シリンダブロック10とシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボア11の変形をより確実に防ぐことができる。
次に、上記のように構成されたシリンダブロック10のウォータジャケット16を流れる冷却水の様子について簡単に説明する。
このシリンダブロック10では、エンジン運転時に、導入口46からウォータジャケット16内に冷却水が導入される。そして、ウォータジャケット16内に導入された冷却水は、各シリンダ12を順に冷却しながら、シリンダ径方向へと流れていく。なお、冷却水は、ウォータジャケット16の上部に複数設けられたウォータジャケット突起40から、シリンダヘッド側に設けられたウォータジャケットへと流れていく。
ここで、シリンダブロック10では、連結部材45が分散して設けられている。このように、連結部材45が分散して設けられているので、ウォータジャケット16内における冷却水の流れが乱れるのを抑制することができる。すなわち、連結部材45を設けても分散して配置していることにより、冷却水がスムーズに流れて剥離流れが発生しないため、キャビテーションの発生がなくシリンダブロック10の冷却効果を低下させることもない。
さらに、このシリンダブロック10では、連結部材45を形成する誘導流線形突起43a、43b及び長丸形突起44a,44bにより、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水がウォータジャケット16上部へと導かれるとともに、ウォータジャケット16の下部を流れる冷却水の流量が制限される(図6の太線矢印参照)。このように、ウォータジャケット16内部を流れる冷却水を意図的にウォータジャケット16上部へと導くことができるので、積極的に冷却される必要のあるシリンダボア11上部を効果的に冷却することができる。
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係るシリンダブロック10によれば、高圧ダイカスト鋳造であっても、冷却用中空材30が変形してウォータジャケット16内において部分的に冷却水通路が閉塞することを防止することができる。また、シリンダブロック10とシリンダヘッドとの締結時におけるシリンダボア11の変形を効果的に防ぐことができる。さらに、積極的に冷却される必要のあるシリンダボア11上部(例えばヘッド側から20〜30mmの領域)を効果的に冷却することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明に係るシリンダブロックの第二実施形態について、図9を参照しながら説明する。図9は、第二実施形態に係るシリンダブロックに備わる冷却用中空材を示す正面図である。
本実施形態に係るシリンダブロックでは、連結部材45を形成する各突起の位置及び形状が、上記実施形態のものと相違する。すなわち、本実施形態では、図9に示すように、第一実施形態の長丸形突起44a,44bを上方に延長して誘導流線形突起43a,43bと一体化することにより、双方の機能を有する結合突起60が形成されている。
このように、長丸形突起44a,44bを、上方に延長して誘導流線形突起43a,43bと一体化することにより、ウォータジャケット16の下部及び中間部を流れる冷却水の流れをより確実に抑制して、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水をウォータジャケット16の上部へと確実に導くことができる(図9の太線矢印参照)。これにより、積極的に冷却される必要のあるシリンダボア11上部をさらに効果的に冷却することができる。
[第三実施形態]
次に、本発明に係るシリンダブロックの第三実施形態について、図10を参照しながら説明する。図10は、第三実施形態に係るシリンダブロックに備わる冷却用中空材を示す正面図である。
本実施形態に係るシリンダブロックでは、上記第一実施形態の構成に、連結部材45を形成する突起がさらに追加されている点で、上記実施形態のものと相違する。すなわち、本実施形態では、図10に示すように、ヘッドボルト穴15の中心Xとシリンダボア11の中心Oとを結ぶ直線上を避けた位置(網掛け部Aを避けた領域)であって、隣り合うシリンダボア11間にも、誘導流線形突起43a、43b及び長丸形突起44a,44bが設けられている。
このように、誘導流線形突起43a、43b及び長丸形突起44a,44bを追加することにより、冷却用中空材30の機械的強度をさらに高めて、冷却用中空材30の変形をより確実に防ぐことができる。また、誘導流線形突起43a、43b及び長丸形突起44a,44bにより、ウォータジャケット16の下部を流れる冷却水の流れをより確実に抑制して、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水をウォータジャケット16の上部へと確実に導くことができる(図10の太線矢印参照)。これにより、積極的に冷却される必要のあるシリンダボア11上部をさらに効果的に冷却することができる。
[第四実施形態]
次に、本発明に係るシリンダブロックの第四実施形態について、図11を参照しながら説明する。図11は、第四実施形態に係るシリンダブロックに備わる冷却用中空材を示す正面図である。
本実施形態に係るシリンダブロックでは、上記第一実施形態の構成に、連結部材45を形成する突起がさらに追加されている点で、上記実施形態のものと相違する。すなわち、本実施形態では、図11に示すように、ヘッドボルト穴15の中心Xとシリンダボア11の中心Oとを結ぶ直線上を避けた位置(網掛け部Aを避けた領域)であって、隣り合うシリンダボア11間にも、円形突起42a,42bが設けられている。
このように、円形突起42a,42bを追加することにより、冷却用中空材30の機械的強度をさらに高めて、冷却用中空材30の変形をより確実に防ぐことができる。また、ウォータジャケット16の内部を流れる冷却水の流れに抵抗を持たせ、施工ピッチを調整して冷却水の流量をより制限することができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。以下にその例を示す。
例えば、上記実施形態で示した突起42a〜44a,42b〜43b,52,53,60の形状に限られず、他の形状の突起を用いて冷却水の流れを制御又は抑制したシリンダブロック10を構成してもよい。
また、上記した実施の形態では、内筒金属板31,32に設けた突起42a〜44aと外筒金属板33,34に設けた突起42b〜43bとにより連結部材45を形成しているが、内筒金属板31,32あるいは外筒金属板33,34にのみ突起を設け、その突起で連結部材45を形成することもできる。さらに、連結部材45を内筒金属板31,32、外筒金属板33,34に突起を設けるのではなく、内筒金属板31,32、外筒金属板33,34とは別部材で構成することもできる。
また、冷却用中空材30を金属板により形成する場合には、使用する金属板は4枚に限られることなく、例えば2枚の金属板(内筒部と外筒部をそれぞれ1枚の金属板で構成)、3枚の金属板(内筒部を1枚金属板、外筒部を2枚の金属板で構成)、あるいは4枚以上に金属板を使用してもよい。
また、上記実施形態で示した突起42a〜44a,42b〜43b,60にガス抜き溝を設けて、効率よくガス抜きを行えるようにしてもよい。これにより、鋳造欠陥の発生を防止することができる。
また、上記した実施の形態では、直列4気筒のエンジンに本発明を適用した場合について例示したが、本発明は直列4気筒以外のエンジンにも適用することができる。例えば、V型や水平対向等の他のシリンダレイアウトや気筒数の増減を行ったエンジンであっても本発明を適用することができる。
また、上記実施形態で示した突起42a〜44a,42b〜43b,52,53,60の位置に限られず、ヘッドボルト穴15の中心Xとシリンダボア11の中心Oとを結ぶ直線上を避けた他の位置(網掛け部Aを避けた領域)に突起42a〜44a,42b〜43b,52,53,60を設けることが出来る。なお、たとえ網掛け部Aに含まれる領域であっても、ヘッドボルト締付時の締付力が連結部材45を介してシリンダボア11側へ伝わるのを十分に抑制できる限度であれば、網掛け部Aに含まれる領域に少数の突起を形成することも可能である。
第一実施形態に係るシリンダブロックの概略構成を示す上面図である。 図1のII−II線における断面図である。 シリンダブロック内の冷却用中空材を示す上面図である。 冷却用中空材を示す分解斜視図である。 冷却用中空材を示す正面図である。 変更例に係る冷却用中空材の断面を示した斜視図である。 変更例に係る突起を示す正面図である。 変更例に係る突起を示す正面図である。 第二実施形態に係るシリンダブロックの冷却用中空材を示す正面図である。 第三実施形態に係るシリンダブロックの冷却用中空材を示す正面図である。 第四実施形態に係るシリンダブロックの冷却用中空材を示す正面図である。 従来例に係るシリンダブロックの概略構成を示す上面図である。 図12のXIII−XIII線における断面図である。
符号の説明
10 シリンダブロック
11 シリンダボア
12 シリンダ
13 ブロック外壁
14 ブリッジ
15 ヘッドボルト穴
16 ウォータジャケット
30 冷却用中空材
30a 内筒部
30b 外筒部
42 円形突起
43 誘導流線形突起
44 長丸形突起
45 連結部材

Claims (5)

  1. 内部をピストンが摺動する複数のシリンダと、前記シリンダを冷却する冷却水を流通するウォータジャケットとを備えるクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、
    前記ウォータジャケットよりシリンダ径方向外側に形成され、シリンダヘッドとの締結に用いられるヘッドボルト穴と、
    内筒部と外筒部とを備え、前記シリンダの周囲に配置され、前記ピストンのストローク長又は前記ヘッドボルト穴の長さに対応して下方まで延設されたウォータジャケットを形成する中空部材とを有し、
    前記中空部材には、前記内筒部の内壁面と前記外筒部の内壁面とを連結する複数の連結部材が分散して設けられ、
    前記連結部材には、前記ウォータジャケットを流れる冷却水を前記ウォータジャケット上部へと導く水流制御部材が含まれている
    ことを特徴とするクローズドデッキタイプのシリンダブロック。
  2. 請求項1に記載するクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、
    前記連結部材には、前記中空部材の下部に配置され、前記ウォータジャケット下部を流れる冷却水の流れを抑制する水流抑制部材が含まれている
    ことを特徴とするクローズドデッキタイプのシリンダブロック。
  3. 請求項1又は請求項2に記載するクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、
    前記連結部材は、前記ヘッドボルト穴中心と前記シリンダのボア中心とを結ぶ直線上を避けた位置に配置されている
    ことを特徴とするクローズドデッキタイプのシリンダブロック。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載するクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、
    前記連結部材は、前記内筒部又は前記外筒部の少なくとも一方に、前記中空部材内側に突出して設けられた突起により形成されている
    ことを特徴とするクローズドデッキタイプのシリンダブロック。
  5. 請求項4に記載するクローズドデッキタイプのシリンダブロックにおいて、
    前記連結部材は、前記内筒部及び前記外筒部の両方に、前記中空部材内側に突出して設けられた突起の先端部同士を突き合わせることにより形成され、
    前記内筒部に設けられた突起と前記外筒部に設けられた突起とが対称形状である
    ことを特徴とするクローズドデッキタイプのシリンダブロック。
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