JP2010070469A - 脂溶性ビタミンの保存方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品や栄養剤中に添加される脂溶性ビタミンを長期に亘って安定的に保存することができる脂溶性ビタミンの保存方法を提供すること。
【解決手段】本発明の脂溶性ビタミンの保存方法は、脂溶性ビタミンを含有する食品または栄養剤中において、前記脂溶性ビタミンを安定に保存するための方法であり、前記食品または栄養剤中において、前記脂溶性ビタミンに、たん白質を共存させつつ保存することを特徴とする。また、たん白質は、大豆たん白質であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品または栄養剤中における脂溶性ビタミンの保存方法に関するものである。
近年、脂溶性ビタミンを容易に摂取する方法として、食品や栄養剤中に脂溶性ビタミンを含有させ、これら食品や栄養剤を定期的に摂取する方法が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
しかしながら、脂溶性ビタミンは、光、熱または酸化に対して不安定なものが多く、このような脂溶性ビタミンを含有する食品や栄養剤を長期に渡って保存していると、食品や栄養剤中の脂溶性ビタミンが異性化し、その存在比が低下してしまうという問題がある。
特開平11−127816号公報 特開2008−44914号公報
本発明の目的は、食品や栄養剤中に添加される脂溶性ビタミンを長期に亘って安定的に保存することができる脂溶性ビタミンの保存方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(4)の本発明により達成される。
(1) 脂溶性ビタミンを含有する食品または栄養剤中において、前記脂溶性ビタミンを安定に保存するための脂溶性ビタミンの保存方法であって、
前記食品または栄養剤中において、前記脂溶性ビタミンに、たん白質を共存させつつ保存することを特徴とする脂溶性ビタミンの保存方法。
(2) 前記たん白質は、大豆たん白質である上記(1)に記載の脂溶性ビタミンの保存方法。
(3) 前記脂溶性ビタミンとして、ビタミンAを含有する上記(1)または(2)に記載の脂溶性ビタミンの保存方法。
(4) 前記食品または栄養剤を40℃で3箇月間保存したとき、前記食品または栄養剤中における前記脂溶性ビタミンの残存率は、60%以上である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の脂溶性ビタミンの保存方法。
本発明によれば、食品や栄養剤中に含まれている脂溶性ビタミンに、たん白質を共存させつつ保存することにより、その安定性を、長期に亘って向上させることができる。
以下、本発明の脂溶性ビタミンの保存方法を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の脂溶性ビタミンの保存方法は、脂溶性ビタミンを含有する食品または栄養剤において、前記脂溶性ビタミンを安定に保存するための方法であり、前記食品または栄養剤中で、前記脂溶性ビタミンに、たん白質を共存させつつ保存することを特徴とする。これにより、食品または栄養剤中における脂溶性ビタミンの安定性を、長期に亘って向上させることができる。
このような脂溶性ビタミンの保存方法は、液状、ゲル状、または半固形状をなす、濃厚流動食、エネルギー補給食品、食物繊維補給食品、栄養機能食品、特定保健用食品、脂溶性ビタミン補給用食品のような食品や、液状、ゲル状、または半固形状をなす経口経管用経腸栄養剤のような医薬品栄養剤に適用し得るが以下では、ゲル状あるいは半固形状をなす経腸栄養剤に適用した場合を一例に詳述する。
本実施形態では、経腸栄養剤は、たん白質と、脂溶性ビタミンと、脂質と、糖質と、ミネラル類と、寒天と、アルギン酸および/またはその塩類とを含有している。
たん白質は、経腸栄養剤中に含まれる脂溶性ビタミンの異性化を低減してその安定性を向上させるとともに、窒素源やアミノ酸供給のための栄養素として含まれるものである。
このようなたん白質としては、特に限定されず、大豆たん白質、乳カゼインのような乳たん白質、魚肉たん白質、鶏卵たん白質等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
たん白質は、これらの中でも、特に、大豆たん白質であるのが好ましい。
大豆たん白質は、脂溶性ビタミンの異性化を低減する安定化剤としての機能に特に優れるものである。さらに、大豆たん白質は、消化吸収性に優れるばかりでなく、例えば、脂質代謝促進、疲労回復促進、基礎代謝促進、筋肉増強促進および食事誘導性熱代謝促進等の生理活性促進作用を有し、窒素源やアミノ酸供給のための栄養素としても特に優れるものである。そのため、本発明で用いられるたん白質として、大豆たん白質が特に好適に選択される。
なお、大豆たん白質としては、特に限定されず、例えば、豆乳、濃縮大豆たん白質、分離大豆たん白質等のうちの1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
このように安定化剤および栄養素の双方の機能を有するたん白質が経腸栄養剤に含まれる構成とすることにより、脂溶性ビタミンの異性化防止剤等の新たな他の成分を添加することなく、栄養価が高く、かつ、脂溶性ビタミンが長期に亘って安定化された経腸栄養剤とすることができる。
経腸栄養剤中のたん白質の含有量は、特に限定されないが、経腸栄養剤全体に対して、0.8wt%以上であるのが好ましく、0.8〜6.0wt%程度であるのがより好ましい。かかる範囲内のたん白質の存在(共存)下で、脂溶性ビタミンを保存することにより、たん白質の含有量が多くなることに起因する凝集物や沈殿物の発生が的確に抑制されて、これら凝集物や沈殿物が発生することによる経腸栄養剤の性状的な変化を防止しつつ、脂溶性ビタミンの異性化を引き起こすような原因物質による反応をたん白質が抑制できる。その結果、脂溶性ビタミンの異性化が低減され、その存在比が低下してしまうのが的確に防止される。また、患者に経腸栄養剤を投与した際に、窒素源やアミノ酸供給のための栄養素として、十分な量を患者に補給させることができる。
ここで、経腸栄養剤に栄養素として含まれる後述するような脂溶性ビタミンを、たん白質と共存させつつ保存することにより、脂溶性ビタミンの異性化が低減され、その存在比が低下するのを防止し得るのは、非常に複雑なメカニズムが想定されるが、以下に示すような理由によるものと推察される。
一般的に、食品や栄養剤は、本実施形態の経腸栄養剤のように、多数の有効成分より構成されるため、それらが共存した際には様々な反応が生じる。例えば、アミノカルボニル反応は、経腸栄養剤の変色を引き起こすが、それだけでなく経腸栄養剤の老化を引き起こす活性酸素種の生成も引き起こす。また、酸素や金属、熱、光も同様に、活性酸素種の生成を引き起こし、あるいは直接的に経腸栄養剤の劣化を引き起こすことになる。たん白質は、このような劣化物質が脂溶性ビタミンの異性化を引き起こすことを阻害し、結果として安定化するものと考えられる。
本実施形態における脂溶性ビタミンは、脂質に含有した状態でたん白質と乳化することになる。このような共存状態では、たん白質は脂溶性ビタミンを含有する脂質を取り囲む(包含する)ように共存するため、劣化物質と脂溶性ビタミンとの反応を阻害し、異性化を抑制するようになる。その結果、脂溶性ビタミンの存在比が低下することなく経腸栄養剤中において脂溶性ビタミンを保存し得ることから、脂溶性ビタミンの安定性が長期に亘って向上することとなる。
また、脂溶性ビタミンの異性化が防止されるのは、高分子たん白質と共存させた場合に生じる特有の現象であることから、その二次構造や三次構造が関係する可能性も考えられる。すなわち、たん白質の持つ構造が脂溶性ビタミンの異性化を引き起こす劣化物質をその構造内に保持するような作用で安定化する可能性も考えられる。
脂溶性ビタミン、脂質、糖質およびミネラル類は、たん白質以外の各種栄養素として経腸栄養剤中に含まれるものである。
脂溶性ビタミンとしては、特に限定されず、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビタミンAとしては、例えば、レチノール(ビタミンA)、3−デヒドロレチノール(ビタミンA)、レチナール、3−デヒドロレチナール、レチノイン酸および3−デヒドロレチノイン酸の他、これらの酢酸エステルおよびパルミチン酸エステル等の誘導体が挙げられる。
ビタミンDとしては、例えば、エルゴカルシフェロール(ビタミンD)、コレカルシフェロール(ビタミンD)の他、これらの硫酸エステル等の誘導体等が挙げられる。
ビタミンEとしては、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノールの他、これらの酢酸エステル、ニコチン酸エステル、リン酸エステル等の誘導体や、α−トコフェロール二ナトリウム等のこれらの塩が挙げられる。
ビタミンKとしては、例えば、フィトナジオン(ビタミンK)、メナキノン(ビタミンK)およびメナジオン(ビタミンK)等が挙げられる。
これら脂溶性ビタミンの中でも、特に、ビタミンAを含有するのが好ましい。ビタミンAは、光や熱、酸素等による異性化が生じやすく、さらにたん白質と共存させつつ保存することにより、特に、その異性化が低減されて、その安定性が向上することから、本発明の脂溶性ビタミンの保存方法が適用される脂溶性ビタミンとしてより好適に選択される。
経腸栄養剤中の脂溶性ビタミンの含有量は、特に限定されないが、経腸栄養剤全体に対して、1×10−5〜1×10−2wt%程度であるのが好ましく、5×10−5〜5×10−3wt%程度であるのがより好ましい。かかる範囲内の脂溶性ビタミンを、たん白質の存在(共存)下で保存することにより、脂溶性ビタミンを、たん白質で包含することができる。その結果、脂溶性ビタミンの異性化が低減され、その存在比が低下してしまうのが的確に防止される。
また、経腸栄養剤中の脂溶性ビタミンの含有量と、たん白質の含有量との比は、脂溶性ビタミンの含有量をA[wt%]とし、たん白質の含有量をB[wt%]としたとき、B/Aは、5×10〜1×10程度であるのが好ましい。かかる関係を満足することにより、脂溶性ビタミンを、たん白質により確実に包含することができ、脂溶性ビタミンの異性化をより確実に低減させることができる。
なお、これらの脂溶性ビタミンは、天然物より公知の方法で抽出精製したものであってもよいし、公知の方法で化学合成して得たものであっても、微生物等を用いる発酵法により得たものであってよい。
また、ビタミンとしては、このような脂溶性ビタミンの他、水溶性ビタミンが含まれていてもよい。
水溶性ビタミンとしては、特に限定されず、例えば、チアミン(ビタミンB)、リボフラビン(ビタミンB)、ナイアシン(ビタミンB)、パントテン酸(ビタミンB)、ピリドキシン(ビタミンB)、ビオチン(ビタミンB)、葉酸(ビタミンB)、シアノコバラミン(ビタミンB12)およびアスコルビン酸(ビタミンC)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、脂質としては、特に限定されず、大豆油、コーン油、パーム油、シソ油、サフラワー油および魚油等の天然脂質の他、トリカプリリン(トリカプリル酸グリセリル)のような炭素数6〜12程度の中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成脂質が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
経腸栄養剤中の脂質の含有量は、特に限定されないが、経腸栄養剤全体に対して、0.5〜5.0wt%程度であるのが好ましく、1.0〜4.0wt%程度であるのがより好ましい。
糖質としては、特に限定されず、例えば、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、オリゴ糖、ショ糖およびグルコース等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、糖質としては、デキストリンやオリゴ糖、ショ糖のような2糖類、グルコースのような単糖類を適宜配合させて使用するのが好ましい。これにより、糖質が経腸栄養剤のゲル化に関与するようになるのを確実に防止することができる。
経腸栄養剤中の糖質の含有量は、特に限定されないが、経腸栄養剤全体に対して、2.5〜25.0wt%程度であるのが好ましく、5.0〜20.0wt%程度であるのがより好ましい。
さらに、ミネラル類としては、特に限定されず、例えば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、塩素、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、亜鉛および硫黄等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらミネラル類の含有量は、ミネラル類の種類に応じて適宜設定され、経腸栄養剤全体に対して、例えば、カルシウムの場合、好ましくは0.025〜0.1wt%程度、マグネシウムの場合、好ましくは0.01〜0.05wt%程度に設定される。
寒天と、アルギン酸および/またはその塩類(以下、アルギン酸の塩類も併せて単に「アルギン酸」と言うこともある。)とは、経腸栄養剤をゲル化させ、寒天およびアルギン酸以外に含まれる他の構成成分(各種栄養素)を経腸栄養剤中に保持する機能ばかりでなく、脂溶性ビタミンの異性化を低減する安定剤としての機能も発揮する。したがって、本実施形態のように、経腸栄養剤中において脂溶性ビタミンを、たん白質の他に、さらに、寒天およびアルギン酸の共存下で保存する構成とすることにより、これらの相乗効果により、脂溶性ビタミンの安定性をさらに向上させることができる。
このような寒天およびアルギン酸のうち寒天としては、特に限定されず、日本薬局方収載のカンテンやカンテン末、食品素材としての寒天末、棒寒天、即溶性寒天等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
経腸栄養剤中の寒天の含有量は、特に限定されないが、経腸栄養剤全体に対して、0.2wt%以上であるのが好ましく、0.2〜1.0wt%程度であるのがより好ましい。寒天の含有量をかかる範囲内に設定することにより、経腸栄養剤を適度な硬度を有するゲル状をなすものとすることができる。さらに、かかる範囲内の寒天と、たん白質およびアルギン酸との存在(共存)下で、脂溶性ビタミンを保存することにより、寒天、たん白質およびアルギン酸で脂溶性ビタミンを包含することができる。その結果、脂溶性ビタミンの異性化が低減され、その存在比が低下してしまうのが的確に防止される。
また、アルギン酸としては、特に限定されず、医薬品添加物規格のものや、食品添加物規格のものが使用できる。また、アルギン酸塩としては、その種類に特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
経腸栄養剤中のアルギン酸および/またはその塩類の合計の含有量は、特に限定されないが、経腸栄養剤全体に対して、0.2wt%程度であるのが好ましく、0.2〜1.0wt%程度であるのがより好ましい。アルギン酸の含有量をかかる範囲内に設定することにより、経腸栄養剤を適度な硬度を有するゲル状をなすものとすることができる。さらに、かかる範囲内のアルギン酸と、たん白質および寒天との存在(共存)下で、脂溶性ビタミンを保存することにより、アルギン酸、たん白質および寒天で脂溶性ビタミンを包含することができる。その結果、脂溶性ビタミンの異性化が低減され、その存在比が低下してしまうのが的確に防止される。
また、経腸栄養剤中の寒天の含有量とアルギン酸の含有量との比は、寒天の含有量をC[wt%]とし、アルギン酸の含有量をD[wt%]としたとき、D/Cは、0.5〜1.5程度であるのが好ましく、0.75〜1.25程度であるのがより好ましい。かかる関係を満足することにより、寒天を添加することにより得られる効果と、アルギン酸を添加することにより得られる効果とが相乗的に得られ、脂溶性ビタミンの異性化をより的確に抑制または防止することができる。
さらに、経腸栄養剤中の脂溶性ビタミンの含有量と、寒天の含有量およびアルギン酸の含有量の合計との比は、脂溶性ビタミンの含有量をE[wt%]とし、寒天の含有量およびアルギン酸の含有量の合計をF[wt%]としたとき、F/Eは、100〜50000程度であるのが好ましい。かかる関係を満足することにより、脂溶性ビタミンを、寒天、アルギン酸および大豆タンパク質により確実に包含することができ、脂溶性ビタミンの異性化をより確実に低減させることができる。
ところで、本実施形態において、寒天およびアルギン酸以外に含まれる他の構成成分(栄養素)を経腸栄養剤中に保持するためのゲル化剤として、寒天およびアルギン酸の組み合わせを選択したのは、寒天およびアルギン酸が脂溶性ビタミンの異性化を低減する安定剤としての機能を有することの他、以下に示す理由によるものである。
ゲル化剤として、例えば、寒天や全卵を用いた場合、ゲル化(固形化)した経腸栄養剤は、保存あるいは輸送時に振動や落下等の衝撃を付与すると顕著な離水現象が発生し、したがって、このような経腸栄養剤は、固形化されていたとしても、液体部分が多い製剤になり、このため胃食道逆流の防止効果が減弱もしくは消失するという問題がある。
また、ペクチンやカラギーナン等のイオン結合でゲル化する構造を構築する多糖類を用いた場合、ゲル化した経腸栄養剤は、pHの変動により崩壊または溶解する性質を有し、胃内での固形物の形状保持性が低いという問題とともに、加熱滅菌に対する耐性が弱く、レトルト滅菌により顕著な離水が生じるという問題がある。
さらに、グアーガムやペクチン等の粘性の高いゲル化剤を用いた場合、ゲル化した経腸栄養剤は、経管(PEG)チューブに対する通過性や付着性が著しく低下するという問題がある。
これに対して、寒天およびアルギン酸の組み合わせ以外のゲル化剤を用いた場合、以上のような問題点を有するが、ゲル化剤として、寒天およびアルギン酸の双方を含有するものを用いると、(1)少量の添加量で高いゲル化強度(硬さ)を有する経腸栄養剤をえることができ、(2)胃内における形状保持能力に優れ、(3)離水が少なく、(4)チューブ通過性が良好であり、(5)耐熱性に優れ、(6)長期間の保存安定性に優れ、流通時においても品質劣化が起こり難い物性を有するため、上述したような他のゲル化剤が有する問題点を的確に解消することができる。
なお、経腸栄養剤には、寒天、アルギン酸および上述した各栄養素の他に、大豆レシチン、グリセリン脂肪酸エステルのような乳化剤、エリソルビン酸ナトリウムのような安定化剤、クエン酸、乳酸のようなpH調整剤、および、エチルバニリン、バニリン、プロピレングリコールのような香料等の添加剤が含まれていいてもよい。
かかる構成の経腸栄養剤のpHは、好ましくは5.5〜7.0に設定される。かかる範囲内に経腸栄養剤のpHを設定することにより、経腸栄養剤中に含まれる各栄養素の変質・劣化を確実に防止することができる。
また、かかる構成の経腸栄養剤の粘度は、5500〜30000mPa・s程度であるのが好ましく、5500〜11000mPa・s程度であるのがより好ましい。かかる範囲内の粘度を有する経腸栄養剤は、脂溶性ビタミンを含む各種栄養素を、ゲル状をなす経腸栄養剤中に確実に保持することができるとともに、離水が少なく、さらに長期保存安定性にも優れることから好ましい。
さらに、かかる構成の経腸栄養剤を40℃で3箇月間保存したとき、この経腸栄養剤中における脂溶性ビタミンの残存率は、60%以上であるのが好ましく、75%以上であるのがより好ましい。脂溶性ビタミンの残存率を、かかる範囲内のものとすることができれば、経腸栄養剤中において脂溶性ビタミンを長期に亘って安定的に保存されていると判定することができ、この残存率がかかる範囲内の経腸栄養剤を患者に投与すれば、目的とする量の脂溶性ビタミンを確実に補給することができる。
以上説明したような本実施形態のゲル状をなす経腸栄養剤は、例えば、以下に示すような製造方法により製造される。
まず、水を用意し、この水に、上述した脂溶性ビタミン、たん白質、糖質、脂質およびミネラル類と、乳化剤とを添加した後、このものをホモジナイザー等を用いて乳化することにより液状の経腸栄養剤を調製する。
次に、予め加熱溶解した寒天とアルギン酸との混合溶液を、液状の経腸栄養剤に、攪拌しつつ添加することにより、これら同士を混合する。
次に、寒天とアルギン酸とが添加された液状の経腸栄養剤を、アルミパウチのようなパウチやソフトバッグ等に充填した状態で、レトルト等を用いて加熱滅菌した後、冷却することにより、ゲル化させて、ゲル状をなす経腸栄養剤を得ることができる。
なお、寒天とアルギン酸との混合溶液を添加する時期は、上記のように液状の経腸栄養剤に添加する場合に限定されるものではなく、例えば、ホモジナイザー等を用いて乳化することにより液状の経腸栄養剤を調整するよりも前に、水中に前記混合溶液を添加するようにしてもよい。かかる構成とすれば、液状の経腸栄養剤中に、寒天およびアルギン酸を、より均質に分散させることができ、色調や物性でむらのないゲル状をなす経腸栄養剤を調製できる利点を有することから好ましい。
なお、本実施形態では、ゲル状をなす経腸栄養剤中に含まれる栄養素として、脂溶性ビタミン、たん白質、糖質およびミネラル類を含有する場合について説明したが、このような場合に限定されず、必須成分として脂溶性ビタミンおよび大豆タンパク質を含んでいればよく、患者に投与(補給)すべき栄養素の種類に応じて、糖質およびミネラル類のうちの少なくとも1種を省略するようにしてもよい。
また、本実施形態では、ゲル化剤としては、脂溶性ビタミンの異性化を低減する安定剤としての機能を有し、ゲル化剤としての機能にも優れることから、寒天およびアルギン酸の組み合わせを用いることとしたが、このような場合に限定されず、例えば、全卵、ペクチン、カラギーナン、グアーガム、グルコマンナン、ジェランガムおよびローカストビーンガムのうちの1種または2種以上を組み合わせたものを用いることができる。
さらに、本実施形態で説明した経腸栄養剤の投与形態は特に限定されず、PEGチューブ等を介した経腸投与以外に、経口摂取等により投与も可能である。
以上、本発明の脂溶性ビタミンの保存方法を好適実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、本発明の脂溶性ビタミンの保存方法が適用される食品および栄養剤に含まれる各種の栄養素は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の機能を有するものを付加することもできる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.たん白質の添加の有無の検討
1−1.たん白質として乳カゼインを添加した場合の検討
以下の実施例1および比較例1において、それぞれ液状の経腸栄養剤を調製した。
(実施例1)
たん白質として乳カゼインを含有する表1に示す割合の栄養素(栄養成分)を含む液状の経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填された状態で以下に示すような工程を経て調製した。
<1A> まず、水にたん白質を添加した後、70℃まで加熱しながらTKホモジナイザー(特殊機化工業社製)を用いて分散させて分散液を得た。
<2A> 次に、この分散液に、乳化剤を含有した脂質、糖質、ミネラル類、および脂溶性ビタミンをこの順で添加して、たん白質および脂溶性ビタミンを含有する経腸栄養剤を得た。
<3A> 次に、この経腸栄養剤を、冷却することなく、そのままの温度(70℃)を維持した状態で、高圧ホモジナイザー(三和機械社製)を用いて乳化させた。
<4A> 次に、乳化させた経腸栄養剤200gを、アルミパウチに充填し、レトルトを用いて121℃の温度で15分間レトルト殺菌を行った後に冷却することにより、液状をなす経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填された状態で得た。
なお、この経腸栄養剤のpHは、6.5であった。
(比較例1)
経腸栄養剤中に含まれる栄養素(栄養成分)を表1のようにして、たん白質(乳カゼイン)に代えてペプチド(乳カゼインペプチド)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液状の経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填された状態で調製した。
なお、この経腸栄養剤のpHは、6.4であった。
Figure 2010070469
以上のようにして調製した実施例1および比較例1の液状の経腸栄養剤について、それぞれ、脂溶性ビタミンの長期保存試験を行った。その結果を、表2および図1に示す。
実施例1および比較例1の経腸栄養剤に対する長期保存試験は、各経腸栄養剤を40℃、75%RHの条件で保存し、それぞれの経腸栄養剤について、保存開始時、1箇月後、2箇月後および3箇月後に経腸栄養剤中の脂溶性ビタミンの含有量を測定することにより行った。
なお、各経腸栄養剤中における脂溶性ビタミンの測定は、各測定時期においてそれぞれ5回ずつ行い、得られた測定値から平均値を求めた。
また、表2および図1には、開始時の脂溶性ビタミン量を基準値として、それぞれの測定時期における脂溶性ビタミンの存在比率(残存率)を示した。
Figure 2010070469
表2および図1から明らかなように、実施例1のたん白質を含有する経腸栄養剤では、比較例1のたん白質を含有しない(ペプチドを含有する)経腸栄養剤と比較して、1箇月後、2箇月後および3箇月後の何れの期間後においても、脂溶性ビタミンの存在比率が高く、3箇月後においても存在比率が60%以上を維持していた。これにより、脂溶性ビタミンを、たん白質の共存下で保存することにより、その異性化が防止され、脂溶性ビタミンの存在比率が低下してしまうのを的確に抑制し得ることが判った。
1−2.たん白質として大豆たん白質を添加した場合の検討
以下の実施例2〜5において、大豆たん白質および大豆たん白質ペプチドの含有量がそれぞれ異なるゲル状の経腸栄養剤を調製した。
(実施例2)
たん白質として大豆たん白質を含む表3に示す割合の栄養素(栄養成分)と、寒天およびアルギン酸とを含有するゲル状の経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填された状態で以下に示すような工程を経て調製した。
<1B> まず、水にたん白質を添加した後、70℃まで加熱しながらTKホモジナイザー(特殊機化工業社製)を用いて分散させて分散液を得た。
<2B> 次に、この分散液に、乳化剤を含有した脂質、糖質、ミネラル類、および脂溶性ビタミンをこの順で添加した後、加熱溶解した寒天溶液とアルギン酸とを、クエン酸ナトリウムを溶解補助剤として含む水に溶解した溶液を添加して、たん白質および脂溶性ビタミンを含有する経腸栄養剤を得た。
<3B> 次に、この経腸栄養剤を、冷却することなく、そのままの温度(70℃)を維持した状態で、高圧ホモジナイザー(三和機械社製)を用いて乳化させた。
<4B> 次に、乳化させた経腸栄養剤200gを、アルミパウチに充填し、レトルトを用いて121℃の温度で15分間レトルト殺菌を行った後に、冷却してこのものをゲル化させることにより、ゲル状をなす経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填した状態で得た。
(実施例3、4)
経腸栄養剤中に含まれる、栄養素(栄養成分)と、寒天およびアルギン酸との配合量を表6のようにして、窒素源として大豆たん白質と大豆たん白質ペプチドとを含むようにしたこと以外は、前記実施例2と同様にして、経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填された状態で調製した。
(実施例5)
経腸栄養剤中に含まれる、栄養素(栄養成分)と、寒天およびアルギン酸との配合量を表3のようにして、窒素源として大豆たん白質ペプチドを含むようにしたこと以外は、前記実施例2と同様にして、経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填された状態で調製した。
Figure 2010070469
以上のようにして調製した実施例2〜5の経腸栄養剤について、それぞれ、脂溶性ビタミンの長期保存試験を行った。その結果を、図2に示す。
実施例2〜5の経腸栄養剤に対する長期保存試験は、各経腸栄養剤を50℃、75%RHの条件で保存し、それぞれの経腸栄養剤について、保存開始時および3箇月後に経腸栄養剤中の脂溶性ビタミンの含有量を測定することにより行った。
なお、各経腸栄養剤中における脂溶性ビタミンの測定は、各測定時期においてそれぞれ5回ずつ行い、得られた測定値から平均値を求めた。
また、図2には、開始時の脂溶性ビタミン量を基準値として、それぞれの測定時期における脂溶性ビタミンの存在比率(残存率)を示した。
図2から明らかなように、保存条件が50℃、75%RH、3箇月のような過酷な条件下では、窒素源として、ペプチドが含まれる場合(実施例5)では、脂溶性ビタミンの異性化を好適に防止できなかった。しかしながら、経腸栄養剤中に含まれる窒素源として、たん白質を含む構成とすることにより、脂溶性ビタミンの異性化が抑制される傾向を示し、たん白質の配合量を0.8wt%以上とすること(実施例3)により、脂溶性ビタミンの異性化が抑制され、特に、たん白質の配合量を1.6wt%以上とすること(実施例2)により、脂溶性ビタミンの異性化がより的確に抑制されていることが判った。
なお、このような過酷な条件下(50℃、75%RH、3箇月)での長期保存試験を、たん白質として大豆たん白質に代えて乳カゼインを用いた場合についても行い、この場合についても同様にたん白質の配合量が増加するほど脂溶性ビタミンの異性化が抑制される傾向を示したが、この異性化の抑制の程度は、大豆たん白質の方が優れる傾向を示した。
2.寒天およびアルギン酸の添加の有無の検討
以下の実施例6、7において、それぞれ、ゲル状の経腸栄養剤および液状の経腸栄養剤を調製した。
(実施例6)
表4に示すように、たん白質として大豆タンパク質と乳カゼインとを含有するようにした以外は、前記実施例1と同様にして、寒天およびアルギン酸の添加が省略された液状の経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填された状態で調製した。
(実施例7)
表4に示すように、たん白質として大豆タンパク質と乳カゼインとを含有するようにした以外は、前記実施例2と同様にして、寒天およびアルギン酸が添加されたゲル状の経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填された状態で調製した。
Figure 2010070469
以上のようにして調製した実施例6、7の経腸栄養剤について、それぞれ、脂溶性ビタミンの長期保存試験を行った。その結果を、表5および図3に示す。
実施例6、7の経腸栄養剤に対する長期保存試験は、各経腸栄養剤を40℃、75%RHの条件で保存し、それぞれの経腸栄養剤について、保存開始時、1箇月後、2箇月後および3箇月後に経腸栄養剤中の脂溶性ビタミンの含有量を測定することにより行った。
なお、各経腸栄養剤中における脂溶性ビタミンの測定は、各測定時期においてそれぞれ5回ずつ行い、得られた測定値から平均値および標準偏差を求めた。
また、表5および図3には、開始時の脂溶性ビタミン量を基準値として、それぞれの測定時期における脂溶性ビタミンの存在比率(残存率)を示した。
Figure 2010070469
表5および図3から明らかなように、実施例7のゲル状の経腸栄養剤では、実施例6の液状の経腸栄養剤よりも、1箇月後、2箇月後および3箇月後の何れの期間後においても、脂溶性ビタミンの存在比率がさらに高くなった。これにより、脂溶性ビタミンを、たん白質ばかりでなく、寒天とアルギン酸との共存下で保存することにより、その異性化がさらに防止され、脂溶性ビタミンの存在比率が低下してしまうのをより的確に抑制し得ることが判った。
3.寒天およびアルギン酸の添加量の検討
以下の実施例8〜11において、たん白質として大豆たん白質と乳カゼインとを含み、寒天およびアルギン酸の添加量がそれぞれ異なるゲル状の経腸栄養剤を調製した。
(実施例8〜12)
経腸栄養剤中に含まれる寒天およびアルギン酸の含有量を、表6に示すようにした以外は、前記実施例7と同様にして、経腸栄養剤をアルミパウチ内に充填された状態で調製した。
以上のようにして調製した実施例8〜11の経腸栄養剤について、それぞれ、脂溶性ビタミンの長期保存試験を行った。その結果を、表6および図4に示す。
実施例8〜11の経腸栄養剤に対する長期保存試験は、各経腸栄養剤を40℃、75%RHの条件で保存し、それぞれの経腸栄養剤について、保存開始時および3箇月後に、経腸栄養剤中の脂溶性ビタミンの含有量および経腸栄養剤の粘度を測定することにより行った。
なお、各経腸栄養剤中における脂溶性ビタミンおよび経腸栄養剤の粘度の測定は、各測定時期においてそれぞれ5回ずつ行い、得られた測定値から平均値を求めた。
また、図4には、開始時の脂溶性ビタミン量を基準値として、3箇月後における脂溶性ビタミンの存在比率(残存率)を示した。
Figure 2010070469
表6および図4から明らかなように、実施例8、9のように、たん白質の他に寒天およびアルギン酸のうちの一方を含むだけでは、経腸栄養剤中における脂溶性ビタミンの残存率をより向上させることはできず、実施例10、11、12のようにたん白質の他に寒天およびアルギン酸の双方を含むことにより、脂溶性ビタミンの残存率をより向上させることができる。
また、寒天およびアルギン酸の配合量を、それぞれ、0.2wt%以上としたときに、脂溶性ビタミンの残存率をより好適に向上し得ることが判った。
なお、脂溶性ビタミンとして、パルミチン酸レチノール(ビタミンA)に代えて、エルゴカルシフェロール(ビタミンD)、α−トコフェロール、フィトナジオン(ビタミンK)を用いた場合についても、上記1.〜3.の検討を行ったが、パルミチン酸レチノールを用いた場合と同様に、これら脂溶性ビタミンの異性化が好適に抑制された。
開始時の脂溶性ビタミン量を基準値とした時の各測定時期における脂溶性ビタミンの存在比率(残存率)を示す図である。 開始時の脂溶性ビタミン量を基準値とした時の3箇月後における脂溶性ビタミンの存在比率(残存率)を示す図である。 開始時の脂溶性ビタミン量を基準値とした時の各測定時期における脂溶性ビタミンの存在比率(残存率)を示す図である。 開始時の脂溶性ビタミン量を基準値とした時の3箇月後における脂溶性ビタミンの存在比率(残存率)を示す図である。
このような目的は、下記(1)〜(4)の本発明により達成される。
(1) 脂溶性ビタミンを含有するゲル状あるいは半固形状をなす経腸栄養剤中において、前記脂溶性ビタミンを安定に保存するための脂溶性ビタミンの保存方法であって、
前記経腸栄養剤中において、前記脂溶性ビタミンに、たん白質を共存させつつ保存する際に、
前記経腸栄養剤中の前記脂溶性ビタミンの含有量をA[wt%]とし、たん白質の含有量をB[wt%]としたとき、前記脂溶性ビタミンの含有量と、たん白質の含有量との比であるB/Aが5×10 〜1×10 なる関係を満足することを特徴とする脂溶性ビタミンの保存方法。
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
(1) ビタミンAを含有するゲル状あるいは半固形状をなす経腸栄養剤中において、前記ビタミンAを安定に保存するための脂溶性ビタミンの保存方法であって、
前記経腸栄養剤中において、前記ビタミンAに、乳カゼインおよび大豆たん白質のうちの少なくとも一方からなるたん白質と、寒天とを共存させつつ保存する際に、
前記経腸栄養剤中の前記ビタミンAの含有量をA[wt%]とし、前記たん白質の含有量をB[wt%]としたとき、前記ビタミンAの含有量と、前記たん白質の含有量との比であるB/Aが5×10〜1×10なる関係を満足し、かつ、寒天の含有量が0.2〜1.0wt%であることを特徴とする脂溶性ビタミンの保存方法。
) 前記食品または栄養剤を40℃で3箇月間保存したとき、前記食品または栄養剤中における前記ビタミンAの残存率は、60%以上である上記()に記載の脂溶性ビタミンの保存方法。

Claims (4)

  1. 脂溶性ビタミンを含有する食品または栄養剤中において、前記脂溶性ビタミンを安定に保存するための脂溶性ビタミンの保存方法であって、
    前記食品または栄養剤中において、前記脂溶性ビタミンに、たん白質を共存させつつ保存することを特徴とする脂溶性ビタミンの保存方法。
  2. 前記たん白質は、大豆たん白質である請求項1に記載の脂溶性ビタミンの保存方法。
  3. 前記脂溶性ビタミンとして、ビタミンAを含有する請求項1または2に記載の脂溶性ビタミンの保存方法。
  4. 前記食品または栄養剤を40℃で3箇月間保存したとき、前記食品または栄養剤中における前記脂溶性ビタミンの残存率は、60%以上である請求項1ないし3のいずれかに記載の脂溶性ビタミンの保存方法。
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