JP2010070425A - シリコンの再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二酸化珪素と、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドまたはダイヤモンドの何れかを粒子状不純物として含む回収シリコンを、加熱してシリコン融液を得る融解工程と;前記シリコン融液を冷却して得られるシリコン塊を粉砕してシリコン粒を得る粉砕工程と;前記シリコン粒を酸溶液で洗浄して二酸化珪素を前記粒子状不純物とともに除去する酸洗浄工程と;を含むことを特徴とするシリコンの精製方法により上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
すなわち、シリコンウエハの製造において、原料シリコンの約40%だけしか製品化されずに残りの60%は廃スラリー中に含有されるため、製品に対するコスト負荷ならびに廃棄処分に伴う環境への負荷が大きな問題となっている。実際に、上記の廃スラリーは濃縮処理や一部材料の回収の後、埋め立て処分されるのが一般的である。
前記シリコン融液を冷却して得られるシリコン塊を粉砕してシリコン粒を得る粉砕工程と;
前記シリコン粒を酸溶液で洗浄して二酸化珪素を前記粒子状不純物とともに除去する酸洗浄工程と;
を含むことを特徴とするシリコンの精製方法が提供される。
上記の砥粒は、例えば、シリコンカーバイト(SiC)、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、アルミナなどが挙げられる。砥粒の粒径は、0.3μm以上かつ20μm以下であることが好ましい。
したがって、本発明において用いられる「粒子状不純物」とは、シリコンカーバイト、シリコンナイトライド、ダイヤモンドの何れかからなるスラリー中の砥粒を意味する。
また、上記の廃スラリーの濃縮分とは、上記の廃スラリーを、固液分別または溶媒留去などにより濃縮したものである。
なお、上記の「金属級シリコン」とは、珪砂から直接還元して得られたシリコンのことを意味し、通常は純度99.99%よりも低いが、半導体級あるいは太陽電池級シリコンよりも安価に得ることができるシリコンのことを意味する。
上記のシリコンインゴットを切断する切断装置としては、シリコンインゴットの切断装置として広く用いられているマルチワイヤソー装置(以下、「MWS」と呼ぶ)が挙げられる。
本発明は、前記回収シリコンを融解後、冷却して得られるシリコン塊を粉砕して得られるシリコン粒を酸溶液で洗浄して、二酸化珪素を溶解除去し、また砥粒を除去することを一つの特徴とするシリコンの精製方法である。
また、本発明は、回収シリコンを加熱・融解した際に、前記回収シリコン、すなわちシリコン含有固形分に含まれる砥粒の大半が、融解により生成される融解シリコンにスラグとして含有される。
しかしながら、本発明のシリコンの精製方法により得られる再生シリコンを、純度をさらに高めるために、本発明のシリコンの精製方法における融解工程以後の工程を1回以上繰り返してもよい。
まず、前記廃スラリー又はその濃縮分について、固液分離装置1にて固液分離してシリコン含有固形分を取得する。固液分離装置1の構成は、廃スラリー又はその濃縮分を固液分離してシリコン含有固形分を取得することが可能な構成であれば特に限定されない。固液分離装置1は、例えば、遠心分離機、濾過装置又は蒸留装置などの固液分離装置を単独で又はこれらを2つ以上直列に組み合わせて構成されていてもよい。
(1)遠心分離機と蒸留装置、
(2)遠心分離機と濾過装置又は
(3)濾過装置と蒸留装置
などである。
次に、前洗浄装置2において、酸溶液からなる洗浄液でシリコン含有固形分の洗浄を行う。前洗浄装置2は、一例では、洗浄漕と、洗浄漕内に設けられた攪拌機とで構成される。
一方、粒径が小さくなると洗浄後に固形分の回収が困難となることから、実用上は、シリコン含有固形分の粒径は0.01μm以上10μm未満の範囲にあることが好ましい。0.1μm以上5μm未満の範囲にあればさらに好ましい。
また、「粒径Xμm未満の粉体」とは、その粉体中の98%の粒子の粒径がXμm未満であるような粉体を意味する。
また、「粒径Yμm以上Zμm未満の粉体」とは、「粒径Zμm未満の粉体」から「粒径Yμm未満の粉体」を除いて残った粉体を意味する。
酸水溶液は、複数種類の酸水溶液の混合物であってもよい。
有機溶媒はクーラントに対し相溶性を有しかつクーラントよりも沸点が低いものが好ましく、例えば、炭素数が1〜6のアルコール又は炭素数が3〜6のケトンが好ましい。
また、上記のケトンの具体例としては、アセトンやメチルエチルケトンが挙げられる。
なお、有機溶媒は、複数種類の有機溶媒の混合物であってもよい。
次に、融解装置3において、前洗浄工程を行って得られたシリコン含有固形分を、純粋なシリコンの融点(1420℃)以上に加熱して融解し、次いで固化させることにより、シリコン塊とする。
融解温度は、1410℃以上2000℃以下であることが好ましく、さらに、砥粒と二酸化珪素を含むスラグを形成し易くするために、二酸化シリコンの融点以下、すなわち、1728℃以下がより好ましい。
したがって、融解装置3は密閉された系であることが好ましく、さらに真空ポンプによる減圧口又は不活性ガスの導入部を有することが好ましい。
次に、粉砕装置4において、融解により得られたシリコン塊を特定の粒径まで粉砕する。粉砕工程とは、シリコン塊を特定の大きさまで粉砕する公知のすべての方法を示し、ボールミル、ジェットミル、振動真空乾燥機などの装置を用いることができる。
粒径が5mmより大きいときは質量あたりの表面積が小さくなるため、後述する酸処理工程において酸溶液と接する面積が小さく、二酸化珪素の除去効果が小さくなり好ましくない。また、0.2mm未満であれば逆に表面積が大きくなり、酸処理工程においてシリコンの酸化または溶解が促進されるため好ましくない。
次に、酸洗浄装置5において、粉砕工程により粉砕されたシリコン塊の洗浄を行う。酸洗浄装置5は、一例では、洗浄漕と、洗浄漕内に設けられた攪拌機とで構成される。
弗酸水溶液の濃度が、2重量%以上25重量%以下であればシリコンの酸化と溶解はほとんど進まず、かつ二酸化珪素を効果的に溶解することができる。さらに、塩酸、硫酸、硝酸の何れか1つを1重量%以下含むことにより、二酸化珪素の溶解をより促進するほか、除去しきれなかった金属屑を溶解除去する効果がある。
次に、酸処理工程の洗浄液と洗浄液中のシリコン含有固形分とを中和装置6に移し、酸溶液の中和処理を行う。この中和処理工程は以後の工程において装置を腐食しないようにする目的で行うが、装置の構成によっては省略してもよい。また、中和処理の代わりに、洗浄液に水等の溶媒を添加して酸溶液を希釈することによって酸溶液中のプロトンの濃度を下げて装置の腐食を防いでもよい。また、中和・希釈処理は酸洗浄装置5において行ってもよい。
次に、再融解装置7において、洗浄後得られた固形分について再度加熱・融解を行う。この再融解工程は、後述する精製工程のための前処理として行われるが、装置の構成によっては省略してもよい。
次に、精製装置8において、シリコン含有粉体が融解されて得られるシリコン含有融解体中に含まれる不純物をさらに除去する。精製部は、例えば、従来の多結晶シリコン鋳造時における各種(例えば減圧融解下におけるリン除去や一方向凝固による偏析不純物の除去など)の公知の精製手法を用いて、不純物の除去を行う。これによって不純物が除去されたシリコン塊が得られるが、装置の構成によっては省略してもよい。
また、この精製工程は再溶解装置7において行ってもよい。
しかしながら、上記の再生シリコンの純度を、さらに高純度にするために、前記の、「3.溶解工程」以後の工程に再度付してシリコンの精製を行なってもよい。
成形工程は、嵩比重を高めて運搬効率を上げるため、あるいは熱伝導性を上昇させ融解を容易にするための融解の前処理として行うことができ、シリコン含有粉体を加圧して板状、ブロック状、ペレット状などに造粒する装置であればどのような構成の装置でも用いることができる。
また、乾燥工程は、加熱又は減圧又はそれらの混合により水分等を気化させる方法がある。
まず、廃スラリーをタナベウィルテック(株)製バスケット型に投入し、遠心力が500G(比較的低い遠心力であり、一般的には「一次分離」と呼ぶ)になるように一次遠心分離機を動作させることにより砥粒が主成分の一次固形分(重比重液)とクーラント及び切屑(シリコンを主に含む)が主成分の一次液分(低比重液)に分離した。
次に、一次液分(低比重液)を久保田商事(株)製大容量冷却遠心機(9900)に投入し、遠心力が3500G(比較的高い遠心力であり、一般的には「二次分離」と呼ぶ)になるように二次遠心分離機を動作させることによりクーラントが主成分の二次液分及び、切屑と砥粒が主成分の二次固形分に分離した。
二次液分を工業用蒸留装置に投入し、二次液分に対して、到達真空度10Torr、160℃の蒸留を行うことによりシリコン含有固形分と再生クーラントを得た。得られたシリコン含有固形分の成分を表4に示す。表4中の数値の単位は特に指定しない限り重量%である。
次に、ポリプロピレン製の洗浄層において上記粉砕材料に10重量%弗酸水溶液を加え、洗浄層で4時間攪拌洗浄した。
これを濾過により固液分離し、さらに、pH4となるまで水洗を行った。今回は、中和・希釈工程は特に行わなかった。このようにして得られた洗浄後シリコン塊の成分を表6に示す。表6中の数値の単位は特に指定しない限り重量%である。
表5と比較すると、特にSiC濃度について著しく減少していることがわかる。
2:前洗浄装置
3:融解装置
4:粉砕装置
5:酸洗浄装置
6:中和装置
7:再融解装置
8:精製装置
9:一次遠心分離機
10:二次遠心分離機
11:蒸留装置
Claims (10)
- 二酸化珪素と、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドまたはダイヤモンドの何れかを粒子状不純物として含む回収シリコンを、加熱してシリコン融液を得る融解工程と;
前記シリコン融液を冷却して得られるシリコン塊を粉砕してシリコン粒を得る粉砕工程と;
前記シリコン粒を酸溶液で洗浄して二酸化珪素を前記粒子状不純物とともに除去する酸洗浄工程と;
を含むことを特徴とするシリコンの精製方法。 - 前記回収シリコンが、砥粒とクーラントを含むスラリーを用いてシリコンインゴット又はシリコンウエハを切断又は研磨する際に生じるシリコン屑と、二酸化珪素とを含む、廃スラリー又はその濃縮分を固液分離して得られるシリコン含有固形分であり、かつ、前記粒子状不純物が、前記砥粒である請求項1に記載の方法。
- 前記融解工程が、真空または不活性ガス雰囲気下で行われる請求項1または2に記載の方法。
- 前記粉砕工程が、前記シリコン塊を、粒子径0.2mm〜5mmのシリコン粒に粉砕する工程である請求項1〜3の何れか一つに記載の方法。
- 前記酸洗浄工程が、弗酸水溶液、または弗酸水溶液に、塩酸、硫酸または硝酸の何れかが含まれる酸溶液で、前記シリコン粒を洗浄することからなる、請求項1〜4の何れか一つに記載の方法。
- 前記酸洗浄工程が、濃度2重量%〜25重量%の弗酸水溶液、または濃度2重量%〜25重量%の弗酸水溶液に、塩酸、硫酸または硝酸の何れかが1重量%以下の濃度で含まれる酸溶液による前記シリコン粒の洗浄後に、さらに該シリコン粒を水洗し、前記粒子状不純物を除去する水洗工程を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
- 前記シリコンの精製方法が、前記酸洗浄工程後に、さらに前記酸溶液を中和又は希釈する工程を備える請求項1〜6の何れか一つに記載の方法。
- 前記シリコンの精製方法が、前記酸洗浄工程後に得られるか、または前記酸溶液を中和もしくは希釈する工程に付して得られるシリコン粒を、さらに前記融解工程に付して再融解する工程を備える請求項7に記載の方法。
- 前記シリコンの精製方法が、前記融解工程に付して再融解する工程後に得られるシリコン塊を、さらに粉砕してシリコン粒を得る粉砕工程と酸洗浄工程とを備える請求項8に記載の方法。
- 前記シリコンの精製方法が、前記酸洗浄工程後に得られるか、または前記酸溶液を中和もしくは希釈する工程後に得られるシリコン粒に対して、前記融解工程以後の工程を少なくとも1回繰り返す請求項7〜9の何れか一つに記載の方法。
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