JP2010069958A - 電動パーキングブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 緊急解除を行う際に容易に行うことができ、通常作動時には電動モータの作動に抵抗が発生させない電動パーキングブレーキ装置を提供する。
【解決手段】 電動モータ10の駆動によりケーブル26、28を介して連結したパーキングブレーキ22、24を制動状態または解除状態とすることが可能なアクチュエータ14を備えた電動パーキングブレーキ装置において、ケーブル28に張力調整手段62を有する構成とし、張力調整手段62を操作することによってケーブル26、28の長さを調整可能とすることによって、パーキングブレーキ装置が制動状態で制御不能となっても緊急解除を行うことができる構成とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の電動パーキングブレーキ装置に関するものである。特に、電動パーキングブレーキ装置の駆動を行う電動モータの故障などに起因する緊急解除を行うため、電動モータを手動で操作することができる電動パーキングブレーキ装置に関するものである。
近年、車両のパーキングブレーキ装置には、電動モータを駆動源としたアクチュエータで作動するものが提案されている。この種のパーキングブレーキ装置は、電動モータの駆動によりパーキングブレーキを制動状態または解除状態とすることが可能な被駆動部材を有するアクチュエータと、緊急時に電動モータの駆動に因らないで制動状態にあるパーキングブレーキを解除可能な緊急解除機構を備えている。この種のパーキングブレーキ装置は、車両が駐車(又は停車)時に、電動モータにてケーブルの張力を調節してブレーキ装置を作動させている。
万一、パーキングブレーキが作動状態で電動モータに故障が発生し、パーキングブレーキが解除不能となっても、手動でパーキングブレーキを解除できる電動パーキングブレーキ装置が紹介されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特許文献1に開示された電動パーキングブレーキに搭載された電動モータは、電動モータの回転軸の端部に六角穴を設け、この六角穴に六角レンチを挿入して、電動モータに故障が発生した場合には手動で電動モータを回転させることで、パーキングブレーキを解除可能にできる構造となっている。
また、特許文献2に開示された電動パーキングブレーキには、アクチュエータの出力ギヤと常に係合する歯車が設けられ、この歯車を緊急解除用のケーブルを介して手動で回転することで電動パーキングブレーキを解除できる構造となっている。なお、緊急解除用のケーブルの一端は出力ギヤと常に噛み合う歯車に係合し、他端はトランクルーム内に延在している。緊急解除時には、緊急解除用のケーブルの他端に工具を差し込んで回転操作することで、工具の回転に伴って歯車を回転させて出力ギヤを解除方向に回転させる。
特開2001−234958号 特開2008−018898号
上記特許文献1の電動パーキングブレーキの緊急解除は、電動モータの回転軸を六角レンチで回転操作させるものであり、緊急解除のための操作空間を考慮して電動モータの配置を決定する必要があり、電動パーキングブレーキを設計する際の制約が大きい。更に、電動モータの回転軸を六角レンチで回転させるので、回転抵抗も高く、緊急解除の時間も長くかかり操作性も悪くなっている。
上記特許文献2の電動パーキングブレーキの構造は、緊急解除用のケーブルの他端がトランクルーム内に延在しているので緊急解除の作業を容易にする利点がある。しかしながら、出力ギヤと歯車が常に噛み合っているので、電動パーキングブレーキの通常作動時にも噛み合い作動音を発生させる問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、車両への搭載面やコスト面で有利な、信頼性の高い電動パーキングブレーキ装置を提供することを目的とする。
上記目標を達成する為に、請求項1にかかる発明では、電動モータの駆動によりケーブルを介して連結したパーキングブレーキを制動状態または解除状態とすることが可能なアクチュエータと、緊急時に前記電動モータの駆動に因らないで制動状態にあるパーキングブレーキを解除可能な緊急解除機構を備えた電動パーキングブレーキ装置において、緊急解除機構はケーブルに取り付けられた張力調整手段を有する構成としたものである。この構成とすることによって、緊急解除時には電動モータなどのアクチュエータの部分を操作することなく、パーキングブレーキ近傍のケーブルに取り付けた緊急解除機構の張力調整手段を操作することで緊急解除をなし得る。
また、本発明は、ケーブルが、アクチュエータと緊急解除機構とを連結する第1ケーブルと、緊急解除機構とパーキングブレーキとを連結する第2ケーブルとより構成され、張力調整手段が第1ケーブルと第2ケーブルとの連結部の連結隙間を調整できる構成とすることが好ましい。この構成とすることによって、張力調整手段が第1ケーブルと第2ケーブルの連結部の隙間を調整することができ、緊急解除時には第1ケーブルと第2ケーブルとの隙間を大きくして、ケーブル全体の長さを長くしてパーキングブレーキの制動力を緩め得る。
また、本発明は、張力調整手段が、緊急解除機構のボディに回転可能に取り付けられた操作部と、操作部と螺合する第1ケーブル端部に取り付けた第1連結シャフトと、操作部と螺合する第2ケーブル端部に取り付けた第2連結シャフトとから構成することが好ましい。この構成とすることによって、緊急解除時に緊急解除機構のボディに回転可能に取り付けられた操作部を回転操作することによって、第1連結シャフトと第2連結シャフトとの間の隙間を大きくして、ケーブル全体の長さを長くしてパーキングブレーキの制動力を緩め得る。
また、本発明は、ケーブルが一端をパーキングブレーキに連結し、他端をアクチュエータに連結する芯材と、芯材を被覆するケーブル被膜とよりなり、ケーブル被膜は、アクチュエータと緊急解除機構とを連結する第1ケーブル被膜と、緊急解除機構とパーキングブレーキとを連結する第2ケーブル被膜とより構成され、張力調整手段が第1ケーブル被膜と第2ケーブル被膜との連結部の連結隙間を調整し得る構成とすることが好ましい。この構成によって、カバーチューブ全体の長さを調整し、緊急解除をなし得る。具体的には、例えば、第1カバーチューブと第2カバーチューブとの間の隙間を小さくすることで、他端がアクチュエータ側で固定された芯材の一端であるパーキングブレーキに連結された端部は、パーキングブレーキ側に押し出され、パーキングブレーキへのケーブルの張力を緩め得る。
また、本発明は、張力調整手段が、緊急解除機構のボディに回転可能に取り付けられた操作部と、操作部と螺合する第1ケーブル被膜端部に取り付けた第1シールシャフトと、操作部と螺合する第2ケーブル被膜端部に取り付けた第2シールシャフトとから構成することが好ましい。この構成とすることによって、緊急解除時に緊急解除機構のボディに回転可能に取り付けられた操作部を回転操作することによって、第1カバーチューブ端部と第2カバーチューブ端部との間の隙間を小さくしてケーブルをパーキングブレーキ側に押し出して、パーキングブレーキの制動力を緩め得る。
また、本発明は、ケーブルが第1車輪用のパーキングブレーキと連結された第1メインケーブルと、第2車輪用のパーキングブレーキと連結された第2メインケーブルとを有し、アクチュエータには、第1メインケーブルと第2メインケーブルのそれぞれの張力を受けて、第1メインケーブルと第2メインケーブルの位置決めを行うイコライザーを有し、張力調整手段が第1メインケーブル又は第2メインケーブルの一方に取り付けられた構成とすることが好ましい。この構成とすることによって、単一の張力調整手段によって緊急解除をなし得る。また、張力調整手段を車両に搭載するにあたり、複数のメインケーブルのうち1つのメインケーブルのみに張力調整手段を設けるので、張力調整手段を車両に搭載するスペースの自由度を確保し得る、また、緊急解除の操作性のよい部分に張力調整手段を搭載し得る。
本発明によれば、緊急解除時には電動モータなどのアクチュエータの部分を操作することなく、パーキングブレーキ近傍のケーブルに取り付けた緊急解除機構の張力調整手段を操作することで緊急解除できる。従って、電動モータやアクチュエータなどの車両への取り付け位置に制約を受けることなく、運転者が車輪に近いところで簡単に緊急解除を行うことができる。
また、張力調整手段がケーブルを2分割して、そのケーブル間の隙間を調整するだけの簡単な構成で緊急解除を行うことができる。あるいは、ケーブルの芯材を被覆するカバーチューブを2分割して、そのカバーチューブ間の隙間を調整するだけの簡単な構成で緊急解除を行うことができる。
また、張力調整手段の操作部が2分割したケーブルの端部又は2分割したカバーチューブ間の端部と螺合する構成とし、操作部を回転することによって、ケーブル又はカバーチューブの全長を調整することができる構成としたので、運転者が緊急会場を行うにあたり、六角レンチや他の特殊な工具を必要とすることもなく、簡単な操作で緊急解除を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1、図2に、本発明の第1実施形態である電動パーキングブレーキ装置の作動状況を模式的に表した概要を示す。図1は電動パーキングブレーキを作動させた状態を示し、図2は電動パーキングブレーキを解除した状態を示している。電動パーキングブレーキ装置は、電動モータ10と、電動モータ10の回転軸12が挿入されるアクチュエータハウジング14と、アクチュエータハウジング14から車輪18、20をそれぞれ制御するためのブレーキ装置(例えば、周知のディスクブレーキキャリパ)22、24に向かって延びるケーブル26、28とから構成されている。アクチュエータハウジング14は、第1の部屋15と第2の部屋16との2つの部屋が形成されている。アクチュエータハウジング14の第1の部屋15の内部に延びる電動モータ10の回転軸12の外周部には、ピニオンギヤ13が形成されている。ピニオンギヤ13は、アクチュエータハウジング14内に埋め込まれた回転軸32に固定された第1ピニオンギヤ34の大径部35に噛み合っている。第1ピニオンギヤ34は、大径部35と一体に形成された小径部36を有しており、大径部35と小径部36のそれぞれの外周にはピニオンギヤが形成されている。第1ピニオンギヤ34の小径部36は、第2ピニオンギヤ38と噛み合っている。第2ピニオンギヤ38の回転軸40は、アクチュエータハウジング14の第2の部屋16内に延びており、回転軸40の外周には雄ネジ41が形成されている。
アクチュエータハウジング14の第2の部屋16内には、イコライザー42が配置されている。イコライザー42は、アーム部44と回転係止部46とより構成されている。アーム部44は、回転係止部46によって保持され、第2ピニオンギヤ38の回転軸40に対して略垂直方向に延びている。アーム部44の両端部には、ケーブル26と28の端部に取り付けられた周知の係合部材48、50がそれぞれ係合している。回転係止部46は、内孔に回転軸40に形成した雄ネジ51に噛み合い可能な雌ネジ52を形成した円筒部53と、円筒部53に固定され、且つアーム部44との間で所定範囲にわたり相対回転可能に取り付けられた支持部49を有している。アーム部44の両端に取り付けられたケーブル26、28の引張り力をバランスさせるように、アーム部44は支持部49との間で相対回転する。具体的には、例えば、ケーブル26、28の図1において右方向に引張る力がバランスしている状態では、アーム部44が図1に示すように回転軸40に対して略垂直方向に延びている状況であるとする。ここで、何らかの理由でケーブル26のみが、図1において右方向に引張る力が作用すると、アーム部44が反時計方向に回転して、ケーブル28を図1において左方向に引張ることで、ケーブル26とケーブル28の張力のバランスを取る。
上記の構成によって、イコライザー42は、電動モータ10の回転によって回転軸40が回転すると、雄ネジ41と円筒部53の雌ネジ52が噛み合うことで回転係止部46が図1、図2において左右方向に移動する。回転係止部46の移動に伴って、アーム部44に取り付けられたケーブル26、28も移動し、ブレーキ装置22、24への制動力を調整する。
ケーブル28は、第1のケーブル(第1ケーブル)29と第2のケーブル(第2ケーブル)30の2つのケーブルから構成されている。第1のケーブル29の一端には、係合部材50が取り付けられアーム部44に取り付けられている。第1のケーブル29の他端には、連結シャフト54が取り付けられている。第2のケーブル30の一端には連結シャフト56が取り付けられ、他端にはリンク機構58に連結している。リンク機構58は、ケーブル28の張力の変化に応じて、ブレーキ装置24を制動させたり、解除させたりするものである。連結シャフト54及び連結シャフト56の外周部には、それぞれ雄ネジ55、57が形成されている。雄ネジ55、57の外周側には、中空部に雄ネジ55、57に噛み合い可能な雌ネジ59を有する中空孔を有する六角柱形状の操作部60が配置される。なお、第1のケーブル29と、第2のケーブル30は、それぞれケーブル被膜31、33によって被覆されており、ケーブル26はケーブル被膜27によって被覆されている。
ケーブル28の張力調整手段62は、連結シャフト54、56及び操作部60によって構成され、緊急解除機構ハウジング64内に収容される。具体的には、操作部60の両端に、一対のガイドワッシャー(第1連結シャフト、第2連結シャフト)66、68を配置し、それぞれのガイドワッシャー66、68の内周側には、連結シャフト54の雄ネジ55及び連結シャフト56の雄ネジ57に干渉しない円筒空間67、69が形成されている。ガイドワッシャー66は、シールシャフト70を介して緊急解除ハウジング64に固定されている。シールシャフト70の他端は、第1のケーブル29のケーブル被覆31が挿入されている。同様に、ガイドワッシャー68は、シールシャフト72を介して緊急解除ハウジング64に固定されている。シールシャフト72の他端は、第2のケーブル30のケーブル被覆33が挿入されている。なお、緊急解除ハウジング64には、緊急解除ハウジング64を車体に取り付ける際のボルト73、74が挿入されている。
上記の構成の電動パーキングブレーキ装置の作動を説明する。
電動パーキングブレーキ装置を作動させる場合、つまり、パーキング状態にする場合には、電動モータ10を回転させ、アクチュエータハウジング14の第1の部屋15内のピニオン13、第1ピニオンギヤ34、第2ピニオンギヤ38を回転させる。第2ピニオンギヤ38の回転は、アクチュエータハウジング14の第2の部屋16内の回転軸40を回転させる。回転軸40の雄ネジ41と、イコライザー42の回転係止部46を構成する円筒部53に形成した雌ネジ52が噛み合うことで、回転軸40の回転によってアーム部44を図1に示す位置まで図1において左側に移動させる。このアーム部44の左側への移動によって、アーム部44と係合部材48、50を介して連結するケーブル26、28がアクチュエータハウジング14側に引張られる。このケーブル26、28の引張り力によってリンク機構57、58を作用させて、ブレーキ装置22、24を作動させて、車輪18、20にブレーキ制動力を発生させる。通常使用時には、張力調整手段62は、第1のケーブル29の端部に取り付けた連結シャフト54と、第2のケーブル30の端部に取り付けた連結シャフト56とは、2つの連結シャフト54、56との間の隙間をなくした状態で操作部60によって、一体的に固定されている。従って、第1のケーブル29、張力調整手段62、緊急解除機構ハウジング64および第2のケーブル30とは、1つのケーブル28と同じように作動できる。
逆に、電動パーキングブレーキ装置を解除する場合には、上記の電動パーキングブレーキ装置を作動させた場合とは逆の方向に、電動モータ10を回転させて、イコライザー42のアーム部44を図1の位置よりも右側に移動させることで、ケーブル26、28の張力を緩めてブレーキ装置22、24を解除する。
ここで、電動パーキングブレーキ装置の緊急解除について説明する。緊急解除とは、図1に示す電動パーキングブレーキ装置が作動状態(制動状態)で、何らかの原因により電動モータ10が回転しない場合や、アクチュエータハウジング14内の動力伝達機構が作動しない場合に、手動で電動パーキングブレーキの作動状態を解除するものである。上記構成の電動パーキングブレーキ装置に、緊急解除を施す必要が発生した場合、すなわち、図1の状態で電動パーキングブレーキが解除できなくなった場合には、次のとおり緊急解除を行う。
運転者などの操作者が、張力調整手段62の操作部60の操作ノブ61を回転させることで、操作部60の雌ネジ59が、連結シャフト54の雄ネジ55及び連結シャフト56の雄ネジ57を介して、連結シャフト54と連結シャフト56との隙間を拡大する。連結シャフト54と連結シャフト56との隙間が拡大することによって、図2に示すようにケーブル28の全長が長くなり、イコライザー42の回転係止部46の位置は変わることなく、ブレーキ装置24を解除する。併せて、ケーブル28の全長が長くなることに伴って、回転係止部46の支持部49とアーム部44が相対回転し、アーム部44が図2において時計の回転方向とは逆に傾く。これに伴って、ケーブル26もブレーキ装置22側に押し出され、ブレーキ装置22が解除される。
上記のとおり、緊急解除機構を構成する張力調整手段62をケーブル26、28のうち、一方のケーブルの中間に配置し、張力調整手段62の操作部60を回転させるという簡単な方法で緊急解除を行うことができる。
また、ケーブルに張力調整手段62を配置しているので、例えば、車両に搭載する際に車輪の近傍に張力調整手段62を設けることができ、運転者や操作者が容易に緊急解除することができる。
また、イコライザー42によって、ケーブル26、28の2つの張力を調整しているので、ケーブル26、28の両方に張力調整手段62を配置する必要もなく、一方のケーブル26又は28に張力調整手段62を配置するだけでも、イコライザーによって連結される2つのブレーキ装置22、24の緊急解除を行うことができる。
次に、図3乃至図5を用いて別の実施形態を説明する。図3は電動パーキングブレーキを作動させた状態を示し、図5は電動パーキングブレーキを解除した状態を示しており、図1、図2の実施形態と同一の部品については、図1、図2で用いた符号を付与し、その詳細な説明は割愛する。
この実施形態におけるケーブル(芯材)80は、その一端がアクチュエータハウジング14の第2の部屋16内で係合部材50を介してアーム44に連結している。ケーブル80の他端はリンク機構58に連結している。なお、ケーブル80は、緊急解除機構ハウジング82を境として、ケーブル被膜(第1カバーチューブ、第2カバーチューブ)31、33によって被覆されている。ケーブル被膜31のアクチュエータ14側の端部はアクチュエータハウジング14の第2の部屋16に固定されており、ケーブル被膜31の緊急解除ハウジング82側の端部はシールシャフト84に固定されている。ケーブル被膜33の一端はリンク機構58に固定されており、他端はシールシャフト88に固定されている。シールシャフト84、88は、それぞれケーブル被膜31、33を受容するケーブル被膜固定部85、89と、緊急解除ハウジング内部に位置する操作部材92の受容部86、90とを有する。シールシャフト84の受容部86の内周側と、シールシャフト88の受容部90の内周側には、それぞれ雌ネジ87、91が形成されている。また、操作部材92の外周には、雌ネジ87、91と噛み合い可能な雄ネジ93、94が形成されている。
図3、図4に示すように、ケーブル被膜33の緊急解除ハウジング82側の端部は、断面円形のケーブル80の周りに操作部材92が所定の隙間を持って取り囲み、操作部材92の外周側の雄ネジ94とシールシャフト88の内周側の雌ネジ91とが噛み合っている。また、シールシャフト88の外形は、図4に示すように四角形状をしており、シールシャフト88がシールシャフト88の外周を緊急解除ハウジング82に固定された支持部材96によって、回転不能に保持されている。また、シールシャフト88と支持部材96とは、ケーブル80の軸方向に相対移動しないように固定されている。また、ケーブル被膜31の緊急解除ハウジング82側の構造も、図4に示したケーブル被膜33の緊急解除ハウジング82側の端部と略同構成となっている。相違点は、ケーブル被膜33の緊急解除ハウジング82側の端部においては、シールシャフト88と支持部材96とがケーブル80の軸方向に相対移動しないように固定されているのに対し、ケーブル被膜31の緊急解除ハウジング82側の端部においては、シールシャフト84と支持部材98とがケーブル80の軸方向への相対移動を許容すべくスライド可能となっている点である。シールシャフト84と支持部材98との相対移動は、操作部材92の回転に伴って操作部材92の雄ネジ93、94がシールシャフト84、88の雌ネジ87、91と噛み合うことによって図3において左方向に移動する。なお、ケーブル80の張力調整手段100は、シールシャフト84、88及び操作部材92によって構成されている。
上記実施形態の緊急解除について説明する。運転者などの操作者が、張力調整手段100の操作部材92を回転させることで、操作部材92の雄ネジ93、94が、シールシャフト84、88の雌ネジ87、91とそれぞれ噛み合う。このとき、シールシャフト88は緊急解除ハウジング82に固定された支持部材96とケーブル80の軸方向に相対移動しないように固定されているので、操作部材92の雄ネジ93、94とシールシャフト84、88の雌ネジ87、91との噛み合いによって、シールシャフト84が図5に示すように左側に移動する。ここで、ケーブル被膜31はシールシャフト84の被膜固定部85に固定されているので、ケーブル被膜31は図5において破線で示した位置から実線で示した位置に移動する。具体的には、操作部材92を回転することによって、ケーブル80の全長は変化することなく、ケーブル被膜31、張力調整手段100、ケーブル被膜33の全長が短くなる。これによって、ケーブル80の見かけ上の全長が長くなり、ケーブル80がリンク機構58側及びイコライザー42のアーム部44に向けて突出し、車輪20側のブレーキ装置24を解除する。また、イコライザー42を介して、車輪18側のブレーキ装置22も併せて解除する。
上記の実施形態においては、ケーブル被膜31の端部をシールシャフト84に固定し、ケーブル被膜33の端部をシールシャフト88に固定しているが、ケーブル被膜31、33の端部に固定する部材を介在させて、操作部材92の雄ネジ93、94に噛み合わせる雌ネジを有する構成とすることも可能である。
本発明の第一の実施形態を適用した電動パーキングブレーキ装置の全体図を示す概念図で、パーキングブレーキが制動状態を示している。 図1に示した電動パーキングブレーキ装置の緊急解除の様子を示す図である。 本発明の第二の実施形態を適用した電動パーキングブレーキ装置の全体図を示す概念図で、パーキングブレーキが制動状態を示している。 図3に示した4-4断面図である。 図3に示した電動パーキングブレーキ装置の緊急解除の様子を示す図である。
符号の説明
10・・・電動モータ
22、24・・・パーキングブレーキ
14・・・アクチュエータ
26、28、31・・・ケーブル
62、100・・・張力調整手段

Claims (6)

  1. 電動モータの駆動によりケーブルを介して連結したパーキングブレーキを制動状態または解除状態とすることが可能なアクチュエータと、緊急時に前記電動モータの駆動に因らないで制動状態にあるパーキングブレーキを解除可能な緊急解除機構を備えた電動パーキングブレーキ装置において、
    前記緊急解除機構は前記ケーブルに取り付けられた張力調整手段を有することを特徴とする電動パーキングブレーキ装置。
  2. 前記ケーブルは、前記アクチュエータと前記緊急解除機構とを連結する第1ケーブルと、前記緊急解除機構と前記パーキングブレーキとを連結する第2ケーブルとより構成され、
    前記張力調整手段が前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとの連結部の連結隙間を調整できることを特徴とする請求項1に記載の電動パーキングブレーキ装置。
  3. 前記張力調整手段は、
    前記緊急解除機構のボディに回転可能に取り付けられた操作部と、
    前記操作部と螺合する第1ケーブル端部に取り付けた第1連結シャフトと、
    前記操作部と螺合する第2ケーブル端部に取り付けた第2連結シャフトと、
    からなることを特徴とする請求項2に記載の電動パーキングブレーキ装置。
  4. 前記ケーブルは、一端を前記パーキングブレーキに連結し、他端を前記アクチュエータに連結する芯材と、該芯材を被覆するケーブル被膜とよりなり、
    前記ケーブル被膜は、前記アクチュエータと前記緊急解除機構とを連結する第1ケーブル被膜と、前記緊急解除機構と前記パーキングブレーキとを連結する第2ケーブル被膜とより構成され、
    前記張力調整手段が前記第1ケーブル被膜と前記第2ケーブル被膜との連結部の連結隙間を調整できることを特徴とする請求項1に記載の電動パーキングブレーキ装置。
  5. 前記張力調整手段は、
    前記緊急解除機構のボディに回転可能に取り付けられた操作部と、
    前記操作部と螺合する第1ケーブル被膜端部に取り付けた第1シールシャフトと、
    前記操作部と螺合する第2ケーブル被膜端部に取り付けた第2シールシャフトと、
    からなることを特徴とする請求項4に記載の電動パーキングブレーキ装置。
  6. 前記ケーブルは、第1車輪用のパーキングブレーキと連結された第1メインケーブルと、第2車輪用のパーキングブレーキと連結された第2メインケーブルとを有し、
    前記アクチュエータには、前記第1メインケーブルと前記第2メインケーブルのそれぞれの張力を受けて、前記第1メインケーブルと前記第2メインケーブルの位置決めを行うイコライザーを有し、
    前記張力調整手段が前記第1メインケーブル又は前記第2メインケーブルの一方に取り付けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電動パーキングブレーキ装置。

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