JP2010067359A - 非水電解質電池セパレータ及びそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱可塑性樹脂からなる微多孔膜の片面又は両面に、湿式塗工法にて、耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層を形成して非水電解質電池セパレータを得るに際し、均一性と品質に優れた耐熱性多孔質層を形成させ、その結果として、電池特性に優れた非水電解質電池セパレータを提供すること。
【解決手段】主として熱可塑性樹脂にて形成されシャットダウン機能を有する微多孔膜と、主として耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水電解質電池セパレータであって、該セパレータの面積2m2当り積層されている前記耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下である非水電解質電池セパレータ。
【選択図】なし
【解決手段】主として熱可塑性樹脂にて形成されシャットダウン機能を有する微多孔膜と、主として耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水電解質電池セパレータであって、該セパレータの面積2m2当り積層されている前記耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下である非水電解質電池セパレータ。
【選択図】なし
Description
本発明は、電池特性に優れた非水電解質電池セパレータと、それを用いた非水電解質二次電池に関するものである。
非水電解質電池、特に、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、高エネルギー密度であり、携帯電話・ノートパソコンといった携帯用電子機器の主電源として広範に普及している。このリチウムイオン二次電池は、更なる高エネルギー密度化が求められているが、安全性の確保が技術的な課題となっている。リチウムイオン二次電池の安全性確保においてセパレータの役割は重要であり、シャットダウン機能を有するという観点から、現状ではポリオレフィン、特にポリエチレン微多孔膜が用いられている。ここで、シャットダウン機能とは、電池の温度が上昇したときに、微多孔膜の孔が閉塞し電流を遮断する機能のことを言い、電池の熱暴走を食い止める働きがある。
一方、リチウムイオン二次電池は、年々高エネルギー密度化がなされており、安全性確保のためシャットダウン機能に加えて耐熱性も要求されてきている。しかしながら、シャットダウン機能は、ポリエチレンの溶融による孔の閉塞をその作動原理としているので耐熱性と相反するものである。このため、シャットダウン機能が作動した後、さらに電池がシャットダウン機能が作動する温度以上に曝され続けることで、セパレータの溶融(いわゆるメルトダウン)が進行してしまう場合がある。このメルトダウンの結果、電池内部で短絡が生じ、これに伴って大きな熱が発生してしまい、電池は発煙・発火・爆発といった危険に曝されることになる。このため、セパレータにはシャットダウン機能に加えて、シャットダウン機能が作動する温度近傍でメルトダウンが生じない程度の十分な耐熱性が要求される。
この点において、従来、耐熱性とシャットダウン機能を両立させるために、ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面(表面と裏面)に耐熱性多孔質層を被覆させたり、耐熱性繊維からなる不織布を積層させるという技術が提案されている。例えば、ポリエチレン微多孔膜の片面又は両面に、湿式塗工法により芳香族アラミド等の耐熱性高分子からなる耐熱性多孔質層を積層した非水電解質電池セパレータが知られている(特許文献1〜4参照)。
このような非水電解質電池セパレータは、ポリエチレンの融点近傍(140℃程度)でシャットダウン機能が作動すると共に、耐熱性多孔質層が十分な耐熱性を示すことにより200℃以上においてもメルトダウンが発生しないため、優れた耐熱性およびシャットダウン機能を発揮する。
しかしながら、耐熱性多孔質層の組成や製法によっては、耐熱性多孔質層の欠落、凝集物や異物混入による欠点等が発生する場合があり、かかる場合には、均一な膜厚で高品質の耐熱性多孔質層を形成することが困難になる。そして、その結果、耐熱性多孔質層におけるイオン透過性が低下して、電池の膜抵抗が増加する場合や、セパレータと電極との接触性が悪化してしまう恐れがある。非水電解質電池の高密度化・高容量化ニーズの高まりに対して、セパレータの更なる薄葉化が切望されるが、これら欠点の影響は、薄葉化に伴いより顕著になってくる。
そこで本発明の課題は、ポリオレフィンに代表される熱可塑性樹脂からなる微多孔膜の片面又は両面に、湿式塗工法にて、芳香族アラミド等の耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層を形成して非水電解質電池セパレータを得るに際し、均一性と品質に優れた耐熱性多孔質層を形成させ、その結果として、電池特性に優れた非水電解質電池セパレータを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。
(1) 主として熱可塑性樹脂にて形成されシャットダウン機能を有する微多孔膜と、主として耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水電解質電池セパレータであって、該セパレータの面積2m2当り積層されている前記耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下であることを特徴とする非水電解質電池セパレータ。
(2) 前記耐熱性多孔質層が、重量分率で50重量%以上95重量%以下の無機フィラーを含むことを特徴とする上記(1)記載の非水電解質電池セパレータ。
(3) 前記無機フィラーが、主として金属水酸化物からなることを特徴とする上記(2)記載の非水電解質電池セパレータ。
(4) 前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の非水電解質電池セパレータ。
(5) 前記芳香族ポリアミドが、メタ型全芳香族ポリアミドであることを特徴とする上記(4)記載の非水電解質電池セパレータ。
(6) 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンを主体とする熱可塑性樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の非水電解質電池セパレータ。
(7) 前記非水電解質電池セパレータが、リチウムイオン二次電池用セパレータであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の非水電解質電池セパレータ。
(8) リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池であって、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の非水電解質電池セパレータを用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
(1) 主として熱可塑性樹脂にて形成されシャットダウン機能を有する微多孔膜と、主として耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水電解質電池セパレータであって、該セパレータの面積2m2当り積層されている前記耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下であることを特徴とする非水電解質電池セパレータ。
(2) 前記耐熱性多孔質層が、重量分率で50重量%以上95重量%以下の無機フィラーを含むことを特徴とする上記(1)記載の非水電解質電池セパレータ。
(3) 前記無機フィラーが、主として金属水酸化物からなることを特徴とする上記(2)記載の非水電解質電池セパレータ。
(4) 前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の非水電解質電池セパレータ。
(5) 前記芳香族ポリアミドが、メタ型全芳香族ポリアミドであることを特徴とする上記(4)記載の非水電解質電池セパレータ。
(6) 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンを主体とする熱可塑性樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の非水電解質電池セパレータ。
(7) 前記非水電解質電池セパレータが、リチウムイオン二次電池用セパレータであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の非水電解質電池セパレータ。
(8) リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池であって、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の非水電解質電池セパレータを用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
本発明によれば、湿式塗工法にて熱可塑性樹脂からなる微多孔膜上に、芳香族ポリアミド等の耐熱性樹脂を用いて、均一な微細孔を有した耐熱性多孔質層を均一に高品質で形成することができる。これにより、本発明の非水電解質電池セパレータは、十分な耐熱性及びシャットダウン特性に加えて、優れたイオン透過性、安全性を有するようになる。従って、かかる非水電解質電池セパレータを用いることで、膜抵抗が小さく安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
[非水電解質電池セパレータ]
本発明の非水電解質電池セパレータは、主として熱可塑性樹脂にて形成されシャットダウン機能を有する微多孔膜と、主として耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水電解質電池セパレータであって、該セパレータの面積2m2当り積層されている前記耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下のものである。
本発明の非水電解質電池セパレータは、主として熱可塑性樹脂にて形成されシャットダウン機能を有する微多孔膜と、主として耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水電解質電池セパレータであって、該セパレータの面積2m2当り積層されている前記耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下のものである。
本発明において耐熱性多孔質層とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった層又は膜を意味する。そして、耐熱性多孔質層の内部又は表面に存在し得る欠点又は異物とは、耐熱性多孔質層及び凝集物の剥がれによる欠落、無機フィラーの凝集物、金属異物(黒色)、塵・埃等の異物の存在を意味する。欠点又は異物の測定法は、目視検査において光学的に検出された耐熱性多孔質層中の欠点又は異物を、別途、光学顕微鏡を用いて透過光及び反射光により観察し、光学的に異常な範囲として観察される部分の最大径を、欠点又は異物の大きさとする。
最大径が100μm以上のものは、殆どの場合電池性能に悪影響を与えるので存在してはならず、最大径が5μm以上100μm未満のものは、セパレータの面積2m2当り積層されている前記耐熱性多孔質層の内部及び表面を合わせて10個以下、好ましくは5個以下でなければならない。欠点又は異物の個数を減らすことによって、耐熱性多孔質層の膜の均一性が向上し、その結果、イオン透過性(膜抵抗)やセパレータと電極との接触性の保持が改善される。そして、均一なイオン透過性、安全性を有する非水電解質二次電池を得ることができる。なお、セパレータの面積2m2当り積層されている耐熱性多孔質層は、耐熱性多孔質層が1m四方のセパレータの表面と裏面の両面(セパレータの面積として2m2)に積層されている場合には、耐熱性多孔質層自体も2m2となり、耐熱性多孔質層がセパレータの表裏のいずれか片面に積層されている場合には、セパレータの面積2m2当り積層されている耐熱性多孔質層は1m2となるが、いずれの場合であっても、欠点又は異物の存在が前記条件を満足する必要がある。
本発明においては、前記耐熱性多孔質層を形成する耐熱性樹脂の分子量は、特に限定されるものではないが、分子量分布が広いものが好ましい。低分子量のオリゴマーは少ない方が好ましい。このような分子量分布の耐熱性樹脂を用いることにより、湿式塗工法にて熱可塑性樹脂からなる微多孔膜上に耐熱性多孔質層を形成する際に、耐熱性樹脂オリゴマー析出による欠点発生や剥離による耐熱性多孔質層の欠落を抑制でき、優れたイオン透過性、ハンドリング性、安全性を示すセパレータが得られるようになる。
例えば、分子量分布が広い耐熱性樹脂においては適度に低分子量体が含まれているため、耐熱性樹脂の加工性が向上し、当該耐熱性樹脂を用いて得られた塗工液を微多孔膜上に塗工してこれを凝固液中に浸漬した際に、塗工膜中の耐熱性樹脂が動き易くなる。その結果、微細な空孔が均一に形成され易く、耐熱性多孔質層のイオン透過性が良好なものとなり、欠陥が少ない耐熱性多孔質層が得られるようになる。また、当該塗工液の加工性が向上することにより、塗膜の厚さも均一に形成することができ、電極との接触性も良好なセパレータが得られるようになる。
また、分子量分布が広い耐熱性樹脂を用いれば、当該耐熱性樹脂を用いて得られた塗工液の可塑化が起こり易くなり、格別の圧力をかけることなく塗工することができる。このため、微多孔膜の表面から内部に塗工液が入り込みにくく、微多孔が潰れることや、目詰まりすることがなくなる。それ故、微多孔膜と耐熱性多孔質層との界面におけるイオン透過性の低下が抑制され、電池を構成した際の膜抵抗の増加を防止できる。さらに、当該塗工液はポリエチレン等の微多孔膜表面になじみやすいため、少ない塗工圧力でも、耐熱性多孔質層を微多孔膜上に十分に定着させることができる。
更に製造上の観点から言えば、分子量分布が広い耐熱性樹脂を用いることにより、塗工液の塗工特性が良くなるので塗工速度を上げることができ、耐熱性樹脂の塗工液の保存安定性も向上するため、生産性を向上できるという効果も得られる。例えば、好ましいのは、分子量分布Mw/Mnが1<Mw/Mn≦100の範囲であり、且つ、重量平均分子量Mwが8.0×103〜1.0×106の範囲にあるような耐熱性樹脂である。分子量分布が100を超える場合は、耐熱性多孔質層の耐熱性が低くなる傾向にあり、重量平均分子量が8.0×103未満のものは、耐熱性多孔質層が脆化し易くなる傾向にあり、1.0×106を超えるものは加工が困難になる傾向がある。
以上のように、分子量分布及び重量平均分子量は、欠点の抑制、成形性、加工性等を加味した上で、適宜選択することができる。
本発明において用いられる熱可塑性樹脂としては、融点200℃未満の熱可塑性樹脂が適当であり、好ましくはポリオレフィンであり、特に好ましいのは、ポリエチレンである。本発明の微多孔膜に用いられるポリエチレンは、特に限定されるものではなく、各種の公知のポリエチレン微多孔膜を用いることができる。高密度ポリエチレン、又は、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンの混合物も好適である。また、例えば、ポリエチレン以外に、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の他のポリオレフィンを混合して用いても良い。微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を意味する。なお、微多孔膜は、主として、即ち、約90重量%以上が熱可塑性樹脂からなるものであれば良く、約10重量%以下の、電池特性に影響を与えない他の成分を含んでいても良い。
ポリエチレン等の微多孔膜の膜厚は5μm以上18μm以下であることが好ましい。該微多孔膜の膜厚が5μmより薄いと引張強度や突刺強度といった機械物性が不十分となり、該微多孔膜の膜厚が18μmより厚いと適切なセパレータ厚みを実現することが困難となるため好ましくない。該微多孔膜の空孔率は20〜60%のものが好ましい。微多孔膜の空孔率が20%未満となるとセパレータの膜抵抗が高くなり過ぎ、電池の出力を顕著に低下させるため好ましくない。また、60%を超えると、シャットダウン特性の低下が顕著となり好ましくない。該微多孔膜のガーレ値(JIS・P8117)は10〜500sec/100ccが好ましい。微多孔膜のガーレ値が500sec/100ccより高いと、イオン透過性が不十分となりセパレータの抵抗が高くなるという不具合が生じる。微多孔膜のガーレ値が10sec/100ccより低いと、シャットダウン機能の低下が著しく実用的でない。該微多孔膜の突刺強度は、10g以上が好適である。
本発明で用いられる耐熱性樹脂は、融点200℃以上のポリマーあるいは融点を有しないが分解温度が200℃以上のポリマーが適当であり、好ましくは、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上ものであり、特に好ましいのは、メタ型全芳香族ポリアミドであるポリメタフェニレンイソフタルアミド(以下、m−アラミドと適宜称する)である。ポリメタフェニレンイソフタルアミドは、その製法は問わないが、後述の界面重合法で製造すると、分子量分布をコントロールし易いので好ましい。なお、耐熱性多孔質層は、主として、即ち、約90重量%以上が耐熱性樹脂からなるものであれば良く、約10重量%以下の、電池特性に影響を与えない他の成分を含んでいても良い。
本発明において該耐熱性多孔質層は、該微多孔膜の少なくとも一方の面に形成すればよいが、ハンドリング性、耐久性及び熱収縮の抑制効果の観点から、表裏両面に形成した方がより好ましい。そして、耐熱性多孔質層が該微多孔膜の両面に形成されている場合は、該耐熱性多孔質層の厚みの合計が3μm以上12μm以下であるか、または、該耐熱性多孔質層が該微多孔膜の片面にのみ形成されている場合は、該耐熱性多孔質層の厚みが3μm以上12μm以下であることが好ましい。いずれの場合においても、該耐熱性多孔質層の厚みの合計が3μm未満となると、十分な耐熱性、特に熱収縮抑制効果が得られなくなる。一方、該耐熱性多孔質層の厚みの合計が12μmを超えると、適切なセパレータ厚みを実現することが困難となる。該耐熱性多孔質層の空孔率は、60〜90%の範囲が好適である。該耐熱性多孔質層の空孔率が90%を超えると耐熱性が不十分となる傾向にあり、60%より低いとサイクル特性や保存特性、放電性が低下する傾向となり好ましくない。
本発明においては、前記耐熱性多孔質層に、重量分率50〜95重量%の範囲で、無機フィラーが含まれているのが好ましく、55〜90重量%の範囲で含まれているのがより好ましい。無機フィラーの量が95重量%よりも多くなると、無機フィラーの分散性が低下し、無機フィラーの凝集物の発生が顕著になり好ましくない。更には、無機フィラーの欠落が発生し、欠点の原因となり好ましくない。無機フィラーとは、無機微粒子であり、その種類は特に限定されるものではないが、好ましいのは、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニアなどの酸化物、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物などである。特に、金属水酸化物が好ましい。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、水酸化ホウ素、若しくはこれらの2種以上の組合せが好適である。無機フィラーの平均粒子径は、0.1〜1μmの範囲にあるものが好ましい。
また、無機フィラーは、本発明の非水電解質電池セパレータを難燃化する上で有効に機能する。例えば、無機フィラーとして金属水酸化物を用いた場合には、金属水酸化物を加熱すると脱水反応が起こり酸化物となり、水が放出される。更に、この脱水反応は大きな吸熱を伴う反応である。この脱水反応時に水を放出することと、この反応の吸熱により、難燃効果が得られる。また、水を放出するため可燃性である電解液を水で希釈し、セパレータだけでなく電解液にも効果があり、電池そのものを難燃化する上で有効である。
無機フィラーとしての金属水酸化物は、ハンドリング性の観点からも好ましい。また、金属水酸化物は、アルミナのような金属酸化物と比較して軟らかいため、従来のセパレータにあるような問題、即ち、セパレータに含まれる無機フィラーによって、製造時の各工程にて使用する部品が磨耗してしまうといった、ハンドリング性に関する問題が発生しにくいという点でも好ましい。
本発明の非水電解質電池セパレータの膜厚は30μm以下が好ましく、さらに20μm以下が好ましい。セパレータの膜厚が30μmを超えると、これを適用した電池のエネルギー密度や出力特性が低下し好ましくない。非水電解質電池セパレータの物性としては、ガーレ値(JIS・P8117)が0.2〜1000sec/100cc、好ましくは0.4〜200sec/100ccである。ガーレ値が0.2sec/100cc未満である場合は、微多孔膜のガーレ値が低過ぎ、シャットダウン機能の低下が著しく、実用的でない。ガーレ値が1000sec/100ccを超えると、イオン透過性が不十分となり、セパレータの膜抵抗が増加して電池の出力低下を招くという不具合が生じる。膜抵抗は0.5〜10ohm・cm2、好ましくは1〜5ohm・cm2である。突き刺し強度は10〜1000g、好ましくは200〜600gの範囲のものである。
[非水電解質電池セパレータの製造方法]
本発明の非水電解質電池セパレータの製造方法は、特に限定されるものではないが、セパレータの面積2m2当り積層されている耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下であるような非水電解質電池セパレータを製造するためには、湿式塗工法にて、熱可塑性樹脂からなる微多孔膜の片面又は両面に、芳香族アラミド等の耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層を形成させる方法が好ましい。更には、湿式塗工に際して、連続的に塗工する方式あるいは、塗工用スラリーを塗工前にフィルターで濾過する等の手段を組合わせる方式等が好ましい。また、塗工以降の工程を実質的にゴミフリーのクリーンな環境にしておくことで、塵埃といった欠点の要因を極力減らすことができる。
本発明の非水電解質電池セパレータの製造方法は、特に限定されるものではないが、セパレータの面積2m2当り積層されている耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下であるような非水電解質電池セパレータを製造するためには、湿式塗工法にて、熱可塑性樹脂からなる微多孔膜の片面又は両面に、芳香族アラミド等の耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層を形成させる方法が好ましい。更には、湿式塗工に際して、連続的に塗工する方式あるいは、塗工用スラリーを塗工前にフィルターで濾過する等の手段を組合わせる方式等が好ましい。また、塗工以降の工程を実質的にゴミフリーのクリーンな環境にしておくことで、塵埃といった欠点の要因を極力減らすことができる。
具体的には、例えば、以下の(i)〜(iv)の工程を経て製造することが可能である。即ち、(i)分子量分布が広く、且つ、低分子量のオリゴマーは少ない耐熱性樹脂、例えば、分子量分布Mw/Mnが1<Mw/Mn≦100であり、且つ、重量平均分子量Mwが8.0×103〜1.0×106の範囲にあるような耐熱性樹脂を製造し、この耐熱性樹脂を水溶性有機溶剤に溶かし塗工液を製造する工程と、(ii)得られた塗工液を、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる微多孔膜の片面又は両面に塗工する工程と、(iii)塗工された前記微多孔膜を、水又は水と前記有機溶剤の混合液からなる凝固液中に浸漬して耐熱性樹脂を凝固させる工程と、その後、(iv)水洗し乾燥する工程、を実施することからなる製造方法である。
上記の製造方法においては、耐熱性樹脂としてメタ型全芳香族ポリアミド、特にポリメタフェニレンイソフタルアミドを用いるのが好ましい。この場合、前記工程(i)で、メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとメタ型芳香族ジアミンを、生成するポリアミドに対し良溶媒でない有機溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中で反応せしめて溶液若しくは分散液を作り、これを、炭酸ソーダ等の酸受容剤の水溶液と接触させ反応を完結せしめる、いわゆる界面重合法でメタ型全芳香族ポリアミドを製造するのが便利である。
このような界面重合法によって得られたメタ型全芳香族ポリアミドは、分子量分布が広いという特徴がある。なお、メタ型全芳香族ポリアミドの分子量や分子量分布は、メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとメタ型芳香族ジアミンの反応モル比を変更したり、末端封止剤の添加条件を変更する等の方法によって調整することができる。
ここで、メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、イソフタル酸クロライド、イソフタル酸ブロマイドなどのイソフタル酸ハライド及びこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ基などの置換基を有する誘導体、例えば3−クロルイソフタル酸クロライド、3−メトキシイソフタル酸クロライドなど、を使用することができる。メタ型芳香族ジアミンとしては、メタフェニレンジアミン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルスルホンなど及びこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルキルキ基などの置換基を有する誘導体、例えば2,4−トルイレンジアミン、2,6−トルイレンジアミン、2,4−ジアミノクロルベンゼン、2,6−ジアミノクロルベンゼンなどを使用することができる。末端封止剤としては、アニリンなどの1級又は2級モノアミンや、無水酢酸、無水フタル酸などの有機酸の無水物、塩化アセチル、塩化ベンゾイルなどの酸クロライド、又はこれらを2種以上組み合わせたものを用いることができる。メタ型芳香族ジアミンとメタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとの比率(モル比)は、メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドが49.95モル%未満、かつ、メタ型芳香族ジアミンが50.05モル%より多いか、または、メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドが50.05モル%より多く、かつ、メタ型芳香族ジアミンが49.95モル%未満であることが好ましい。
本発明では、芳香族ポリアミドの製造方法は上述したものに限らない。すなわち、前記工程(i)において、芳香族ジカルボン酸ハライドと芳香族ジアミンを、生成するポリアミドに対し良溶媒である有機溶媒中で反応せしめて芳香族ポリアミドを製造する、いわゆる溶液重合法も適用することが可能である。この方法の場合、耐熱性高分子としてはメタ型芳香族ポリアミドの他にパラ型の芳香族ポリアミドも製造することが可能である。
この溶液重合法の場合、重合前に芳香族ジアミンに対して1mol%以下の末端封止剤を溶媒中に添加しておいたり、芳香族ジカルボン酸ハライドと芳香族ジアミンの反応モル比を変更したりすることによって、分子量分布と分子量をコントロールすることが可能である。別途作製した低分子量ポリマーを加えて、分子量分布と分子量を調整することも可能である。
この溶液重合法において、ポリアミドに対し良溶媒である有機溶媒としては、特に限定されないが、具体的には極性溶剤が好ましく、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。芳香族ジカルボン酸ハライド、芳香族ジアミン及び末端封止剤は、上述した界面重合法のものを用いることができる。芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ハライドとの比率(モル比)についても、上述した界面重合法の場合と同様である。
上述のようにして溶液重合を行った後のポリマー溶液には、重合反応で副生した塩化水素などのハロゲン化水素が含まれている。このため、これを溶媒可溶性の塩を形成する中和剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸リチウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウムなどの無機アルカリを添加して中和する処理が必要である。
工程(i)の耐熱性樹脂の製造工程において、耐熱性樹脂に含まれているアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ハロゲン及び珪素等からなる触媒あるいは不純物等の物質は、0.1〜1000ppmの範囲にあることが好ましい。具体的、且つ、典型的な物質としては、アルカリ金属として、Na又はLiが、アルカリ土類金属として、Mg又はCaが、遷移金属として、Feが、ハロゲンとして、塩素が挙げられる。
前記物質は、耐熱性樹脂中での含有量が1000ppmより大きい場合、非水電解質電池の電池特性に影響を及ぼすだけでなく、金属自体の凝集や微細粒子の凝集を引き起こす。
また、アルカリ金属のNaは、負極界面の皮膜を更新・除去するという効果もあり、必ずしも悪影響を与えるとは限らないが、少なくとも塩素は、正極集電体として用いられるアルミニウムの溶解を促進して、正極活物質のリチウムの脱挿入サイトを塞ぐため、二次電池性能が著しく損なわれるので、1000ppm以下の範囲に抑える必要がある。いずれにしろ、前記物質の耐熱性樹脂中での含有量は0.1〜1000ppmの範囲にあるのが好ましい。
耐熱性樹脂に含まれているアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ハロゲン及び珪素等からなる触媒あるいは不純物等の物質は、それらを溶解し、かつ耐熱性樹脂を溶解しない溶媒にて洗浄することで除去することができる。具体的には、得られた耐熱性樹脂を水洗することで除くことが可能である。
前記工程(i)においては、上述のようにして作製した芳香族ポリアミドを水溶性有機溶剤に溶かして塗工液を作製する。この水溶性有機溶媒(溶剤)としては、特に限定されないが、具体的には極性溶剤が好ましく、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。また、これらの水溶性有機溶剤に耐熱性樹脂に対して貧溶剤となる溶剤も、一部混合して用いることもできる。このような溶剤を適用することでミクロ相分離構造が誘発され、耐熱性多孔質層を形成する上で多孔化が容易となる。該貧溶剤としては、アルコールの類が好適であり、特にグリコールのような多価アルコールが好適である。塗工液中のポリマー濃度は4〜9重量%が好ましい。なお、溶液重合法にてポリマーを作製した場合は、中和処理後のポリマー溶液をそのまま塗工液として使用することもできる。
耐熱性多孔質層として、重量分率で50〜95重量%の無機フィラーを含むものを作製する場合には、工程(i)において、耐熱性樹脂の水溶性有機溶媒溶液に無機フィラーを分散させ、塗工用スラリー(塗工液)を作製すれば良い。本発明においては、かかる塗工用スラリーも、工程(i)の塗工液の概念に含まれるものである。無機フィラーの分散性が良好でない場合は、無機フィラーをシランカップリング剤等で表面処理し、分散性を改善する手法も適用可能である。
工程(ii)では、微多孔膜の少なくとも一方の表面に耐熱性樹脂の塗工液を塗工する。本発明においては、微多孔膜の両面に塗工するのが好ましい。微多孔膜への塗工量は2〜3g/m2程度が好ましい。塗工する方法は、ナイフコーター法、グラビアコーター法、スクリーン印刷法、マイヤーバー法、ダイコーター法、リバースロールコーター法、インクジェット法、スプレー法、ロールコーター法などが挙げられる。塗膜を均一に塗布するという観点において、特にリバースロールコーター法が好適である。より具体的には、例えば、ポリエチレン微多孔膜の両面に耐熱性樹脂の塗工液を塗工する場合は、一対のマイヤーバーの間を通してポリエチレン微多孔膜の両面に過剰に塗工液を塗布し、これを一対のリバースロールコーターの間を通し、過剰な塗工液を掻き落すことで精密計量するという方法が挙げられる。前述したように、塗工方法としては、連続的に塗工する方式、あるいは、塗工用スラリーを塗工前にフィルターで濾過する等の手段を組合わせるのが好ましい。また、塗工以降の工程を実質的にゴミフリーのクリーンな環境にしておくことで、塵埃といった欠点の要因を極力減らすことができる。
工程(iii)では、塗工された微多孔膜を、耐熱性樹脂を凝固させることが可能な凝固液中に浸漬することで、耐熱性樹脂を凝固させ、多孔質層を成形する。凝固の方法としては、凝固液をスプレーで吹き付ける方法や、凝固液の入った浴(凝固浴)中に浸漬する方法などが挙げられる。凝固液は、耐熱性樹脂を凝固できるものであれば特に限定されないが、水又は塗工液に用いた有機溶媒に水を適当量混合させたものが好ましい。ここで、水の混合量は凝固液に対して40〜80重量%が好適である。水の量が40重量%より少ないと耐熱性樹脂を凝固するのに必要な時間が長くなったり、凝固が不十分になるという問題が生じる。また、80重量%より多いと溶剤回収においてコスト高となったり、凝固液と接触する表面の凝固が速すぎ表面が十分に多孔化されないという問題が生じる。
工程(iv)は、工程(iii)に引き続き、得られたセパレータから水洗で凝固液を除去し、次いで乾燥する工程である。乾燥方法は特に限定されないが、乾燥温度は50〜80℃が適当であり、高い乾燥温度を適用する場合は、熱収縮による寸法変化が起こらないようにするためにロールに接触させるような方法を適用することが好ましい。
[非水電解質電池]
非水電解質電池セパレータが、前記のような熱可塑性樹脂を主として形成された微多孔膜と、その片面又は両面に積層された前記のような耐熱性樹脂を主として形成された耐熱性多孔質層とからなるものである限り、本発明の非水電解質電池セパレータは、公知のいかなる構成の非水電解質電池にも適用することができ、安全性に優れた電池が得られる。
非水電解質電池セパレータが、前記のような熱可塑性樹脂を主として形成された微多孔膜と、その片面又は両面に積層された前記のような耐熱性樹脂を主として形成された耐熱性多孔質層とからなるものである限り、本発明の非水電解質電池セパレータは、公知のいかなる構成の非水電解質電池にも適用することができ、安全性に優れた電池が得られる。
適用される非水電解質電池は一次電池であっても二次電池であっても良く、その種類や構成は、何ら限定されるものではないが、本発明の非水電解質電池セパレータは、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池に好適に応用することができる。中でも、リチウムイオン二次電池への適用が好ましい。
一般に非水電解質二次電池とは、負極と正極がセパレータを介して対向している電池要素に電解液が含浸され、これが外装に封入された構造となっているものをいう。電極構成として、正極表面に耐熱層が形成されているものであっても、耐熱層がないものであってもよい。負極は、負極活物質、導電助剤、バインダーからなる負極合剤が集電体(銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔等)上に成形された構造となっている。負極活物質としては、リチウムを電気化学的にドープすることが可能な材料、例えば、炭素材料、シリコン、アルミニウム、スズかが用いられる。正極は、正極活物質、導電助剤、バインダーからなる正極合剤が集電体上に成形された構造となっている。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn0.5Ni0.5O2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiMn2O4、LiFePO4が用いられる。電解液は、リチウム塩、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4を非水系溶媒に溶解した構成である。非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネートなどが挙げられる。外装材は金属缶またはアルミラミネートパック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型などがあるが、本発明のセパレータはいずれの形状においても好適に適用することが可能である。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、本発明における各種の測定方法は、以下の通りである。
[分子量と分子量分布の測定方法]
DMFにLiClを0.01モル/L溶解させた溶液にポリマーを1重量%溶解し、これを測定サンプルとしてGPC測定を実施し、分子量分布を算出した。測定には島津クロマトパックC−R4A、GPCカラム(昭和電工社製、GPC・KD−802)を用い、検出波長280nmで測定した。リファレンスは、ポリスチレン分子量標準物質を用いた。なお、PE微多孔膜とm−アラミドが複合化された状態のセパレータについて、m−アラミドの分子量分布を測定する方法としては、先ずセパレータ1gをサンプリングし、LiClを0.01モル/L溶解させたDMF20gを加えて、80℃でm−アラミドだけを溶解させ測定サンプルとした。また、ここでいう分子量分布(MWD)はGPCで求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされ、以下の数式で求められる値である。
MWD=Mw/Mn
DMFにLiClを0.01モル/L溶解させた溶液にポリマーを1重量%溶解し、これを測定サンプルとしてGPC測定を実施し、分子量分布を算出した。測定には島津クロマトパックC−R4A、GPCカラム(昭和電工社製、GPC・KD−802)を用い、検出波長280nmで測定した。リファレンスは、ポリスチレン分子量標準物質を用いた。なお、PE微多孔膜とm−アラミドが複合化された状態のセパレータについて、m−アラミドの分子量分布を測定する方法としては、先ずセパレータ1gをサンプリングし、LiClを0.01モル/L溶解させたDMF20gを加えて、80℃でm−アラミドだけを溶解させ測定サンプルとした。また、ここでいう分子量分布(MWD)はGPCで求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされ、以下の数式で求められる値である。
MWD=Mw/Mn
[膜厚]
接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて20点測定し、これを平均することで求めた。ここで接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用い、接触端子に1.2kg/cm2の荷重が印加されるような条件で測定した。
接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて20点測定し、これを平均することで求めた。ここで接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用い、接触端子に1.2kg/cm2の荷重が印加されるような条件で測定した。
[ガーレ値]
ガーレ値(sec/100cc)はJIS・P8117に従い測定した。
ガーレ値(sec/100cc)はJIS・P8117に従い測定した。
[膜抵抗]
ポリエチレン微多孔膜基材を2.6cm×2.0cmのサイズに切り出す。非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)を3重量%溶解したメタノール溶液に、切り出したポリエチレン微多孔膜基材を浸漬し、風乾する。厚さ20μmのアルミ箔を2.0cm×1.4cmに切り出しリードタブを付ける。このアルミ箔を2枚用意して、アルミ箔間に切り出したポリエチレン微多孔膜基材を、アルミ箔が短絡しないように挟む。ポリエチレン微多孔膜に、電解液である1M・LiBF4・ プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1重量比)を含浸させる。これをアルミラミネートパック中に、タブがアルミパックの外に出るようにして減圧封入する。このようなセルを、アルミ箔中にセパレータが1枚、2枚、3枚となるようにそれぞれ作製する。該セルを20℃の恒温槽中に入れ、交流インピーダンス法で振幅10mV、周波数100kHzにて該セルの抵抗を測定する。測定されたセルの抵抗値をセパレータの枚数に対してプロットし、このプロットを線形近似し傾きを求める。この傾きに、電極面積である2.0cm×1.4cmを乗じて、セパレータ1枚当たりの膜抵抗(ohm・cm2)を求めた。
ポリエチレン微多孔膜基材を2.6cm×2.0cmのサイズに切り出す。非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)を3重量%溶解したメタノール溶液に、切り出したポリエチレン微多孔膜基材を浸漬し、風乾する。厚さ20μmのアルミ箔を2.0cm×1.4cmに切り出しリードタブを付ける。このアルミ箔を2枚用意して、アルミ箔間に切り出したポリエチレン微多孔膜基材を、アルミ箔が短絡しないように挟む。ポリエチレン微多孔膜に、電解液である1M・LiBF4・ プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1重量比)を含浸させる。これをアルミラミネートパック中に、タブがアルミパックの外に出るようにして減圧封入する。このようなセルを、アルミ箔中にセパレータが1枚、2枚、3枚となるようにそれぞれ作製する。該セルを20℃の恒温槽中に入れ、交流インピーダンス法で振幅10mV、周波数100kHzにて該セルの抵抗を測定する。測定されたセルの抵抗値をセパレータの枚数に対してプロットし、このプロットを線形近似し傾きを求める。この傾きに、電極面積である2.0cm×1.4cmを乗じて、セパレータ1枚当たりの膜抵抗(ohm・cm2)を求めた。
[無機フィラーの平均粒子径]
レーザー回折式粒度分布測定装置(シスメックス社製、マスターサイザー2000)を用いて測定を行った。分散媒としては水を用い、分散剤として非イオン性界面活性剤Triton・X−100を微量用いた。体積粒度分布における中心粒子径(D50)を平均粒子径とした。
レーザー回折式粒度分布測定装置(シスメックス社製、マスターサイザー2000)を用いて測定を行った。分散媒としては水を用い、分散剤として非イオン性界面活性剤Triton・X−100を微量用いた。体積粒度分布における中心粒子径(D50)を平均粒子径とした。
[不純物含有量の測定方法]
サンプルとなるポリマーを硫酸アンモニウム、硫酸、硝酸、過塩素酸と共に混合して、約300℃で9時間湿式分解後、蒸留水で希釈し、理学電機工業株式会社製ICP発光分析装置(JY170ULTRACE)を用いて、定性及び定量を行なった。この方法により、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び珪素の含有量を測定できる。
また、サンプルとなるポリマーを自動試料燃焼装置AQF−100(ダイアインスツルメンツ社製)によって燃焼させ、発生したガスを過酸化水素水30ppmに吸収させてイオンクロマトグラフ(ICS−1500、ダイオネクス社製)、カラム(IonPacAG12A/AS12A)によって、ハロゲンの定性および定量を実施した。
サンプルとなるポリマーを硫酸アンモニウム、硫酸、硝酸、過塩素酸と共に混合して、約300℃で9時間湿式分解後、蒸留水で希釈し、理学電機工業株式会社製ICP発光分析装置(JY170ULTRACE)を用いて、定性及び定量を行なった。この方法により、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び珪素の含有量を測定できる。
また、サンプルとなるポリマーを自動試料燃焼装置AQF−100(ダイアインスツルメンツ社製)によって燃焼させ、発生したガスを過酸化水素水30ppmに吸収させてイオンクロマトグラフ(ICS−1500、ダイオネクス社製)、カラム(IonPacAG12A/AS12A)によって、ハロゲンの定性および定量を実施した。
[欠点又は異物の確認方法]
欠点又は異物の個数の測定は、耐熱性多孔質層(膜)から切り取った、日本工業規格の標準原紙寸法A5判に準じた大きさ(縦210mm×横148mm:面積310.8cm2)のサンプルフィルムを10枚用意し、これらフィルムの全範囲の欠点又は異物個数を計測し、平均した。欠点又は異物としては、具体的には、凝集物の剥がれによる欠落、フィラーの凝集物、金属異物(黒色)、塵・埃等の異物、ピンホール、シワ、筋等であり、欠点又は異物の測定は、目視検査において光学的に検出された耐熱性多孔質層中の欠点又は異物を、別途、光学顕微鏡を用いて透過光及び反射光により観察し、光学的に異常な範囲として観察される部分の最大径を、欠点又は異物の大きさとした。
欠点又は異物の個数の測定は、耐熱性多孔質層(膜)から切り取った、日本工業規格の標準原紙寸法A5判に準じた大きさ(縦210mm×横148mm:面積310.8cm2)のサンプルフィルムを10枚用意し、これらフィルムの全範囲の欠点又は異物個数を計測し、平均した。欠点又は異物としては、具体的には、凝集物の剥がれによる欠落、フィラーの凝集物、金属異物(黒色)、塵・埃等の異物、ピンホール、シワ、筋等であり、欠点又は異物の測定は、目視検査において光学的に検出された耐熱性多孔質層中の欠点又は異物を、別途、光学顕微鏡を用いて透過光及び反射光により観察し、光学的に異常な範囲として観察される部分の最大径を、欠点又は異物の大きさとした。
[実施例1]
1)ポリメタフェニレンイソフタルアミドの製造
イソフタル酸クロライド160.5gをテトラヒドロフラン1120mlに溶解し、撹拌しながら、メタフェニレンジアミン85.2gをテトラヒドロフラン1120mlに溶解した溶液を、細流として徐々に加えていくと白濁した乳白色の溶液が得られた。撹拌を約5分間継続した後、更に撹拌しながら炭酸ソーダ167.6g、食塩317gを3400mlの水に溶かした水溶液を速やかに加え、5分間撹拌した。反応系は数秒後に粘度が増大後、再び低下し、白色の懸濁液が得られた。これを静置し、分離した透明な水溶液層を取り除き、ろ過によってポリメタフェニレンイソフタルアミドの白色重合体185.3gが得られた。この重合体の分子量分布Mw/Mnは6で、重量平均分子量Mwは1.5×105であり、ナトリウムの含有量は100ppm、鉄の含有量は2ppm、珪素の含有量は3ppm、マグネシウムの含有量は3ppm、塩素の含有量は80ppmであった。
1)ポリメタフェニレンイソフタルアミドの製造
イソフタル酸クロライド160.5gをテトラヒドロフラン1120mlに溶解し、撹拌しながら、メタフェニレンジアミン85.2gをテトラヒドロフラン1120mlに溶解した溶液を、細流として徐々に加えていくと白濁した乳白色の溶液が得られた。撹拌を約5分間継続した後、更に撹拌しながら炭酸ソーダ167.6g、食塩317gを3400mlの水に溶かした水溶液を速やかに加え、5分間撹拌した。反応系は数秒後に粘度が増大後、再び低下し、白色の懸濁液が得られた。これを静置し、分離した透明な水溶液層を取り除き、ろ過によってポリメタフェニレンイソフタルアミドの白色重合体185.3gが得られた。この重合体の分子量分布Mw/Mnは6で、重量平均分子量Mwは1.5×105であり、ナトリウムの含有量は100ppm、鉄の含有量は2ppm、珪素の含有量は3ppm、マグネシウムの含有量は3ppm、塩素の含有量は80ppmであった。
2)ポリエチレン多孔膜の製造
ポリエチレンパウダーとして、Ticona社製のGUR2126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143(重量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR2126とGURX143を、1:9(重量比)となるようにして、ポリエチレン濃度が30重量%となるように流動パラフィン(松村石油研究所社製;スモイルP−350P;沸点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ、ポリエチレン溶液を作製した。このポリエチレン溶液の組成は、ポリエチレン:流動パラフィン:デカリン=30:45:25(重量比)であった。
ポリエチレンパウダーとして、Ticona社製のGUR2126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143(重量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR2126とGURX143を、1:9(重量比)となるようにして、ポリエチレン濃度が30重量%となるように流動パラフィン(松村石油研究所社製;スモイルP−350P;沸点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ、ポリエチレン溶液を作製した。このポリエチレン溶液の組成は、ポリエチレン:流動パラフィン:デカリン=30:45:25(重量比)であった。
このポリエチレン溶液を148℃でダイから押し出し、水浴中で冷却してゲル状テープ(ベーステープ)を作製した。このベーステープを60℃で8分、95℃で15分乾燥し、次いで、ベーステープを縦延伸、横延伸と逐次行う2軸延伸にて延伸した。ここで、縦延伸は5.5倍、延伸温度は90℃、横延伸は延伸倍率11.0倍、延伸温度は105℃とした。横延伸の後に125℃で熱固定を行った。次にこれを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィンとデカリンを抽出した。その後、50℃で乾燥し、120℃でアニール処理しポリエチレン微多孔膜を得た。膜厚は12μm、空孔率37%、ガーレ値301sec/100cc、膜抵抗2.6ohm・cm2であった。
3)非水電解質電池セパレータの製造
前記で得られたポリメタフェニレンイソフタルアミドとポリエチレン多孔膜を用い、そして、これに無機フィラーを併用して、本発明の非水電解質電池セパレータを製造した。
具体的には、ポリメタフェニレンイソフタルアミドと平均粒子径0.8μmの水酸化アルミニウム(昭和電工社製;H−43M)からなる無機フィラーとが、重量比で25:75となるように調整し、これらをポリメタフェニレンイソフタルアミド濃度が5.5重量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比50:50となっている混合溶媒に混合し、塗工用スラリーを得た。
前記で得られたポリメタフェニレンイソフタルアミドとポリエチレン多孔膜を用い、そして、これに無機フィラーを併用して、本発明の非水電解質電池セパレータを製造した。
具体的には、ポリメタフェニレンイソフタルアミドと平均粒子径0.8μmの水酸化アルミニウム(昭和電工社製;H−43M)からなる無機フィラーとが、重量比で25:75となるように調整し、これらをポリメタフェニレンイソフタルアミド濃度が5.5重量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比50:50となっている混合溶媒に混合し、塗工用スラリーを得た。
得られた塗工用スラリーは密閉タンクに貯蔵し、塗工に際し、連続的に密閉タンクからマイヤーバーに送液した。一対のマイヤーバー(番手#6)は、20μmのクリアランスで対峙させた。マイヤーバーに、上記塗工用スラリーを適量のせ、一対のマイヤーバー間にポリエチレン微多孔膜を通すことで、ポリエチレン微多孔膜の両面に塗工用スラリーを連続的に塗工した。そして、塗工されたものを、重量比で水:DMAc:TPG=50:25:25で40℃となっている凝固液中に浸漬した。次いで水洗・乾燥を行い、ポリエチレン微多孔膜の両面(表裏面)にポリメタフェニレンイソフタルアミド及び無機フィラーからなる耐熱性多孔質層を形成し、本発明の非水電解質電池セパレータを得た。
得られた非水電解質電池セパレータの欠点又は異物を分析したところ、セパレータの面積2m2当り積層されている耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、100μm以上のものは無く、5〜100μmのものは平均5個であった。本セパレータのガーレ値は340sec/100cc、膜抵抗は3.2ohm・cm2、平均膜厚は20μmであった。
[実施例2]
実施例1と同じ塗工用スラリーを用い、塗工に際し、連続的に密閉タンクから送液し、10μmカットのステンレス不織布焼結体からなるフィルターで濾過した後、マイヤーバーに送液した。一対のマイヤーバー(番手#6)は、20μmのクリアランスで対峙させた。マイヤーバーに上記塗工用スラリーを適量のせ、一対のマイヤーバー間にポリエチレン微多孔膜を通すことで、ポリエチレン微多孔膜の両面に塗工用スラリーを連続的に塗工した。その後は、実施例1の場合と同様に処理して、本発明の非水電解質電池セパレータを得た。
実施例1と同じ塗工用スラリーを用い、塗工に際し、連続的に密閉タンクから送液し、10μmカットのステンレス不織布焼結体からなるフィルターで濾過した後、マイヤーバーに送液した。一対のマイヤーバー(番手#6)は、20μmのクリアランスで対峙させた。マイヤーバーに上記塗工用スラリーを適量のせ、一対のマイヤーバー間にポリエチレン微多孔膜を通すことで、ポリエチレン微多孔膜の両面に塗工用スラリーを連続的に塗工した。その後は、実施例1の場合と同様に処理して、本発明の非水電解質電池セパレータを得た。
得られた非水電解質電池セパレータの欠点又は異物を分析したところ、セパレータの面積2m2当り積層されている耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、100μm以上のものは無く、5〜100μmのものは平均3個であった。本セパレータのガーレ値は310sec/100cc、膜抵抗は2.8ohm・cm2、平均膜厚は20μmであった。
[比較例1]
実施例1と同じ塗工用スラリーを用い、バッチ手引きで塗工を行った。即ち、一対のマイヤーバー(番手#6)は、20μmのクリアランスで対峙させた。マイヤーバーに上記塗工用スラリーを適量のせ、一対のマイヤーバー間にポリエチレン微多孔膜を通すことで、ポリエチレン微多孔膜の両面に塗工用スラリーを塗工した。その後は、実施例1の場合と同様に処理して、本発明の非水電解質電池セパレータを得た。
実施例1と同じ塗工用スラリーを用い、バッチ手引きで塗工を行った。即ち、一対のマイヤーバー(番手#6)は、20μmのクリアランスで対峙させた。マイヤーバーに上記塗工用スラリーを適量のせ、一対のマイヤーバー間にポリエチレン微多孔膜を通すことで、ポリエチレン微多孔膜の両面に塗工用スラリーを塗工した。その後は、実施例1の場合と同様に処理して、本発明の非水電解質電池セパレータを得た。
得られた非水電解質電池セパレータの欠点又は異物を分析したところ、セパレータの面積2m2当り積層されている耐熱性多孔質層の内部及び表面に合計(平均)で、100μm以上のものが11個存在し、5〜100μmのものは平均20個であった。本セパレータのガーレ値は420sec/100cc、膜抵抗は4.8ohm・cm2、平均膜厚は20μmであった。
[比較例2]
温度計、撹拌装置及び原料投入口を備えた反応容器に、水分率が100ppm以下のNMP753gを入れ、このNMP中にメタフェニレンジアミン85.5gを溶解し、0℃に冷却した。この冷却したジアミン溶液にイソフタル酸クロライド160.5gを撹拌しながら徐々に添加し反応させた。この反応で溶液の温度は70℃に上昇した。粘度変化が止まった後、水酸化カルシウム粉末を58.4g添加し、さらに40分間撹拌して反応を終了させて重合溶液を取り出し、水中で再沈殿させポリメタフェニレンイソフタルアミドを184.0g得た。このものの分子量分布Mw/Mnは4で、重量平均分子量Mwは1.0×105であり、カルシウムの含有量は2000ppm、塩素の含有量は3200ppmであった。これを用いて実施例1の場合と同様にして、非水電解質電池セパレータを得た。
温度計、撹拌装置及び原料投入口を備えた反応容器に、水分率が100ppm以下のNMP753gを入れ、このNMP中にメタフェニレンジアミン85.5gを溶解し、0℃に冷却した。この冷却したジアミン溶液にイソフタル酸クロライド160.5gを撹拌しながら徐々に添加し反応させた。この反応で溶液の温度は70℃に上昇した。粘度変化が止まった後、水酸化カルシウム粉末を58.4g添加し、さらに40分間撹拌して反応を終了させて重合溶液を取り出し、水中で再沈殿させポリメタフェニレンイソフタルアミドを184.0g得た。このものの分子量分布Mw/Mnは4で、重量平均分子量Mwは1.0×105であり、カルシウムの含有量は2000ppm、塩素の含有量は3200ppmであった。これを用いて実施例1の場合と同様にして、非水電解質電池セパレータを得た。
得られた非水電解質電池セパレータの欠点又は異物を分析したところ、セパレータの面積2m2当り積層されている耐熱性多孔質層の表面に合計(平均)で、100μm以上のものが14個存在し、5〜100μmのものは平均22個であった。本セパレータのガーレ値が400sec/100cc、膜抵抗が4.9ohm・cm2、平均膜厚が20μmであった。
[比較例3]
温度計、撹拌装置及び原料投入口を備えた反応容器に、水分率が100ppm以下のNMP67.16gを入れ、このNMP中にメタフェニレンジアミン7.59gとアニリンを0.025g入れ、0℃に冷却した。この冷却したジアミン溶液に、イソフタル酸クロライド14.3gを撹拌しながら徐々に添加し反応させた。この反応で溶液の温度は70℃に上昇した。粘度変化が止まった後、水酸化カルシウム粉末を5.2g添加し、さらに40分間撹拌して反応を終了させて重合溶液を取り出し、ポリメタフェニレンイソフタルアミドの白色重合体16.3gを得た。このものの分子量分布Mw/Mnは約5.5で、重量平均分子量Mwは約1.2×105であった。また、分子量8000以下の低分子量オリゴマーの含有量は、比較的多く3.4重量%であった。これを用いて実施例1の場合と同様にして、非水電解質電池セパレータを得た。
温度計、撹拌装置及び原料投入口を備えた反応容器に、水分率が100ppm以下のNMP67.16gを入れ、このNMP中にメタフェニレンジアミン7.59gとアニリンを0.025g入れ、0℃に冷却した。この冷却したジアミン溶液に、イソフタル酸クロライド14.3gを撹拌しながら徐々に添加し反応させた。この反応で溶液の温度は70℃に上昇した。粘度変化が止まった後、水酸化カルシウム粉末を5.2g添加し、さらに40分間撹拌して反応を終了させて重合溶液を取り出し、ポリメタフェニレンイソフタルアミドの白色重合体16.3gを得た。このものの分子量分布Mw/Mnは約5.5で、重量平均分子量Mwは約1.2×105であった。また、分子量8000以下の低分子量オリゴマーの含有量は、比較的多く3.4重量%であった。これを用いて実施例1の場合と同様にして、非水電解質電池セパレータを得た。
得られた非水電解質電池セパレータの欠点又は異物を分析したところ、セパレータの面積2m2当り積層されている耐熱性多孔質層の表面に合計(平均)で、100μm以上のものが16個存在し、5〜100μmのものは平均25個であった。本セパレータのガーレ値が390sec/100cc、膜抵抗が5.1ohm・cm2、平均膜厚が20μmであった。
上述した実施例1,2及び比較例1〜3の各種測定結果を以下の表1にまとめて示す。
上述した実施例1,2及び比較例1〜3の各種測定結果を以下の表1にまとめて示す。
表1の結果からも明らかなように、実施例1,2は比較例1〜3に比べて良好な膜抵抗を有していることが分かる。これより、本発明のように、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下であれば、良好な膜抵抗を有した電池が得られることが分かる。
Claims (8)
- 主として熱可塑性樹脂にて形成されシャットダウン機能を有する微多孔膜と、主として耐熱性樹脂にて形成され前記微多孔膜の片面又は両面に積層された耐熱性多孔質層とを備えた非水電解質電池セパレータであって、該セパレータの面積2m2当り積層されている前記耐熱性多孔質層の内部及び表面のいずれの部分にも、最大径が100μm以上の欠点又は異物が存在せず、かつ、最大径が5μm以上100μm未満の欠点又は異物が10個以下であることを特徴とする非水電解質電池セパレータ。
- 前記耐熱性多孔質層が、重量分率で50重量%以上95重量%以下の無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池セパレータ。
- 前記無機フィラーが、主として金属水酸化物からなることを特徴とする請求項2記載の非水電解質電池セパレータ。
- 前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の非水電解質電池セパレータ。
- 前記芳香族ポリアミドが、メタ型全芳香族ポリアミドであることを特徴とする請求項4記載の非水電解質電池セパレータ。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンを主体とする熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の非水電解質電池セパレータ。
- 前記非水電解質電池セパレータが、リチウムイオン二次電池用セパレータであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の非水電解質電池セパレータ。
- リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池であって、請求項1〜7のいずれか1項記載の非水電解質電池セパレータを用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
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-
2008
- 2008-09-08 JP JP2008229821A patent/JP2010067359A/ja active Pending
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