JP2010065128A - 有機顔料微粒子凝集物の製造方法及びこの分散物の製造方法、これらを用いたインクジェット記録用インク - Google Patents

有機顔料微粒子凝集物の製造方法及びこの分散物の製造方法、これらを用いたインクジェット記録用インク Download PDF

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Abstract

【課題】凝集条件の系内でのムラをなくし、凝集物の形状や凝集状態等を均一化し、再分散時の分散性の向上を図り、よって再分散させた後であっても均一かつ微細なビルドアップ顔料微粒子の良好な分散性を実現しうる有機顔料微粒子凝集物の製造方法及びこの分散物の製造方法、こられを用いたインクジェット記録用インクを提供する。
【解決手段】有機顔料をアルカリ存在下で溶媒に溶解した有機顔料溶液と水性媒体とを流路内で合流させることにより前記有機顔料の微粒子を生成させ、得られた有機顔料微粒子生成液と液状凝集剤とをさらに流路内で合流させて凝集物を形成させるに当たり、前記有機顔料微粒子の生成させる液体合流から凝集物を形成させる液体合流までを一連の流路内流通条件下で行う有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機顔料微粒子凝集物の製造方法及びこの分散物の製造方法、これらを用いたインクジェット記録用インクに関する。
顔料は鮮明な色調と高い着色力とを示し多くの分野で広く使用されている。例えば、塗料、印刷インク、電子写真用トナー、インクジェットインク、カラーフィルタ等をその用途として挙げることができる。その中でも高性能が要求され実用上特に重要な用途として、カラーフィルタおよびインクジェットインクが挙げられる。カラーフィルタについては、液晶表示装置やCCDセンサー、デジタルカメラといった画像関連機器における高画素化ないし小型化を実現するため、近年その薄層化が強く求められており、これを可能にするためには、そこに用いられる顔料の微細化が不可欠である。また、カラーフィルタの高コントラスト化においても、均一で微細な顔料微粒子の開発が求められる。他方、インクジェット用インクについていうと、耐水性や耐光性を改良するために顔料が用いられるようになってきている。そして、印字目的だけでなく、各種の精密部材の製造にインクジェット技術を利用することが試みられており、例えば上記カラーフィルタの製造をはじめ、リソグラフィー等に代替し設計自由度を大幅に高める技術として大いに期待されている。
そのような背景から、顔料を例えば直径数十ナノメートルにまで微細化しかつ粒径を制御して単分散に近づけることが求められている。しかし、一般的なブレイクダウン法(粉砕法)で粒子をナノメートルサイズにまで粉砕するには多大な時間とエネルギーを要し、生産効率が低い。また用いうる物質も限定されてしまう。また粉砕法において強すぎるエネルギーをかけた場合には過分散と呼ばれる悪影響、例えば再凝集による増粘などの現象が起こることが知られている。これに対し、気相中または液相中で粒子成長させるようなビルドアップ法が検討されており(非特許文献1等参照)、例えばマイクロ化学プロセスにより有機化合物の粒子を得る方法が開示されている(特許文献1、2、3参照)。これにより微細な粒子を効率的に得ることができるようになってきた。
ところで、ビルドアップ法によりナノメートルサイズの顔料微粒子を合成したとしても、得られた顔料微粒子分散物は通常顔料を溶解した有機溶媒などのアプリケーション上不要な成分を含むため精製が必要であり、例えば上記特許文献3に開示されているように限外ろ過により精製することが挙げられる。しかしこの方法で顔料に吸着していない余剰の分散剤を除去することは困難であるため高粘度になる傾向があり、またその適用は通常水分散系に限られる。低粘度の分散液を得る場合や、媒体を切り換えて所望の有機溶媒に分散させた分散液を得るためには、顔料粒子を一旦分離して精製することが必要になる。
一方、極めて粒径の小さいナノ粒子は、そのままでは通常の遠心沈降などによって沈降させることが困難であるため、凝集体として分離する必要がある。その例として、ビルドアップ法で形成したフラスコ内の顔料微粒子分散物に凝集剤となる酸等を添加し濾取する方法が開示されている(特許文献4参照)。しかし、これでは容器内の顔料粒子と凝集剤となる酸とを瞬時に容器全体において均一に接触させることは難しい。結果として、添加した酸の系内での不均一さに伴い、凝集物の形状の偏りや、凝集状態に差が発生することがある。また、強酸を用いることによる、共存する分散剤・顔料粒子の分解、変質などのおそれがある。そして、このような凝集状態のバラツキは、顔料凝集物を使用目的に合わせて再分散するとき、分散不良を引き起こす原因となる。
欧州公開特許1516896A1号公報 特開2005−307154号公報 特開2007−39643号公報 特開2004−43776号公報 日本化学会編「第4版実験化学講座」第12巻、411〜488頁、(株)丸善
本発明は上記のようなビルドアップ法で形成された有機顔料微粒子を凝集させるときの特有の課題に鑑みてなされたものであり、凝集条件の系内でのムラをなくし、凝集物の形状や凝集状態等を均一化することができる。また、上記有機顔料微粒子の凝集後の濃縮処理等を効率化し、しかも再分散時の分散性の向上を図り、再分散させた後であっても均一かつ微細なビルドアップ顔料微粒子の良好な分散性を実現しうる有機顔料微粒子凝集物の製造方法及びこの分散物の製造方法、こられを用いたインクジェット記録用インクの提供を目的とする。
本発明の上記の目的は以下の手段により達成された。
(1)有機顔料をアルカリ存在下で溶媒に溶解した有機顔料溶液と水性媒体とを流路内で合流させることにより前記有機顔料の微粒子を生成させ、得られた有機顔料微粒子生成液と液状凝集剤とをさらに流路内で合流させて凝集物を形成させるに当たり、前記有機顔料微粒子を生成させる液体合流から前記凝集物を形成させる液体合流までを一連の流路内流通条件下で行うことを特徴とする有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
(2)前記凝集剤が酸であることを特徴とする(1)に記載の有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
(3)前記有機顔料溶液と水性媒体とを合流させる工程を、等価直径0.1mm以上1mm以下の流路内で行うことを特徴とする(1)または(2)に記載の有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
(4)前記有機顔料微粒子生成液と液状凝集剤とを合流させる工程を、等価直径0.2mm以上16mm以下の流路内で行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
(5)前記有機顔料微粒子生成液と液状凝集剤とが合流する直後の流路の断面積(A)が、前記両者が合流する直前の有機顔料微粒子生成液が導入される流路の断面積(A)および液状凝集剤が導入される流路の断面積(A)の総和の0.8倍以上2倍以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の製造方法で得られた有機顔料微粒子凝集物が濾過された後、該凝集物を所定の媒体中に分散させることを特徴とする有機微粒子分散物の製造方法。
(7)(6)に記載の製造方法で得られた有機顔料微粒子分散物を用いて製造された、前記所定の媒体中に有機顔料微粒子を分散させたインクジェット記録用インク。
本発明の製造方法によれば、ビルドアップ法で形成された有機顔料微粒子を凝集させるに当たり、その凝集条件の系内でのムラをなくし、凝集物の形状や凝集状態等を均一化することができる。さらには、上記有機顔料微粒子を凝集させた後の濃縮処理等にかかる時間を短縮して生産効率を高め、しかも再分散時の分散性の向上を図ることができ、必要により媒体を切り換えて再分散させた後であっても均一かつ微細なビルドアップ顔料微粒子の良好な分散性を実現しうるという優れた効果を奏する。
また、本発明のインクジェット記録用インクは、上記のビルドアップ有機顔料微粒子を所望のインク媒体中に含有する分散物を用い、透明度が高く鮮やかな色みを呈し、しかも低粘度で吐出性が良く、耐水性及び耐光性に優れる。
以下、本発明について、その好ましい実施態様に基づき詳細に説明する。
本発明の有機顔料微粒子凝集物の製造方法は、有機顔料をアルカリ存在下で溶媒に溶解した有機顔料溶液と水性媒体とを流路内で合流させることにより前記有機顔料の微粒子を生成させる工程、得られた有機顔料微粒子の生成液(この有機顔料微粒子生成液は通常分散液として得られるため、以下これを分散液と称し説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。)と液状凝集剤とを液路内で合流させて凝集物を形成する工程とを有し、上記分散物調製時の液体合流から凝集物形成時の液体合流までを一連の流路内流通条件下で行う。以下、上記の有機顔料微粒子の生成、この凝集物の形成、一連の流路内流通についてこの順で説明し、さらにその他の事項について説明する。
まず、本発明の製造方法における有機顔料微粒子の生成について説明する。
本発明の製造方法に用いられる有機顔料は、色相的に限定されるものではなく、マゼンタ顔料、イエロー顔料、またはシアン顔料を適宜選択して用いることができる。詳しくは、例えば、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、アントラキノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インダントロン顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、ジオキサジン顔料、アミノアントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、またはイソビオラントロン顔料またはそれらの混合物などが挙げられる。なかでも、キナクリドン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジスアゾ縮合顔料、またはフタロシアニン顔料が好ましく、キナクリドン顔料、ジスアゾ縮合顔料、またはフタロシアニン顔料がより好ましい。
本発明の製造方法において、有機顔料はアルカリ存在下で溶媒に溶解した溶液として流路に導入する。このとき流路を閉塞しないよう均一に溶解した溶液とすることが好ましい。本発明において、「均一に溶解」とは、可視光線下で観測した場合にほとんど濁りが観測されない状態をさし、その溶液は1μm以下のミクロフィルターを通して得られる溶液、または1μmのフィルターを通した場合に濾過される物を含まない溶液を均一に溶解した溶液をいう。
上記有機顔料溶液を調製する際に用いる有機顔料を溶解する溶媒(以下、この有機顔料の溶解に用いる溶媒を「良溶媒」ということがある。)は特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、もしくはトリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール化合物溶媒、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級モノアルキルエーテル化合物溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、もしくはトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)等のポリエーテル化合物溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、尿素、もしくはテトラメチル尿素等のアミド化合物溶媒、スルホラン、ジメチルスルホキシド、もしくは3−スルホレン等の含イオウ化合物溶媒、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物溶媒、酢酸、マレイン酸、ドコサヘキサエン酸、トリクロロ酢酸、もしくはトリフルオロ酢酸等のカルボン酸化合物溶媒、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロスルホン酸等のスルホン酸化合物溶媒が挙げられる。これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。また溶解させるために適宜酸、アルカリなどを加えても良い。使用される良溶媒の量は、有機顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、好ましくは有機顔料に対して質量比で10〜500倍量であり、好ましくは20〜100倍量である。なかでも良溶媒としては、アミド化合物溶媒または含イオウ化合物溶媒が好ましく、含イオウ化合物溶媒がより好ましく、ジメチルスルホキシド(DMSO)が特に好ましい。
アルカリはとくに限定されないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化バリウムなどの無機塩基が挙げられ、またはトリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、金属アルコキシド(NaOCH、KOC)、テトラアルキルアンモニウムアルコキシド(テトラメチルアンモニウムメトキシドなど)、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなど)などの有機塩基が挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、金属アルコキシド、テトラアルキルアンモニウムアルコキシド、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドから1種以上選ばれることが好ましい。
使用される塩基の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、無機塩基の場合、好ましくは顔料に対して1.0〜30モル当量であり、より好ましくは2.0〜25モル当量であり、特に好ましくは3.0〜20モル当量である。有機塩基の場合は好ましくは顔料に対して0.4〜100モル当量であり、より好ましくは1.0〜20モル当量であり、さらに好ましくは1.0〜10モル当量である。添加される塩基の顔料溶液に対する濃度も特に限定されないが、0.01モル/Lから10モル/Lであることが好ましく、0.1モル/Lから2モル/Lであることがより好ましい。
本発明の製造方法において顔料溶液における有機顔料の濃度は特に限定されないが、0.5〜20質量%であることが好ましく、1.0〜10質量%がより好ましい。
本発明において水性媒体は顔料に対する貧溶媒の役割を果たすものであり、水単独または水と水に可溶な有機溶媒との混合溶媒をいう。水性媒体に用いられる有機溶媒は、例えば顔料や界面活性剤を均一に溶解するために水のみでは不十分な場合、流路中を流通するのに必要な粘性を得るのに水のみでは不十分な場合、層流の形成に必要な場合などに用いることが好ましい。水性媒体には水溶性の無機塩や酸、アルカリなどが含まれていてもよい。pHは10以下であることが好ましく、3〜9であることがより好ましく、6〜8であることが特に好ましい。水性媒体中に含まれる有機溶媒は限定されず、例えばメタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級モノアルキルエーテル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)等のポリエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、酢酸などが挙げられ、アルコール系溶媒、ジメチルスルホキシドが好ましい。これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。
本発明の製造方法においては、上記顔料微粒子の形成時に分散剤を共存させて用いることが好ましい。分散剤は(1)析出した顔料表面に素早く吸着して、微細な顔料粒子を形成し、かつ(2)これらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。この分散剤としては、下記の界面活性剤や高分子分散剤、顔料性分散剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。
このうちエステル構造を有するジアルキルスルホコハク酸塩(例えばジ(2−エチルヘキシル)スルホコハクサン ナトリウムなど)が特に好ましい。これらアニオン性界面活性剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性界面活性剤には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性界面活性剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性界面活性剤は、前記アニオン性界面活性剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性界面活性剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する界面活性剤である。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性界面活性剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
高分子分散剤は、顔料溶液、界面活性剤溶液、水性媒体のいずれに添加してもよく、顔料粒子形成後の分散液に添加してもよい。上記界面活性剤と組み合わせて用いることができる高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。
顔料性分散剤は、顔料溶液、界面活性剤溶液、水性媒体のいずれに添加してもよく、顔料粒子形成後の分散液に添加してもよい。顔料性分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料性分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料分散剤、ピペリジル含有顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料分散剤、スルホンアミド基を有する顔料分散剤、エーテル基を有する顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料分散剤などがある。
本発明では顔料微粒子分散物を得た後に、分散液内で重合性化合物を重合して重合物を生成させてもよい。この手法により顔料微粒子を一様にポリマーで覆い分散安定性や長期保存安定性が向上する効果が期待できる。重合性化合物は水溶性、疎水性のいずれも用いることができる。重合性化合物は顔料溶液、水性媒体のいずれに含有させてもよく、顔料微粒子を生成させた後に添加してもよい。
分散物中で重合物を得る手法としては、炭素二重結合(C=C)を有する化合物をラジカル重合させることが好ましい。具体的な重合性化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル)、ビニル芳香族単量体(例えば、スチレン、o−メチルスチレン)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等、およびその誘導体)、N−ビニルアミド類(例えばN−ビニルピロリドン)、(メタ)アクリル酸アミド類、アルキル置換(メタ)アクリルアミド類、メタクリルアミド類、N−置換マレイミド類、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル)、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、メチルビニルケトン等が使用できる。中でも高分子分散剤として有効なポリビニルピロリドンを生成するN−ビニルピロリドンが特に好ましく用いられる。また、架橋により粒子をより強固に覆うために多官能性の重合性化合物を用いることもでき、具体例としてはエチレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル類などが挙げられる。
重合性化合物の含有量は、有機微粒子の均一分散性および経時安定性(保存安定性)をより一層向上させるために、有機顔料100質量部に対して0.1〜1000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜500質量部の範囲であり、特に好ましくは10〜250質量部の範囲である。この量が少なすぎるとポリマー処理後の有機顔料微粒子の分散安定性の向上が見られない場合がある。重合性化合物の他に界面活性剤を含有させるときの含有量は、両者の総量を上記の範囲とすることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる分散液中の有機顔料微粒子の体積平均粒径は100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましく、10nm以上50nm以下であることが特に好ましい。単分散性については、その指標である体積平均粒径(Mv)を個数平均粒径(Mn)で除した値(Mv/Mn)を用い、その値が1.8以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。なお、本発明において、顔料微粒子の平均粒径(Mv,Mn)及び単分散度(Mv/Mn)は特に断らない限り日機装(株)社製のナノトラックUPA−EX150(商品名)を用いて蒸留水で顔料濃度0.2質量%に希釈して室温(25℃付近)にて測定した値をいう。上記の微粒子物性の好ましい範囲は後述する凝集体の一次粒子又はこれを再分散した分散物中のものにおいて同じである。
本発明において「分散物」とは、微粒子を媒体に分散させた組成物をいい、その形態は特に限定されず、液状の組成物(分散液)、ペースト状の組成物、及び固体状の組成物を含む意味に用いる。また「凝集物」とは、微粒子が集まってまとまりをなす集合体をいい、微粒子のみからなってもその他の成分(例えば残留した分散媒体成分)との混合物であってもよい。なお、本発明における上記「凝集物」は粒状の集合体であり、これを含む凝集物含有液や後述するように分散物を濃縮したようなペースト状の濃縮物全体とは概念的に区別される。
本発明の製造方法において、有機顔料微粒子分散液ないし分散物中の有機顔料微粒子の含有率は特に限定されないが、分散物中0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜25質量%であることがより好ましい。
次に、本発明の製造方法における凝集物の形成について説明する。
本発明において凝集物の形成は、上述のようにして得た有機顔料微粒子生成液(分散液)と液状凝集剤とを流路内で混合して行われるが、この凝集剤として有機酸/無機酸が好ましく用いられる。酸を用いた処理は、好ましくは、微粒子を酸で凝集させてこれを溶剤(分散媒)と分離し、濃縮、脱溶剤および脱塩(脱酸)を行う工程を含む。このとき系を酸性にすることで酸性の親水性部分による静電反発力を低下させ、水不溶性色材微粒子を凝集させることができる。
有機顔料の微粒子の凝集に用いる酸としては、沈殿しにくい微粒子となっている水性分散体中の顔料含有粒子を凝集させてスラリー、ペースト、粉状、粒状、ケーキ状(塊状)、シート状、短繊維状、フレーク状などにして、通常の分離法によって効率よく溶剤と分離できる状態にするものであることが好ましい。具体的には塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、メタンスルホン酸などが挙げられるが、塩酸、酢酸および硫酸が特に好ましい。加える酸の量はとくに規定されないが、凝集の効率、微粒子への影響、装置の腐食などを考慮し、微粒子生成液の pHが1〜6になるように調整することが好ましい(より好ましくはpH2〜5)。
本発明の製造方法において得られる凝集物の粒径は特に限定されないが、この平均粒径が1〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましい。本発明において凝集物の粒径は均一でありバラツキがないことが好ましく、平均粒径の0.5倍〜2.0倍に全粒子の60%以上が含まれることが好ましく、80%以上が含まれることがより好ましい。本発明において、上記の凝集物の粒径は、光学顕微鏡で観察した画像を写真とし、無作為に100個抽出して計測した値をいう。
次に本発明における、一連の流路内流通について説明する。
本発明の製造方法においては、顔料溶液と水性媒体とを合流させる有機顔料微粒子分散液調製工程と(以下、前段の合流工程ということがある。)、その有機顔料微粒子生成液(分散液)と凝集剤とを合流させる凝集物形成工程(以下、後段の合流工程ということがある。)とを有する。このとき、上記両工程が一連の流路内流通条件下で行われれば、さらに別の合流工程を組み合わせて、3回以上合流させる実施態様としてもよい。本発明において「一連の流路内流通条件下」とは2つの流通工程をまたいで、流体がその間に流路から取り出されることがないことをいい、流路径や流路本数等は変化してもよい。上記前段の合流と後段の合流との間隔は適宜調節すればよいが、層流状態を維持するよう、また用いる界面活性剤の種類によっては分解を抑制するために、両者の間隔が5秒以内となるように逐次合流することが好ましく、1秒以内となるようにすることがより好ましい。
本発明の製造方法においては、少なくとも上記前段の合流にマイクロリアクターを用いることが好ましく、前段、後段ともにマイクロリアクターを用いて行うことが好ましい。マイクロリアクターとはマイクロ反応場を形成しうる細い流路を有するリアクターであり、前段の合流については、とくに合流部位の直後にあたる流路の等価直径が2mm以下であることが好ましく、80μm以上1mm以下であることがより好ましい。後段の合流については、0.2mm以上16mm以下であることが好ましく、0.3mm以上3.0mm以下であることがより好ましい。
等価直径(equivalent diameter)は相当(直)径、とも呼ばれ、機械工学の分野で用いられる用語である。任意断面形状の配管(本発明では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径という。等価直径(deq)は、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。
管の中に水を流し、その中心軸状に細い管を挿入し着色した液を注入すると、水の流速が遅い間は、着色液は一本の線となって流れ、水は管壁に平行にまっすぐに流れる。しかし、流速を上げ、ある一定の流速に達すると急に水流の中に乱れが生じ、着色液は水流と混じって全体が着色した流れになる。前者の流れを層流(laminar flow)、後者を乱流(turbulent flow)という。流れが層流になるか乱流になるかは流れの様子を示す無次元数であるレイノルズ数(Reynolds number)が、ある臨界値以下であるかによって決まる。レイノルズ数が小さいほど層流を形成しやすい。管内の流れのレイノルズ数Reは次式で表される。
Re=D<υ>ρ/μ
Dは管の等価直径、<υ>は断面平均速度、ρは流体の密度、μは流体の粘度を表す。この式からわかるように等価直径が小さいほどレイノルズ数は小さくなるので、μmサイズの等価直径の場合は安定な層流を形成しやすくなる。また、密度や粘度の液物性もレイノルズ数に影響し、密度が小さく、粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなるので層流を形成しやすいことがわかる。臨界値を示すレイノルズ数を臨界レイノルズ数(critical Reynolds number)と呼ぶ。臨界レイノルズ数は必ずしも一定とはいえないが、凡そ次の値が基準となる。
Re<2300 層流
Re>3000 乱流
3000>Re>2300 過渡状態
本発明の製造方法において、有機顔料溶液と水性媒体との合流(前段の合流)後の流通を層流下で行い、そこで得られた有機顔料微粒子分散液(生成液)と液状凝集剤との合流(後段の合流)後の流通を層流下で行うことが好ましい。それぞれの流通過程におけるレイノルズ数は特に限定されないが、上記前段合流後で後段合流までの流通のレイノルズ数を500〜3500とすることが好ましく、1000〜2500とすることがより好ましい。後段合流後の流通のレイノルズ数を500〜2500とすることが好ましく、1000〜2000とすることがより好ましい。
本発明の製造方法に用いられるリアクターの種類、形状は特に限定されず少なくとも一連の液体混合が可能なあらゆる装置が利用でき、連続混合が可能な1個の装置で行ってもよく、2個以上の装置を連結して使用してもよい。以下、本発明の製造方法に用いることができる好ましい製造装置(マイクロリアクター)の実施態様について説明する。
図1−1は本発明の製造方法に用いることのできる一実施形態としての製造装置(連続混合可能な流路を有するマイクロリアクター)を模式的に示す平面図であり、図1−2はそのI−I線断面の断面図である。
本実施形態のマイクロリアクター10において、流路の長さ方向に直交する断面の形は使用される微細加工技術により異なるが、台形または矩形に近い形である。導入口11及び導入口12からポンプなどにより注入された液体はそれぞれ導入流路15を流れる。より詳しくいうと、導入口11から導入されたi液が導入流路15aを経由し、導入口12から導入されたii液が導入流路15bを経由して、両液が流体合流点15cにて接触合流し、さらに流路15d,15gを流れ排出口(捕集口)14に至る。このとき流路の幅・深さを調節して流路の等価直径をマイクロメートルサイズにし、かつ流体の流速、粘度、密度から算出されるレイノルズ数を適当な値とすることにより、接触したi−ii、さらにはiii液との合流液を流路15d,15g中で安定な層流として流通させることが好ましい。
本実施形態のマイクロリアクター10においては、さらに導入口13からポンプなどにより注入されたiii液が導入流路15eを流れ、流体合流点15fにて流路15dを流れ、i−ii合流液と接触し、i−ii−iii液の合流液となり流路15gを流れる。流体のレイノルズ数が適当な値となるよう調節することにより、接触した3液を流路15g中で安定な層流として流通させることができ、i−ii−iii液の3層の層流とすることもできる。
流路15d、15gを流れる合流液においては、液流間の界面における分子拡散により互いの液流に含まれる溶質の混合または反応を行うことができる。このことを考慮し流路長Aの長さ、すなわち合流点15cから15fの距離を変えることにより、導入口11、12から注入されるi液とii液とに含まれる流体合流点15fにおける溶質の混合度を所望のものとすることができる。3つの導入口11(i液),12(ii液),13(iii液)から導入される液体に拡散の極めて遅い溶質が含まれる場合は、流路15d、15g内での液流間での拡散混合があまり起きず、排出口14(iv液)に達した後に初めて混合する場合もある。
本実施形態のマイクロリアクター10において、流路幅、流路深さ、流路長は特に限定されず適宜選択することができるが、流路幅W、流路深さHは80μm以上2mm以下であることが好ましく、100μm以上1mm以下であることがより好ましく、120μm以上600μm以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法においては、上記実施態様の装置と異なり、1回の合流を行う装置を複数連結して連続混合する実施態様としてもよい。図2の装置20には、1回合流リアクター21及び1回合流リアクター22の2つを連結し、i液,ii液,iii液を流路25内で混合してiv液をえる実施態様を概念的に示している。なお、以下に使用可能なリアクターの具体的な構成例を挙げるが、本発明はそれらにより限定して解釈されるものではない。なお、言うまでもないが、本発明の製造方法においては、i液及びii液をそれぞれ有機顔料溶液及び水性媒体とし、iii液を凝集剤として、所望の凝集物含有液(iv)を得ることができる。
図3−1はY字型流路を有する反応装置30の説明図であり、図3−2はそのIII−III線の断面図である。流路の長さ方向に直交する断面の形は使用される微細加工技術により異なるが、台形または矩形に近い形であることが好ましい。このとき流路の等価直径をマイクロメートルサイズとすることが好ましい。導入口31及び導入口32からポンプなどにより注入された溶液は導入流路35を流れる。詳しくは、i液及びii液(又はi+ii液及びiii液)が導入流路35a及び導入流路35bをそれぞれ経由して流体合流点35cにて接触合流し、好ましくは安定な層流を形成して、反応流路35dを流れる。そして層流として流れる間に層流間の界面における分子拡散により互いの液体に含まれる溶質が混合され、反応が進行しうる。拡散の極めて遅い溶質のときは、層流間での拡散混合が起きず、排出口34に達した後に初めて混合する場合もある。注入される2つの液体がフラスコ中で容易に混合するような場合には、流路長Fを長く取れば排出口では液の流れは均一な流れになりうるが、流路長Fが短い時には排出口まで層流が保たれる。注入される2つの溶液がフラスコ中で混合せず層分離する場合は、2つの液体は層流として流れて排出口34に到達しうる。
図4−1は片側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置40の説明図であり、図4−2は同装置のIVa−IVa線の断面図であり、図4−3は同装置のIVb−IVb線の断面図である。流路の長さ方向に直交する断面の形は円かそれに近い形であることが好ましい。このとき円筒管の流路直径がマイクロメートルサイズであることが好ましい。導入口41及び導入口42からポンプなどにより注入された液体は導入流路43aと導入流路43bを通じて流体合流点43dにて接触し、好ましくは安定な円筒層流を形成して、反応流路43cを流れる。そして円筒層流として流れる間に層流間の界面における分子拡散により互いの層流に含まれる溶質が混合され、反応が進行しうる。円筒管型流路をもつ本装置は、2液の接触界面を大きく取れること、更に接触界面が装置壁面に接触する部分がないため、固体(結晶)が反応により生成する場合など壁面との接触部分からの結晶成長などがなく、流路を閉塞する可能性が低いのが特徴である。
図5−1,5−2に示した装置50においては、導入口51及び52から導入した2液の流れが、流路53a,53b、合流点53d、流路53c、分流点53eを介して、さらに流路53f,53gを通じて、例えば層流のまま出口54,55まで到達させることができる。すなわち、一度合流した液体を、再度装置内で分割できるように改良を加えたものである。図6もまた同様に導入口61及び62から導入した2液を流路63a,63bを経て、合流点63dから流路63cにかけて合流流通させ、分流点63e,流路63f,63gを通じて分割する実施態様の装置60である。これにより、分割された2液がそれぞれ排出口64および65から取り出され捕集される。
これらの装置を用いると反応と分離が同時にできる。また、最終的に2液が混合してしまって反応が進みすぎたり、結晶が粗大化したりすることを避けることができる。一方の液中に選択的に生成物や結晶が存在する場合には、生成物や結晶を2液が混合してしまう場合に比べて高濃度の状態で得ることができる。また、これらの装置を幾つか連結することにより、抽出操作が効率的に行われるなどのメリットがある。
図7に示すマイクロリアクター装置70は、液体A(図中、液体をその流れの方向を示す矢印で示している。このことは液体B,Cについても同様である。)を供給する1本の供給流路71の途中から分岐して液体Aを2つに分割できるようにした2本の分割供給流路71A,71Bと、液体Bを供給する分割していない1本の供給流路72と、溶液Aと溶液Bとの反応を行うマイクロ流路73とが、1つの合流領域74で連通するように形成されるものである。また、これら分割供給流路71A,71B、供給流路72、及びマイクロ流路73は、実質的に同一の平面内で合流領域74の周りに90°の等間隔で配置される。即ち、各流路71A,71B,72、73の中心軸(一点鎖線)は合流領域74において十文字状(交差角度α=90°)に交差する。尚、図7では液体Bに比べて供給量を多くできるよう液体Aの供給流路71のみを分割したが、液体Bの供給流路72も複数に分割してもよい。また、合流領域74の周りに配置する各流路71A,71B,72,73の交差角度αは、90°に限らず適宜設定できる。また、供給流路71、72の分割数は、特に限定されるものではないが、数が多すぎてマイクロリアクター装置50の構造が複雑になるときには、分割数を2〜10とすることが好ましく、2〜5とすることがより好ましい。
図8は、図7の平面型のマイクロリアクター装置の別の態様であり、供給流路82の中心軸に対して分割供給流路81A,81Bの中心軸の成す交差角度βは図7の90°よりも小さく45°に形成される。また、分割供給流路71A,71Bの中心軸に対してマイクロ流路73の中心軸の成す交差角度αが135°になるように形成される。
図9は、図8の平面型のマイクロリアクター装置の更に別の態様であり、液体Bが流れる供給流路92の中心軸に対して液体Aが流れる分割供給流路91A,91Bの中心軸の成す交差角度βは図7の90°よりも大きく135°に形成される。また、分割供給流路91A,91Bの中心軸に対してマイクロ流路93の中心軸の成す交差角度αが45°になるように形成される。供給流路92、分割供給流路91A,91B、及びマイクロ流路93の互いの交差角度α、βは適宜設定できるが、合流された液体Bと液体Aの全ての液体の厚み方向の断面積の総和をS1とし、マイクロ流路93の径方向の断面積をS2としたときに、S1>S2を満足するように交差角度α、βを設定することが好ましい。これにより、液体A,B同士の接触面積の一層の増大と拡散混合距離の一層の縮小を図ることができるので、より瞬時混合が生じ易くなるからである。
図10は、立体型のマイクロリアクター装置の一実施態様であり、マイクロリアクター装置100を構成する3つのパーツを分解して模式的に示した分解斜視図である。本実施態様の立体型のマイクロリアクター装置100は、主として、それぞれが円柱状の形状をした供給ブロック101、合流ブロック102、及び反応ブロック103により構成される。そして、マイクロリアクター装置100を組み立てるには、円柱状をしたこれらのブロック101、102、103を、この順番で互いの側面同士を合わせて円柱状になるようにし、例えばこの状態で各ブロックをボルト・ナット等により一体的に締結する。
供給ブロック101の合流ブロック102に対向する側面104には、2本の環状溝105、106が同芯状に穿設されており、マイクロリアクター装置100を組み立て状態において、2本の環状溝106、105は液体Bと液体Aとがそれぞれ流れるリング状流路を形成する。そして、供給ブロック101の合流ブロック102に対向しない反対側の側面114から外側環状溝106と内側環状溝105に達する貫通孔108、107がそれぞれ形成される。かかる2本の貫通孔108、107のうち、外側の環状溝106に連通する貫通穴108には、液体Aを供給する供給手段(ポンプ及び連結チューブ等)が連結され、内側環状溝105に連通する貫通孔107には、液体Bを供給する供給手段(ポンプ及び連結チューブ等)が連結される。図10では、外側環状溝106に液体Aを流し、内側環状溝105に液体Bを流すようにしたが、逆にしてもよい。
合流ブロック102の反応ブロック103に対向する側面109の中心には円形状の合流部110が形成され、この合流部110から放射状に4本の長尺放射状溝111と4本の短尺放射状溝112が交互に穿設される。これら合流穴110や放射状溝111,112はマイクロリアクター装置100を組み立て状態において、合流領域110となる円形状空間と液体A,Bが流れる放射状流路とを形成する。また、8本の放射状溝111,112のうち、長尺放射状溝111の先端から合流ブロック102の厚み方向にそれぞれ貫通穴115が形成され、これらの貫通穴115は供給ブロック101に形成されている前述の外側環状溝106に連通される。同様に、短尺放射状溝112の先端から合流ブロック102の厚み方向にそれぞれ貫通穴116が形成され、これらの貫通穴116は供給ブロック101に形成されている内側環状溝105に連通される。
また、反応ブロック103の中心には、反応ブロック103の厚み方向に合流部110に連通する1本の貫通孔113が形成され、この貫通孔113がマイクロ流路となる。これにより、液体Aは供給ブロック101の貫通孔108から外側環状溝106を経て合流ブロック102の貫通孔115を通り、長尺放射溝111の供給流路を流れる。その4つの分割流が合流部110に至る。一方、液体Bは供給ブロック101の貫通孔107から内側環状溝105を経て合流ブロック102の貫通孔116を通り短尺放射溝112の供給流路を流れる。その4つの分割流が合流部110に至る。合流部110において液体Aの分割流と液体Bの分割流とがそれぞれの運動エネルギーを有して合流した後、90°流れ方向を変えてマイクロ流路113に流入する。
本発明の製造方法においては、上述した実施形態の装置を用いて、i及びii液を顔料溶液と水性媒体としまず合流混合し、その後iii液として凝集剤溶液を導入して合流混合することが好ましい。顔料溶液と水性媒体と凝集剤溶液との流速は特に限定されないが、顔料溶液と水性媒体との流速比を1:1〜1:20とすることが好ましく、1:2〜1:10とすることがより好ましい。顔料溶液と凝集剤溶液との流速比は10:1〜1:10とすることが好ましく、5:1〜1:5とすることがより好ましい。
本発明の有機顔料微粒子凝集物の製造方法においては、凝集物を形成するときに有機顔料微粒子分散液(生成液)を導入する流路の等価直径Aと(図1−1、3−1参照)、液状凝集剤を導入する流路の等価直径Aと、これら両者を接触させた直後のもしくはそれ以降の流路の等価直径Aとを調節することが好ましい。このようにして、有機顔料微粒子が凝集するときの凝集度(微粒子が凝集して大径化する度合)ないしそのバラツキを所望の範囲にすることができ、流路の閉塞を防止して均質かつ過度に粗大粒子化したもののない良好な凝集粒子を調製することができる。このとき、前記有機顔料微粒子生成液と液状凝集剤とが接触する直後の流路の断面積(A)が、前記両者が接触する直前の有機顔料微粒子生成液が導入される流路の断面積(A)および液状凝集剤が導入される流路の断面積(A)の総和の0.8倍以上2倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.5倍以下であることがより好ましい。ここで、合流直前もしくは直後とは、合流による微粒子の生成やその凝集との関係で機能的に定めればよく特に限定されないが、具体的に合流前もしくは後の時間としていえば、合流の30秒前もしくは後を前記「直前」もしくは「直後」として定め、その部分の流路の断面積により評価することができる。
例えば図1−1に示したようなマイクロリアクターにおいては、流路幅w、w、wを調節することにより、これらは対応する断面積A、A、Aを調節することができる。また、図3−1に示した装置を後段の合流に用いて導入口31及び32より有機顔料微粒子分散液(i+ii液)及び液状凝集剤をそれぞれ供給し、このとき流路幅w、w、w又はA、A、Aを適宜調節して上記のように流路の閉塞性を高めた設定としてもよい。
本発明の製造方法により得られた凝集物は、そのままの凝集物含有液、含水率の高いペーストやスラリーとして用いることもできるが、必要に応じてスプレードライ法、遠心分離乾燥法、濾過乾燥法または凍結乾燥法などのような、乾燥法により、濃縮物や微粉末として用いることもできる。これに所望の媒体を添加し再分散することで、高機能性の分散液とすることができ、例えば後述する高性能インクジェットインクとすることができる。
凝集した有機顔料微粒子を水性媒体に再分散させる上記工程においては、必要に応じて撹拌、混合、分散装置を用いることができる。特に含水率の高い水不溶性色材のペースト、スラリーを用いる際は水を加えなくてもよい。さらに、再分散の効率を高める目的、および不要となった水溶性有機溶剤または過剰なアルカリ等を除去する目的で加熱、冷却、または蒸留などを行うことができる。
上記の濃縮および固形物化法としては通常の方法によればよく特に限定されないが、例えば、凍結乾燥、減圧留去(エバポレーター)、それらの組み合わせなどの方法で可能である。固形物化ないしは濃縮化したときの有機顔料の含有率は特に限定されないが、5質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜80質量%であることがより好ましい。
また凝集物含有液の精製は、濾過、遠心分離などにより行うことができ、なかでも濾過によることが好ましい。濾過工程を経ることにより、顔料を溶解した溶媒、過剰量の凝集剤、さらに顔料に吸着していない分散剤など不必要なものを同時に除くことが可能であり、例えば再分散して微粒子分散物としたときに低粘度になるなど、アプリケーション上の利点がある。また有機溶剤を分散媒にするなど、媒体を変更することが可能になる。
本発明においては、得られた分散物ないし凝集物を加熱する工程を含んでいてもよい。特に高分子分散剤を用いて微粒子を形成した場合に、加熱により粘度の低減や分散安定性向上などの効果が期待できる。加熱工程は顔料微粒子を得た後の流路内で済ませたり、捕集したものに対して行ったり、精製後や濃縮後に行ったりするなど適宜選択することができるが、操作が簡便であり加熱条件を一定にすることができるため流路内で済ませる方法が好ましい。
凝集物はpHを調整するなどの操作を行い、再度分散して分散体として用いてもよく好ましい。凝集剤として酸を用い、再び水分散液とする場合は塩基を用いてpHを6〜10に調整することが好ましい。有機溶媒を媒体として再分散することも可能である。再分散の際には適宜分散剤を添加してもよく、分散剤としては微粒子形成時に用いられる分散剤として挙げたものが同様に用いられる。再分散は攪拌をしながら行うことが好ましく、加熱や超音波などにより分散を補助してもよいが、ビーズやソルトによる分散は、操作の簡便性や屑の混入などのため好ましくない。得られた分散液には顔料の堅牢性等を上げる目的で、紫外線吸収剤や酸化防止剤などを添加してもよい。また用途、目的に応じて香料、防カビ剤、表面張力調整剤、水溶性樹脂、殺菌剤、pH調整剤、尿素などの添加剤を使用してもよい。これらはその添加時期や方法は特に限定されない。
本発明の有機顔料微粒子の分散液は、例えば、好適なインクジェット用インクとすることができる。その方法は、例えば上述のようにして有機顔料微粒子の凝集物含有液を、遠心分離及び/または限外ろ過により精製、濃縮をおこなう。これに、インク媒体として、グリセリン化合物、グリコール化合物のような水溶性高沸点有機溶剤を添加、pHを7から9程度に調整し、さらに表面張力、粘度、防腐等のための添加物を添加することで良好なインクジェットインクを調製することができる。インクジェットインクとして調製したときに好ましい粘度は、顔料種、濃度により異なるが、一般的に例えば、5質量%の時は、20mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることがより好ましく、特にこのましくは5mPa・s以下である。
その他、前述した、分離、濃縮、液物性の調製などを適宜行って、塗料、カラーフィルター用塗布液等に広く用いることができる。
本発明の製造方法によれば、ナノメートルサイズにまで微細化された有機顔料微粒子の一次粒子物性を維持して、連続フロー方式によりバッチ方式でなし得ないほど効率的に均質な凝集物を得ることができる。しかも、本発明の製造方法により得られる有機顔料微粒子凝集物は上記のように均質化されたため、その後の濃縮工程及び再分散工程の操作や処理も効率化し、有機顔料微粒子を用いた各製品の生産性を大幅に高めることができる。
以下に本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
ピグメントイエロー128(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、CROMOPHTAL YELLOW 8GNP(商品名))32g、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(和光純薬(株)社製)25.2g、ポリビニルピロリドンK30(商品名、東京化成工業(株)社製)48gをジメチルスルホキシド480mLに室温で溶解し、これをi液(顔料溶液)とした。蒸留水をii液とした。0.8mol/L 塩酸をiii液とした。i液とiiを接触させて有機顔料微粒子分散液を得る工程には図10に示す装置(第1合流装置)1aを、該分散液と酸を接触させて凝集物を得る工程には図3−1,図3−2に示す装置(第2合流装置)2aをそれぞれ用いた。該装置間を長さ1m、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブでコネクターを用いて接続し2工程を一連の流路内流通条件下で行った。
[第1合流装置1aの詳細]
マイクロリアクター装置として、流路本数(分割数)等を下記のようにした図10の立体型のマイクロリアクター装置を使用した。
・供給流路本数・・2種類の反応液それぞれについて3本に分割(合計6本の流路が合流する。なお図10の装置は各4本合計8本流路が合流する装置である。)
・供給流路111、112の幅・・・各150μm
・供給流路111、112の深さ・・・各150μm
・合流領域110の直径・・・400μm
・マイクロ流路113の直径・・・400μm
・マイクロ流路113の長さ・・・ 10mm
・合流領域110において各供給流路111、112とマイクロ流路113との中心軸同士の交差角度・・・90°
・装置の材質・・・ステンレス(SUS304)
・流路の接続・・・二つの入り口に長さ1m、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブ2本をコネクターを用いて接続し、その先にそれぞれi液とii液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。コネクターの出口には長さ1m、等価直径1mmを有するテフロン(登録商標)チューブを接続した。
[第2合流装置2aの詳細]
・供給流路35a、35bの幅(w、w)・・・各400μm
・流路35dの幅(w)・・・各800μm
・流路35a、35b、35dの深さ… 各400μm
・流路長F ・・・ 5cm
・装置の材質・・・石英製
・流路の接続・・・入口31には図10に示す装置に接続されたテフロン(登録商標)チューブのもう1端を、入口32には長さ1m、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブを接続し、その先にiii液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。コネクターの出口には長さ2m、等価直径2mmを有するテフロン(登録商標)チューブを接続した。
i液を4mL/min、ii液を16mL/min、iii液を20mL/minの送液速度にて送り出し、1時間連続で流しつづけた。このとき凝集物形成を行う装置において、凝集物を送り出す流路の断面積(A)は、分散液を導入する流路および凝集剤を導入する流路の断面積の総和(A+A)の1.0倍である。チューブ出口先端よりピグメントイエロー128の凝集物を含む液を捕集した。この液のpHは4.2であった。同じ条件にて1時間連続運転をさらに4回行ったが閉塞することはなかった。このようにして凝集させた顔料を孔径0.2μm、直径90mmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック社製)を用いて減圧濾過(15mmHg)を行った。凝集物を含む500mLの液体を濾過するのに要した時間は38秒であった。さらにこの残渣を500mLの蒸留水を用いて3回水洗しペーストを得た。得られたペースト3gを50mLの蒸留水に添加し、1mol/L水酸化カリウム水溶液を加えてpH9に調整し、2時間攪拌して再分散した後蒸留水を加えて顔料濃度5重量%に調整し、顔料微粒子分散液を得た。この液の粘度は3.2mPa・s であった。この液の顔料粒子の体積平均粒径Mvは22.7nmであり、単分散性の指標である体積平均粒径Mv/個数平均粒径Mnの比は1.32であった(顔料粒子の粒径(Mv)及び単分散性(Mv/Mn)は日機装(株)社製のナノトラックUPA−EX150(商品名)にて、蒸留水で顔料濃度0.2質量%に希釈して室温(25℃付近)で測定した(粒径測定の手順は以下の実施例、比較例も同様である。)。
(実施例2)
実施例1で用いた図3−1,3−2で示す第2合流装置2aにおいて、流路幅を以下のように変更した装置2bを作製し、その他は実施例1と同様に凝集物を作成した。
・供給流路35a、35bの幅・・・各400μm
・流路35dの幅・・・各400μm
・ 流路35a、35b、35dの深さ… 各400μm
このとき凝集物形成を行う装置において、凝集物を送り出す流路の断面積(A)は、分散液を導入する流路および凝集剤を導入する流路の断面積の総和(A+A)の0.5倍である。1時間連続運転を5回試み、2回は閉塞しなかったがあとの3回はそれぞれ18分、33分、48分の時点で閉塞が起きて送液できなくなった。得られた凝集物含有液について実施例1と同様の条件で減圧濾過を行ったところ500mLを濾過するのに要した時間は42秒であった。500mLの蒸留水で3回水洗後、得られたペースト3gを50mLの蒸留水に添加し、1mol/L水酸化カリウム水溶液を加えてpH9に調整し、2時間攪拌して再分散した後蒸留水を加えて顔料濃度5重量%に調整し、顔料微粒子分散液を得た。この液の粘度は3.3mPa・s であった。この液の顔料粒子の体積平均粒径Mvは23.2nmであり、単分散性の指標である体積平均粒径Mv/個数平均粒径Mnの比は1.30であった。
(実施例3)
実施例1で用いた図3−1,3−2で示す第2合流装置2aにおいて、流路幅を以下のように変更した装置2cを作製し、その他は実施例1と同様に凝集物を作成した。
・供給流路35a、35bの幅・・・各200μm
・流路35dの幅・・・各1000μm
このとき凝集物形成を行う装置において、凝集物を送り出す流路の断面積(A)は、分散液を導入する流路および凝集剤を導入する流路の断面積の総和(A+A)の2.5倍である。1時間連続運転を5回試み、5回とも閉塞することはなかった。実施例1と同様の条件で減圧濾過を行ったところ500mLを濾過するのに要した時間は2分20秒であった。500mLの蒸留水で3回水洗後、得られたペースト3gを50mLの蒸留水に添加し、1mol/L水酸化カリウム水溶液を加えてpH9に調整し、2時間攪拌して再分散した後蒸留水を加えて顔料濃度5重量%に調整し、顔料微粒子分散液を得た。この液の粘度は3.6mPa・sであった。この液の顔料粒子の体積平均粒径Mvは27.6nmであり、単分散性の指標である体積平均粒径Mv/個数平均粒径Mnの比は1.47であった。
上記5回運転中の閉塞回数、凝集体の濾過に要した時間、再分散後の粒径、体積平均粒径と数平均粒径の比、5質量%分散体の粘度を表1に記載した。以下の実施例及び比較例(比較例については5回運転中の閉塞回数は評価されないのでこの項目を除く。)についても同様にこれらの結果を表1に示した。
(比較例1)
以下の方法で凝集工程をバッチ法にて行った。
塩酸および図3−1,3−2に示す装置を用いずに、その他は図10に示す装置を用いて実施例1と同様の条件にて粒子形成工程のみを行い、得られる顔料分散物を捕集した。得られた顔料分散物250mLを1L容のナス型フラスコに入れ、攪拌しながら0.8mol/L塩酸を250mL 添加して凝集物を得た。実施例1と同様の条件で減圧濾過を行ったところ500mLを濾過するのに要した時間は8分20秒であった。500mLの蒸留水で3回水洗後、得られたペースト3gを50mLの蒸留水に添加し、1mol/L水酸化カリウム水溶液を加えてpH9に調整し、2時間攪拌して再分散した後蒸留水を加えて顔料濃度5重量%に調整し、顔料微粒子分散液を得た。この液の粘度は3.3mPa・sであった。この液の顔料粒子の体積平均粒径Mvは32.6nmであり、単分散性の指標である体積平均粒径Mv/個数平均粒径Mnの比は1.62であった。
実施例1〜3と比較例1との対比より、本発明(実施例)の製造方法すなわち凝集工程を粒子形成工程に引き続き流路内で行うことにより、濾過工程の時間を短縮し、しかも再分散時の顔料微粒子の粒径分布を狭くすることができることがわかる。これは凝集工程を流路内で均一条件で行うことにより均質な凝集体が精製することに起因すると考えられる。また、実施例1〜3の対比より、凝集物を送り出す流路の断面積(A)と、分散液を導入する流路および凝集剤を導入する流路の断面積の総和(A+A)を適切な比にすることにより一層の濾過時間の短縮と顔料微粒子の狭い粒径分布と流路の閉塞防止とを同時に実現しうることがわかる。
(実施例4)
実施例1で用いた図3−1,図3−2で示す第2合流装置2aにおいて、流路幅を以下のように変更した装置2cを作製し、その他は実施例1と同様に凝集物および顔料濃度5質量%の再分散体を作成した。
・供給流路35a、35bの幅・・・各150μm
・流路35dの幅・・・各300μm
このとき Ap/(A1+A2) :1.0
(実施例5)
実施例4で用いた図3−1,3−2で示す第2合流装置2aと同じ流路幅を有する装置装置2cを用い、i液、ii液、iii液の流速をそれぞれ1.5mL/min、6mL/min、7.5mL/min として、その他は実施例4と同様に凝集物および顔料濃度5質量%の再分散体を作成した。
(実施例6)
実施例1で用いた図3−1,3−2で示す第2合流装置2aにおいて、流路幅を以下のように変更した装置2cを作製し、その他は実施例1と同様に凝集物および顔料濃度5質量%の再分散体を作成した。
・供給流路35a、35bの幅・・・各1200μm
・流路35dの幅・・・各2400μm
このとき Ap/(A1+A2) :1.0
(実施例7)
実施例1で用いた図3−1,3−2で示す第2合流装置2aと同じ流路幅を有する装置装置2cを用い、iii液として塩酸に替えて0.4mol/Lの硫酸を用いて、その他は実施例1と同様に凝集物および顔料濃度5質量%の再分散体を作成した。
(実施例8)
実施例1と同様の方法で得られた凝集体を、濾過に替えて限外ろ過による精製を行った。限外ろ過はアドバンテック東洋(株)社製のウルトラホルダーUHP−76K(商品名)、およびウルトラフィルターQ0500(分画分子量50,000、商品名)を用いて水を入れながら定容積で行った。凝集体の5倍量の水を導入したところで水の導入を終え、そのまま顔料濃度5質量%まで濃縮し、pHを9に調整して再分散体を作成した。この分散液の粘度は7.6mPa・sであった。
(実施例9)
ピグメントイエロー128に替えて、等モルの2,9−ジメチルキナクリドン(クラリアント社、HOSTAPERM PINK E)を用いて、その他は実施例1と同様にして凝集物および顔料濃度5質量%の再分散体を作成した。
(実施例10)
ピグメントイエロー128に替えて、等モルの2,9−ジメチルキナクリドン(クラリアント社、HOSTAPERM PINK E)を用いて、その他は実施例2と同様にして凝集物および顔料濃度5質量%の再分散体を作成した。
(実施例11)
ピグメントイエロー128に替えて、等モルの2,9−ジメチルキナクリドン(クラリアント社、HOSTAPERM PINK E)を用いて、その他は実施例3と同様にして凝集物および顔料濃度5質量%の再分散体を作成した。
(比較例2)
ピグメントイエロー128に替えて、等モルの2,9−ジメチルキナクリドン(クラリアント社、HOSTAPERM PINK E)を用いて、その他は比較例1と同様にして凝集物および顔料濃度5質量%の再分散体を作成した。
Figure 2010065128
本発明の製造方法に用いることのできる一実施形態としての製造装置を模式的に示す平面図である。 図1−1のI−I線断面の断面図である。 本発明の製造方法に用いることのできる別の実施形態としての製造装置を概念的に示す装置説明図である。 片側にY字型流路を有する反応装置を模式的に示す平面図である。 図3−1のIII−III線断面の断面図である。 片側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置を模式的に示す縦断面図である。 図4−1のIVa−IVa線断面の横断面図である。 図4−1のIVb−IVb線断面の横断面図である。 両側にY字型流路を有する反応装置を模式的に示す平面図である。 図5−1のV−V線断面の断面図である。 両側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置を模式的に示す断面図である。 平面型マイクロリアクターの一実施態様を模式的に示す平断面図である。 平面型マイクロリアクターの別の実施態様を模式的に示す平断面図である。 平面型マイクロリアクターのさらに別の実施態様を模式的に示す平断面図である。 立体型のマイクロリアクターの一実施態様を模式的に示す分解斜視図である。
符号の説明
10、20、30、40、50、60、70、80、90,100 反応装置
21、22 一回合流リアクター
11、12、13、31、32、41、42、51、52、61、62 導入口
14、34、35、44、54、55、64、65 排出口
15、15a、15b、15d、15e、15g、25、35、35a、35b、35d、43a、43b、43c、53、53a、53b、53c、53f、53g、63a、63b、63c、63f、63g、71、71A、71B、72、73、81、81A、81B、82、83、91、91A、91B、92、93 流路
15c、15f、35c、43d、53d、63d、74、84、94 流体合流点
53e、63e 流体分流点
101 供給ブロック
102 合流ブロック
103 反応ブロック
106 外側環状溝
105 内側環状溝
107、108 供給ブロックの貫通孔
110 合流部(合流領域)
111 長尺放射状溝
112 短尺放射状溝
115、116 合流ブロックの貫通孔
113 反応ブロックの貫通孔(マイクロ流路)

Claims (7)

  1. 有機顔料をアルカリ存在下で溶媒に溶解した有機顔料溶液と水性媒体とを流路内で合流させることにより前記有機顔料の微粒子を生成させ、得られた有機顔料微粒子生成液と液状凝集剤とをさらに流路内で合流させて凝集物を形成させるに当たり、前記有機顔料微粒子を生成させる液体合流から前記凝集物を形成させる液体合流までを一連の流路内流通条件下で行うことを特徴とする有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
  2. 前記凝集剤が酸であることを特徴とする請求項1に記載の有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
  3. 前記有機顔料溶液と水性媒体とを合流させる工程を、等価直径0.1mm以上1mm以下の流路内で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
  4. 前記有機顔料微粒子生成液と液状凝集剤とを合流させる工程を、等価直径0.2mm以上16mm以下の流路内で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
  5. 前記有機顔料微粒子生成液と液状凝集剤とが合流する直後の流路の断面積(A)が、前記両者が合流する直前の有機顔料微粒子生成液が導入される流路の断面積(A)および液状凝集剤が導入される流路の断面積(A)の総和の0.8倍以上2倍以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子凝集物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法で得られた有機顔料微粒子凝集物が濾過された後、該凝集物を所定の媒体中に分散させることを特徴とする有機微粒子分散物の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法で得られた有機顔料微粒子分散物を用いて製造された、前記所定の媒体中に有機顔料微粒子を分散させたインクジェット記録用インク。
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