JP2010065083A - 2光子吸収重合性組成物及び光デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)重合性化合物、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物及び(c)2光子吸収化合物、を含有することを特徴とする2光子吸収重合性組成物、該組成物を用いた光硬化方法、並びに該組成物を用いた光デバイス構造体。
【選択図】図4
Description
従来広く利用されてきた光リソグラフィーは、主に1光子吸収反応を利用した1光子リソグラフィーと呼ばれるものである。この1光子リソグラフィーとしては、現在最も一般的に用いられているアルゴンイオンレーザーやHe−Cdレーザーを用いるレーザーリソグラフィー法が挙げられ、主に1次元又は2次元の素子の作製に利用されている。
2光子吸収とは、化合物が2つの光子を同時に吸収して励起される現象、すなわち、化合物の吸収帯が存在しないエネルギー領域で、2つの光子を同時に吸収し励起状態へと電子が遷移する現象である。通常、物質は励起エネルギーに相当するエネルギーの1光子を吸収して励起され、このエネルギーに満たないエネルギーの光子は吸収されない。しかし光の強度が非常に強い場合には、2つの光子エネルギーの和が励起エネルギーに相当する2光子が、同時に吸収されることがある(非共鳴2光子吸収)。この性質を利用すると、光をレンズで絞り込んだ焦点内部のみで光反応を起こすことができ、空間の任意の位置を選択して励起状態を作ること、例えばリソグラフィー等に利用することができる。
特に、一般的な1光子吸収のレーザーリソグラフィーでは1μmの精度が限界であるのに対して、2光子リソグラフィーでは0.5μm以下の精度で樹脂を硬化させることが可能である。そのため、近年、各種光デバイスを作製する方法として、2光子リソグラフィーが注目されてきている。
例えば、光重合開始剤とウレタンアクリレート化合物を用いて2光子吸収重合する方法(非特許文献1)や、フルオレン系色素とアリルアミン系重合開始剤を用いてアクリルモノマーを2光子吸収重合する方法(非特許文献2)が提案されている。さらに、高感度な2光子吸収重合を行うために、2光子吸収断面積の比較的大きい特定の2光子吸収化合物を利用した方法(特許文献1)や、色素を含有し、光重合性高分子化合物としてエステル系デンドリマーを利用した光硬化性樹脂(特許文献2)が報告されている。
しかしながら、上述の2光子吸収を利用した2光子リソグラフィーに用いられる光硬化性樹脂組成物は、一般に光化学反応を起こす多官能のモノマー又はオリゴマーと、光化学反応を開始させるための重合開始剤より構成され、これまでに知られている光化学反応を起こす多官能のモノマー又はオリゴマーは、屈折率が1.5程度(D線)のものが用いられており、2光子吸収反応を利用して得られた硬化物の屈折率も1.5程度に留まっていた。
第2観点として、前記(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物のゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が、500ないし200,000である、第1観点記載の2光子吸収重合性組成物、
第3観点として、前記(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物が分枝状高分子である、第1観点又は第2観点に記載の2光子吸収重合性組成物、
第4観点として、前記(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物が式(1)で表される分枝状高分子である、第3観点記載の2光子吸収重合性組成物、
子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、又は、R2とR3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよく、A1は式(2)又は式(3)を表し、nは繰り返し単
位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)
0の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)
第5観点として、前記(a)重合性化合物がエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物である、第1観点ないし第4観点の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組成物、
第6観点として、前記(a)重合性化合物がカチオン重合性の部位を有する重合性化合物である、第1観点ないし第4観点の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組成物、
第7観点として、第1観点ないし第6観点の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組成物を含有するワニス、
第8観点として、第7観点記載のワニスから作製される薄膜、
第9観点として、第1観点ないし第6観点の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組成物に、そこに含有する(c)2光子吸収化合物が有する線形吸収帯より長波長で、かつ、線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して誘起された2光子以上の多光子吸収を利用して、該2光子吸収重合性組成物を重合させることを特徴とする光硬化方法、
第10観点として、第1観点ないし第6観点の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組
成物を、2光子吸収重合により硬化させることによって得られる光デバイス構造体に関する。
また本発明の組成物は、該2光子吸収リソグラフィーにより高い屈折率を有する硬化物を得ることができ、しかも分解能0.5μm以下という高分解能で高精度な造形物を得ることができる。
本発明における重合性化合物は、後述する(c)2光子吸収化合物の作用によって重合する重合性の部位を分子内に1個以上、好ましくは1個ないし6個有する化合物であれば特に制限はない。光重合による硬化を促進するためには、2個ないし6個の重合性の部位を分子内に有する化合物を使用することが好ましい。
前記重合性の部位を有する化合物としては、ラジカル重合性の部位であるエチレン性不飽和結合を有する化合物、あるいは、カチオン重合性の部位であるビニルエーテル構造、ビニルチオエーテル構造、エポキシ環やオキセタン環等の環状エーテル構造等を有する化合物を挙げることができる。
なお本発明に用いる重合性化合物として、低粘度、良溶解性、低揮発性のものを使用することが好ましい。
以下、重合性化合物の具体例を挙げるが、これら化合物に限定されるものではない。
この中でも好ましいものとして、不飽和カルボン酸、又は、上記不飽和カルボン酸との各種エステル化合物のうち炭素原子数2ないし6のオキシアルキレン基を3ないし20個
有するエステル化合物が挙げられる。ここで炭素原子数2ないし6のオキシアルキレン基とはすなわち、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等であり、これらの基はヒドロキシ基及びハロゲン等で置換されていても良い。
ル化合物としては、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ヒドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、p−ビス(β−アクリロイロキシエチルチオ)キシリレン、及びピロガロールトリアクリレート等及びこれらのエトキシ、プロポキシ変性物が挙げられる。また、これらのアクリル酸エステル化合物のアクリレート部分をメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル化合物、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル化合物、クロトネートに代えたクロトン酸エステル化合物、及びマレエートに代えたマレイン酸エステル化合物等も挙げられる。
これらのエチレン性不飽和結合を有する化合物は単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
シルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、及びビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等を挙げることができる。
本発明の2光子吸収重合性組成物に用いるジチオカルバメート基を有する高分子化合物としては、例えば、下記式(1)で表される分枝状の高分子化合物、あるいは、下記式(4)で表される線状の高分子化合物が挙げられる。
は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R2とR3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよく、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。
上記炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
上記炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
R2とR3が互いに結合し、それらと結合する窒素原子と共に形成する環の具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環等が挙げられる。
表す。
い炭素原子数1ないし30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基を表し、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。
また環状アルキレン基としては、炭素数3ないし30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。以下に脂環式脂肪族基における、脂環式部分の構造例(a)ないし(s)を示す。
炭素原子数1ないし20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基及びノルマルペンチルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。
上記Y1、Y2、Y3及びY4としては、水素原子又は炭素原子数1ないし20のアルキル基が好ましい。
また、分散度Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)としては1.0ないし7.0であり、又は1.1ないし6.0であり、又は1.2ないし5.0である。
上記ジチオカルバメート基を有する高分子化合物は、例えばKoji Ishizu,Akihide Mori,Polymer International 50,906−910(2001)、Koji Ishizu,Takeshi Shibuya,Akihide Mori,Polymer International 51,424−428(2002)、Koji Ishizu,Yoshihiro Ohta,Journal of Materials Science Letters,22(9),647−650(2003)に記載の方法で製造することができる。
本発明における2光子吸収化合物は、効率よく2光子を吸収する化合物、すなわち2光子吸収断面積が比較的大きい化合物を指し、特に限定されることなく公知の化合物を使用できる。2光子リソグラフィーを行う際に、2光子吸収化合物は2光子を吸収し、その励起エネルギーによって、重合性化合物とジチオカルバメート基含有高分子化合物の光架橋反応を引き起こし、硬化物が生成する。
X2−(−CR4=CR3−)m−C(=O)−(−CR1=CR2−)n−X1 ・・・(1)
(式中、X1およびX2は置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、同一でもそれぞれ異なってもよく、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表し、R1、R2、R3およびR4のうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよく、nおよびmが2以上の場合、複数個のR1、R2、R3およびR4は同一でもそれぞれ異なってもよく、nおよびmはそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。)
で表される化合物、例えば同文献の化合物番号(1)ないし(140)で表される化合物等を挙げることができる。
さらに2光子吸収化合物として、J. Mater. Chem., 2003,13,1575-1581に記載の以下の化合物を挙げることができる。
本発明においては、前記(a)〜(c)成分に加えて、(d)光重合性開始剤を含有していても良い。
(d)光重合開始剤としては、300〜550nmの紫外線領域の波長を吸収し、前記(a)重合性化合物の重合を開始することができる機能を有する化合物であれば特に限定はない。
前記(a)重合性化合物として、前記のラジカル重合性の部位であるエチレン性不飽和結合を有する化合物を使用する場合、光重合開始剤としては露光時に活性ラジカルを生成する光ラジカル重合開始剤が好ましい。
また、前記(a)重合性化合物として前記のカチオン重合性の部位であるビニルエーテル構造、エポキシ環又はオキセタン環等を有する化合物を使用する場合、光重合開始剤としては露光時にルイス酸あるいはブレンステッド酸を生成する光酸発生剤が好ましい。
等が用いられる。
光ラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、1−クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等を挙げることができる。
クロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔2−(1−ヒドロキシブチル)〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕硫酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕等を挙げることができる。
ビスイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2’−ビスイミダゾール、及び2,2’−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビスイミダゾール等を挙げることができる。
(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム、及び3,3'−ジニトロフェニルヨードニウム等のヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、及びヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
ルスルホニウム等のスルホニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、及びヘキサフルオロアンチモネート等を挙げることができる。
本発明の2光子吸収重合性組成物は、(a)重合性化合物、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物及び(c)2光子吸収化合物、所望により(d)光重合開始剤を含み、これら(a)〜(d)成分を任意の混合比で混合することによって得ることができる。
(a)重合性化合物は、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物100質量部に対して、1〜100質量部の割合で使用することが好ましい。(a)重合性化合物が100質量部を超える場合は高い屈折率を得ることができなくなり、また1質量部未満の場合は十分な硬化物を得るためには長い露光時間を要することとなり好ましくない。
(c)2光子吸収化合物は、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部の割合で使用することが好ましく、0.1〜5質量部の割合で使用することがさらに好ましい。
また、(d)光重合開始剤が含まれる場合には、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部の割合で使用することが好ましく、0.1〜5質量部の割合で使用することがさらに好ましい。
これら有機溶剤使用の割合は、本発明の2光子吸収重合性組成物の総質量に対して、通常、質量比で0.1ないし10倍程度の範囲である。
護層を設けることもできる。これら支持体や保護層は、本発明の2光子吸収重合性組成物で構成される感光層が露光重合するために、光を透過させる場合には透明な物質である必要がある。
上記保護層としては、酸素による感度低下や保存安定性の劣化等の悪影響を防止するための公知技術、例えば、水溶性ポリマー等を塗布して用いることもできる。
レーザー光源としては、例えばアルゴンイオンレーザー(458nm、488nm、514.5nm)、クリプトンイオンレーザー(647.1nm)、Nd:YAGレーザー(532nm)、Nd:YVO4レーザー(532nm)、InGaNレーザー(405nm)、He−Cdレーザー(325nm、442nm)、近赤外フェムト秒Ti−サファイアレーザー(700〜1,000nm)、近赤外フェムト秒ファイバーレーザー等が使用される。
なお、好ましいレーザー照射強度は使用する光学装置によって異なるが、レーザーの照射強度が弱いと硬化不足となり、露光部分が細く弱くなり、波打つような形状となることがある。またレーザーの照射強度が強いと十分に硬化して露光部分が強固になるが、所望の大きさ(太さ)より太くなることがある。後述する実施例において使用した図1で表される光学装置を用いた系においては、対物レンズ7直近におけるレーザーの強度が8〜12mWであることが好ましい。
しかも本発明の2光子吸収重合性組成物より得られる硬化物(造形物)は高い屈折率を有するため、各種光デバイスに使用した際、該デバイスの物資及び性能面で大きな付加価値を与えることができる。
従って本発明の2光子吸収重合性化合物、並びに該光組成物を用いた光硬化方法並びに該組成物より得られる光デバイス構造体は、具体的には、高分子光導波路、高分子光ファイバー、光表示材料、回折格子、フォトニック結晶、マイクロリアクターなどの微細な光デバイスに有効に利用することができる。
2Lの反応フラスコに、クロロメチルスチレン[AGCセイミケミカル(株)製、CMS−14(商品名)]120g、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]181g、アセトン1,400gを仕込み、撹拌下、40℃で1
時間反応させた。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エバポレーターで反応溶液からアセトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエン/水系で分液後、−20℃の冷凍庫内でトルエン相から目的物を再結晶させた。再結晶物を濾過、真空乾燥して、白色粉末の目的物206g(収率97%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純度(面百値)は100%であった(融点56℃)。
300mLの反応フラスコに、参考例1で調製したN,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン108g、トルエン72gを仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を調製した後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL−100]を点灯し、内部照射による光重合反応を、撹拌下、室温で12時間行なった。次にこの反応液をメタノール3,000gに添加してポリマーを高粘度な塊状状態で再沈させた後、上澄み液をデカンテーションで除いた。さらにこのポリマーをテトラヒドロフラン300gに再溶解した後、この溶液をメタノール3,000gに添加してポリマーをスラリー状態で再沈させた。このスラリーを濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物48gを得た。
2Lの反応フラスコに、クロロエチルメタクリレート[ランカスター社製]100g、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]178g、アセトン1,100gを仕込み、撹拌下、40℃で14時間反応させた。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エバポレーターで反応溶液からアセトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末を1,2−ジクロロエタンに再溶解させ、1,2−ジクロロエタン/水系で分液後、1,2−ジクロロエタン相から1,2−ジクロロエタンを留去させて黄色液体の目的物171g(収率97%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純度(面百値)は96%であった。
300mlの反応フラスコに、N,N−ジエチルジチオカルバミルエチルメタクリレー
ト90g、トルエン90gを仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を調製した後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL−100]を点灯させ、内部照射による光重合反応を、撹拌下、室温で5時間行った。次にこの反応液をメタノール3,000gに添加してポリマーを高粘度な塊状状態で再沈させた後、上澄み液をデカンテーションで除いた。さらにこのポリマーをテトラヒドロフラン400gに再溶解させた後、この溶液をメタノール5,000gに添加してポリマーをスラリー状態で再沈させた。このスラリーを濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物44gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは43,200、分散度Mw/Mnは2.9であった。元素分析は、炭素50.8%、水素7.6%、窒素5.1%、硫黄25.6%であった。熱重量分析より5%重量減少温度は186℃であった。得られたHPEMAは式(6)で表される構造を有する(波長589nm(NaD線)における屈折率:1.611)。
2光子リソグラフィーは図1に示す光学装置を使用した。本光学装置は、光源1より近赤外フェムト秒レーザー(波長700〜800nm、周波数80MHz、パルス幅100フェムト秒未満)を矢印A方向にミラー2に向けて照射する。2光子リソグラフィーにおいては、2光子吸収過程で700〜800nmの波長を有する光子を同時に2個吸収するため、半波長である350〜400nmの紫外線領域の波長の吸収を励起できる。ミラー2に照射されたレーザーは、レンズ3を通過した後、ピンホール4内を通過する。続いて、前記レーザーはレンズ5を通過し、ミラー6によって分光される。分光された一部のレーザーは対物レンズ7(倍率100倍、開口数NA=0.9)へ向けて照射される。対物レンズ7は、図中矢印B方向に上下移動することによって、レーザーの集光点を調節する。集光点が調節されたレーザーは、試料8が塗布された基板9へ照射される。基板9はxyzステージ10上に配置されており、PC制御ステッピングモーターの採用によりx、y、z方向にそれぞれ高精度に移動することが可能であるため、試料8に対して3次元的な照射を行い、硬化反応を進めることができる。なお、ミラー6を介した基板9の反対側には、レンズ11及びCCDカメラ12が配置されており、試料8に対する硬化反応の様子を観察しながら、対物レンズ7及び基板9を移動させることができる。
(a)重合性化合物としてトリメチロールプロパン トリアクリレート(以下、TPTと略す)4.4mg、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物として参考例2で合成したHPS 22.0mg、及び(c)2光子吸収化合物として4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(エチルミヒラーズケトン、以下、EMKと略す)0.2mgを混合し、各成分の重量比(a)/(b)/(c)が20/100/1となる2光子吸収重合性組成物を得た。
次いで得られた組成物に、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物と同重量のγ−ブチロラクトン22.0mgを溶媒として加え、溶解させてワニスを調製した。
レーザー照射後、γ−ブチロラクトンで未反応組成物を洗浄し、カバーガラスを外した。得られた微細3次元構造を有する光硬化物を光学顕微鏡により観察したところ、所望の微細3次元構造が形成されていることを確認した。
観察した光硬化物の光学顕微鏡画像を図4に示す。
実施例1において、(a)、(b)、(c)の重量比及びスペーサー厚を、表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。何れの例においても、所望の微細3次元構造が形成されていた。
実施例1において、(a)、(b)、(c)の重量比及びスペーサー厚を、表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。何れの例においても、光硬化は起こらず所望の微細3次元構造は形成できなかった。
(a)重合性化合物としてTPT 39.0mg、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物として参考例2で合成したHPS 19.5mg、及び(c)2光子吸収化合物としてEMK 0.6mgを混合し、各成分の重量比(a)/(b)/(c)が200/100/3となる2光子吸収重合性組成物を得た。
次いで得られた組成物に、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物と同重量のトルエン19.5mgを溶媒として加え、溶解させてワニスを調製した。
この試験セルに、実施例1と同様にレーザーを照射し、微細3次元構造の光造形を試みた。
レーザー照射後、トルエンで未反応組成物を洗浄し、得られた微細3次元構造を有する光硬化物を光学顕微鏡により観察したところ、所望の微細3次元構造が形成されていることを確認した。
実施例25において、(a)、(b)、(c)の重量比を表2に示す値に変更した以外は実施例25と同様に行った。結果を表2に示す。何れの例においても、所望の微細3次元構造が形成されていた。
実施例25において、(a)、(b)、(c)の重量比を表2に示す値に変更した以外は実施例25と同様に行った。結果を表2に示す。比較例1〜2と同様、光硬化は起こらず所望の微細3次元構造は形成できなかった。
(a)重合性化合物としてTPT 132.9mg、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物として参考例4で合成したHPEMA 332.2mg、及び(c)2光子吸収化合物としてEMK 6.6mgを混合し、各成分の重量比(a)/(b)/(c)が40/100/2となる2光子吸収重合性組成物を得た。
次いで得られた組成物に、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物と同重量のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略す)332.2mgを溶媒として加え、溶解させてワニスを調製した。
レーザー照射後、PGMEAで未反応組成物を洗浄し、カバーガラスを外した。得られた微細3次元構造を有する光硬化物を光学顕微鏡により観察したところ、所望の微細3次元構造が形成されていることを確認した。光学顕微鏡画像を図5に示す。
実施例32において、(a)、(b)、(c)の重量比及びスペーサー厚を、表3に示す値に変更した以外は実施例32と同様に行った。結果を表3に示す。何れの例においても、所望の微細3次元構造が形成されていた。
実施例32において、(a)、(b)、(c)の重量比及びスペーサー厚を、表3に示す値に変更した以外は実施例32と同様に行った。結果を表3に示す。何れの例において
も、光硬化は起こらず所望の微細3次元構造は形成できなかった。
(a)重合性化合物としてTPT 35.0mg、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物として参考例4で合成したHPEMA 17.5mg、及び(c)2光子吸収化合物としてEMK 0.5mgを混合し、各成分の重量比(a)/(b)/(c)が200/100/3となる2光子吸収重合性組成物を得た。
次いで得られた組成物に、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物と同重量のトルエン17.5mgを溶媒として加え、溶解させてワニスを調製した。
レーザー照射後、トルエンで未反応組成物を洗浄し、得られた微細3次元構造を有する光硬化物を光学顕微鏡により観察したところ、所望の微細3次元構造が形成されていることを確認した。
実施例42において、(a)、(b)、(c)の重量比を表4に示す値に変更した以外は実施例42と同様に行った。結果を表4に示す。何れの例においても、所望の微細3次元構造が形成されていた。
実施例42において、(a)、(b)、(c)の重量比を表4に示す値に変更した以外は実施例42と同様に行った。結果を表4に示す。比較例4〜5と同様、光硬化は起こらず所望の微細3次元構造は形成できなかった。
(a)重合性化合物としてTPT 500mg、(b)ジチオカルバメート基含有高分
子化合物として参考例2で合成したHPS 1,000mg、及び(c)2光子吸収化合物としてEMK 10mgを混合し、各成分の重量比(a)/(b)/(c)が50/1
00/1となる2光子吸収重合性組成物を得た。
次いで得られた組成物に、シクロヘキサノン3.54gを溶媒として加え、溶解させてワニスを調製し、シリコン基板上に300rpm×5秒間、2,500rpm×30秒間でスピンコートした後、50℃で5分間、80℃で10分間乾燥し薄膜を形成した。
得られた薄膜について、入射角分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M−2000VI)を用いて、膜厚及び屈折率を測定した。結果を表5に示す。
実施例46において、(a)、(b)、(c)の重量比を表5に示す値に変更した以外は実施例46と同様に行った。結果を表5に示す。
実施例46において、(a)、(b)、(c)の重量比を表5に示す値に変更し、加えて形成した薄膜を20分間のUV照射により硬化させた以外は実施例46と同様に行った。結果を表5に示す。
TPT 10.0mg、ナノ学会第6会大会講演予稿集(2008年5月),p173記載のハイパーブランチポリマー100.0mg、及びEMK 0.1mgを混合した。
得られた組成物について、アッベ屈折計2T(株式会社アタゴ製)を用いて屈折率を測定したところ、波長589nm(NaD線)での屈折率は1.476であった。結果を表5に示す。
Claims (10)
- (a)重合性化合物、(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物及び(c)2光子吸収化合物、を含有することを特徴とする2光子吸収重合性組成物。
- 前記(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物のゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が、500ないし200,000である、請求項1記載の2光子吸収重合性組成物。
- 前記(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物が分枝状高分子である、請求項1又は請求項2に記載の2光子吸収重合性組成物。
- 前記(b)ジチオカルバメート基含有高分子化合物が式(1)で表される分枝状高分子である、請求項3記載の2光子吸収重合性組成物。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素原
子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、又は、R2とR3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよく、A1は式(2)又は式(3)を表し、nは繰り返し単
位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)
(式中、A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし3
0の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。) - 前記(a)重合性化合物がエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物である、請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組成物。
- 前記(a)重合性化合物がカチオン重合性の部位を有する重合性化合物である、請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組成物。
- 請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組成物を含有するワニス。
- 請求項7記載のワニスから作製される薄膜。
- 請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組成物に、そこに含有する(c)2光子吸収化合物が有する線形吸収帯より長波長で、かつ、線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して誘起された2光子以上の多光子吸収を利用して、該2光子吸収重合性組成物を重合させることを特徴とする光硬化方法。
- 請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の2光子吸収重合性組成物を、2光子吸収重合により硬化させることによって得られる光デバイス構造体。
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