JP2010064506A - 耐圧性に優れたエアバッグ - Google Patents

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Abstract

【課題】縫製部の特定の縫い目線に破断伸度の高い縫い糸を用いることにより、耐圧性に優れたエアバッグを提供する。
【解決手段】複数の基布裁断片を、複数列の縫製で結合してなるエアバッグであって、該複数列の縫製のうち、最内側の縫製が破断伸度40%以上の縫い糸を有しており、最外側の縫製が破断伸度30%以下の縫い糸を有しているエアバッグである。前記最内側縫製が、上糸として破断伸度40%以上の縫い糸を有していることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されるエアバッグ装置のためのエアバッグに関し、とくに耐圧性に優れたエアバッグに関する。
車両の運転席用、助手席用または側面衝突用などのエアバッグは、複数の基布裁断片を縫合して袋状に形成されたものであり、インフレーターから供給されるガスにより膨張する。
前記縫製部(外周縫製部)や、主に側面衝突用エアバッグの形状規制などのために施される縫製部(規制用縫製部)は、通常、本縫いや環縫いによりなされている。これら縫製部には、エアバッグ展開時に非常に大きな負荷がかかるため、針穴が広がる現象(目開き)がおきたり、針穴が繋がってしまい、内圧が低下するという現象がおきている。
特許文献1では、太さが315d〜2520dで、破断伸度が40〜60%、強度が5〜15g/dの縫い糸を用いてエアバッグの外周縫製を行っている。このような破断伸度の大きい縫い糸を用いることで、伏せ縫いではなく本縫いまたは環縫いによって、展開時に縫製部にかかる力を吸収することができるとしている。しかし、この方法では、高伸度の縫い糸のみを用いているため、展開時に縫製線が伸びて2枚の基布間に隙間が生じ、ガスリークすることがある。
また、特許文献2には、縫製と弾性接着剤とを併用して、耐圧性の向上を図っている。展開時に接合部位にかかる応力の強さは、エアバッグ形状、接合部位、バッグ内圧および展開時の温度などにより異なり、とくに、接着剤を用いるとその違いが顕著となる。そのため、縫製と接着剤とを併用しても、安定したエアバッグのエネルギー吸収性能が得られ難いという問題がある。
そこで、縫い線が複数列になるように縫製を施すことが行われている。エアバッグ展開時には、まず膨張する側(内側)の縫製部に応力がかかり、エネルギーがいくらか吸収されたのち、外側の縫製部に応力がかかる。そのため、最外の縫製部には、弱められた応力がかかるだけであり、目開きなどが生じにくくなるのである。
しかし、やはり内側の縫製部に非常に大きな応力がかかることには違いなく、内側の縫製部に生じた目開きからガスリークが発生し、さらには、拡大した針穴から熱ガスが抜け出ることで、縫製部周囲の基布が軟化し、場合によっては溶融する。そのため、隣接する縫い目が連結して大きな穴を形成し、エアバッグが破損することもある。
特開平7−237516号公報 特開2002−220017号公報
本発明は、前記課題を解決するものであり、縫製部の特定の縫い目線に破断伸度の高い縫い糸を用いることにより、耐圧性に優れたエアバッグを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、複数の基布裁断片を、複数列の縫製で結合してなるエアバッグであって、該複数列の縫製のうち、最内側の縫製が破断伸度40%以上の縫い糸を有しており、最外側の縫製が破断伸度30%以下の縫い糸を有しているエアバッグに関する。
前記最内側縫製が、上糸として破断伸度40%以上の縫い糸を有していることが好ましい。
前記縫製が、エアバッグ本体基布同士を結合する外周縫製であることが好ましい。
前記縫製が、膨張部の形状規制用の縫製であることが好ましい。
本発明によれば、部分的に高伸度の縫い糸を用いることで、エアバッグ膨張時のエネルギーを吸収し、エアバッグ内圧の急激な上昇を緩和して目開きや縫製部の破損を抑え、耐圧性に優れたエアバッグを提供することができる。
本発明は、複数の基布裁断片を、複数列の縫製で結合してなるエアバッグにおいて、該複数列の縫製のうち、最内側の縫製が破断伸度40%以上の縫い糸(以下、高伸度糸と称する)を有しており、最外側の縫製が破断伸度30%以下の縫い糸(以下、低伸度糸と称する)を有していることを特徴とする。
すなわち、複数列の縫製のうち、最内側(膨張側)に破断伸度の高い縫い糸を使用し、最外側には破断伸度の低い縫い糸を使用する。エアバッグ展開時には、まず、高伸度糸が伸びて応力を吸収する。また、この縫い糸自体が伸びるため、基布が縫い糸に引っ張られる力を緩和して、目開きを防止し、そこからのガスリークを防止することができる。そして最後に、低伸度糸が残った応力を吸収する。つまり、複数列の縫製によって応力を吸収するため、より耐圧性の高いエアバッグを得ることができる。
なお、最外側の縫製にも高伸度糸を用いると、エアバッグ展開時に、縫合された2枚の基布裁断片の間が開いてしまい、そこからガスリークが生じる。また、すべての縫製に低伸度糸を用いると、エネルギー吸収が余り期待できないため、縫製を複数列設けたことの効果がみられず、最外側の縫製に大きな応力がかかってしまい、やはりガスリークを抑制することができない。
縫製が3列以上ある場合、最内側と最外側との間にある縫製に使用される縫い糸については、とくに限定されず、高伸度糸であっても低伸度糸であっても、それらの併用であってもよい。なかでも、徐々に応力を緩和していくことができるという点で、最内側から最外側にかけて、徐々に伸度が低くなっていくことが好ましい。
前記高伸度糸の破断伸度は40%以上である。この破断伸度は、40〜80%であることが好ましく、40〜60%であることがより好ましい。破断伸度が40%より小さいと、縫い糸の伸びによるエネルギー吸収効果が低くなり、80%をこえると、縫い目が大きく開きすぎるため、縫合された基布間に大きな隙間が生じ、やはり内圧を維持することが難しくなる。
前記低伸度糸の破断伸度は30%以下である。この破断伸度は、10〜30%であることが好ましく、20〜30%であることがより好ましい。破断伸度が10%より小さいと、エアバッグの展開、膨張により変形する縫製部における基布の動きに追随することが難しくなり、縫製を維持することができなくなる傾向にあり、30%をこえると、縫合部に隙間が生じ、内圧を維持することが難しくなる。
また、前記高伸度糸を、最内側の上糸に用いることが好ましい。すなわち、最内側の上糸に高伸度糸を、下糸に低伸度糸を用いることが好ましい。つまり、基布間を通過する高伸度の上糸が伸びやすく、基布間を通過しない下糸が伸びにくいため、展開時には、基布ではなく縫製糸が引っ張られることになる。そのため、基布への負担がより小さくなって、目開きを抑制することができ、耐圧性がより向上することになる。
本発明で施される縫製は、運転席用、助手席用または側面衝突用エアバッグなどにおけるエアバッグ本体基布同士を結合するための外周縫製や、とくに側面衝突用エアバッグにおいては、膨張部の形状を規制するための形状規制用縫製として有用である。なかでも、袋体の耐圧性を左右する部分であり、耐圧性を高める効果を発揮し易いという点で、外周縫縫製として使用することが好ましい。
さらに、前記縫製は、取付口や排気孔の補強布縫製部、バッグ内部の吊紐やガス偏向布の縫いつけ固定部、エアバッグの外側に取り付けるストラップ、車体とりつけ固定用補強布、あるいはカーテンエアバッグなどに用いられるガス配管用円筒など、エアバッグ縫合部の任意の部位にも用いることができる。
本発明で使用される低伸度糸および高伸度糸(以下、あわせて単に縫い糸と称す)の強度は、7〜9cN/dtexであることが好ましい。強度が9cN/dtexをこえると、破断伸度が低くなる傾向にある。破断伸度が低くなりすぎると、逆に縫い目の強さが低下し易くなる。
前記縫い糸の単糸繊度は、1〜10dtexであることが好ましく、1〜8dtexであることがより好ましく、1.5〜7dtexであることがさらに好ましい。単糸繊度が10dtexより大きいと、縫製糸が硬くなる傾向にあり、縫製の作業性が悪化しやすい。また、単糸繊度が1dtexより小さいと、縫製工程において、縫い針やガイドなどとの摩擦で単糸切れなどが発生しやすくなる。
また、前記縫い糸の総繊度は、通常エアバッグ用縫い糸として使用されている範囲から、求められる縫い強さ、基布仕様、縫合部位などに応じて選定すればよく、500〜1500dtexであることが好ましい。
また、その種類は、一般に化合繊縫い糸、工業用縫い糸として用いられているもののなかから適宜選定すればよく、とくに限定されない。たとえば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのナイロン系、ポリエステル系、高分子ポリオレフィン系およびビニロン系などがあげられる。なかでも、高伸度である点で、ナイロン系であることが好ましい。
前記縫い糸を構成する繊維糸条の形態は、紡績糸、フィラメント糸または嵩高加工糸のいずれでもよく、単一もしくは複数の繊維糸条を合撚、合糸、回捲または加撚してもよい。さらに、繊維糸条に平滑性、集束性または柔軟性などを付与するために、必要に応じて、各種樹脂加工、オイリング処理加工、たとえば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの平滑剤、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリビニールアルコール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ変性樹脂などの集束剤を施してもよい。これらの樹脂付着量は、求められる性能と使用する樹脂特性とから選定すればよく、とくに限定されない。たとえば、繊維重量に対して2〜20%である。さらに、耐熱性などの性能を付与するために、無機性フィラー、たとえば、シリカ、ベントナイト、カーボン、炭化珪素、金属類、金属酸化物などの微粒子(ナノサイズ径粒子を含む)、微小針状物(気相成長法による)などを、前記樹脂液に混合し用いてもよい。
なお、これらの加工処理は、縫い糸を構成する前の繊維糸条に施してもよいし、繊維糸条から縫い糸を作成した後に施しても、両方の段階で施してもよく、縫い糸としての工程性、物理特性などから勘案して選定すればよい。
本発明で施される縫製は、運針数2〜8針/cmであることが好ましく、3〜6針/cmであることがより好ましい。運針数が2針/cmより少ないと、縫い目の強さが低くなる傾向にあり、8針/cmより多いと、縫製部強力は高くなるが、縫製部が盛り上がって硬くなり、エアバッグの折りたたみ容積が大きくなったり、縫製工程でのタクト時間が長くなり、生産性が悪くなったりする傾向にある。
前記縫製の縫い仕様は、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、篝縫い、安全縫い、千鳥縫いまたは扁平縫いなど、通常のエアバッグに適用されている仕様により行えばよく、とくに限定されない。なかでも、太い縫い糸用の縫製ミシンが揃っており、多くの縫製部位に適用できる点で、本縫い、二重環縫いが好ましい。
また、複数列施される縫製線の間の距離は、2〜5mmであることが好ましい。間が2mmより小さいと、縫製後の穴同士が接近するため、低伸度の縫い糸を用いた縫製線の縫製後の穴が、高伸度の縫い糸を用いた縫製線の縫製後の穴と結合してしまって、ガスリークし易くなる傾向にあり、5mmをこえると、低伸度の縫い糸を用いた縫製線と、高伸度の縫い糸を用いた縫製線との間が離れすぎるため、複数列を設けた効果が得られにくくなる傾向にある。複数列の縫製には、多針型ミシンを用いればよいが、一回の縫製部の距離が長くない場合には、1本針ミシンで複数回縫製してもよい。
本発明で使用される基布裁断片とは、エアバッグ本体基布、補強布、規制布およびストラップなど、エアバッグに用いられる基布片のことをいい、とくに限定されるものではない。
前記基布としては、織物、編物、組物、不織布、シート状物、ネット状物、あるいはこれらの複合物、積層物などがあげられ、要求性能を満たす材料であればいずれでもよい。以下、織物を例にしてさらに詳細を説明する。
前記織物としては、斜子織(バスケット織)、格子織(リップストップ織)、綾織、畝織、絡み織、模紗織、平織、あるいはこれらの複合組織などのいずれからなるものでもよい。なかでも、織物構造の緻密さ、物理特性および性能の均等性の点で、平織が好ましい。必要に応じて、経糸、緯糸の二軸以外に、斜め60度を含む多軸設計としてもよく、その場合の糸の配列は、経糸または緯糸と同じ配列に準じればよい。また、ジャカード装置を搭載した織機による多重織物を使用し、袋体を構成する接結部以外の部分の補強用として、本発明で施される縫製を適用してもよい。
前記織物の製造は、通常の工業用織物を製織するのに用いられる各種織機から適宜選定すればよい。たとえば、シャトル織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、プロジェクタイル織機などがあげられる。
また、前記基布を構成する繊維糸条は、天然繊維、化学繊維、無機繊維など、とくに限定されない。なかでも、汎用性があり、織物の製造工程、織物物性などの点で、合成繊維フィラメントであることが好ましい。たとえば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612などの単独、これらの共重合または混合により得られる脂肪族ポリアミド繊維、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9Tに代表される脂肪族アミンと芳香族カルボン酸との共重合ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単独、これらの共重合または混合によって得られるポリエステル繊維、超高分子量ポリオレフィン系繊維、ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの含塩素系繊維、ポリテトラフルオロエチレンを含む含フッ素系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリサルフォン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン系繊維(PEEK)、全芳香族ポリアミド系繊維、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリエーテルイミド系繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール系繊維(PBO)、ビニロン系繊維、アクリル系繊維、綿、麻、ケナフ繊維などのセルロース系繊維、ポリ乳酸、琥珀酸に代表される生分解性繊維、炭化珪素系繊維、アルミナ系繊維、ガラス系繊維、カーボン系繊維、スチール系繊維などから、適宜、1種または2種以上を選定すればよい。なかでも、物理特性、耐久性、耐熱性などの点で、ナイロン66繊維であることが好ましい。また、リサイクルの観点からは、ポリエステル系繊維またはナイロン6繊維が好ましい。
これらの繊維糸条には、紡糸性や、加工性、耐久性などを改善するために、通常使用さている各種の添加剤、たとえば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの1種または2種以上を使用してもよい。
前記繊維糸条の総繊度は、とくに限定されない。なかでも、200〜1000dtexであることが好ましく、250〜700dtexであることがより好ましい。200dtexより小さいと、エアバッグに求められる強度が得られにくい傾向にあり、1000dtexをこえると、重量が大きくなりすぎると同時に、基布の厚みが増大しバッグの収納性が悪くなるおそれがある。
また、その単糸繊度は、0.5〜6dtexであることが好ましく、0.5〜4dtexであることがより好ましい。単糸繊度を細くすることにより、基布の通気性が小さくなり、柔軟性も向上しエアバッグの折畳み性が改良される。さらに単糸の断面形状は、円形、楕円、扁平、多角形、中空、その他の異型など、糸および基布の製造工程、得られる基布物性などに支障のない範囲で適宜選定すればよい。また、繊維糸条の強度は、高いほど耐圧性の高いエアバッグが得られるが、8〜15cN/dtexであることが好ましく、9〜13cN/dtexであることがより好ましい。
また、エアバッグ本体基布は、不通気材料を用いないノンコート基布、不通気材料を用いたコート基布のいずれでもよく、要求される気密性に応じて選定すればよい。不通気材料とは、例えば以下に示すように、実質的に空気を通さないようにする材料のことであり、不通気とは、JIS L1096「一般織物試験方法」における8.27.1 A法(フラジール形法)において、測定値0.0のことをいう。この材料を、後述する方法により、織物の片面あるいは両面から付与する。この不通気材料は、基布の表面、基布を構成する糸束の交差部、または、繊維単糸の間隙部など、いずれに介在していてもよい。
付与量としては、片面10g/m以上であることが好ましい。また、層状となる場合は、その厚さは10μm以上であることが好ましい。付与量が片面10g/mより少ない、または、層の厚さが10μmより薄いと、必要な気密性を得ることが難しい傾向にある。また、上限は、気密性が確保できる範囲で、少ない量とすることが好ましく、たとえば、80g/mまたは厚さ80μmとすればよい。
前記不通気材料としては、通常、エアバッグ用基布に使用されている材料を用いればよく、耐熱性、摩耗性、基布との密着性、難燃性、不粘着性などを満足するものであればよい。たとえば、シリコーン系樹脂またはゴム、ポリウレタン系樹脂またはゴム(シリコーン変性、フッ素変性も含む)、フッ素系樹脂またはゴム、塩素系樹脂またはゴム、ポリエステル系樹脂またはゴム、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂などの1種または2種以上を使用することができる。なかでも、基布との密着性や気密性などの点で、シリコーン類またはポリウレタン類であることが好ましい。
前記不通気性材料の付与方法は、1)コーティング法(ナイフ、キス、リバース、コンマ、スロットダイ、リップなど)、2)浸漬法、3)印捺法(スクリーン、ロール、ロータリー、グラビアなど)、4)転写法(トランスファー)、5)ラミネート法、6)噴霧・噴射法などがあげられ、とくに限定されない。なかでも、設定できる付与量の幅が大きい点で、コーティング法が好ましい。
また、不通気性材料には主たる材料の他、加工性、接着性、表面特性あるいは耐久性などを改良するために、通常使用される各種の添加剤、たとえば、架橋剤、接着付与剤、反応促進剤、反応遅延剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、脆化防止剤、潤滑剤、平滑剤、粘着防止剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの1種または2種以上を混合してもよい。
前記不通気材料の液体としての性状は、塗布量、塗布法、材料の加工性や安定性、被覆材として要求される特性などに応じて、無溶媒型、溶媒型、水分散型、水乳化型、水溶性型などから適宜選定すればよい。
また、不通気性材料と本体基布との密着性を向上させるために、各種前処理剤、接着向上剤などを不通気処理剤に添加してもよいし、予め基布表面にプライマー処理などの前処理を施してもよい。さらに、前記不通気材料の物理特性を向上させたり、耐熱性、脆化防止性、耐酸化性などを付与するため、不通気処理剤を基布に付与した後、乾燥、架橋、加硫などを、熱風処理、加圧熱処理、高エネルギー処理(高周波、電子線、紫外線など)などにより行ってもよい。
さらに、外周縫合部などの縫い目からのガス抜けをさらに徹底して防ぐため、必要に応じて、シール剤、接着剤、粘着材などを縫い目の上部および/または下部、縫い目の間、縫い代部などに塗布、散布または積層してもよい。
本発明のエアバッグの仕様、形状および容量は、収納スペース、乗員の衝撃吸収性能、インフレーターの出力などに応じて選定すればよい。
また、エアバッグに乗員が当接した際のエネルギー吸収のため、一個または複数の排気穴、たとえば、直径10mm〜80mmの円形またはそれに相当する面積に、穴またはこれらの排気性能に相当するスリット、膜、弁などを設けてもよく、排気部の周囲には、補強布を接合、積層してもよい。さらに、乗員の頭部、顔面部へのエアバッグ突出による衝撃を抑制したり、膨張時の厚みを制御するために、エアバッグ内側に固定紐を設けてもよい。また、乗員の一部が当接した際に、主膨張部の内圧が急激に上昇することを抑えるために、主膨張部の外側に副膨張部を連通、または破断部を介して隣接するように設けてもよい。
本発明のエアバッグには、使用するインフレーターの特性に応じて、熱ガスから保護するための耐熱保護布や力学的な補強布をインフレーター噴出口周囲に設けてもよい。これらの保護布や補強布は、布自体が耐熱性の材料、たとえば、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、PBO繊維、ポリイミド繊維、含フッ素系繊維などの耐熱性繊維材料を用いてもよいし、エアバッグ本体と同じか本体用基布より太い糸を用いて別途作製した織物などの布帛類を用いてもよいし、該織物などの布帛類に耐熱性被覆材を施したものを用いてもよい。
エアバッグを収納する際の折畳み法もとくに限定されず、運転席用バッグのような中心から左右、上下対称の屏風折り、あるいは中心に向かって多方位から押し縮める折り方、助手席バッグのようなロール折り、蛇腹折り、屏風状のつづら折り、あるいはこれらの併用や、シート内蔵型サイドバッグのようなアリゲーター折りなどにより折畳めばよい。
本発明のエアバッグは、各種の乗員保護用バッグ、たとえば、運転席および助手席の前面衝突保護用、側面衝突保護用、後部座席保護用、追突保護用のヘッドレストバッグおよび着座者保護用、脚部・足部保護用のニーバッグおよびフットバッグ、乳幼児保護用(チャイルドシート)のミニバッグ、エアーベルト用袋体、カウルトップおよびバンパーに装着される歩行者保護用などの乗用車、商業車、バス、トラック、二輪車などの各用途の他、機能的に満足するものであれば、船舶、列車・電車などの鉄道輸送、飛行機・ヘリコプターなどの航空機、遊園地の遊具設備など多用途に適用することができる。
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。図1は、本発明の実施例における運転席エアバッグの模式平面図であり、図2は、同実施例エアバッグの外周縫製部断面図である。図3は、同実施例エアバッグの外周縫製断面拡大図であり、図4は、従来のエアバッグの外周縫製断面拡大図である。また、図5は、本発明における側部衝突用エアバッグの一部を示す模式平面図である。
実施例で作成したエアバッグは、図1のように、インフレーター取付口3とベントホール4とを有するエアバッグ本体取付口側布1と、この布1と同一外形のエアバッグ本体乗員側布2とからなっており、この取付口側布1および乗員側布2の外周縁部同士を縫合した後、表返すことにより構成されている。前記外周縫製5は、環縫い又は本縫いによって行った。
詳細には、以下の通りである。
エアバッグ用本体基布として、ナイロン66繊維(470dtex/144f)を使用し、作成した織密度53本/10cmであるノンコート基布(平織)を用い、外径がφ630mmである円形の本体パネルを2枚裁断した。一方の本体パネル中央部に、φ66mmのインフレーター取付口、ならびに、該取付口の中心から斜め上45度の線上170mmの位置にφ20mmの排気孔を2ヶ所(左右1対)に開口した。補強布としては、本体用基布と同仕様のノンコート基布および、ナイロン66繊維(470dtex/72f)を用いた織密度46本/10cmにシリコーン樹脂45g/mを塗布して得られたコート基布(平織り)を準備した。まず、インフレーター取付口の補強布として、外径φ224mm、内径φ66mmの環状布Aをコート基布から2枚、外径φ290mm、内径φ66mmの環状布Bをノンコート基布から2枚裁断した。
前記2枚のノンコ−ト環状布Bを、インフレーター取付け口に重ね合せ、内側からφ250mm、φ264mmの位置で円形に縫製した。その上からコート環状布A2枚を重ね合せ、φ80mmの位置で4枚の環状補強布を本体基布に円形に縫い合わせた。なお、環状布A、環状布Bの各補強布は、それぞれを縫い合わせる本体パネルの糸軸と平行になる位置に重ね合せ、環状布A・Bには穴間距離68mmにてφ5.5mmのボルト穴を4ヵ所に設けたものを用いた。環状補強布A、Bの本体パネルへの縫い付けには、上糸、下糸いずれも5番手糸(ナイロンの場合1400dtex、ナイロン以外の場合はナイロン1400dtex相当の太さ)として、運針数36針/10cmで本縫いにより行った。また、2枚の本体パネルは、パネルの糸軸を45度ずらして環状補強布の縫い付け面同士を重ね合せ、その外周部を、運針数36針/10cmとし、縫い目線間2.4mm、縫い代15mmとして二重環縫い2列にて縫合し、内径φ600mmの円形エアバッグを作成した。作成されたエアバッグをインフレーター取付け口から反転して、破裂試験に供試した。
エアバッグ破裂時の内圧は次のようにして求めた。
高圧窒素ガスによるエアバッグ破裂試験装置(伊藤精機社製、型式207、蓄圧タンク容量40リッター)にて、試作したエアバッグの破裂強度を測定し、N=3の平均値を求めた。結果は、実施例1を100とした時の相対値で表した。また、破裂後の外周縫製部の状態を観察した。
実施例1
前記外周縫製において、最内側(膨張側)の縫製に、上糸下糸ともに破断伸度50%、強度8cN/dtex、単糸繊度3dtex、総繊度1400dtex、ナイロン66糸を、最外側(非膨張側)の縫製に、破断伸度30%、強度8cN/dtex、単糸繊度6.8dtex、総繊度1400dtex、ナイロン66糸の縫い糸を使用した。その結果、目開きはみられず、本体基布の破損も少なかった。
実施例2
最内側(膨張側)の縫製の上糸に、破断伸度50%、強度8cN/dtex、単糸繊度3dtex、総繊度1400dtex、ナイロン66糸を、下糸に、破断伸度30%、強度8cN/dtex、単糸繊度6.8dtex、総繊度1400dtex、ナイロン66糸の縫い糸を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてエアバッグを得た。その結果、目開きはみられず、本体基布の破損も少なかった。
比較例1
前記外周縫製において、最内側(膨張側)および最外側(非膨張側)の縫製のすべてに、破断伸度30%、強度8cN/dtex、単糸繊度6.8dtex、総繊度1400dtex、ナイロン66糸の縫い糸を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてエアバッグを得た。その結果、目開きが起こり、内圧が低くなった。
比較例2
前記外周縫製において、最内側(膨張側)および最外側(非膨張側)の縫製のすべてに、破断伸度50%、強度8cN/dtex、単糸繊度3dtex、総繊度1400dtex、ナイロン66糸の縫い糸を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてエアバッグを得た。その結果、目開きは少ないものの、内圧が低くなった。
以上のように、破断伸度が50%の縫い糸を最内側(膨張側)の縫製線に使用することで(図3)、従来の破断伸度が30%の縫い糸を使用したエアバッグ(図4)に比べ、エアバッグ展開時に縫製部にかかる応力を緩和することが可能となる。さらに、縫い糸自体が伸びることで、基布が引っ張られる力が弱くなり、目開きを抑制することができ、より耐圧性に優れたエアバッグを得ることができる。
また、図5に、本発明における縫製を、側部衝突用エアバッグにおける膨張部の形状を規制するための形状規制用縫製として施した例を示す。
本発明の実施例における運転席エアバッグの模式平面図である。 前記実施例におけるエアバッグの外周縫製部断面図である。 前記実施例におけるエアバッグの外周縫製断面拡大図である。 従来のエアバッグの外周縫製断面拡大図である。 (a)は本発明における側部衝突用エアバッグの一部を示す模式平面図であり、(b)はさらにその一部を拡大した模式拡大図である。
符号の説明
1 エアバッグ本体取付口側布
2 エアバッグ本体乗員側布
3 インフレーター取付口
4 ベントホール
5 外周縫製
6 形状規制用縫製

Claims (4)

  1. 複数の基布裁断片を、複数列の縫製で結合してなるエアバッグであって、該複数列の縫製のうち、最内側の縫製が破断伸度40%以上の縫い糸を有しており、最外側の縫製が破断伸度30%以下の縫い糸を有しているエアバッグ。
  2. 前記最内側縫製が、上糸として破断伸度40%以上の縫い糸を有している請求項1記載のエアバッグ。
  3. 前記縫製が、エアバッグ本体基布同士を結合する外周縫製である請求項1または2記載のエアバッグ。
  4. 前記縫製が、膨張部の形状規制用の縫製である請求項1または2記載のエアバッグ。
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