JP2010063262A - リニアモータ駆動送り装置 - Google Patents

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Takeshi Moriyama
毅 森山
Naomasa Mukaide
尚正 向出
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Abstract

【課題】 基台の揺動を抑制して制御ゲインの高ゲイン化を図ることができる小型のリニアモータ駆動送り装置を提供する。
【解決手段】 リニアモータ駆動送り装置1は、基台7に対して移動可能に案内され可動ベース体111に対して相対移動可能な支持ベース体121と、支持ベース体と基台との間に支持ベース体の移動方向に作用するように取付けられたバネ要素およびダンパ要素20とを備えている。これにより、バネ要素およびダンパ要素が小型の反動相殺振動系を構築しているので、装置を小型化することができる。そして、反動相殺振動系の振動周波数はリニアモータの駆動周波数よりも大幅に小さくなるので、基台へ伝達される反動力はリニアモータの推力の数十分の一と極めて小さくなるので、基台を揺動させる力を非常に小さく抑えることができ、高精度な送り制御が可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リニアモータの駆動により送り対象を送るリニアモータ駆動送り装置に関する。
一般に、リニアモータは、例えば、特許文献1に記載されているように、軌道台(1)上に軌道台の全長に亘って延在するように設けられた矩形板状のコイルヨーク(15)と、このコイルヨーク上に一列に並べて配設された多数の電機子コイル(16)とを有する一次側と、軌道台上をスライドするスライドユニット(3)の下面側に固定されたマグネットヨーク(22)と、このマグネットヨークの下面側に固定され電機子コイルに各々対向する矩形板状の界磁マグネット(23)とを有する二次側とによって構成されている。
かかる界磁マグネットは、スライドユニットのスライド方向に沿って、NおよびSの磁極が複数、交互に並ぶように着磁されており、電機子コイルに所定の電流を供給することにより、一次側および二次側の両者間にフレミングの左手の法則による推力が生じ、スライドユニットが軌道台上をスライドされるようになっている。
特開平5−227729号公報(段落0017、0021、図3、4)
上記リニアモータを利用したリニアモータ駆動送り装置が開発されている。このリニアモータ駆動送り装置は、静圧軸受に支持された基台上に同一構成の主搬送装置と反動相殺用搬送装置が並設された構成となっている。主搬送装置および反動相殺用搬送装置は、リニアモータ、可動シャフトおよび2つの静圧軸受を備えている。可動シャフトはリニアモータのスライドユニットに貫通固定され、可動シャフトの両端が2つの静圧軸受に支持され、リニアモータの軌道台および2つの静圧軸受が基台上に固定されている。これにより、可動シャフトはリニアモータの駆動により軸方向に摺動するが、その摺動方向は主搬送装置と反動相殺用搬送装置とでは逆方向となっている。よって、主搬送装置の加減速により基台に反動力が作用しようとするが反動相殺用搬送装置にも同じ加減速が逆方向に加わるので、基台に作用する反動力が減少し基台の揺動の影響を緩和することができる。このようなリニアモータ駆動送り装置は例えば加工装置に適用されており、送り対象として工作物を加工する工具が取付けられている。
ところが、基台上には略同一の大きさの主搬送装置と反動相殺用搬送装置が並設されているためリニアモータ駆動送り装置が大型化するので、かかる装置の適用が可能な加工装置が制限されることになる。また、工具に作用する切削力等の外乱は、主搬送装置側には電流を誘起するが反動相殺用搬送装置側には電流が誘起されないので、この差が基台を揺動することになり加工精度を悪化させることになる。また、主搬送装置の動作時の推力は反動相殺用搬送装置により相殺されるが、制御ゲイン調整時では全く寄与しないため制御ゲインを高くとることが困難となるおそれがある。
本発明は、基台の揺動を抑制して制御ゲインの高ゲイン化を図ることができる小型のリニアモータ駆動送り装置を提供することである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、リニアモータの駆動により送り対象を送るリニアモータ駆動送り装置であって、前記送り対象を送るために移動可能に案内され移動方向と平行なマグネット取付け面を形成した非磁性材料からなる可動ベース体と、該可動ベース体のマグネット取付け面に取付けられたマグネット構成体と、基台に対して移動可能に案内され前記可動ベース体に対して相対移動可能な支持ベース体と、該支持ベース体のコイル取付け面に取付けられ前記マグネット構成体に前記可動ベース体の移動方向と直交する方向に対向するコイルと、前記支持ベース体と前記基台との間に前記支持ベース体の移動方向に作用するように取付けられたバネ要素およびダンパ要素と、を備えたことである。
請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記マグネット構成体は、前記可動ベース体の移動方向に間隔を有して前記マグネット取付け面に取付けられた第1および第2の主マグネットと、これら第1および第2の主マグネットの前記可動ベース体の移動方向の両側に配設され前記マグネット取付け面に取付けられた第1および第2の補助マグネットと、前記第1および第2の主マグネットの間に配設され前記マグネット取付け面に取付けられた第3の補助マグネットとからなり、前記第1の主マグネットは、前記可動ベース体の移動方向と直角な方向に着磁されて前記コイルに対向され、前記第2の主マグネットは、前記第1の主マグネットの着磁方向と平行な方向に着磁されかつ前記コイルに前記第1の主マグネットとは反対の磁極で対向され、前記第1および第2の補助マグネットは、磁力線の方向を偏向させるために、前記第1および第2の主マグネットとそれぞれ対向する側の磁極が、前記第1および第2の主マグネットの前記コイルに対向する側の磁極と同じになるよう配置され、前記コイルの束は、前記第1および第2の主マグネットの幅よりも大きな幅を有し、前記第1および第2の主マグネットに跨るループ状に形成されたロングコイルによって構成されていることである。
請求項1に係る発明によれば、支持ベース体と基台との間に支持ベース体の移動方向に作用するように取付けられたバネ要素およびダンパ要素が小型の反動相殺振動系を構築しているので、従来のような大型の反動相殺用搬送装置が不要となり、リニアモータ駆動送り装置を小型化することができる。そして、かかる反動相殺振動系の固有振動数はリニアモータの駆動周波数よりも大幅に小さくなるように設計してあるので、基台へ伝達される反動力はリニアモータの推力の数十分の一と極めて小さくなる。リニアモータはヨークレスであるため磁気吸引力による外乱は発生しないが、例え送り対象に外乱が作用してリニアモータに電流が誘起され、リニアモータに変動力が発生したとしても反動相殺振動系により大幅に減衰されるので、基台を揺動させる力を非常に小さく抑えることができ、高精度な送り制御が可能となる。また、制御ゲイン調整時に比較的帯域の広い電流がリニアモータに入力されたとしても、上記反動相殺振動系により比較的高い周波数はカットされるので、基台の揺動を抑えて位置検出手段の微振動を抑えることができ、高ゲイン化を図って高応答が可能となる。
請求項2に係る発明によれば、ロングコイルを備えたリニアモータであるため推力定数は一定になり、反動相殺振動系の作用により基台へ伝達される反動力はリニアモータの推力の数十分の一と極めて小さくなるため、高精度な送り制御が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(A),(B)に示す実施形態に係るリニアモータ駆動送り装置1は、リニアモータ10、2組のバネ要素およびダンパ要素20、一対のガイドレール30、2本の可動シャフト2、4つの静圧軸受3、補強シャフト4、ホルダプレート5およびリニアスケール6を備えており、これらが基台7上に設置されている。リニアモータ10の詳細は後述するが、ヨークレスであってロングコイルのボイスコイルモータである。このリニアモータ10の支持ベース体121は、平行配置された2組のバネ要素およびダンパ要素20を介して基台7に取付けられていると共に、一対のガイドレール30上に移動自在に載置されている。
バネ要素およびダンパ要素20は、スプリングおよび磁気ダンパもしくは油圧ダンパを備えており、各要素20の作用方向がガイドレール30上におけるリニアモータ10の移動方向となるようにリニアモータ10の支持ベース体121の右側端と基台7上に立設された基部7aとの間に取付けられている。一対のガイドレール30は、リニアモータ10の支持ベース体121との摺動面が低静摩擦となるように形成されており、リニアモータ10の移動方向と直交方向の支持ベース体121の幅より若干狭い間隔で基台7上に平行に配置固定されている。
2本の可動シャフト2は、シャフト軸方向がリニアモータ10の移動方向を向くようにしてリニアモータ10の可動ベース体111に平行に貫通固定されている。4つの静圧軸受3は、油静圧もしくは空気静圧の軸受であり、2本の可動シャフト2の各両端を支持可能なように基台7上に配置固定されている。補強シャフト4は、リニアモータ10の可動ベース体111の左側端から延在する2本の可動シャフト2の中間において可動シャフト2と平行に配置され、補強シャフト4の一端が可動ベース体111の左側端に固定されている。ホルダプレート5は、2本の可動シャフト2および補強シャフト4の左端面に固定され、送り対象が取付けられる。可動シャフト2、静圧軸受3、補強シャフト4およびホルダプレート5は、高剛性および軽量化のためアルミニウム(アルミニウム合金)で形成されている。リニアスケール6は、可動ベース体111の右端面に設けられており、送り対象の基台7に対する相対的な移動位置を検出するようになっている。
図2および図3に示すように、リニアモータ10は、低密度の非磁性体で中空の直方体状に形成された可動ベース体111および低密度の非磁性体で可動ベース体111を取り囲むように形成された支持ベース体121を有している。可動ベース体111は貫通固定された可動シャフト2によって図2の左右方向に移動可能となっており、支持ベース体121は可動ベース体111に対して図2の左右方向に相対移動可能となっている。なお、非磁性体としては、剛性が必要とされる場合には、アルミニウム(アルミニウム合金)等の金属が、また、剛性がそれほど必要とされない場合には、合成樹脂が好適である。
可動ベース体111には、移動方向に平行な4つのマグネット取付け面111a〜111dが形成され、各マグネット取付け面111a〜111dにマグネット構成体13a〜13dが取付けられている。可動ベース体111の周面に配設した各マグネット構成体13a〜13dに対向して、支持ベース体121の内面にはコイル取付け面121a〜121dがそれぞれ形成され、各コイル取付け面121a〜121dにコイル23a〜23dが取付けられている。コイル取付け面121a〜121dに取付けられる各コイル23a〜23dは、相互の干渉を避けるために、熱を加えると軟化して容易に曲げることができる自己融着線にて作成され、図3に示すように、各コイル23a〜23dの周方向の両端部23a1〜23d1が外方に折り曲げられた状態で、コイル取付け面121a〜121dに取付けられる。なお、コイル取付面121a〜121dの磁石からの磁束が鎖交する箇所は渦電流防止用の凹部121aa〜121daが形成されている。また、凹部121aa〜121daには、剛性アップのため高剛性の樹脂121ab〜121dbが充填されている。
各マグネット取付け面111a〜111dに取付けられたマグネット構成体13a〜13dおよび各コイル取付け面121a〜121dに取付けられたコイル23a〜23dは同一構成であるため、一のマグネット取付け面111aに取付けられたマグネット構成体13aおよびコイル取付け面121aに取付けられたコイル23aについて詳述する。図4および図5に示すように、マグネット構成体13aは、可動ベース体111の移動方向に間隔を有してマグネット取付け面111aに貼付けられた第1および第2の主マグネット15、16と、これら第1および第2の主マグネット15、16の可動ベース体111の移動方向の両側に配設されてマグネット取付け面111aに貼付けられた第1および第2の補助マグネット17、18と、第1および第2の主マグネット15、16の間に配設されてマグネット取付け面111aに貼付けられた第3の補助マグネット19とによって構成されている。
第1の主マグネット体15は、可動ベース体111の移動方向と直角な方向に着磁され、N極側をマグネット取付け面111aに貼付けられ、S極側を後述するコイル23に対向されている。また、第2の主マグネット体16は、可動ベース体111の移動方向と直角な方向に着磁され、S極側をマグネット取付け面111aに貼付けられ、N極側を後述するコイル23に対向されている。このように、互いに平行な方向に着磁された第1および第2の主マグネット体15、16が、磁極を反対にして可動ベース体111のマグネット取付け面111aに取付けられている。
第1および第2の主マグネット体15、16の両側に配設された第1および第2の補助マグネット17、18は、可動ベース体111の移動方向にそれぞれ着磁され、その磁極は、第1および第2の主マグネット体15、16を通過する磁力と反発する関係に配設されている。すなわち、第1の主マグネット体15に隣接して配設された第1の補助マグネット17は、第1の主マグネット体15に対向する側の磁極が、第1の主マグネット15のコイル23に対向する側の磁極(S極)と同じになるよう配置されている。同様に、第2の主マグネット体16に隣接して配設された第2の補助マグネット18は、第2の主マグネット体16に対向する側の磁極が、第2の主マグネット16のコイル23に対向する側の磁極(N極)と同じになるよう配置されている。
第1および第2の主マグネット体15、16の間に配設された第3の補助マグネット19は、可動ベース体111の移動方向にそれぞれ着磁され、第1の主マグネット体15に対向する側がS極に、第2の主マグネット体16に対向する側がN極に配置されている。上記した第1および第2の主マグネット15、16、第1、第2および第3の補助マグネット17、18、19からなるマグネット構成体13、ならびにマグネット構成体13を取付けた可動ベース体111によって、リニアモータの固定側の一次側要素に対して相対移動可能な可動側の二次側要素を構成している。
コイル23aは、第1および第2の主マグネット15、16に対向してコイル取付け面121aに固着されている。コイル23aは、図5の二点鎖線で示すように、第1および第2の主マグネット15、16に跨る矩形のループ形状に平角線あるいは丸線を積層状態で巻回したものである。可動ベース体111の移動方向におけるコイル23aの束の幅CWは、図6に示すように、主マグネット15(16)の幅MWより大きく構成され、可動ベース体111が所定の移動範囲移動しても、コイル23aの束の幅CW内より主マグネット15(16)が可動ベース体111の移動方向にはみ出さないように構成されている。すなわち、コイル23aは、いわゆるロングコイルで構成され、コイル23aの束の幅CWから主マグネット15(16)の幅MWを差し引いた量W1(W1/2+W1/2)は、可動ベース体111の移動範囲よりも大きく設定されている。コイル23aおよびこれを取付けた支持ベース体121によって、リニアモータの固定側の一次側要素を構成している。
次に、リニアモータ10の動作について図7を参照して一のマグネット取付け面111aに取付けられたマグネット構成体13aおよびコイル取付け面121aに取付けられたコイル23aに着目して説明する。第1の主マグネット15、第3の補助マグネット19および第2の主マグネット16を通る磁気回路MCが形成され、コイル23aに所定の電流を供給すると、フレミングの左手の法則に従って、可動ベース体111に推力が発生され、可動ベース体111は電流の供給方向に応じて、図7の左右方向に移動される。
この際、第1および第2の主マグネット15、16の両側に配設された第1および第2の補助マグネット17、18は、主マグネット15、16を通る磁力に反発するように配置されているため、第1の主マグネット15を通過した推力方向と直交する方向の磁力線は、第3の補助マグネット19のS極に向かう推力方向に偏向され、第1の補助マグネット17によって、第1の主マグネット15から図7の右方へ漏洩する磁束を防止できる。さらに、第3の補助マグネット19のN極より出た磁力線は、第2の主マグネット16を通過して、コイル23aに向かう推力方向と直交する方向にほとんどが偏向され、第2の補助マグネット18によって、第2の主マグネット16から図7の左方へ漏洩する磁束を防止できる。
このため、コイルヨークおよびマグネットヨークをまったく用いずに磁気回路を構成することができ、コイルヨークおよびマグネットヨークに代えて、アルミニウム製あるいは合成樹脂製等の低密度の非磁性材料を用いることができるようになる。従って、可動側となる二次側要素の軽量化を達成でき、応答性を向上できるとともに、高速化を可能にでき、また、固定側となる一次側要素の軽量化も達成できるため、リニアモータ10全体の軽量化を可能にできる。しかも、コイル23aをロングコイルにて構成したので、コイル23aに対してマグネット構成体13aが相対移動しても、コイル23aの主マグネット15、16と対向する左右の辺部を横切る磁束をほぼ一定値に維持することができ、コイル23aに印加した電流量に対して可動ベース体111に発生する推力を略一定に確保できるようになる。また、支持ベース体121をアルミニウム合金とし、水冷構成とすれば、冷却性能を向上することもできる。
特に図2および図3に示すように、可動ベース体111の周面に複数のマグネット構成体13a〜13dを配設したことにより、可動ベース体111の移動方向の長さを大きくすることなく、可動ベース体111に作用する推力を増大することができる。しかも、コイルヨークの廃止により、コイルヨークによる磁気吸引力の発生もなくなるため、マグネット構成体13a〜13dを可動ベース体111の周りに複数配設しても、可動ベース体111に磁気吸引力による悪影響を及ぼさないようにすることができ、可動ベース体111の位置精度を向上することができるとともに、コイル23a〜23dの厚みを大きくできることにより、導体抵抗を小さくでき、発熱を抑えることができるようになる。なお、支持ベース体121をアルミニウムもしくはアルミニウム合金にて構成する場合には、渦電流の発生を抑えるために、支持ベース体121のコイル取付け面121a〜121dにスリット溝(凹部121aa〜121da)等を形成することが望ましい。
以上のような構成のリニアモータ駆動送り装置1によれば、バネ要素およびダンパ要素20が小型の反動相殺振動系を構築しているので、従来のような大型の反動相殺用搬送装置が不要となり、リニアモータ駆動送り装置1を小型化することができる。
また、バネ要素およびダンパ要素20でなる反動相殺振動系の振動周波数はリニアモータ10の駆動周波数よりも大幅に小さくなるので、数1で表される基台7へ伝達される反動力Fはリニアモータ10の推力Aの数十分の一と極めて小さくなる。そして、リニアモータ10は、ロングコイルを備えているため推力定数は一定になる。このため、例え送り対象に外乱が作用してリニアモータ10に電流が誘起され、リニアモータ10に変動力が発生したとしても大幅に減衰されるので、基台7を揺動させる力を非常に小さく抑えることができ、高精度な送り制御が可能となる。なお、リニアモータ10は、ヨークレスであるため磁気吸引力による外乱は発生しない。
(数1)
F=√(1+(2ζω/ωn)^2)/((1−(ω/ωn)^2)^2
+(2ζω/ωn)^2)A
ここで、ζはバネ要素およびダンパ要素20でなる反動相殺振動系の減衰比、ωはリニアモータ10の駆動周波数、ωn^2はバネ要素の係数kとリニアモータ10の質量mの比(k/m)、2ζωnはダンパ要素の係数cとリニアモータ10の質量mの比(c/m)、Aはリニアモータ10の推力である。
また、制御ゲイン調整時に比較的帯域の広い電流がリニアモータ10に入力されたとしても、バネ要素およびダンパ要素20でなる反動相殺振動系により比較的高い周波数はカットされるので、基台7の揺動を抑えてリニアスケール6の微振動を抑えることができ、高ゲイン化を図って高応答が可能となる。
このようなリニアモータ駆動送り装置1は図8に示す加工装置に適用することができる。この加工装置40のベッド41上には、テーブル42が水平なX軸方向に例えば、油静圧を介して移動可能に案内支持され、テーブル42上には、リニアモータ駆動送り装置1が固定されている。また、ベッド41上には、テーブル42と対向してZ軸方向に移動自由な主軸送り軸を介して主軸台44が配置されている。主軸台44には、工作物Wの一端を把持するチャック45がリニアモータ駆動送り装置1と対向するように設けられている。工作物Wは、チャック45によってZ軸方向と平行なC軸周りに回転駆動されるようになっている。そして、図1に示すリニアモータ駆動送り装置1のホルダプレート5の外側面中央、すなわち補強シャフト4が固定されている面とは反対側の面であって補強シャフト4と対向する位置には、図8に示す切削工具(バイト)46が工作物W側にZ軸と平行なW軸方向に突出するように取付けられている。
ここで、図8の平面拡大図に示すように、リニアモータ駆動送り装置1は、2本の可動シャフト2の中心2aが工作物Wの回転中心OからX軸方向(図示左右方向)に延びる線L上に位置するように工具台43に固定されている。これにより、切削工具46を両側と中央部で支持できるので、動剛性を高めて加工を高精度に行うことができる。
なお、切削工具46の先端位置は工作物Wの回転中心OからX軸方向(図示左右方向)に延びる線L上に位置させたままで、2本の可動シャフト2をその中心2aが線Lと直交し、かつ切削工具46の先端位置を通る垂直線上に位置するように配置しても切削工具46を上下で支持できるので、切削方向の剛性を高めて加工を高精度に行うこともできる。また、切削工具46の先端位置は工作物Wの回転中心OからX軸方向(図示右方向)に延びる線L上に位置させたままで、3本の可動シャフト2の中心2aが切削工具46の先端位置を重心位置とした正三角形の頂点に位置するように配置すれば、切削工具46の切削方向の剛性をさらに高めて加工をさらに高精度に行うことができる。
(A)および(B)は本発明の実施形態に係るリニアモータ駆動送り装置の全体を示す上面図および側面図である。 図1のリニアモータを示す概要図である。 図2のA−A線に沿って切断した断面図である。 図2のリニアモータの一部を示す概要図である。 図4のB−B線に沿って矢視した図である。 図4のリニアモータのコイルの束の幅を示す図である。 図4のリニアモータの磁気回路を示す図である。 図1のリニアモータ駆動送り装置を適用した加工装置を示す斜視図である。
符号の説明
1…リニアモータ駆動送り装置、2…可動シャフト、3…静圧軸受、4…補強シャフト、5…ホルダプレート、6…リニアスケール、7…基台、10…リニアアクチュエータ、20…ダンパ要素、30…ガイドレール、40…加工装置、111…可動ベース体、111a〜111d…マグネット取付け面、13a〜13d…マグネット構成体、15、16…主マグネット体、17、18、19…補助マグネット、121…支持ベース体、121a〜121d…コイル取付け面、23、23a〜23d…コイル。

Claims (2)

  1. リニアモータの駆動により送り対象を送るリニアモータ駆動送り装置であって、
    前記送り対象を送るために移動可能に案内され移動方向と平行なマグネット取付け面を形成した非磁性材料からなる可動ベース体と、
    該可動ベース体のマグネット取付け面に取付けられたマグネット構成体と、
    基台に対して移動可能に案内され前記可動ベース体に対して相対移動可能な支持ベース体と、
    該支持ベース体のコイル取付け面に取付けられ前記マグネット構成体に前記可動ベース体の移動方向と直交する方向に対向するコイルと、
    前記支持ベース体と前記基台との間に前記支持ベース体の移動方向に作用するように取付けられたバネ要素およびダンパ要素と、を備えたことを特徴とするリニアモータ駆動送り装置。
  2. 請求項1において、前記マグネット構成体は、前記可動ベース体の移動方向に間隔を有して前記マグネット取付け面に取付けられた第1および第2の主マグネットと、これら第1および第2の主マグネットの前記可動ベース体の移動方向の両側に配設され前記マグネット取付け面に取付けられた第1および第2の補助マグネットと、前記第1および第2の主マグネットの間に配設され前記マグネット取付け面に取付けられた第3の補助マグネットとからなり、
    前記第1の主マグネットは、前記可動ベース体の移動方向と直角な方向に着磁されて前記コイルに対向され、前記第2の主マグネットは、前記第1の主マグネットの着磁方向と平行な方向に着磁されかつ前記コイルに前記第1の主マグネットとは反対の磁極で対向され、
    前記第1および第2の補助マグネットは、磁力線の方向を偏向させるために、前記第1および第2の主マグネットとそれぞれ対向する側の磁極が、前記第1および第2の主マグネットの前記コイルに対向する側の磁極と同じになるよう配置され、
    前記コイルの束は、前記第1および第2の主マグネットの幅よりも大きな幅を有し、前記第1および第2の主マグネットに跨るループ状に形成されたロングコイルによって構成されていることを特徴とするリニアモータ駆動送り装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012140244A (ja) * 2010-12-15 2012-07-26 Toray Eng Co Ltd 振動浮上装置及び振動浮上搬送装置
CN108400692A (zh) * 2018-04-12 2018-08-14 安徽大学 永磁同步直线电机中的电磁阻尼弹簧结构
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