JP2010061565A - 画素補間装置、画素補間方法および画像読取装置 - Google Patents

画素補間装置、画素補間方法および画像読取装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スクリーン画像においても自然な繋がりで欠落画素を補間することのできる画素補間装置等を提供する。
【解決手段】画像補間処理部30は、欠落画素の周辺画素から欠落画素の濃度の推定値を求めるプレ補間部31と、プレ補間部31で求めた推定値を濃度値とする欠落画素を含む第1の二次元領域内の画素の濃度の平均値である第1平均値と、欠落画素の近傍であって欠落画素を含まない第2の二次元領域の濃度の平均値である第2平均値とを求め、第1平均値と前記第2平均値との差がなくなるもしくは小さくなるように、第1の二次元領域内の欠落画素に係る推定値を補正する平均補正部32とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、欠落画素を補間する画素補間装置、画素補間方法および画像読取装置に関する。
原稿画像を光学的に読み取る画像読取装置に用いられる密着型ラインイメージセンサ(Contact Image Sensor,以下CIS)は、1ライン分の読み取り長を直列に並べた複数のセンサチップで分担するように構成されており、物理的制約上、センサチップ同士のつなぎ目部分に約1画素分の撮像素子が存在しない部分があり、画像を読み取ることのできない欠落画素が1画素分発生する。たとえば、斜め線を欠落画素のない部分で読み取ると図13aのようになるが、同じ斜め線を欠落画素のある個所で読み取ると、図13bのように×印を付した部分の画素が欠落してしまう。図中の白丸は実在の白画素、黒丸は実在の黒画素、×印は欠落画素を示している。
このような欠落画素の生じる密着型ラインイメージセンサの出力する画像データを、欠落画素の発生を考慮せずにそのまま使用すると、図13cに示すようになり、欠落画素部分において不自然なスジが発生してしまう。そこで、1次元方向(たとえば、密着型ラインイメージセンサのライン方向)の近傍画素との連続性を維持するような方法で欠落画素を補間し、スジを見え難くすることが行われる。
たとえば、欠落画素を含む一次元方向の所定範囲(たとえば、ラインイメージセンサの読み取りライン方向で欠落画素とその左右の各1画素)の平均値と、欠落画素を含まない欠落画素近傍の一次元方向の所定範囲(たとえば、ラインイメージセンサの読み取りライン方向で欠落画素を挟む左右の3画素)の平均値とが一致するように欠落画素の補間値を定める補間方法がある(たとえば、特許文献1参照。)。
特開2005−117291号公報
一次元方向の周辺画素から欠落画素の補間値を求める方法では、スクリーン画像(網点画像)のように、二次元領域(たとえば、4×4)のスクリーンパターンによる周期性を有する画像の場合、不自然なスジ状のモアレが発生して著しい画質の劣化を招くことがある。たとえば、図14は、スクリーン画像に含まれる欠落画素をその水平方向の周辺画素で補間する処理を施した画像であり、補間位置Aにおいて不自然なモアレが発生している。
欠落画素を含む所定範囲の平均濃度と欠落画素を含まない欠落画素近傍の所定範囲の平均濃度とが一致するように欠落画素の濃度を決定する特許文献1に開示の補間法では、所定範囲を広げたり、そのサイズを選定したりすることでスクリーンパターンの周期性に対応させようとしているが、この補間法の場合、欠落画素を含む所定範囲には、濃度値が不定な画素である欠落画素を1画素しか含めることはできない。
すなわち、値の不定な欠落画素を2画素以上含めると、欠落画素を含む領域の濃度平均値と欠落画素を含まない領域の濃度平均値とを一致させるという条件のみでは、複数の欠落画素の濃度を個別に決定することはできず、これら複数の欠落画素を同一の濃度に補間するしかなく、最適な補間はできない。したがって、特許文献1の補間法では、平均値を求めるための所定範囲は一次元領域に制限されるので、二次元的な広がりを有するスクリーンパターンの周期性に対応した適切な補間は難しい。また、一次元の所定範囲を広くすると、同じ画素数を二次元領域で得る場合に比べて、所定範囲の端部の画素が欠落画素から遠くなるので、欠落画素との関連性が希薄になり、欠落画素の濃度を推定するための周辺画素としては好ましくない。
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、スクリーン画像を処理対象とする場合にも、自然な繋がりで欠落画素を補間することのできる画素補間装置、画素補間方法および画像読取装置を提供することを目的としている。
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]欠落画素の周辺画素から前記欠落画素の濃度の推定値を求める補間部と
前記補間部で求めた推定値を濃度値とする欠落画素を含む第1の二次元領域内の画素の濃度の平均値である第1平均値と、前記欠落画素の近傍であって前記欠落画素を含まない第2の二次元領域の濃度の平均値である第2平均値とを求め、前記第1平均値と前記第2平均値との差がなくなるもしくは小さくなるように、前記第1の二次元領域内の欠落画素に係る前記推定値を補正する補正部と
を有する
ことを特徴とする画素補間装置。
上記発明では、補間部で求めた推定値を欠落画素に対する暫定の濃度値に使用して、欠落画素を含む二次元領域の濃度の平均値と欠落画素を含まないその近傍の二次元領域の濃度の平均値とを求め、これらの差がなくなるように、欠落画素の暫定濃度として与えた推定値を補正している。
[2]欠落画素の周辺がスクリーン画像領域か否かを判別する判別部を備え、
前記判別部によって周辺がスクリーン画像領域であると判定された欠落画素については前記補間部で求めた推定値を前記補正部で補正した値をその欠落画素の濃度値とし、前記判別部によって周辺がスクリーン画像領域でないと判定された欠落画素については前記補間部で求めた推定値をその欠落画素の濃度値とする
ことを特徴とする[1]に記載の画素補間装置。
上記発明では、欠落画素がスクリーン画像領域にない場合は補間部で求めた推定値をその欠落画素の濃度値として使用し、欠落画素がスクリーン画像領域にある場合は補正部によって補正された値をその欠落画素の濃度値として使用する。
[3]処理対象の画像内における前記欠落画素の位置情報が予め与えられている
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画素補間装置。
上記発明では、与えられた位置情報の示す位置に欠落画素が存在するとして、該欠落画素の補間処理を行う。
[4]前記補間部は、欠落画素の近傍の一次元方向の周辺画素を参照して前記欠落画素に関する濃度の推定値を求める
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の画素補間装置。
上記発明では、補間部は一次元方向の周辺画素から欠落画素の濃度の推定値を求める。
[5]前記補正部は、前記第1平均値と前記第2平均値との差がなくなるもしくは小さくなるように、前記第1の二次元領域内の欠落画素に係る前記推定値を補正する動作として、前記第1平均値と前記第2平均値との差分を前記第1の二次元領域に含まれる画素数倍し、その値を前記第1の二次元領域内にある1または複数の欠落画素に分配し、該分配した値をその分配先の欠落画素の推定値に加算する処理を行う
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画素補間装置。
[6]所定方向の一次元に並ぶ複数画素分の読み取り領域を備えた複数のセンサチップが前記所定方向に直列に配置されかつ前記センサチップ同士の境界で欠落画素の生じるラインイメージセンサを有し、該ラインイメージセンサと原稿とを相対移動させて前記原稿を二次元に光学的に読み取る読取部と、
前記読取部で原稿を読み取って得た画像データの欠落画素を補間する[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の画素補間装置と
を有する画像読取装置。
[7]欠落画素の周辺画素から前記欠落画素の濃度の推定値を求め、
前記推定値を濃度値とする欠落画素を含む第1の二次元領域内の画素の濃度の平均値である第1平均値と、前記欠落画素の近傍であって前記欠落画素を含まない第2の二次元領域の濃度の平均値である第2平均値とを求め、
前記第1平均値と前記第2平均値との差がなくなるもしくは小さくなるように、前記第1の二次元領域内の欠落画素に係る前記推定値を補正する
ことを特徴とする画素補間方法。
本発明に係わる画素補間装置、画素補間方法および画像読取装置によれば、スクリーン画像を処理対象とする場合にも、自然な繋がりで欠落画素を補間することができる。
以下、図面に基づき本発明の各種実施の形態を説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる画像読取装置の機能が組み込まれたデジタル複合機10の概略構成を示すブロック図である。デジタル複合機10は、原稿を光学的に読み取って得た画像の複製を記録紙上に形成して印刷出力するコピー機能や、読み取った原稿画像をファイルとして出力したり保存したりするスキャン機能、外部端末から受信した印刷データに基づいて用紙上に画像を形成して出力するプリンタ機能などを備えた装置である。
デジタル複合機10は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得するスキャナ部11と、スキャナ部11の有する密着型のラインイメージセンサ12から出力されるアナログの画像データを量子化してデジタルの画像データに変換するA/D変換部13と、A/D変換部13から出力される画像データを入力し、ラインイメージセンサ12の読み取り画像にある欠落画素を補間する画像補間処理部30と、画像補間処理部30の出力する補間後の画像データに対して各種の画像処理を施す読み取り系画像処理部14と、画像メモリ15に対するデータのリード・ライトなどを制御するメモリ制御部16と、画像データの圧縮および伸張を行う圧縮/伸張器18と、圧縮/伸張器18で圧縮された画像データもしくは非圧縮の画像データを保存するハードディスク装置(HDD)19と、画像データに対してプリント出力のための各種画像処理を施す出力系画像処理部21と、出力系画像処理部21から出力される画像データに基づいて記録紙上に画像を形成してプリント出力するプリンタ部22とを備えている。
さらにデジタル複合機10はPCI(Peripheral Component Interconnect)バスなどで構成されたシステムバス23を備えており、該システムバス23に、当該デジタル複合機10を統括制御する機能を果たすCPU(Central Processing Unit)24と、CPU24が実行するプログラムや各種のデータを書き換え可能で不揮発に記憶するフラッシュメモリ25と、CPU24がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用されるRAM(Random Access Memory)26と、操作表示部27と、ネットワークI/F部28と、前述のメモリ制御部16とが接続されている。
操作表示部27は、表面にタッチパネルを備えた液晶ディスプレイと各種の操作スイッチから構成され、ユーザに各種の案内表示や状態表示を行ったり、ユーザから各種の操作を受け付けたりする機能を有している。
ネットワークI/F部28は、LAN(Local Area Network)などのネットワークと接続されて外部装置とデータの授受を行う機能を果たす。
スキャナ部11は、図示省略の自動原稿送り装置によって読み取り対象の原稿を搬送し、その搬送経路の途中に配置された密着型のラインイメージセンサ12を用いて、いわゆる流し読み方式で原稿画像を二次元に読み取る。すなわち、図2に示すように、ラインイメージセンサ12は、主走査方向(X)の1ライン分に対応する読み取り領域を備えており、原稿3の搬送方向は、主走査方向(X)に対して直行する副走査方向(Y)にされており、原稿3がラインイメージセンサ12の受光部上を通過する際にラインイメージセンサ12によるライン単位の読み取り動作を繰り返し行うことで原稿3を2次元画像として読み取るようになっている。なお、原稿3とラインイメージセンサ12とは副走査方向に相対移動すればよく、原稿3をプラテンガラス上に載置した状態でラインイメージセンサ12を副走査方向に移動させるように構成されてもよい。
ラインイメージセンサ12は、主走査方向の一次元に並ぶ複数画素分の読み取り領域を備えたセンサチップ12aを主走査方向に直列に複数配置して構成されている。センサチップ12a同士の境界では、その境界を挟む両側の読み取り画素Pの間隔Laは各センサチップ12aにおける画素ピッチLbより長く(Lbのほぼ2倍)なっており、この境界部分において1画素分の欠落(この欠落している画素を欠落画素Kとする)が生じている。
図1に戻って説明を続ける。読み取り系画像処理部14は、画像補間処理部30から出力される補間後の画像データに対して、各種のフィルタ処理などの画像処理を施す。
メモリ制御部16は、読み取り系画像処理部14および画像メモリ15、圧縮/伸張器18、出力系画像処理部21、システムバス23の間でのデータの受け渡しを管理し制御する機能を備えている。詳細には、読み取り系画像処理部14から出力された画像データを入力する機能、画像メモリ15に対してアドレス信号やタイミング信号などを与えて画像メモリ15へのデータの書き込み及び読み出しを制御する機能、圧縮/伸張器18との間でデータを授受する機能、画像メモリ15に記憶されている画像データを出力系画像処理部21に出力する機能、システムバス23側と画像データや制御データを授受する機能などを果たす。
出力系画像処理部21は、メモリ制御部16からの画像データに対して、ガンマ変換、周波数変換、PWM変換などの画像処理を施す機能およびプリンタ部22からのタイミング信号に同期させて画像データを順次プリンタ部22へ送出するタイミング制御機能などを果たす。
プリンタ部22は、出力系画像処理部21から入力された画像データに対応する画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力するものである。プリンタ部22は、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。他の方式のプリンタであってもかまわない。
このデジタル複合機10において、たとえば、原稿を複写するコピージョブを実行する場合、読取動作と出力動作が行われる。読取動作では、スキャナ部11で原稿を読み取り、その読み取って得た画像データに対して画像補間処理部30で欠落画素の補間を行い、補間後の画像データを読み取り系画像処理部14で処理し、圧縮/伸張器18で圧縮した後、あるいは非圧縮のまま、画像メモリ15またはハードディスク装置19に記憶する。出力動作では、記憶された画像データを画像メモリ15またはハードディスク装置19から順次読み出し、非圧縮の場合はそのまま、圧縮されている場合は圧縮/伸張器18で伸張した後、出力系画像処理部21で処理した画像データをプリンタ部22に出力し、該プリンタ部22は該画像データに対応する画像を記録紙に形成して印刷出力する。
図3は、ラインイメージセンサ12による読み取り画像の欠落画素を補間する画像補間処理部30の構成を示している。画像補間処理部30は、プレ補間部31と平均補正部32とを備えている。プレ補間部31にはスキャナ部11のラインイメージセンサ12で読み取って得た処理対象の画像データが入力される。処理対象の画像データは各画素が複数階調で表された多階調の画像データであり、たとえば、1画素を256階調で表している。
プレ補間部31は、スキャナ部11のラインイメージセンサ12で読み取って得た処理対象の画像データ(周辺画素データ)を入力し、欠落画素(補間画素とも呼ぶ。)の濃度の推定値(これをプレ推定値とする。)を、当該欠落画素の一次元方向の周辺画素を参照画素に使用して算出する機能を果たす。
平均補正部32は、プレ補間部31で求めたプレ推定値を濃度値とする欠落画素を含む第1の二次元領域内の画素の濃度の平均値である第1平均値と、その欠落画素の近傍であって当該欠落画素を含まない第2の二次元領域の濃度の平均値である第2平均値とを求め、第1平均値と第2平均値との差がなくなるもしくは小さくなる(第1平均値と第2平均値とが等しく、もしくはほぼ等しくなる)ように、プレ推定値を補正する機能を果たす。
なお、画像補間処理部30には、欠落画素が1ラインの先頭から何画素目にあるかを示す位置情報が、たとえば、CPU24から与えられる、もしくは予め設定されている。画像補間処理部30は、その位置情報の示す位置に欠落画素が存在するものとして、その欠落画素の濃度値を推定により求め、この濃度値を有する1画素分の画像データ(欠落画素の画像データ)を、入力された画像データ(周辺画素データ)の中の該当位置(位置情報の示す欠落画素の位置)に挿入して後段の読み取り系画像処理部14へ出力するようになっている。
以下、プレ補間部31と平均補正部32の動作についてより詳細に説明する。
プレ補間部31は、欠落画素の一次元方向(たとえば、主走査方向)にある複数の周辺画素を参照画素として、欠落画素の濃度値(プレ推定値DPM)を推定する。たとえば、主走査方向の周辺4画素を参照画素とする場合、図4に示すように、欠落画素Kを挟む両側に2画素ずつ参照画素Rf(Rf−2、Rf−1、Rf、Rf)をとり、以下の(1)式に示す演算により、プレ推定値(DPM)を求める。
=C−2−2+C−1−1+C+C…(1)式
ここで、C−2、C−1、C、Cはそれぞれ重み係数であり、D−2、D−1、D、Dは周辺画素の濃度値である。たとえば、参照画素との連続性を維持するように推定するスプライン法を用いると、各重み係数は以下のようになる。
{C−2,C−1,C,C}={-0.1875,0.6875,0.6875,-0.1875}
スプライン法を用いると、たとえば、図5に示すように、プレ推定値が決定される。
プレ補間方法は、上記のスプライン法に限定されるものではなく、実在する画素の濃度値から推定する方法であれば、どのような補間方法であってもかまわない。また、参照画素は主走査方向にあるものに限定されず、欠落画素を中心に左傾斜のライン上、右傾斜のライン上、あるいはその双方のライン上の周辺画素から欠落画素のプレ推定値を求めてもかまわない。
平均補正部32は、プレ補間部31の求めたプレ推定値を補正する。プレ補間部31で求めたプレ推定値は線画や自然画では自然な繋がりの画像に補間されて問題ないが、スクリーン画像(網点画像)では周辺画素との連続性が著しく低く、さらに一定のパターン(周期性)を持った画像であるため、補間画素部分に副走査方向へ不自然なスジ状の濃度ムラが発生する。平均補正部32では、この濃度ムラが解消されるようにプレ推定値を補正する。
平均補正部32は、図3に示すように、平均補正値算出部33と推定値補正部34とを備えている。平均補正値算出部33は、プレ補間部31で求めた推定値を濃度値とする欠落画素を含む第1の二次元領域の濃度の平均値である第1平均値と、欠落画素の近傍であって欠落画素を含まない第2の二次元領域の濃度の平均値である第2平均値とを求め、さらに第1平均値と前記第2平均値との差の平均値(平均値差分ΔD)を求める機能を果たす。
ここでは、図6に示すように、欠落画素を含む3画素×3画素の正方マトリクスを第1の二次元領域Fとし、欠落画素を含まない第2の二次元領域Gは、欠落画素の左右にそれぞれに設けた3画素×3画素の2つの正方マトリクスG、Gになっている。図6の白丸は実在する画素(周辺画素)であり、斜線を施した丸は欠落画素Kを示している。平均補正値算出部33での演算においては、各欠落画素Kの濃度としてプレ補間部31で算出されたプレ推定値が使用される。
第1の二次元領域Fに含まれる9個の画素の濃度の平均値である第1平均値A、正方マトリクスGの濃度の平均値A、正方マトリクスGの濃度の平均値Aはそれぞれ以下の式で表わされる。
=(DPM1+DPM2+DPM3+DL3+DL6+DL9+DR1+DR4+DR7)/9
=(DL1+DL2+DL3+DL4+DL5+DL6+DL7+DL8+DL9)/9
=(DR1+DR2+DR3+DR4+DR5+DL6+DR7+DR8+DR9)/9
ここで、添え字を有するDは、その添え字の示す位置の画素の濃度を示す。
平均補正部32は、上記A、A、Aを算出した後、AとAの平均値とAとの差分である平均値差分ΔDを求める。
ΔD=A−(A+A)/2
さらに平均補正値算出部33は、平均値差分(ΔD)から、平均補正値(ΔDAC)を求める。平均補正値ΔDACは、マトリクス(第1の二次元領域F)内で必要な補正値の総和を示す。ここでは、第1の二次元領域Fは3×3画素のマトリクスなので、
ΔDAC=9ΔD
となり、平均値差分(ΔD)の9倍となる。
図7は、プレ推定値(DPM)と、プレ推定値を含む第1の二次元領域Fの濃度の平均値Aと、第2の二次元領域Gのうちの左側の正方マトリクスGにおける濃度の平均値Aと、第2の二次元領域Gのうちの右側の正方マトリクスGにおける濃度の平均値Aと、画素の位置との関係を例示している。
プレ推定値は、プレ補間に使用した画素(Rf−2〜Rf)との関係では、スプライン法により自然な濃度の繋がりになっているが、より広い二次元の領域(F、G、G)における関係でみると第1の二次元領域Fの部分の濃度Aがその周囲の濃度A、Aより低く、濃度が自然に繋がっていないことがわかる。
スクリーン画像の場合は一定範囲の領域(スクリーンパターン)を単位に濃度を表現しているので、スクリーンパターン相当の二次元領域を単位として見た場合に濃度の繋がりが確保されるように欠落画素の濃度を決定することが好ましい。すなわち、図8に示すように、第1の二次元領域Fの平均濃度Aが、第2の二次元領域Gのうちの左側の正方マトリクスGにおける濃度の平均値Aと第2の二次元領域Gのうちの右側の正方マトリクスGにおける濃度の平均値Aとの平均の濃度である平均値濃度AMC(AMC=(A+A)/2))となるようにすればよい。
先ほど求めたΔDは、第1の二次元領域Fの平均濃度Aを平均値濃度AMCにするために必要な1画素当たりの補正量であり、第1の二次元領域F全体としては9画素あるので、ΔDAC=9ΔDの補正を行えばよい。
そこで、推定値補正部34は、平均補正値算出部33にて算出された平均補正値を、マトリクス(第1の二次元領域F)内に存在する3つの欠落画素のプレ推定値へ均等に分配することでプレ推定値を補正した最終推定値Dを得る。
詳細には、各欠落画素のプレ推定値は次のように補正されて、最終推定値Dにされる。
=DPM+ΔDAC(−1)/9+ΔDAC(0)/9+ΔDAC(+1)/9
ここで、ΔDAC(−1)は、1ライン後を着目ラインとしたときの平均補正値であり、ΔDAC(0)は現在のラインを着目ラインとしたときの平均補正値であり、ΔDAC(+1)は、1ライン前を着目ラインとしたときの平均補正値である。図9は分配の様子を示しており、図10は最終推定値の導出を模擬表示している。
なお、ΔDACを第1の二次元領域F内のすべての欠落画素(3画素)に均等に分配するほか、着目ラインの欠落画素のみにΔDACをすべて反映させるように補正してもよい。
図11は、画像補間処理部30により欠落画素の補間が行われたスクリーン画像の一例を示している。図14に示す従来の補間方法による画像の欠落画素A部分にあった不自然なスジはなく、自然な繋がりの画像に補間されている。
このように、一次元等の補間処理によって各欠落画素のプレ推定値DPMを決定しておき、このプレ推定値DPMを欠落画素の仮の濃度値に使用して、欠落画素を含む第1の二次元領域Fと欠落画素を含まない第2の二次元領域Gとの濃度平均が一致もしくはほぼ一致するように各プレ推定値DPMを補正するので、二次元のスクリーンパターンで処理されたスクリーン画像内の欠落画素を補間した場合にも、モアレやスジを発生させることなく自然な繋がりで補間することができる。
すなわち、各欠落画素について、ある程度確からしい濃度値であるプレ推定値をプレ補間部31で求め、このプレ推定値を各欠落画素の暫定的な濃度値に使用した上で、第1の二次元領域Fと第2の二次元領域Gとの濃度の平均値が一致するようにプレ推定値を補正するので、欠落画素を含む領域の中に複数の欠落画素を設定することができる。言い換えると、欠落画素を含む領域を二次元の領域にすることができる。また、欠落画素を含む第1の二次元領域Fの平均値と欠落画素を含まない第2の二次元領域Gの平均値との差分を第1の二次元領域F内の複数の欠落画素に均等に分配しても、各欠落画素に固有の特性が残留する。すなわち、各欠落画素の濃度は、均等に分配された補正値とプレ推定値との合計で表わされ、その各欠落画素のプレ推定値は、プレ補間部31による一次元の補間によって個別に求められたものなので、プレ推定値を加算した後も一次元の補間で求めた際の各欠落画素の濃度の特徴を残留し反映され、かつ二次元領域で見た場合の濃度ムラがなくなるように補正される。
<第2の実施の形態>
図12は、第2の実施の形態に係る画像補間処理部30Bの構成を示している。画像補間処理部30Bは、第1の実施の形態で示した画像補間処理部30に加えて周辺画像領域判別部36と補間方式選択部37を備えている。プレ補間部31、平均補正部32の構成や動作、デジタル複合機10としてのその他の構成は第1の実施の形態と同一であり、その説明は省略する。
プレ補間部31および平均補正部32を使用した補間処理は、前述したようにスクリーン画像に対して有効である。そこで、周辺画像領域判別部36によって周辺画素データの領域判別を行い、補間すべき欠落画素がスクリーン画像領域に存在するのか、それ以外の画像領域に存在するのかを判別する。領域判別の手法は従来から使用されている方法等、任意でよい。
補間方式選択部37には、プレ補間部31の出力するプレ推定値と、平均補正部32の出力する補正後の推定値と、周辺画像領域判別部36の出力する領域判別の結果を示す信号とが入力されている。補間方式選択部37は、周辺画像領域判別部36から入力された判別結果が処理対象の欠落画素がスクリーン画像領域にあることを示す場合は、平均補正部32から入力される補正後の推定値を選択し、それ以外の場合はプレ補間部から入力されるプレ推定値を選択する。選択された値は、欠落画素に対する最終的な補間値(最終の推定値)として使用される。
このように、スクリーン画像領域にある欠落画素の場合は平均補正部32で補正後の推定値を補間値に使用し、スクリーン画像領域以外の領域にある欠落画素の場合はプレ補間部31で生成したプレ推定値を補間値に使用するので、それぞれの領域に応じて適切に欠落画素を補間することができる。
以上、本発明の各種実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
たとえば、実施の形態では第1の二次元領域Fなどを3×3画素の正方マトリクス領域に設定したが、4×4、5×5、その他のサイズでも正方マトリクス以外の形状でもかまわない。また、欠落画素を含む第1の二次元領域Fは、注目する欠落画素をその領域内に含めばよく、たとえば、欠落画素が領域内のいずれかの端に偏るように設定されてもかまわない。また欠落画素を含まない領域は、欠落画素を含まずかつ欠落画素の近傍に存在する領域であれば、その形状などは任意でよい。実施の形態では欠落画素を挟む左右の両側の領域G、Gに分けて第2の二次元領域Gを設定したが、1つの領域とされてもよい。また第1の二次元領域Fと第2の二次元領域Gは異なるサイズでも同一サイズでもかまわない。要するに、欠落画素を含む二次元領域と、欠落画素を含まない欠落画素の近傍の二次元領域との平均濃度が一致するように補正すればよいので、各二次元領域の形状やサイズは任意でよい。
また実施の形態では、第1の二次元領域Fの平均濃度(第1平均値)と第2の二次元領域Gの平均濃度(第2平均値)とが一致するように欠落画素のプレ推定値を補正した。これは好ましい態様であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1平均値と第2平均値との差が小さくなるように補正されれば、適宜の効果を得ることができる。
本発明の実施の形態に係わるデジタル複合機の構成を示すブロック図である。 主走査方向、副走査方向とラインイメージセンサとの関係および複数のセンサチップによるラインイメージセンサの構成を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係る画像補間処理部の構成を示すブロック図である。 一次元の補間における参照画素と欠落画素との関係を示す説明図である。 プレ補間の処理結果を例示した説明図である。 欠落画素を含む第1の二次元領域と欠落画素を含まない第2の二次元領域の一例を示す説明図である。 プレ推定値と、プレ推定値を含む第1の二次元領域の濃度の平均値と、第2の二次元領域の左正方マトリクスGおける濃度の平均値と、右正方マトリクスGにおける濃度の平均値と、各画素位置との関係を示す説明図である。 プレ推定値を含む第1の二次元領域の濃度の平均値と、第2の二次元領域の左正方マトリクスGにおける濃度の平均値と右正方マトリクスGにおける濃度の平均値との平均との差分である平均値差分を示す説明図である。 平均補正値を各欠落画素のプレ推定値に分配する様子を模擬的に示す説明図である。 最終推定値の導出を示す説明図である。 本発明に係る画像補間処理部によって欠落画素の補間処理を行った結果のスクリーン画像の一例を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る画像補間処理部の構成を示すブロック図である。 欠落画素の画像、欠落画素のある画像、欠落画素を補間しない場合の画像を例示した説明図である。 一次元方向のみの補間による欠落画素の補間されたスクリーン画像の一例を示す説明図である。
符号の説明
3…原稿
10…デジタル複合機
11…スキャナ部
12…ラインイメージセンサ
12a…センサチップ
13…A/D変換部
14…読み取り系画像処理部
15…画像メモリ
16…メモリ制御部
18…圧縮/伸張器
19…ハードディスク装置(HDD)
21…出力系画像処理部
22…プリンタ部
23…システムバス
24…CPU
25…フラッシュメモリ
26…RAM
27…操作表示部
28…ネットワークI/F部
30、30B…画像補間処理部
31…プレ補間部
32…平均補正部
33…平均補正値算出部
34…推定値補正部
36…周辺画像領域判別部
37…補間方式選択部
A…補間位置
F…欠落画素を含む第1の二次元領域
G、G、G…欠落画素を含まない第2の二次元領域
K…欠落画素
La…境界での画素間隔
Lb…センサチップ内での画素ピッチ
P…読み取り画素
Rf…参照画素
S…センサチップ

Claims (7)

  1. 欠落画素の周辺画素から前記欠落画素の濃度の推定値を求める補間部と
    前記補間部で求めた推定値を濃度値とする欠落画素を含む第1の二次元領域内の画素の濃度の平均値である第1平均値と、前記欠落画素の近傍であって前記欠落画素を含まない第2の二次元領域の濃度の平均値である第2平均値とを求め、前記第1平均値と前記第2平均値との差がなくなるもしくは小さくなるように、前記第1の二次元領域内の欠落画素に係る前記推定値を補正する補正部と
    を有する
    ことを特徴とする画素補間装置。
  2. 欠落画素の周辺がスクリーン画像領域か否かを判別する判別部を備え、
    前記判別部によって周辺がスクリーン画像領域であると判定された欠落画素については前記補間部で求めた推定値を前記補正部で補正した値をその欠落画素の濃度値とし、前記判別部によって周辺がスクリーン画像領域でないと判定された欠落画素については前記補間部で求めた推定値をその欠落画素の濃度値とする
    ことを特徴とする請求項1に記載の画素補間装置。
  3. 処理対象の画像内における前記欠落画素の位置情報が予め与えられている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の画素補間装置。
  4. 前記補間部は、欠落画素の近傍の一次元方向の周辺画素を参照して前記欠落画素に関する濃度の推定値を求める
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画素補間装置。
  5. 前記補正部は、前記第1平均値と前記第2平均値との差がなくなるもしくは小さくなるように、前記第1の二次元領域内の欠落画素に係る前記推定値を補正する動作として、前記第1平均値と前記第2平均値との差分を前記第1の二次元領域に含まれる画素数倍し、その値を前記第1の二次元領域内にある1または複数の欠落画素に分配し、該分配した値をその分配先の欠落画素の推定値に加算する処理を行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の画素補間装置。
  6. 所定方向の一次元に並ぶ複数画素分の読み取り領域を備えた複数のセンサチップが前記所定方向に直列に配置されかつ前記センサチップ同士の境界で欠落画素の生じるラインイメージセンサを有し、該ラインイメージセンサと原稿とを相対移動させて前記原稿を二次元に光学的に読み取る読取部と、
    前記読取部で原稿を読み取って得た画像データの欠落画素を補間する請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画素補間装置と
    を有する画像読取装置。
  7. 欠落画素の周辺画素から前記欠落画素の濃度の推定値を求め、
    前記推定値を濃度値とする欠落画素を含む第1の二次元領域内の画素の濃度の平均値である第1平均値と、前記欠落画素の近傍であって前記欠落画素を含まない第2の二次元領域の濃度の平均値である第2平均値とを求め、
    前記第1平均値と前記第2平均値との差がなくなるもしくは小さくなるように、前記第1の二次元領域内の欠落画素に係る前記推定値を補正する
    ことを特徴とする画素補間方法。
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