JP2010060946A - 凹版版面の作製方法 - Google Patents

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【課題】 樹脂凹版面のインキ溜めを形成することにある。
【解決手段】 樹脂凹版面を作製する方法において、感光性樹脂層上に所定のフィルムを密着し、第1のUV照射により感光性樹脂層に硬化領域と未硬化領域を形成し、感光性樹脂層を第1の現像により未硬化領域の所定の領域を現像した凹部と残留領域とを形成し、感光性樹脂層上に所定のフィルムを密着し、第2のUV照射により残留領域に硬化領域と未硬化領域を形成し、感光性樹脂層を第2の現像により未硬化領域を現像してインキ溜りを形成する樹脂凹版面の作製方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、凹版版面の作製方法に関し、特に、版材に感光性樹脂版材を用いた樹脂凹版面の製版方法に関するものである。
凹版印刷は、凹版版面の凹部に凹版インキを塗布し、凹部以外の余剰な凹版インキを拭き取ることで、凹部のみに凹版インキを残留させた後、凹版版面上に紙を配し、圧力を与えることで、凹版版面の凹部に残留した凹版インキが紙に転移し、紙の表面に盛り上がった凹版画線が印刷される。このような凹版インキの盛り上がりを利用することで、芸術性や偽造防止効果が得られる。
また、凹版版面の種別としては、金属凹版面と樹脂凹版面で概ね作製される。金属凹版面では、銅板、鋼板などの金属板面に彫刻または化学腐食によって凹版画線を形成した凹版原版を作製し、凹版原版を用いて転写法又は電鋳法によって印刷用版面を作製するのが一般的である。なお、金属凹版面は耐磨耗性が高いことから比較的印刷枚数が多い印刷製品に適している。
一方、樹脂凹版面では、感光性樹脂版材を用いた製版方法が知られている。なお、樹脂凹版面は、金属凹版面と比較して、耐久性が劣ることから印刷枚数が少ない印刷製品に限定されるが、製版時間が短いことや版コストが安価なことに利点がある。
また、樹脂凹版面は、基材となる金属またはプラスチックフィルムの上に、光硬化性の感光性樹脂層を設けてなる版材を使用し、ポジの白黒フィルムを感光性樹脂層に密着させた後、紫外線を照射してフィルムの透明部分に位置する感光性樹脂層を硬化させ、ついで、フィルムの黒部分に位置する未硬化の感光性樹脂層をアルコール、アルコールと水の混合液、水等の溶剤で溶出させることによって、ポジの白黒フィルムに忠実な凹部を感光性樹脂層に形成する。
また、一般的に凹版印刷においては、凹版版面の凹部の幅が広い、すなわち、画線幅が広く、凹部形状が単純なU状又はV状であると、凹版版面の凹部に凹版インキを塗布し、ワイピングローラやドクター等で拭き取った場合、凹版インキは粘度が高いことと、拭き圧力が高いことから、凹部内のインキが拭き取られやすく、凹版印刷時に用紙へのインキ転移不良が発生する要因となる。
このような問題を解決する手段として、凹版版面の凹部の底部にはインキ溜めを設け、凹部のインキが拭き取り難くなるような工夫をしている。例えば、金属凹版面には、凹部の底部に彫刻又は腐食によってインキ溜めを設けている。
一方、樹脂凹版面にインキ溜めを形成する方法としては、まず、感光性樹脂層上にポジ画像フィルム、次に、白線フィルムを密着、露光し、凹部にインキ溜めを形成する方法が開示されている。この方法では、凹部以外の平坦部(非画線部)の高さと、凹部内のインキ溜めにおける凸部の最上部の高さは同一となる。このように作製した樹脂凹版面で凹版印刷した場合、凹部内の前記凸部上は、凹版インキが一旦塗布され、拭き取られてしまうため、用紙の凹部内、つまり、凹版画線内には、前記凸部の形状が白く残ってしまう。したがって、凹版画線内は、部分的に白い部分が存在するという課題があった(例えば、特許文献1参照)。
一方、別のインキ溜りを作製する方法としては、感光性樹脂層を焼付(露光)、現像を2回繰り返して作製する方法が開示されている。具体的には、まず、1回目の焼付、現像方法としては、感光性樹脂層にポジ画像フィルムで密着、露光し、水スプレーで現像することで、感光性樹脂層に光があたる領域(ポジ画像フィルムの透明部分)は感光性樹脂層が硬化させ、感光性樹脂層に光があたらない領域(ポジ画像フィルムの不透明部分)は感光性樹脂層が硬化しないため、感光性樹脂層には凹部が形成できる。
次に、2回目の焼付、現像方法は、前述の硬化した感光性樹脂層上に新たな感光膜を塗布し、再度、ポジ画像フィルムで密着、露光し、水スプレーで現像することで、インキ溜りを形成した凹部を形成できる。しかし、このように作製した樹脂凹版面は、2層の樹脂層が必要になり、工程が増えることや、大きな印圧を与えた場合の層間剥離が懸念されるという課題があった(例えば、特許文献2参照)。
特許2648315号公報 特許2798395号公報
本発明は、樹脂凹版面の作製方法に関し、前述に説明した課題を解消するものである。具体的には、樹脂凹版面の感光性樹脂層は1層とし、印刷画線となる凹部にインキ溜めを形成できるものである。
本発明は、樹脂凹版面を作製する方法において、感光性樹脂層上に所定のフィルムを密着し、第1のUV照射により感光性樹脂層に硬化領域と未硬化領域を形成し、感光性樹脂層を第1の現像により未硬化領域の所定の領域を現像した凹部と残留領域とを形成し、感光性樹脂層上に所定のフィルムを密着し、第2のUV照射により残留領域に硬化領域と未硬化領域を形成し、感光性樹脂層を第2の現像により未硬化領域を現像してインキ溜りを形成することを特徴とする樹脂凹版面の作製方法である。
本発明は、第1のUV照射に拡散性の高いUV光及び第2のUV照射に直進性の高いUV光を照射することを特徴とする樹脂凹版面の作製方法である。
本発明の樹脂凹版面の作製方法では、1層の感光性樹脂層によって凹部の底部にインキ溜りを形成できる。また、インキ溜りの凹凸部における凸部の最上位置は、感光性樹脂層の平坦部の位置よりも低く形成できるため、凹版印刷時には、凹版画線にインキ溜りによる白抜け部分はなく印刷できる。また、ワイピングローラ等により凹部の凹版インキを余剰に掻き取られず、適正な凹版印刷画線が得られる。
本発明の具体的な構成を説明するが、本発明の技術的思想に含まれ実施できれば、本形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の樹脂凹版面を作製する工程を示している。図1(a)は、樹脂凹版面1に使用する版面構成を示し、感光性樹脂層aとベース層bからなる。なお、感光性樹脂層aは、0.5mm〜1.0mmの厚さが好ましい。一方、ベース層bは金属でもフィルムでも構わず、厚みに特に制限はない。例えば、樹脂凹版面1は、富士トレリーフ(富士フィルム社製)が好適である。
図1(b)は、感光性樹脂層a上に、樹脂凹版面1の図柄で構成した白黒のポジフィルムf1を密着して第1のUV照射(露光)を行う。この時、UV照射する照射器S1は、例えば、メタルハライドランプを使用し、UV光を拡散させることが望ましい。なお、照射器S1の周囲に反射板を設けて、UV光を拡散させても良い。その理由としては、メタルハライドランプから発した拡散したUV光は、ポジフィルムf1の白領域(実際は透明)を透過し、ポジフィルムf1の白領域の下部及び黒領域(実際は不透明)の一部下部まで回り込み、図1(c)に示すように、感光性樹脂層aの領域1aはUV光が照射され、硬化する。一方、感光性樹脂層aの領域2aは、UV光が照射されないため硬化しない。
次に、図1(d)は、UV光を照射した後に、感光性樹脂層aを第1の現像を行う。ここでいう「現像」とは、感光性樹脂層a上に水又はアルコールを流しながら、ブラシ等で感光性樹脂層aの表面を擦り、未硬化部を洗い流し、凹部を形成することをいう。なお、凹部の幅は、0.01mm以上、好ましくは、0.05〜0.15mmが望ましい。
通常の現像では、図1(c)の未硬化の領域2aを全て洗い流し、領域2aの形状で凹部となるのが通常であるが、本発明の特徴は、未硬化の領域2aのうち、一部残留させて現像する点である。したがって、残留する領域2a’は硬化しない。具体的に、一部残留させる方法としては、図2(a)に示すように、現像機のブラシcによって洗い出されるが、ブラシcの高さを調整することで行うことができる。例えば、残留させる領域2a’を多くする場合は、ブラシの位置を上げて、逆に、残留させる領域2a’を小さくする場合は、ブラシの位置を下げて洗い流せば良い。また、残留させる領域2a’の位置は適宜設定できるが、領域2aの深さのうち、1/2以下、好ましくは、1/3以下の位置で残留
させることが望ましい。また、図1(d)は、残留させる領域2a’を示しているが硬化していない。領域2aのうち、領域2a’以外は、洗い流されているので凹部が形成される。なお、一部残留させる方法としては、現像機のブラシの位置を調整する他に、現像機のブラシの回転量又は押圧量を適宜調整するか又は、ブラシの種類を変更することでも行える。
次の工程から、凹部の底部にインキ溜りを形成する。図1(e)は、第2のUV照射(露光)を示している。感光性樹脂層aの上に、白黒のスクリーン線を配したフィルムf2を密着してUV照射(露光)する。この時、UV照射する照射器S2は、UV光が直進性の強いランプ、例えば、高圧水銀灯を使用し、よりUV光を直進させるために、照射器S2の周囲に反射板を設けることが望ましい。その理由としては、高圧水銀灯から発した直進性が高いUV光は、ポジフィルムf2の白領域(実際は透明)を透過し、拡散することなく直進するため、感光性樹脂層aに照射される。したがって、ポジフィルムf2の白領域の幅が変化することなく、UV光を領域2’に照射することができる。この時、領域1a表面にUV光は照射しても、既に硬化しているため性状変化はしない。一方、凹部内に残留する領域2a’は未硬化であるため、第2のUV光が照射した領域は硬化するが、UV光が照射しない領域は硬化しない。また、ポジフィルムf2に薄いフィルムを使用すれば、密着時にポジフィルムf2と未硬化領域2a’の間隙が小さくなり密着するため、可能な限り薄いフィルムを使用することが望ましい。なお、スクリーン線数は200〜400line/inch、好ましくは、300line/inchが望ましい。
次に、図1(f)に示すように、第2のUV光を照射した後に、第2の現像を行う。領域2’のうち、UV光が照射される領域2a’’は硬化しているため、凸形状として残存する。一方、領域2’のうち、UV光が照射されない領域は硬化しないため、第2の現像により洗い流される。これによって、前記凹部の底部に凹凸形状のインキ溜め2b’’が形成できる。なお、第2のUV光に拡散性が高いUV光源を用いると、ポジフィルムf2の黒領域下部まで回り込み、インキ溜め2a’’となる未硬化領域が形成できない。したがって、第2のUV照射に拡散性の高いUV光源を使用すると、本発明のインキ溜めは形成できない。
また、第2の現像する方法としては、図2(b)に示すように、現像機のブラシcの高さを、第1のブラシの高さより下げることによって、領域2’の領域を洗い出すことができ、その結果、インキ溜め2a’’が形成できる。
前述する製版方法でインキ溜めを形成した樹脂凹版面を使用し、凹版印刷すると、樹脂凹版面の凹部に充填した凹版インキはワイピングローラに余剰に拭き取られことなく、樹脂凹版面の凹部に忠実な凹版画線が得られる。
本発明の製品工程を示す説明図である。 本製版工程の現像方法を示す説明図である。
符号の説明
1 樹脂凹版面
1a 硬化領域
2a 未硬化領域
2a’ 残留領域
2a’’ インキ溜め
a 感光性樹脂層
b ベース層
S1 照明
S2 照明

Claims (2)

  1. 樹脂凹版面を作製する方法において、
    感光性樹脂層上に所定のフィルムを密着し、第1のUV照射により前記感光性樹脂層に硬化領域と未硬化領域を形成し、
    前記感光性樹脂層を第1の現像により前記未硬化領域の所定の領域を現像した凹部と残留領域とを形成し、
    前記感光性樹脂層上に所定のフィルムを密着し、第2のUV照射により前記残留領域に硬化領域と未硬化領域を形成し、
    前記感光性樹脂層を第2の現像により前記未硬化領域を現像してインキ溜りを形成することを特徴とする樹脂樹脂凹版面の作製方法。
  2. 前記第1のUV照射に拡散性の高いUV光及び前記第2のUV照射に直進性の高いUV光を用いることを特徴とする請求項1記載の樹脂凹版面の作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017115670A1 (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 シャープ株式会社 印刷用凹版、印刷用凹版の製造方法、印刷物の作製方法および印刷物

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