JP2010059176A - 組換えアリールスルファターゼaの製造及び精製 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】組換えアリールスルファターゼAを産生する方法に関し、rASAを産生可能な哺乳動物細胞を液体培地中で培養し、クロマトグラフィの工程を含む精製方法によりrASAを濃縮し、精製する。また、rhASA医薬及び対象の末梢神経系及び中枢神経系の標的細胞内のガラクトシルスルファチドレベルを減少させる医薬の製造のためのrhASAの使用。
【選択図】図7
Description
本発明は、組換えアリールスルファターゼA (rASA)酵素の製造及び精製の方法、並びにこの方法により得られたrASAの、異染色性白質ジストロフィーに関連する症状の予防又は緩和のための使用に関する。
ミエリン代謝及び異染色性白質ジストロフィー
異染色性白質ジストロフィー (MLD)は、リソソーム酵素であるアリールスルファターゼA (ASA)における常染色体上の劣性遺伝子異常により引き起こされ、ミエリン鞘の膜の進行性損傷(髄膜脱落)、並びに中枢神経系(CNS)及び末梢神経系の両方の白質でのガラクトシルスルファチド(セレブロシド硫酸)の蓄積をもたらす。組織学標本においては、ガラクトシルスルファチドは、異染性に染色する球形の顆粒状の塊を形成する。ガラクトシルスルファチドは、腎臓、胆嚢及びある他の内臓の内部にも蓄積し、尿中に過剰に排出される。
中枢神経系は脳及び脊髄からなり、白質及び灰白質に分けることができる。白質は神経細胞からなり、MLDでは、損傷がまず神経細胞に発生する。神経細胞が損傷を受けると、これらは神経インパルスを筋肉、皮膚及び内臓にもはや伝導できなくなる。
ノルウェーでは、毎年約1人のMLDの小児が出生し、すなわち約1:50000の頻度である。同様の結果は北スウェーデンでも得られ、ここではこの個体群での乳児後期MLDの出生時
発生率は約40000人当たり1人と算出できる。上記の地域で同じ期間に若年性MLDの対象は1人だけ出生した。このことは、若年型MLDが乳児型よりもかなり希であることを示す。
ASAノックアウトマウスは疾患を発現し、これはMLDに相当する(Hessら 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93, 14821〜14826, Gieselmann, V.ら 1989 J. Inherit. Metab.Dis., 21, 564〜574, Gieselmann, V.ら 2003, Acta Paediatr. Suppl., 92, 74〜79)。つまり、これらは、患者におけるのと実質的に同じ分布及び超微細構造を有する貯蔵沈着(storage deposits)を示す。マウスは、歩行障害、運動調整能力の低下及び活動亢進を含むヒトの疾患を思い起こさせる神経症状を発現する(Hessら 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93, 14821〜14826, D'Hooge, R.ら 2001, Brain Res., 907, 35〜43, Matzner, U.ら 2002, Gene Ther., 9, 53〜63)。症状は1歳前後で明らかになってくるが、マウスの期待寿命を減少させない。軽度の表現型は、広範にわたる髄鞘脱落の欠失により説明されている(Hessら 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93, 14821〜14826, Coenen, R.ら 2001, Acta Neuropathol. (Berl.)., 101, 491〜498, Wittke, D.ら 2004, Acta Neuropathol. (Berl.), 108, 261〜271)。マウスでの制限された髄鞘脱落は、短い寿命に帰することができ、これは、髄鞘脱落の原因となる細胞不全の発現を許容しない。よって、ASAノックアウトマウスは、特に、ヒト疾患の早期段階での治療介入探索のための適切な動物モデルである。
MLDを診断するために、髄液、尿の検査、種々の血液検査及びASA活性の分析を行うことができる。MLD患者からの材料(例えば、末梢白血球及び培養皮膚繊維芽細胞)中のASA活性の欠失を調べることができる。MLD患者からの尿の分析は、ミエリン代謝のレベルでの異常を示すことはできるが、尿の酵素レベルは、通常、非常に変動しやすいので、診断アッセイのための源としては信頼性がより低い。尿中に排出される過剰量のスルファチド及び尿沈渣中の異染顆粒が観察される。さらに、頭部の通常のX線及びコンピュータ断層撮影法(CT)を行うことができる。羊水又は絨毛膜絨毛細胞からの培養細胞中のASA活性を測定することにより出生前診断を行うことが可能なようである。このような細胞でのセレブロシド硫酸の含有量(loading)を用いることもでき、この方法は、家族の中に偽欠損症遺伝子も存在する場合には選択肢の一つである。
MLDの治療のオプションは、比較的少ない。骨髄移植(BMT)は、MLDの患者の20人を超える人の治療において用いられており(例えばBayever Eら Lancet 1985, 2, 471〜473)、BMTは症状の進行を遅くするようであるが、治療の恩恵は数ヶ月間は見られない。ほとんどの乳児後期患者では、診断のときまでに症状が迅速に進行し、恩恵の可能性よりも手順の危険性のほうがより重要である傾向にある。症状の前に(presymtomatically)診断が行われかつよく適合するドナーがいる場合は、BMTは妥当なアプローチであろう。また、報告された結果は、BMTは、高い残存活性を有するMLD患者において、又は疾患の進行の迅速さのために乳児後期型で、症状の前の段階で行われる場合においてのみ効果があることを示唆する。骨髄移植を用いる展望は、それが中枢神経系における症状を低減させるのみでありかつ末梢神経系での症状を緩和するためには補足的な治療が必要であるという事実により、さらに制限される。
本質において、本発明の発明概念は、連続細胞増殖を許容する系で培養された哺乳動物細胞系からの組換えアリールスルファターゼAの単離、及び特定のクロマトグラフィ工程の連続による精製が、発現レベル及び組換えタンパク質の収率の増大、並びに得られるrASAの純度の増大を含むいくつかの重要な利点を示すという発見に基づく。さらに、バッチ培養とは反対に、連続方法での産生は、生産パラメータの厳格なコントロールを促進し得るので、正確な翻訳後修飾及び得られる酵素の機能性を含む高品質で均質な産物を確実にする。このような精製された組換えアリールスルファターゼAは、医薬製剤における使用に適し、血液脳関門を通過しうる形態で産生され得る。
i) rASAを産生可能な哺乳動物細胞を、1つ以上のバイオリアクタを含む系において液体培地中で培養し;
ii) アフィニティクロマトグラフィ及び/又はイオン交換クロマトグラフィの1又はそれより多い工程を含む精製方法によりrASAを濃縮し、精製して調剤する(formulating)ことを含む。
I) タンジェンシャルフローろ過により液体培地中に存在するrASAを濃縮し;
II) 工程Iで得られたrASA含有上清を平衡化したクロマトグラフィカラムにロードして、rASAを含有する1つ又はそれより多いフラクションを溶出し;
III) 工程IIからのフラクションを別の平衡化したクロマトグラフィカラムにロードして、rASAを含有する1つ又はそれより多いフラクションを溶出し;
IV) タンジェンシャルフローろ過により工程IIIからのフラクション中に存在するrASAを精製し;
V) 工程IVからのrASAの調製物を、各工程が該調製物を平衡化したクロマトグラフィカラムにロードして、rASAを含有する1つ又はそれより多いフラクションを溶出することを
含む1又は2以上の連続工程において洗練し(polishing);
VI) 工程Vからのフラクションをウイルス低減フィルタを通過させ;
VII) 適切な調剤バッファー(formulation buffer)中でrASA調製物を得るために工程VIからのフラクションを調剤し;
VIII) 任意に、rASAの調剤された調製物で適切な容器を満たし、試料を凍結乾燥する。
本明細書において、「酵素」の用語は、そのものの代わりになる関係する酵素又はその酵素的に等価な一部分若しくはアナログのいずれかを意味する。酵素の酵素的に等価な一部分の例は、酵素のドメイン又はサブシーケンスであり得、これは該ドメイン又はサブシーケンスが全長酵素と実質的に同じ酵素活性を発揮することを可能にするのに必要な触媒部位を含む。
1) rASAが哺乳動物細胞系で発現されるときに、ゴルジ体でホスホトランスフェラーゼ及びホスホグリコシダーゼの組み合わせた作用による翻訳後修飾として産生されるマンノース-6-ホスフェートタグの使用。タグをつけた種の酵素は、マンノース-6-ホスフェート受容体取り込みを介して細胞膜を横切る能力を有する。
動物でのいくつかの初期の研究は、あるタンパク質及び/又はペプチドがBBBの通過のためにビヒクルとして作用し得ることを示している。例えば、インシュリンフラグメントで修飾されたタンパク質(Fukutaら Phaomacol Res 11: 1681〜1688)又はトランスフェリン受容体への抗体(Fridenら Proc Natl Acad Sci USA 88: 4771〜4775)は、血液脳関門を通過し得る。また、ポリアミンへの結合により修飾されたタンパク質(Poduslo及びCurran. J Neurochem 66: 1599〜1606)は、血液脳関門を通過すると報告されている。
HIV TATタンパク質からの11残基の塩基性ペプチド−YGRKKRRQRRR (Schwarzeら,Trends Cell Biol. 2000; 10(7): 290〜295)。このペプチドは、細胞外マトリックス関連ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に結合し、細胞膜を横切って広範囲の大きい分子及び小さい分子を輸送する。最初の侵入は小胞性であり、導入された分子は外部の濃度が減少したときに細胞外に戻る。ペプチドは、アミノ酸残基の逆の順序であってさえも、分子が曝露される限りは、分子内のどこにでも存在し得る。ヒトは全て、IgMアイソタイプであるTATのこの塩基性ドメインに対する低い力価の内生的な抗体を有する(Schwarzeら, Trends Cell Biol. 2000; 10(7): 290〜295)。
種々の細菌、植物及び動物はトキシンを産生する。トキシンは、腸(エンテロトキシン)、神経又はシナプス(ニューロトキシン)のような多くの異なる標的を有する。トキシンは、受容体媒介プロセスを介して細胞膜を横切ることができ、本発明の実施形態は、細胞膜及び/又はBBBを越えての標的細胞へのrASAの通過のためのビヒクルとしてのトキシンの使用である。異染色性白質ジストロフィー(MLD)の治療における療法の送達のためのトキシンの使用は、特に適切である。なぜなら、トキシンの好ましい標的細胞は、中枢神経系及び/又は末梢神経系の細胞だからである。実際上の考察及び安全面の理由から、トキシンの細胞膜及び/又はBBBを越えての移行に関係するアミノ酸ペプチドのみが用いられる。
i) rASAを産生可能な哺乳動物細胞を液体培地中で1つ以上のバイオリアクタを含む系において培養し;
ii) アフィニティクロマトグラフィ及び/又はイオン交換クロマトグラフィの1以上の工程を含む精製方法によりrASAを濃縮し、精製して調剤する
ことを含む。
A. 連続細胞増殖を許容する細胞培養系でのrASAを産生可能な哺乳動物細胞の培養。
B. 上清からのrASAの濃縮、及びサイズによるタンパク質の分離に基づくろ過工程を補充した一連のクロマトグラフィ工程によるrASAの精製(ここで、タンパク質はそれらの正味電荷又はリガンドへのアフィニティにより分離される)。
C. 調剤、充填及び凍結乾燥。
延長した期間にわたる細胞培養の増殖を許容する細胞培養系におけるrASAの
(a) 配列番号2のアミノ酸配列;
(b) 組換えヒトアリールスルファターゼAと酵素的に等価な(a)の配列の一部分;
(c) (a)又は(b)の配列のいずれか1つと少なくとも75%の配列同一性を有しかつ同時に組換えヒトアリールスルファターゼAと酵素的に等価なアミノ酸配列を含むアミノ酸配列アナログをコードする核酸配列を含むのが好ましい。
(a) 配列番号1の核酸配列;
(b) 組換えヒトアリールスルファターゼAと酵素的に等価なアミノ酸配列をコードする(a)の配列の一部分;
(c) (a)又は(b)の配列のいずれか1つと少なくとも75%の配列同一性を有しかつ同時に組換えヒトアリールスルファターゼAを酵素的に等価なアミノ酸配列をコードする核酸配列アナログ
を含む細胞を組み込んだ方法である。
rASAは、哺乳動物細胞又は細胞系統において産生されるのが好ましく、該哺乳動物細胞又は細胞系統は、マンノース-6-ホスフェート受容体経路を介してインビボで効率的にエンドサイトーシスされるrASAのグリコフォームを産生するのが好ましい。具体的には、rASAの好ましいグリコフォームは、曝露されたマンノース-6-ホスフェートのある量を含み、これは、マンノース-6-ホスフェート経路を介してインビボでrASAの効率的なエンドサイトーシスを許容する。
が:
(a) 配列番号3のアミノ酸配列;
(b) 組換えヒトアリールスルファターゼAと酵素的に等価な(a)の配列の一部分;
(c) (a)又は(b)の配列のいずれか1つと少なくとも75%の配列同一性を有しかつ同時に組換えヒトアリールスルファターゼAと酵素的に等価であるアミノ酸配列アナログ
からなる群より選択される方法に関係する。
細胞培養系は、新鮮な培地の源及び細胞を回収しかつ培地を収集できる系に接続された1つ又はそれより多い通常のバイオリアクタに基づく。この系の一部分は、細胞保持機構(cell retention device)であり得る。好ましくは、この系のこれらの異なる部分は、新鮮な培地が添加されかつ細胞から分泌された1種又はそれより多い生合成産物と共に細胞を含有する培地が連続ベースで収集され得る様式で相互に連結されている。マンノース-6-ホスフェートタグ付加mASAは培地中に分泌され、任意に、rASAの精製は、培養工程においてアンモニウム塩(NH4Cl)を使用することにより促進される。
1) 濃縮及びダイアフィルトレーション工程、
2) 捕捉工程(イオン交換クロマトグラフィ)、
3) 中間体精製工程(クロマトグラフィ)、
4) 酸性ろ過(acidic filtration)、
5) 洗練(クロマトグラフィ)、
6) ウイルス除去、
7) 調剤
8) 充填及び凍結乾燥。
I) タンジェンシャルフローろ過により液体培地中に存在するrASAを濃縮し;
II) 工程Iで得られたrASA含有上清を平衡化したクロマトグラフィカラムにロードして、rASAを含有する1つ又はそれより多いフラクションを溶出し;
III) 工程IIからのフラクションを別の平衡化したクロマトグラフィカラムにロードして、rASAを含有する1つ又はそれより多いフラクションを溶出し;
IV) タンジェンシャルフローろ過により工程IIIからのフラクションに存在するrASAを精製し;
V) 工程IVからのrASAの調製物を、各工程が該調製物を平衡化したクロマトグラフィカラムにロードして、rASAを含有する1つ又はそれより多いフラクションを溶出することを
含む1又は2以上の連続工程において洗練し;
VI) 工程Vからのフラクションをウイルス低減フィルタに通過させ;
VII) 適切な調剤バッファーでrhASAの調製物を得るために工程VIからのフラクションを調剤し;
VIII) 任意に、rASAの調剤された調製物を適切な容器に充填し、試料を凍結乾燥する。
II) アリールスルファターゼA含有上清を平衡化したクロマトグラフィカラムと接触さ
せ、アリールスルファターゼAを含有する1つ又はそれより多いフラクションを溶出し;
III) 工程IIからのフラクションを別の平衡化したクロマトグラフィカラムにロードして、アリールスルファターゼAを含有する1つ又はそれより多いフラクションを溶出し;
IV) タンジェンシャルフローろ過により工程IIIからのフラクションに存在するアリールスルファターゼAのバッファー交換を行い;
V) 工程IVからのアリールスルファターゼAの調製物を、各工程が該調製物を平衡化したクロマトグラフィカラムにロードして、アリールスルファターゼAを含有する1つ又はそれより多いフラクションを溶出することを含む1又は2以上の連続工程において洗練し;
VI) 工程Vからのフラクションをウイルス低減フィルタに通過させ;
VII) 適切な調剤バッファーでアリールスルファターゼAの調製物を得るために工程VIからのフラクションを調剤し;
VIII) 任意に、アリールスルファターゼAの調剤された調製物を適切な容器に充填し、試料を凍結乾燥する。
染物質を含む組成物を樹脂にロードする前に、イオン交換樹脂に通過させる。簡便には、平衡化バッファーはローディングバッファーと同じであるが、このことは必須ではない。
。あるいは、10 mMリン酸ナトリウム、pH 7.5のようなリン酸ナトリウムバッファーを標準バッファーとして精製方法の間じゅう用いることができる。なぜなら、これは、マンノース-6-ホスフェートのリン酸基を切り離し得るいずれの残存ホスファターゼを阻害するからである。NaCl濃度は、洗浄及び溶出工程においてそれぞれ0.05〜0.15 M及び0.2〜0.4Mに増加させる。
精製方法の工程IVにおいて、rASAは、タンジェンシャルフローろ過による酸性環境下でのサイズによる汚染物質からの分離により精製される。rASAは、低pHではオクタマーを形成し、480 kDaの理論上の分子量を有するので、比較的開放されたメンブレンにより保持されるが、ほとんどの汚染物質はこのメンブレンを通過する(Sommerladeら, (1994) Biochem. J., 297; 123〜130; Schmidtら, (1995) Cell, 82 271〜278; Lukatelaら, (1998) Biochemistry, 37, 3654〜3664)。この方法の原料は、方法の前の工程のクロマトグラフィカラムから溶出されたrASA懸濁物であるので、この懸濁物のpHは、0.2〜1 M酢酸Na、pH4.5の添加により4〜5に調整される。次いで、当業者に公知の方法において、1〜10バッファー容量の酢酸Na pH 4.0〜5.5に対してダイアフィルトレーションが行われる。このろ過は、20〜450 kDaの範囲の名目上の重量カットオフを有するいくつかの異なるタイプのフィルタを用いて行うことができるが、100〜300 kDaの範囲のカットオフ値を有するフィルタを用いるのが好ましい。rASA含有溶液のさらなるプロセシングのために、Trisベースを約20〜50 mMの最終濃度まで添加することにより、pHを7〜8の範囲内の値に調整する。
a) 調剤バッファーI (mMで):Na2HPO4 (3.50〜3.90)、NaH2PO4 (0〜0.5)、グリシン(25〜30)、マンニトール(230〜270)、及び注射のための水を含む;又は
b) 調剤バッファーII (mMで):Tris-HCl (10)、グリシン(25〜30)、マンニトール(230〜270)及び注射のための水を含む
中に処方される。
本発明のさらなる実施形態は、rASAが、生分解性マイクロスフェア、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸又はこれらの混合物を含むマイクロスフェアを含む徐放性製剤として調剤される方法である。
rASAを、血流中でのその半減期を増加させるか及び/又は腎臓を介しての浄化(clearing)を低減させるか及び/又は肝臓を介しての拡張された摂取を防止するように調剤する特定の実施形態が考えられる。
a) 酵素(アリールスルファターゼA)の中枢神経系への送達のためのペプチド又はポリペプチドのようなビヒクル、
b) 脳血液関門の開放又は破壊を引き起こし得る成分、
c) 無損傷の細胞
を含まないことが、現在、好ましい。
最近の文献によると、組換えヒトα-L-イズロニダーゼ(rhIDU)の髄腔内注入(髄液への直接の注入)が、ムコ多糖沈着症(MPL)のイヌモデルの脳組織における炭水化物の貯蔵を減少させることができる(Kakkis, 2003)。これらの知見に基づいて、本発明は:
(a) 任意に、骨髄移植による治療の補助として、末梢神経系内部の標的細胞でのガラクトシルスルファチドのレベルを減少させるために、本発明による医薬組成物を静脈内投与するか、及び/又は
(b) 末梢及び中枢神経系の両方の標的細胞でのガラクトシルスルファチドのレベルを減少させるために、本発明による医薬組成物を静脈内投与するか、及び/又は
(c) 中枢神経系内部の標的細胞でのガラクトシルスルファチドのレベルを減少させるために、本発明による医薬組成物の髄腔内注入と任意に組み合わせて、末梢神経系内部の標的細胞でのガラクトシルスルファチドのレベルを減少させるために、本発明による医薬組成物を静脈内投与する
ことを含む治療方法を提供する。
本発明のさらに好ましい実施形態によると、該方法は、上記の医薬組成物を上記対象の静脈内に投与し、上記の対象における末梢神経系内の標的細胞及び中枢神経系内の標的細胞におけるガラクトシルスルファチドのレベルを減少させることを含むのが好ましい。
当業者により知られるように、上記の中枢神経系内の標的細胞が好ましくは乏突起膠細胞であり、上記の末梢神経系内の標的細胞が好ましくはシュヴァン細胞である。
また、上記の医薬組成物は、毎日、毎週、2週間毎又は毎月ベースで投与されるのが好ましい。
a) 酵素の有効レベルが循環中に8日間以上維持されるか、及び/又は
b) 酵素の有効レベルが内臓、坐骨神経及び腕神経叢に8日間以上維持されるか、及び/又は
c) 酵素の有効レベルが肝臓に8日間以上維持される
ようなものである。
a) 酵素の有効レベルが循環中に維持されるか、及び/又は
b) 酵素の有効レベルが内臓、坐骨神経及び腕神経叢で維持されるか、及び/又は
c) 酵素の有効レベルが肝臓及び/又は腎臓で維持される
ようなものでなければならない。この関係において、用語「有効レベル」は、40 mg/kg-体重の量でのアリールスルファターゼAの静脈内投与の8日後にTLCで測定して、腎臓を含む内臓の細胞での貯蔵スフィンゴ脂質3-O-スルホガラクトシルセラミド (ガラクトシルスルファチド)の少なくとも10%の減少を引き起こすのに効果的なアリールスルファターゼAのレベルと理解される。ガラクトシルスルファチドの減少が、酵素の投与前に存在するレベルに比べて少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%又は少なくとも40%であるのが好ましい。また、アリールスルファターゼAは、体重1 kg当たり5〜100mgの酵素、例えば10 mg/kg-体重、20 mg/kg-体重、30 mg/kg-体重、50 mg/kg-体重、60 mg/kg-体重、70 mg/kg-体重、80 mg/kg-体重、又は90 mg/kg-体重の量で投与されるのが好ましい。CNSでの効果は、酵素の質に大きく依存するようであるので、アリールスルファターゼA製剤は、上記の製剤であるのが好ましい。
a) 中枢神経系への酵素(アリールスルファターゼA)の送達のためのビヒクル、例えばペプチド又はポリペプチド、及び
b) 血液脳関門の開放又は破壊を引き起こし得る成分、及び
c) 形質導入細胞、例えば形質導入自己細胞、例えば形質導入繊維芽細胞又は末梢血リンパ球を含む無損傷の細胞
のいずれも含まない。
a) 中枢神経系への酵素(アリールスルファターゼA)の送達のためのビヒクル、例えばペプチド又はポリペプチドを含む製剤の投与、及び
b) 血液脳関門の開放又は破壊を引き起こし得る製剤の投与、及び
c) 形質導入細胞、例えば形質導入自己細胞、例えば形質導入繊維芽細胞又は末梢血リンパ球を含む無損傷の細胞の投与
を含むいずれの付加的な医学的治療を受けない対象に対する投与用である。
a) 脳室内、脊髄、髄腔内又は頭蓋内投与からなる群より選択される経路によるアリールスルファターゼAの製剤の投与、
a) 中枢神経系への酵素の送達のためのビヒクルの投与、
b) 骨髄又は骨髄幹細胞の移植、
c) 内因性及び/又は外因性アリールスルファターゼAを発現する細胞の投与、
d) 血液脳関門の開放又は破壊を引き起こし得る医薬、例えばチオサルフェートナトリウム、あるいは血液脳関門の透過性を増大させ得る高張液の投与、
f) 形質導入された細胞、例えば形質導入された自己細胞、例えば形質導入された繊維芽細胞又は末梢血リンパ球を含む無損傷の細胞の全身又は髄腔内の投与、
g) 遺伝子治療
のいずれも受けない対象である。
上記のような中枢神経系内の細胞でのスルファチドレベルの減少に加えて、末梢神経系において、特にシュヴァン細胞で対応する減少がみられる。
本発明の種々の観点及びこれらの観点の具体的な実施形態の記載について、ある観点及び/又は本発明のある観点のある実施形態に関連して記載されたか又は参照されたいずれの特徴及び性質は、記載される本発明のいずれの又は全ての他の観点及び/又は実施形態にも同様に適用されることが理解されるべきである。
図1:(A) 連続細胞増殖系の概略図。(B) 精製方法の概説。
図2:rhASAのイオン交換クロマトグラフィバッチ試験。
図3:(A) 本発明による精製手順の工程(V)の完了後のrhASAのHPLC-クロマトグラム。(B) (A)のHPLCクロマトグラムの拡大。
図5:rhASAと6、24及び48時間インキュベーションした後に放射性標識したスルファチドをロードしたMLD-繊維芽細胞におけるスルファチドのクリアランス。
図6:rhASAの静脈内注射の10分後のrhASAの血清レベル。
実施例1:連続細胞増殖
大規模生産(カラム規模>2L)へのスケールアップを意図する連続細胞増殖及び200〜400 mlカラム規模での小〜中サイズのrhASAの精製方法を開発する。系の概略を図1に示す
。最終産物(rhASA)の質及び純度は非常に高く、毒性試験に適し(工程1〜4+7を含む)、臨床試験にも最終的に適する(記載する全ての工程を含む)。上記のように、方法は捕捉工程、1〜2つの中間精製工程、1つの洗練工程、1〜2つのウイルス除去工程及び1つの調剤工程を含む。1又はそれより多いバッファー交換工程も含まれる。
酵素活性: アリールスルファターゼアッセイ
全タンパク質濃度: BCA分析
rhASA濃度: rhASA ELISA
純度: rpHPLC、
SDS-PAGE
性質: rpHPLC、
ウェスタンブロットrhASA
HCPタンパク質: HCP-ELISA、
ウェスタンブロットHCPタンパク質
浸透度: Ph. Eur. 2.2.35法による。まさにこの物質についての許容値が欧州薬局方に記載されていないので、インビボでよく許容されるNaCl (0.9%)の等張液に匹敵することから、値(250〜350 mOsmol/kg)を規定する。
DNA含量: DNA閾値
pH: Ph. Eur. 2.2.3法による。まさにこの物質についての許容値が欧州薬局方に記載されていないので、中性pHでありかつインビボでよく許容されることから、値(7.0〜8.0)を規定する。
アリールスルファターゼアッセイ
天然の基質に加えて、ASAは、合成の発色性基質であるパラニトロカテコールサルフェート(pNCS)の加水分解も触媒できる。図を参照。産物であるパラニトロカテコール(pNC)は、515 nmで光を吸収する。この方法は、Fluhartyら 1978, Meth. Enzymol. 50:537〜47により記載される。
Molecular Devicesからの分光光度計Spectra MAX Plus又は同等物。
515 nmに適する、光路長1 cmのキュベット1 ml (ガラス又はプラスチック)。
平底96ウェルマイクロタイタープレート。
pNCS - p-ニトロカテコールサルフェート(no.N-7251, Sigma)
BSA - ウシ血清アルブミンFrac. V
NaAc - 酢酸ナトリウム三水和物
Triton X-100
Tris-HCl 分子生物学グレード
PBS, pH 7.4 w/o Ca2+, Mg2+:0.20 g/l KCl, 0.20 g/l KH2PO4, 8 g/l NaCl,
1.15 g/l Na2HPO4。pHを調整。
その他の全ての溶剤及び化学薬品は、p.a.品質(Merck)のものであった。
a. 2×ASA 基質溶液:0.5 M NaAc pH 5.0中に30 mM pNCS、10 % (w/v) NaCl及び1 mg/ml BSA。
b. TBS, pH 7.5:H2O中に10 mM Tris-HCl及び150 mM NaCl。
c. 停止溶液:1 M NaOH。
用いた培地を遠心し(110×g、5分)、上清を清潔なチューブに移す。バッファーを透析又はゲルろ過カラムを用いることによりTBSに変える。
懸濁液中の細胞をPBSで1回、次いでTBSで1回洗浄した後に細胞を0.5 ml TBS+0.5 % TritonX-100中に10分間RTで溶解させる。ボルテックス後、溶解物を遠心し(13,200 rpm、10分)、上清を清潔なチューブに集める。あるいは、細胞をTBSに再懸濁し、ついで凍結−融解を繰り返すことにより溶解する。
活性を測定する前にバッファーをTBSに変え、試料中のタンパク質濃度をBCA Protein Assay Reagentキット(以下を参照)を用いて測定する。
直線性を確実にするために、最終吸光度0.1〜2 (参考文献2を参照)を目標とする。資料は、必要に応じてTBSで希釈する。
a. 試料希釈液(TBS又はTBS+TritonX-100) 50μlをマイクロタイタープレートに少なくとも二重に加え、ブランクとして用いる。
b. 試料又は希釈した試料50μlを二重にマイクロタイタープレートに加える。
c. 2×ASA基質溶液50μlを各ウェルに加える。プレートを密閉し、正確に30分間37±0.5℃でインキュベートする。
d. 反応を、全てのウェルに停止溶液(1 M NaOH) 50μlを加えることにより停止する。
e. ウェル当たり0.15 mlのMilliQ水を満たしたマイクロタイタープレートを用いて、散乱効果を補正するために予備読み取りを行う。その後、515 nmでの吸光度を、プレートリーダーを用いて30分以内に測定する。吸光度は、マイクロタイタープレートから1 cm光路でPath Checkとよばれるアプリケーションを用いて測定した。
f. デルタ吸光度(ΔA)は、各試料の測定された吸光度からブランクの吸光度の値を引くことにより算出される。産物pNCについてのモル吸光係数(εM)は12 400 M-1 cm-1である。
定義:酵素活性1単位(1 U)は、37℃、pH 5.0で1分当たりに1μmolのpNCSを加水分解する
と定義される。
以下の等式は、加水分解されたpNCSμmol/min×ml (=単位/ml)での酵素活性を算出するのに用いられる。
ΔA= 試料の吸光度−ブランクの吸光度;
Vtot (ml) = mlでの全反応容量(この場合0.15 ml);
Vsample (ml) = mlでの加えた試料の容量(この場合0.05 ml);
εM = 産物pNCのモル吸光係数、この場合は12 400 M-1 cm-1
ΔA×(0.15 / (12 400/1000×0.05×30)) = X μmol / (分×ml) (=単位/ml) (1)
と書くことによってより単純化できる。
Eq. 1 / タンパク質濃度(mg/ml) = Yμmol / (分×mg) = 単位/mg (2)
市販のキット(Pierce BCA Proteinアッセイキット, no. 23225)を、製造業者の使用説明に従って用いる。
この方法は、組換えヒトアリールスルファターゼ(rhASA)を溶液中、例えばバッファー、細胞培養液及び血清中で定量的に測定するための酵素結合免疫吸着法(ELISA)である。
rhASAは、アフィニティ精製したrhASAに対するウサギ抗血清のIgGフラクションでコートしたマキシソープ96ウェルプレートに捕捉する。捕捉されたrhASAは、rhASAに対するモノクローナル抗体を用いて、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)-コンジュゲート抗マウス免疫グロブリンにより検出される。HRPは、基質であるテトラメチルベンジジン(TMB)を青色の産物に変換し、これが酸化により黄色に変わる。吸光度を450 nmで測定し、既知のrhASA濃度からの標準曲線を用いて試料のrhASA濃度を算出する。
プレート用の分光光度計、すなわちSpectramax Plus, Molecular Devices及び計算のためのSOFTmax PROソフトウェア
プレートウォッシャー
プレートシェイカー
ピペット:シングル及びマルチチャネル
マキシソープ96ウェルプレート
密閉テープ
コーティングバッファー
Tris-緩衝生理食塩水(TBS):10 mM Tris-HCl, 0.15 M NaCl, pH 7.4.
洗浄バッファー
TBS (コーティングバッファー)に0.1% tween-20を補う。
1 ml tween-20を1リットルのTBSに加える。
ブロッキングバッファー
TBS中のSuperBlockブロッキングバッファー(Pierce)。
希釈バッファー
10 mlブロッキングバッファーを90 ml TBS (コーティングバッファー)に加える。
rhASA-CHO細胞からの培地を、rhASA (5.7)に対するモノクローナル抗体がプロテインAに架橋されたカラムでアフィニティ精製する。アフィニティ精製されたrhASA (DAKO)を用いてウサギを免疫にし、抗血清がウェスタンブロッティングでrhASAと反応することを確認する。ウサギからの抗血清をHiTrapプロテインGカラムで精製する。
IgGフラクションを50%グリセロール、10 mM Na-Pi、75 mM NaCl、pH 7.2中に4℃で貯蔵する。タンパク質濃度は、BCAプロテインアッセイキットを用いて測定して1.25 mg/mlである。
バッチM0208の精製したrhASAを、スタンダードとして用いる。スタンダードは、rhASA-CHO細胞上清から3つの連続する精製工程、DEAEセファロース、HICオクチルセファロース及びMustang Qを用いて精製する。
ストックは、50%グリセロール、10 mM Tri-HCl、pH 7.5中に4℃で貯蔵する。BCAプロテインアッセイキットを用いて測定した濃度は、100μg/mlと見積もられる。
rhASAモノクローナル抗体(mab)産生ハイブリドーマ(Prof. Gieselmann, Bonnからの19-16-3)からの上清を、HiTrapプロテインAカラムで精製する。
mabは、-20℃で、0.02%アジ化ナトリウムを補った20 mM Na-Pi、0.145 M NaCl、pH 7.2(PBS)中に貯蔵する。作業部分は4℃で6ヶ月間保持する。
西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートのアフィニティ単離されたヤギ抗マウス免疫グロブリンをDAKO (P 0447)から購入し、4℃で貯蔵する。
TMB基質
3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)を含むOne-Step SubstrateシステムをDAKO (S1600)から購入し、4℃で貯蔵する。
停止溶液
1 M H2SO4
コーティング
抗rhASAポリクローナルIgGのストックを1:1000にTBS中で希釈して1.25μg/mlとし、100μl/ウェルをマキシソープ96ウェルプレートに加える。プレートを室温で一晩インキュベートし、〜250μlの洗浄バッファーで2回洗浄する。
ウェル当たりブロッキングバッファー200μlを加え、その後、室温で振動させながら少なくとも15〜60分間インキュベートする。
rhASAの捕捉
希釈バッファー100μlを全てのウェルに加える。
試料:試料を希釈バッファー中に三重で希釈して、見積もりのrhASA濃度が約25 ng/mlとなるようにする。各試料100μlを96ウェルプレートに移す。プレートに2〜8の2倍希釈をつくる。
モノクローナル抗体での検出
rhASAに対するモノクローナル抗体(mab)を1:2000に185 ng/mlまで希釈バッファー中に希釈し、100μlを各ウェルに加える。プレートを、室温で振動下に70〜120分間インキュベートし、その後〜250μlの洗浄バッファーで4回洗浄する。
抗マウスIgG-HRPを1:2000に500 ng/mlまでTBS (コーティングバッファー)中に希釈し、100μlを各ウェルに加える。プレートを室温で振動下に70〜120分間インキュベートし、その後、上記のようにして4回洗浄する。
発色
TMB基質(100μl)を各ウェルに加え、プレートを室温で振動せずに15分間インキュベートする。100μl/ウェルで1 M H2SO4 (停止溶液)を加えることによる反応、そして吸光度を450 nmで、プレート分光光度計で終点を読み取ることにより測定する。
rhASA濃度は、製造業者の使用説明に従ってSOFTmax PROソフトウェア(....)を用いて算出する。
標準曲線の直線部分を1次回帰を用いてプロットし、未知の試料の濃度を標準曲線から読み取る。
アリールスルファターゼA (rhASA)の純度を、UV吸収を220 nmで監視しながら逆相HPLCで測定する。有機変性剤(アセトニトリル)の濃度が移動相中に増加した溶出物が得られる。試料中のrhASA及びその他の成分の保持時間は、それらの非極性固定相への吸着及び脱着の能力に依存し、よってタンパク質のコンホメーション、疎水性及び配列のような因子に依存する。
HP Chemstation バージョンA.06.03により制御されるターシャリーポンプシステム、オートインジェクタ、ダイオードアレイ検出器を備えたHewlett Packardモデル1090 HPLCシステム。同等なHPLCシステムは、システムの適切性試験が適切な性能を証明する限り用いることができる。
分析カラム:Zorbax 300SB-C18、2.1*150mm 5-ミクロン, Rockland Technologies Scientific, Inc。
インラインフィルタ:インラインフィルタA-102X及びインラインフィルタカートリッジ1*1 mm、Upchurch Scientific, Inc。
試料調製用のフィルタ:Whatman Anatope 10 LC
Milli-Q水、HPLCグレードの水又は同等物。
アセトニトリル、遠UV、HPLCグレード(VWR, LiChrosolve又は同等物)
トリフルオロ酢酸(TFA)、アンプル10×1 g (Pierce)
トリスベースp.a.クオリティ(Angus又は同等物)
塩化グアニジン(guanidinium chloride)p.a.クオリティ(VWR生化学グレード又は同等物)
移動相B:1アンプルのTFA (1 g)を1リットルのアセトニトリルに溶解させる。
試料希釈液:20 mM Tris-HCl、pH 7.5
カラム浄化溶液1:水中の50%イソプロパノールp.a.クオリティ
カラム浄化溶液2:6 M 塩化グアニジン
特に記載しない場合は、全ての他の化学薬品及び試薬はp.a.クオリティであり、一般的な市場での入手元から購入する。
装置条件
移動相組成: A: 水、0.1% TFA
B: アセトニトリル(AcN)、0.1% TFA
流速 0.2 ml/min
温度 +40℃
試料注入容量:
粗抽出物: 20μl (0.3 mg/mlに濃縮した場合)
処理中の試料: 20μl (0.3 mg/mlに濃縮した場合)
アフィニティ精製した試料: 5μl (1.0 mg/mlの場合)
時間(分) %A %B
1.00 70 30
10.00 40 60
15.00 5 95
20.00 5 95
25.00 70 30
30.00 (後時間) 70 30
試料として50%イソプロパノール(p.a.グレード) 25μlを注入、カラムを洗浄するために上記の勾配の運転。
試料及びスタンダードの調製
100μg/ml未満のタンパク質濃度のrhASA試料を、Centriplus遠心ろ過装置(モデルYM-30, Millipore Corp.)で濃縮する。
得られた抽残液(retentate)をタンパク質濃度1.0〜0.3 mg/mlに20 mM Tris-HCl pH 7.5を用いて調整し、いずれの粒子及び沈殿したタンパク質を除くために0.22μmフィルタでろ過する。試料容量が小さい場合は、ろ過は10,000gで10分間の遠心で置き換えることができる。
試料をロードし、温度を可能であれば低く(+8℃)に保ってクロマトグラフを行う。
積分及び純度の計算
rhASAピークについて220 nmで測定した曲線下面積を計算し、全積分面積と関連付ける。純度は、全タンパク質のrhASAのパーセンテージとして表す。積分のベースとして、付録の積分パラメータを使用する(Hewlett Packard/ Agilent Chemstation 06.03ソフトウェアについて設計)。rhASAメインピークの積分は、予め設定された積分パラメータとともにいつも最適というわけではないので、手動の積分が必要であろう。異なるHPLCソフトウェアは異なる積分パラメータを必要とするはずなので、これは各システムについて個別に試験されなければならない。
同定:試料のメインピークの保持は、rhASAスタンダードに比べて±0.5分以内であるべきである。
純度:試料の純度は、全積分面積と比較してメインピークの積分面積を比較することにより測定する。純度は、%メインピーク(rhASA)として表す。
未処理データ
未処理データは、サーバー又はCD-ROMディスクに保存する。
積分パラメータ
積分パラメータは、装置及びシステムに大きく依存し、かつ異なる使用するシステムについて評価されなければならない。以下の積分パラメータは、Agilent/ Hewlett PackardChemStation HPLCソフトウェアバージョン06.03について最適化されている。
事象 値 時間
傾斜感度 10.0 初期
ピーク幅 0.2 初期
却下面積(Area reject) 5.0 初期
却下高さ 1.0 初期
検出肩 ドロップ 初期
積分 OFF 0.000
積分 ON 5.000
連続哺乳動物細胞増殖を、AppliSensからのBio-Sep細胞保持機構を備えたB. Braun 5Lバイオリアクタで開発した。方法の原理を図2に概説した。哺乳動物細胞は、バイオリアクタ又は大規模醗酵槽での懸濁培養としての増殖及び外来タンパク質の産生が可能な細胞である。
上記のようにして増殖及び維持するときに、細胞は凝集せず、懸濁培養として増殖及び生産する。
地の回収である。回収を補うために、一日毎に新鮮な培地を同じ量培養に補充する。
連続培養方法は、500時間を超える期間にわたって維持することができ、2週間又はそれより多い生産段階が好ましい。収率を増大させるために、生産段階が一旦プラトーに達したら、温度を37℃から32〜35℃に下げることが望ましい。1.2×107細胞/ml及びそれを超える細胞密度が得られ、>20 mg rhASA/Lをもたらす3.0 pg/細胞/日を超える生産性がこの系において証明される。プロセスの間、グルコース、ラクテート、グルタミン、アンモニウム及び浸透度のパラメータを測定して制御する。
浄化及びウイルス低減
培地20 L (0.3〜1.5 U/mlの範囲のASA活性)を、Milliporeからの一連のデプスフィルタ(Polygard D5 5μm+Opticap FF及びOpticap 0.45μm)を通して浄化する。ウイルス低減のために、Tween 80を最終濃度1%まで加え、少なくとも30分間(一晩でも可能)、+4℃で放置する。
ろ液を、Sartoriusフレームを用いるSartoflow システム(Sartorius)で15 psiのトランスメンブレン圧力(TMP)でTFFを用いて、10〜20分の1の容量に濃縮する。0.1 m2面積のMillipore Biomax 30 kDaスクリーンタイプAを用いる。濃縮後、約2容量の20 mM Tris-HCl pH 7.5又は10 mM リン酸ナトリウムバッファー(標準バッファー)、pH 7.5に対して、約4 mS/cmの導電率までダイアフィルトレーションを行う。培地は、最終的に、Opticap 0.45μmフィルタを通してろ過された。
15 Lバイオリアクタ中での生産への適用:全体で〜300 Lのろ液を〜15 L (20〜40 U/ml)に濃縮し、2容量のバッファーを交換する。提案:潅流の間、6日毎にTFF。培養当たり3〜4回、90 Lを4.5 Lに濃縮。
100 Lバイオリアクタ中での生産への適用:2000 Lから100 Lへ、そして2容量のバッファーを交換。培養当たり3〜4回、300 Lを15 Lへ濃縮。
工程1からの試料(50,000 Uの全活性に相当)を、標準バッファーで平衡化した直径70 mmのカラムに充填された800 ml DEAEセファロース(Pharmacia Index 70/500)にアプライする。流速は80〜120 cm/hrである。DEAEゲルに結合したタンパク質を、標準バッファー2〜3カラム容量(CV)、続いて標準バッファー中の0.1 M NaCl 2〜3 CVで洗浄する。
好ましい。
STREAMLINE DEAEは、Direct STREAMLINEカラム内でリン酸ナトリウムバッファー、pH 7.1+200 mMマンニトール(最終濃度)を用いて平衡化する。樹脂は、沈降層容積(SBV)の〜3倍に膨張する。アリールスルファターゼA含有試料を、好ましくはオンラインで300 mMマンニトールと1:1で混合し、カラムにアプライする。あるいは、試料を、混合後にトップスピナーを用いて連続的に撹拌する。導電率は、〜7 mS/cmである。樹脂を2 SBVの平衡化バッファーで、続いて8 SBVのリン酸ナトリウムバッファー、pH 7.1+0.06 M NaClで洗浄し、rhASAを8 SBVのリン酸ナトリウムバッファー、pH 7.1+0.35 M NaClで溶出させて、4〜6 SBVを収集する。
流れは上方向で300 cm/hrである。
推定収率は95%であり、推定純度は30〜40%である。
結合量(capacity)は、80 U ASA(〜1 mg)/ml-吸着剤である。
直ちにCIPする。
1.4 L STREAMLINE Direct 95/1.0 カラム=20 cm 沈降層高さ(〜60 cm膨張時)。回収物は週当たり2回ロードする。15 Lバイオリアクタについて、ロード量は、希釈後に135及び180 Lに相当する。5.5〜8 LのrhASAプールが各運転で溶出される。
カラムの結合量の限界:80 U/ml-吸着剤。1.4 L吸着剤の最大のrhASAロード=112 000単位(〜1.4 g rhASA)、これは4日プールからの回収物中に最大で1.2 U/ml回収物(比活性が80 U/mgであれば15 mg/L)、及び3日プールから最大で1.7 U/ml (21 mg/L)に相当する。
12.3 L STREAMLINE Direct 280カラム= 20 cm 沈降層高さ(〜60 cm膨張時)。
回収物を週当たり2回ロードし、これは希釈後に900〜1200 Lのロード量に相当する。
運転当たり50〜70 L rhASAプールが溶出される。
結合量:984 000 U、これは4日プールからの回収物における1.6 U/ml (20 mg/ml)及び3日プールにおける2.2 U/ml (27 mg/ml)に相当する。
30〜50 cmの層高さ及び15.4〜30.8 L吸着剤を用いる場合、結合量は1.2〜2.5 106 Uであり、2.0〜4.1 U/ml (4日プール)及び2.7〜5.5 U/ml (3日プール)に相当する。
工程2からの試料プールを1:1で照準バッファー中の1.0 M Na2SO4と混合し、標準バッファー+0.5 M Na2SO4で平衡化した直径70 mmのカラムに充填した800 mlオクチルセファロースFF (Pharmacia Index 70/50)にアプライする。流速は60〜120cm/hrである。カラムを1〜2 CVの平衡化バッファーで、続いて1-2 CVの標準バッファー中の1.8 M 酢酸Na、pH 7.5で洗浄する。rhASAを、1.5〜3 CVの標準バッファー中の0.9 M 酢酸Na、pH 7.5で溶出させ、活性を有するフラクションをプールしてさらなる精製に用いる。通常、収率は90 %であり、純度は70〜87 %である。
例として、試験した最大の53 000 Uのアリールスルファターゼ活性に相当する工程1からの試料を、600 ml Butyl Sepharose 4FFカラム(Pharmacia Index 70/50カラムに充填)にアプライする。結合量は、100〜300 U/ml-ゲルである。
100 Lバイオリアクタでの生産への適用:〜25 (又は8) Lのカラム。
工程3からの試料プールを、Biomax A-スクリーン, 30 kDaに対してTFFを用いて約1 mg/mlに濃縮する。ダイアフィルトレーションは、3〜5容量の20 mM 酢酸Na、pH 5.4〜5.7に対して行われる。通常の収率は90〜100 %であり、純度は前回の工程と同じである。あるいは、混合物を〜4 mg (全タンパク質)/mlに濃縮し、バッファーを2 mM リン酸ナトリウム、pH 7.5に6容量のダイアフィルトレーションにより変換する。ダイアフィルトレーションは、Biomax 30 kDa、スクリーンA、ポリエーテルスルホンメンブレン(Millipore)を用いて、15 psiのトランスメンブレン圧力(TMP)で行われる。収率は90〜100%であり、純度は工程4と同じである。
100 Lバイオリアクタでの生産への適用:〜80 Lから〜16 Lへ濃縮。
任意に、濃縮及びダイアフィルトレーションは、Tween-80によるウイルス不活性化により進められる。
工程2からの溶出液は、最終濃度1%までTween-80 (C18H124O26)と混合して、少なくとも1時間放置する。
Mustang-Sメンブレン又はBlue Sepharose (受動工程)+アニオン交換体又はメンブレン(能動工程)
簡単な説明:Mustang-Sメンブレン又はBlue Sepharoseは、高分解(high resolving)アニオン交換体(例えばAmhersam BiotechからのSource-Q又はMustang Qメンブレン)と連続して連結される。カラムを>10 CVの20〜100 mM 酢酸ナトリウム、pH 5.4〜6.0で平衡化する。工程4からの試料のプールを、0.1 M NaAc, pH 5.6と1:1で混合することによりpHを調整した後にカラムにロードする(rhASAは、Mustang-Sメンブレン/Blue Sepharoseを通過し、高分解アニオン交換体に捕捉される)。Mustang- Sメンブレン/Blue Sepharoseの連結を外し、高分解アニオン交換体を2〜10 CVの20〜75 mM 酢酸ナトリウム、pH 4.8で洗浄する。
流速は、100〜120 cm/hrであり、推定収率は90%、純度は98〜100%である。結合量Blue Sepharoseについて>40 mg/ml及びSource 30Qについて30 mg/ml。
100 Lバイオリアクタでの生産への適用:培養当たり2回の〜1.3 L Blue Sepharose及び2 L Source 30Q。
ウイルスろ過は、工程5からの産物プールについて、0.1ミクロンのフィルタ、続いてPallからのDV 20ナノフィルタを用い、20〜50 psiの定常圧力を印加して行う。プロセス規模における推定のフロースルーは25 L/hrである。
あるいは、1%のTween 20又は80を、最初の濃縮及びダイアフィルトレーション工程(工程1)の前に上清に加えることができる(接触時間30〜60分)。
Millipore Biomax 30 kDa スクリーンタイプAに対する、5-10容量の調剤バッファーに対するタンジェンシャルフローろ過(TFF)を行う。最も適当な調剤バッファーを以下に示す。
調剤バッファー1:
Na2HPO4 3.50〜3.90 mM
NaH2PO4 0〜0.5 mM
グリシン 25〜30 mM
マンニトール 230〜270 mM
注射用の水(WFI)
調剤バッファー2:
Tris-HCl 10 mM
グリシン 25〜30 mM
マンニトール 230〜270 mM
注射用の水(WFI)
調剤バッファー3:
Na2HPO4 3.50〜3.90 mM
NaH2PO4 0〜0.5 mM
グリシン 25〜30 mM
マンニトール 230〜270 mM
注射用の水(WFI)
調剤及び剤形
剤形の開発において、rhASAの安定性は考えるべき重要な因子である。現在、全ての安定性のデータは、安定水溶液のほうに向いている。凍結乾燥粉末が現在のバックアップストラテジーである。
現在のオプションは、工程7に記載した2つの異なる調剤バッファー:調剤バッファー1及び2である。
rhASAの充填は、クラスAに分類される部屋で、EUのGMPプラクティスに従って産物単位で行われる。生産の間、充填領域は粒子カウント及び沈降プレートを用いて監視される。職員はEU GMPに従って訓練され、各生産の後にグローブプリントを用いて監視される。設備及び材料の滅菌性は、有効滅菌手順により確実にされる。
記載した精製方法は、7工程からなり、バイオリアクタ培養当たり2つのサブバッチが生産される。全体の収率は〜60〜70%である。純度は少なくとも95%である。宿主細胞タンパク質の含量は、<200 ng/mgであるべきであり、目標値は<100 ng/mlである。HCPをさらに減少させるために、中間又は洗練工程のいずれかについて収率を減少させる必要があるだろう。
工程1:STREAMLINE DEAE:上方向への流れ、100 cm/hr各運転の直後。1 M NaCl 8〜10 SBV、廃棄用1 M NaOH 5 SBV、次いで再循環>6 hrs、H20、クエン酸/HAc必要に応じて。20% EtOHで貯蔵。
工程2:Butyl Sepharose:上方向への流れ、30 cm/hr。各運転後、1〜2 CV H2O、1〜2 CV 1 M NaOH (接触時間40分)、1〜2 CV H2O及び1〜2 CV 20% EtOHを用いて逆の流れでCIP。20% EtOH中に貯蔵。
工程4:Blue Sepharose:各運転後、2 CV 1 M NaCl、2 CV H2O、1〜2 CV 0.1 M NaOH (接触時間40分)、1〜2 CV H2O及び1〜2 CV 20% EtOHを用いて逆の流れでCIP。20% EtOH中に貯蔵。
Source Q:上方向への流れ。各運転後、2 CV 2 M NaCl、2 CV H2O、1〜2 CV 1 M NaOH (接触時間40分)、1〜2 CV H2O及び1〜2 CV 20% EtOHを用いて、流速〜30 cm/hrで逆の流れでCIP。20% EtOH中に貯蔵。
上記に概説したような精製手順を通して得られるrhASAの調製物のデータを、表5及び6に示す。簡単に、結果は、精製方法の全体の収率が、原料に存在するrhASAの79%に相当することを示す。得られる調製物中のrhASAの純度は、逆相HPLCにより測定して98.0 %に相当する。結果を図3に示す。データが示される手順についての具体的な条件は、次に示すとおりである。
工程4:10 ml Mustang-Sメンブレンを、高分解アニオン交換体(Resource-Q、Amhersam Biotech、6 ml)と連続して連結する。カラムを>10 CVの20 mM酢酸ナトリウム、pH 5.5で平衡化する。Tox03HC20からのrhASAは、バッファーを平衡化バッファーに変換し、カラムにロードする。Mustang-Sメンブレンを通過した後、rhASAはResource-Qカラムに捕捉される。Mustang-Sメンブレンは連結を外され、Resource-Qカラムを3 CVの75 mM酢酸ナトリウム、pH 4.8で洗浄する。
Resource-Qカラムを、>10 CVの20 mM Tris-HCl pH 7.5 (標準バッファー)で、正しいpHに到達するまで洗浄する。カラムを、標準バッファー中の0.1 M NaClで洗浄し、rhASAを標準バッファー中の0.1〜0.3 M NaClの直線勾配で溶出する。活性rhASAを含むフラクションを収集する。
i.v.用のバルク物質の詳述。組換えヒトアリールスルファターゼA (rhASA)の毒性試験。分析試験は、滅菌ろ過及び精製方法の最後の充填の前に行われる。
記載:
i.v.投与用の溶液中の組換えヒトアリールスルファターゼA (rhASA) 。
貯蔵寿命は、-20℃で貯蔵する場合に生産から6ヶ月である。使用できる期間(In-use time)は、+5℃で貯蔵する場合、融解から1週間である。
実験の説明:
rhASA (Tox03HC20) 5 mg/mlを1:10でpH 4.8〜7.2のバッファーと混合した。
カチオン交換体(Unosphere-S, BioRad)+アニオン交換体(DEAE FF, Amhersam Biotech)を試験管に分け、20 mM 酢酸Na pH 4.8、5.2、5.6及び6.05又は20 mM Tris-HCl pH 7.2で平衡化した(約100 ul IEX媒体/チューブ)。1:10でresp.バッファー中の170 ul rhASAをIEX媒体に同じpHで加え、かつ空の参照チューブにも加える。数回混合し、約30分間静置する。スピンダウンし、上清の活性を測定する。
rhASAは、予想通りカチオン交換体に結合するが、アニオン交換体には結合しない。pH 4.8であってもrhASAは、樹脂に強力に予期せぬことに結合する。この結合は、強い極性、あるいは露出された荷電基の変化を誘導するpH 5.8より下でのダイマーからオクタマーへの変化により説明できる。結果は図2に示す。
用量/応答実験:
実験の設計
ヌル突然変異を持つMLD患者からの繊維芽細胞(GM00243、Coriell Cell Repository, USAから購入)を、25 cm2フラスコで熱失活胎児ウシ血清(FCS)を含有する培地中にほぼ集密まで増殖させる。細胞に、天然基質14C-パルミトイルスルファチド(15μM)をロードする。40時間のインキュベーションのあと、培地をrhASA含有培地(それぞれ0、25、50及び100mU/mlのアフィニティ精製したrhASA)に変換する。24時間後、細胞を回収して、クロロホルム−メタノール抽出により脂質抽出物を細胞から調製する。脂質フラクションをTLCクロマトグラフィにより、放射活性標識された参照と比較することにより分析する。TLC板をX線フィルムに露光し、TLC板からの異なる脂質フラクションを液体シンチレーションカウントを用いて定量する。データは、残存及び代謝されたスルファチドの放射活性のパーセントとして表す。
この実験からのデータ(表3及び図4)は、用いたrhASAの全ての用量レベル(0.25、2.5、25、50及び100 mU/ml)が、MLD繊維芽細胞内に負荷された14C標識スルファチドの約40〜70%を代謝することを示す。基質の分解のバックグラウンドは、rhASAでインキュベートされていない細胞において約15%である。このバックグラウンドは、MLD細胞内でのスルファターゼの低い残存活性により説明されるか、又は細胞又はFCSにおいてASA活性は検出できないが、熱失活血清からのいくらかのスルファターゼ活性により説明される。このことは、rhASAを加えていないコントロール細胞での低いスルファチド代謝をも説明する。
実験の設計
細胞に、上記のようにして14C-パルミトイルスルファチド(15μM)をロードする。培地は、25 mU/mlのアフィニティ精製されたrhASAを含有する培地に交換し、6、24及び48時間に回収する。脂質抽出物は、上記のようにして調製して分析する。データは、残存及び代謝されたスルファチドの放射活性のパーセントとして表す。
この実験からのデータは、MLD繊維芽細胞内へロードされた14C標識化スルファチドの代謝が、アフィニティ精製されたrhASAの添加後48時間にわたって増加することを示す。データを図5に示す。
結論:
これらのデータから、rhASAはMLD患者からの繊維芽細胞により効率的に摂取され、これらの繊維芽細胞にロードされたスルファチドは、低い用量及び数時間のインキュベーションの後であっても外因性rhASAにより効率的に代謝され得ると結論付けることができる。
CHO-rhASAの特徴付け
ヒトASAを、発現プラスミドpASAExp1からヒトASAを過剰発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Zymenex A/S, Hillerod, Denmark - 以前のHemeBiotech A/S)の分泌物から精製した。酵素調製物の比活性は、60 U/mgを超えていた。CHO-rhASAを、1×TBS pH 7.4中に2.5〜4.3 mg/mlの濃度に再緩衝し、SDS-PAGE及びMALDI-TOF分光法により分析した。MALDI質量スペクトルは、337 nmの窒素レーザを備えたVoyager-DE STR BioSpectrometryワークステーション(Perspective Biosystems, Inc., Framingham, USA)を用いて収集した。測定は手動で、一次で(in linear)、20〜24 kV加速電圧、90%グリッド電圧及び200nsの遅延イオン抽出での陽イオンモードで行った。得られた各質量スペクトルは、同じ調製試料に対する300の選択していないレーザプロフィールの合計であった。シナピン酸をマトリックスとして用いた。CHO-rhASAの部分的又は完全な脱グリコシル化のために、1μgの酵素を1又は500 mU PNGアーゼF (Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)と37℃で20時間反応させた。エンドサイトーシスアッセイを、培地1 ml当たり1μg CHO-rhASAを用いて、上記のようにして20時間行った(Matzner, U.ら Gene Ther., 7, 805〜812)。ASAは、間接サンドウィッチELISA及び活性アッセイにより測定した(Matzner U,ら (2000) Gene Ther. 7(14):1250〜7, Baum, H.ら (1959). Clin. Chim. Acta., 4, 453〜455)。
CHO-rhASA 調製物のSDS-PAGE及びMALDI-TOF分析は、正しいサイズの化合物及び汚染物質の不在を検出した(図7A及び8A)。野生型ヒトASAは、約5〜6 kDaの複合分子質量を有する3つのN-結合炭水化物を有する(Gieselmann, V.ら (1992), J. Biol. Chem., 267, 13262-13266)。PNGアーゼFを用いる処理によりCHO-rhASAの見掛けの分子質量は減少し、組換え酵素のグリコシル化を示唆する(図7A)。CHO-rhASAを低濃度のPNGアーゼFと反応させた後、MALDI-TOF分析により4つの脱グリコシル化中間体が明らかにされ(図8B)、おそらく、3つ、2つ、1つ及び0のN-結合グリカンに結合したポリペプチドを表している。最大及び最小質量の産物の間の質量の差は、5 kDa程度であり、酵素の完全なグリコシル化を示唆する。CHO-rhASAのマンノースリン酸化を評価するために、酵素のマンノース 6-ホスフェート (M6P)-依存性エンドサイトーシスを、インビトロ供給(feeding)アッセイにより評価した。このアッセイにより、BHK細胞によるCHO-rhASAの効率的なエンドサイトーシスが明らかになった(図7B)。さらに、摂取はM6Pにより完全にブロックされ得るが、グルコース 6-ホスフェートによってはブロックされない。CHO-rhASAがM6P残基を有すると結論付けることができる。
細胞培養実験により、CHO-rhASAがM6P残基を有しかつM6P受容体依存性経路を細胞侵入のために用いることが明らかになった(図7B)。このインビトロアッセイで用いたBHK細胞は、リソソーム酵素について他の受容体を発現しない。よって、その他の受容体、例えばマンノース受容体又はアシアロ糖タンパク質受容体が、インビボ条件下では置換CHO-rhASAの結合及びエンドサイトーシスについて競合することが可能である。
材料及び方法
ヒト組換えアリールスルファターゼAを、実施例1に記載のようにして製造した。動物実験に用いるrhASAのバッチは、G0301 (濃度は4 mg/mlであり、酵素活性は166 U/mlであった)及びG0302 (濃度は4.3 mg/mlであり、酵素活性は242 U/mlであった)を含んでいた。rhASAを-20℃で貯蔵した。実験の開始前に、酵素のバッチを融解してプールし、タンパク質含量及び酵素活性を分析した。このプールのrhASAをTBSで希釈して、注射容量を、全ての動物群において250〜300μlとした。希釈は、注射の直前に作製した。体重及び投与容量を各動物について記載した。
C57Bl/6J×129olaの混合遺伝的背景のASAノックアウトマウス及び野生型コントロール(Hess B,ら (1996) Proc Natl Acad Sci U S A. 93(25):14821〜6)を、動物の保護に関する現在のドイツでの法に従う標準的な飼育条件下に維持した。全ての実験は、動物福祉の地方委員会により承認された(Bezirksregierung Koln, 参照番号50.203.2-BN 24, 18/04)。実験は、8〜12 mo(月)齢の動物を用いて行った。動物の体重及びCHO-rhASAストックの濃度に応じて、200〜300μlの酵素溶液(1×TBS pH 7.4中のCHO-rhASA)を、尾静脈への静脈内大量注射により投与した。コントロール動物には、250μlの1×TBS pH 7.4を注射した。
処置期間の間、尾静脈から血液を採取した。最終分析のために、マウスにトリブロモエタノールの腹腔内注射を用いて深く麻酔をかけ、経心的に潅流した。組織学的研究のために、マウスをまずPBSで、次いで100 mM リン酸バッファーpH 7.4中の6%グルタルアルデヒドで潅流した。次いで、組織を解剖し、下記のようにして処理した。生化学的分析のために、マウスをPBSでのみ潅流した。腎臓、肝臓、脳、腕神経叢及び坐骨神経を解剖し、秤量して凍結させた。組織試料を1×TBS pH 7.4中でホモジナイズした。ホモジネートの一定量を、脂質抽出(下記を参照)、タンパク質測定(BioRad Dcアッセイ、BioRad, Hercules, USA)及びELISAによるASAの測定(9)に用いた。
組織ホモジネート(上記を参照)の一定量を、100,000×gで1時間遠心し、ペレットをまず5 mlのクロロホルム/メタノール(C/M) 2:1 (v/v)で、次いで5 mlのC/M 1:1で、それぞれの場合について60℃で4時間ずつ抽出した。溶剤の蒸発に続いて、乾燥した脂質を5ml MeOHに再溶解させた。アルカリメタノリシスを、125μlの4 N NaOHを37℃で用いて開始し、2時間後に20μlの100%酢酸で停止した。脂質を乾燥させ、1 ml MeOHに溶解させた
。逆相クロマトグラフィによる脱塩のために、1 mlのベッドボリュームのLichroprep RP-18カラム(Merck, Darmstadt, Germany)をC/M/0.1M KCl 6:96:94で平衡化した。1容量の0.3 M酢酸アンモニウムを脂質溶液に加えた後に、混液をカラムにロードした。6 ml H2Oで洗浄後、脂質を1 ml MeOHで、次いで6 ml C/M 1:1で溶出させた。脂質抽出液の一定量を、シリカゲル60プレート(Merck)に、CAMAG (Muttenz, Switzerland)からのオートマチックTLCサンプラー4を用いて噴霧した。ロードする容量は、脂質抽出用の粗ホモジネートのタンパク質濃度について標準化した。異なる量(0.5〜8μg)の脂質スタンダード(コレステロール、スフィンゴミエリン、スルファチド、全てのスタンダードはSigmaから)を、別のレーンにロードした。溶媒系としてC/M/H2O 70:30:4を用いる薄層クロマトグラフィ(TLC)の後に、脂質をYao及びRastetter (33)に従って視覚化した。プレートを、平面スキャナ(UMAX Data Systems, Hsinchu, TaiwanからのPowerLook III)を用いてスキャンし、脂質のバンドの強度を、解析ソフトウェアAida 2.11 (Raytest, Straubenhardt, Germany)を用いて測定した。コレステロール、スフィンゴミエリン及びスルファチドの量は、バックグラウンド補正後のそれぞれのTLCのバンドの強度を表す任意の単位で示す。スチューデントのt検定を用いて、統計的分析を行った。
腎臓、脊髄及び脳を、潅流固定したマウスから解剖した。スルファチドの検出のために、組織切片(厚さ100μm)を、ビブラトームを用いて作製し、アルシアンブルー(Alcec Blue, Sigma-Aldrich, Taufkirchen, Germany)と記載されているようにしてインキュベートした(Wittke, D.ら Acta Neuropathol. (Berl.)., 108, 261〜271)。組織学条件(pH 5.7、300 mM MgCl2)は、スルファチドの特異的染色を保証するようなものであった(Scott, J.E.及びDorling, J. (1965), Histochemie, 5, 221〜233)。腎臓ブロックからのパラフィン切片をアルシアンブルーとの包埋前(pre-embedding)インキュベーションの後に作製した。坐骨神経及び腎臓の試料を、アルシアンブルーとの包埋前インキュベーションを行うか又は行わずに、セミシン切片を作製する通常の方法に従って、アラルダイト中に包埋した。
単回投与後のCHO-rhASAの薬物動力学及び生体内分布
ASAノックアウトマウスを、まず、尾静脈へのCHO-rhASAの単回注入により処置した。
循環からのrhASAクリアランスの速度を測定するために、酵素の血漿レベルを、体重kg当たり20又は40 mgの酵素の注入の後に異なる時間で分析した(図9A)。両方の用量について、血漿レベルは、注入後の最初の数分で最大に到達し、そこから下落した。投与した用量に関係なく、rhASAは、約40分間の半減時間(a half time)で血漿から浄化された。組織への摂取の動力学を評価するために、マウスを注入の後に異なる時間で潅流し、いくつかの器官をrhASA濃度について分析した。rhASAについての免疫反応性は、全ての組織において、40 mg/kgを用いて単回処置した10分後にはすでに検出可能であった(図9B及びC)。最高濃度の酵素を獲得した(下記を参照)肝臓において、酵素レベルはその後5時間以内に約4倍に増加し、その後、第14日まで、最大レベルの約4%まで下落した(図9B)。動力学は、腎臓、坐骨神経及び脳について類似していた(図9C)。組織特異的摂取速度間の違いに関係なく、酵素は、同等の時間経過のうちに全ての組織から排出された。よって、肝臓、腎臓、坐骨神経及び脳における免疫学的に検出可能なrhASAの半減期は、約4日程度であった(図9B及びC)。rhASAの最大濃度が、注入の5時間後に肝臓と脳との間で3桁を超えて異なることは、著しい(図9B及びC)。rhASAの生体内分布をより詳細に分析するために、ASAノックアウトマウスに増加する用量のrhASAを注入し、8日後に組織をELISAで分析した。酵素濃度のほぼ直線的な用量依存性の増加が、腎臓及び末梢神経において検出できた(図10A)。しかし、注入した酵素の大部分は、肝臓で見出された(図10Bにおいて20 mg/kgについて示す)。肝臓に比較すると、rhASA濃度は腎臓で約7%、脳で<0.05%、並びに坐骨神経及び腕神経叢で12〜15%であった。これらの組織の異なる質量を考慮に入れると、回収可能な酵素の約97%が肝臓で、約3%が腎臓で、そして0.1%未満がCNS及び末梢神経で見出されたと計算できる。
CHO-rhASA治療の治療能力を評価するために、ASAノックアウトマウスに、体重kg当たり40 mg CHO-rhASAの単回投与量を静脈内注入し、8日後に腎臓から脂質を抽出した。脂質抽出物についてのTLCにより、模擬処理コントロールに比べてスルファチドレベルの顕著な下落が明らかになった(図11A)。
スルファチド減少の時間依存性を、第二の実験において調べた。この目的のために、40mg/kgの注射後の異なる時間で腎臓におけるスルファチドレベルを測定した(図11B)。スルファチドのかなりのクリアランスが注入の5時間後にすでに検出でき、減少の程度は第8日まで増加した。そのときには、過剰のスルファチドの約2/3が腎臓から浄化された。6日後に、スルファチドは再び出現し、残存平均スルファチドレベルは約22 %上昇した。スルファチド減少の用量依存性を測定するために、マウスを異なる投与量のCHO-rhASAで処置して8日後に分析した。10 mg/kgですでに、腎臓におけるスルファチド貯蔵のかなりの下落がもたらされた(図11C)。スルファチドクリアランスの程度は、投与量の増加と共に増大し、投与量とスルファチドの損失との間のほぼ直線的な関係が検出できた。
末梢組織でのスルファチドレベルの減少における酵素の単回投与の予期せぬ高い効果は、反復注射の治療能力を評価する根拠を提供した。1週間に1回の20 mgのCHO-rhASA/kgの4回までの注射に基づく治療スケジュールを選択した。スルファチドレベルを、1、2、3又は4回の注射で処置されたマウスの腎臓、末梢神経及び脳において、最終の注射の8日後に分析した(図13)。
注射したrhASAの全量の約30%を、40 mg/kgの静脈内注射の5時間後に解剖されたマウスの器官から回収することができた(示さず)。回収可能なフラクションのうち、90%より多くは肝臓に局在したが、腎臓及び末梢神経は、残りの酵素の大多数を共有した(図10B)。野生型マウスにおけるASA活性に関する以前のデータと比べると(Matzner U,ら (2000) Gene Ther. 7(14):1250〜7)、rhASA処置後の酵素レベルは、平均で通常の〜95倍(肝臓)、〜1.2倍(腎臓)、〜0.6倍(末梢神経)及び〜0.001倍(脳)であることが示唆された。
ASAノックアウトマウスは、神経伝導障害及びいくつかの神経学的症状を発生する。神経学パラメータに対する推定の治療効果を測定するために、ロータロッド性能を試験した。
以前の行動試験は、ゆっくり回転するロッド上で平衡を保つことについてのASAノックアウトマウスの進行性の欠損を証明した(D'Hooge, R.ら Brain Res., 907, 35〜43, Matzner U,ら (2002) Gene Ther 9(1):53〜63)。運動調整(motor coordination)に対する治療の効果を決定するために、マウスを、CHO-rhASAの1回目の注入の前及び3回目の注入の後にロータロッド実験により試験した。第一の実験において、約9ヶ月の平均齢のマウスを分析した。処置前の試験において、野生型マウスは40回の試験のうち32回で成功(80%)したが、(まだ処置していない)ASAノックアウトマウスの2つの群は、44回の試験のうち22回(55%)及び40回のうち25回(63%)で成功した(示さず)。つまり、ASAノックアウトマウスの行動欠損はすでに検出可能であるが、9ヶ月の齢では比較的穏やかであることがデータにより示された(D'Hooge,ら Brain Res., 907, 35〜43)。ノックアウトマウスの1群を20 mg CHO-rhASA/kgの3回の毎週の投与量で処置したあとに、同じ3群を〜4週後に再び分析した。1回目の試験に比べて、rhASA処置マウスの平均成功率は、27%向上して82%に達した。この群とは対照的に、野生型及び模擬処置コントロールは、それぞれ10%及び5%向上し
ただけであった(図16B)。よって、治療及びトレーニングの組み合わせにより、9ヶ月齢のASAノックアウトマウスは、同じ年齢のトレーニングしていない野生型マウスよりも高い頻度でロッド上にとどまる能力を獲得した。
神経学パラメータについての推定の治療効果をさらに測定するために、坐骨神経の複合運動活動電位(CMAP)神経伝導を、確立された電気生理学的方法により麻酔下に研究した(Zielasek, J.ら Muscle Nerve, 19, 946〜952)。簡単に、複合運動活動電位(CMAP)を、くるぶしでの脛骨神経の遠刺激及び坐骨切痕での坐骨神経の筋刺激の後に、2本の針電極を用いて足の筋肉において記録した。統計学的分析を、スチューデントのt検定を用いて行った。
- ノックアウトマウスの電気生理学的パターンにおける以下の変化が、統計的に有意である(野生型vs模擬処置ノックアウト):
・(遠刺激後の振幅の)持続時間が増加する
・遠刺激後の振幅(高さ)が減少する
・近刺激後の潜伏時間が減少する
・近刺激後の振幅(高さ)が減少する。
・(遠刺激後の振幅の)持続時間が、通常の値の方へ減少する
・遠刺激後の振幅(高さ)が、通常の値の方へ増加する
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Claims (5)
- 脳室内、脊髄、鞘内又は頭蓋内投与以外の経路により投与されるアリールスルファターゼAの有効量を含む製剤の、異染色性白質ジストロフィーに罹患しているか及び/又はそれと診断された対象における中枢神経系の内部の細胞でのガラクトシルスルファチドのレベルを低減させるための医薬を製造するための使用。
- 前記製剤が、静脈内又は皮下投与により投与される請求項1に記載の使用。
- 前記製剤が、毎日、毎週、2週間毎又は毎月のベースで投与される請求項1又は2に記載の使用。
- 前記製剤が、スフィンゴリピド3-O-スルホガラクトシルセラミドのレベルの低減のために:
a) 酵素(アリールスルファターゼA)を中枢神経系へ送達するためのビヒクル、例えばペプチド又はポリペプチドを含む製剤の投与と、
b) 血液脳関門の開放又は破壊を引き起こすことができる製剤の投与と、
c) 無損傷の細胞の投与と
を含む他の医学的治療のいずれも受けない対象への投与用である請求項1〜3のいずれか1つに記載の使用。 - 前記製剤が、
a) アリールスルファターゼAを中枢神経系へ送達するためのビヒクル、例えばペプチド又はポリペプチド、
b) 血液脳関門の開放又は破壊を引き起こすことができる成分、
c) 無損傷の細胞
のいずれも含まない請求項1〜4のいずれか1つに記載の使用。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121113 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130409 |