JP2010058591A - 作業機械のエンジンルームの整流板,作業機械のエンジンルームの整流板の製造方法及び作業機械のエンジンルーム構造 - Google Patents

作業機械のエンジンルームの整流板,作業機械のエンジンルームの整流板の製造方法及び作業機械のエンジンルーム構造 Download PDF

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Abstract

【課題】作業機械のエンジンルームの整流板,作業機械のエンジンルームの整流板の製造方法及び作業機械のエンジンルーム構造に関し、簡素な構成で、エンジンルーム内における冷却風の流通性を確保しつつエンジンルーム内の騒音を低減させる。
【解決手段】
ガラス繊維を綿状に形成したグラスウールからなる吸音素材1と、該吸音素材1の外周を被覆する表皮材2とを備える。表皮材2には熱硬化性樹脂を含ませておく。吸音素材1及び表皮材2を一体に圧縮成形する。
圧縮成形により、表皮材2の表面が硬化し、吸音素材1が圧縮された状態でその形状が保持される。
【選択図】図2

Description

本発明は、作業機械のエンジンルーム内における風の流れを調整するための整流板,その製造方法及びその整流板を備えた作業機械のエンジンルーム構造に関する。
従来、作業機械のエンジンルームで発生する騒音を低減させることを目的として、エンジンルーム内に吸音材や吸音装置を貼り付けたものが知られている。例えば、特許文献1には、内部に空洞の共鳴室が形成された吸音体をエンジンルームの内壁の各所に設け、その表面に吸音材を貼付した騒音低減装置が開示されている。この技術では、低減したい音の周波数に合わせて共鳴室の共鳴周波数を設定することで、吸音材による吸音効果に加えて、騒音の特定周波数成分を効果的に消音することができるとされている。
また、主要な騒音源であるエンジンの周囲に音を遮蔽するものを配置することによってエンジンルーム外への騒音の漏出を抑制する技術も知られている。例えば、特許文献2には、エンジンフードの下部にプレートを水平に設けたダブルデッキ構造のエンジンルームが記載されている。この技術では、エンジンの上部をエンジンフード及びプレートで二重に覆うことにより、エンジンルームから垂直方向への騒音の伝播を抑制している。また、エンジンフードとプレートとの間に冷却風の風路を形成することで、エンジンルーム内の冷却性をも確保できるとされている。
特開2000−192506号公報 特開2005−016321号公報
しかしながら、上述の特許文献1の技術では吸音体自体の構造が複雑であり、コストを低減させることができない。また、共鳴室の分だけ吸音体の厚みが大きくなるため、エンジンルーム内が狭くなり、冷却風の流通性を阻害するおそれもある。一方、上述の特許文献2の技術では冷却風の流通性を確保しつつ遮音性能を高めることができるものの、板金構造物による重量の増大が避けられず、コストも割高である。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、エンジンルーム内における冷却風の流通性を確保しつつエンジンルーム内の騒音を低減させることができるようにした作業機械のエンジンルームの整流板,作業機械のエンジンルームの整流板の製造方法及び作業機械のエンジンルーム構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明の作業機械のエンジンルームの整流板は、ガラス繊維を綿状に形成したグラスウールからなる吸音素材と、熱硬化性樹脂を含み、該吸音素材の外周を被覆する表皮材とを備え、該吸音素材及び該表皮材が、一体に圧縮成形されたことを特徴としている。つまり、本発明においては、該熱硬化性樹脂が染み込んでいる(該熱硬化性樹脂を含浸させた)該表皮材を用いて該吸音素材の外周を包み、さらにそれらの該吸音素材と該表皮材とを一体に圧縮成型している。
なお、該熱硬化性樹脂としては、レゾルシノール系樹脂,フェノール樹脂,エポキシ樹脂,ポリエステル樹脂等を用いることが考えられる。
また、該表皮材としては、アラミド繊維やイミド繊維といった不燃繊維のシートを用いることが考えられる。あるいは、ガラス繊維,炭素繊維等の無機繊維の不織布や、ポリエステル繊維,ポリプロピレン繊維,ポリアミド系合成繊維等の有機繊維の不織布を用いることが考えられる。
また、請求項2記載の本発明の作業機械のエンジンルームの整流板は、請求項1記載の構成に加えて、該熱硬化性樹脂が、レゾルシノール系樹脂であることを特徴としている。
また、請求項3記載の本発明の作業機械のエンジンルームの整流板は、請求項1又は2記載の構成に加えて、該吸音素材が、96kg/m3以上の密度に圧縮成形されていることを特徴としている。
また、請求項4記載の本発明の作業機械のエンジンルームの整流板は、請求項1〜3の何れか1項に記載の構成に加えて、該表皮材に対して貼付されたFRP樹脂板をさらに備えたことを特徴としている。
該FRP樹脂板としては、例えばポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂をガラス繊維で補強したFRPを厚さ1.5mm程度に形成したものを用いることが考えられる。少なくとも、エンジンルーム10内で要求される耐熱性及び冷却風の風圧に対する剛性を備えた樹脂板であればよい。なお、ガラス繊維で強化されたGFRPだけでなく、炭素繊維やアラミド繊維で強化されたプラスチックを用いてもよい。
また、請求項5記載の本発明の作業機械のエンジンルームの整流板は、請求項4記載の構成に加えて、該表皮材を貫通して該吸音素材に対して該FRP樹脂板を固定する固定部材をさらに備えたことを特徴としている。
該固定部材としては、リベットやスクリュー,ボルト,ナット等の締結部材を用いることが考えられる。
請求項6記載の本発明の作業機械のエンジンルームの整流板の製造方法は、ガラス繊維集合体のグラスウールからなる吸音素材と、該吸音素材の外周を被覆する表皮材とを備えたエンジンルームの整流板の製造方法であって、該表皮材に熱可塑性樹脂を含浸させる第一ステップと、該第一ステップで得られた該表皮材で該吸音素材の外周を被覆する第二ステップと、該第二ステップで得られた該吸音素材及び該表皮材を一体に圧縮成形する第三ステップとを備えたことを特徴としている。
請求項7記載の本発明の作業機械のエンジンルーム構造は、エンジン,クーリングパッケージ及び冷却ファンを収容する作業機械のエンジンルーム構造であって、該エンジンの上部又は下部において天井面又は底面に対して間隔を空けて固定され、該天井面又は該底面との間に冷却風の流路を形成する整流板を備え、該整流板が、ガラス繊維集合体のグラスウールからなる吸音素材と、熱硬化性樹脂を含んで該吸音素材の外周を被覆する表皮材とを有し、それらの該吸音素材及び該表皮材を一体に圧縮成形されたものであり、該冷却ファンが、該クーリングパッケージを介して吸入した該冷却風を遠心方向に吐出するとともに該流路へと導入する位置に配置されていることを特徴としている。
本発明の作業機械のエンジンルームの整流板及びその製造方法(請求項1,6)によれば、熱硬化性樹脂を含んだ(染み込ませた)表皮材と吸音素材とを一体に圧縮成形することで、吸音素材を圧縮した状態で表皮材の表面を硬化させることができ、形態保持性を高めることができる。したがって、エンジンルーム内に本整流板を所望の風の流れに沿って配置して、エンジンルーム内の空気の流れを調整することができる。また、成形時の金型の形に応じた任意の形状に形成することができる。
また、金属製の整流板を用いた場合と比較して軽量化が容易であり、かつ、遮音性能及び吸音性能を著しく向上させることができる。
また、本発明の作業機械のエンジンルームの整流板(請求項2)によれば、レゾルシノール系樹脂を熱硬化させることにより、表皮材の種類を問わずして撥水性,撥油性及び難燃性を確保することができる。例えば、アラミド繊維やイミド繊維といった高価な不燃繊維のシートの代わりに、ガラス繊維,炭素繊維等の無機繊維の不織布や、ポリエステル繊維,ポリプロピレン繊維,ポリアミド系合成繊維等の有機繊維の不織布を用いることができ、コストを低減させることができる。
また、本発明の作業機械のエンジンルームの整流板(請求項3)によれば、エンジンルーム内における空気流の風圧に十分耐える強度を保ちつつ、良好な吸音性能を確保することができる。
また、本発明の作業機械のエンジンルームの整流板(請求項4)によれば、FRP樹脂板を接着することによって、さらに形状保持性を高めることができる。
また、本発明の作業機械のエンジンルームの整流板(請求項5)によれば、FRP樹脂板を接着するだけでなく固定部材で機械的にも固定することにより、エンジンルーム10内の高熱,高風圧に対する耐久性を向上させることができる。
また、本発明の作業機械のエンジンルーム構造(請求項7)によれば、整流板の上面(すなわち、天井面側の面)を冷却風の流路として機能させつつ、整流板の下面(すなわち、エンジン側の面)に吸音・遮音機能を担わせることができ、エンジンルームの冷却性を確保しながら遮音性及び吸音性を向上させることができる。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5は、本発明の一実施形態に係る作業機械のエンジンルームの整流板,作業機械のエンジンルームの整流板の製造方法及び作業機械のエンジンルーム構造を説明するためのものであり、図1は本整流板が設けられた作業機械のエンジンルームの構成を示す側断面図、図2は本整流板の断面図であって(a)は圧縮成形後の状態、(b)は圧縮成形前の状態を示すものである。また、図3は本整流板の製造手順を示すフローチャートであり、図4は本整流板における吸音素材の密度と引張強度との関係を示すグラフである。なお、図5は変形例としての整流板の構成を示す断面図である。
[構成]
本発明に係る整流板は、図1に示す油圧ショベル(作業機械)のエンジンルーム10に適用されている。エンジンルーム10は、天井面4a,床面4b及び側面4cを化粧鋼板で囲まれた箱状の空間である。天井面4a,床面4b及び側面4cの各所には、エンジンルーム10内のエアフローを確保するための開口部や内部メンテナンス用の開口部等が形成されている。なお図1中では、主に冷却風の給排気口となる開口部を記載し、他の開口部や扉を省略している。
エンジンルーム10の内部には、油圧ショベルの駆動源であるエンジン5をはじめとして、排気マフラー6,油圧ポンプ7,冷却ファン8及びクーリングパッケージ9が設けられている。エンジン5はエンジンルーム10の略中央に配置されており、その上部には排気マフラー6が連設されている。排気マフラー6は、エンジン5の排気音を低減させるとともに排気ガスを浄化する機能を持っている。排気マフラー6の排気筒は、エンジンルーム10の天井面4aを貫通して機体上方まで延設されている。なお、油圧ショベルのエンジンルーム10の騒音の多くは、エンジン5及び排気マフラー6から発せられる。
油圧ポンプ7は、エンジン5によって駆動される作動油ポンプであり、油圧ショベルに装備された履帯装置やフロント装置(ブーム,アーム,バケット等)といった各種油圧装置へ作動油を供給するものである。図1に示すように、油圧ポンプ7はエンジン5に隣接して設けられている。
エンジン5を挟んで油圧ポンプ7と反対側の側方(図1中の左側)には冷却ファン8及びクーリングパッケージ(熱交換器)9が配置されている。冷却ファン8は、外気を冷却風としてエンジンルーム10内へ取り込む吸い込み式の軸流ファンである。エンジン5はこの冷却ファン8よりも冷却風の下流側に配置され、一方、クーリングパッケージ9は冷却ファン8よりも上流側に配置されている。
クーリングパッケージ9は、ラジエータやオイルクーラ,インタクーラ等の複数の熱交換器が重合された冷却装置である。そのコア(中央部)には多数の放熱フィンが形成されており、冷却風をコアに流通させてエンジン冷却水や作動油が冷却されている。
図1中に黒矢印で示すように、冷却ファン8は、クーリングパッケージ9を介して機体側方又は機体上方から外気を吸い込み、エンジン5側へと流通させている。また、下流側の風の流れが冷却ファン8の旋回外側方向(遠心方向)へ配向されるように、冷却ファン8の送風配向特性が設定されている。つまり、冷却ファン8から吐出された冷却風は、エンジン5の周り(上方,下方,あるいは左右側方)を流通するようになっている。
エンジン5の上部には、天井面4aに対して間隔を空けて、天井面整流板3aが固定されている。この天井面整流板3aは、エンジン5の上面全体を覆うように略水平に延設されており、天井面4aとの間に冷却風の流路を形成している。このようなダブルデッキ構造により、エンジン5の上部では冷却ファン8の下流の冷却風が整流されて、淀みなく流れるようになっている。また、エンジン5の下部にも同様に、床面4bに対して間隔を空けて、床面整流板3bが固定されている。床面整流板3bは、床面4bとの間に冷却風の流路を形成している。なお、排気マフラー6の周辺から冷却風の下流側の位置には、エンジンルーム10の外形や排気マフラー6の周辺に配置された各種装置の形状に合わせて成形されたマフラー整流板3cが固定されている。以下、これらの天井面整流板3a,床面整流板3b及びマフラー整流板3cを総称して、単に整流板3とも呼ぶ。
整流板3は、図2(a)に示すような二層の断面構造を備えており、内側の吸音素材1とその外周全体を被覆する表皮材2とを備えて構成されている。吸音素材1は、繊維状の多孔質吸音材であって、ガラス繊維を綿状に形成したグラスウールである。例えば市販のグラスウール吸音材を吸音素材1として用いてもよい。吸音素材1は、表皮材2の内部で密に詰められた状態となっている。一方、表皮材2は、吸音素材1の形状を保持するための布又は不織布を基材として、これに熱硬化性樹脂を含ませた(染み込ませた)後、熱硬化処理を施したものである。この表皮材2は音響透過性を有しており、表皮材2の表面に伝達された空気振動(音)が内部の吸音素材1へ伝達されるようになっている。
表皮材2の基材の種類は任意であり、例えばアラミド繊維やイミド繊維といった不燃繊維のシートを用いることができる。あるいは、ガラス繊維,炭素繊維等の無機繊維の不織布や、ポリエステル繊維,ポリプロピレン繊維,ポリアミド系合成繊維等の有機繊維の不織布を用いることもできる。また、熱硬化性樹脂としては、レゾルシノール系樹脂を用いることが好ましい。レゾルシノール系樹脂は、短時間で熱硬化する特性を持っており、硬化後の成形物には難燃性,撥水性,撥油性が与えられる。繊維状シートに熱硬化性樹脂を染み込ませた市販のプリプレグ製品を表皮材2として用いてもよい。
本整流板3は、これらの吸音素材1及び表皮材2を一体に圧縮成形したものである。本整流板3の圧縮成形前の状態を図2(b)に示す。表皮材2に染み込んでいる熱硬化性樹脂は、圧縮成形前にはまだ硬化していない。金型11を用いて200℃程度の温度でこれらを加熱圧縮することにより、吸音素材1が圧縮された状態で熱硬化性樹脂が硬化し、図2(a)に示すように整流板3が薄い曲面状に形成されることになる。
なお、圧縮成形前の吸音素材1の厚みは、圧縮成形後の整流板3の厚みと密度を考慮して設定してやればよい。また、エンジンルーム10内に生じる風圧を考慮すると、整流板3はその風圧に耐えうる形状保持性を持つことが好ましい。すなわち、完成した整流板3における吸音素材1の密度は96kg/m3以上程度とするのが好ましい。
例えば密度30kg/m3のグラスウールを用いるならば、その厚みが1/4になるまで圧縮すれば、120kg/m3の密度となる。したがって、圧縮成形後の整流板3の厚みを10mmにしたい場合、圧縮成形前のグラスウールの厚みを40mmとすれば120kg/m3の密度が得られる。また、厚みを10mmで96kg/m3の密度を得るためには、密度30kg/m3のグラスウールで圧縮成形前の厚みをおよそ32mmとして圧縮すればよい。
吸音素材1の密度とその強度との関係を図4にグラフとして示す。ここでは、繊維の直径が0.0048〜0.0067mmであって、結合材(フェノール樹脂)の分量が12〜16%(重量%)のグラスウールを用いた試験結果が示されている。なお、強度の測定にあたっては、吸音素材1のサンプルをドーナツ形状とし、その内径を57mm、断面を25.4mm×25.4mmとした。このようなサンプルの内孔壁面に治具を当接させて引張荷重を与え、破壊時の荷重を測定した。
図4に示すように、吸音素材1の密度が高くなるほど、材料強度も高まることがわかる。特に、密度が90kg/m3付近を超えると強度の伸びが大きくなり、極めて良好な形状保持性が得られることが確認された。なお、密度の上昇とともに吸音素材1の表面における音の反射率も上昇し、例えば密度120[kg/m3]を超えてグラスウールを圧縮成形すると、吸音性能が低下する傾向にある。そのため過度に密度を高めすぎないことが肝要であり、本発明者の研究によれば、密度96kg/m3以上、より好ましくは密度96〜120kg/m3とするのが良いことが明らかとなった。吸音素材1の密度を96〜120kg/m3とすることで、エンジンルーム10内を流通する冷却風の風圧に対する形状保持性と良好な吸音性能とを兼ね備えた整流板3を得ることができた。
[フローチャート]
図3に上記の表皮材3の製造手順を示す。
まず、ステップA10では、圧縮成形前の吸音素材1の大きさ(厚みを含むサイズ)が設定され用意される。例えば、エンジン5の上部に配置される天井面整流板3aやエンジン5の下部に配置される床面整流板3bでは、吸音素材1の大きさがエンジン5の上面全体を覆う大きさに設定される。あるいは、排気マフラー6の周辺に配設されるマフラー整流板3cでは、その配設位置に応じた大きさに設定される。このように、整流板3a〜3b毎に異なる大きさが設定されることになる。
続くステップA20では、熱可塑性樹脂を表皮材2に含浸させて定着させる。このステップでは、表皮材2に染み込んでいる熱硬化性樹脂がまだ硬化していない。なお、市販のプリプレグ製品を表皮材2として用いる場合には、ステップA10で設定された大きさの吸音素材1全体をカバーするのに必要な分量を用意すればよい。
さらにステップA30では、吸音素材1が露出しないように、その全外周が表皮材2で被覆される。そしてステップA40では、図2(b)に示すように表皮材2で被覆された吸音素材1が金型11の間に挿入され圧縮成形される。加熱された金型11の熱によって表皮材2に含まれる熱硬化性樹脂が硬化し、表皮材2に適度な形状保持性が付与される。また、表皮材2の表面が硬化することによって吸音素材1が圧縮されたままとなり、その密度が高められた(密に詰められた)状態が保持されることになる。表皮材2の音響透過性により、表皮材3へ入力される騒音は表皮材2の内部の吸音素材1によって吸音され、あるいは吸音素材1で遮蔽される。
[機能]
本整流板3の表皮材2及び吸音素材1の機能を便宜的にまとめると、以下の通りとなる。
(主に表皮材2の機能)
1.圧縮状態の吸音素材1の形状を保持する機能
2.吸音素材1及び表皮材2の基材を熱や水分,油分から保護する機能
3.冷却風の配向を制御する機能
(主に吸音素材1の機能)
1.騒音を吸収する機能
2.騒音の伝達を遮蔽する機能
[効果]
このように、本整流板3及び本整流板3の製造方法によれば、熱硬化性樹脂を含んだ表皮材2と吸音素材1とを一体に圧縮成形することで、吸音素材1を圧縮した状態で表皮材2の表面を硬化させることができ、形状保持性を高めることができる。したがって、エンジンルーム10内に本整流板3を所望の風の流れに沿って配置することにより、エンジンルーム10内の空気の流れを調整することができる。
例えば、図1に示すように、天井面整流板3aでは、その上面(すなわち、天井面4a側の面)が冷却風の流路として機能しており、その下面(すなわち、エンジン5側の面)が吸音・遮音機能を担っている。このように、吸音性と形状保持性とを兼ね備えた本整流板3でダブルデッキ構造を形成することによって、エンジンルーム10内の冷却性能を高めつつ騒音を低減させることができる。
また、本整流板3の形状は圧縮成形時の金型11の形状に応じたものになるため、金型11を変更することによって整流板3を任意の形状にすることができる。例えば、図1中のマフラー整流板3cのように、狭い場所に配置される複雑な曲面形状のものであっても比較的容易に形成することができる。なお、整流板3の表面の硬さは、圧縮成形時の圧力や熱可塑性樹脂の含浸量,濃度等により調整可能である。
また、本整流板3によれば、金属製の整流板を用いた場合と比較して軽量化が容易であり、かつ、遮音性能及び吸音性能を著しく向上させることができる。なお、吸音素材1の密度を高めることで、吸音率が増大し、かつ、音響透過損失も増大する。そのため、エンジン5や排気マフラー6から発せられる騒音の低減効果及び遮蔽効果を高めることができる。特に、本実施形態ではエンジン5の上面及び下面を覆うように天井面整流板3a及び床面整流板3bが略水平に延設されているため、油圧ショベルから鉛直方向へ発せられる騒音を効果的に抑制することができる。
また、表皮材2に染み込ませる熱硬化性樹脂としてレゾルシノール系樹脂を用いた場合には、硬化後の成形物に難燃性,撥水性,撥油性が与えられるため、吸音素材1及び表皮材2の基材を熱や水分,油分から保護することができる。例えば、アラミド繊維やイミド繊維といった高価な不燃繊維のシートの代わりに、ガラス繊維,炭素繊維等の無機繊維の不織布や、ポリエステル繊維,ポリプロピレン繊維,ポリアミド系合成繊維等の有機繊維の不織布を用いることができ、コストを低減させることができる。同様に、吸音素材1についても、グラスウールのような不燃材(すなわち、ガラス繊維)の代わりにポリプロピレン繊維やポリエチレンテレフタレート繊維等の耐炎繊維を用いることもでき、コストを低減させることが可能である。
さらに、吸音素材1の圧縮成形後の密度を96kg/m3以上とすれば、エンジンルーム10内における空気流の風圧に十分耐える強度を保ちつつ、良好な吸音性能を確保することができる。
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上記の表皮材2に含浸させる熱硬化性樹脂としては、圧縮成形によって熱硬化する樹脂であればどのような樹脂でも適用可能と考えられる。例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂,ポリエステル樹脂等を用いてもよい。
また、上述の実施形態では、本発明に係る整流板3を油圧ショベルのエンジンルーム10に適用したものを例示したが、本発明の適用対象はこれに限定されず、ブルドーザやホイールローダ,油圧式クレーン等、様々な作業機械のエンジンルームに適用することが可能である。
また、上述の実施形態では、本発明に係る整流板3が曲面状に形成されているが、平面状であってもよい。なお、冷却風の流れを整える機能を有する形状であれば板形状ではなく、立体的な形状とすることも無論考えられる。具体的な整流板3の形状は、エンジンルーム内の冷却風の流路形状に合わせて適宜設定してやればよい。
また、上述の整流板3の剛性補強のために補強板を接着あるいは固定することも考えられる。例えば、図5に示すように、上述の実施形態に係る整流板3に対してFRP樹脂板12を接着して補強してもよい。ここで用いられるFRP樹脂板12としては、例えばポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂をガラス繊維で補強したFRPを厚さ1.5mm程度に形成したものを用いることが考えられる。少なくとも、エンジンルーム10内で要求される耐熱性及び冷却風の風圧に対する剛性を備えた樹脂板であればよい。なお、ガラス繊維で強化されたGFRPだけでなく、炭素繊維やアラミド繊維で強化されたプラスチックを用いてもよい。このように、FRP樹脂板12を接着することによって、さらに形状保持性を高めることができる。
また、図5に示すように、FRP樹脂板12と整流板3とをリベット13のような固定部材で固定することが好ましい。このように、FRP樹脂板12を接着するだけでなく固定部材で機械的にも固定することにより、エンジンルーム10内の高熱,高風圧に対する耐久性を向上させることができる。なお、この固定部材として、スクリューやボルト,ナット等の締結部材を用いてもよい。
本発明の一実施形態に係る作業機械のエンジンルームの構成を示す側断面図である。 本発明の一実施形態に係る作業機械のエンジンルームの整流板の断面図であって(a)は圧縮成形後の状態、(b)は圧縮成形前の状態を示すものである。 本発明の一実施形態に係る作業機械のエンジンルームの整流板の製造手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る作業機械のエンジンルームの整流板における吸音素材の密度と引張強度との関係を示すグラフである。 本発明の変形例としての作業機械のエンジンルームの整流板の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 吸音素材
2 表皮材
3 整流板
3a 天井面整流板
3b 床面整流板
3c マフラー整流板
4a 天井面
4b 床面
5 エンジン
6 排気マフラー
7 油圧ポンプ
8 冷却ファン
9 クーリングパッケージ
10 エンジンルーム
11 金型
12 FRP樹脂板
13 リベット(固定部材)

Claims (7)

  1. ガラス繊維を綿状に形成したグラスウールからなる吸音素材と、
    熱硬化性樹脂を含み、該吸音素材の外周を被覆する表皮材とを備え、
    該吸音素材及び該表皮材が、一体に圧縮成形された
    ことを特徴とする、作業機械のエンジンルームの整流板。
  2. 該熱硬化性樹脂が、レゾルシノール系樹脂である
    ことを特徴とする、請求項1記載の作業機械のエンジンルームの整流板。
  3. 該吸音素材が、96kg/m3以上の密度に圧縮成形されている
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の作業機械のエンジンルームの整流板。
  4. 該表皮材に対して貼付されたFRP樹脂板をさらに備えた
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の作業機械のエンジンルームの整流板。
  5. 該表皮材を貫通して該吸音素材に対して該FRP樹脂板を固定する固定部材をさらに備えた
    ことを特徴とする、請求項4記載の作業機械のエンジンルームの整流板。
  6. ガラス繊維集合体のグラスウールからなる吸音素材と、該吸音素材の外周を被覆する表皮材とを備えたエンジンルームの整流板の製造方法であって、
    該表皮材に熱可塑性樹脂を含浸させる第一ステップと、
    該第一ステップで得られた該表皮材で該吸音素材の外周を被覆する第二ステップと、
    該第二ステップで得られた該吸音素材及び該表皮材を一体に圧縮成形する第三ステップとを備えた
    ことを特徴とする、作業機械のエンジンルームの整流板の製造方法。
  7. エンジン,クーリングパッケージ及び冷却ファンを収容する作業機械のエンジンルーム構造であって、
    該エンジンの上部又は下部において天井面又は底面に対して間隔を空けて固定され、該天井面又は該底面との間に冷却風の流路を形成する整流板を備え、
    該整流板が、ガラス繊維集合体のグラスウールからなる吸音素材と、熱硬化性樹脂を含んで該吸音素材の外周を被覆する表皮材とを有し、それらの該吸音素材及び該表皮材を一体に圧縮成形されたものであり、
    該冷却ファンが、該クーリングパッケージを介して吸入した該冷却風を遠心方向に吐出するとともに該流路へと導入する位置に配置されている
    ことを特徴とする、作業機械のエンジンルーム構造。
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