JP2010054366A - 光ファイバ位置特定のための光学マーキング部を備えた光ファイバセンサおよび光ファイバセンサの計測方法と光ファイバセンサ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、光ファイバのコアに形成したFBGをセンサとし、該センサからのブラッグ反射光と参照用の反射端からの反射光の干渉強度の周期的変化から、前記センサの位置を特定するとともに、前記センサからのブラッグ反射光の波長の変化量から検知部のひずみや温度変化を計測する光周波数領域反射測定(OFDR)方式に用いられる光ファイバセンサであって、FBGからなるひずみや温度変化を計測するための複数のセンシング部1と、これら複数のセンシング部の間に設けられ、ひずみや温度変化をセンシングした光ファイバ位置を特定するための光学マーキング部3を具備してなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
これら構造物の健全性評価を行うための光ファイバセンサに求められる性能として、ひずみ分解能が高いこと、多点のセンサを有すること(センシング範囲が広いこと)、リアルタイムで計測できること、などが挙げられる。
FBGとは、光ファイバのコアに周期的な屈折率変化を持たせた光ファイバ型デバイスであり、コアの屈折率変化の周期と実効屈折率によって定まる特定の波長の光を反射する特性を有し、この反射光(ブラッグ反射光と呼ばれる)の波長(ブラッグ波長)は、以下の(1)式で表される。
λB=2neff Λ … (1)式
ただし、(1)式において、λBはブラッグ波長、neff は光ファイバの実効屈折率、Λは屈折率変化の周期を示す。
また、OFDR方式で広範囲のセンシングを行うには、ほぼ同一のブラッグ波長のFBGを近接して複数配置することで実現できる。非特許文献2によると、OFDR方式では1本の光ファイバに800個のFBGを配置して計測することが可能である。
図8は、FBGからなる光ファイバセンサをOFDR方式で計測し、構造物に生じるひずみを計測する場合の一例を示す概略図である。図8の構造では、構造物100から40m離れた建築物101の屋内に1mmの空間分解能を有するOFDR方式の計測器102を配置し(本計測器の詳細については後記する)、この計測器102に全長40000mm(40m)の光ファイバ103とその先に連設された全長500mmのFBGからなる光ファイバセンサ105を接続している。
ここで、OFDR方式の空問分解能が1mmというのは、光ファイバ0〜1mmの区間、40000mm〜40001mmの区間というように、光ファイバ長手方向に対して1mm刻みにFBGの配置されている光ファイバ位置を特定していくとともに、FBGが配置されている箇所では、この1mm区間内の平均的なひずみや温度変化を計測することと定義する(以下、x〜x+1mmの区間のことを、xmmの地点と略して記載する)。
L=l/neff …(2)式
(2)式においてLは光ファイバ長、lは光ファイバの光路長、neff は光ファイバの実効屈折率を示す。
次に、この構造物100のひずみ計測において、構造物100が光ファイバセンサ長手方向に対して一様に0.4%のひずみが生じたと仮定する。このとき、構造物100に埋め込んだFBGは構造物100とともに0.4%伸びるので、温度変化計測部前段の光ファイバセンサの光ファイバ長は251mmとなる。従って、実際の光ファイバ上では温度変化計測部が40251mmの光ファイバ位置に存在することになる。しかしながら、温度変化計測は計測器上で40250mmの光ファイバ位置を計測するので、この場合、温度変化を正確に計測することができなくなってしまう。
図9に、40mの光ファイバに温度変化が生じた際の実効的な光ファイバ長変化を示す。温度が4℃変化すると、実効的な光ファイバ変化長は約1mmとなる。つまり、実際の光ファイバ上では温度変化計測部が40251mmの実効的な光ファイバ位置に存在することになる。従って、上記の例と同様に温度変化を正確に計測することができなくなってしまう。
以上説明した通り、OFDR方式では、空間分解能が極めて高いために、構造物に発生するひずみや環境温度変化による微小な光路長変化を検知してしまい、結果としてこれが計測の空問分解能やひずみや温度変化の計測精度を低下させてしまう問題がある。
本発明の光ファイバセンサにおいて、前記光学マーキング部は、前記センシング部のファイバブラッググレーティングとは異なる反射率のファイバブラッググレーティングからなることを特徴とする。
本発明の光ファイバセンサにおいて、前記光学マーキング部は、前記センシング部のファイバブラッググレーティングとはブラッグ波長の異なるファイバブラッググレーティングからなることを特徴とする。
本発明の光ファイバセンサにおいて、前記光学マーキング部は、複数のブラッグ波長を有するファイバブラッググレーティングからなることを特徴とする。
本発明の光ファイバセンサにおいて、前記光学マーキング部は、0.6mm以上、2mm以下の長さであることを特徴とする。
本発明の光ファイバセンサの計測方法において、前記光学マーキング部を基準の光ファイバ位置とし、該基準の光ファイバ位置からの光路長差からひずみや温度変化をセンシングした光ファイバ位置を特定しても良い。
本発明の光ファイバセンサ装置は、前記の制御装置に、前記光学マーキング部を基準の光ファイバ位置とし、該基準の光ファイバ位置からの光路長差からひずみや温度変化をセンシングした光ファイバ位置を特定する機能が具備されてなることを特徴とする。
本発明の光ファイバセンサ装置は、前記制御装置に、前記受光器から得られた干渉光をフーリエ変換解析することで、前記光ファイバセンサ長手方向の微小区間毎の反射波長と反射強度を示すスペクトログラムを得る機能を有することを特徴とする。
本発明の光ファイバセンサにおいて、光学マーキング部にFBGを配置しないことにより、光学マーキング部の光ファイバ位置が明瞭に認識可能で製造が容易な光ファイバセンサを提供することができる。
本発明の光ファイバセンサにおいて、光学マーキング部をセンシング部とは特性が異なるFBGで構成することにより、光学マーキング部の光ファイバ位置が明瞭に認識可能で、該部もセンシング部として活用可能な光ファイバセンサを提供することができる。
本発明の光ファイバセンサにおいて、光周波数領域反射測定(OFDR)方式により計測することで、上記効果を確実に得ることができる。
また、前記干渉信号から光ファイバセンサ長手方向の微小区間毎の反射波長と反射強度を示すスペクトログラムを得る制御装置を備えることで、このスペクトログラムを基に、光学マーキング部を基準として高い空間分解能でひずみや温度変化が生じた光ファイバ位置を自動的に特定することができる。
図1は、本発明に係る光ファイバセンサの基本構造と、その基本構造の光ファイバセンサを計測器系に組み込んでなる光ファイバセンサ装置を示す構成図である。
図1において本実施形態の光ファイバセンサSは、ファイバブラッググレーティング(FBG)1をコアに備えた光ファイバからなるセンシング部2を複数、図1の実施形態においては2つ、光学マーキング部3を介し連続してなる構造とされている。
図1におけるセンシング部2として、例えば、グレーティング長が1〜100mm程度のFBGからなる構造を適用することができ、複数のセンシング部2の間に設けられた光学マーキング部3は、例えば、0.6mm〜2mm程度の長さに形成される。
FBG1は、光ファイバコアの長手方向の屈折率変化分布が一定間隔で変化するように構成したものであり、例えば高屈折率部と低屈折率部とを一定間隔で繰り返すコア構造としたものである。このFBG1は高い分解能でひずみ計測ができる(高い分解能でブラッグ波長のシフト量を計測できる)光学特性を有するものが望ましい。
前記構造の光ファイバセンサSは、OFDR方式で計測することにより、計測器上においてセンシング部2と光学マーキング部3を認識し、光学マーキング部3の光ファイバ位置を特定することができる。
本発明に係る光ファイバセンサSの計測方法において、光ファイバセンサを構成するFBGからのブラッグ反射光と参照用ファイバ7の反射端7aからの参照光の干渉信号の周期的変化を利用して光ファイバセンサSおよび該センサに設けた光学マーキング部3の光ファイバ位置を特定することができる。
本発明に係る光ファイバセンサSの計測方法において、特定した光学マーキング部3を基準の光ファイバ位置とし、当該光ファイバ位置からの光路長差から、ひずみや温度変化をセンシングした光ファイバ位置を特定することが望ましい。
次に、前記実施形態に基づいて、本発明の光ファイバセンサの一例を以下の実施例1に詳述するが、以下の実施例1は単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
図2は、実施例1の光ファイバセンサを示す概略図である。実施例1の光ファイバセンサS1は、1本のシングルモードファイバ(以下、SMファイバと略称する。)20に備えたFBGからなる複数のセンシング部21と、これらセンシング部21の間に設けられてFBGを配置してない光ファイバからなる光学マーキング部22とからなる。この例の光ファイバセンサS1では、98mmのグレーティング長を有するFBGを1mmの光学マーキング部を隔てて5連配置し、その全長を494mmとしている。
チューナブルレーザ34から出射された測定光はファイバカプラ31に入射し、該ファイバカプラ31にて光パワー分岐されて2つの光干渉計に入射する。
一方の光干渉計は、ファイバカプラ32、光ファイバ47とその反射端R1、光ファイバ48とその反射端R2および光ファイバ43、44とフォトダイオード35からなり、反射端R1と反射端R2のファィバ長差(光路長差)に応じたトリガを生成している。本実施例では、反射端R1と反射端R2のファイバ長差を100mとした。なお、このトリガは以下の方法で生成している。
チューナブルレーザ34から出射された測定光は一定速度で波長が変化しているので、フォトダイオード35で計測される電圧信号は、一定の光波数間隔で変動する正弦関数となる。従って、ある一定の電圧値をしきい値とし、システムコントローラ53上で該しきい値を超えるタイミング(しきい値以下の値からしきい値を上回るタイミング、もしくは、しきい値以上の値からしきい値を下回るタイミング)でトリガを生成することで、生成されたトリガは、ある一定の光波数間隔となる。
本スペクトログラムにおいて、横軸が波長(nm)、縦軸がファイバ位置(反射端R3を有する光ファィバS1の長さに相当する位置からの光ファィバ長差)、色調が反射強度を示す。なお、本スペクトログラムは、光ファイバセンサを後述する40mの光ファイバヘ連設して計測している。図4に示す如く、98mmのグレーティング長を有するFBGからなる5連のセンシング部21とこれらの間に設けたFBGを配置していない1mmの光学マーキング部22が明瞭に計測できている。この計測結果より、光ファイバセンサS1に備えた光学マーキング部22の計測器上における光ファイバ位置は、40098mm、40197mm、40296mm、40395mmであることが確認できた。
図5では、構造物58から40m離れた建築物55の屋内に本実施例のOFDR方式の計測器56(図3に示すチューナブルレーザ34とステムコントローラ53とA/Dコンバータ54および光ファイバセンサS1を除いた光学回路)を配置し、この計測器56に全長40000mm(40m)の光ファイバ57とその先に連設された本実施例の全長494mmの光ファイバセンサS1を接続している。この光ファイバセンサS1は、計測器側250mmを構造物58に埋め込み、次の1mmを温度変化計測部59として構造物58には埋め込まず、残りの243mmを再び構造物58に埋め込む構成とした。
つまり、本実施例では、計測器上で−46mmの相対光ファイバ位置で予め温度変化を計測しておき、構造物58に埋め込んだ光ファイバセンサに生じるひずみと温度変化のうち、温度変化による影響を差し引いて構造物58に生じるひずみを計測する。
次に、この構造物58のひずみ計測において、構造物58が光ファイバ長手方向に対して一様に0.4%のひずみが生じたと仮定する。この時、構造物58に埋め込んだFBGは構造物58とともに0.4%伸びるが、基準となる光学マーキング部22から温度変化計測部までの実際の光ファイバ長は46mmでほぼ変わらない(正確には46.184mm)。つまり、構造物58にひずみが生じても計測器上の−46mmの相対光ファイバ位置で温度変化計測することで正確な温度変化計測を行うことができる。
以上説明した通り、本発明によれば光ファイバセンサS1に光学マーキング部22を設け、0FDR方式により該部を特定するとともに、該部を基準位置として該位置からの光路長差からひずみや温度変化をセンシングした光ファイバ位置を特定することで、高い空間分解能で光ファイバ位置を特定することができる。
ところで、本発明に係る光学マーキング部22は、前記した通り、OFDR方式の計測方法でセンシング部21とは異なるスペクトログラムを得られる構造となっていればいかなる構造でも良く、例えば、センシング部21と反射率が異なるFBGからなる構造、センシング部21とはブラッグ波長が異なるFBGからなる構造、複数のブラッグ波長を有するFBGからなる構造のいずれかとすることができる。
低反射率部、中反射率部、高反射率部の3領域からなるFBGを作製した。このFBGから得られたスペクトログラムを図6に示す。
図6に示す如く、それぞれの反射率に応じてスペクトログラムの色調は明瞭に変化しており、光学マーキング部をセンシング部よりも高反射率、あるいは低反射率とすることで、光学マーキング部の認識が可能であることが示された。
1つのブラッグ波長を有する部、2つのブラッグ波長を有する部、3つのブラッグ波長を有する部の3領域からなるFBGを作製した。このFBGから得られたスペクトログラムを図7に示す。
図7に示す如くそれぞれのブラッグ反射光が明瞭に観察できることより、光学マーキング部をセンシング部とはブラッグ波長の異なるFBGで構成する、あるいは、光学マーキング部を複数のブラッグ波長を有するFBGで構成することで、認識が可能であることが示された。
なお、先の実施例1で示したFBGを配置しない光ファイバからなる光学マーキング部には、製造が容易であるという利点があり、実施例2および実施例3で示したFBGを配置する光学マーキング部には、該マーキング部であってもひずみや温度変化のセンシングが可能であるという利点がある。
Claims (12)
- 光ファイバのコアに形成したファイバブラッググレーティングをセンサとし、該センサからのブラッグ反射光と参照用の反射端からの反射光の干渉強度の周期的変化から、前記センサの位置を特定するとともに、前記センサからのブラッグ反射光の波長の変化量から検知部のひずみや温度変化を計測する光周波数領域反射測定(OFDR)方式に用いられる光ファイバセンサであって、
ファイバブラッググレーティングからなるひずみや温度変化を計測するための複数のセンシング部と、これら複数のセンシング部の間に設けられ、ひずみや温度変化をセンシングした光ファイバ位置特定のための光学マーキング部を備えたことを特徴とする光ファイバセンサ。 - 前記光学マーキング部には、ファイバブラッググレーティングが配置されていないことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
- 前記光学マーキング部は、前記センシング部のファイバブラッググレーティングとは異なる反射率のファイバブラッググレーティングからなることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
- 前記光学マーキング部は、前記センシング部のファイバブラッググレーティングとはブラッグ波長の異なるファイバブラッググレーティングからなることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
- 前記光学マーキング部は、複数のブラッグ波長を有するファイバブラッググレーティングからなることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
- 前記光学マーキング部は、0.6mm以上、2mm以下の長さであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光ファイバセンサ。
- 光ファイバのコアに形成したファイバブラッググレーティングをセンサとし、該センサからのブラッグ反射光と参照用の反射端からの反射光の干渉強度の周期的変化から、前記センサの位置を特定するとともに、前記センサからのブラッグ反射光の波長の変化量から検知部のひずみや温度変化を計測する光周波数領域反射測定(OFDR)方式により請求項1〜6のいずれかに記載の光ファイバセンサを計測して前記光学マーキング部の光ファイバ位置を特定することを特徴とする光ファイバセンサの計測方法。
- 前記光学マーキング部を基準の光ファイバ位置とし、該基準の光ファイバ位置からの光路長差からひずみや温度変化をセンシングした光ファイバ位置を特定することを特徴とする請求項7に記載の光ファイバセンサの計測方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の光ファイバセンサと、参照用反射端を備えた参照用光ファイバと、波長可変光源と、受光器とが、光カプラを介し光接続されてなることを特徴とする光ファイバセンサ装置。
- 前記波長可変光源から前記光ファイバセンサに測定光を入射させて得られる反射光と、前記参照用光ファイバから得られる反射光が受光器に入力され、これら反射光の干渉信号の周期的変化を利用して前記光ファイバセンサ及び該光ファイバセンサに設けた光学マーキング部の光ファイバ位置を特定する制御装置が付設されてなることを特徴とする請求項9に記載の光ファイバセンサ装置。
- 前記制御装置に、前記光学マーキング部を基準の光ファイバ位置とし、該光ファイバ位置からの光路長差からひずみや温度変化をセンシングした光ファイバ位置を特定する機能が具備されてなることを特徴とする請求項10に記載の光ファイバセンサ装置。
- 前記制御装置は、前記受光器から得られた干渉光をフーリエ変換解析することで、前記光ファイバセンサ長手方向の微小区間毎の反射波長と反射強度を示すスペクトログラムを得る機能を有することを特徴とする請求項11に記載の光ファイバセンサ装置。
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