JP2013142667A - 光ファイバセンサおよびこれを用いたひずみと温度の同時計測方法 - Google Patents

光ファイバセンサおよびこれを用いたひずみと温度の同時計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】計測したい対象が微小であっても、ひずみと温度を同時計測可能な光ファイバセンサおよびこれを用いたひずみと温度の同時計測方法を提供する。
【解決手段】偏波保持ファイバ1のコア2に形成した第1のFBG(ファイバブラッググレーティング)4と、偏波保持ファイバ1のコア2に形成した第2のFBG5と、これら2つのFBG4,5の間に設けられ、FBG4のブラッグ反射光とFBG5のブラッグ反射光の間に位相差を与える位相調整部6と、から1つのセンシング部7が構成される光ファイバセンサ10であって、センシング部7の偏波保持ファイバ長手方向における長さLが0.8mm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ひずみと温度を同時計測可能な光ファイバセンサおよびこれを用いたひずみと温度の同時計測方法に関する。
光ファイバを用いたセンシング技術の課題として、計測対象物にひずみと温度変化が同時に生じると、これらの影響を分離して計測することが困難となることが挙げられる。この課題に対して、特許文献1〜3では、偏波保持(Polarization Maintaining、PM)ファイバに作製したファイバブラッググレーティング(FBG)を用いて、ひずみと温度を同時に計測するセンサおよび計測方法について開示されている。
特許第3819119号公報 特許第4420982号公報 特許第4474494号公報
近年、これらの文献に開示されているセンサおよび計測方法を用いて、微小構造部に生じるひずみや温度変化を計測する試みが行われている。具体的な計測対象物としては、自動車などに用いるエンジンのピストン、発電などに用いるタービンのブレード、電気回路上に実装した半導体部品などが挙げられる。これらの計測対象物は、いずれも微小構造部に負荷されるひずみや温度変化などで信頼性や寿命が決まってくるため、特に研究・開発の段階でひずみと温度変化の負荷状況を計測し、その計測結果をもとに信頼性や寿命を保証する設計を行うことが重要である。
微小構造部に生じるひずみや温度変化を計測する手法としては、以下の2つが考えられる。
第1の手法として、特許文献2,3に開示されている光周波数領域反射測定(OFDR)法によりFBG長手方向に沿ってひずみと温度の分布を計測し、微小構造部とFBGとの位置関係から微小構造部に生じたひずみと温度変化を計測する手法が考えられる。
第2の手法として、FBGのファイバ長手方向の長さ(グレーティング長)を極力短くし、該FBGを微小構造部に配して微小構造部に生じたひずみと温度変化を計測する手法が考えられる。
前記2つの手法のうち、第1の手法では、空間分解能が最高でも0.6mmであることが問題となる。微小構造部が空間分解能以下(0.6mm以下)の場合、微小構造部に生じるひずみと温度変化を計測することができない。さらに第1の手法では、空間分解能と波長分解能とがトレードオフの関係にあることも問題になる。すなわち、高精度でひずみと温度を同時に計測するには波長分解能を高める必要があるが、同時に空間分解能が悪化し、結果として微小構造部に生じるひずみや温度変化を正確に計測できない。具体的には、第1の手法でひずみと温度変化を計測する場合、空間分解能は0.8mmよりも大きく設定する必要がある。このため、微小構造部の寸法が0.6〜0.8mmの場合も、第1の手法では微小構造部に生じるひずみと温度変化を精度よく計測することができない。
一方、第2の手法では、グレーティング長を、計測したい微小構造部よりも小さくすることで、ひずみと温度変化を計測できる可能性がある。しかしながら、特許文献1に記載されている構成では、直交する2つの偏波モードに対して各反射ピークを分離して検出する必要がある。本発明者らが実験したところ、特許文献1の段落0008に示されているようにグレーティング長が10〜20mmの場合は、各反射ピークが明瞭に分離されるが(グレーティング長が15mmの場合は図7参照)、グレーティング長を短くすると、反射スペクトルの帯域幅が広がるため(グレーティング長が0.8mmの場合は図8参照)、それぞれの反射ピークを認識することは不可能である。したがって、特許文献1に記載されている構成では、微小構造部に生じるひずみと温度の同時計測が不可能である。これは、グレーティング長と反射スペクトルの帯域幅(反射スペクトルの波長軸方向の広がり)には反比例の関係があり、グレーティング長を短くするほど帯域幅が広がるためである。以上より、従来技術では、第2の手法であっても、微小構造部に生じるひずみと温度変化を計測することができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、計測したい対象が微小であっても、ひずみと温度を同時計測可能な光ファイバセンサおよびこれを用いたひずみと温度の同時計測方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、偏波保持ファイバのコアに形成した第1のファイバブラッググレーティングと、前記偏波保持ファイバのコアに形成した第2のファイバブラッググレーティングと、これら2つのファイバブラッググレーティングの間に設けられ、第1のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光と第2のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光の間に位相差を与える位相調整部と、から1つのセンシング部が構成され、前記センシング部の偏波保持ファイバ長手方向における長さが0.8mm以下であることを特徴とする光ファイバセンサを提供する。
前記位相調整部は、第1のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光と第2のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光の干渉により、ブラッグ波長の近傍にスペクトルディップを生じる位相差を該ファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光の間に与えることが好ましい。
前記位相調整部の偏波保持ファイバ長手方向における長さLは、前記偏波保持ファイバの2つの偏波軸のうち少なくとも1つの偏波軸において、実効屈折率をneffとし、ブラッグ波長をλとするとき、(4n−3)(λ/8neff)≦L≦(4n−1)(λ/8neff)を満足する(ただし、nを正の整数(n=1,2,3…)のいずれかとする。)ことが好ましい。
前記2つのファイバブラッググレーティングの偏波保持ファイバ長手方向における長さが互いに等しいことが好ましい。
また、本発明は、前記光ファイバセンサにおける直交する2つの偏波を合波した光の反射スペクトルを計測する工程と、計測した前記反射スペクトルにおける第1のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光と第2のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光との位相差に基づくスペクトルディップの中心波長およびその幅を求める工程と、前記スペクトルディップの中心波長およびその幅を、ひずみと温度が既知の環境におけるスペクトルディップの中心波長およびその幅と比較して、前記センシング部におけるひずみと温度を計算する工程と、を備えることを特徴とするひずみと温度の同時計測方法を提供する。
あらかじめ、ひずみと温度が既知の環境におけるスペクトルディップの中心波長およびその幅を計測した計測値から、ひずみと温度に対するスペクトルディップの中心波長およびその幅の関係式を求める工程を有し、計測した前記反射スペクトルにおけるスペクトルディップの中心波長およびその幅を前記関係式に代入して、前記センシング部におけるひずみと温度を計算することが好ましい。
本発明によれば、計測したい対象が微小であっても、光ファイバセンサを用いてひずみと温度を同時に計測することが可能になる。
本発明の光ファイバセンサの一例を示す模式図である。 図1のA部において位相調整部長Lがグレーティング周期Λより短い一例を示す部分拡大模式図である。 図1のA部において位相調整部長Lがグレーティング周期Λより長い一例を示す部分拡大模式図である。 本発明の光ファイバセンサにより得られる反射スペクトル(合波スペクトル)の一例を示すグラフである。 単一偏波の入射光に対し、位相調整部により2つのFBGのブラッグ反射光が干渉した場合の反射スペクトル(a)と、位相調整部のない場合の反射スペクトル(b)の一例を示すグラフである。 本発明の光ファイバセンサにより得られる反射スペクトルの一例を示すグラフである。 偏波保持ファイバに作製したグレーティング長が15mmのFBGの反射スペクトルの一例を示すグラフである。 偏波保持ファイバに作製したグレーティング長が0.8mmのFBGの反射スペクトルの一例を示すグラフである。 実施例1の光ファイバセンサの反射スペクトルを示すグラフである。 実施例1の光ファイバセンサにおけるひずみに対するスペクトルディップの中心波長および帯域幅の変化を示すグラフである。 実施例1の光ファイバセンサにおける温度に対するスペクトルディップの中心波長および帯域幅の変化を示すグラフである。 実施例2における位相調整部が片道λ/16(往復λ/8)の場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例2における位相調整部が片道λ/8(往復λ/4)の場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例2における位相調整部が片道λ/4(往復λ/2)の場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例2における位相調整部が片道3λ/8(往復3λ/4)の場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例2における位相調整部が片道7λ/16(往復7λ/8)の場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例2における位相調整部が片道λ/2(往復λ)の場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例3におけるセンシング部長が0.1mmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例3におけるセンシング部長が0.3mmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例3におけるセンシング部長が0.6mmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例3におけるセンシング部長が0.8mmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例3におけるセンシング部長が0.9mmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例4における位相調整部長が0mm(片道λ/4)の場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例4における位相調整部長が0.2mmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例4における位相調整部長が0.4mmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例4における位相調整部長が0.5mmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例4における位相調整部長が0.6mmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例5におけるFBG中心波長が1550nmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例5におけるFBG中心波長が1310nmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。 実施例5におけるFBG中心波長が1065nmの場合の反射スペクトルを示すグラフである。
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、本形態例の光ファイバセンサ10の長手方向に沿う断面図を示す。この光ファイバセンサ10は、偏波保持ファイバ1のコア2に形成した第1のFBG4と、同じ偏波保持ファイバ1のコア2に形成した第2のFBG5と、これら2つのFBG4,5の間に設けられ、第1のFBG4のブラッグ反射光と第2のFBG5のブラッグ反射光の間に位相差を与える位相調整部6とから、1つのセンシング部7が構成されている。
偏波保持ファイバ1としては、PANDA型、ボウタイ型などの各種の偏波保持ファイバが挙げられる。これらの偏波保持ファイバにおいては、コア2に応力を付与する応力付与部(図示略)が、クラッド3の内部、またはコア2とクラッド3との間に設けられる。応力付与部は、例えばホウ素をドープした石英ガラス等、クラッド3より熱膨張係数の大きい材料を用いて構成され、ファイバ紡糸工程の冷却過程においてクラッド3よりも収縮するため、周囲のクラッド3およびコア2に引っ張りひずみを印加することができる。これにより、直交する2つの偏波モード間に伝搬定数差(実効屈折率差)が生じるため、それぞれの偏波モードからもう一方への偏波モードへの結合を抑制できる。これらの直交する2つの偏波モードが伝搬する偏波軸は、それぞれスロー軸、ファスト軸と呼ばれ、スロー軸とファスト軸の実効屈折率の差は、複屈折と呼ばれる。2つの偏波軸のブラッグ波長に十分な差を確保するため、複屈折は大きいほうが望ましく、例えば複屈折が3×10−4以上のものが好ましい。
FBG4,5は、図2,3に示すように、コア2の長手方向に沿って所定の間隔で屈折率変化8を有する。FBGを作製する方法としては、フッ化クリプトン(KrF)エキシマレーザや、アルゴン(Ar)のSHG(第2高調波)レーザを用い、位相マスク露光法や二光束干渉露光法等により、コア2の長手方向に沿って所定の間隔で屈折率変化8を誘起する方法が挙げられる。屈折率変化8は、コア2の長手方向に沿って多数形成される。
FBGによるブラッグ反射の中心波長(ブラッグ波長)λは、偏波保持ファイバ1の任意の偏波軸における実効屈折率をneffとするとき、FBGの周期Λに対して、λ=2neffΛで表される。上述したように、スロー軸とファスト軸の実効屈折率には複屈折により差があるため、スロー軸とファスト軸のブラッグ波長にも差が生じる。
本形態例の位相調整部6は、2つのFBG4,5の間に設けられた偏波保持ファイバ1自体から構成される。位相調整部6の偏波保持ファイバ長手方向における長さ(位相調整部長)Lを、FBGの周期Λ(なお、Λ=λ/2neffである。)とは異なる長さとすることにより、FBG4のブラッグ反射光とFBG5のブラッグ反射光の間に位相差を与えることができる。これら2つのブラッグ反射光が位相調整部6で与えられた位相差に応じて干渉し、FBG4,5のブラッグ波長の近傍にスペクトルディップが生じる。
図5に、単一偏波の入射光に対し、位相調整部6により2つのFBGのブラッグ反射光が干渉した場合の反射スペクトル(a)と、位相調整部のない場合の反射スペクトル(b)の一例を示す。位相調整部のない場合は、1つのFBGから得られる反射スペクトルと同様に、図5(b)に示すように、波長軸上で、ブラッグ波長を含むメインピークRが中心にあり、その両側(短波長側および長波長側)にサイドローブSが現れる。
位相調整部6がある場合、単一偏波光を入射すると、偏波保持ファイバ1のコア2に設けられている2つのFBG4,5のそれぞれから、位相差の異なるブラッグ反射光が生じる。位相調整部6に対して、入射光は、FBG4の側から入射させることも、FBG5の側から入射させることもできるが、例えば入射端に近い側を第1のFBG4、遠い側を第2のFBG5とするとき、第1のFBG4で反射した光のスペクトルは、偏波保持ファイバ1に第2のFBG5がない場合と同じになる。第2のFBG5で反射した光のスペクトルは、第1のFBG4を透過し、第2のFBG5で反射し、さらに第1のFBG4を入射時とは反対方向に透過した光のスペクトルに相当する。このため、偏波保持ファイバ1に第1のFBG4がない場合と必ずしも同じにならないが、FBG4の反射率が極端に高くなければ、十分な量の光がFBG4を透過できるので、第2のFBG5単独で反射させる場合とほぼ同様の形状を有する反射スペクトルを与える。
第2のFBG5で反射した光のスペクトルは、位相調整部6を2回通過することにより、第1のFBG4で反射した光のスペクトルと比較して位相が遅れ、位相調整部長Lで与えた片道あたりの位相差の2倍に相当する位相差を持つ。したがって、ブラッグ反射光が偏波保持ファイバ1のコア2中を戻る際、2つのFBG4,5のブラッグ反射光は位相調整部6で与えられた位相差に応じて干渉する。このとき、位相調整部長Lの2倍の長さが半波長(位相差としてπラジアン)またはその奇数倍程度であると、第1のFBG4で反射した光のスペクトルのメインピークと第2のFBG5で反射した光のスペクトルのメインピークとが互いに打ち消し合い(または弱め合い)、メインピークR内でブラッグ波長の近傍で反射率が低下することにより、スペクトルディップQが現れる。
図5(a)に示すように単一偏波の入射光に対する反射スペクトルにスペクトルディップQが現れる条件を満足する場合、直交する2つの偏波成分を含む測定光を入射すると、図6に示すように、ファスト軸の反射スペクトルとスロー軸の反射スペクトルとを合波した反射スペクトルが得られる。この合波スペクトルにおいては、ファスト軸におけるスペクトルディップQとスロー軸におけるスペクトルディップQとが重なり合うことにより、合波スペクトルにもブラッグ波長の近傍にスペクトルディップDを生じる。図4に、図6の合波スペクトルのみを取り出して示す。
なお、図6は、2つのFBG4,5のグレーティング長がそれぞれ0.4mmであり、位相調整部長Lがファスト軸における実効屈折率neffとブラッグ波長λに対し、L=λ/4neffを満たすように設計したものである。この場合、上述したように、グレーティング周期Λが同じであればλとneffはほぼ比例し、すなわち、λ/neffの比はファスト軸でもスロー軸でもほとんど同じ値となるから、スロー軸においても位相調整部長LがL=λ/4neffを満たす。
ファスト軸のスペクトルディップは1549.8nm、スロー軸のスペクトルディップは1550.4nm、合波スペクトルのスペクトルディップDの中心波長λは1550.1nmである。
合波スペクトルのスペクトルディップDの中心波長λは、ファスト軸のスペクトルディップ波長λfastとスロー軸のスペクトルディップ波長λslowとの中間に現れる。したがって、λfastとλslowのいずれかが長くなれば中心波長λも長くなり、λfastとλslowのいずれかが短くなれば中心波長λも短くなる。
また、合波スペクトルのスペクトルディップDの帯域幅wは、ファスト軸のスペクトルディップ波長λfastとスロー軸のスペクトルディップ波長λslowとの差Δλ(ただし、Δλ=λslow−λfast)と相関関係を持ち、Δλが大きいほど帯域幅wも大きく、Δλが小きいほど帯域幅wも小さくなる。
上述した従来の第2の手法(特許文献1参照)と同様に、偏波保持ファイバ1に設けられたFBGにおいては、ファスト軸の実効屈折率neff-fastとスロー軸の実効屈折率neff-slowとが異なる温度依存性を持つことから、各偏波軸のスペクトルディップ波長λfastおよびλslowが異なる温度依存性を持つ。また、偏波保持ファイバ1の長手方向にひずみが加えられると、FBGが伸縮してグレーティング周期Λが変化するとともに、光弾性効果により実効屈折率neff-fast、neff-slowが変化するため、各偏波軸のスペクトルディップ波長λfastおよびλslowが異なるひずみ依存性を持つ。
したがって、スペクトルディップDの中心波長λと帯域幅wは、2つの偏波軸のスペクトルディップ波長λfastおよびλslowと同様に、異なるひずみ依存性と異なる温度依存性を持つ。しかも、中心波長λと帯域幅wが2つの独立したパラメータであることから、中心波長λと帯域幅wの変化を計測することにより、FBGの持つひずみ依存性と温度依存性を分離して、センシング部7に作用するひずみと温度を同時に計測することが可能になる。
なお、FBGの持つひずみ依存性と温度依存性を分離可能な2つのパラメータは、中心波長λと帯域幅wの組み合わせに限定されるものではないが、中心波長λと帯域幅wであれば、ファスト軸の反射スペクトルとスロー軸の反射スペクトルとを合波したスペクトルの計測から直接求めることが可能であり、ファスト軸の反射スペクトルとスロー軸の反射スペクトルとを分離する必要がないので、ひずみと温度の計算結果をより速く得ることができる。
しかも、従来の第2の手法に比べて、センシング部長を微小構造部に合わせて短くすることができる。従来の第2の手法の場合、ひずみと温度を同時に計測するためには、直交2偏波のブラッグ反射光のピークを区別して認識する必要がある。
上述したように、偏波保持ファイバにグレーティング長が15mmのFBGを作製した場合(図7参照)、2つのピークを認識できるので、ひずみと温度の同時計測が可能であるが、センシング部長(15mm)が微小構造部の寸法よりもはるかに長くなり、微小構造部から離れた部分のひずみと温度変化の影響が大きいため、微小構造部に加わるひずみと温度を精度よく計測することはできない。
また、偏波保持ファイバにグレーティング長が0.8mmのFBGを作製した場合(図8参照)は、直交2偏波のブラッグ反射光のピークが重畳されて、それぞれのピークを認識することが不可能であるから、ひずみと温度の同時計測も不可能である。なお、図8は、図6と同様にシミュレーションで得た結果であり、ファスト軸の反射スペクトルとスロー軸の反射スペクトルをグラフに示しているが、実際の計測では合波スペクトルが計測される。計測した合波スペクトルからファスト軸とスロー軸の反射スペクトルを分離するには、計算時間がかかるうえ、精度が低い。ファスト軸とスロー軸のブラッグ波長の代わりに、図8に示す合波スペクトルのメインピークの中心波長と帯域幅を計測する方法により、FBGの持つひずみ依存性と温度依存性を分離することも考えられるが、本形態例によるスペクトルディップDの中心波長λと帯域幅wを計測する方法に比べるとメインピークが著しくブロード(幅広)であり、メインピークの中心波長や帯域幅の変化が不明瞭のため、高精度な計測はできない。
本形態例の光ファイバセンサ10において、波長軸上でブラッグ波長を含むメインピークが重なり合いやすいことから、2つのFBG4,5のブラッグ波長が同じ(等しい)ことが好ましい。2つのFBG4,5が同一の周期Λを有する場合、2つのFBG4,5のブラッグ波長が等しくなる。
さらに2つのFBG4,5のグレーティング長(偏波保持ファイバ長手方向における長さ)が同じであると、それぞれのFBG4,5で反射される光の反射率が同等になり、同等の強度の光が打ち消し合うことから、スペクトルディップDが現れやすく、望ましい。
FBG4,5のグレーティング長は、長すぎるとセンシング部長も長くなって微小構造部に生じるひずみや温度変化の計測が困難になるとともに、反射スペクトルの帯域幅が狭くなってスペクトルディップDが現れない場合もあることから、それぞれのFBGのグレーティング長は0.4mm以下であることが望ましい。グレーティング長が0.15mm以上であると、製造が容易であり好ましい。
2つのFBG4,5は、別々の工程で、一方のFBGを作製した後に、他方のFBGを作製することも可能である。また、2つのFBG4,5と位相調整部6が同一の偏波保持ファイバ1に設けられるため、同一のマスクに2つのFBGのパターンと位相調整部長Lの間隔を設けることで、1つのセンシング部7を一度に作製することも可能である。
第1のFBG4で反射した光のスペクトルと第2のFBG5で反射した光のスペクトルとが相当程度打ち消し合うものであればスペクトルディップDを出現させることが可能であることから、スペクトルディップDが現れるための位相調整部長Lは、その2倍の長さ2Lが半波長(位相差としてπラジアン)またはその奇数倍となる場合に限定されるものではない。
本形態例の場合、位相調整部6の実効屈折率は偏波保持ファイバ1の実効屈折率neffに等しいから、位相調整部長Lが、偏波保持ファイバ1の2つの偏波軸のうち少なくとも1つの偏波軸において、実効屈折率をneff、ブラッグ波長をλとするとき、(4n−3)(λ/8neff)≦L≦(4n−1)(λ/8neff)を満足する(ただし、nを正の整数(n=1,2,3…)のいずれかとする。)ことが好ましい。
なお、λ=λ/neffとおいて、いくつかのnについてより具体的に例示すると、n=1ではλ/8≦L≦3λ/8であり、n=2では5λ/8≦L≦7λ/8であり、n=3では9λ/8≦L≦11λ/8であり、n=4では13λ/8≦L≦15λ/8である。
ひずみと温度の同時計測においては、あらかじめ、同一の光ファイバセンサ(または同等の特性を有する光ファイバセンサ)を用いてひずみと温度が既知の環境におけるスペクトルディップの中心波長およびその帯域幅を計測しておき、ひずみと温度を同時計測する際に計測したスペクトルディップの中心波長およびその帯域幅と比較することで、中心波長およびその帯域幅の計測値からひずみと温度を計算することができる。
すなわち、本形態例の光ファイバセンサを用いたひずみと温度の同時計測方法は、
(1)光ファイバセンサにおける直交する2つの偏波を合波した光の反射スペクトルを計測する工程と、
(2)計測した反射スペクトルにおける第1のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光と第2のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光との位相差に基づくスペクトルディップの中心波長およびその幅を求める工程と、
(3)前記スペクトルディップの中心波長およびその幅を、ひずみと温度が既知の環境におけるスペクトルディップの中心波長およびその幅と比較して、前記センシング部におけるひずみと温度を計算する工程とを備える。
本形態例のひずみと温度の同時計測方法は、あらかじめ、ひずみと温度が既知の環境におけるスペクトルディップの中心波長およびその幅を計測した計測値から、ひずみと温度に対するスペクトルディップの中心波長およびその幅の関係式を求める工程を有することもできる。この場合(2)の工程で計測した前記反射スペクトルにおけるスペクトルディップの中心波長およびその幅を、(3)の工程で前記関係式に代入することで、センシング部7におけるひずみと温度を計算することができる。該関係式は、直線近似、多項式近似など、公知の近似式によって作成可能である。
(2)の工程において、(1)の工程で計測した、例えば図4に示すスペクトルからスペクトルディップDの中心波長λおよび帯域幅wを決定する方法は、ひずみと温度の同時計測を行うたびに同じ方法を用いて再現性のある結果が得られる限り、特に限定されるものではない。
スペクトルディップDの中心波長λを決定する方法としては、スペクトルディップDにおいて反射率が極小を示す波長を中心波長λとする方法や、帯域幅wを決定した後でその帯域幅wの中心波長を中心波長λとする方法などが挙げられる。
スペクトルディップDの帯域幅wを決定する方法としては、スペクトルディップDにおいて反射率がその極小値から一定の値上昇した波長幅を帯域幅wとする方法や、スペクトルディップDの両側で反射率が極大を示すピーク波長の差を帯域幅wとする方法などが挙げられる。
光ファイバセンサ10を用いてひずみと温度を同時計測する場合の装置は、例えば、光サーキュレータの3つの接続端に、光ファイバセンサ10の一端と、測定光を出力する光源と、光検出器とを接続し、光源から光ファイバセンサ10に測定光を入射して、センシング部7からの反射光を光検出器で検出する構成が挙げられる。
光源には、直交する2つの偏波軸に対してほぼ同強度の光を入射できることから、ランダム偏光の光を出力するものが好ましい。望ましくはある程度波長範囲(ひずみまたは温度変化による波長変化をカバーできる波長範囲)の光(以下広帯域の光という)を安定したパワーで出力する光源、例えばLED(発光ダイオード)、ハロゲンランプ、増幅された自然放出(Amplified spontaneous emission、ASE)光源などが用いられる。
光検出器には、公知の光スペクトルアナライザなどを用いることができる。
装置各部の光接続には、一般のシングルモードファイバなどを光伝送用に使用することができる。
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明の光ファイバセンサは、複数のセンシング部を有することもできる。各センシング部のセンシング部長、グレーティング長、位相調整部長、ブラッグ波長等のパラメータは同じにすることも異ならせることも可能であるが、各センシング部から得られる反射スペクトルが区別できるように構成することが望ましい。各センシング部から得られる反射スペクトルを区別する手法としては、例えば、それぞれのセンシング部を構成する2つのFBGのブラッグ反射光の波長をセンシング部毎に変えて、公知の波長分割多重(WDM)方式で計測する手法が挙げられる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
<実施例1:光ファイバセンサの作製および計測例>
PANDA型の偏波保持ファイバに対し、下記の手順に沿って図1に示す光ファイバセンサ10を作製した。
最初に波長244nmのアルゴン第2次高調波(SHG)レーザとユニフォーム位相マスクを用いてグレーティング長0.15mmの第1のFBG4を作製した。次に、位相調整部6を設け、最後に第1のFBG4と同様の方法で、グレーティング長0.15mmの第2のFBG5を作製した。位相調整部6は、2つのFBG4,5間において位相がπ/2異なる(往復ではπ異なる)長さとした。本実施例では、使用した偏波保持ファイバのスロー軸における実効屈折率neffとスロー軸におけるブラッグ波長λからL=λ/4nefffとなるように設計した。具体的には、neff=1.47、λ=1552nmから、L=264nmとした。L=2.64×10−6mmであり、各FBG4,5のグレーティング長(0.15mm)に比べて十分に短いことから、センシング部7の偏波保持ファイバ長手方向における長さ(センシング部長)は0.3mmということができる。
センシング部7を無ひずみ・室温(25℃)環境に設置し、公知のスペクトラムアナライザを用いた分光測定法により、本実施例の光ファイバセンサ10の反射スペクトルを計測した。この結果を図9に示す。測定光にはASE光源を用い、スロー軸とファスト軸に対してほぼ同強度の光を入射した。
図9の反射スペクトルは、スロー軸からの反射光とファスト軸からの反射光の合波光を示している。1552.6nm付近に現れるスペクトルディップは、第1のFBG4と第2のFBG5の間に設けた位相調整部6による、片道π/2、往復πの位相差に起因するものである。本実施例では、図9のスペクトルディップのボトムピークから3dB上昇した反射率における波長幅を「スペクトルディップの帯域幅」と定義し、該帯域幅の中心波長を「スペクトルディップの中心波長」と定義した。この定義に基づいて求めたスペクトルディップの中心波長および帯域幅は、それぞれ1552.631nmおよび0.543nmである。
次いで、本実施例の光ファイバセンサ10における、スペクトルディップの中心波長および帯域幅のそれぞれについて、ひずみ依存性と温度変化依存性を計測した。
ひずみ依存性は、室温(25℃)で光ファイバセンサに張力を印加することにより、センシング部にひずみを加えた状態で計測した反射スペクトルから、ひずみ変化時のスペクトルディップの中心波長および帯域幅を求め、無ひずみ・室温(25℃)環境で求めたスペクトルディップの中心波長および帯域幅からの差分をとって、中心波長変化および帯域幅変化とした。その結果を図10に示す。
温度依存性は、無張力(無ひずみ)の光ファイバセンサを加熱または冷却し、所定の温度を維持した状態で計測した反射スペクトルから、温度変化時のスペクトルディップの中心波長および帯域幅を求め、無ひずみ・室温(25℃)環境で求めたスペクトルディップの中心波長および帯域幅からの差分をとって、中心波長変化および帯域幅変化とした。その結果を図11に示す。
図10に示すスペクトルディップの中心波長と帯域幅のひずみ依存性を直線近似し、その近似式と、該近似式の相関関数(R)を求めた。式(1)に、ひずみとスペクトルディップの中心波長との関係を示し、式(2)に、ひずみとスペクトルディップの帯域幅との関係を示す。なお、式(1)〜式(2)における単位は、式(1)の中心波長(y)がnm、式(2)の帯域幅(y)がnm、式(1)〜式(2)のひずみ(x)がμεであり、1μεは、1×10−4%のファイバ伸びを示している。
Figure 2013142667
Figure 2013142667
また、図11に示すスペクトルディップの中心波長と帯域幅の温度依存性を直線近似し、その近似式と、該近似式の相関関数(R)を求めた。式(3)に、温度とスペクトルディップの中心波長との関係を示し、式(4)に、温度とスペクトルディップの帯域幅との関係を示す。なお、式(3)〜式(4)における単位は、式(3)の中心波長(y)がnm、式(3)の帯域幅(y)がnm、式(3)〜式(4)の温度(x)が℃である。
Figure 2013142667
Figure 2013142667
以上より、ひずみと温度変化に対して、スペクトルディップの中心波長と帯域幅がともに高い相関関数で直線近似できるシフト特性を示すことが分かった。
ひずみΔεと温度変化ΔTに対するスペクトルディップの中心波長と帯域幅の変化を示す行列式は、式(1)〜式(4)をもとに、式(5)のように表すことができる。なお、式(5)における単位は、スペクトルディップの中心波長変化(Δλ)と帯域幅変化(Δw)がpm、ひずみ(Δε)がμε、温度変化(ΔT)が℃である。
Figure 2013142667
次いで、本実施例の光ファイバセンサにひずみと温度変化を同時に与え、このとき計測された反射スペクトルからスペクトルディップの中心波長および帯域幅を求め、無ひずみ・室温(25℃)環境で求めたスペクトルディップの中心波長および帯域幅からの差分をとって、中心波長変化Δλおよび帯域幅変化Δwを算出し、式(5)に代入してひずみ(Δε)と温度変化(ΔT)を求めた。その結果を表1に示す。表1では、式(5)から求めたひずみ(Δε)と温度変化(ΔT)に対して、基準ひずみ(0με)、基準温度(25℃)を加算した値を示している。例えば、条件1ではΔεが510με、ΔTが24℃と求められたので、これらに基準ひずみ、基準温度を加算して、ひずみを510με、温度を49℃と表示している。
Figure 2013142667
表1に示すように、合計4通りの条件でひずみと温度を計測したところ、いずれの条件においても、比較的高い精度の計測結果を得ることができた。
<実施例2:位相差を変えたときの反射スペクトルのシミュレーション例>
センシング部長を0.3mm(各グレーティング長を0.15mm)の条件を共通にして、位相調整部の位相差を変えたときの光ファイバセンサの反射スペクトルを、シミュレーションで求めた。
図12では位相調整部が片道λ/16(往復λ/8、位相差は往復でπ/4)であり、図13では位相調整部が片道λ/8(往復λ/4、位相差は往復でπ/2)であり、図14では位相調整部が片道λ/4(往復λ/2、位相差は往復でπ)であり、図15では位相調整部が片道3λ/8(往復3λ/4、位相差は往復で3π/2)であり、図16では位相調整部が片道7λ/16(往復7λ/8、位相差は往復で7π/4)であり、図17では位相調整部が片道λ/2(往復λ、位相差は往復で2π)である。
以上の結果から、図13〜15に示すように、位相調整部が片道でλ/8以上3λ/8以下であるとき、メインピーク中にスペクトルディップ(各グラフ中、下向きの矢印で示す。)が現れることから、実施例1と同様に、ひずみと温度の同時計測が実施可能である。位相には周期性があることから、位相調整部長Lが、(4n−3)(λ/8)≦L≦(4n−1)(λ/8)を満足する(ただし、nを正の整数(n=1,2,3…)のいずれかとする。)ことが好ましい。ただし、λ=λ/neffとする。
図12、図16、図17では、メインピーク(各グラフ中、下向きの矢印で示す。)中にスペクトルディップが現れなかった。なお、これらのグラフにおいて、メインピークの左右両側に見えるのは、メインピークとサイドローブとの境界部である。
<実施例3:センシング部長を変えたときの反射スペクトルのシミュレーション例>
位相調整部は、実施例1と同じく片道λ/4(往復λ/2)、位相差は往復でπという条件を共通にして、センシング部長を0.1〜0.9mm(各グレーティング長は0.05〜0.45mm)の範囲で変えたときの光ファイバセンサの反射スペクトルを、シミュレーションで求めた。
図18ではセンシング部長が0.1mm(各グレーティング長は0.05mm)であり、図19ではセンシング部長が0.3mm(各グレーティング長は0.15mm)であり、図20ではセンシング部長が0.6mm(各グレーティング長は0.3mm)であり、図21ではセンシング部長が0.8mm(各グレーティング長は0.4mm)であり、図22ではセンシング部長が0.9mm(各グレーティング長は0.45mm)である。
図18〜21に示すように、センシング部長が0.8mm以下ではスペクトルディップ中に1つの極小点のみ現れるので、実施例1と同様に、ひずみと温度の同時計測が実施可能である。
図22では、スペクトルディップ中に1つの極大点とその両側に2つの極小点が現れることから、スペクトルディップの中心波長と帯域幅を特定するのが容易ではない。
<実施例4:位相調整部長を変えたときの反射スペクトルのシミュレーション例>
各グレーティング長は0.15mm、位相調整部による位相差は往復でπの奇数倍という条件を共通にして、位相調整部長を0〜0.6mmの範囲で変えたときの光ファイバセンサの反射スペクトルを、シミュレーションで求めた。なお、位相調整部長が実施例1と同じく片道λ/4(往復λ/2)の場合を便宜上0mmとする。
図23では位相調整部長が0mm(片道λ/4)であり、図24では位相調整部長が0.2mmであり、図25では位相調整部長が0.4mmであり、図26では位相調整部長が0.5mmであり、図27では位相調整部長が0.6mmである。
図23〜26に示すように、位相調整部長が0.5mmまで、すなわち、センシング部長が0.8mm以下ではスペクトルディップ中に1つの極小点のみ現れるので、実施例1と同様に、ひずみと温度の同時計測が実施可能である。
図27では、スペクトルディップ中に1つの極大点とその両側に2つの極小点が現れることから、スペクトルディップの中心波長と帯域幅を特定するのが容易ではない。
図23に示すように、位相調整部長が0mm(片道λ/4)の場合はセンシング部長が最小になり、スペクトルディップが最も明瞭に判別できることから、好ましい。
<実施例5:FBGの中心波長を変えたときの反射スペクトルのシミュレーション例>
位相調整部は、実施例1と同じく片道λ/4(往復λ/2)、位相差は往復でπ、センシング部長は0.3mm(各グレーティング長は0.15mm)の条件を共通にして、FBGの中心波長を変えたときの光ファイバセンサの反射スペクトルを、シミュレーションで求めた。なお、各グレーティングの周期は、FBGの中心波長に合わせて調整した。
図28では中心波長が1550nmであり、図29では中心波長が1310nmであり、図30では中心波長が1065nmである。
図28〜30に示すように、FBGの中心波長が1310nmや1065nmであっても、スペクトルディップ中に1つの極小点のみ現れるので、実施例1と同様に、ひずみと温度の同時計測が実施可能である。
D…スペクトルディップ、L…位相調整部長、w…スペクトルディップの幅(帯域幅)、λ…スペクトルディップの中心波長、Λ…グレーティング周期、1…偏波保持ファイバ、2…コア、3…クラッド、4…第1のFBG、5…第2のFBG、6…位相調整部、7…センシング部、10…光ファイバセンサ。

Claims (6)

  1. 偏波保持ファイバのコアに形成した第1のファイバブラッググレーティングと、
    前記偏波保持ファイバのコアに形成した第2のファイバブラッググレーティングと、
    これら2つのファイバブラッググレーティングの間に設けられ、第1のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光と第2のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光の間に位相差を与える位相調整部と、
    から1つのセンシング部が構成され、
    前記センシング部の偏波保持ファイバ長手方向における長さが0.8mm以下であることを特徴とする光ファイバセンサ。
  2. 前記位相調整部は、第1のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光と第2のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光の干渉により、ブラッグ波長の近傍にスペクトルディップを生じる位相差を該ファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光の間に与えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
  3. 前記位相調整部の偏波保持ファイバ長手方向における長さLは、前記偏波保持ファイバの2つの偏波軸のうち少なくとも1つの偏波軸において、実効屈折率をneffとし、ブラッグ波長をλとするとき、(4n−3)(λ/8neff)≦L≦(4n−1)(λ/8neff)を満足する(ただし、nを正の整数(n=1,2,3…)のいずれかとする。)ことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバセンサ。
  4. 前記2つのファイバブラッググレーティングの偏波保持ファイバ長手方向における長さが互いに等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバセンサ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ファイバセンサにおける直交する2つの偏波を合波した光の反射スペクトルを計測する工程と、
    計測した前記反射スペクトルにおける第1のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光と第2のファイバブラッググレーティングのブラッグ反射光との位相差に基づくスペクトルディップの中心波長およびその幅を求める工程と、
    前記スペクトルディップの中心波長およびその幅を、ひずみと温度が既知の環境におけるスペクトルディップの中心波長およびその幅と比較して、前記センシング部におけるひずみと温度を計算する工程と、
    を備えることを特徴とするひずみと温度の同時計測方法。
  6. あらかじめ、ひずみと温度が既知の環境におけるスペクトルディップの中心波長およびその幅を計測した計測値から、ひずみと温度に対するスペクトルディップの中心波長およびその幅の関係式を求める工程を有し、
    計測した前記反射スペクトルにおけるスペクトルディップの中心波長およびその幅を前記関係式に代入して、前記センシング部におけるひずみと温度を計算することを特徴とする請求項5に記載のひずみと温度の同時計測方法。
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