JP2010053226A - オゾン酸化促進剤および洗浄方法 - Google Patents
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Description
また、オゾンは、分解して酸素となり、環境にやさしい側面を有しているため、その利用は拡大する傾向にある。
これらカットされた野菜類は、その切断の影響により、カットされていない通常のものに比べて鮮度が落ちやすいため、廃棄される率が高い。これは、野菜類の該切断面で菌が繁殖して腐敗しやすいことに因ると考えられる。そのため、カットされた野菜類においては、収益性の面からも環境の面からも鮮度保持の向上が望まれている。
しかしながら、特許文献1に記載されているような鮮度保持剤を使用する方法は、野菜類に配合成分(添加物)が残留することから、添加物表示が必要になる問題がある。かかる問題により、鮮度保持剤を使用する方法は、野菜類の生産者にとって利用しにくい方法であった。
また、カットされた野菜類の鮮度を保持するため、当該野菜類の包装方法や貯蔵方法の改良が提案されている。しかしながら、これらの方法は、設備投資を含めたコストがかかりすぎるため、経済的に不利であった。
また、かかるオゾン処理による洗浄においては、洗浄後3日間の保存条件で、当該野菜類の切断面が変色し、あるいは当該野菜類が全体的に変色し、鮮度保持の効果が不充分であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、オゾン処理により、野菜類の殺菌および鮮度保持のいずれも優れた効果が得られるオゾン酸化促進剤および洗浄方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物(A)と、分子量が100以上で、かつ、25℃の水溶液における酸解離指数(pKa)が3以上である酸(B)と、水とを混合してなることを特徴とするオゾン酸化促進剤である。
また、本発明のオゾン酸化促進剤においては、前記化合物(A)が、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、カプリル酸モノグリセリンおよびカプリン酸モノグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明の洗浄方法によれば、野菜類の殺菌および鮮度保持のいずれも優れた効果が得られる。
本発明のオゾン酸化促進剤は、前記一般式(1)で表される化合物(A)と、分子量が100以上で、かつ、25℃の水溶液における酸解離指数(pKa)が3以上である酸(B)と、水とを混合してなるものである。
本発明において、化合物(A)(以下「(A)成分」という。)は、前記一般式(1)で表されるものである。
(A)成分を含有することにより、オゾン処理において、オゾン含有ガスを微細な気泡とすること(微細化)ができ、本発明の効果が向上する。
前記式(2)中、Rは、炭素数1〜9の炭化水素基を示す。当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。当該脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のいずれであってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。なかでも、Rとしては、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状であることがより好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることが特に好ましい。
ただし、X1、X2およびX3のうちの少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される基である。
(y)X1,X2,X3のうちの2個は、前記式(2)におけるRがメチル基であって、他の1個は−OHであるグリセリンジアセテート(ジアセチン)。
(z)X1,X2,X3がすべて、前記式(2)におけるRがメチル基であるグリセリントリアセテート(トリアセチン)。
モノアセチンおよびジアセチンには構造異性体が存在し、モノアセチンの構造異性体としては、グリセリン−1−アセタート、グリセリン−2−アセタート、グリセリン−3−アセタートが挙げられる。ジアセチンの構造異性体としては、グリセリン−1,3−ジアセタート、グリセリン−1,2−ジアセタートが挙げられる。
これらのなかで、グリセリンモノエステルおよびグリセリンジエステルには構造異性体が存在し、上記(x)〜(z)に示すものと同様に、前記式(2)で表される基が、前記式(1)におけるX1、X2、X3;X1およびX2、X1およびX3にそれぞれ結合した構造異性体が挙げられる。
これらの点から、モノアセチン、ジアセチン又はトリアセチンはいずれも、オゾンの曝気量を増やした場合にも、オゾン含有ガスの気泡が堆積しにくいため、特に好適である。また、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、カプリル酸モノグリセリン又はカプリン酸モノグリセリンのいずれかを使用すれば、オゾン含有ガスの微細化に際し、各種マイクロバブル発生器を使用せずとも、エジェクターを介しての供給方法や散気管などを利用することで、オゾン含有ガスを容易に微細化できる。これにより、装置コストが下がるだけでなく、オゾン含有ガスの気泡の表面張力が低下して野菜類への濡れ性が高まり、オゾン酸化が促進されて洗浄性(殺菌効果)の向上も期待できる。
本発明において、酸(B)(以下「(B)成分」という。)は、分子量が100以上で、かつ、25℃の水溶液における酸解離指数(pKa)が3以上のものである。
(B)成分を含有することにより、オゾン処理において、(A)成分と共にオゾン酸化を促進して殺菌効果が向上し、かつ、野菜類の保存における鮮度保持の効果が向上する。
また、(B)成分を用いることで、オゾンの使用量、又は(A)成分の使用量も低減できる。
これは、オゾン処理の際、分子量の小さい酸は、それだけ野菜類の細胞内部へ進入しやすいことが予想され、進入した酸の影響により、細胞内の代謝経路が阻害されるため、ハリがなくなり、また、野菜類の変色(全体の褐色化)が進むと考えられる。分子量が100以上の酸は、野菜類の細胞内部への進入が抑制されるため、かかるハリと変色(全体の褐色化)の不具合が特に起きにくい、と推測される。
多価の酸の場合、1段階目の解離反応における平衡定数の負の常用対数(pKa1)をいうものと定義する。たとえば、リン酸は3価の酸でありpKa1,pKa2,pKa3を有する。本発明において、リン酸の酸解離指数(pKa)は、pKa1=2.15(25℃)示すものとする。
酸解離指数(pKa)は、社団法人日本化学会編集の化学便覧基礎編 改訂3版(丸善株式会社出版)に収載された値(25℃の(B)成分の水溶液を測定した値)を示す。
また、酸解離指数(pKa)は、25℃において窒素置換された超純水を使用してイオン強度を0.1mol/Lに調整した水溶液を用意し、この水溶液を、平沼産業株式会社製COM−2500や京都電子工業株式会社製AT−510等の電位差滴定装置を用いて測定することにより求めることができる。
これは、pKaの値が小さいことは水素イオンを放出しやすく、強い酸であることを示すことから、同じpH条件下であっても、pKaの値が小さい酸を用いているものほど、細胞表面に与えるダメージが大きいため、ハリが低下しやすく、また、野菜類の変色(全体の褐色化)が進みやすい、と考えられる。特に、オゾン処理においては、オゾンにより野菜類の表面が酸化されるため、pKaの値が小さい酸による細胞表面へのダメージの不具合が発現しやすく、また、野菜類の細胞内部へ酸が進入しやすい、と推測される。pKaが3以上の酸であれば、野菜類をほとんど傷めずに洗浄できることから、かかるハリと変色(全体の褐色化)の不具合が特に起きにくい、と推測される。
pKaが5以下であると、殺菌効果が向上すると共に、特に野菜類の褐変(切断面の赤色化)が起きにくく、鮮度保持の効果が向上する。
なかでも、(B)成分としては、殺菌効果に加えて、鮮度保持の効果がより向上すること等の理由から、リンゴ酸、コハク酸およびグルコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、リンゴ酸であることが最も好ましい。
さらに、オゾン処理を行う際に、(A)成分の水溶液と(B)成分とをそれぞれ用いて混合してもよく、(A)成分と(B)成分の水溶液とをそれぞれ用いて混合してもよく、(A)成分の水溶液と(B)成分の水溶液とをそれぞれ用いて混合してもよく;(A)成分および(B)成分の混合物と、水とをそれぞれ用いて混合してもよい。
なかでも、本発明のオゾン酸化促進剤は、特にレタス等の野菜類の殺菌・洗浄に好適であることから、洗浄工程でオゾンと併用され、かつ、pH3〜5.5で使用されるものであることが好ましい。
本発明のオゾン酸化促進剤を用いたオゾン処理方法としては、たとえば、後述する本発明の洗浄方法が好適な方法として挙げられる。
かかる効果が得られる理由としては定かではないが、以下のように推測される。
本発明者らの検討によると、5ppm質量%のオゾン水で殺菌を行ったところ、保存後の野菜が非常に劣化(変色(全体の褐色化)およびハリの消失)し、また、その割には殺菌効果も、次亜塩素酸ナトリウムを用いた場合の殺菌効果に及ばないものであった。
本発明のオゾン酸化促進剤は、上記一般式(1)で表される化合物(A)と、分子量が100以上で、かつ、25℃の水溶液における酸解離指数(pKa)が3以上である酸(B)と、水とを混合してなる。
特に、(A)成分を用いていることにより、オゾンをガス状のまま微細な気泡として水中に保つことができ、オゾンの供給量が必要最低限でよく、また、オゾンの気泡による野菜類表面のみの殺菌とその洗浄効果とにより、殺菌力の向上と野菜類へのダメージを低減することが両立できる。
また、特に、(B)成分を用いていることにより、被処理水のpHが低下し、オゾンの安定化が図られて殺菌力がより向上する。また、(B)成分は、分子量が100以上であるため、野菜類への進入が抑制され、さらに、pKaが3以上であるため、酸強度が強すぎることに起因する野菜類への損傷が抑えられる。これらにより、ハリが維持され、切断面の赤色化も起きにくくなり、鮮度保持の効果が向上する。なお、本発明者らの検討によると、被処理水のpHが3.5で同じ条件であっても、pKaが3未満のリン酸を用いた場合、ハリを失うことが確認されている。
また、本発明のオゾン酸化促進剤は、洗浄工程でオゾンと併用され、かつ、pH3〜5.5で使用されることが好ましく、かかる場合、生鮮食品用として特に好適なものである。
一方、pHが5.5以下であれば、殺菌効果および鮮度保持の効果がいずれも向上する。これは、オゾンがより安定化されるために殺菌効果が向上し、これに伴って野菜の腐敗が進みにくくなるために、野菜の変色(全体の褐色化)がより起きにくくなる、と考えられる。
かかる赤色化(褐変)は、オゾン処理の際、(B)成分である酸を加えてpHを低下させることにより、カット野菜の切断面において、切断面の褐変の原因であるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)やポリフェノールオキシダーゼ(PPO)に酸が作用して、これら酵素の活性が低下することで抑制される、と考えられる。
本発明の洗浄方法は、オゾン酸化により処理対象物を処理(オゾン処理)する洗浄方法において、上記本発明のオゾン酸化促進剤の存在下で、処理対象物を含有する被処理水中にオゾンを供給する工程を有する方法である。
かかる洗浄方法としては、具体的には以下の方法が挙げられる。
処理対象物である野菜類としては、特に制限はなく、一般的にオゾン処理が行われているものであればよく、たとえば細菌、色素、油脂、アミン、タンパク質、腐植、汚泥、界面活性剤若しくは農薬等の有機物、又はそれらが付着した野菜や果物などが挙げられる。
オゾン酸化促進剤の濃度が0.001質量%以上であると、本発明の効果が高く、5質量%以下であると、オゾンと被処理水中のオゾン酸化促進剤とが反応することによるオゾンの消費が抑えられ、その結果、オゾン処理の効率が向上する。
オゾンは、その強い酸化力から、溶存金属、塩素あるいは有機物等と反応するため、被処理水は、これらの不純物の含有量が少ない(純度が高い)水、たとえば抵抗率が好ましくは0.00001MΩ以上、より好ましくは0.001MΩ以上、さらに好ましくは1MΩ以上の超純水が、反応に有利であり好ましい。
(B)成分に対する(A)成分の割合が下限値以上であると、気泡の微細化による殺菌効果がより向上する。一方、上限値以下であると、殺菌力向上の相乗効果が得られる。また、特に保存による野菜類全体の体積(ハリ)の減少と野菜類の変色(全体の褐色化)がいずれも起きにくく、鮮度保持の効果が向上する。これは、(B)成分の濃度が適度に保たれるため、(B)成分の野菜類への進入が抑制されるため、と考えられる。
該pHが3以上であると、殺菌効果に加えて、特に保存による野菜類全体の体積(ハリ)の減少と野菜類の変色(全体の褐色化)がいずれも起きにくく、鮮度保持の効果が向上する。また、褐変(切断面の赤色化)も起きにくく、野菜類自体の品質が向上する。該pHが5.5以下であると、殺菌効果が充分に得られ、野菜類の変色(全体の褐色化)が起きにくく、鮮度保持の効果が向上する。また、(B)成分を用いる効果がより良好に得られる。
被処理水のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤;塩酸、硫酸等の酸を用いることにより調整できる。
また、被処理水中にオゾンを供給する(曝気する)工程においては、曝気を行う際、被処理水を撹拌するために撹拌装置などを併用することも可能である。
被処理水を収容し、曝気を行う容器(処理容器)としては、オゾンの酸化力が強いため、被処理水に接する面の材質が、ガラス、テフロン(登録商標)、チタン、オゾン処理(高濃度オゾンによる強固な酸化皮膜形成)を施したアルミやステンレスのものが好ましい。
オゾンに対する耐性が低いニトリルゴムあるいはウレタンなどの材質のものを使用する場合、処理容器の劣化に充分に注意する必要がある。
オゾンの発生方式は、特に制限されず、電子線、放射線、紫外線など高エネルギーの光を酸素に照射する方法;化学的方法、電解法、放電法などが挙げられる。工業的には、発生コストや発生量から無声放電法が多く用いられている。
オゾンの発生には、市販のオゾン発生器が利用でき、たとえば低濃度オゾン発生器として株式会社レイシー製のYGR−50(商品名)、エコデザイン株式会社製のED−OG−PSA1(商品名)、荏原実業株式会社製のOZSD−3000A(商品名)等が市販されている。
オゾンは、自己分解性を持つことから、調製後すぐに使用することが好ましい。
曝気ガス(オゾン含有ガス)中のオゾン濃度は、特に制限はないが、作業者の操作性・取扱い性が向上し、また、野菜類の酸化による劣化がより抑制されて鮮度保持効果が向上することから、10000ppm体積%以下であることが好ましく、5000ppm体積%以下がより好ましく、1000ppm体積%以下がさらに好ましい。
一方、下限値としては、特に制限はなく、オゾン処理効率などを考慮すると、1ppm体積%以上が好ましく、10ppm体積%以上がより好ましい。
曝気を行う際の処理温度(すなわち被処理水の温度)は、特に限定されず、5〜30℃が好ましい。5℃以上であると、被処理水へのオゾンの溶解性が高まり、30℃以下であれば、オゾンの自己分解が起きにくくなり殺菌効率が向上する。該処理温度は、野菜類の損傷がより抑制されることから10〜25℃の範囲がさらに好ましい。
曝気を行う際の処理時間(曝気を行う時間)は、特に限定されず、処理目的、処理対象物の分解しやすさ、被処理水中の処理対象物の濃度、温度、処理容積等を考慮して設定すればよい。(B)成分等の野菜類への進入がより抑制されることから、処理時間は、通常30分以下とすることが好ましく、15分以下とすることがより好ましい。
AOPは、オゾンを積極的に分解させることにより、酸化力の高いヒドロキシルラジカルを発生させ、これによって酸化反応をより進めるものである。オゾンを積極的に分解する手段としては、紫外線照射・H2O2・無機触媒添加などが一般に用いられている。
また、本工程の後、必要に応じて、適宜、野菜類に吸着した成分などを洗い流すためのすすぎや、乾燥等を行うことができる。
以下の実施例において、pHは、pHメーター(製品名:SevenEasy、METTLER TOLEDO製)を用いて、pH電極を、測定対象とする約25℃の溶液に直接差し込み、60秒間経過後の指示値を読み取ることにより測定した。
洗濯機(製品名:CW−C30A1、三菱電機製;2槽式洗濯機)に、40Lの水道水を溜めた。
次いで、表1、2に示す配合量(ppm質量%;純分換算)になるように、(A)成分および(B)成分をそれぞれ溶解した。
次に、表1、2に示す「オゾン処理の際のpH」の値になるように、5N−NaOH水溶液又は5N−HCl水溶液を用いてpH調整を行い、各例のオゾン酸化促進剤を調製した。
なお、酸(B)および酸(B’)におけるpKa1の値は、社団法人日本化学会編集の化学便覧基礎編 改訂3版(丸善株式会社出版)に収載された値(25℃の水溶液を測定した値)を示す。
トリアセチン:関東化学(株)製の試薬、分子量218.2。
モノアセチン:関東化学(株)製の試薬、分子量134.1。
カプリル酸モノグリセリン:理研ビタミン(株)製の試薬、分子量218.3。
カプリン酸モノグリセリン:理研ビタミン(株)製の試薬、分子量246.3。
リンゴ酸:関東化学(株)製の試薬、分子量134.1、pKa1=3.2。
グルコン酸:関東化学(株)製の試薬、分子量196.2、pKa1=3.7。
コハク酸:関東化学(株)製の試薬、分子量118.1、pKa1=4.0。
リン酸:関東化学(株)製の試薬、分子量98.0、pKa1=2.2。
ピロリン酸:関東化学(株)製の試薬、分子量178.0、pKa1=0.8。
酢酸:関東化学(株)製の試薬、分子量60.1、pKa1=4.6。
クエン酸:関東化学(株)製の試薬、分子量192.1、pKa1=2.9。
5N−HCl水溶液:関東化学(株)製の試薬(Cat.No.18589−08)。
一般的な生鮮食品工場のオゾン処理を参考にして、次のフローチャートに従って、野菜(レタス)の殺菌洗浄を行った。
(前洗い)→(殺菌・洗浄)→(すすぎ1回目)→(すすぎ2回目)→(脱水)
殺菌・洗浄は、40Lの水道水を溜めた洗濯機(製品名:CW−C30A1、三菱電機製;2槽式洗濯機)を用いて、上述したように、オゾン酸化促進剤を予め調製し、そこに野菜(レタス)を入れて、後述のオゾン曝気条件下、5〜10分間の撹拌により行った。
すすぎ1回目は、前記2槽式洗濯機(製品名:CW−C30A1、三菱電機製)に40Lの水道水を溜めて、1分間の撹拌により行った。
すすぎ2回目は、バケツに20Lの水を溜めて、殺菌したステンレス製(直径15cm、メッシュ2mm)のザルを用いて、軽く撹拌して行った。
脱水は、前記2槽式洗濯機(製品名:CW−C30A1、三菱電機製)の脱水槽にて1分間の脱水を行った。
また、後述の[殺菌力の評価]における基準(業界の標準)となる処理方法は、上記フローチャートにおいて、(殺菌・洗浄)の操作を、食品業界で生鮮食品の殺菌に用いられている次亜塩素酸Naの200ppmによる5分間処理の操作に変更した以外は同様にして、上記フローチャートに従って行った。
また、比較例8においては、オゾンを使用せず、空気のみを曝気した。
上記<オゾン処理による洗浄>における殺菌・洗浄の方法は、洗濯機(製品名:CW−C30A1、三菱電機製;2槽式洗濯機)を利用して自作した、図1に示すオゾン処理装置を用いて行った。
オゾン処理装置1は、洗濯槽11と脱水槽12とを備えた2槽式の洗濯機10と、オゾン含有ガス供給装置20と、洗濯槽11から吸い上げられたオゾン酸化促進剤がオゾン含有ガス供給装置20からオゾン含有ガスが供給されながら循環する循環路30とを有する。
洗濯機10は、洗濯槽11の底部にパルセータ13を有する。
オゾン含有ガス供給装置20は、空気を送り出す空気ボンベ21と、空気の流量(オゾン濃度)を制御するレギュレター22と、送り出された空気中でオゾンを発生する、オゾンモニター(製品名:EG−600、荏原実業(株)製)を備えたオゾン発生器23(製品名:OZSD−3000A、荏原実業(株)製)と、オゾン含有ガスの流量を制御するマスフローコントローラー24(製品名:MODEL5100、コフロック(株)製)とを有する。
循環路30は、塩化ビニル製の経路31、32、33からなり、継手(図示せず)の材料としてはSUS304が用いられている。経路31と経路32との間には、循環用のポンプ34(製品名:M20NED04S型、(株)ニクニ製)が設けられている。また、経路32と経路33との間には、循環するオゾン酸化促進剤へのオゾン含有ガスの供給を制御する塩化ビニル製のエジェクター35が設けられている。経路31のポンプ34とは反対側の末端は、洗濯槽11の底部近くに設置され、当該末端には、テフロン(登録商標)製の直径1mmのメッシュを備えた、野菜の吸い込み防止用のストレーナー36が設けられている。
オゾンの発生は、空気ボンベ21から送り出された空気中に、オゾン濃度が5000ppm体積%となるように行った。オゾン濃度は、レギュレター22により制御した。
循環するオゾン酸化促進剤へのオゾン含有ガスの供給は、エジェクター35を介して行い、オゾン含有ガスの流量は、マスフローコントローラー24により0.4L/min.に制御し、オゾン酸化促進剤へオゾン含有ガスを供給(曝気)した。
上記<オゾン処理による洗浄>における乾燥後の野菜(レタス)を用いて、以下に示す、殺菌力の評価および鮮度保持効果の評価をそれぞれ行った。
殺菌力の評価は、菌数の検査により行った。
菌数の検査において、ペプトン入り緩衝液には、リン酸二水素カリウム3.56g、リン酸水素二ナトリウム十二水和物18.2g、塩化ナトリウム4.3gおよびペプトン1.0gを精製水1リットルに溶解し、pH7.0に中和したものを用いた。
菌数の検査は、以下のようにして行った。
上記オゾン処理による洗浄前後のレタス25gを、ペプトン入り緩衝液225mLに加え、フィルター付きストマッカー袋を使用してストマッカーにかけ粉砕し、懸濁液を調製した。この懸濁液を段階的に希釈し、SCD寒天培地(日水製薬(株)製)で混釈した。
かかる操作を1検体あたり3回繰り返し、37℃で24時間培養した後、コロニーを計数することで生菌数を野菜1g当たりの菌数として求めた。
殺菌力は、業界の標準である次亜塩素酸Na200ppm処理時の菌数に対する、各例の処理時の菌数の割合を指標とし、該割合が5倍未満(各例の処理時の菌数が10×0.7未満に相当)を○(合格)とした。その結果を表に示す。表中、( )内の値は該割合(倍数)を示す。
鮮度保持効果の評価は、保存試験により行った。
保存試験は、上記オゾン処理による洗浄前後のレタス300g前後を、ジップ付ビニール袋に入れ、日本フリーザー株式会社製のUKS−3600HCバイオマルチクーラー(商品名)を用いて、10℃にて3日間保存した。
鮮度保持効果は、レタスのハリ、褐変(主に切断面の赤色化)、変色(全体の褐色化)の3項目について、それぞれ上記オゾン処理による洗浄前の状態を5点とし、3日間保存後の状態を下記の評価基準に基づいて5段階で評価した。
前記3項目について、3点以上を○(合格)とした。また、これらの3項目の合計点数で10点以上を○(合格)とした。その結果を表に示す。表中、( )内の値は点数を示す。
5点:ほぼ体積に減少がない状態であった。
4点:ほぼ体積に減少はないが、わずかに野菜がやわらかくなっていた。
3点:体積の減少の割合が20%未満であった。
2点:体積の減少の割合が20%以上であった。
1点:体積の減少の割合が50%以上であった。
5点:全体に赤色が存在していなかった。
4点:20%未満の野菜片で赤色化が認められた。
3点:50%未満の野菜片で赤色化が認められた。
2点:50%以上の野菜片で赤色化が認められた。
1点:ほぼすべての野菜片で濃い赤色化が認められた。
5点:全体的に元の色調を保っていた。
4点:全体的にわずかなくすみが見られた。
3点:一部の野菜片で茶色く変色していた。
2点:ほぼすべての野菜片で薄茶色く変色していた。
1点:ほぼすべての野菜片で茶色く変色していた。
特に、比較例1(リン酸)、比較例2(ピロリン酸)、比較例4(クエン酸)においては、保存により野菜が著しく軟化する現象が観察され、ハリを失っていることが確認された。
また、比較例1(リン酸)、比較例3(酢酸)においては、特に保存後の変色(全体の褐色化)が悪いことが確認された。
Claims (5)
- 前記酸(B)が、リンゴ酸、コハク酸およびグルコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のオゾン酸化促進剤。
- 前記化合物(A)が、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、カプリル酸モノグリセリンおよびカプリン酸モノグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2記載のオゾン酸化促進剤。
- 洗浄工程でオゾンと併用され、かつ、pH3〜5.5で使用される請求項1〜3のいずれかに記載のオゾン酸化促進剤。
- オゾン酸化により処理対象物を処理する洗浄方法において、
請求項1〜4のいずれかに記載のオゾン酸化促進剤の存在下で、処理対象物を含有する被処理水中にオゾンを供給する工程を有することを特徴とする洗浄方法。
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