JP2010050223A - 基板処理方法、露光装置、及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の表面を高い精度で目標位置に配置して基板を処理できる基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理方法は、基板上に設けられた複数の被処理領域を処理実行領域に順次配置し、それら被処理領域ごとに基板の表面位置の検出をすることと、複数の被処理領域を処理実行領域に順次配置し、それら被処理領域ごとに表面位置の検出の検出結果に基づいて基板の表面と所定面との相対位置調整をして所定処理を行うことと、を含む。
【選択図】図8
Description
本発明は、基板処理方法、露光装置、及びデバイス製造方法に関する。
例えばフラットパネルディスプレイ等の電子デバイスの製造工程において、下記特許文献に開示されているような、マスクを介した露光光で基板を露光する露光装置が使用される。露光装置は、マスクを保持して移動可能なマスクステージと、基板を保持して移動可能な基板ステージとを備え、それら各ステージは、ボディ(コラム)に支持される。
特開2006−195353号公報
露光装置において、例えばステージの移動により、ボディが変形する可能性がある。ボディが変形すると、基板の表面を目標位置に配置することが困難となり、例えば基板に形成されるパターンに欠陥が生じる等、露光不良が発生したり、不良デバイスが発生したりする可能性がある。
本発明の態様は、ボディの変形が生じても、基板の表面を目標位置に配置して基板を処理することができる基板処理方法、露光装置、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、基板上に設けられた複数の被処理領域に対して所定処理を行う基板処理方法であって、複数の前記被処理領域を処理実行領域に順次配置し、該被処理領域ごとに前記基板の表面位置の検出をすることと、複数の前記被処理領域を前記処理実行領域に順次配置し、該被処理領域ごとに前記表面位置の検出の検出結果に基づいて前記基板の表面と所定面との相対位置調整をして前記所定処理を行うことと、を含む基板処理方法が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、基板上に設けられた複数の被処理領域に対し、マスクに設けられたパターンを介して所定処理を行う基板処理方法であって、前記被処理領域を処理実行領域に配置して前記基板の表面位置の検出をすること、及び前記パターンを前記処理実行領域に対応するパターン介在領域に配置して前記マスクのパターン面位置の検出をすることの少なくとも一方を、複数の前記被処理領域を前記処理実行領域に順次配置するごとに行うことと、前記被処理領域を前記処理実行領域に配置し、前記パターンを前記パターン介在領域に配置し、前記表面位置の検出及び前記パターン面位置の検出の少なくとも一方の検出結果に基づいて前記基板の表面と前記マスクのパターン面との相対位置調整をして前記所定処理を行うことを、複数の前記被処理領域ごとに順次行うことと、を含む基板処理方法が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、複数の基板の各基板上に設けられた複数の被処理領域に対して所定処理を行う基板処理方法であって、前記基板を基準領域に配置して該基板の表面の第1基準面位置を検出することと、複数の前記被処理領域を処理実行領域に順次配置して該被処理領域ごとに前記基板の表面位置の検出をすることと、前記被処理領域ごとに前記表面位置の検出の検出結果と前記第1基準面位置との相関値を導出することとを含む第1工程と、前記基板を前記基準領域に配置して該基板の表面の第2基準面位置を検出することと、複数の前記被処理領域を前記処理実行領域に順次配置し、該被処理領域ごとに前記第2基準面位置及び前記相関値に基づいて前記基板の表面と所定面との相対位置調整をして前記所定処理を行うこととを含む第2工程とを含み、前記第1工程は、複数の前記基板のうち第1基板に対して実行され、前記第2工程は、複数の前記基板のうち前記第1基板と異なる第2基板に対して実行される、基板処理方法が提供される。
本発明の第4の態様に従えば、複数の基板の各基板上に設けられた複数の被処理領域に対し、マスクに設けられたパターンを介して所定処理を行う基板処理方法であって、前記基板を基準領域に配置して該基板の表面の第1基準面位置を検出することと、複数の前記被処理領域を処理実行領域に順次配置して該被処理領域ごとに前記基板の表面位置の検出をすること、及び前記パターンを前記処理実行領域に対応するパターン介在領域に配置して前記マスクのパターン面位置の検出をすることの少なくとも一方を、複数の前記被処理領域を前記処理実行領域に順次配置するごとに行うことと、前記被処理領域ごとに前記表面位置の検出及び前記パターン面位置の検出の少なくとも一方の検出結果と前記第1基準面位置との相関値を導出することとを含む第1工程と、前記基板を前記基準領域に配置して該基板の表面の第2基準面位置を検出することと、前記被処理領域を前記処理実行領域に配置し、前記パターンを前記パターン介在領域に配置し、前記第2基準面位置及び前記相関値に基づいて前記基板の表面と前記マスクのパターン面との相対位置調整をして前記所定処理を行うことを、複数の前記被処理領域ごとに順次行うこととを含む第2工程とを含み、前記第1工程は、複数の前記基板のうち第1基板に対して実行され、前記第2工程は、複数の前記基板のうち前記第1基板と異なる第2基板に対して実行される、基板処理方法が提供される。
本発明の第5の態様に従えば、第1ステージが保持する基板上に設けられた複数の被処理領域を、第2ステージが保持するマスクに設けられたパターンを介して順次露光する露光装置であって、上述の基板処理方法を用いて複数の前記被処理領域に対して前記露光処理をする制御を行う制御部を備えた露光装置が提供される。
本発明の第6の態様に従えば、上述の第1〜第4の態様の基板処理方法を用いて、感光剤が塗布された前記基板上に設けられた複数の前記被処理領域の露光をすることと、前記被処理領域の露光によって露光された前記感光剤を現像して露光パターン層を形成することと、前記露光パターン層を介して前記基板を加工することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明によれば、基板の表面を高い精度で目標位置に配置して基板を処理することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
図1は、本実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図、図2は、斜視図である。図1及び図2において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、マスクステージ1を移動する駆動システム3と、基板ステージ2を移動する駆動システム4と、マスクMを露光光ELで照明する照明システムISと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影システムPSと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置5とを備えている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。基板Pは、例えばガラスプレート等の基材と、その基材上に形成された感光膜(塗布された感光剤)とを含む。本実施形態において、基板Pは、大型のガラスプレートを含み、その基板Pの一辺のサイズは、例えば500mm以上である。本実施形態においては、基板Pの基材として、一辺が約3000mmの矩形のガラスプレートを用いる。
また、本実施形態の露光装置EXは、マスクステージ1及び基板ステージ2の位置情報を計測する干渉計システム6と、マスクMの表面(下面、パターン形成面)の位置情報を検出する第1検出システム7と、基板Pの表面(露光面、感光面)の位置情報を検出する第2検出システム8と、基板P上のアライメントマークを検出するアライメントシステム9とを備えている。
また、露光装置EXは、ボディ13を備えている。ボディ13は、例えばクリーンルーム内の支持面(例えば床面)FL上に防振台BLを介して配置されたベースプレート10と、ベースプレート10上に配置された第1コラム11と、第1コラム11上に配置された第2コラム12とを有する。本実施形態において、ボディ13は、投影システムPS、マスクステージ1、及び基板ステージ2のそれぞれを支持する。本実施形態において、投影システムPSは、定盤14を介して、第1コラム11に支持される。マスクステージ1は、第2コラム12に対して移動可能に支持される。基板ステージ2は、ベースプレート10に対して移動可能に支持される。
本実施形態において、投影システムPSは、複数の投影光学系を有する。照明システムISは、複数の投影光学系に対応する複数の照明モジュールを有する。また、本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しながら、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、所謂、マルチレンズ型スキャン露光装置である。
本実施形態において、投影システムPSは、7つの投影光学系PL1〜PL7を有し、照明システムLSは、7つの照明モジュールIL1〜IL7を有する。なお、投影光学系及び照明モジュールの数は7つに限定されず、例えば投影システムPSが、投影光学系を11個有し、照明システムISが、照明モジュールを11個有してもよい。
照明システムISは、所定の照明領域IR1〜IR7に露光光ELを照射可能である。照明領域IR1〜IR7は、各照明モジュールIL1〜IL7から射出される露光光ELの照射領域に含まれている。本実施形態において、照明システムISは、異なる7つの照明領域IR1〜IR7のそれぞれを露光光ELで照明する。照明システムISは、マスクMのうち照明領域IR1〜IR7に配置された部分を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。本実施形態においては、照明システムISから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)を用いる。
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IR1〜IR7に対して移動可能である。マスクステージ1は、マスクMを保持可能なマスク保持部15を有する。マスク保持部15は、マスクMを真空吸着可能なチャック機構を含み、マスクMをリリース可能に保持する。本実施形態において、マスク保持部15は、マスクMの下面(パターン形成面)とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。駆動システム3は、例えばリニアモータを含み、第2コラム12のガイド面12G上においてマスクステージ1を移動可能である。本実施形態において、マスクステージ1は、駆動システム3の作動により、マスク保持部15でマスクMを保持した状態で、ガイド面12G上を、X軸、Y軸、及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。
投影システムPSは、所定の投影領域PR1〜PR7に露光光ELを照射可能である。投影領域PR1〜PR7は、各投影光学系PL1〜PL7から射出される露光光ELの照射領域に相当する。本実施形態において、投影システムPSは、異なる7つの投影領域PR1〜PR7のそれぞれにパターンの像を投影する。投影光学システムPSは、基板Pのうち投影領域PR1〜PR7に配置された部分に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。
基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PR1〜PR7に対して移動可能である。基板ステージ2は、基板Pを保持可能な基板保持部16を有する。基板保持部16は、基板Pを真空吸着可能なチャック機構を含み、基板Pをリリース可能に保持する。本実施形態において、基板保持部16は、基板Pの表面(露光面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。駆動システム4は、例えばリニアモータを含み、ベースプレート10のガイド面10G上において基板ステージ2を移動可能である。本実施形態において、基板ステージ2は、駆動システム4の作動により、基板保持部16で基板Pを保持した状態で、ガイド面10G上を、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
図3は、本実施形態に係る照明システムISの一例を示す概略構成図である。図3において、照明システムISは、超高圧水銀ランプからなる光源17と、光源17から射出された光を反射する楕円鏡18と、楕円鏡18からの光の少なくとも一部を反射するダイクロイックミラー19と、ダイクロイックミラー19からの光の進行を遮断可能なシャッタ装置20と、ダイクロイックミラー19からの光が入射するコリメートレンズ21A及び集光レンズ21Bを含むリレー光学系21と、所定波長領域の光のみを通過させる干渉フィルタ22と、リレー光学系21からの光を分岐して、複数の照明モジュールIL1〜IL7のそれぞれに供給するライトガイドユニット23とを備えている。
なお、図3においては、第1〜第7照明モジュールIL1〜IL7のうち、第1照明モジュールIL1のみが示されている。第2〜第7照明モジュールIL2〜IL7は、第1照明モジュールIL1と同等の構成である。以下の説明においては、第1〜第7照明モジュールIL1〜IL7のうち、第1照明モジュールIL1について主に説明し、第2〜第7照明モジュールIL2〜IL7についての説明は簡略若しくは省略する。
リレー光学系21からの光は、ライトガイドユニット23の入射端24に入射し、複数の射出端25A〜25Gから射出される。第1照明モジュールIL1は、射出端25Aからの光の進行を遮断可能なシャッタ装置26と、射出端25Aからの光が供給されるコリメートレンズ27と、コリメートレンズ27からの光が供給されるフライアイインテグレータ28と、フライアイインテグレータ28からの光が供給されるコンデンサレンズ29とを備えている。コンデンサレンズ29から射出された露光光ELは、照明領域IR1に照射される。第1照明モジュールIL1は、照明領域IR1を均一な照度分布の露光光ELで照明する。
第2〜第7照明モジュールIL2〜IL7は、第1照明モジュールIL1と同等の構成である。第2〜第7照明モジュールIL2〜IL7のそれぞれは、各照明領域IR2〜IR7を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明システムISは、照明領域IR1〜IR7に配置されたマスクMの少なくとも一部を均一な照度分布の露光光ELで照明する。
図4は、本実施形態に係る投影システムPS、第1検出システム7、第2検出システム8、アライメントシステム9、及び投影領域PR1〜PR7に配置された基板ステージ2の一例を示す図である。
まず、第1投影光学系PL1について説明する。図4において、第1投影光学系PL1は、第1照明モジュールIL1により露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する。第1投影光学系PL1は、像面調整部33と、シフト調整部34と、二組の反射屈折型光学系31,32と、視野絞り35と、スケーリング調整部36とを備えている。
照明領域IR1に照射され、マスクMを透過した露光光ELは、像面調整部33に入射する。像面調整部33は、第1投影光学系PL1の像面の位置(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置)を調整可能である。像面調整部33は、マスクM及び基板Pに対して光学的にほぼ共役な位置に配置されている。像面調整部33は、第1光学部材33A及び第2光学部材33Bと、第2光学部材33Bに対して第1光学部材33Aを移動可能な駆動装置(不図示)とを備えている。第1光学部材33Aと第2光学部材33Bとは、気体軸受により、所定のギャップを介して対向する。第1光学部材33A及び第2光学部材33Bは、露光光ELを透過可能なガラス板であり、それぞれくさび形状を有する。制御装置5は、駆動装置を作動して、第1光学部材33Aと第2光学部材33Bとの位置関係を調整することにより、第1投影光学系PL1の像面の位置を調整することができる。像面調整部33を通過した露光光ELは、シフト調整部34に入射する。
シフト調整部34は、基板P上におけるマスクMのパターンの像をX軸方向及びY軸方向にシフトさせることができる。シフト調整部34を透過した露光光ELは、1組目の反射屈折型光学系31に入射する。反射屈折型光学系31は、マスクMのパターンの中間像を形成する。反射屈折型光学系31から射出された露光光ELは、視野絞り35に供給される。
視野絞り35は、反射屈折型光学系31により形成されるパターンの中間像の位置に配置されている。視野絞り35は、投影領域PR1を規定する。本実施形態において、視野絞り35は、基板P上における投影領域PR1を台形状に規定する。視野絞り35を通過した露光光ELは、2組目の反射屈折型光学系32に入射する。
反射屈折型光学系32は、反射屈折型光学系31と同様に構成されている。反射屈折型光学系32から射出された露光光ELは、スケーリング調整部36に入射する。スケーリング調整部36は、マスクMのパターンの像の倍率(スケーリング)を調整することができる。スケーリング調整部36を介した露光光ELは、基板Pに照射される。本実施形態において、第1投影光学系PL1は、マスクMのパターンの像を、基板P上に、正立等倍で投影する。
上述の像面調整部33、シフト調整部34、及びスケーリング調整機構36により、第1投影光学系PL1の結像特性(光学特性)を調整する結像特性調整装置30が構成される。結像特性調整装置30は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に関する第1投影光学系PL1の像面の位置を調整可能であり、パターンの像の倍率を調整可能である。
以上、第1投影光学系PL1について説明した。第2〜第7投影光学系PL2〜PL7は、第1投影光学系PL1と同等の構成を有する。第2〜第7投影光学系PL2〜PL7についての説明は省略する。
図2及び図4に示すように、基板保持部16に対して+X側の基板ステージ2の上面には、基準部材43が配置されている。基準部材43の上面44は、基板保持部16に保持された基板Pの表面とほぼ同一平面内に配置される。また、基準部材43の上面44に、露光光ELを透過可能な透過部45が配置されている。基準部材43の下方には、透過部45を透過した光を受光可能な受光装置46が配置されている。受光装置46は、透過部45を介した光が入射するレンズ系47と、レンズ系47を介した光を受光する光センサ48とを有する。本実施形態において、光センサ48は、撮像素子(CCD)を含む。光センサ48は、受光した光に応じた信号を制御装置5に出力する。
また、基板保持部16に対して−X側の基板ステージ2の上面には、透過部49を有する光学部材50が配置されている。光学部材50の下方には、透過部49を透過した光を受光可能な受光装置51が配置されている。受光装置51は、透過部49を介した光が入射するレンズ系52と、レンズ系52を介した光を受光する光センサ53とを有する。光センサ53は、受光した光に応じた信号を制御装置5に出力する。
次に、干渉計システム6、第1,第2検出システム7,8、及びアライメントシステム9について説明する。図1及び図2において、干渉計システム6は、マスクステージ1の位置情報を計測するレーザ干渉計ユニット6Aと、基板ステージ2の位置情報を計測するレーザ干渉計ユニット6Bとを有する。レーザ干渉計ユニット6Aは、マスクステージ1に配置された計測ミラー1Rを用いて、マスクステージ1の位置情報を計測可能である。レーザ干渉計ユニット6Bは、基板ステージ2に配置された計測ミラー2Rを用いて、基板ステージ2の位置情報を計測可能である。本実施形態において、干渉計システム6は、レーザ干渉計ユニット6A,6Bを用いて、X軸、Y軸、及びθX方向に関するマスクステージ1及び基板ステージ2それぞれの位置情報を計測可能である。
第1検出システム7は、マスクMの下面(パターン形成面)のZ軸方向の位置を検出する。第1検出システム7は、所謂、斜入射方式の多点フォーカス・レベリング検出システムであり、図4に示すように、マスクステージ1に保持されたマスクMの下面と対向配置される複数の検出器7A〜7Fを有する。検出器7A〜7Fのそれぞれは、検出領域MZ1〜MZ6に検出光を照射する投射部と、検出領域MZ1〜MZ6に配置されたマスクMの下面からの検出光を受光可能な受光部とを有する。
第2検出システム8は、基板Pの表面(露光面)のZ軸方向の位置を検出する。第2検出システム8は、所謂、斜入射方式の多点フォーカス・レベリング検出システムであり、図4に示すように、基板ステージ2に保持された基板Pの表面と対向配置される複数の検出器8A〜8Hを有する。検出器8A〜8Hのそれぞれは、検出領域PZ1〜PZ8に検出光を照射する投射部と、検出領域PZ1〜PZ8に配置された基板Pの表面からの検出光を受光可能な受光部とを有する。
図5は、検出器7Aの一例を示す概略構成図である。図5に示すように、検出器7Aは、検出領域MZ1に検出光を照射する投光部54と、検出領域MZ1に配置されたマスクMの下面からの検出光を受光可能な受光部55とを有する。投光部54は、検出光を射出する光源56と、光源56から射出した検出光が入射される送光レンズ系57と、送光レンズ系57を通過した光を、マスクMの下面に傾斜方向から導くミラー58とを備えている。受光部55は、マスクMの下面に照射され、その下面で反射した検出光を受光レンズ系60に導くミラー59と、受光レンズ系60を通過した光を受光する撮像素子(CCD)61とを備えている。送光レンズ系57は、検出光を例えばスリット状に整形してからマスクMに照射する。図5に示すように、検出領域MZ1に配置されたマスクMの下面のZ軸方向に関する位置が変化した場合、そのマスクMの下面のZ軸方向に関する変位量に応じて、撮像素子61に対する検出光の入射位置がX軸方向に変位する。撮像素子61の撮像信号は、制御装置5に出力され、制御装置5は、撮像素子61からの信号に基づいて、検出領域MZ1に配置されたマスクMの下面のZ軸方向に関する位置を求めることができる。
検出器7B〜7F、及び検出器8A〜8Hのそれぞれの構成は、図5に示した検出器7Aの構成と同等である。検出器7B〜7Fは、検出領域MZ2〜MZ6に配置されたマスクMの下面のZ軸方向に関する位置を求めることができる。検出器8A〜8Hは、検出領域PZ1〜PZ8に配置された基板Pの表面のZ軸方向に関する位置を求めることができる。
アライメントシステム9は、基板Pに設けられているアライメントマークを検出する。アライメントシステム9は、所謂、オフアクシス方式のアライメントシステムであり、図4に示すように、基板ステージ2に保持された基板Pの表面と対向配置される複数の顕微鏡9A〜9Fを有する。検出器9A〜9Fのそれぞれは、検出領域AL1〜AL6に検出光を照射する投射部と、検出領域AL1〜AL6に配置されたアライメントマークの光学像を取得可能な受光部とを有する。
図6は、照明領域IR1〜IR7と、検出領域MZ1〜MZ6と、マスクMとの位置関係の一例を示す模式図であり、マスクMの下面を含む平面内の位置関係を示している。図6に示すように、マスクMの下面は、パターンが形成されたパターン領域MAを有する。
本実施形態において、照明領域IR1〜IR7のそれぞれは、XY平面内において台形である。本実施形態において、照明モジュールIL1、IL3、IL5、IL7による照明領域IR1、IR3、IR5、IR7が、Y軸方向にほぼ等間隔で配置され、照明モジュールIL2、IL4、IL6による照明領域IR2、IR4、IR6が、Y軸方向にほぼ等間隔で配置されている。照明領域IR1、IR3、IR5、IR7は、照明領域IR2、IR4、IR6に対して−X側に配置されている。また、Y軸方向に関して、照明領域IR1、IR3、IR5、IR7の間に、照明領域IR2、IR4、IR6が配置される。
本実施形態において、検出器7A、7C、7Eによる検出領域MZ1、MZ3、MZ5が、照明領域IR1〜IR7に対して−X側に配置され、検出器7B、7D、7Fによる検出領域MZ2、MZ4、MZ6が、照明領域IR1〜IR7に対して+X側に配置される。また、検出領域MZ1、MZ3、MZ5が、Y軸方向にほぼ等間隔で配置され、検出領域MZ2、MZ4、MZ6が、Y軸方向にほぼ等間隔で配置される。
複数の検出領域MZ1〜MZ6のうち、Y軸方向に関して外側2つの検出領域MZ1と検出領域MZ5との間隔(検出領域MZ2と検出領域MZ6との間隔)は、複数の照明領域IR1〜IR7のうち、Y軸方向に関して外側2つの照明領域IR1の−Y側のエッジと照明領域IR7の+Y側のエッジとの間隔より小さい。
また、複数の検出領域MZ1〜MZ6のうち、Y軸方向に関して外側2つの検出領域MZ1と検出領域MZ5との間隔(検出領域MZ2と検出領域MZ6との間隔)は、パターン領域MAの−Y側のエッジと+Y側のエッジとの間隔とほぼ等しいか、わずかに小さくしている。
制御装置5は、マスクステージ1をX軸方向に移動して、検出器7A〜7Fの検出領域MZ1〜MZ6に対してマスクステージ1に保持されたマスクMの下面をX軸方向に移動して、検出器7A〜7Fの検出領域MZ1〜MZ6に、マスクMの下面(パターン領域MA)に設定された複数の検出点を配置して、それら複数の検出点のZ軸方向の位置を検出可能である。制御装置5は、第1検出システム7から出力される、複数の検出点のそれぞれで検出されたマスクMの下面のZ軸方向の位置に基づいて、マスクMの下面(パターン領域MA)のZ軸、θX、及びθY方向に関する位置情報(マップデータ)を取得可能である。
図7は、投影領域PR1〜PR7と、検出領域PZ1〜PZ8と、検出領域AL1〜AL6と、基板Pとの位置関係の一例を示す模式図であり、基板Pの表面を含む平面内の位置関係を示している。図7に示すように、本実施形態おいて、基板Pの表面は、マスクMのパターンの像が投影される複数の露光領域(被処理領域)PA1〜PA6を有する。本実施形態において、基板Pの表面は、6つの露光領域PA1〜PA6を有する。露光領域PA1、PA2、PA3が、Y軸方向にほぼ等間隔で離れて配置され、露光領域PA4、PA5、PA6が、Y軸方向にほぼ等間隔で離れて配置されている。露光領域PA1、PA2、PA3は、露光領域PA4、PA5、PA6に対して+X側に配置されている。
本実施形態において、投影領域PR1〜PR7のそれぞれは、XY平面内において台形である。本実施形態において、投影光学系PL1、PL3、PL5、PL7による投影領域PR1、PR3、PR5、PR7が、Y軸方向にほぼ等間隔で配置され、投影光学系PL2、PL4、PL6による投影領域PR2、PR4、PR6が、Y軸方向にほぼ等間隔で配置されている。投影領域PR1、PR3、PR5、PR7は、投影領域PR2、PR4、PR6に対して−X側に配置されている。また、Y軸方向に関して、投影領域PR1、PR3、PR5、PR7の間に、投影領域PR2、PR4、PR6が配置される。
本実施形態において、検出器8A、8C、8E、8G、8Hによる検出領域PZ1、PZ3、PZ5、PZ7、PZ8が、投影領域PR1〜PR7に対して−X側に配置され、検出器8B、8D、8Fによる検出領域PZ2、PZ4、PZ6が、投影領域PR1〜PR7に対して+X側に配置される。また、検出領域PZ1、PZ3、PZ5、PZ7、PZ8が、Y軸方向にほぼ等間隔で配置され、検出領域PZ2、PZ4、PZ6が、Y軸方向にほぼ等間隔で配置される。
複数の検出領域PZ1〜PZ8のうち、Y軸方向に関して外側2つの検出領域PZ1と検出領域PZ8との間隔は、複数の投影領域PR1〜PR7のうち、外側2つの投影領域PR1の−Y側のエッジと投影領域PR7の+Y側のエッジとの間隔より大きい。また、Y軸方向に関して中央のPZ2〜PZ7のうち、Y軸方向に関して外側2つの検出領域PZ3と検出領域PZ7との間隔(検出領域PZ2と検出領域PZ6との間隔)は、複数の投影領域PR1〜PR7のうち、外側2つの投影領域PR1の−Y側のエッジと露光領域PR7の+Y側のエッジとの間隔より小さい。
また、複数の検出領域PZ1〜PZ8のうち、Y軸方向に関して外側2つの検出領域PZ1と検出領域PZ8との間隔は、複数の露光領域PA1〜PA6のうち、外側2つの露光領域PA1(PA4)の−Y側のエッジと露光領域PA3(PA6)の+Y側のエッジとの間隔より僅かに小さく、露光領域PA2(PA5)の−Y側のエッジと露光領域PA2(PA5)の+Y側のエッジとの間隔より大きい。
制御装置5は、基板ステージ2をX軸方向に移動して、検出器8A〜8Hの検出領域PZ1〜PZ8に対して基板ステージ2に保持された基板Pの表面をX軸方向に移動して、検出器8A〜8Hの検出領域PZ1〜PZ8に、基板Pの表面(露光領域PA1〜PA6)に設定された複数の検出点を配置して、それら複数の検出点のZ軸方向の位置を検出可能である。制御装置5は、第2検出システム8から出力される、複数の検出点のそれぞれで検出された基板Pの表面のZ軸方向の位置に基づいて、基板Pの表面(露光領域PA1〜PA6)のZ軸、θX、及びθY方向に関する位置情報(マップデータ)を取得可能である。
本実施形態において、顕微鏡9A〜9Fによる検出領域AL1〜AL6が、検出領域PZ1、PZ3、PZ5、PR7、PZ8に対して−X側に配置されている。検出領域AL1〜AL6は、Y軸方向に離れて配置される。複数の検出領域AL1〜AL6のうち、Y軸方向に関して外側2つの検出領域AL1と検出領域AL6との間隔は、複数の露光領域PA1〜PA6のうち、Y軸方向に関して外側2つの露光領域PA1(PA4)の−Y側のエッジと露光領域PA3(PA6)の+Y側のエッジとの間隔とほぼ等しい。
アライメントシステム9は、基板Pに設けられている複数のアライメントマークm1〜m6を検出する。本実施形態において、基板P上にはY軸方向に離れて6つのアライメントマークm1〜m6が配置され、それらアライメントマークm1〜m6のグループが、X軸方向に離れた4箇所に配置されている。アライメントマークm1,m2は、露光領域PA1,PA4の各両端部に隣接して設けられ、アライメントマークm3,m4は、露光領域PA2,PA5の各両端部に隣接して設けられ、アライメントマークm5,m6は、露光領域PA3,PA6の各両端部に隣接して設けられている。
本実施形態においては、基板P上においてY軸方向に離れて配置された6つのアライメントマークm1〜m6に対応して、顕微鏡9A〜9F(検出領域AL1〜AL6)が配置されている。顕微鏡9A〜9Fは、アライメントマークm1〜m6が検出領域AL1〜AL6に同時に配置されるように設けられている。アライメントシステム9は、顕微鏡9A〜9Fを用いて、6つのアライメントマークm1〜m6を同時に検出可能である。
次に、本実施形態に係る、基板Pの露光時における露光装置EXの動作の一例について説明する。
本実施形態において、露光装置EXの動作の少なくとも一部は、予め定められている露光に関する制御情報(露光制御情報)に基づいて実行される。露光制御情報は、露光装置EXの動作を規定する制御命令群を含み、露光レシピとも呼ばれる。以下の説明において、露光に関する制御情報を適宜、露光レシピ、と称する。
露光レシピは、制御装置5に予め記憶されている。少なくとも基板Pの露光時(マスクM及び基板Pに対する露光光ELの照射動作時)における露光装置EXの動作条件は、露光レシピによって予め決定されている。制御装置5は、露光レシピに基づいて、露光装置EXの動作を制御する。
露光レシピは、基板Pの露光時におけるマスクステージ1及び基板ステージ2の移動条件を含む。基板Pの露光時、制御装置5は、露光レシピに基づいて、マスクステージ1及び基板ステージ2を移動する。本実施形態の露光装置EXは、マルチレンズ型スキャン露光装置であり、基板Pの露光領域PA1〜PA6の露光時において、マスクM及び基板Pは、XY平面内の所定の走査方向に移動される。制御装置5は、露光レシピに基づいて、マスクMと基板Pとを走査方向に同期移動しながらマスクMの下面のパターン領域MAに露光光ELを照射して、そのパターン領域MAを介して基板Pの表面の露光領域PA1〜PA6に露光光ELを照射して、それら露光領域PA1〜PA6を露光する。
本実施形態において、基板P上に設けられた複数の露光領域PA1〜PA6に対する露光処理は、露光領域PA1〜PA6を投影領域PR1〜PR7に対して基板Pの表面(XY平面)に沿って走査方向に移動させるとともに、マスクMのパターン領域MAを照明領域IR1〜IR7に対してマスクMの下面(XY平面)に沿って走査方向に移動させながら実行される。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をX軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もX軸方向とする。例えば基板Pの露光領域PA1を露光する場合、制御装置5は、投影領域PR1〜PR7に対して基板Pの露光領域PR1をX軸方向に移動するとともに、その基板PのX軸方向への移動と同期して、照明領域IR1〜IR7に対してマスクMのパターン領域MAをX軸方向に移動しながら、照明領域IR1〜IR7に露光光ELを照射して、マスクMからの露光光ELを投影光学系PLを介して投影領域PR1〜PR7に照射する。これにより、基板Pの露光領域PA1は、投影領域PR1〜PR7に照射された露光光ELで露光され、マスクMのパターン領域MAのパターンの像が基板Pの露光領域PA1に投影される。
例えば露光領域PA1の露光が終了した後、次の露光領域(例えば露光領域PA2)を露光するために、制御装置5は、投影領域PR1〜PR7が次の露光領域PA2の露光開始位置に配置されるように、基板ステージ2を制御して、投影領域PR1〜PR7に対して基板PをXY平面内の所定方向に移動する。また、制御装置5は、照明領域IR1〜IR7がパターン領域MAの露光開始位置に配置されるように、マスクステージ1を制御して、照明領域IR1〜IR7に対してマスクMを移動する。そして、投影領域PR1〜PR7が露光領域PA2の露光開始位置に配置され、照明領域IR1〜IR7がパターン領域MAの露光開始位置に配置された後、制御装置5は、その露光領域PA2の露光を開始する。
制御装置5は、マスクステージ1が保持するマスクMと基板ステージ2が保持する基板PとをX軸方向に同期移動しながら基板Pに露光光ELを照射する動作と、次の露光領域を露光するために、基板PをXY平面内の所定方向(例えばX軸方向)にステッピング移動する動作を繰り返しながら、基板P上に設けられた複数の露光領域PA1〜PA6を、マスクMに設けられたパターン及び投影光学系PLを介して順次露光する。
上述のように、本実施形態において、マスクMの下面の位置(マップデータ)の検出は、第1検出システム7の検出領域MZ1〜MZ6に対してマスクMの下面をX軸方向に移動して、検出領域MZ1〜MZ6に配置されたマスクMの下面(パターン領域MA)の複数の検出点におけるZ軸方向の位置を検出することを含み、基板Pの表面の位置(マップデータ)の検出は、第2検出システム8の検出領域PZ1〜PZ8に対して基板Pの表面をX軸方向に移動して、検出領域PZ1〜PZ8に配置された基板Pの表面(露光領域PA1〜PA6)の複数の検出点におけるZ軸方向の位置を検出することを含む。
また、図6に示したように、検出領域MZ1〜MZ6は、照明領域IR1〜IR7に対してX軸方向に離れて配置され、検出領域PZ1〜PZ8は、投影領域PR1〜PR7に対してX軸方向に離れて配置されている。したがって、本実施形態においては、検出領域MZ1〜MZ6は、基板Pの露光時(マスクMに対する露光光ELの照射動作時)における照明領域IR1〜IR7に対するパターン領域MAの移動経路上に配置され、検出領域PZ1〜PZ8は、基板Pの露光時(基板Pに対する露光光ELの照射動作時)における投影領域PR1〜PR7に対する露光領域PA1〜PA6の移動経路上に配置された構成である。すなわち、第1検出システム7によって検出されるマスクMの下面の複数の検出点は、照明領域IR1〜IR7に配置されたパターン領域MAの露光処理による移動経路上に設けられ、第2検出システム8によって検出される基板Pの表面の複数の検出点は、投影領域PR1〜PR7に配置された露光領域PA1〜PA6の露光処理による移動経路上に設けられる。また、マスクMの下面の複数の検出点の少なくとも一部は、その下面の端部または端部近傍に設けられ、基板Pの表面の複数の検出点の少なくとも一部は、その表面の端部または端部近傍に設けられる。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法の一例について、図8のフローチャート、及び図9、図10の模式図を参照しながら説明する。
まず、制御装置5は、マスクMをマスクステージ1に搬入(ロード)する(ステップS1)。マスクMがマスクステージ1に保持された後、露光レシピに基づいて、マスクMのアライメント処理、各種計測処理、及びキャリブレーション処理を含むセットアップ処理が実行される。本実施形態において、マスクMのアライメント処理は、マスクMに配置されたアライメントマーク(不図示)の像を投影システムPS及び透過部45を介して受光装置46で受光して、XY平面内におけるマスクMの位置を計測する処理を含む。計測処理は、例えば各投影光学系PL1〜PL7より射出される露光光ELの照度を受光装置51を用いて計測する処理、各投影光学系PL1〜PL7の結像特性を受光装置46を用いて計測する処理、及びアライメントシステム9の検出領域AL1〜AL6とマスクMのパターン像の投影位置との位置関係(ベースライン量)を、アライメントシステム9、透過部45、及び受光装置46等を用いて計測する処理の少なくとも一つを含む。キャリブレーション処理は、計測処理の結果を用いて、各照明モジュールIL1〜IL7から射出される露光光ELの照度を調整する処理、及び受光装置46を用いて計測した結像特性の計測結果に基づいて、各投影光学系PL1〜PL7の結像特性を結像特性調整装置30を用いて調整する処理の少なくとも一つを含む。
本実施形態において、制御装置5は、基板Pの露光時と異なる動作条件(基準動作条件)で、マスクMの下面の基準位置M0の検出を実行する(ステップS2)。本実施形態において、制御装置5は、セットアップ処理時において、マスクMの下面の位置(基準位置)M0の検出を実行する。
図9は、マスクMの下面の基準位置M0の検出動作の一例を示す図である。本実施形態においては、図9に示すように、制御装置5は、基板ステージ2を所定位置に配置した状態で、マスクMの下面の基準位置M0の検出を実行する。本実施形態において、基板ステージ2の所定位置は、第2検出システム8の検出器8B、8D、8Fと、基準部材43の上面44とが対向する位置を含む。
制御装置5は、基板ステージ2を所定位置に配置した状態で、マスクMの下面の基準位置M0の検出を開始する。制御装置5は、マスクステージ1をX軸方向に移動して、検出領域MZ1〜MZ6に対してマスクMの下面をX軸方向に移動して、マスクMの下面の複数の検出点におけるZ軸方向の位置を検出し、それら検出結果に基づいて、マスクMの下面(パターン領域MA)の基準位置M0を取得する。以下の説明において、取得されたマスクMの下面の基準位置M0を適宜、基準マップデータM0、と称する。
基準マップデータM0を取得するための検出時、露光光ELの照射は停止されている。
制御装置5は、所定のタイミングで、基板Pを基板ステージ2に搬入(ロード)する(ステップS3)。基板Pが基板ステージ2に保持された後、露光レシピに基づいて、基板Pのアライメント処理が実行される。
図10は、基板Pのアライメント処理、及び露光処理における基板Pの動作の一例を示す模式図である。図10を用いる以下の説明においては、簡単のため、複数の露光領域PA1〜PA6のうち、露光領域PA1〜PA3を露光する場合を例にして説明する。
本実施形態においては、露光領域PA1〜PA3を露光するために、その露光領域PA1〜PA3に対応したアライメントマークm1〜m6がアライメントシステム9によって検出される。本実施形態においては、制御装置5は、図10(A)に示す状態から、図10(B)に示すような状態に変化するように、基板Pを保持した基板ステージ2を基板交換位置からX軸方向の−X側に移動する。すなわち、制御装置5は、アライメントシステム9の各検出領域AL1〜AL6に、露光領域PA1〜PA3の−X側に配置されたアライメントマークm1〜m6が配置されるように、基板ステージ2を移動する。アライメントシステム9は、露光領域PA1〜PA3の−X側に配置されたアライメントマークm1〜m6を検出する。
次に、制御装置5は、図10(B)に示す状態から、図10(C)に示すような状態に変化するように、基板Pを保持した基板ステージ2を移動する。すなわち、制御装置5は、アライメントシステム9の各検出領域AL1〜AL6に、露光領域PA1〜PA3の+X側に配置されたアライメントマークm1〜m6が配置されるように、基板ステージ2をX軸方向の−X側に移動する。アライメントシステム9は、露光領域PA1〜PA3の+X側に配置されたアライメントマークm1〜m6を検出する。
本実施形態において、制御装置5は、基板Pの露光時と異なる動作条件(基準動作条件)で、基板Pの表面の基準位置P0の検出を実行する(ステップS4)。本実施形態において、制御装置5は、図10(B)に示す状態から図10(C)に示す状態へ変化するときに、基板Pの表面の位置(基準位置)P0の検出を実行する。換言すると、制御装置5は、露光領域PA1〜PA3の−X側に設けられたアライメントマークm1〜m6を検出する際に基板Pを配置した領域と、露光領域PA1〜PA3の+X側に設けられたアライメントマークm1〜m6を検出する際に基板Pを配置した領域とを包含する領域(基準領域)内に基板Pを配置した状態で基準位置P0の検出を実行する。図10(B)に示す状態から図10(C)に示す状態へ変化するとき、第2検出システム8の検出領域PZ1〜PZ8に対して、基板Pの表面(露光領域PA1〜PA3)がX軸方向に移動する。
制御装置5は、マスクステージ1を所定位置に配置した状態で、基板Pの表面の基準位置P0の検出を開始する。制御装置5は、基板ステージ2をX軸方向に移動して、検出領域PZ1〜PZ8に対して基板Pの表面をX軸方向に移動して、基板Pの表面の複数の検出点におけるZ軸方向の位置を検出し、それら検出結果に基づいて、基板Pの表面(露光領域PA1〜PA3)の基準位置P0を取得する。以下の説明において、取得された基板Pの表面の基準位置P0を適宜、基準マップデータP0、と称する。
基準マップデータP0を取得するための検出時、露光光ELの照射は停止されている。
次に、制御装置5は、基板Pの露光時と同じ動作条件でマスクM及び基板Pを移動しながら、第1検出システム7を用いて、マスクMのパターン領域MAにおける少なくとも露光光ELの照射開始部分の表面の参照位置M1を検出するとともに、第2検出システム8を用いて、基板Pの露光領域PA1〜PA3における少なくとも露光光ELの照射開始部分の表面の参照位置P1を検出する(ステップS5)。
すなわち、制御装置5は、露光レシピに基づいて、マスクステージ1及び基板ステージ2を制御して、基板Pの露光時と同じ動作条件で、投影領域PR1〜PR7及び検出領域PZ1〜PZ8に対して基板Pの表面をX軸方向に移動するとともに、その基板PのX軸方向への移動と同期して、照明領域IR1〜IR7及び検出領域MZ1〜MZ6に対してマスクMの下面をX軸方向に移動する。
制御装置5は、第1検出システム7を用いて、マスクMの下面の複数の検出点におけるZ軸方向の位置を検出し、それら検出結果に基づくマスクMの下面(パターン領域MA)の位置を参照位置M1として取得する。また、制御装置5は、第2検出システム8を用いて、基板Pの表面の複数の検出点におけるZ軸方向の位置を検出し、それら検出結果に基づく基板Pの表面(露光領域PA1〜PA3)の位置を参照位置P1として取得する。換言すると、制御装置5は、露光領域PA1〜PA3を露光する際に投影領域PR1〜PR7に対して露光領域PA1〜PA3をそれぞれ走査する領域(マスクMに対して同期移動させる領域;処理実行領域)に露光領域PA1〜PA3を順次配置して参照位置P1を取得する。また、制御装置5は、露光領域PA1〜PA3を処理実行領域に順次配置するごとに、露光領域PA1〜PA3を露光する際にパターン領域MAを走査する領域(基板Pに対して同期移動させる領域;パターン介在領域)にパターン領域MAを配置して参照位置M1を取得する。以下の説明において、取得されたマスクMの下面の参照位置M1を適宜、参照マップデータM1、と称し、取得された基板Pの表面の参照位置P1を適宜、参照マップデータP1、と称する。
参照マップデータM1、P1を取得するための検出時、露光光ELの照射は停止されている。
図10(D)〜図10(G)は、露光レシピによって予め決定されている、露光領域PA1〜PA3を露光するときの基板P(基板ステージ2)の移動条件を示す。本実施形態においては、まず、露光領域PA2が露光され、図10(D)に示すように、露光領域PA2の露光が終了した後、図10(E)に示すように、基板Pがステッピング移動され、露光領域PA1の露光が開始される。そして、図10(F)に示すように、露光領域PA1の露光が終了した後、基板Pがステッピング移動され、図10(G)に示すように、露光領域PA3が露光される。本実施形態においては、基板Pの露光時には、図10(D)〜図10(G)で示す処理が実行されるように、露光レシピに基づいて、マスクステージ1及び基板ステージ2の移動が制御される。
参照マップデータM1、P1の取得時には、制御装置5は、露光光ELの照射を停止した状態で、図10(D)〜図10(G)に示したような移動条件でマスクステージ1及び基板ステージ2を移動しつつ、マスクMの下面の位置の検出、及び基板Pの表面の位置の検出を実行する。
次に、制御装置5は、ステップS2で求めた基準マップデータM0と、ステップS5で求めた参照マップデータM1との相関値ΔMを導出する。また、制御装置5は、ステップS4で求めた基準マップデータP0と、ステップS5で求めた参照マップデータP1との相関値ΔPを導出する(ステップS6)。この実施形態では、相関値ΔM,ΔPとして差を導出する。なお、相関値ΔM,ΔPは、差に限定されず、例えば基準マップデータと参照マップデータとの比とすることもでき、基準マップデータと参照マップデータとの相関を示す演算値であれば任意のものでよい。以下の説明では、相関値ΔM,ΔPを適宜、差ΔM,ΔPと称する。差ΔM、ΔPは、制御装置5に記憶される。
制御装置5は、ステップS5で求めた参照マップデータM1、P1に基づいて、各露光領域PA1〜PA3を露光するときの、少なくとも露光開始時におけるパターン領域MAと基板Pの表面とを目標位置関係にするための補正情報、及び各露光領域PA1〜PA3を露光するときの、少なくとも露光開始時における露光領域PA1〜PA3と投影光学系PLの像面とを目標位置関係にするための補正情報の少なくとも一方を、各露光領域PA1〜PA3毎に導出する(ステップS7)。
制御装置5は、補正情報を求めた後、少なくとも各露光領域PA1〜PA3それぞれの露光開始時に、補正情報に基づいて、パターン領域MAの位置、各露光領域PA1〜PA3の位置、及び投影光学系PL1〜PL7の像面の少なくとも一つを制御しながら、照明領域IR1〜IR7にパターン領域MAを移動するとともに、投影領域PR1〜PR7に露光領域PA1〜PA3を移動して、各露光領域PA1〜PA3の露光を開始する(ステップS8)。
本実施形態においては、例えば露光領域PA2の露光開始時に、露光領域PA2の露光光ELの照射開始部分と投影光学系PL1〜PL7の像面とが合致するように、基板ステージ2の駆動量に関する補正量を補正情報として求め、その補正量に基づいて、露光領域PA2の位置を制御しながら、照明領域IR1〜IR7にパターン領域MAを移動するとともに、投影領域PR1〜PR7に露光領域PA2を移動して、露光領域PA2の露光を開始する。また、露光領域PA2の露光が終了した後、例えば露光領域PA1の露光開始時に、露光領域PA1の露光光ELの照射開始部分と投影光学系PL1〜PL7の像面とが合致するように、基板ステージ2の駆動量に関する補正量を補正情報として求め、その補正量に基づいて、露光領域PA1の位置を制御しながら、照明領域IR1〜IR7にパターン領域MAを移動するとともに、投影領域PR1〜PR7に露光領域PA1を移動して、露光領域PA1の露光を開始する。同様に、露光領域PA1の露光が終了した後、例えば露光領域PA3の露光開始時に、露光領域PA3の露光光ELの照射開始部分と投影光学系PL1〜PL7の像面とが合致するように、基板ステージ2の駆動量に関する補正量を補正情報として求め、その補正量に基づいて、露光領域PA3の位置を制御しながら、照明領域IR1〜IR7にパターン領域MAを移動するとともに、投影領域PR1〜PR7に露光領域PA1を移動して、露光領域PA1の露光を開始する。
本実施形態においては、基板Pの露光中、第1,第2検出システム6、7の検出結果をモニタすることなく、ステップS5で求めた参照マップデータM1、P1に基づいて、投影光学系PL1〜PL7の像面と基板Pの表面とが合致するように、像面と基板Pの表面との位置関係を調整しつつ、露光が実行される。
なお、露光領域PA1〜PA3の露光光ELの照射開始部分と投影光学系PL1〜PL7の像面とを合致させるために、投影光学系PL1〜PL7の結像特性調整装置30の各駆動装置の駆動量に関する補正量を補正情報として求め、その補正量に基づいて、投影光学系PL1〜PL7の像面の位置を制御してもよいし、基板ステージ2の駆動量及び結像特性調整装置30の駆動量の両方に関する補正量を補正情報として求め、その補正量に基づいて、基板ステージ2及び結像特性調整装置30の両方を制御してもよい。
露光領域PA1〜PA3を順次露光し、同様に露光領域PA4〜PA6を順次露光して1枚目の基板Pの露光が終了した後、制御装置5は、その露光後の基板Pを基板ステージ2より搬出(アンロード)するとともに、2枚目の基板Pを基板ステージ2にロードする(ステップS9)。
制御装置5は、ステップS5と同等、基準動作条件と同じ動作条件で基板Pを移動しながら、基板Pの表面の基準マップデータP0の検出を実行する(ステップS10)。制御装置5は、少なくとも露光領域PA1〜PA3のそれぞれにおける露光光ELの照射開始部分の表面の基準マップデータP0を検出する。
制御装置5は、ステップS10で求めた基準マップデータP0と、ステップS6で求めた差ΔPとに基づいて、少なくとも露光光ELの照射開始時における露光領域PA1〜PA3の表面と投影光学系PL1〜PL7の像面とを合致させるための補正情報を導出する(ステップS11)。
制御装置5は、補正情報を求めた後、少なくとも各露光領域PA1〜PA3それぞれの露光開始時に、補正情報に基づいて、パターン領域MAの位置、各露光領域PA1〜PA3の位置、及び投影光学系PL1〜PL7の像面の少なくとも一つを制御しながら、照明領域IR1〜IR7にパターン領域MAを移動するとともに、投影領域PR1〜PR7に露光領域PA1〜PA3を移動して、各露光領域PA1〜PA3の露光を開始する(ステップS12)。
以下、同一ロットにおいて、ステップS9〜S12の処理が繰り返される。同一ロットは、同一のマスクMを用いて露光される複数の基板Pのグループを含む。少なくとも同一ロットにおいては、同一の露光レシピの下で、露光が実行される。
1つのロットの処理が終了すると、マスクMが交換される。新たなマスクMがマスクステージ1にロードされた後、制御装置5は、ステップS2と同等、基準動作条件と同じ動作条件でマスクMを移動しながら、マスクMの下面の基準マップデータM0の検出を実行する。制御装置5は、少なくともパターン領域MAにおける露光光ELの照射開始部分の表面の基準マップデータM0を検出する。
制御装置5は、求めた基準マップデータM0と、ステップS6で求めた差ΔMとに基づいて、少なくとも露光光ELの照射開始時におけるパターン領域MAの表面と基板Pの表面とを所望の位置関係にするための補正情報を導出する。
制御装置5は、補正情報を求めた後、少なくとも各露光領域PA1〜PA3それぞれの露光開始時に、補正情報に基づいて、パターン領域MAの位置、各露光領域PA1〜PA3の位置、及び投影光学系PL1〜PL7の像面の少なくとも一つを制御しながら、照明領域IR1〜IR7にパターン領域MAを移動するとともに、投影領域PR1〜PR7に露光領域PA1〜PA3を移動して、各露光領域PA1〜PA3の露光を開始する。
以上説明したように、本実施形態によれば、露光領域PA1〜PA3毎に、露光時と同じ動作条件でマスクM及び基板Pを移動しながら、パターン領域MA、及び露光領域PA1〜PA3の露光光ELの照射開始部分の表面の位置を検出し、その検出結果に基づいて補正情報を導出し、その補正情報に基づいて補正しつつ露光するので、露光不良の発生を抑制できる。
例えば、マスクステージ1、あるいは基板ステージ2の移動によって、ボディ13が変形してしまう可能性がある。図11に示すように、例えば基板Pの露光領域PA1を露光する際、基板ステージ2が投影システムPSに対して+Y側に移動するときに、基板ステージ2の位置に応じた偏荷重によって、ボディ13が第1状態で変形する可能性がある。また、例えば基板Pの露光領域PA3を露光する際、基板ステージ2が投影システムPSに対して−Y側に移動するときに、基板ステージ2の位置に応じた偏荷重によって、ボディ13が第1状態と異なる第2状態で変形する可能性がある。このように、例えばステッピング動作を繰り返しながら、Y軸方向に離れた複数の露光領域のそれぞれに対して露光光ELを照射する動作を順次実行する場合、各露光領域の露光毎に、ボディ13が異なる状態で変形してしまう可能性がある。この場合、例えばマスクMの下面が所期の位置からずれてしまったり、基板Pの表面が所期の位置からずれてしまったり、投影光学系PL1〜PL7の像面に対して基板Pの表面の位置がずれてしまったりする可能性がある。このような状況を放置しておくと、露光不良が発生する可能性がある。
また、基板ステージ2の移動のみならず、マスクステージ1の移動によっても、ボディ13が変形してしまう可能性がある。
本実施形態においては、露光領域PA1〜PA3毎に、露光時と同じ動作条件でマスクM及び基板Pを移動しながら、パターン領域MA、及び露光領域PA1〜PA3の露光光ELの照射開始部分の表面の位置を検出するので、その検出結果から導出される補正情報に基づいて補正することによって、ボディ13が変形した場合でも、例えば投影光学系PL1〜PL7の像面と基板Pの表面とを高い精度で合致させることができる。したがって、露光不良の発生を抑制できる。
また、本実施形態においては、少なくとも露光光ELの照射開始部分(露光開始部分)のパターン領域MA、露光領域PA1〜PA3の位置を検出し、露光開始時における補正情報を取得している。図10(C)、図10(F)等に示したように、例えば露光領域PA2、PA3を露光するとき、その露光領域PA2、PA3は、検出領域PZ1〜PZ8が基板Pに配置されない状態から配置される状態へ変化するように、投影領域PR1〜PR7に移動する。検出領域PZ1〜PZ8が基板Pに配置されていない状態においては、第2検出システム8は、基板Pの表面の位置を良好に検出することが困難となる。このような状況の場合、基板Pの露光領域が、検出領域PZ1〜PZ8が基板Pに配置されない状態から配置される状態へ変化するように移動すると、露光領域の露光光ELの照射開始部分(露光開始部分)において、投影光学系PL1〜PL7の像面と基板Pの表面とを合致させることが困難となる可能性がある。本実施形態によれば、露光領域の少なくとも露光光ELの照射開始部分(露光開始部分)の位置が検出され、その検出結果に基づいて補正情報が求められているので、露光領域PA2、PA3を、投影光学系PL1〜PL7の像面に良好に合致させることができる。
また、基板Pの露光領域のみならず、マスクMのパターン領域MAも、基板Pの露光時において、検出領域MZ1〜MZ6がマスクMに配置されない状態から配置される状態へ変化するように照明領域IR1〜IR7に移動する可能性がある。その場合においても、本実施形態によれば、パターン領域MAを所期の位置に配置することができる。
また、本実施形態によれば、例えばロットの先頭の基板Pを用いて、基準マップデータP0と参照マップデータP1とを取得し、その差ΔPを求めておくことにより、その先頭の基板P以降の他の基板Pを露光するとき、その他の基板Pの基準マップデータP0を取得することで、その他の基板Pの参照マップデータの取得動作を実行することなく、ボディ13の変形量を考慮した基板Pの表面の位置と投影光学系PL1〜PL7の像面とを合致させるための補正情報を求めることができる。したがって、スループットの低下を抑制しつつ、基板Pを良好に露光できる。同様に、先頭のマスクMを用いて基準マップデータM0と参照マップデータM1とを取得し、その差ΔMを求めておくことにより、その先頭のマスクM以降の他のマスクMを用いて露光するとき、その他のマスクMの参照マップデータの取得動作を省略することができる。また、露光レシピに対応付けて差ΔM,ΔPを保存することで、次回同じ露光レシピが投入される際にも改めて差ΔM,ΔPを求める必要がなく、参照マップデータの取得動作を省略することができることで、その取得動作にともなうスループットの低下を抑制できる。
差ΔPは、基板ステージ2の移動に伴うボディ13の変形量(弾性変形量)に対応する値である。差ΔPを取得するとき、デバイスを製造するための基板Pを用いずに、ダミー基板等、基板Pとは別の基準基板を用いてもよい。同様に、ΔMを取得する際にも、マスクMとは別の基準マスクを用いてもよい。
なお、本実施形態においては、ロットの先頭の基板Pを用いて取得された基準マップデータP0と参照マップデータP1との差ΔPを、1つのロット内で使用し続ける場合を例にしているが、差ΔPを更新したり、その差ΔPを用いて補正情報を更新したりすることができる。例えば、ロットの先頭から3枚目の基板Pの露光中に、すなわち露光時の動作条件で、第2検出システム8を用いて、3枚目の基板Pの参照マップデータP1を取得し、基準動作条件で4枚目の基板Pを用いて基準マップデータP0を取得し、4枚目の基板Pを用いて取得した基準マップデータP0と3枚目の基板Pを用いて取得した参照マップデータP1とから得られた差ΔPを用いて、補正情報を更新することができる。これにより、例えば経時的なボディ13の変形(例えば熱的な変動)を考慮した補正量を求めることができる。
なお、本実施形態においては、基板Pの露光中、第1,第2検出システム6、7の検出結果をモニタすることなく、投影光学系PL1〜PL7の像面と基板Pの表面との位置関係を調整しつつ、露光を実行する場合を例にして説明したが、例えば検出領域PZ1〜PZ8が基板Pに配置された後、基板Pの露光中に、第2検出システム8の検出結果に基づいて、基板Pの位置制御をすることができるし、参照マップデータP1と露光中に取得された第2検出システム8の検出結果との両方を用いて、基板Pの位置制御等を実行することもできる。特に基板P(マスクM)を投影領域PR1〜PR7(照明領域IR1〜IR7)から外れた位置から移動させて露光を行う場合に有効である。
なお、本実施形態においては、基板Pの露光時と同じ動作条件でマスクM及び基板Pを移動しながら、参照マップデータM1,P1を検出することとしたが、例えば、処理実行領域に各露光領域PA1〜PA6を配置する順序を、露光時と参照マップデータM1,P1の検出時とで異ならせてもよい。
なお、上述の実施形態の基板Pとしては、ディスプレイデバイス用のガラス基板のみならず、半導体デバイス製造用の半導体ウエハ、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
なお、露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを介した露光光ELで基板Pを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと、基板を保持せずに、基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置を採用することができる。
露光装置EXの種類としては、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置に限られず、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて各ステージの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
上述の実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図12に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板(感光剤)を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。なお、ステップ204では、感光剤を現像することで、マスクのパターンに対応する露光パターン層(現像された感光剤の層)を形成し、この露光パターン層を介して基板を加工することが含まれる。
なお、上述の実施形態及び変形例の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
なお、上述の実施形態では、本発明を露光装置に適用するものとして説明したが、本発明は、露光装置に限定されず、例えば基板Pに設けられた複数の被処理領域を顕微鏡等で順次観察して検査する検査装置等にも適用することができる。
1…マスクステージ、2…基板ステージ、5…制御装置、6…第1検出システム、7…第2検出システム、13…ボディ、30…結像特性調整装置、EL…露光光、IL1〜IL7…照明モジュール、IR1〜IR7…照明領域、IS…照明システム、M…マスク、P…基板、PL1〜PL7…投影光学系、PR1〜PR7…投影領域、PS…投影システム
Claims (23)
- 基板上に設けられた複数の被処理領域に対して所定処理を行う基板処理方法であって、
複数の前記被処理領域を処理実行領域に順次配置し、該被処理領域ごとに前記基板の表面位置の検出をすることと、
複数の前記被処理領域を前記処理実行領域に順次配置し、該被処理領域ごとに前記表面位置の検出の検出結果に基づいて前記基板の表面と所定面との相対位置調整をして前記所定処理を行うことと、
を含む基板処理方法。 - 前記表面位置の検出の検出結果に基づいて、前記基板の表面と前記所定面との相対位置の補正情報を導出することを含み、
前記相対位置調整は、前記補正情報に基づいて前記基板の表面位置及び前記所定面の面位置の少なくとも一方の位置調整をすることを含む、請求項1記載の基板処理方法。 - 基板上に設けられた複数の被処理領域に対し、マスクに設けられたパターンを介して所定処理を行う基板処理方法であって、
前記被処理領域を処理実行領域に配置して前記基板の表面位置の検出をすること、及び前記パターンを前記処理実行領域に対応するパターン介在領域に配置して前記マスクのパターン面位置の検出をすることの少なくとも一方を、複数の前記被処理領域を前記処理実行領域に順次配置するごとに行うことと、
前記被処理領域を前記処理実行領域に配置し、前記パターンを前記パターン介在領域に配置し、前記表面位置の検出及び前記パターン面位置の検出の少なくとも一方の検出結果に基づいて前記基板の表面と前記マスクのパターン面との相対位置調整をして前記所定処理を行うことを、複数の前記被処理領域ごとに順次行うことと、
を含む基板処理方法。 - 前記表面位置の検出及び前記パターン面位置の検出の少なくとも一方の検出結果に基づいて、前記基板の表面と前記マスクのパターン面との相対位置の補正情報を導出することを含み、
前記相対位置調整は、前記補正情報に基づいて前記基板の表面位置及び前記マスクのパターン面位置の少なくとも一方の位置調整をすることを含む、請求項3記載の基板処理方法。 - 複数の基板の各基板上に設けられた複数の被処理領域に対して所定処理を行う基板処理方法であって、
前記基板を基準領域に配置して該基板の表面の第1基準面位置を検出することと、複数の前記被処理領域を処理実行領域に順次配置して該被処理領域ごとに前記基板の表面位置の検出をすることと、前記被処理領域ごとに前記表面位置の検出の検出結果と前記第1基準面位置との相関値を導出することとを含む第1工程と、
前記基板を前記基準領域に配置して該基板の表面の第2基準面位置を検出することと、複数の前記被処理領域を前記処理実行領域に順次配置し、該被処理領域ごとに前記第2基準面位置及び前記相関値に基づいて前記基板の表面と所定面との相対位置調整をして前記所定処理を行うこととを含む第2工程とを含み、
前記第1工程は、複数の前記基板のうち第1基板に対して実行され、
前記第2工程は、複数の前記基板のうち前記第1基板と異なる第2基板に対して実行される、基板処理方法。 - 前記第2工程は、前記第2基準面位置及び前記相関値に基づいて、前記基板の表面と前記所定面との相対位置の補正情報を導出することを含み、
前記相対位置調整は、前記補正情報に基づいて前記基板の表面位置及び前記所定面の面位置の少なくとも一方の位置調整をすることを含む、請求項5記載の基板処理方法。 - 複数の基板の各基板上に設けられた複数の被処理領域に対し、マスクに設けられたパターンを介して所定処理を行う基板処理方法であって、
前記基板を基準領域に配置して該基板の表面の第1基準面位置を検出することと、複数の前記被処理領域を処理実行領域に順次配置して該被処理領域ごとに前記基板の表面位置の検出をすること、及び前記パターンを前記処理実行領域に対応するパターン介在領域に配置して前記マスクのパターン面位置の検出をすることの少なくとも一方を、複数の前記被処理領域を前記処理実行領域に順次配置するごとに行うことと、前記被処理領域ごとに前記表面位置の検出及び前記パターン面位置の検出の少なくとも一方の検出結果と前記第1基準面位置との相関値を導出することとを含む第1工程と、
前記基板を前記基準領域に配置して該基板の表面の第2基準面位置を検出することと、前記被処理領域を前記処理実行領域に配置し、前記パターンを前記パターン介在領域に配置し、前記第2基準面位置及び前記相関値に基づいて前記基板の表面と前記マスクのパターン面との相対位置調整をして前記所定処理を行うことを、複数の前記被処理領域ごとに順次行うこととを含む第2工程とを含み、
前記第1工程は、複数の前記基板のうち第1基板に対して実行され、
前記第2工程は、複数の前記基板のうち前記第1基板と異なる第2基板に対して実行される、基板処理方法。 - 前記第2工程は、前記第2基準面位置及び前記相関値に基づいて、前記基板の表面と前記マスクのパターン面との相対位置の補正情報を導出することを含み、
前記相対位置調整は、前記補正情報に基づいて前記基板の表面位置及び前記マスクのパターン面位置の少なくとも一方の位置調整をすることを含む、請求項7記載の基板処理方法。 - 前記第1工程は、前記第2工程とともに前記第2基板に対してさらに実行され、
前記第2工程は、前記第2基板に対する前記第1工程によって導出された前記相関値をもとに、複数の前記基板のうち前記第1及び第2基板と異なる第3基板に対して実行される、請求項5〜8のいずれか一項記載の基板処理方法。 - 前記基板上に設けられたマークの検出をすることを含み、
前記基準領域は、前記マークの検出の際に前記基板が配置される領域を含む、請求項5〜9のいずれか一項記載の基板処理方法。 - 前記表面位置の検出は、前記基板上の複数の検出点における該基板の表面位置を検出することを含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の基板処理方法。
- 前記複数の検出点の少なくとも一部は、前記基板の端部または端部近傍に設けられる、請求項11記載の基板処理方法。
- 前記所定処理は、前記被処理領域を前記処理実行領域に対して前記基板の表面に沿って走査方向に移動させながら行う処理であり、
前記複数の検出点は、前記処理実行領域に配置された前記被処理領域の前記所定処理による移動経路上に設けられる、請求項11又は12記載の基板処理方法。 - 前記パターン面位置の検出は、前記パターン面上の複数の検出点における前記パターン面位置を検出することを含む、請求項3,4,7又は8記載の基板処理方法。
- 前記複数の検出点の少なくとも一部は、前記パターン面の端部または端部近傍に設けられる、請求項14記載の基板処理方法。
- 前記所定処理は、前記パターンを前記パターン介在領域に対して前記パターン面に沿って走査方向に移動させながら行う処理であり、
前記複数の検出点は、前記パターンの前記所定処理による移動経路上に設けられる、請求項14又は15記載の基板処理方法。 - 前記所定処理は、前記被処理領域に露光光を照射して該被処理領域を露光する露光処理である、請求項1〜16のいずれか一項記載の基板処理方法。
- 前記所定処理は、前記基板と前記マスクとを同期移動しながら前記被処理領域に前記パターンを介して露光光を照射して該被処理領域を露光する露光処理である、請求項3,4,7又は8記載の基板処理方法。
- 前記露光処理は、前記パターンの像を前記基板に投影する投影光学系をさらに介して前記露光光を前記被処理領域に照射する、請求項18記載の基板処理方法。
- 前記所定処理は、前記被処理領域に光学像を投影する処理であり、
前記所定面は、前記光学像の結像面である、請求項1〜4のいずれか一項記載の基板処理方法。 - 第1ステージが保持する基板上に設けられた複数の被処理領域を、第2ステージが保持するマスクに設けられたパターンを介して順次露光する露光装置であって、
請求項18記載の基板処理方法を用いて複数の前記被処理領域に対して前記露光処理をする制御を行う制御部を備えた露光装置。 - 前記パターンの像を前記基板に投影する投影光学系を備え、
前記制御部は、前記投影光学系を介して前記被処理領域に前記露光光を照射して前記露光処理をする制御を行う、請求項21記載の露光装置。 - 請求項17〜19のいずれか一項記載の基板処理方法を用いて、感光剤が塗布された前記基板上に設けられた複数の前記被処理領域の露光をすることと、
前記被処理領域の露光によって露光された前記感光剤を現像して露光パターン層を形成することと、
前記露光パターン層を介して前記基板を加工することと、
を含むデバイス製造方法。
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JP2008211955A JP2010050223A (ja) | 2008-08-20 | 2008-08-20 | 基板処理方法、露光装置、及びデバイス製造方法 |
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JP2014099562A (ja) * | 2012-11-15 | 2014-05-29 | Canon Inc | 露光装置、露光方法及びデバイスの製造方法 |
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