JP2010050180A - 回路基板及び電子部品搭載基板 - Google Patents

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Shinya Serizawa
伸也 芹澤
Yutaka Ogino
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Abstract

【課題】低弾性であり耐湿信頼性に優れ、回路基板に搭載される車載用電気部品と回路基板との線膨張率の差が小さい回路基板を提供する。
【解決手段】金属製で板状の基材1と、基材の一方の面に積層された絶縁層2と、絶縁層2に積層された導体層3を有する回路基板である。絶縁層2を形成する樹脂が、水添エポキシ樹脂、高分子量エポキシ、又は、ビスフェノールA骨格とポリジメチルシロキサン骨格からなるエポキシ−シリコーン共重合体、のうち少なくとも一種類以上からなり、基材1がアルミニウムにSi(珪素)を9〜11%固溶した回路基板である。基材1の線膨張率は19〜21ppm/℃のアルミニウム―珪素合金であるのが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、回路基板に関するものであり、特に、チップ抵抗、チップコンデンサ、半導体チップ等電子部品を搭載するのに適した回路基板及び電子部品搭載基板に関する。
従来、温度変化が激しくより過酷な環境下で使用する回路基板として、絶縁層を低弾性率化してアルミ基材と搭載部品の線膨張率の差により発生する熱応力を緩和する回路基板や(特許文献1)、基材に銅(17ppm/℃)や鉄(12ppm/℃)、炭化珪素、アルミナ等のセラミックを含有したアルミニウム又はアルミニウム合金を用いた回路基板がある(特許文献2)。
特開2001−298248号公報 特開2005−353974号公報
特許文献1に示されるダイマー酸グリシジルエステルからなる組成は、樹脂の構造から加水分解を起こしやすく耐湿信頼性に問題があった。
特許文献2のセラミックスを含有するアルミ基材では、たとえばAl−SiC(SiC:20重量%)の0.2%耐力は454N/mmであり一般的な純アルミ(1050材)の0.2%耐力105N/mmより大幅に大きい(硬い)ことから加工性に問題があった。
本発明は、金属製で板状の基材と、基材の一方の面に積層された絶縁層と、絶縁層に積層された導体層を有し、絶縁層を形成する樹脂が、水添エポキシ樹脂、高分子量エポキシ、又は、ビスフェノールA骨格とポリジメチルシロキサン骨格からなるエポキシ−シリコーン共重合体、のうち少なくとも一種類以上からなり、基材がアルミニウムに珪素を9〜11%固溶した回路基板である。
(絶縁層)
絶縁層を形成する樹脂は、水添エポキシ、高分子量エポキシ、又は、ビスフェノールA骨格とポリジメチルシロキサン骨格からなるエポキシ−シリコーン共重合体、のうち少なくとも一種類以上からなり、これらのうち、エポキシ−シリコーン共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールA骨格とポリジメチルシロキサン骨格からなるエポキシ−シリコーン共重合体ビスフェノールA型が好ましい。
高分子量エポキシを採用する場合、ビスフェノールA型高分子量エポキシ、又は、ビスフェノールA型高分子量エポキシとビスフェノールF型高分子量エポキシの混合が好ましい
エポキシ−シリコーン共重合体を採用する場合、エポキシ−シリコーン共重合体のエポキシ当量が700〜1500g/eqであるのが好ましく、ポリジメチルシロキサン骨格の含有量が38〜62重量%であることが好ましく、特に好ましくは38〜42重量%である。エポキシ−シリコーン共重合体のエポキシ当量が700〜1500g/eqであるのが好ましいのは、エポキシ当量を多くすると耐湿信頼性が低下する傾向にあり、エポキシ当量を少なくすると可撓性が低下する傾向にあるためである。ポリジメチルシロキサン骨格の含有量を多くすると導体回路及び基材との接着性が低下する傾向にあり、ポリジメチルシロキサン骨格の含有量を減らすと可撓性が低下する傾向にあるためである。
絶縁層を形成する樹脂に、硬化剤を配合することが好ましい。好ましい硬化剤としては、ジフェニルジアミノメタン、フェノールノボラック型硬化剤、酸無水物系硬化剤ポリオキシプロピレンアミンがあり、特に好ましくは、ポリオキシプロピレンアミンである。
絶縁層を形成する樹脂に、無機充填剤を配合することが好ましい。無機充填剤としては、電気絶縁性に優れかつ熱伝導率の高いものが用いられ、例えばアルミナ、シリカ、窒化アルミ、窒化硼素の単独又は複数の組み合わせがあり、高い充填可能性及び高い熱伝導性の見地から、好ましくは球状アルミナが良い。無機充填剤の充填率は、樹脂全体のうちの45〜70容量%が好ましく、より好ましくは50〜60容量%である。充填率が低いと回路基板の熱伝導性が低下する傾向にあり、充填率が低いと絶縁層の弾性率が高くなる傾向にあり、好ましくない。
絶縁層を形成する樹脂には、上述の硬化剤、無機充填剤以外にも、適宜、添加剤を配合することができる。
(基材)
基材が、アルミニウムにSi(珪素)を9〜11%固溶したに特定することによって、基材の線膨張率を搭載部品の線膨張率に近づけるだけでなく、基材の硬さの調整がなされている。Siの含有量は、多いと硬くなりすぎて加工性に問題が生じる傾向にあり、少ないと搭載部品との線膨張率の差が大きくなって使用環境の温度変化により発生するハンダクラックの抑制が図れなくなる傾向にある。
(基材の線膨張率)
基材の線膨張率は、19〜21ppm/℃のアルミニウム―珪素合金であることが好ましい。基材の線膨張率は、かかる範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは、この回路基板に搭載される搭載部品が有する線膨張率に近づけることである。
本発明における線膨張率は熱機械分析装置(Thermo Mechanical Analysis)により求めることができる。
(導体回路)
導体回路には、従来公知の銅、アルミニウム、鉄、錫、金、銀、モリブデン、ニッケル、チタニウム、これらの金属を二種類以上含む合金を用いることができ、形状としては、板、シート、箔、これらの積層体がある。そのなかでも汎用性の高い銅が好ましく、銅箔の製造方法は圧延法でも電解法でも構わない。金属箔の厚さに特に制限はないが価格および加工性の面から10〜300μmが好ましい。導体回路の表面にNiメッキ、Ni−Auメッキ等のメッキ処理をしても良い。導体回路の絶縁層との接着面には、粗化処理を施すのが好ましい。
(製造方法)
本発明の回路基板の製造方法には、従来公知の回路基板の製造方法で良く、例えば、基材に絶縁剤を塗布した後に加熱半硬化させ、さらに絶縁材の表面に金属箔をラミネート又は熱プレスする製造方法、絶縁剤をシート状にしたものを介して基材と導体回路としての金属箔を貼り合わせる製造方法がある。
他の発明は、上述の回路基板と、この回路基板上に搭載された電子部品を有する電子部品搭載基板である。
本発明の回路基板は、低弾性であり耐湿信頼性に優れた回路基板であり、ハンダクラックの発生が低減され、さらに、回路基板に搭載される車載用電気部品と回路基板との線膨張率の差が小さいため、車載用電気部品に供する回路基板として優れたものである。
本発明を実施するための最良の形態について、説明する。
本発明は、金属製で板状の基材と、基材の一方の面に積層された絶縁層と、絶縁層に積層された導体層を有し、絶縁層を形成する樹脂が、水添エポキシ樹脂、高分子量エポキシ又はビスフェノールA骨格とポリジメチルシロキサン骨格からなるエポキシ−シリコーン共重合体の少なくとも一種類以上からなり、基材がアルミニウムに珪素を9%以上11%以下固溶した回路基板である。
基材の線膨張率は、19〜21ppm/℃のアルミニウム―珪素合金であることが好ましい。
絶縁層を形成する樹脂は、エポキシ−シリコーン共重合体であり、エポキシ−シリコーン共重合体のエポキシ当量が700〜1500g/eqであり、エポキシ-シリコーン共重合体に占めるポリジメチルシロキサン骨格の含有量が38〜62重量%であることが好ましい。
絶縁層を形成する樹脂に、硬化剤としてポリオキシプロピレンアミンを配合することが好ましい。
他の発明は、上述の回路基板と、この回路基板上に搭載された電子部品を有する電子部品搭載基板である。
本発明の実施例について、図1及び表1を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1の回路基板は、図1に示すように、金属製で板状の基材1と、基材1の一方の面に積層された絶縁層2と、絶縁層2に積層された導体層3を有する。導体層3の導体パターンは、適宜変更されるものである。
(絶縁層)
絶縁層は、次のように作製した。
(攪拌・溶解)水添エポキシ樹脂YX8000(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)23.9容量%、エピコート4010(ジャパンエポキシレジン株式会社製、登録商標)7.4容量%を130℃まで加熱した後、攪拌し、溶解した。
(絶縁材の作製)
溶解した樹脂を室温まで冷却した後、ポリオキシプロピレンアミン(ジェファーミンD230;三井化学株式会社製、登録商標)9.5容量%、ポリオキシプロピレンアミン(ジェファーミンD2000;三井化学株式会社製、登録商標)6.2容量%、無機充填材として球状アルミナDAW−10(電気化学工業株式会社製)37.1容量%、球状アルミナ、ASFP−30(電気化学工業株式会社製)15.9容量%を自転公転式スーパーミキサーあわとり練太郎AR−250(株式会社シンキー製、登録商標)で5分間、攪拌混合し絶縁剤を作製した。
(基板の作成:基材1、絶縁層2及び導体回路3の貼り合わせ)
作製した絶縁剤を、基材1としての厚さ2.0mmのアルミニウム板(4045:昭和電工株式会社製)に、スクリーン印刷法で110μmとなるよう塗布し、厚さ70μmの銅箔GTS−MP(古河サーキットフォイル株式会社製、商品名)を貼り合わせ、基板を作製した。基材1としてのアルミニウム板は、アルミニウムを主成分とした金属組成中にSiを10.2%固溶したものであり、線膨張率20ppm/℃、熱伝導率190W/mKを有するものである。
この基板の銅箔をエッチングして回路パターンを形成して導体回路3とし、この導体回路上にR1608(1.6×0.8mm)のチップ抵抗(図示省略)を鉛−錫共晶半田で搭載した。
(評価)
この電子部品を搭載した実施例1の回路基板の試料3枚(電子部品を6個搭載)を、3000回の液体熱衝撃試験(試験装置:楠本化成株式会社 LTS−60S)を3000サイクル実施した。この試験は、−40℃設定で7分間の環境下に置いた後、+125℃設定で7分間の環境下に置く試験を1サイクルとして3000回連続で繰り返したものである。実施後の回路基板を50倍の顕微鏡にて半田と電子部品との接続部(3枚×6個)を断面観察し、クラック発生状況を調べた。実施例1の回路基板は、18箇所中1枚も半田クラックが発生しなかった。表1の試験結果は、18箇所当たりの半田クラック発生数である。
Figure 2010050180

(実施例2)
実施例2の回路基板は、実施例1の絶縁層2を形成する樹脂が、エポキシ−シリコーン共重合体ALBIFLEX296(nanoresins社製、登録商品)37.4容量%、水添エポキシ樹脂YX8000(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)3.9容量%、ポリオキシプロピレンアミン、ジェファーミンD230(三井化学株式会社製、登録商標)3.5容量%、ポリオキシプロピレンアミン、ジェファーミンD2000(三井化学株式会社製、登録商標)2.2容量%、無機充填材として球状アルミナDAW−10(電気化学工業株式会社製)37.1容量%、アルミナ;ASFP−30(電気化学工業株式会社製)15.9容量%を用いた他は実施例1と同様に試験し、液体熱衝撃試験として3000サイクル及び3600サイクル実施し、いずれも一枚も半田クラックが生じなかった。
(比較例1)
比較例1の回路基板は、基材として厚さ2.0mm、線膨張率23ppm/℃のアルミニウム板(JIS呼称1050;昭和電工株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に試験した。本比較例1では、半田クラックが7枚発生した。
(比較例2)
比較例2の回路基板は、基材として比較例1と同じで、絶縁層2を実施例2と同じものを用いたほかは、実施例2と同様に試験した。接合部分のクラック発生状況を調べた結果を表1に示す。
本発明は、チップ抵抗、チップコンデンサ、半導体チップ等電子部品を搭載するのに適した回路基板及び電子部品搭載基板であり、電子部品を利用した家電製品、自動車で利用される。
本実施例の回路基板の模式図
符号の説明
1 基材
2 絶縁層
3 導体層

Claims (5)

  1. 金属製で板状の基材と、基材の一方の面に積層された絶縁層と、絶縁層に積層された導体層を有し、絶縁層を形成する樹脂が、水添エポキシ樹脂、高分子量エポキシ、又は、ビスフェノールA骨格とポリジメチルシロキサン骨格からなるエポキシ−シリコーン共重合体、のうち少なくとも一種類以上からなり、基材がアルミニウムにSi(珪素)を9〜11%固溶した回路基板。
  2. 基材の線膨張率が19〜21ppm/℃のアルミニウム―珪素合金である請求項1記載の回路基板。
  3. 絶縁層を形成する樹脂がエポキシ−シリコーン共重合体であり、エポキシ−シリコーン共重合体のエポキシ当量が700〜1500g/eqであり、エポキシ-シリコーン共重合体に占めるポリジメチルシロキサン骨格の含有量が38〜62重量%である請求項1又は2のいずれか記載の回路基板。
  4. 絶縁層を形成する樹脂に、硬化剤としてポリオキシプロピレンアミンが配合された請求項1ないし請求項3記載のいずれか記載の回路基板。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか記載の回路基板と、この回路基板上に搭載された電子部品を有する電子部品搭載基板。
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