JP2010048639A - レーザ式ガス分析計及びガス濃度測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】回路の大型化を伴うことなく、2種類のガスの濃度を安定して計測する。
【解決手段】測定対象ガスの吸収波長を走査するようにレーザ素子41の発光波長を変化させ、測定対象ガスを透過した透過光を光検出部22で検出する。光検出部22の検出信号から発光波長の変調信号の2倍周波数成分を検出し、この2倍周波数成分の信号波形のピーク値に基づき低濃度ガスの濃度演算を行う。光検出部22の検出信号から発光波長の変調信号の1倍周波数成分の信号波形を検出し、この1倍周波数成分の信号波形において、光吸収が最大となるピーク波長における振幅値と光吸収が生じない波長における振幅値とに基づき高濃度ガスの濃度演算を行うが、ピーク波長及びピーク波長近傍の折り返し判定用波長の振幅値に基づき、信号波形に折り返しが生じているかどうかを判定し、折り返しの有無に応じて濃度の演算方法を切り替える。
【選択図】 図11

Description

本発明は、煙道等の測定空間内に存在する測定対象ガスの濃度をレーザ光により測定するレーザ式ガス分析計及びガス濃度測定方法に関する。
気体状のガス分子にはそれぞれ固有の光吸収スペクトルがあることが知られている。例えば、図12は、NH3(アンモニア)ガスの吸収スペクトルの一例であって、横軸は波長〔μm〕、縦軸は吸収強度である。
この光吸収スペクトルは、ガスの種類毎に固有のものであり、レーザ式ガス分析計は、レーザ光の特定波長の吸収量が測定対象ガスの濃度に比例することを利用してガス濃度を測定している。
レーザ式ガス分析計の測定方法としては、2波長差分方式及び周波数変調方式とに大別される。本発明は、周波数変調方式を用いたレーザ式ガス分析計に関するものである。
まず、周波数変調方式を用いた従来のレーザ式ガス分析計の測定原理を説明する。
図13は、周波数変調方式の原理図を示したものであって、例えば特許文献1に記載されているものである。周波数変調方式のレーザ式ガス分析計では、中心周波数fc、変調周波数fmで半導体レーザの出射光を周波数変調し、測定対象のガスに照射する。ここで、周波数変調とは、半導体レーザに供給するドライブ電流の波形を正弦波状にすることである。
DFB(Distributed Feedback Laser)レーザ等の半導体レーザは、図14(a)、(b)に示すように、ドライブ電流や温度によって発光波長が変化するため、周波数変調を行うことにより、ドライブ電流の変調に伴って発光波長が変調されることになる。
図13に示したように、ガスの吸収線は変調周波数に対してほぼ2次関数となっているので、この吸収線が弁別器の役割を果たし、受光部では変調周波数fmの2倍の周波数成分の信号(2倍波信号)を得ることができる。ここで変調周波数fmは任意の周波数でよいため、例えば、変調周波数fmを数kHz程度に選ぶと、デジタル信号処理装置または汎用のプロセッサを用いて、2倍周波数成分の抽出などの高度な信号処理を行うことが可能となる。
ガスの濃度が高いほどレーザ光の吸収が大きくなるため2倍波信号の強度も強くなる。したがって、2倍波信号の強度を検出することによって、測定対象ガスの濃度を計測することができる。
この周波数変調方式では、半導体レーザの種類の中でも、DFBレーザを用いて単一波長のレーザ光のみを出射し、ガス濃度を測定する場合が多い。この場合、半導体レーザが発光するスペクトル線幅の方が、測定対象ガスの吸収線幅よりも小さいため、半導体レーザの発光波長を測定対象ガスの吸収波長に同調させる必要性が生じる。
ここで、半導体レーザの発光波長を測定対象ガスの吸収波長に同調させ続けることは困難である。そのため、ある波長幅で、変調周波数fmにて変調しながら、波長幅の中心波長を徐々に替えて掃引(スキャン)していく方法等も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図15(a)は、この方式での半導体レーザの駆動電流を示したものである。半導体レーザの発光光量は駆動電流に比例しているため、発光光量についても同じ波形となる。
また、図15(b)は、図15(a)に示す駆動電流で半導体レーザを駆動した場合の、半導体レーザの発光波長を示したものであり、前述の図14(a)の特性に基づくものである。
この、変調周波数fmによる変調とスロープ掃引とを組み合わせた方式においては、半導体レーザのレーザ素子にもよるが、例えば、0.5〔nm〕程度の範囲で波長をスキャンすることが可能である。
このため、あるガスAの吸収スペクトルのすぐ近隣に別の種類のガスBの吸収スペクトルが存在する場合には、1つのレーザ素子を用いて、図15に示すスキャンを行うことにより、ガスA及びガスBの2種類のガス濃度を検出することもできる。
特開平7−151681号公報 特開平10−142148号公報
ところで、2種類のガス濃度を測定する場合、一方のガスについては低濃度状態を測定し、他方のガスは高濃度状態を測定したい場合がある。
例えば、塩化水素HClは1747.2〔nm〕に、また、水蒸気H2Oは1747.1〔nm〕に吸収スペクトルを有し、これらの吸収スペクトルは近接しているため、塩化水素HClと水蒸気H2Oとは、一つのレーザ素子によって同時に検出することが可能である。塩化水素HClは水分に吸着しやすく、水分量により見かけの濃度が変化するので、水分量を計測することは実用上、非常に有用である。
この応用においては、塩化水素は、フルスケールレンジで10ppm〜500ppmといった低濃度を測定したいことが多く、一方、水分は数vol%〜数十vol%程度の高濃度を測定したいことが通例である。
前述の1747.2〔nm〕及び1747.1〔nm〕における吸光量は、塩化水素の方が10倍以上大きいが、濃度は水蒸気の方が高いため、吸光量は水蒸気の方が数十倍〜100倍以上大きくなる。
このように信号レベルに大きな差がある場合、全く同一の信号処理で両方のガスの濃度を検出することは困難になる。それは、大きな吸光を起こした信号を検出しようとすると、小さな吸光を起こした信号を検出する際の信号対雑音比(SNR)が悪くなり、逆に、小さな吸光を起こした信号を良好に検出しようとすると、大きな吸光を起こした信号を検出する際に、処理回路が飽和するためである
これを回避するために、第1の方法として、低濃度検出用の信号処理回路と、高濃度検出用の信号処理回路とを両方設け、回路ゲインなどを、それぞれの信号に対して最適となるように合わせておく方法がある。しかしながら、この場合、信号処理回路を2系統備えることになり、処理回路が大型化、また複雑化し、コストアップにつながるという問題がある。
また、第2の方法として、1つの信号処理回路を用い、図15の1スキャンにおいて、ガスAとガスBとの吸収が最大となる各時点間の境界となるタイミングで、信号処理回路の回路ゲインを切り替える方法もある。しかしながら、信号処理回路にフィルタ回路等を備えている場合には、回路ゲインを切り替えた後に、フィルタ回路等が過渡応答によって大きく変動し、安定するまでにかなりの時間を要するという問題がある。このため、一方のガスの計測を行い、回路ゲインを切り替えた後、他方のガスの吸収波形が現れるまで時間をおく必要があり、図15に示すスキャンの時間を全体的に長くすることが必要となり、これにより応答性が遅くなるという問題がある。
そこで、本願の発明者等は、測定対象ガスの濃度に応じて、低濃度レンジのガスに対しては2倍周波数検波手段を用いて同期検波等により濃度を検出する一方、高濃度レンジのガスに対しては1倍周波数検波手段を用いて包絡線検波により濃度を検出するようにしたレーザ式ガス分析計の提案を行った(特願2008−114754号(本件出願時には未公開))。
このレーザ式ガス分析計は、ゲインの切り替えに伴う応答遅れもなく、回路の複雑化も殆どないので、上述した第1の方法および第2の方法における問題を解決できるものであるが、鋭意研究を進めた結果、ガス濃度が非常に高濃度になった場合、1倍周波数成分の信号波形に折り返しを生じる恐れのあることが認められた。
この発明は、上記従来の未解決の問題点に着目してなされたものであり、回路の大型化を伴うことなく、2種類のガスの濃度を安定して計測することが可能で、かつ、1倍周波数成分の信号波形に折り返しが生じている場合であっても、的確に濃度演算を行うことができるレーザ式ガス分析計及びガス濃度測定方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るレーザ式ガス分析計は、変調信号で周波数変調され且つ測定対象ガスの吸収波長を走査するように発光波長が変化するレーザ光を出射するレーザ素子を有する光源部と、前記光源部からの出射光をコリメートする第1の光学系と、前記第1の光学系からの出射光が、前記測定対象ガスが存在する測定空間を介して伝播された透過光を集光する第2の光学系と、前記第2の光学系により集光された光を受光する受光素子と、を有し、濃度の異なる2種類の測定対象ガスの濃度を検出するレーザ式ガス分析計であって、前記受光素子の出力信号から、前記変調信号の周波数と同一周波数成分を検出する1倍周波数成分検出手段と、前記1倍周波数成分検出手段で検出した1倍周波数成分に基づき前記測定対象ガスのうち高濃度側の測定対象ガスの濃度を演算する高濃度演算手段と、前記受光素子の出力信号から、前記変調信号の周波数の2倍の周波数成分を検出する2倍周波数成分検出手段と、前記2倍周波数成分検出手段で検出した2倍周波数成分に基づき前記測定対象ガスのうち低濃度側の測定対象ガスの濃度を演算する低濃度演算手段と、を有し、前記高濃度演算手段は、前記1倍周波数成分から、吸光量がピークとなるときの振幅値であるピーク振幅値及び吸光が行われないときの振幅値である非吸光振幅値を検出する振幅値検出手段と、前記1倍周波数成分の信号波形においてゼロ軸に対して波形が折り返される折り返しが生じているか否かを判定する折り返し判定手段と、前記振幅値検出手段で検出した振幅値に基づき前記高濃度側の測定対象ガスの濃度を演算する濃度演算手段と、を備え、前記濃度演算手段は、前記折り返し判定手段での判定結果に基づき、前記折り返しが生じている場合と生じていない場合とで前記濃度の演算方法を切り替えることを特徴としている。
また、請求項2に係るレーザ式ガス分析計は、前記濃度演算手段は、前記折り返しが生じていないときには、前記非吸光振幅値と前記ピーク振幅値との差分値を濃度相当値とし、前記折り返しが生じているときには、前記非吸光振幅値と前記ピーク振幅値との和を前記濃度相当値とし、前記濃度相当値に基づき濃度演算を行うことを特徴としている。
また、請求項3に係るレーザ式ガス分析計は、前記折り返し判定手段は、前記1倍周波数成分において、前記吸光量がピークとなるときの波長の近傍に予め設定した折り返し判定用の波長における振幅値を、折り返し判定用振幅値として検出し、前記折り返し判定用振幅値が、前記ピーク振幅値よりも小さいとき、前記折り返しが生じていると判定することを特徴としている。
また、請求項4に係るレーザ式ガス分析計は、前記高濃度側の測定対象ガスの吸光量は、前記低濃度側の測定対象ガスの吸光量の10倍以上であることを特徴としている。
さらに、本発明の請求項5に係るガス濃度測定方法は、濃度の異なる2種類の測定対象ガスが存在する測定空間を介して伝播されたレーザ素子の出射光を受光素子で受光し、前記受光素子の出力信号に基づき前記測定対象ガスの濃度を測定するガス濃度測定方法であって、変調信号で周波数変調され且つ測定対象ガスの吸収波長を走査するように発光波長が変化するレーザ光を前記レーザ素子から出射させるステップと、前記受光素子の出力信号から前記変調信号の周波数の2倍の周波数成分を検出するステップと、前記2倍の周波数成分に基づき前記測定対象ガスのうち低濃度側の測定対象ガスの濃度を演算するステップと、前記受光素子の出力信号から前記変調信号の周波数と同一周波数成分を1倍周波数成分として検出するステップと、前記1倍周波数成分において、吸光量がピークとなるときの振幅値であるピーク振幅値及び吸光が行われないときの振幅値である非吸光振幅値を検出するステップと、前記1倍周波数成分の信号波形においてゼロ軸に対して波形が折り返される折り返しが生じているか否かを判定するステップと、前記折り返しが生じていないと判定されるとき、前記ピーク振幅値及び前記非吸光振幅値との差分値を濃度相当値として濃度演算を行い、前記折り返しが生じていると判定されるとき、前記ピーク振幅値及び前記非吸光振幅値との和を前記濃度相当値として濃度演算を行うステップと、を備えることを特徴としている。
本発明によれば、単一のレーザ素子を用い、低濃度側のガスについては、受光光量に応じた受光素子の出力信号の2倍周波数成分に基づいて濃度演算を行い、高能度側のガスについては、比較的簡易な構成で検出することのできる、受光素子の出力信号の1倍周波数成分に基づいて濃度演算を行うため、装置の大型化やコスト増加を抑制して、2種類のガスの濃度計測を行うレーザ式ガス分析計を実現することができる。また、1倍周波数成分において、信号波形に折り返しが生じているか否かを判断し、折り返しが生じている場合と、生じていない場合とで、濃度の演算方法を切り替えるため、信号波形に折り返しが生じている場合であっても、的確に濃度演算を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用したレーザ式ガス分析計の概略構成を示す断面図である。
このレーザ式ガス分析計は、図1に示すように、発光部1と受光部2とを備える。
発光部1は、レーザ素子が搭載された光源部11と、この光源部11から出射されたレーザ光を平行ビームに変換するコリメートレンズ12とを備える。なお、レーザ素子としては、半導体レーザを用いることができる。
受光部2は、測定対象ガスを透過したレーザ光を集光する集光レンズ21、集光レンズ21で集光されたレーザ光を検出する光検出部22、及び光検出部22で検出されたレーザ光から基本波成分の2倍の周波数成分を抽出しこれに基づき測定対象ガスの濃度を演算する信号処理部23が設けられている。
光検出部22としては例えばフォドタイオードを用いることができ、後述のレーザ素子41の発光波長に感度をもつ受光素子が用いられる。
ここで、発光部1の光源部11及びコリメートレンズ12は、一端が開口された略円筒状の発光部筐体17に収納され、集光レンズ21、光検出部22及び信号処理部23は、一端が開口された略円筒状の受光部筐体27に収納される。
一方、煙道等の測定対象ガスが流れる配管の隔壁31a、31bには、フランジ32a、32bが溶接等の方法により対向して固定され、発光部筐体17の開口部側が取付座33aを介して一方のフランジ32aに取り付けられ、受光部筐体27の開口部側が取付座33bを介して他方のフランジ32bに取り付けられている。
このとき、光源部11、コリメートレンズ12、集光レンズ21及び光検出部22は、これらの光軸が一致するように配置され、光源部11から出射されたレーザ光が、コリメートレンズ12により平行光に変換された後、隔壁31a、31b間の測定対象ガスを透過して、集光レンズ21に入射され、集光レンズ21により光検出部22上に集光されるようになっている。
次に、光源部11について説明する。
図2は、光源部11の構成を示すブロック図である。
図2において、光源部11は、レーザ素子41と、レーザ素子41を駆動するためのレーザ駆動信号を生成するレーザ駆動信号生成部42と、レーザ駆動信号生成部42で生成したレーザ駆動信号を電流に変換し、これをレーザ素子41に供給する電流制御部43と、を備える。
レーザ駆動信号生成部42は、測定対象ガスの吸収波長を走査するようにレーザ素子41の発光波長を可変とする波長走査駆動信号発生部42aと、測定対象ガスの吸収波長を検出するために、例えば10kHz程度の正弦波で波長を周波数変調するための高調波変調信号発生部42bと、合成部42cとを備え、波長走査駆動信号発生部42a及び高調波変調信号発生部42bで発生された信号が合成部42cで合成されてレーザ駆動信号が生成される。
波長走査駆動信号発生部42aから出力される波長走査駆動信号I1は図2中に示すように、一定周期で繰り返されるほぼ台形波状の信号であって、波長走査駆動信号I1の信号値が零よりも大きな一定値に保たれた部分i1と、波長走査駆動信号I1の信号値がi1部分よりも高い状態から直線的に増加する部分i2と、波長走査駆動信号I1の信号値が零となる部分i3とから構成される。
波長走査駆動信号I1の部分i1は、吸収波長は走査しないがレーザ素子41は発光させておくオフセット部分であって、レーザ素子41の発光を安定化させるためにレーザ素子41のスレッショルドカレント以上となる値に設定される。
波長走査駆動信号I1の部分i2は、レーザ素子41に供給される電流の大きさを直線的に替えることにより、レーザ素子41の発光波長を徐々にずらすための部分である。したがって、波長走査駆動信号I1の部分i2は、光吸収強度が比較的高い波長を中心として、その波長を挟んである程度の線幅を走査可能な幅に設定される。例えば、測定対象ガスがアンモニアガスの場合には、0.2〔nm〕程度の線幅を走査可能な値に設定される。
波長走査駆動信号I1の部分i3は、駆動電流をほぼ零とする部分である。
そして、波長走査駆動信号発生部42aからの波長走査駆動信号I1と、高調波変調信号発生部42bからの高周波変調信号I2とが合成されてなるレーザ駆動信号に応じてレーザ素子41が駆動されることにより、レーザ素子41からは、図3に示すように、測定対象ガス(図3はアンモニアガスの場合を示す)の吸収波長帯を含むように周波数変調されたレーザ光が出射されることになる。
なお、本実施形態では、2種類のガスの濃度を計測するため、波長走査駆動信号I1の部分i2の線幅は、2種類のガスの光吸収強度が比較的高い波長であり且つこれら波長が近接する波長を中心とし、その波長を挟んで、2種類のガスそれぞれの光吸収強度をそれぞれ所定の線幅を走査するような値に設定する。
さらに、光源部11は、レーザ素子41に近接して配置される、温度検出素子としてのサーミスタ44と、このサーミスタ44に近接して配置されたペルチェ素子45と、ペルチェ素子45を制御する温度制御部46とを備え、レーザ素子41とペルチェ素子45との間で温度が同等となるように配置されている。温度制御部46は、サーミスタ44の抵抗値が一定値となるようにペルチェ素子45を制御し、これにより結果的に、レーザ素子41の温度を安定化するようになっている。
次に、信号処理部23について説明する。
図4は、信号処理部23の構成を示すブロック図である。
信号処理部23は、図4に示すように、フォトダイオード等からなる光検出部22からの受光光量に応じた出力電流を電圧に変換するIV変換器51と、IV変換器51の出力を増幅する増幅器52と、低濃度ガス処理回路53と、高濃度ガス処理回路54と、低濃度ガス処理回路53又は高濃度ガス処理回路54の出力をデジタル信号に変換するAD変換器55と、AD変換器55の出力をもとに、低濃度ガス及び高濃度ガスの濃度を演算する演算処理部56と、を備える。
低濃度ガス処理回路53は、増幅器52の出力から、前述の高周波変調信号I2の2倍の周波数近傍の成分を取り出すバンドパスフィルタ53aと、バンドパスフィルタ53aにて高調波変調信号I2の2倍の周波数成分以外の成分がある程度除去されたフィルタ出力と、高調波変調信号I2の2倍の周波数の参照信号とを掛け合わせることで同期検波を行い、高周波変調信号I2の2倍の周波数成分を検出する検波器53bと、検波器53bの出力を入力し、検波器53bにおいて参照信号を掛け合わせることにより生じた高調波成分を除去して2倍の周波数成分のみを抽出するローパスフィルタ53cと、ローパスフィルタ53cのフィルタ出力を増幅する増幅器53dと、を備え、増幅器53dの出力は、2倍周波数成分信号としてAD変換器55に入力される。
高濃度ガス処理回路54は、増幅器52の出力から、高調波変調信号I2と同一の周波数成分を抽出するバンドパスフィルタ54aで構成される。このバンドパスフィルタ54aで抽出された高調波変調信号I2と同一の周波数成分からなる信号は1倍周波数成分信号としてAD変換器55に入力される。
バンドパスフィルタ54aは、例えば、図5に示すように、一対の信号入力端の一方に接続されるダイオードDと、ダイオードDの出力側と他方の信号入力端との間に接続されるコンデンサC及びこのコンデンサCと並列に接続される抵抗Rとで構成され、抵抗Rの両端が信号出力端に接続される。なお、Vi(t)、Vo(t)はそれぞれ入力信号、出力信号である。
AD変換器55は、演算処理部56の制御により、低濃度ガス処理回路53と高濃度ガス処理回路54の出力とを切り替えて入力し、これをデジタル信号に変換して演算処理部56に出力する。
演算処理部56はマイクロコンピュータ等の演算処理装置で構成され、予め設定した切り替えタイミングで、AD変換器55に入力される信号を切り替え、AD変換器55からの、2倍周波数成分信号又は1倍周波数成分信号を入力し、これらに基づき測定対象ガスの濃度を演算する。
次に、測定対象ガスの濃度測定方法を説明する。
まず、レーザ素子41の温度をサーミスタ44により検出し、図2に示した波長走査駆動信号I1の直線的に増加する部分i2の中心部分近傍で、2種類の測定対象ガスの濃度を測定できるように、すなわち所定の吸収特性が得られるように、温度制御部46により、ペルチェ素子45への通電を制御してレーザ素子41の温度を調整する。
次に、レーザ素子41を駆動し、図3に示す、レーザ駆動信号に応じたレーザ光を出射させ、隔壁31a、31b間を透過したレーザ光を集光し、これを光検出部22に入射させる。
そして、この光検出部22に入射された光量に応じた信号から、高調波変調信号I2と同一の周波数成分である1倍周波数成分信号と、高調波変調信号I2の2倍の周波数成分である2倍周波数成分信号とを抽出する。1倍周波数成分信号の信号波形において、振幅値が最小となるときの振幅値は光吸収がピークとなるときの振幅値を表し、振幅値が略一定の状態を維持するときの振幅値は光吸収が生じていない非吸光時の振幅値を表し、これらの差分値は、高濃度側の測定対象ガスの濃度に応じた値を表すことから、この差分値から高濃度側の測定対象ガスの濃度を演算する。一方、2倍周波数成分信号の信号波形において、ピーク値は低濃度側の測定対象ガスの濃度に応じた値を表すことから、このピーク値から低濃度側の測定対象ガスの濃度を演算する。
図6は、塩化水素と水とを同時に検出した場合の受光信号波形の一例を示したものであって、2倍周波数成分信号の波形である。発光波長を走査することによって2種類のガス吸収波形を得ることができる。
ここで、図6(a)の波形は、塩化水素も水も低濃度の場合を表したものであるが、通常の使用環境下では、塩化水素の濃度は一般的に数ppmから数1000ppmといった濃度レンジであるのに対し、水の濃度は数%〜数10%といった濃度レンジであって、塩化水素は低濃度レンジであるのに対し、水は非常に高濃度レンジとなっている。
したがって、実際の使用環境において、塩化水素及び水に対する受光信号を同一の増幅率で増幅すると、受光信号波形は図6(b)に示すようになり、水のガス吸収波形が飽和してしまう可能性がある。
このため、本実施形態では、図4に示すように、光検出部22からの受光光量に応じた電流信号をI/V変換器51で電圧信号に変換し、この電圧信号を、高濃度の塩化水素の信号成分が飽和しない程度に増幅器52で増幅した後、低濃度側の塩化水素については、低濃度ガス処理回路53で処理する。すなわち、受光光量に応じた電圧信号から2倍周波数成分のみを抽出する。これによって、発光波長が、塩化水素の吸収波長を走査するタイミングで、塩化水素の濃度に応じた振幅が現れる。したがって、発光波長が、塩化水素の吸収波長を走査するタイミングにおける高側ピーク値と低側ピーク値とを検出しこれらの差分値w1を求めることにより、この差分値w1から塩化水素の濃度を算出することができる。
一方、高濃度側の水素については、図4に示すように、増幅器52で増幅した、受光光量に応じた電圧信号に基づき、高濃度ガス処理回路54で処理する。すなわち、受光光量に応じた電圧信号から1倍周波数成分のみを抽出する。高濃度ガスの場合には、低増幅率でも、1倍周波数成分に大きな信号変化が現れる。図7(a)は、高濃度ガスによる吸収が極端に大きくない場合の、光検出部22における受光信号を表したものである。横軸は時間、縦軸は受光信号の強度である。なお、図15で説明したように、時間の変化に応じて、高濃度ガスの吸収波長を走査するように発光波長も変化している。
図7(a)において、発光波長が吸収波長と一致するタイミングで、受光光量の低下が起きると共に、2倍周波数成分が発生する。このため受光信号が歪んだように見えている。
図7(b)は、図7(a)の受光信号を、1倍周波数近傍のみを通すバンドパスフィルタを通した波形であって、横軸は時間、縦軸は信号レベルである。図7(b)に示すように、発光波長が吸収波長と一致する時点tにおいて、振幅が小さくなっていることがわかる。
この振幅が最も小さくなる箇所は発光波長が水の吸収波長を走査するタイミングに一致するため、図8(a)に矢印で示す振幅の低下幅を測定することで濃度を検出することができる。すなわち、図8(b)に示すように、光の吸収が起こらない部分の振幅Bと光の吸収が最大となる時点tの振幅Aとを検出し、“B−A”を得る。この“B−A”が水の濃度に応じた値となる。
上述のように、受光信号の1倍周波数成分の信号波形において、最も小さい振幅値を得ることにより、高濃度ガスの濃度を検出することができる。
しかしながら、高濃度ガスの濃度がさらに高濃度の場合には、その受光信号は図9(a)に示すように、受光光量がさらに低下し、その1倍周波数成分信号は、図9(b)に示すようにゼロ軸を挟んで折り返しが生じた信号波形となる。
これは、ガスの吸収強度がピークとなる波長において、ガスの吸光度が高くなるに従い、1倍周波数成分の信号波形において振幅は小さくなるのに対し、2倍周波数成分の信号波形では、振幅が大きくなっていくためであって、1倍周波数成分の振幅値<2倍周波数成分の振幅値となったときに、図9(b)に示すように、1倍周波数成分の信号波形において折り返しが生じる。
このような折り返しが生じた場合、図10に示すように、1倍周波数成分の信号波形において、ガスの吸光強度がピークとなる波長における濃度に相当する振幅値は、ゼロ軸を上回るa点の値ではなくゼロ軸を下回る値であって、ゼロ軸を挟んでa点を反転したa′点の値である。
このため、図8に示すように、ガスの吸収が起こらない波長における振幅Bと、ガスの吸収強度がピークとなる波長における振幅Aとの差分を、ガスの濃度相当値として検出すると、本来ならば、振幅Bとゼロ軸を下回るa′点の振幅値との差分が算出されるべきであるにも関わらず、振幅Bとゼロ軸を上回るa点の振幅値Aとの差分が算出されることになって、的確に濃度を検出することができないことになる。
このため、1倍周波数成分の信号波形において、信号波形に折り返しが生じているか否かを判定し、折り返しが生じているときと折り返しが生じていないときとで、ガスの濃度の演算方法を切り替える。
1倍周波数成分の信号波形において、折り返しが生じているか否かの判断は例えば次の手順で行う。すなわち、図10において、ガスの吸収強度がピークとなるピーク波長における振幅値Aと、その前後の少なくとも何れか一方の波長における振幅値C、C′を測定する。そして、これらピーク波長における振幅値Aと、ピーク波長前後の少なくとも何れか一方における振幅値C、C′との大小を比較し、ピーク波長における振幅値の方が、ピーク波長前後の少なくとも何れか一方の振幅値よりも小さいときには、折り返しが生じていないと判断し、逆にピーク波長における振幅値の方が大きいときには折り返しが生じていると判断する。
ここで、振幅値C、C′を測定する、折り返し判定用の判定用波長は、ピーク波長の近傍に設定する。このとき、図10に示すように、ピーク波長における振幅値が、判定用波長における振幅値よりも大きければ、折り返しが生じていると判定することができるが、図10において、振幅値C、C′が零となる波長は、折り返しの程度により異なり、すなわち測定対象ガスの濃度に応じて変化し、濃度が小さいときほどピーク波長に近い波長で振幅値C、C′は零となる。つまり、判定用波長としてピーク波長に近い値を設定するほど、より多くの状況下で折り返し判定を的確に行うことができるため、判定用波長として、判定用波長における振幅値とピーク波長における振幅値との値の大小関係から、ピーク波長における振幅値が、強度が小さくなる方向に突出したピークを表すか、強度が大きくなる方向に突出したピークを表すかを判断することが可能な値であり且つピーク波長により近接した値を設定する。なお、ピーク波長における振幅値が、強度が小さくなる方向に突出したピークを表すか、強度が大きくなる方向に突出したピークを表すかを判断することができればよいため、振幅値C及びC′の両方を検出する必要はなく、少なくとも何れか一方を設定すればよい。
そして、折り返し判定の結果、折り返しが生じていないと判定されるときには、ピーク波長における振幅値Aを光吸収が生じていない波長における振幅値Bから減算(B−A)し、この差分値を測定対象ガスの濃度相当値として濃度演算を行う。逆に、折り返しが生じていると判定されるときには、ピーク波長における振幅値Aと光吸収が生じていない波長における振幅値Bとを加算(B+A)し、この加算値を測定対象ガスの濃度相当値としてとして、濃度演算を行う。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
発光部1では、図3に示す、レーザ駆動信号に応じたレーザ光を発光させる。受光部2ではこのレーザ光を受光し、低濃度ガス処理回路53でレーザ駆動信号生成に用いた高調波変調信号I2の2倍の周波数成分を2倍周波数成分信号として抽出すると共に、高調波変調信号I2の周波数と同一周波数の成分を1倍周波数成分信号として抽出する。そして、A/D変換器55でこれら2倍周波数成分信号及び1倍周波数成分信号を選択的にデジタル信号に変換し、演算処理部56に出力する。
演算処理部56では、図11のフローチャートにしたがって処理を行い、まず、低濃度ガス処理回路53及び高濃度ガス処理回路54の何れの信号を、A/D変換器55に入力するかの切り替えを行う。例えば、まず、A/D変換器55に入力すべき信号として、低濃度ガス処理回路53の出力信号側に切り替え(ステップS1)、低濃度ガス処理回路53の出力信号に基づいて、発光部1での発光波長が、低濃度側のガスの吸収波長と一致するタイミングに応じて予め設定した、2倍周波数成分の信号波形において振幅値が高側ピーク及び低側ピークとなるタイミングにおける、2倍周波数成分の振幅値を検出する(ステップS2)。例えば、周期信号からなるレーザ駆動信号の1周期に同期したトリガ信号を発生させること等により、振幅値の検出タイミングを決定する。
そして、図6に示すように、検出した高側ピーク及び低側ピークにおける振幅値の差分値w1を算出し、これを低濃度ガスの濃度相当値とし、これに基づき公知の手順で、低濃度ガス、すなわちHClガスの濃度演算を行う(ステップS3)。
次いで、A/D変換器55に入力すべき信号を、高濃度ガス処理回路54側に切り替え(ステップS4)、高濃度ガス処理回路54の出力信号である1倍周波数成分信号において、図10に示すように、発光部1での発光波長が、高濃度側のガスのピーク波長と一致するタイミングにおける振幅値と、発光部1での発光波長が、高濃度側のガスの吸収が生じないときの波長と一致するタイミングにおける振幅値と、発光部1での発光波長が、予め設定したピーク波長近傍の判定用波長と一致するタイミングにおける振幅値とを検出する(ステップS5)。例えば、光吸収強度がピークとなるピーク波長と、光の吸収がほとんどないときの波長と、判定用波長とを予め設定しておき、発光部1での発光波長が、これら波長と一致するタイミングにおける1倍周波数成分信号における振幅値を読み込む。この場合も、レーザ駆動信号に同期したトリガ信号を発生させることで、このトリガ信号を基準として、発光部1での発光波長が、各波長と一致するタイミングを特定すればよい。
次いで、ステップS6に移行し、判定用波長における振幅値と、ピーク波長における振幅値とを比較し、ピーク波長における振幅値が、判定用波長における振幅値よりも小さいときには折り返しが生じていないとしてステップS7に移行し、ピーク波長における振幅値から光吸収が生じない波長における振幅値を減算し、その減算結果を、測定対象の高濃度側のガスの濃度相当値とする。そして、この濃度相当値に基づき公知の手順で高濃度ガスの濃度演算を行う。
一方、ステップS6の処理で、ピーク波長における振幅値が、判定用波長における振幅値以上であるときには、折り返しが生じているものとしてステップS8に移行し、ピーク波長における振幅値と、光吸収が生じない波長における振幅値とを加算し、その加算結果を、測定対象の高濃度側のガスの濃度相当値とする。そして、この濃度相当値に基づき公知の手順で高濃度ガスの濃度演算を行う。
そして、ステップS1に戻り、以後、上記と同様に、低濃度ガス及び高濃度ガスを順次切り替えて、2種類のガスの濃度演算を行う。
このように、上記実施の形態の形態においては、低濃度ガスについては、低濃度ガス処理回路53により処理し、高濃度ガスについては高濃度ガス処理回路54により処理する構成とし、この高濃度ガス処理回路54は、バンドパスフィルタ54aで形成しており、図7に示すような簡易な構成で実現することができる。このため、2種類のガスの濃度を検出する場合であっても装置の大型化やコストの増加を抑制しつつ実現することができると共に、応答性の遅れなどを伴うことなく実現することができる。このとき、高濃度ガスの測定は、比較的簡易な構成で実現しており、微小信号を扱う場合には安定性に欠けるが、このバンドパスフィルタ54aを用いた高濃度ガス処理回路54では、比較的高濃度ガスを対象としているため、簡易な構成の処理回路であっても的確に濃度測定を行うことができる。
また、特に、1倍周波数成分信号の場合には、測定対象ガスの濃度が比較的高濃度の場合には、図9に示すように、信号波形において折り返しが生じる可能性がある。しかしながら、この折り返しが生じているかどうかを判断し、折り返しが生じているか否かに応じて、濃度の演算方法を切り替えているから、折り返しが生じているか否かに関わらず、測定対象ガスの濃度を的確に検出することができる。
また、塩化水素HClと水蒸気H2Oとは、前述のように近接した波長における吸光量は塩化水素の方が10倍以上大きいため、これらの濃度を同一の処理で計測することは困難であるが、上述のように、高濃度ガスと低濃度ガスとの側計測方法を切り替えることで、レンジの切り替えや、測定対象ガスの切り替えに伴う待ち時間が発生すること等を伴うことなく、高精度に濃度計測を行うことができ、有効である。
特に、高濃度ガスの吸光量と、低濃度ガスの吸光量との比が10倍以上である場合には、高濃度成分の1f信号に折り返しを生じる場合が多いため、効果的である。
なお、上記実施の形態においては、図10において、ピーク波長における振幅値と、判定用波長における振幅値とを検出し、これらの大小関係に基づいて、折り返しが生じているか否かを判定する場合について説明したが、これに限るものではない。折り返しが生じているか否かを検出することができればどのような方法を用いてもよく、例えば、高濃度ガスの吸収がある位置の前後のタイミングを含めて、1f信号の包絡線検波信号を連続的に監視し、包絡線信号の大きさがほぼゼロになる個所があれば折り返しが生じていると判断するようにしてもよい。
また、上記実施の形態においては、塩化水素HClと水蒸気H2Oとの濃度を測定する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、アンモニアNH3と水蒸気H2O、あるいは一酸化炭素COと二酸化炭素CO2、などの組み合わせであっても測定することができる。要は、比較的近接した波長に光吸収ピークを有するガスの組み合わせであれば適用することができ、特に、10倍程度以上の濃度差を有するガスの組み合わせに適用すれば、信号処理過程で、高濃度側の信号波形が飽和する等が生じることなく、それぞれの濃度に適した処理が行われるため、効果的である。
なお、上記実施の形態において、コリメートレンズ12が第1の光学系に対応し、集光レンズが第2の光学系に対応し、光検出部22が受光素子に対応し、高濃度ガス処理回路54が1倍周波数成分検出手段に対応し、低濃度ガス処理回路53が2倍周波数成分検出手段に対応している。
また、図11において、ステップS5〜ステップS8の処理が高濃度演算手段に対応し、図11のステップS2及びステップS3の処理が低濃度演算手段に対応し、ステップS5の処理が振幅値検出手段に対応し、ステップS6の処理が折り返し判定手段に対応し、ステップS8及びステップS9の処理が濃度演算手段に対応している。
本発明の一実施形態に係るレーザ式ガス分析計の概略構成を示す図である。 光源部の構成を示すブロック図である。 レーザ素子の出射光の波形の一例である。 信号処理部の構成を示すブロック図である。 高濃度ガス処理回路としてのバンドパスフィルタの一例である。 2倍周波数成分信号の波形の一例である。 折り返しが生じていない場合の、(a)受光信号及び(b)1倍周波数成分信号の波形の一例である。 折り返しが生じていない場合の、濃度相当値の検出方法の説明図である。 折り返しが生じている場合の、(a)受光信号及び(b)1倍周波数成分信号の波形の一例である。 折り返しが生じている場合の、濃度相当値の検出方法の説明図である。 演算処理部の濃度演算に伴う演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 NH3ガスの吸収スペクトルの一例である。 周波数変調方式の原理図である。 (a)は半導体レーザの発光波長とドライブ電流との関係を示す図、(b)は半導体レーザの発光波長と温度との関係を示す図である。 (a)は発光素子の駆動波形の一例、(b)は(a)の駆動波形で発光素子を駆動した場合の発光波長である。
符号の説明
1 発光部
2 受光部
11 光源部
12 コリメートレンズ
21 集光レンズ
22 光検出部
23 信号処理部
41 レーザ素子
42a 波長走査駆動信号発生部
42b 高調波変調信号発生部
42c 合成部
44 サーミスタ
51 I/V変換器
52 増幅器
53 低濃度ガス処理回路
53a バンドパスフィルタ
53b 検波器
53c ローパスフィルタ
53d 増幅器
54 高濃度ガス処理回路
54a バンドパスフィルタ
55 AD変換器
56 演算処理部

Claims (5)

  1. 変調信号で周波数変調され且つ測定対象ガスの吸収波長を走査するように発光波長が変化するレーザ光を出射するレーザ素子を有する光源部と、
    前記光源部からの出射光をコリメートする第1の光学系と、
    前記第1の光学系からの出射光が、前記測定対象ガスが存在する測定空間を介して伝播された透過光を集光する第2の光学系と、
    前記第2の光学系により集光された光を受光する受光素子と、を有し、濃度の異なる2種類の測定対象ガスの濃度を検出するレーザ式ガス分析計であって、
    前記受光素子の出力信号から、前記変調信号の周波数と同一周波数成分を検出する1倍周波数成分検出手段と、
    前記1倍周波数成分検出手段で検出した1倍周波数成分に基づき前記測定対象ガスのうち高濃度側の測定対象ガスの濃度を演算する高濃度演算手段と、
    前記受光素子の出力信号から、前記変調信号の周波数の2倍の周波数成分を検出する2倍周波数成分検出手段と、
    前記2倍周波数成分検出手段で検出した2倍周波数成分に基づき前記測定対象ガスのうち低濃度側の測定対象ガスの濃度を演算する低濃度演算手段と、を有し、
    前記高濃度演算手段は、前記1倍周波数成分から、吸光量がピークとなるときの振幅値であるピーク振幅値及び吸光が行われないときの振幅値である非吸光振幅値を検出する振幅値検出手段と、
    前記1倍周波数成分の信号波形においてゼロ軸に対して波形が折り返される折り返しが生じているか否かを判定する折り返し判定手段と、
    前記振幅値検出手段で検出した振幅値に基づき前記高濃度側の測定対象ガスの濃度を演算する濃度演算手段と、を備え、
    前記濃度演算手段は、前記折り返し判定手段での判定結果に基づき、前記折り返しが生じている場合と生じていない場合とで前記濃度の演算方法を切り替えることを特徴とするレーザ式ガス分析計。
  2. 前記濃度演算手段は、前記折り返しが生じていないときには、前記非吸光振幅値と前記ピーク振幅値との差分値を濃度相当値とし、前記折り返しが生じているときには、前記非吸光振幅値と前記ピーク振幅値との和を前記濃度相当値とし、前記濃度相当値に基づき濃度演算を行うことを特徴とする請求項1記載のレーザ式ガス分析計。
  3. 前記折り返し判定手段は、前記1倍周波数成分において、前記吸光量がピークとなるときの波長の近傍に予め設定した折り返し判定用の波長における振幅値を、折り返し判定用振幅値として検出し、
    前記折り返し判定用振幅値が、前記ピーク振幅値よりも小さいとき、前記折り返しが生じていると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のレーザ式ガス分析計。
  4. 前記高濃度側の測定対象ガスの吸光量は、前記低濃度側の測定対象ガスの吸光量の10倍以上であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のレーザ式ガス分析計。
  5. 濃度の異なる2種類の測定対象ガスが存在する測定空間を介して伝播されたレーザ素子の出射光を受光素子で受光し、前記受光素子の出力信号に基づき前記測定対象ガスの濃度を測定するガス濃度測定方法であって、
    変調信号で周波数変調され且つ測定対象ガスの吸収波長を走査するように発光波長が変化するレーザ光を前記レーザ素子から出射させるステップと、
    前記受光素子の出力信号から前記変調信号の周波数の2倍の周波数成分を検出するステップと、
    前記2倍の周波数成分に基づき前記測定対象ガスのうち低濃度側の測定対象ガスの濃度を演算するステップと、
    前記受光素子の出力信号から前記変調信号の周波数と同一周波数成分を1倍周波数成分として検出するステップと、
    前記1倍周波数成分において、吸光量がピークとなるときの振幅値であるピーク振幅値及び吸光が行われないときの振幅値である非吸光振幅値を検出するステップと、
    前記1倍周波数成分の信号波形においてゼロ軸に対して波形が折り返される折り返しが生じているか否かを判定するステップと、
    前記折り返しが生じていないと判定されるとき、前記ピーク振幅値及び前記非吸光振幅値との差分値を濃度相当値として濃度演算を行い、前記折り返しが生じていると判定されるとき、前記ピーク振幅値及び前記非吸光振幅値との和を前記濃度相当値として濃度演算を行うステップと、を備えることを特徴とするガス濃度測定方法。
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