JP2007120971A - 光式水素ガス及び炭化水素ガスセンサ - Google Patents

光式水素ガス及び炭化水素ガスセンサ Download PDF

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Abstract

【課題】水素ガスと炭化水素ガスとを同時に検知できる光式水素ガス及び炭化水素ガスセンサを提供する。
【解決手段】被検知空間に水素ガスに触れると所定の赤外吸収波長帯における吸光度が変化する水素検知用触媒を配置し、炭化水素ガスの赤外吸収波長を含み、かつ上記触媒の赤外吸収波長帯に含まれる波長範囲内で光波長が掃引され、その掃引された光波長を中心波長として光波長及び光強度が正弦波(基本波とする)で変調されたレーザ光を被検知空間に照射して上記触媒を透過した光を受光し、その受光強度信号に含まれる基本波に同期した信号の大きさから水素ガスを検知し、上記受光強度信号に含まれる2倍波に同期した信号の大きさから炭化水素ガスを検知する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素ガスと炭化水素ガスとを同時に検知できる光式水素ガス及び炭化水素ガスセンサに関する。
ガスを検知するセンサとして、半導体式、接触燃焼式などの電気式センサが使用される。半導体式センサでは、金属酸化物半導体表面にガスが吸着すると熱伝導及び電気伝導の変化が生じその変化を白金線コイルの両端から見た抵抗値変化を計測してガス濃度を検知する。また、接触燃焼式センサでは、触媒表面でのガスの接触燃焼による白金線コイルの温度上昇を計測してガス濃度を検知する。いずれの方式のセンサも、あらかじめセンサを加熱しておく必要があり、水素ガスのような可燃性ガスを扱う上では、防爆対策が必要である。
このように半導体式、接触燃焼式などの電気式センサには防爆対策が必要であるので、防爆対策が必要でない方式が好ましい。その点、以下の特許文献1〜4に記載の光式センサは加熱をしないので防爆対策が必要でない。
特許文献1,2には、水素ガス又は含水素化合物ガスに触れると所定の吸収波長における吸光度が変化する水素検知用触媒に、その吸収波長の光を照射して透過光又は反射光を受光する技術が開示されている。
特許文献3,4には、光波長が掃引されかつ正弦波で変調されたレーザ光をガス雰囲気に照射して透過した光を受光し、受光強度信号に含まれる特定周波数成分の大きさから対象ガス濃度を検知する技術が開示されている。
特公平3−67218号公報 特開平5−196569号公報 特開平5−256768号公報 特開平8−338805号公報
特許文献1〜4に開示された従来技術は、2種類の異なるガスが同一雰囲気中に混合して存在するとき、その各々のガス成分を同時に検知することができない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、水素ガスと炭化水素ガスとを同時に検知できる光式水素ガス及び炭化水素ガスセンサを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、水素ガスと炭化水素ガスとの混合ガスを検知対象ガスとする被検知空間に、水素ガスに触れると所定の赤外吸収波長帯における吸光度が変化する水素検知用触媒を配置し、炭化水素ガスの赤外吸収波長を含み、かつ上記触媒の赤外吸収波長帯に含まれる波長範囲内で光波長が掃引され、その掃引された光波長を中心波長として光波長及び光強度が正弦波(基本波とする)で変調されたレーザ光を被検知空間に照射して上記触媒を透過した光を受光し、その受光強度信号に含まれる基本波に同期した信号の大きさから水素ガスを検知し、上記受光強度信号に含まれる2倍波に同期した信号の大きさから炭化水素ガスを検知するものである。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)水素ガスと炭化水素ガスとを同時に検知できる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に示されるように、本発明に係る光式水素ガス及び炭化水素ガスセンサは、レーザ部1とガス検知部2と信号処理部3とに大別される。
ガス検知部2は、水素ガスと炭化水素ガスとがそれぞれ未知数濃度含まれた検知対象ガスを容器21に封入し、その容器21の一端と他端とに、両者間の空間伝搬光路において光をコリメートするためのレンズ22を設け、これらレンズ22にレーザ部1及び信号処理部3から引き回した光ファイバ24,25を容器21外から臨ませ、上記空間伝搬光路の任意の箇所に触媒素子26を設けたものである。
レーザ部1は、単一光波長のレーザ光を発振させて光ファイバ24に入射させる分布帰還型半導体レーザ(DFB−LD)4と、そのDFB−LD4を載せたペルチェ素子5と、ペルチェ素子5を所望温度に制御するペルチェ素子用電源6と、基本波である周波数fの正弦波信号を作成する発振器7と、その周波数fの正弦波信号から2倍波である周波数2fの正弦波信号を作成する倍周器8と、DFB−LD4にバイアス電流を付加するためのバイアス電流源9と、バイアス電流を三角波で掃引する三角波掃引器10とを有する。レーザ部1は、発振器7からの周波数fの正弦波信号とバイアス電流源9からのバイアス電流とを重畳してDFB−LD4を駆動するものである。バイアス電流源9の出力側には発振器7の出力による影響を防ぐためのインダクタンスLが設けられ、発振器7の出力側にはコンデンサCが設けられている。
信号処理部3は、光ファイバ25から出射する光を受光して受光強度信号を出力する受光器11と、発振器7からの周波数fの正弦波信号に同期して受光強度信号の位相敏感検波を行う位相検波器12と、倍周器8からの周波数2fの正弦波信号に同期して受光強度信号の位相敏感検波を行う位相検波器13と、その位相検波器13の出力である2倍波に同期した信号から炭化水素ガス濃度を演算すると共に、位相検波器12の出力である基本波に同期した信号から水素ガスを演算するコンピュータ14とを有する。
ガス検知部2について詳しく述べると、図2に示されるように、2つのレンズ22は互いに対向させて配置され、その中間に触媒素子26が設けられる。レンズ22は、光の干渉を防止するために、光軸に対して斜めに研磨されている。触媒素子26は、透明なガラス基板27に触媒の薄膜28を形成したものである。触媒として、Pt、Pd、PdWO3、PtWO3がある。このような触媒における吸光度変化の現象については、特許文献1,2に開示されている通りである。
触媒は、水素ガスに触れると比較的幅の広い赤外吸収波長帯における吸光度が変化するので、赤外光源を用いて水素ガスを検知することができる。後述するメタンガスやアセチレンガスの赤外吸収波長が上記触媒の赤外吸収波長帯に含まれる。
炭化水素ガスとしては、メタンガス、アセチレンガスなどからひとつ選ぶ。メタンガスを検知したいときは、DFB−LD4に波長1.6μm帯のものを用い、アセチレンガスを検知したいときは、DFB−LD4に波長1.5μm帯のものを用いるとよい。
以下、水素ガス及び炭化水素ガスの検知動作を説明する。
レーザ部1において、ペルチェ素子用電源6によりペルチェ素子5の温度を所望の一定温度に制御する。これにより、DFB−LD4の温度は一定温度に固定される。一方、三角波掃引器10が三角波を出力することにより、バイアス電流源9が流すバイアス電流が比較的長いスパンで繰り返し一定の変化速度で掃引される。さらに、発振器7からは上記掃引のスパンより十分周期が短い周波数fの正弦波信号が得られ、正弦波信号による交流電流がバイアス電流に重畳されてDFB−LD4に印加される。これにより、DFB−LD4は、所定の波長範囲内で光波長が掃引されかつその掃引された光波長を中心波長として光波長及び光強度が基本波で変調されたレーザ光を出射する。具体的には、その掃引波長範囲は、炭化水素ガスの赤外吸収波長を含み、かつ上記触媒の赤外吸収波長帯に含まれる波長範囲である。
ガス検知部2では、光ファイバ24で導かれたレーザ光がレンズ22でコリメートされ、触媒素子26が置かれた被検知空間に照射される。このとき、触媒素子26は、容器21内のガス雰囲気における水素ガスに触れているので、所定の赤外吸収波長帯における吸光度が水素ガス濃度に応じて変化する。照射されるレーザ光は光波長が掃引されているが、その掃引波長範囲全体が触媒素子26の赤外吸収波長帯に含まれているので、掃引波長範囲のどこでも吸収が起きる。一方、炭化水素ガスの赤外吸収波長では炭化水素ガスによる吸収が起きるので、掃引されている中心波長が炭化水素ガスの赤外吸収波長に近いとき吸収が顕著で、遠くなると吸収がなくなる。このようにして、ガス検知部2内を通り触媒素子26を透過したレーザ光は、レンズ22により集光され、光ファイバ25で導かれて信号処理部3に至る。
信号処理部3において、受光器11が光ファイバ25から出射する光を受光して受光強度信号を出力する。位相検波器12は、発振器7からの周波数fの正弦波信号に同期して受光強度信号の位相敏感検波を行うことにより、周波数fの基本波に同期した信号を得る。この信号は、基本波成分の大きさを表した信号であり、以下、ガス信号1fと呼ぶ。また、位相検波器13は、倍周器8からの周波数2fの正弦波信号に同期して受光強度信号の位相敏感検波を行うことにより、後述するガス信号2fを得る。
ここで、ガス信号1fの大きさは、図3に示されるように、水素ガス濃度と比例している。すなわち、水素ガス濃度が低いときにはガス信号1fの大きさは大きく、水素ガス濃度が高いときはガス信号1fの大きさは小さい。コンピュータ14は、図3のような直線関係を演算式あるいはマップに記憶しているので、ガス信号1fの大きさから水素ガス濃度を演算することができる。
一方、ガス信号2fは、図4(a)に示されるように、炭化水素ガスの吸収波長においてピークを形成する。このピークにおけるガス信号2fの大きさを波高値と呼ぶ。コンピュータ14は、図4(b)に示す波高値と炭化水素ガスが基準濃度含まれた基準ガスの濃度との関係を演算式あるいはマップに記憶しているので、ガス信号2fの波高値から炭化水素ガス濃度を演算することができる。
以上説明したように、本発明の光式水素ガス及び炭化水素ガスセンサによれば、赤外吸収のない水素ガスの濃度を触媒に生じる吸光度変化によって検知することができるだけでなく、この触媒の赤外吸収波長帯が比較的広帯域であるのを利用し、炭化水素ガス濃度検知のための波長掃引を触媒の赤外吸収波長帯の中で行うようにしたので、炭化水素ガス濃度も同時に検知できる。触媒による赤外吸収は波長掃引範囲内では波長に依存しないので、波長掃引による受光強度の変動はなく、光源の光強度変調のみの影響を受けて受光強度が変わる。よって、水素ガス濃度は基本波に同期して検知することができる。一方、炭化水素ガス濃度は、2倍波に同期して検知しているので、基本波の大きさ(つまり水素ガス濃度)には左右されない。
このように、水素ガスと炭化水素ガスとを同時に検知できるので、別々の水素ガス検知用センサと炭化水素ガス検知用センサを用いる必要がない。
本発明の一実施形態を示す光式水素ガス及び炭化水素ガスセンサの構成図である。 本発明に用いるガス検知部の構成図である。 水素ガス濃度に対するガス信号1fの大きさの特性図である。 (a)は光波長に対するガス信号2fの大きさの特性図、(b)は炭化水素ガス濃度に対する波高値の特性図である。
符号の説明
1 レーザ部
2 ガス検知部
3 信号処理部
26 触媒素子

Claims (1)

  1. 水素ガスと炭化水素ガスとの混合ガスを検知対象ガスとする被検知空間に、水素ガスに触れると所定の赤外吸収波長帯における吸光度が変化する水素検知用触媒を配置し、炭化水素ガスの赤外吸収波長を含み、かつ上記触媒の赤外吸収波長帯に含まれる波長範囲内で光波長が掃引され、その掃引された光波長を中心波長として光波長及び光強度が正弦波(基本波とする)で変調されたレーザ光を被検知空間に照射して上記触媒を透過した光を受光し、その受光強度信号に含まれる基本波に同期した信号の大きさから水素ガスを検知し、上記受光強度信号に含まれる2倍波に同期した信号の大きさから炭化水素ガスを検知することを特徴とする光式水素ガス及び炭化水素ガスセンサ。
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