JP2010048286A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷間時において、早期にオイルの温度を上昇させることが可能な動力伝達装置を提供する。
【解決手段】動力伝達装置20は、変速機構40からの機械的動力を、リングギア66で受けて左右の駆動軸8に分配可能な差動機構60を有する動力伝達装置20であって、前記リングギア66の回転を制動可能な摩擦ブレーキ機構80を備え、摩擦ブレーキ機構80のうち少なくとも一部は、当該摩擦ブレーキ機構80の作動時において、動力伝達装置20内を循環するオイルに浸漬するよう構成されている。摩擦ブレーキ機構80が作動するときの摩擦熱によりオイルの温度を上昇させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、変速機構からの機械的動力を左右の駆動軸に分配可能な差動機構を有する動力伝達装置に関する。
従来から、原動機からの機械的動力を、駆動輪に伝達する動力伝達装置には、平行軸歯車装置等で構成される変速機構と、当該変速機構からの機械的動力を左右の駆動軸に分配する差動機構を備えたものがあり、例えば、車両前方に原動機を搭載し、前輪を駆動するいわゆるFF車両用の自動変速機等がある。このような動力伝達装置には、同一のハウジング内に、変速機構と差動機構を収容し、変速機構と差動機構で潤滑油(以下、単に「オイル」と記す)を共用しているものがある。
動力伝達装置として、下記の特許文献1には、ホイールブレーキと推進軸との間に、補助ブレーキが設けられた車両が開示されている。また、下記の特許文献2には、変速機構を構成するブレーキ機構を半係合状態にして、変速機構に隣接して配置されたモータの出力効率を低下させることで、モータの発熱を促進し、モータの熱により変速機構を潤滑するオイルの温度を上昇させることが提案されている。
特開2003−40092号公報 特開2006−288141号公報
ところで、上述のような動力伝達装置において、冷間時すなわちオイルが低温である場合、オイルの粘性が高いため、変速機構や差動機構を構成するギアの回転抵抗が大きい。特に、変速機構や差動機構等を収容する室内をオイルが循環する動力伝達装置においては、当該オイルに浸漬しているギアが回転すると、オイルの攪拌抵抗を受ける。このような回転抵抗は、原動機からの機械的動力を動力伝達装置が駆動輪に伝達させるにあたっての動力損失となる。したがって、動力伝達装置の冷間時においては、極力、早期にオイルの温度を上昇させて、動力損失を抑制する技術が求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、冷間時において、早期にオイルの温度を上昇させることが可能な動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る動力伝達装置は、変速機構からの機械的動力を、リングギアで受けて左右の駆動軸に分配可能な差動機構を有する動力伝達装置であって、前記リングギアの回転を制動可能な摩擦ブレーキ機構を、ハウジングの内部に備え、摩擦ブレーキ機構のうち少なくとも一部は、当該摩擦ブレーキ機構の作動時において、動力伝達装置内を循環するオイルに浸漬するよう構成されていることを特徴とする。
上記の動力伝達装置において、前記摩擦ブレーキ機構は、ハウジングの内部に形成された機構収容室内に設けられており、当該機構収容室におけるオイルの油面位置であるオイルレベルを制御可能な制御手段を備え、制御手段は、オイルの温度が、予め設定された判定温度以下であり、且つ、アクセル操作が行われていない場合には、前記オイルレベルを上昇させるものとすることができる。
本発明によれば、摩擦ブレーキ機構のうち少なくとも一部は、当該摩擦ブレーキ機構の作動時において、動力伝達装置内を循環するオイルに浸漬するよう構成されているものとしたので、摩擦ブレーキ機構が作動するときの摩擦熱により、早期にオイルの温度を上昇させることができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
まず、本実施形態に係るトルクコンバータの制御技術が適用される車両の概略構成と、内燃機関の冷却回路について、図1から図4を用いて説明する。図1は、車両の概略構成を示す模式図である。図2は、摩擦ブレーキ機構の詳細な構造を説明する図である。図3は、リングギアの歯部の外観を示す図である。図4は、動力伝達装置の差動機構周辺の機構収容室を示す断面図である。
図1に示すように、車両1には、駆動輪9を駆動するための原動機としての内燃機関10と、内燃機関10の機関出力軸12から出力される機械的動力を、左右の駆動輪9に伝達する動力伝達装置20を有している。動力伝達装置20は、機関出力軸12からの機械的動力を、変速機用のオイル(ATF:以下、単に「オイル」と記す)を介して変速機入力軸42に伝達するトルクコンバータ30と、変速機入力軸42からの機械的動力を、複数の変速段のうちいずれか1つにより変速して、ファイナルドライブギア48に伝達する変速機構40と、ファイナルドライブギア48から伝達された機械的動力を、左右の駆動軸8に分配する差動機構60とを有している。左右の駆動軸8は、それぞれ左右の駆動輪9に結合されている。原動機としての内燃機関10からの機械的動力は、動力伝達装置20を介して、駆動軸8に伝達されて、駆動輪9の接地面に、車両1を駆動する駆動力を生じさせる。
また、車両1には、内燃機関10、変速機構40と、後述する摩擦ブレーキ機構80を協調して制御する制御手段として、車両用の電子制御装置(以下、単に「ECU」と記す)100が設けられている。ECU100は、各種の制御定数を記憶する記憶手段としてROM(図示せず)を有している。
動力伝達装置20の差動機構60は、ファイナルドライブギア48と噛み合うリングギア66と、リングギア66に固定されており、一体に回転する差動ケース64とを有している。差動ケース64内には、左右の駆動軸8とそれぞれ結合されている左右一対のサイドギア61と、これら2つのサイドギア61と直交して噛み合う2つの差動ピニオン62と、差動ピニオン62を差動ケース64に対して回転可能に支持するピニオンシャフト63が設けられている。差動機構60のリングギア66と、駆動軸8及び駆動輪9は係合している。
また、動力伝達装置20には、リングギア66の回転を制動する摩擦ブレーキ機構80が設けられている。摩擦ブレーキ機構80は、ディスク式ブレーキであり、駆動輪9と共に回転する摩擦相手部材であるリングギア66を両側から挟み込むよう配設された摩擦部材であるブレーキパッド84と、ブレーキパッド84を保持するブレーキキャリパ82とを有している。また、車両1には、ブレーキキャリパ82内のホイールシリンダに液圧を供給するブレーキアクチュエータ115が設けられている。
なお、摩擦ブレーキ機構80において、ブレーキアクチュエータ115からホイールシリンダ83にブレーキ液を介して伝達される液圧、すなわち当該ホイールシリンダ83が摩擦部材であるブレーキパッド84に加える力を、以下の説明において「作動力」と記す。摩擦ブレーキ機構80の作動力は、ブレーキアクチュータ115を介してECU100により制御される。
図2に示すように、ブレーキキャリパ82は、動力伝達装置20の外装をなすハウジング24に固定されている。ブレーキキャリパ82内には、ブレーキアクチュエータ115からの液圧の供給を受けて作動して、ブレーキパッド84を押圧するホイールシリンダ83を有している。2つのブレーキパッド84は、差動機構60のリングギア66の端面69を両側から挟み込むように配設されている。
リングギア66、及びこれと噛み合うファイナルドライブギア48は、平行軸歯車で構成されている。リングギア66のうち、ファイナルドライブギア48と噛み合う歯が形成されている部分70を、以下の説明において「歯部」と記す。これに対し、歯部70よりリングギア66の回転軸径方向(図に矢印Rで示す)の内側にある部分68を、以下の説明において「基部」と記す。
摩擦ブレーキ機構80は、ホイールシリンダ83が、ブレーキアクチュエータ115から液圧の供給を受けて作動し、摩擦部材であるブレーキパッド84が、リングギア66の基部68を、リングギア66の回転軸軸方向(図に矢印Cで示す)両側から挟みこむことで、ブレーキパッド84の摩擦面85と、リングギア66の基部68の両側にある端面69との間に摩擦力が生じる。この摩擦力により、摩擦ブレーキ機構80は、リングギア66の回転、すなわちリングギア66に係合する駆動輪9の回転を制動することが可能となっている。
また、摩擦ブレーキ機構80において、2つのブレーキパッド84の摩擦面85の間には、リングギア66の基部68に加えて歯部70が配設されている。すなわち、ブレーキパッド84の摩擦面85は、歯部70の端面71に対向するよう構成されている。これにより、リングギア66が回転して歯部70が掻き揚げた油を、なるべく歯部70にとどまらせることができる。また、リングギア66は、図3に示すように、はすば歯車で構成されており、リングギア66が回転して歯部70が受けたオイル(ATF)を、当該歯部70に沿って、2つのブレーキパッド84のうち主に一方側に向けて流すことができる。
また、図2に示すように、歯部70のうち回転軸の軸方向の両側にある端面71と、ブレーキパッド84の摩擦面85との間には、所定の隙間が形成されている。すなわち、歯部70の回転軸軸方向の幅は、基部68の回転軸軸方向の幅に比べて小さく設定されている。当該隙間を設けることで、摩擦ブレーキ機構80が作動しているとき(以下、単に「作動時」と記す)、ブレーキパッド84と、リングギア66の歯部70が接触することを防止しており、ブレーキパッド84の異常な損耗を防止している。
リングギア66の回転中において、リングギア66により掻き揚げられ、歯部70に付着してリングギア66の熱を受けたオイルは、2つのブレーキパッド84のうち一方に向けて流れ、当該ブレーキパッド84の摩擦面85と、これに対向する歯部70の端面71との間の隙間を通って流れ落ちる。摩擦ブレーキ機構80が作動しているとき、ブレーキパッド84の摩擦面85と、リングギア66の基部68の端面69との間に生じる摩擦熱は、当該摩擦面85と歯部70の端面71との間を流れ落ちるオイルに伝達され、当該オイルの温度を上昇させることが可能である。
また、図4に示すように、リングギア66を含む差動機構60及びこれを制動する摩擦ブレーキ機構80は、動力伝達装置20の外装をなすハウジング24の内部に形成された空間26(以下、機構収容室と記す)に収容されている。機構収容室26には、差動機構60及び摩擦ブレーキ機構80のほかに、変速機構40とトルクコンバータ30が収容されている。
なお、図4においては、ハウジング24に形成された機構収容室26と、差動機構60のリングギア66と、摩擦ブレーキ機構80のみを示している。加えてリングギア66と噛み合う変速機構40のファイナルドライブギア48を図4に一点鎖線で示す。ファイナルドライブギア48の回転軸を図4に点Cで示し、リングギア66の回転軸を図4に点Dで示す。機構収容室26の底26aには、差動機構60、変速機構40を潤滑及び冷却するために、オイルが溜められており、オイルの油面位置(以下、オイルレベルと記す)を図4に二点鎖線で示す。オイルレベルは、通常、リングギア66の少なくとも一部と、リングギア66を挟み込むブレーキパッド84のうち少なくとも一部が、オイルに浸漬するよう設定されている。
機構収容室26の底26aには、機構収容室26に溜められているオイルを、図示しないオイルパンに向けて排出するドレン孔90が設けられている。また、ドレン孔90の途中には、機構収容室26からオイルパンに向うオイルの流通を遮断して、機構収容室26からのオイルの排出を制御する制御弁92(以下、ドレン制御弁と記す)が設けられている。ドレン制御弁92の開閉弁は、ECU100により制御される。
また、動力伝達装置20のハウジング24には、リングギア66のうち、摩擦ブレーキ機構80のブレーキパッド84に向けて、オイルを供給するノズル96(以下、供給ノズルと記す)が設けられている。供給ノズル96には、オイルパンからのオイルポンプ等により汲み上げたオイルが供給される。供給ノズル96からリングギア66に向けて直接オイルを噴射、供給することで、機構収容室26にオイルが溜まっていない状態であっても、リングギア66を含む差動機構60を強制的に潤滑する、いわゆる強制潤滑を行うことが可能である。
ドレン制御弁92を閉弁している場合、供給ノズル96や他の供給口(図示せず)からのオイルにより、機構収容室26のオイルレベルを上昇させることが可能となっている。また、ECU100がドレン制御弁92を開弁させて、機構収容室26に溜まっているオイルを、ドレン孔90からオイルパンに向けて排出することで、機構収容室26のオイルレベルを低下させることが可能となっている。
また、動力伝達装置20には、機構収容室26を含む動力伝達装置20のハウジングの内部を循環するオイルの温度(以下、単に「油温」と記す)を検出する油温センサ98(図1参照)が設けられており、油温に係る信号をECU100に送出している。
また、車両1において駆動輪9の近傍には、当該駆動輪9の回転を制動する制動機構であるホイールブレーキ(図示せず)が設けられており、当該ホイールブレーキは、ブレーキアクチュエータ115から作動力を受ける。つまり、ホイールブレーキの作動力は、ブレーキアクチュエータ115を介してECU100により制御される。
また、車両1には、図1に示すように、運転者により操作されるブレーキペダル110が設けられている。ブレーキペダル110は、運転者により操作された操作量(踏力)を、図示しないブレーキブースタ及びマスタシリンダを介してブレーキアクチュエータ115に伝達する。ブレーキペダル110には、ブレーキペダルストロークセンサ112が設けられており、ブレーキペダル110の操作量(以下、ブレーキ操作量と記す)に係る信号をECU100に送出している。加えて、車両1には、運転者により操作されるアクセルペダル120の操作量を検出するアクセルペダルポジションセンサ122が設けられており、アクセルペダル120の操作量(以下、アクセル操作量と記す)に係る信号を、ECU100に送出している。
ECU100は、油温センサ98からの動力伝達装置20内の油温に係る信号と、ブレーキペダルストロークセンサ112からのブレーキ操作量に係る信号と、アクセルペダルポジションセンサ122からのアクセル操作量に係る信号とを検出しており、これら油温、アクセル操作量、及びブレーキ操作量を制御変数として推定している。ECU100は、ブレーキ操作量に基づいて、運転者によりブレーキ操作が行われているか否かを判定する機能を有している。また、ECU100は、アクセル操作量に基づいて、運転者によりアクセル操作が行われているか否かを判定する機能を有している。
また、ECU100は、上述の制御変数に基づいて、変速機構40において選択する変速段と、ブレーキアクチュエータ115から摩擦ブレーキ機構80に伝達される作動力、すなわち摩擦ブレーキ機構80の作動/非作動状態と、ドレン制御弁92の開弁/閉弁状態と、供給ノズル96からのオイルの供給とを、協調して制御することが可能となっている。
以上のように構成された車両1が冷間時に車両走行を開始した場合など、動力伝達装置20内を循環するオイルが低温である場合、オイルの粘性が高いため、変速機構40や差動機構60を構成するギアの回転抵抗が大きく、変速機構40及び差動機構60を収容する機構収容室26内にオイルが溜められた状態で作動する動力伝達装置20としては、当該オイルに浸漬しているリングギア66が回転すると、オイルの攪拌抵抗を受ける。したがって、動力伝達装置20の冷間時においては、極力、早期にオイルの温度を上昇させて、オイルの粘度を低下させることで、動力伝達装置20における動力損失を抑制する技術が求められている。
そこで、本実施形態においては、制御手段としてのECU100は、摩擦ブレーキ機構のうち少なくとも一部は、当該摩擦ブレーキ機構の作動時において、差動機構を収容する機構収容室に溜められたオイルに浸漬するようにしており、以下に、図5を用いて説明する。図5は、制御手段としてのECUが実行する摩擦ブレーキ機構とオイルレベルの協調制御を示すフローチャートである。
図5に示すように、まず、ステップS100において、ECU100は、各種の制御変数を取得する。制御変数には、動力伝達装置20内を循環するオイルの温度である「油温」に加えて、アクセル操作が行われているか否かを示す制御フラグ、ブレーキ操作が行われているか否かを示す制御フラグ等が含まれている。
そして、ステップS102において、ECU100は、動力伝達装置20内を循環するオイルの温度である油温が、予め設定された判定温度以下であるか否かを判定する。この判定温度は、予め適合実験等により求められており、制御定数としてECU100のROMに記憶されている。
油温が判定温度を上回る(S102:No)と判定した場合、ECU100は、ドレン制御弁92を開弁状態にして、機構収容室26に溜まっているオイルを、オイルパンに向けて排出することで、機構収容室26のオイルレベルを低下させる。これと共に、ECU100は、供給ノズル96から差動機構60の潤滑に十分な量のオイルを供給して、いわゆる強制潤滑を行う(S104)。
油温が比較的高い場合に、機構収容室26のオイルレベルを低下させることで、リングギア66によるオイルの掻き揚げ、すなわちオイルの攪拌を抑制することができる。これにより、当該オイルの温度上昇を抑制すると共に、リングギア66が受ける回転抵抗(負荷)を低減して動力伝達装置20における動力損失を抑制することができる。なお、この場合、リングギア66を含む差動機構60の潤滑は、上述の強制潤滑により良好に行われる。
一方、油温が判定温度以下である(S102:Yes)と判定した場合、ECU100は、ステップS108において、アクセル操作が行われているか否か、すなわちアクセルオフ状態であるか否かを判定している。
アクセル操作が行われている、すなわちアクセルオン状態である(S108:No)と判定した場合、ECU100は、上述のステップS104に進み、機構収容室26のオイルレベルを低下させると共に、リングギア66の強制潤滑を行う。これにより、車両1が加速走行や定速走行を行う場合には、リングギア66が受ける回転抵抗を低減して、動力伝達装置20における動力損失を抑制することができる。
一方、アクセル操作が行われていない、すなわちアクセルオフ状態である(S108:Yes)と判定した場合、ECU100は、ステップS110において、ブレーキ操作が行われている、すなわちブレーキオン状態であるか否かを判定する。
ブレーキ操作が行われていない、すなわちブレーキオフ状態である(S110:No)と判定した場合、ECU100は、車両1が惰性走行を行っており、動力伝達装置20において動力損失を抑制する必要が少ないと判断して、ステップS112において、ドレン制御弁92を閉弁状態にして機構収容室26のオイルレベルを上昇させる。
これにより、油温が比較的低く、且つ車両1が惰性走行を行っている場合には、機構収容室26においてリングギア66が攪拌するオイルの量を増大させて、当該オイルの攪拌によりオイルを温めることができる。この結果、オイルの温度を上昇させて、その粘度を低下させることができる。
一方、ブレーキ操作が行われている、すなわちブレーキオン状態である(S110:Yes)と判定した場合、ECU100は、車両1が減速走行を行っており、動力伝達装置20において動力損失を抑制する必要がないものと判断して、ステップS114において、ドレン制御弁92を閉弁状態にして機構収容室26のオイルレベルを上昇させると共に、摩擦ブレーキ機構80を作動させてリングギア66の回転、すなわち駆動輪9の回転を制動する。
これにより、油温が比較的低く、且つ車両1が減速走行を行っている場合には、オイルレベルを上昇させることで、リングギアが攪拌するオイルの量を増大させ、リングギア66が受ける攪拌抵抗を増大させると共に、リングギア66と、ブレーキパッド84との間に生じる摩擦熱を、リングギア66が浸漬しているオイルに放散させて、機構収容室26にあるオイルの温度を上昇させる。このようにして、動力伝達装置20内を循環するオイルの温度を上昇させ、その粘度を低下させて、動力伝達装置20における動力損失を抑制して燃費の向上を図る。
上述の実施形態において、摩擦ブレーキ機構80は、リングギア66の基部68の端面69を、摩擦部材であるブレーキパッド84により両側から挟みこむことで、リングギア66の回転を制動するものとしたが、本発明に係る摩擦ブレーキ機構は、これに限定されるものではない。リングギアの回転を制動可能であれば良く、例えば、変速機構40内に設けられ、変速機構40内において、原動機(内燃機関10)からの機械的動力の変速に用いられる変速段を切替える(シフトする)ための摩擦ブレーキ機構を用いることも可能であり、以下に、図6及び図7を用いて摩擦ブレーキ機構の変形例について説明する。
図6は、変速機構の構成を示す模式図であり、摩擦ブレーキ機構の変形例を示す図である。図7は、変速機構内に設けられた各摩擦ブレーキ機構の作動と、出力軸の回転速度との関係を示す速度線図である。
図6に示すように、変速機構40内には、複数の摩擦ブレーキ機構B0,B1,B2,B3と、クラッチ機構K0,K1,K2が設けられている。これら摩擦ブレーキ機構B0,B1,B2,B3と、クラッチ機構K0,K1,K2には、動力伝達装置20内を循環するオイルに浸漬するよう構成されている。当該オイルは、摩擦ブレーキ機構B0,B1,B2,B3を流れた後、機構収容室26に溜まり、オイルパン(図示せず)に流れた後、再びオイルポンプ(図示せず)により変速機構40に圧送される。摩擦ブレーキ機構B0,B1,B2,B3の係合/解放状態と、その係合力は、図示しないアクチュエータを介して、ECU100により制御される。
上述の差動機構60のリングギア66に噛み合うファイナルドライブギア48は、変速機構40の変速機出力軸46に結合されている。変速機出力軸46には、リングギアR2と、プラネタリキャリアC1が結合されている。リングギアR2は、プラネタリキャリアC2と係合しており、当該プラネタリキャリアC2は、摩擦ブレーキ機構B3により、変速機構40のハウジングと係合可能となっている。一方、プラネタリキャリアC1は、サンギアS1と係合しており、当該サンギアS1は、回転部材45を介して、摩擦ブレーキ機構B1により変速機構40のハウジングと係合可能となっている。
一方、変速機入力軸42には、プラネタリキャリアC0が結合されており、当該プラネタリキャリアC0は、サンギアS0とリングギアR0が係合している。サンギアS0は、摩擦ブレーキ機構B0により、変速機構40のハウジングと係合可能となっている。リングギアR0は、中間伝達軸43に結合されている。また、サンギアS0とプラネタリキャリアC0は、クラッチ機構K0を係合状態にすることで一体に回転する。ECU100が、摩擦ブレーキ機構B0を解放状態にすると共に、クラッチ機構K0を係合状態にすることで、変速機入力軸42の回転は、そのまま中間伝達軸43に伝達される。中間伝達軸43と、上述の回転部材45は、クラッチ機構K2を係合状態にすることで、一体に回転する。
このように構成された変速機構40において、摩擦ブレーキ機構B0が解放状態であり、且つクラッチ機構K0係合状態である場合における、変速機入力軸42と一体に回転する中間伝達軸43と、ファイナルドライブギア48に結合された変速機出力軸46との回転速度の関係を、図7に示す。なお、図7には、変速機構40において、第1速ギア段(1st)、第2速ギア段(2nd)、及び第3速ギア段(3rd)が、原動機からの機械的動力を伝達する変速段として選択されている場合の、サンギアS1,S2、プラネタリキャリアC1,C2、及びリングギアR1,R2の回転速度を一例として追記している。
摩擦ブレーキ機構B0が解放状態であり、且つクラッチ機構K0係合状態である場合において、摩擦ブレーキ機構B1を係合状態にして、回転部材45、サンギアS1、及びサンギアS2の回転速度をゼロにすると共に、摩擦ブレーキ機構B3を係合状態にして、プラネタリキャリアC2の回転速度をゼロにすると、変速機出力軸46の回転速度は、図7に点Xで示すようにゼロとなる。すなわち、ECU100は、摩擦ブレーキ機構B1の係合力と、摩擦ブレーキ機構B3の係合力を同時に増大させることで、変速機出力軸46と、これにファイナルドライブギア48を介して噛み合うリングギア66の回転を制動することができる。
以上のように、リングギア66の回転を制動可能な摩擦ブレーキ機構B1,B3は、動力伝達装置20内を循環するオイルに浸漬されており、係合力を増大させることで、リングギア66の回転を制動すると共に、係合力を増大させたときに生じる摩擦熱により、摩擦ブレーキ機構B1,B3を流れ、機構収容室26に溜まるオイルの温度を上昇させることが可能となっている。
以上に説明したように本実施形態に係る動力伝達装置20は、変速機構40からの機械的動力を、リングギア66で受けて左右の駆動軸8に分配可能な差動機構60を有する動力伝達装置20であって、前記リングギア66の回転を制動可能な摩擦ブレーキ機構(80;B1,B3)をハウジング24の内部に備え、摩擦ブレーキ機構(80;B1,B3)のうち少なくとも一部は、当該摩擦ブレーキ機構(80;B1,B3)の作動時において、動力伝達装置20内を循環するオイルに浸漬するよう構成されているものとしたので、摩擦ブレーキ機構(80;B1,B3)が作動するときの摩擦熱により、早期にオイルの温度を上昇させて、動力伝達装置20における動力損失を抑制することができる。
また、本実施形態に係る動力伝達装置20において、摩擦ブレーキ機構80は、ハウジング24の内部に形成された機構収容室26内に設けられており、当該機構収容室26におけるオイルの油面位置であるオイルレベルを制御可能な制御手段としてのECU100を備え、ECU100は、オイルの温度が、予め設定された判定温度以下であり、且つ、アクセル操作が行われていない場合には、前記オイルレベルを上昇させるものとした。オイルの温度(油温)が低く、且つアクセル操作が行われていない場合、すなわち車両1が惰性走行や減速走行を行っている場合には、リングギア66が受けるオイルの攪拌抵抗を増大させると共に、摩擦ブレーキ機構80に生じる摩擦熱をオイルに放散させて、オイルの温度を上昇させることができる。
以上のように、本発明は、変速機構からの機械的動力を、リングギアで受けて左右の駆動軸に分配可能な差動機構を有する動力伝達装置に有用である。
本実施形態に係る車両の概略構成を示す模式図である。 本実施形態に係る摩擦ブレーキ機構の詳細な構造を説明する図である。 本実施形態に係るリングギアの歯部の外観を示す図である。 本実施形態に係る動力伝達装置の差動機構周辺の機構収容室を示す断面図である。 本実施形態に係る動力伝達装置の制御手段(ECU)が実行する摩擦ブレーキ機構とオイルレベルの協調制御を示すフローチャートである。 本実施形態の変速機構の構成を示す模式図であり、変形例の摩擦ブレーキ機構を示す図である。 本実施形態の変形例に係る変速機構内に設けられた各摩擦ブレーキ機構の作動と、出力軸の回転速度との関係を示す速度線図である。
符号の説明
1 車両
8 駆動軸
9 駆動輪
10 内燃機関(原動機)
12 機関出力軸
20 動力伝達装置
24 ハウジング
26 機構収容室
30 トルクコンバータ
40 変速機構
42 変速機入力軸
48 ファイナルドライブギア
60 差動機構
66 リングギア
80 摩擦ブレーキ機構
82 ブレーキキャリパ
84 ブレーキパッド(摩擦部材)
90 ドレン孔
92 ドレン制御弁
98 油温センサ
100 車両用の電子制御装置(ECU、制御手段、記憶手段)
110 ブレーキペダル
115 ブレーキアクチュエータ
120 アクセルペダル

Claims (2)

  1. 変速機構からの機械的動力を、リングギアで受けて左右の駆動軸に分配可能な差動機構を有する動力伝達装置であって、
    前記リングギアの回転を制動可能な摩擦ブレーキ機構を、ハウジングの内部に備え、
    摩擦ブレーキ機構のうち少なくとも一部は、当該摩擦ブレーキ機構の作動時において、動力伝達装置内を循環するオイルに浸漬するよう構成されている
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1に記載の動力伝達装置において、
    前記摩擦ブレーキ機構は、ハウジングの内部に形成された機構収容室内に設けられており、
    当該機構収容室におけるオイルの油面位置であるオイルレベルを制御可能な制御手段を備え、
    制御手段は、
    オイルの温度が、予め設定された判定温度以下であり、且つ、アクセル操作が行われていない場合には、前記オイルレベルを上昇させる
    ことを特徴とする動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2015001259A (ja) * 2013-06-14 2015-01-05 ジヤトコ株式会社 駆動システム

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US8662276B2 (en) 2010-11-03 2014-03-04 Meritor Technology, Llc Braking apparatus for a vehicle and vehicle comprising said braking apparatus
JP2015001259A (ja) * 2013-06-14 2015-01-05 ジヤトコ株式会社 駆動システム

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