JP2013136277A - 車輌用駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンを駆動系から切り離し得るクラッチの冷却性能を確保しつつ、EV走行時のエネルギ効率を向上させると共に、クラッチの係合ショックを抑えた車輌用駆動装置を提供する。
【解決手段】車輌用駆動装置5は、エンジン2と回転電機3との間にクラッチK0を有していると共に、車輪側の伝動経路Lには回転電機3及び変速装置7が配設されている。クラッチK0はその内部をオイルで満たすことの可能なクラッチハウジング20に収納されおり、クラッチハウジング20は、連通機構によって、内部空間と外部空間とを連通可能になっている。制御部21は、クラッチを係合するに際して、連通機構の切換えにより内部空間の潤滑状態が遷移する遷移期間TとクラッチK0が係合動作を行う係合期間とが重なるか否かを判断した場合、係合期間と遷移期間とが重ならないように回避制御を行う
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンと回転電機との間にクラッチを有する車輌用駆動装置に関する。
近年、環境意識などの高まりによって、駆動源としてエンジンの他に回転電機を備えたハイブリッド車輌が盛んに研究されている。ハイブリッド車輌は、回転電機を駆動源として有しているため、回転電機によって車輌の運動エネルギを回生したり、エンジンを使用せずに回転電機のみで走行(EV走行)したりすることによって、エネルギ効率の向上を図っている。
従来、このようなハイブリッド車輌に搭載される車輌用駆動装置において、特許文献1に示すように、エンジンと回転電機との間にクラッチを設け、EV走行の際にはこのクラッチを解放してエンジンの連れ回りを防止するものが案出されている。
また、上記特許文献1記載の車輌用駆動装置は、このクラッチを液密下のハウジング内に収納しており、エンジンによる車輌発進時などクラッチをスリップさせて発熱量が大きくなる場合にもクラッチを十分に冷却できるようにしている。
特開2010−19686号公報
ところで、上述したハイブリッド車輌は、PHV(Plug―in Hybrid Vehicle)に代表されるように、より回転電機を利用する方向に研究が進んでいる。そのため、ハイブリッド車輌に搭載される車輌用駆動装置においてもEV走行時の更なるエネルギ効率の向上が求められている。
ここで、上述したEV走行時にクラッチによってエンジンを駆動系から切り離す車輌用駆動装置の構成は、エンジンの連れ回りによる引き摺りトルクの発生を抑制し、エネルギ効率の向上につながるため上記要求とも合致する。一方、このクラッチを液密下のハウジング内に収納する車輌用駆動装置の構成は、クラッチの冷却性能を向上させることはできるが、EV走行時に液密状のハウジングと、回転電機側もしくはエンジン側の摩擦板との間に回転差が生じ、これらハウジングと摩擦板との間の相対回転に起因して撹拌抵抗が発生するため、引き摺りトルクを増大させてしまうという問題があった。
また、上記クラッチは、係合の際にショックが生じると運転者が違和感を覚えるため、係合ショックを抑えることが求められている。
そこで本発明は、エンジンを駆動系から切り離し得るクラッチの冷却性能を確保しつつ、EV走行時のエネルギ効率を向上させると共に、クラッチの係合ショックを抑えた車輌用駆動装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車輌用駆動装置(5)は、エンジン(2)と車輪(6)との間の伝動経路(L)における前記エンジン側の伝動経路(L)に駆動連結される第1摩擦板(17)、前記車輪側の伝動経路(L)に駆動連結される第2摩擦板(19)を有するクラッチ(K0)と、
前記車輪側の伝動経路(L)に駆動連結される回転電機(3)と、
前記車輪側の伝動経路(L)に駆動連結される変速装置(7)と、
前記クラッチ(K0)の第1及び第2摩擦板(17,19)を油で浸し得るように収納する内部空間(S)を有すると共に、前記車輪側の伝動経路(L)に駆動連結されるケース部材(20)と、
前記ケース部材(20)の内部空間(S)と外部(M)とを連通又は遮断し、この内部空間(S)の油の潤滑状態を切換える連通機構(74)と、
前記クラッチ(K0)を係合するに際して、前記連通機構(74)の切換えにより前記内部空間(S)の潤滑状態が遷移する遷移期間(T)と前記クラッチ(K0)が係合動作を行う係合期間(E)とが重なるか否かを判断し、これら係合期間(E)及び遷移期間(T)が重なると判断した場合、該係合期間(E)と前記遷移期間(T)とを重ならないようにする回避制御を行う制御部(21)と、を備えた、
ことを特徴とする。
また、前記制御部(21)は、前記クラッチ(K0)を係合するに際して、前記遷移期間(T)中であるか否かを判断し、前記遷移期間(T)中であれば、該クラッチ(K0)の係合動作の開始タイミングを前記遷移期間(T)経過後に遅延させると好適である。
更に、前記連通機構(74)は、前記ケース部材(20)の回転速度が、所定回転速度(rpre)未満の場合に前記ケース部材(20)の内部空間(S)と外部(M)とを遮断し、該所定回転速度(rpre)以上の場合に前記ケース部材(20)の内部空間(S)と外部(M)とを連通させ、
前記制御部(21)は、前記クラッチ(K0)を係合するに際して、前記係合期間(E)中に前記遷移期間(T)となるか否かを判断し、前記係合期間(E)中に前記遷移期間(T)となると判断した場合、前記クラッチ(K0)の係合動作の間、前記ケース部材(20)の回転速度を前記所定回転速度(rpre)未満に抑えると好適である。
前記制御部(21)は、前記変速装置(7)がアップシフト可能か否かを判断し、該変速装置(7)がアップシフト可能な場合は、前記変速装置(7)をアップシフトさせて前記ケース部材(20)の回転速度を前記所定回転速度(rpre)未満に抑え、前記変速装置(7)がアップシフト不可能な場合は、前記回転電機(3)を制御して前記ケース部材(20)の回転速度を前記所定回転速度(rpre)未満に抑えると好適である。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を用意にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る発明によると、エンジンと車輪との間の伝動経路上にクラッチを配置すると共に、このクラッチの摩擦板を収納するケース部材の内外を連通機構によって連通させ得るように構成したことにより、ケース部材内のオイルの充填状態を切換えることが出来る。即ち、摩擦係合装置の発熱量が多い場合に、連通機構によってケース部材の内部空間と外部とを遮断して、ケース部材内の摩擦板を油で浸すことによって、摩擦連結要素の冷却性能を確保することが出来る。また、EV走行時など、摩擦係合装置を解放した状態で走行する場合に、ケース部材内から油を排出して、摩擦板による油の撹拌抵抗を低減させ、以って、車輌用駆動装置の引き摺りトルクを低減させることができる。
加えて、連通機構によりケース部材の内部空間の潤滑状態が変化する遷移期間においては、クラッチの摩擦板の摩擦係数が変化したり、クラッチのピストンの応答時間が変化したりする。そのため、この遷移期間にクラッチを係合しようとすると、これら摩擦板の摩擦係数の変化や、ピストンの応答時間の変化がクラッチの係合ショックにつながる虞がある。しかしながら、請求項1に係る発明によると、この遷移期間とクラッチの係合動作とを重ならないようにする回避制御を行うため、環境変化の少ない状態において係合ショックを抑えながらクラッチを係合することができる。
請求項2に係る発明によると、クラッチを係合しようとする際にケース部材内の潤滑が遷移期間中である場合、この遷移期間終了後にクラッチの係合を開始するため、環境変化の少ない状態において係合ショックを抑えながらクラッチを係合することができる。
請求項3に係る発明によると、ケース部材の回転速度に応じて、連通機構の遮断/連通を切換えることによって、エンジンによる車輌の発進時など、クラッチの摩擦板がスリップしながら動力を伝達して発熱量が大きくなる場合の多い低速時と、一定速度以上で走行することが多いEV走行時と、でケース部材のオイルの充填状態を自動的に切換えることができる。また、ケース部材の回転速度に応じて自動的にケース部材内の潤滑状態が切り換わる場合においても、クラッチの係合動作中に遷移期間となると判断した場合には、ケース部材の回転速度を連通機構が切換わる所定回転速度未満に抑えることによって、環境変化の少ない状態において係合ショックを抑えながらクラッチを係合することができる。
請求項4に係る発明によると、制御部が回転電機の回転速度制御もしくは変速機構のアップシフトをさせることによって、ケース部材の回転速度を制御することができる。また、ケース部材の回転速度を所定回転速度未満に抑える際に、変速装置のアップシフトを回転電機の回転速度制御に対して優先させることによって、運転者の加速要求に応えつつケース部材の回転速度を所定回転速度未満に抑えることができる。
本発明の実施の形態に係るハイブリッド車輌のスケルトン図。 図1のハイブリッド車輌の変速装置の係合表。 本発明の実施の形態に係るハイブリッド駆動装置の入力部を示す模式図。 本発明の実施の形態に係るコントロールバルブを示す油圧回路図。 クラッチの係合期間と潤滑状態の遷移期間を重ならないようにする回避制御を示すフローチャート図。 変速装置をアップシフトさせる場合の回避制御を示すタイムチャート図。 回転電機を制御する場合の回避制御を示すタイムチャート図。
以下、本発明の実施形態に係る車輌用駆動装置を図面に基づいて説明する。なお、本発明の実施形態に係る車輌用駆動装置としてのハイブリッド駆動装置は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車輌に搭載されて好適なものであり、図中における左右方向は実際の車輌搭載状態における左右方向に対応するが、説明の便宜上、エンジン等の駆動源側を「前方側」、駆動源とは反対側を「後方側」というものとする。また、駆動連結とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、あるいは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いる。このような伝動としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーンなどが含まれる。
[ハイブリッド駆動装置の概略構成]
図1に示すように、ハイブリッド自動車(ハイブリッド車輌)1は、駆動源として、エンジン2の他に、回転電機(モータ・ジェネレータ)3を有しており、このハイブリッド自動車1のパワートレーンを構成するハイブリッド駆動装置5は、エンジン2と車輪6との間の伝動経路L上に設けられる変速装置7と、該変速装置7とエンジン2との間に配置され、エンジン2からの動力が入力される入力部9と、を有して構成されている。
上記入力部9は、エンジン2と変速装置7との間の動力伝達を行う動力伝達装置10に、回転電機3が付設して構成されており、この動力伝達装置10は、エンジン2のクランク軸2aにドライブプレート11を介して接続されるダンパ12、該ダンパ12がスプライン嵌合する接続軸13を有する接続部14と、この接続部14と変速装置7の入力軸(入力部)15との間の動力伝達を断接するクラッチK0と、から構成されている。
また、上記クラッチK0は、複数の内摩擦板(第1摩擦板)17及び外摩擦板(第2摩擦板)19がクラッチハウジング20の内部空間Sに収納された多板クラッチによって構成されており、このクラッチハウジング20は、上記変速装置7の入力軸15と一体に回転するように連結されている。即ち、クラッチK0は、上記伝動経路Lのエンジン側の伝動経路Lに駆動連結される内摩擦板17と、車輪側の伝動経路Lに駆動連結される外摩擦板19とを有していると共に、上記クラッチハウジング20も車輪側の伝動経路Lに駆動連結されている。
更に、上記クラッチハウジング20の外径側には、回転電機3がクラッチK0と軸方向位置がオーバーラップするように配設されており、この回転電機3は、クラッチハウジング20に固設されたロータ3aの径方向外側に、ステータ3bが対向するように配置されて構成されている。
即ち、ハイブリッド駆動装置5は、エンジン側から車輪側に向かって、接続部14、クラッチK0、回転電機3、変速装置7が順次配置されており、エンジン2及び回転電機3の両方を駆動させて車輌を走行させる場合には、制御部(ECU、Electric Control Unit)21によってコントロールバルブ(油圧制御装置)22を制御してクラッチK0を係合させ、車輪側の伝動経路Lに駆動連結された回転電機3の駆動力だけで走行するEV走行時には、クラッチK0を解放して、エンジン側の伝動経路Lと車輪側の伝動経路Lとを切り離すようになっている。
[変速装置の構成]
ついで、変速装置7の構成について図1及び図2に基づいて説明をする。上記変速装置7には、入力軸15上において、プラネタリギヤSPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤSPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1を有している、いわゆるシングルピニオンプラネタリギヤである。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2、及びリングギヤR2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するロングピニオンPLと、サンギヤS3に噛合するショートピニオンPSとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、ケース23に対して固定されており、また、上記リングギヤR1は、上記入力軸15に駆動連結されて、該入力軸15の回転と同回転(以下「入力回転」という。)になっている。更に上記キャリヤCR1は、該固定されたサンギヤS1と該入力回転するリングギヤR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、クラッチC1及びクラッチC3に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、バンドブレーキからなるブレーキB1に接続されてケース23に対して固定自在となっていると共に、上記クラッチC3に接続され、該クラッチC3を介して上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、クラッチC1に接続されており、上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記キャリヤCR2は、入力軸15の回転が入力されるクラッチC2に接続され、該クラッチC2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF−1及びブレーキB2に接続されて、該ワンウェイクラッチF1を介してケース23に対して一方向の回転が規制されると共に、該ブレーキB2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR2は、カウンタギヤ24に接続されており、該カウンタギヤ24は、カウンタシャフト28、ディファレンシャル装置Dを介して駆動車輪に接続されている。
上記構成の変速装置7は、図1のスケルトンに示す各クラッチC1〜C3、ブレーキB1,B2、ワンウェイクラッチF1が、図2の係合表に示すように係脱されることにより、前進1速段(1ST)〜前進6速段(6TH)、及び後進1速段(REV)を達成している。
[入力部の構成]
ついで、入力部9の構成について詳しく説明をする。図2に示すように、変速装置7を収納するミッションケース23にボルト25によって固定されたモータハウジング(ハウジング)26には、クラッチK0及び回転電機3が収納されており、これらクラッチK0及び回転電機3が収納されたモータハウジング26内の空間は、モータハウジング26に一体に取り付けられた隔壁27によって、エンジン2の取付部分と仕切られている。
また、上記モータハウジング26の中心部には、ダンパ12を介してエンジン2に接続される接続軸13と、変速装置7の入力軸15と、が軸心を一致するようにして嵌挿されており、この接続軸13は、上記隔壁27の円筒部27aに設けられたボールベアリング29によって回転自在に支持されている。
一方、入力軸15は、オイルポンプカバー33を介してミッションケース23に固定されたオイルポンプボディ32に設けられたボールベアリング34によって、回転自在に支持されている。
なお、オイルポンプボディ32を有するオイルポンプ30は、クラッチK0の変速装置側に設けられており、ドライブギヤ31a及びドリブンギヤ31bからなるオイルポンプギヤ(ロータ)31と、該オイルポンプギヤ31を収納する上記オイルポンプボディ32と、該オイルポンプボディ32に変速装置側から取付けられるオイルポンプカバー33と、から構成されている。
上記接続軸13は、モータハウジング内の変速装置側の端部が外径側に向けて延設してフランジ部13bを形成しており、このフランジ部13bには、クラッチK0のクラッチハブ35が取付けられている。
上記クラッチハブ35は、エンジン2からの動力が伝達される接続軸13と、変速装置7の入力軸15との間の動力伝達を断接するクラッチK0を構成する部品であり、クラッチハウジング20を介して入力軸15と駆動連結しているクラッチドラム36と対向するように延設されている。
より詳しくは、クラッチドラム36は、クラッチハウジング20の後壁部37bの外径側端部から前壁部39bに向かって軸方向に延設されており、外径側に位置する該クラッチドラム36の内周面と、内径側に位置するクラッチハブ35の外周面とが対向するように配設されている。そして、クラッチドラム36の内周面には、円環状の摩擦板からなり、その外周側にてクラッチドラム36の内周面とスプライン係合する複数の外摩擦板19が、クラッチハブ35の外周面には、円環状の摩擦板からなり、その内周側にてクラッチハブ35の内周面とスプライン係合する複数の内摩擦板17が交互に並ぶように設けられている。
更に、クラッチK0は、後壁部37bとの間に作動油室47を形成するピストン40と、後壁部37bのボス部37aにスナップリング42で抜け止めされたスプリングリテーナ41と、これらピストン40及びスプリングリテーナ41の間に縮設されたリターンスプリング43と、を有しており、ピストン40が上記外摩擦板19及び内摩擦板17を押圧することによってクラッチK0が係合するようになっている。
即ち、上記内摩擦板17は、接続軸13を介してエンジン2からの動力が入力される接続部14と一体となって回転するように駆動連結されていると共に、外摩擦板19は、クラッチハウジング20の後壁部37bを介して、変速装置7の入力軸15に駆動連結されており、クラッチK0は、これら内摩擦板17と外摩擦板19とを係脱することで、エンジン2から変速装置7への動力伝達を断接する発進クラッチとなっている。
なお、上記ピストン40を挟んで作動油室47と対向する空間部、即ち、ピストン40及びスプリングリテーナ41によって形成された空間は、作動油室47に発生する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室44となっている。
ところで、上述したクラッチハウジング20は、このクラッチK0を収納するクラッチハウジング20が収納されたモータハウジング内の空間を、上記内摩擦板17及び外摩擦板19が収納された内部空間Sと、回転電機3が収納される外部空間(外部)Mと、に仕切るケースとなっており、この内部空間Sは、循環油を漏らさずに油で満たされた状態になり得るように構成されている。
即ち、クラッチハウジング20は、クラッチK0のエンジン側にて外径側に向かって延設された前壁部(エンジン側側壁)39bと、クラッチK0の変速装置側で外径側に向かって延設された後壁部(変速装置側側壁)37bと、これら前壁部39b及び後壁部37bの間を接続してクラッチハウジング20の周面を形成する環状部39cと、が一体となって構成されている。
また、上記クラッチハウジング20を構成部品単位でみると、上述した前壁部39b及び環状部39cは、円筒形状のケース部材39によって形成されており、そのボス部39aがニードルベアリング45を介して接続軸13に相対回転自在に嵌合している。更に、上記ボス部39aは、接続軸13とボールベアリング29との間に介在しているため、クラッチハウジング20の一端側は、このボールベアリング29を介して隔壁27に回転自在に支持されている。
一方、クラッチハウジング20の後壁部37bは、板状部材37及びクラッチドラム36によって形成されており、この板状部材37は、外径側に向かって延設された壁部37bと、この壁部37bを挟んで軸方向前後に延設されたボス部37aと、によって構成されている。
また、上記ボス部37aの変速装置側部分は、その内周面にスプラインが形成された軸部37aとなっており、入力軸15とスプライン嵌合している。更に、この軸部37aは、ボールベアリング34と入力軸15との間に介在しているため、クラッチハウジング20の他端側は、このボールベアリング34を介して固定部材としてのオイルポンプボディ32に回転自在に支持されている。
なお、上記軸部37aには、エンジン2からの駆動力及び回転電機3からの駆動力が入力可能であるため、この軸部37aは、オイルポンプ30の駆動軸にもなっており、先端部に形成されたキー溝がオイルポンプ30のドライブギヤ31aの内径側に形成されたキーと嵌合することによって駆動連結されている。
このようにクラッチハウジング20は、クラッチK0を収容するケース部材となっている一方、上述したように、クラッチK0を跨いで前壁部39b及び後壁部37bによって両もち構造で安定して支持された支持部材でもある。即ち、クラッチハウジング20は、上記ボールベアリング(軸受部材)29,34を介して、クラッチK0の軸方向両側で、径方向及び軸方向に安定して支持されている。
そのため、上記環状部39cの外周面は、回転電機3のロータ3aを取付ける取付部となっており、ロータ3aをボルト48によって固設できるように構成されている。
また、ロータ3aの外径側には、このロータ3aと対向するようにしてステータ3bがモータハウジング26に固設されており、これらロータ3a及びステータ3bによって回転電機3が構成されている。
更に、上記環状部39cと一緒に上記取付部を構成するクラッチドラム36の変速装置側端部36aには、回転電機3の回転を検出するレゾルバ61の回転子(励磁コイル)62が取付けられており、その内径側に位置するオイルポンプボディ32には、固定子(検出コイル)63が固設されている。
なお、上記クラッチハウジング20は、ボールベアリング29,34によって径方向及び軸方向に支持されているが、ニードルベアリングによって径方向に支持され、スラストベアリングによって軸方向に支持されても良い。
[油路構成]
ついで、上記入力部9の油路構成について説明をする。上記変速装置7の入力軸15には、コントロールバルブ22によって調圧された油圧が供給される複数の油路a,bが形成されており、油路aには、クラッチK0の制御圧が供給されるようになっている。
また、クラッチハウジング20の後壁部37bのボス部37aには、クラッチK0の作動油室47に接続する油路cが形成されており、これら油路a,c及び作動油室47などによってクラッチK0の油圧サーボ56が形成されている。
更に、上記後壁部37bのボス部37aには、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給されるクラッチ冷却用の循環油(油)が供給される油路dが入力軸15に沿って形成されている。そして、油圧発生源としてのオイルポンプ30,31と、この循環油が供給される油路dを含む、オイルポンプ30,31から吐出された油をクラッチハウジング20の内部空間Sへ導く供給油路と、によって、クラッチハウジング20の内部空間Sに循環油を供給するオイル供給部Aが構成されている。なお、本実施の形態においては、油圧発生源として上述した機械式オイルポンプ30の他に図4に示す電動式オイルポンプ55も有しており、車輌の停止及び発進時においても、クラッチK0の制御圧及びクラッチハウジング20内の循環油の流量を確保可能に構成されている。
循環油の供給油路である油路dは、接続軸13のフランジ部13bと、後壁部37bのボス部37aと、の間に介在するスラストベアリング50によって保持された隙間を通って、クラッチハウジング20の内部空間Sと接続している。
また、入力軸15の油路bは、上記クラッチハウジング20の内部空間Sから循環油を排出する排出油路となっており、この油路bは、接続軸13に設けられた油路f、入力軸15と接続軸13との間の隙間eを介してクラッチハウジング20の内部空間Sと接続している。
そのため、油路dから内部空間Sに供給された循環油は、スラストベアリング50、スプリングリテーナ41とクラッチハブ35と間の隙間を通って、クラッチK0の内径側から内摩擦板17及び外摩擦板19を冷却する。そして、このクラッチK0の摩擦板17,19を冷却した循環油は、スラストベアリング51によって保持された、前壁部39bとクラッチハブ35との間の隙間及びフランジ部13bとクラッチハウジング20の前壁部39bとの間の隙間を通って、供給時とはクラッチハブ35を挟んで反対側に位置する油路fから排出される。
なお、上記内部空間S内に満たされた循環油は、接続軸13と前壁部39bのボス部39aとの間の隙間、前壁部39bと隔壁27との間の隙間を通って、ニードルベアリング45及びボールベアリング29を潤滑しながらクラッチハウジング20の外部空間Mにも排出されるようになっており、この外部空間Mに排出された循環油は、モータハウジング26の下方に設けられたオイルパン53(図1参照)へと還流する。
このように、内摩擦板17及び外摩擦板19を収納する内部空間Sは、供給油路bによって内径側から供給される循環油をクラッチハウジング20の内部空間Sが貯留して、内摩擦板17及び外摩擦板19を、この貯留した循環油で浸し得るように構成されており、これら内摩擦板17及び外摩擦板19は、内部空間S内を満たす循環油によって冷却されるように構成されている。
なお、接続軸13と隔壁27との間は、オイルシール52によりシールされているため、外部空間Mに排出される循環油がケース外に漏れることはないと共に、キャンセル油室44には、油路d,hを介してオイルが供給される。
[コントロールバルブの構成]
ついで、コントロールバルブ22の上記オイル供給部Aへの循環油の供給に係る部分の構成について説明をする。図4に示すように、コントロールバルブ22は、リニアソレノイドバルブSLUと、オイル供給部Aに供給する循環油の供給量を調節する循環量調整バルブ59と、を有しており、上記リニアソレノイドバルブSLUは、運転者からの要求トルクに応じて制御部21から出力されるSLU指令値に基づいて、クラッチK0の油圧サーボ56に供給する制御圧を調圧し、クラッチK0の係脱を制御するように構成されている。
また、上記循環量調整バルブ59は、上記オイル供給部Aに循環油を供給する油路を切換える切換えバルブであり、不図示のスプールを一方側に付勢するスプリング60を有していると共に、スプリング60の付勢力とは反対側にスプールを移動させるようにリニアソレノイドバルブSLUの制御圧が入力されている。
上記スプリング60は、循環量調整バルブ59が選択的に切換える第1及び第2油路e,eの内、油路径が大きく第2油路eに比してオイル供給部Aに供給する循環油が多い第1油路を遮断し、油路径が小さく第1油路eに比してオイル供給部Aに供給する循環油が少ない第2油路eを連通させるようにスプールを付勢している。
そのため、上記循環量調整バルブ59は、クラッチK0が解放されて、リニアソレノイドバルブSLUからの制御圧が入力されていない場合には、上記スプリングの付勢力により、循環油の供給量の少ない第2油路eを連通させると共に、クラッチK0を係合するためにリニアソレノイドバルブSLUからの所定圧以上の制御圧が出力された場合には、循環油の供給量の多い第1油路eを連通させるように構成されている。なお、循環量調整バルブ59は、クラッチK0がトルク容量を持ち始める制御圧である係合圧よりも低い圧により循環量が切り換わるようにスプリングの付勢力を設定するとより好ましい。
[連通機構の構成]
ついで、クラッチハウジング20の内外を連通可能に構成された連通機構74について説明をする。図2に示すように、クラッチハウジング20の前壁部39bの外径側端部39bは、その内径側の部分に比して肉厚に形成された肉厚部となっており、この肉厚部には、クラッチハウジング20の内部空間Sと、クラッチハウジング20の外部空間Mとを連通する連通孔73が、円周方向に所定間隔で複数設けられている。
これら複数の連通孔73のそれぞれには、クラッチハウジング20の内外を遠心力に基づいて選択的に連通させるボール弁70が取付けられており、このボール弁70は、連通孔73を塞ぐチェックボール71と、このチェックボール71を収納するケース72と、から構成されている。
即ち、上記ケース72の外部空間側の端部には、クラッチハウジング20の内側から外側に向かうほど狭くなるように傾斜したテーパー面72aが形成されており、上記ボール弁70は、チェックボール71に加わる油圧と遠心力とのバランスによって、チェックボール71がこのテーパー面72aに沿って移動することで開閉するように構成されている。
具体的には、クラッチハウジング20の回転速度rinが設定された所定回転速度rpre未満の場合、循環油からチェックボール71に掛る遠心油圧に比して、チェックボール71に掛る遠心力が相対的に小さいため、このチェックボール71は、上記テーパー面72aを外部空間側に移動して、連通孔73を塞ぐ遮断位置となる。
また、入力軸15の回転が設定された所定回転速度以上の回転速度になると、チェックボール71に掛る遠心力が遠心油圧に比して相対的に大きくなり、チェックボール71がテーパー面72aの傾斜に沿って内部空間側まで退避して、クラッチハウジング20の内外を連通させると共に、内部空間Sを大気開放する退避位置となる。
そして、これら連通孔73、チェックボール71及びケース72によってクラッチハウジング20の内外を選択的に連通する連通機構74が形成されている。なお、上記ボール弁70は、チェックボール71の着座面としてのテーパー面72aを連通孔73に形成しても良く、連通機構74は、少なくとも連通孔73と、この連通孔73を塞ぐチェックボール71を有していれば良い。
また、上記ボール弁70を開閉させる回転速度(解放回転速度)rpreは、テーパー面72aの傾斜によって任意に設定することができるが、クラッチK0がスリップ状態にある際には連通孔73を遮断し、クラッチK0が解放されている際にはクラッチハウジング20の内外を連通させるように設定される。
より詳しくは、本実施の形態では、クラッチK0がスリップ回転して発熱量が大きくなる、エンジン2での車輌発進時及びエンジン2での低車速走行時にクラッチハウジング20の内外の連通状態を遮断し、それ以外の場合には、クラッチハウジング20の内部空間Sを大気開放するように、エンジン2のアイドリング回転速度付近の値に解放回転速度rpreが設定されている。
言い換えると、連通機構74は、エンジン2の駆動力により車輌を発進させる際であって、クラッチK0をスリップさせる場合に、クラッチハウジング20の内部空間Sと外部空間Mとを遮断し、回転電機3により車輌を走行させる際であって、クラッチK0を解放させた状態で、外摩擦板19を回転電機3の駆動回転によって上記所定回転速度rpre以上で回転させる場合に、クラッチハウジング20の内部空間Sと外部空間Mとを連通させる。
また、クラッチハウジング20に設けられる上記連通機構74は、クラッチハウジング20の回転状態に基づいて、クラッチハウジング20の内部空間Sと外部空間Mとの遮断及び連通を切換えられれば良く、この回転状態とは、上記クラッチハウジング20の回転速度や、加速度など、クラッチハウジング20の回転に係る状態のことを言う。なお、クラッチハウジング20の回転速度は、上述したレゾルバ61の検出値や、変速装置7の出力軸の回転速度などから算出することができる。
[回避制御]
ついで、上記連通機構74の切換えにより内部空間Sの潤滑状態が軸心潤滑とフルディップ潤滑との間で遷移する遷移期間Tと、クラッチK0が係合動作を行う係合期間Eとをずらす回避制御について図5乃至図7に基づいて説明をする。
図6及び図7に示すように、車輌の停止状態から運転者によりアクセルが踏み込まれると、制御部21は、クラッチK0を解放した状態で回転電機3に駆動指令を出力し、車輌1を低速からトルクのある回転電機3によって発進させる。また同時に、制御部21はアクセルセンサ80によって検出されたアクセル開度に応じてリニアソレノイドバルブSLUの指令値を上昇させ、クラッチK0の制御圧を上昇させて行く。
そして、上記クラッチK0の制御圧の指令値がクラッチK0のピストン40がガタ詰めを行う値に到達すると、制御部21は、クラッチK0の係合に際し、上記係合期間E(例えば図6の期間t〜t,図7の期間t〜t)と遷移期間T(例えば図6の期間t〜t,図7の期間t10〜t11)が重なるか否かを判断する(図5のステップS1〜S3)。
具体的には、制御部21は、まず、遷移期間中であるか否かを判断し(S2)、遷移期間中である場合には係合期間Eと遷移期間Tが重なると判断する(S2のYES)。また、遷移期間中でない場合には(S2のNo)、クラッチK0の係合動作中に遷移期間となるか否かを判断する(S3)。そして、クラッチハウジング20の回転速度の上昇率gから、このままクラッチK0の係合を開始すると係合期間中にクラッチハウジング20の回転速度が解放回転速度rpre(切換ポイント)を超えると判断した場合(S3のYES)、係合期間Eと遷移期間Tが重なるとし、そうでない場合は係合期間Eと遷移期間Tが重ならないとする(S3のNo)。なお、本実施の形態は、クラッチK0の係合が開始する際の回転速度rと、この回転速度rに到達するまでの時間の比であるクラッチハウジング20の回転速度の上昇率gに基づいてクラッチK0の係合動作中に遷移期間となるか否かを判断したが、単純にクラッチK0の係合が開始する際の回転速度rを基準とするなど、どのような方法によってクラッチK0の係合動作中に遷移期間となるか否かを判断しても良い。
上記係合期間Eと遷移期間Tとが重ならないと判断された場合(S3のNo)、制御部21は、リニアソレノイドバルブSLUの指令値をそのまま上昇させる。そして、内摩擦板17と外摩擦板19を互いにスリップ回転させながらクラッチK0を係合させて行き、エンジン2を回転させて始動させる(S6,S7)。
一方、係合期間Eと遷移期間Tとが重なると判断された場合、制御部21は、これら係合期間Eと遷移期間Tとを重ならせないようにする回避制御を行う。具体的には、クラッチK0を係合するに際して、クラッチハウジング20内の油の潤滑が既に遷移期間中である場合(S2のYES)、制御部21は、クラッチK0の係合動作の開始タイミングを上記遷移期間経過後に遅延させる。
即ち、クラッチK0の係合に際して遷移期間中であると判断した場合、制御部21は、遷移期間Tが経過するまでエンジン2の始動を禁止すると共に、クラッチK0の係合の開始も禁止する(S9)。そして、遷移期間Tが終了すると(S10)、クラッチK0を掴み始め、エンジン2を始動させる(S6,S7)。
また、クラッチK0を係合するに際して係合期間中に遷移期間Tを迎えると判断した場合(S3のYES)、制御部21は、クラッチK0の係合動作の間、クラッチハウジング20の回転速度を解放回転速度rpre未満に抑える。
より詳しくは、本実施の形態において制御部21は、変速装置7をアップシフトさせる方法と、回転電機3を制御する方法との2つの方法により、クラッチハウジング20の回転速度を解放回転速度rpre未満に抑えている。
即ち、クラッチK0の係合期間中に遷移期間Tを迎えると判断した場合、制御部21は、まず、アップシフト可能か否かを判断する(S4)。そして、変速装置7がアップシフト可能な場合は(S4のYES)、変速装置7をアップシフト(例えば1−2や2−3アップシフト)させる(S5)。変速装置7をアップシフトすると、図6に示すように車輪側の伝動経路Lの回転速度が低くなるため、クラッチハウジング20の回転速度も低くなる(期間t〜t)。そのため、クラッチハウジング20の回転速度が時点tの速度から解放回転速度rpreまで上昇するまでの間(時点tまでの間)、クラッチハウジング20の内部空間Sの潤滑状態が遷移期間Tとなるのを遅らせることができる。
また制御部21は、変速装置7がアップシフト不可能な場合であっても(S4のNo)、回転電機3を制御してクラッチハウジング20の回転速度を解放回転速度rpre未満に抑える(S8)。即ち、図7に示すように、制御部21は、回転電機3を、回転速度を上昇させずに現状の回転速度を維持するように制御することによって、クラッチハウジング20の回転速度を解放回転速度rpreよりも低い回転速度rに維持する。そして、制御部21は、このクラッチハウジング20が回転速度rに維持されている間(期間t〜t)にリニアソレノイドバルブSLUの指令値を上昇させてクラッチK0の係合を完了させる(期間t〜t)。
なお、上記遷移期間Tとは、クラッチハウジング20内の潤滑状態が切換わる期間の内、クラッチK0の係合に影響を及ぼす虞のある期間であり、具体的にはクラッチK0の摩擦板17,19の摩擦係数やピストン40の応答速度に変化が出る期間である。本実施の形態においては、この遷移期間Tを、クラッチハウジング20の回転速度が解放回転速度rpreから連通機構74が完全に退避位置へと移動する終端回転速度rendまでの間に設定したが、この期間はクラッチK0の性能や、クラッチハウジング20内の油の潤滑量制御などを考慮して自由に設定して良い。例えば、解放回転速度rpreに到達した時点から、フルディップ状態のクラッチハウジング20の内部空間Sを連通機構74によって空の状態(軸心潤滑状態)にするまでに要する時間が経過するまでの期間を遷移期間Tとして設定しても良い。
このように、制御部21を、クラッチK0の係合期間Eと遷移期間Tとが重なるか否かを判断する判断部、係合期間Eと遷移期間Tとの重なりを回避させる回避制御部として機能させることにより、クラッチハウジング20の内部空間Sの潤滑状態が切換わる遷移期間Tを回避してクラッチK0を係合させることができる。これにより、内部空間Sの潤滑状態の変化に基づく摩擦板17,19の摩擦係数やピストン40の応答速度の変化など、環境変化の影響を回避することができ、一定の環境下でクラッチK0を、ショックを生じさせることなく係合させることができる。
また、制御部21によりクラッチK0の係合開始のタイミングを遷移期間経過後に遅らせることによって、クラッチK0の係合を開始する際にクラッチハウジング20の潤滑状態の切換わりの最中であったとしても、一定の環境下においてクラッチK0を、ショックを生じさせることなく係合させることができる。
更に、回転電機3もしくは変速装置7を介して制御部21によってクラッチハウジング20の回転速度を制御することにより、連通機構74によるクラッチハウジング20の潤滑状態の切換えを制御部21によって制御することができる。これにより、クラッチK0の係合動作中にクラッチハウジング20の潤滑状態が切換わる場合であっても、クラッチハウジング20の回転速度を解放回転速度rpre未満に抑えて遷移期間TをクラッチK0の係合完了後に遅らせることができる。
また、変速装置7をアップシフトすることでクラッチハウジング20の回転速度を解放回転速度未満に抑えることによって、運転者の加速要求に応えつつ、遷移期間TをクラッチK0の係合動作後にずらすことができる。
更に、回転電機3を制御してクラッチハウジング20の回転速度を解放回転速度rpre未満にすることによって、例えば、変速装置7がアップシフトできない場合できない場合であっても、遷移期間TをクラッチK0の係合動作後にずらすことができる。
また、ボール弁70によりクラッチハウジング20内のオイルの充満状態を、状況に応じて切換えることができる。即ち、エンジン2による車輌の発進時や、渋滞走行時など、クラッチK0がスリップ回転しながらエンジン2の動力を伝達する場合、クラッチの発熱量が多いため、ボール弁70が閉じて、クラッチハウジング20の内部空間Sにオイルを充満させ、クラッチK0の冷却性能を高めることができる。
更に、EV走行時などクラッチK0を解放している場合、クラッチハウジング20の回転速度がボール弁70の解放回転速度以上であれば、上記ボール弁70が解放され、クラッチハウジング20内の循環油が排出されて内部空間Sが空になるため、クラッチK0の内摩擦板17とクラッチハウジング20との間の相対回転に基づく、循環油の撹拌抵抗が無くなり、ハイブリッド駆動装置5のエネルギ効率を向上させることができる。
また、オイル供給部Aに供給する循環油の供給量を、循環量調整バルブ59によって調節することができるため、クラッチK0の発熱量が多い場合には、急速にクラッチハウジング20内に循環油を供給することができる。更に、クラッチハウジング20内に供給する循環油が少なくて良い場合には、循環油の供給量を少なくしてオイルの消費を低減することができる。
なお、本実施の形態においては、連通機構74をボール弁70によって構成したが、この連通機構74は、循環油の循環用の油路の他に、クラッチハウジング20の内部空間内の循環油を排出するものであればどのように構成されても良く、例えば、スプリングによってチェックボールをテーパー面側に付勢するボール弁によって形成しても良い。
また、連通機構74は、クラッチK0のピストン40の制御圧に応じて連通を切換えるバルブ、遠心油圧でなく単純にクラッチハウジング20の回転による遠心力によって位置が切り換わるバルブなどによって構成されても良い。
更に、例えば、車輪6側の伝動経路の回転要素の回転速度や加速度を検出すると共に、クラッチハウジング20側ではなく、モータハウジング26側に連通機構の構成の一部を設け、この検出した回転速度や加速度などのクラッチハウジング20の回転状態に基づいて、モータハウジング26側からクラッチハウジング20の内部空間Sと外部空間Mとの連通又は遮断を制御しても良い。
また、連通機構74の開閉を電気的に制御し、シュチエーションに応じて、大きな冷却性能が必要な場合には、連通機構を閉じ、それ以外の場合には、連通機構が開くように構成しても良い。
更に、制御部21は、回避制御時に、車輌のブレーキを作動させたり、変速装置7の摩擦係合要素(例えばB2ブレーキ)を滑らしたりしてクラッチハウジング20の回転速度を解放回転速度rpre未満に抑えても良い。
また、制御部21は、連通機構74がクラッチK0の制御圧によって切換わるものの場合、この制御圧の設定によって遷移期間Tを係合期間Eの後にずらす回避制御を行ったり、連通機構74が電気的に切換わるものの場合、直接、連通機構74に電気指令を出して遷移期間Tを係合期間Eの後にずらす回避制御を行なっても良い。即ち、制御部21は、クラッチK0もしくは連通機構74を制御して、遷移期間Tと係合期間Eとをずらせれば、どのような回避制御を行なっても良い。
また、上記ボール弁70の位置は、クラッチハウジング20において、少なくとも外摩擦板19の内周面(内径側端部)lよりも外径側の位置に設けられていれば良く、摩擦板17,19が循環油を撹拌することによる引き摺りトルクの増大分を少しでも減らすことができればよい。
更に、上記内摩擦板17は、クラッチハブ35などのエンジン側の伝動経路Lの回転要素又は、クラッチドラム36などの車輪側の伝動経路Lの回転要素の一方と、スプライン係合(駆動連結)すればよく、外摩擦板19は、エンジン側の伝動経路Lの回転要素又は車輪側の伝動経路Lの回転要素の他方と、スプライン係合(駆動連結)すれば良いと共に、クラッチK0を、単板クラッチによって構成しても良い。
また、変速装置7は、どのような変速機構でも良く、例えば多段式自動変速機や、CVTなどの変速装置によって構成されてよいと共に、この変速装置7自身に回転電機を搭載したような変速装置によって構成されても良い。
更に、回転電機3及びクラッチK0は、変速装置7の回転要素に駆動連結されていれば良く、例えば、変速装置7の入力軸や、出力軸に駆動連結させることができる。言い換えると、これら回転電機3及び変速装置7は、駆動側の伝動経路Lであれば、どこに駆動連結されても良い。
更に、本発明は、FFタイプのハイブリッド自動車だけではなく、FRタイプのハイブリッド自動車に適用されても良く、駆動源としてエンジンと回転電機とを有していれば、どのような車輌に適用されても良い。
また、上述した実施の形態に記載された発明は、互いにどのように組み合わされて使用されても当然に良い。
2:エンジン、3:回転電機、5:車輌用駆動装置、6:車輪、7:変速装置、17:第1摩擦板(内摩擦板)、19:第2摩擦板(外摩擦板)、20:ケース部材(クラッチハウジング)、21:制御部(ECU)、74:連通機構、S:内部空間、M:外部(外部空間)、L:伝動経路、L:エンジン側の伝動経路、L:車輪側の伝動経路、K0:クラッチ、T:遷移期間、E:係合期間

Claims (4)

  1. エンジンと車輪との間の伝動経路における前記エンジン側の伝動経路に駆動連結される第1摩擦板、前記車輪側の伝動経路に駆動連結される第2摩擦板を有するクラッチと、
    前記車輪側の伝動経路に駆動連結される回転電機と、
    前記車輪側の伝動経路に駆動連結される変速装置と、
    前記クラッチの第1及び第2摩擦板を油で浸し得るように収納する内部空間を有すると共に、前記車輪側の伝動経路に駆動連結されるケース部材と、
    前記ケース部材の内部空間と外部とを連通又は遮断し、この内部空間の油の潤滑状態を切換える連通機構と、
    前記クラッチを係合するに際して、前記連通機構の切換えにより前記内部空間の潤滑状態が遷移する遷移期間と前記クラッチが係合動作を行う係合期間とが重なるか否かを判断し、これら係合期間及び遷移期間が重なると判断した場合、該係合期間と前記遷移期間とを重ならないようにする回避制御を行う制御部と、を備えた、
    ことを特徴とする車輌用駆動装置。
  2. 前記制御部は、前記クラッチを係合するに際して、前記遷移期間中であるか否かを判断し、前記遷移期間中であれば、該クラッチの係合動作の開始タイミングを前記遷移期間経過後に遅延させる、
    請求項1記載の車輌用駆動装置。
  3. 前記連通機構は、前記ケース部材の回転速度が、所定回転速度未満の場合に前記ケース部材の内部空間と外部とを遮断し、該所定回転速度以上の場合に前記ケース部材の内部空間と外部とを連通させ、
    前記制御部は、前記クラッチを係合するに際して、前記係合期間中に前記遷移期間となるか否かを判断し、前記係合期間中に前記遷移期間となると判断した場合、前記クラッチの係合動作の間、前記ケース部材の回転速度を前記所定回転速度未満に抑える、
    請求項1又は2記載の車輌用駆動装置。
  4. 前記制御部は、前記変速装置がアップシフト可能か否かを判断し、該変速装置がアップシフト可能な場合は、前記変速装置をアップシフトさせて前記ケース部材の回転速度を前記所定回転速度未満に抑え、前記変速装置がアップシフト不可能な場合は、前記回転電機を制御して前記ケース部材の回転速度を前記所定回転速度未満に抑える、
    請求項3記載の車輌用駆動装置。
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