JP2010048196A - 燃料貯留システム - Google Patents
燃料貯留システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010048196A JP2010048196A JP2008214327A JP2008214327A JP2010048196A JP 2010048196 A JP2010048196 A JP 2010048196A JP 2008214327 A JP2008214327 A JP 2008214327A JP 2008214327 A JP2008214327 A JP 2008214327A JP 2010048196 A JP2010048196 A JP 2010048196A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fuel
- transfer
- liquid chamber
- storage system
- engine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/60—Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
- Y02T10/62—Hybrid vehicles
Landscapes
- Hybrid Electric Vehicles (AREA)
- Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
Abstract
【課題】内燃機関が長期間使用されない場合における蒸発燃料又は劣化燃料による不具合を軽減する。
【解決手段】ハイブリッド車両10において、燃料供給システム800は、連通管821により相互に連通した、メインタンク801及びメインタンク801よりも小容量のサブタンク816を備える。また、連通管821には、移送ポンプ822が設置されており、メインタンク801からサブタンク816への燃料の移送が可能に構成されている。ECU100は、メインタンク801に貯留された燃料FL1が軽質燃料であり且つ外気温Tが基準値Tthよりも高い、又は燃料FL1の残量Rが基準値Rth未満である、或いは燃料FL1の貯留期間ΔTが基準値ΔTthよりも長い場合に、燃料移送が必要であると判断し、移送ポンプ822の駆動制御を介して燃料FL1をサブタンク816に全量移送する。
【選択図】図3
【解決手段】ハイブリッド車両10において、燃料供給システム800は、連通管821により相互に連通した、メインタンク801及びメインタンク801よりも小容量のサブタンク816を備える。また、連通管821には、移送ポンプ822が設置されており、メインタンク801からサブタンク816への燃料の移送が可能に構成されている。ECU100は、メインタンク801に貯留された燃料FL1が軽質燃料であり且つ外気温Tが基準値Tthよりも高い、又は燃料FL1の残量Rが基準値Rth未満である、或いは燃料FL1の貯留期間ΔTが基準値ΔTthよりも長い場合に、燃料移送が必要であると判断し、移送ポンプ822の駆動制御を介して燃料FL1をサブタンク816に全量移送する。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両において内燃機関の燃料を貯留するための燃料貯留システムの技術分野に関する。
この種のシステムに類するものとして、ハイブリッド電気自動車において、蒸発燃料(以下、適宜「ベーパ」と称する)の処理を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたハイブリッド電気自動車の制御装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、電動モータにより車両を駆動させている間、エンジンの停止期間が所定期間を超えた場合にエンジンを始動させることによって、蒸発燃料を燃焼により消費することが可能となり、蒸発燃料の大気放出が防止されるとされている。
尚、ハイブリッド電気自動車がアイドル状態にありキャニスタがパージを必要としている場合にエンジンを起動させる、ハイブリッド電気自動車のためのエンジン動作中のアイドル制御方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、燃料タンク内の燃料ベーパの量が所定量を超えた場合にエンジンを起動させる発電機駆動用エンジンの制御装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
更に、プロパンとブタンを含む低温液化ガスを燃料とするエンジンにおいて、KCS遅角初期値を、その低温液化ガスの組成比に基づいて設定する技術も開示されている。
更には、メインタンクとサブタンクを備え、これらを相互に連通させる連通路を、メインタンクの気相部分及びサブタンクの液相部分を連通させる第1連通路と、サブタンクの気相部分及びメインタンクの液相部分を連通させる第2連通路とで構成すると共に、サブタンクとキャニスタとをチャージ通路で連通させることによって、蒸発燃料の液化を促進する燃料タンクの蒸発燃料放出抑制装置も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
従来の技術の如く、エンジンの停止期間が所定期間を超えた場合にベーパの処理を目的としてエンジンを始動させた場合、燃費の悪化が避け難い問題となる。とりわけ、外部電源からの適宜の充電が可能に構成されたプラグインハイブリッド車両のように、比較的長期間エンジンを始動させることなく走行可能な車両においては、この種の燃費の悪化がより顕在化し易い。即ち、従来の技術には、燃費の悪化を生じさせることなくベーパを処理することが困難であるという技術的な問題点がある。
また、動力源として内燃機関のみを有する車両においては、内燃機関が停止した状態で車両が恒常的に走行することは先ずないが、別の問題として、車両の使用頻度自体が低い場合に、燃料タンク内に貯留された燃料に経時的な劣化が生じ得る。係る燃料の劣化は、燃料の円滑な供給を妨げかねず、内燃機関の各部に対し少なくとも良い影響を与えない。
このように、ハイブリッド車両に限らず一般に車両においては、内燃機関が長期にわたって不使用状態に置かれた場合に、蒸発燃料又は劣化燃料による不具合が回避され難いという技術的な問題点がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、内燃機関が長期間使用されない場合における蒸発燃料又は劣化燃料による不具合を軽減し得る燃料貯留システムを提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る燃料貯留システムは、車両において内燃機関の燃料を貯留するシステムであって、前記燃料を前記内燃機関に供給するための燃料供給装置に接続されると共に前記燃料を第1の燃料として貯留可能な第1の液室と、前記第1の液室と較べて蒸発が抑制された状態で前記燃料を貯留可能な第2の液室と、前記第1の燃料を前記第2の液室へ移送可能な移送手段と、前記第1の燃料の燃料性状を特定する特定手段と、該特定された燃料性状に基づいて前記第2の液室への前記第1の燃料の移送の要否を判別する判別手段と、前記移送が必要である旨が判別された場合に前記第1の燃料が前記第2の液室へ移送されるように前記移送手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明の第1及び第2の液室とは、各々が相互に独立して構成されるタンク等の貯留手段、及び外観上は一体とみなし得る物体の内部に形成された、各々相互に隔絶された或いは区画された貯留空間等を含む概念である。
本発明の燃料貯留システムによれば、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る判別手段により、第1液室から第2の液室への燃料(第1の液室に貯留された第1の燃料)の移送が必要である旨が判別された場合に、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る制御手段の制御を受けた、例えば電動式又は機械式ポンプ等の各種流体圧送手段を好適に含み得る移送手段の作用によって、第1の燃料が第2の液室へ移送される。
尚、この際、移送手段が、更に第2の液室から第1の液室への燃料の移送が可能に構成されているか否か(即ち、移送手段が双方向に燃料を移送可能に構成されているか否か)は、本発明の本質部分に影響を与えることはなく、いずれであってもよい。
第2の液室は、第1の液室と較べて蒸発が抑制された状態で燃料を貯留することが可能に構成されている。この際、「蒸発が抑制された状態で燃料を貯留する」なる効果は、第2の液室における例えば材質、形状又は構造等各種の物理的、機械的又は電気的特徴によりハードウェア的に得られるものであってよいし、制御手段の制御態様によってソフトウェア的に得られるものであってもよい。例えば、後者の場合、第1の燃料を移送する際の移送態様如何によっては、第1及び第2の液室が各々全く同一の構成を有していてもよい。いずれにせよ、燃料貯留システム全体として見た場合には、移送前と較べて、移送後における貯留された燃料の蒸発は抑制されることとなる。
無論、本発明の燃料貯留システムを用いたとしても、第1又は第2の液室において生じた蒸発燃料の量が、例えばキャニスタにおいて蒸発燃料を吸着保持する活性炭等の吸着材の保持限界を超えた場合(第1及び第2の液室各々とキャニスタ等のベーパ処理系統との接続態様は、本発明の本質とは無関係であり、如何なる態様を有していてもよい)等には、結局は然るべき経路を介してこの蒸発燃料を内燃機関の吸気系にパージする必要があるが、第1の燃料を第2の液室へ移送することによって総体的にみて燃料の蒸発が抑制されることにより、この種の吸気系への蒸発燃料のパージ機会は、少なくとも幾らかなり、好適には実践上十分に減少せしめられ得る。
この種のパージ機会減少に係る効果は特に、動力源として内燃機関のみを有する車両と較べて内燃機関の動作頻度が極端に少なくなり得る各種のハイブリッド車両に対しては、パージのために内燃機関を始動する(即ち、蒸発燃料を直接大気放出することは避ける必要がある)といった、燃費の悪化に直結し得る事態の発生を抑制し得る点において顕著に有利に作用する。
ところで、内燃機関が長期間不使用であった場合等には(無論、このような場合には蒸発燃料も相応に増加するが)、燃料自体に経時的に生じる、例えば燃料の重質化或いは燃料の粘性増大等の各種劣化も無視し難い問題となり得る。即ち、内燃機関に供給される燃料が劣化している場合、内燃機関の各部の円滑な動作が阻害される、或いは内燃機関の燃焼特性(とりわけ始動特性)を悪化させる等の不具合が生じかねない。
ここで、内燃機関の吸気系又は気筒内部に、例えばガソリン、軽油、アルコール、液化石油ガス、又はこれらが適宜混合された混合燃料等を供給する、例えばインジェクタ等の燃料供給装置は、少なくとも第1の液室に物理的、機械的、電気的又は磁気的の態様を問わず接続されており、第2の液室が同様に当該燃料供給装置に接続されていようがいまいが(本発明は、この点を何ら限定しない)、第1の燃料が第2の液室へ移送された場合には、内燃機関に供給可能な燃料が劣化燃料のみとなるといった事態は少なくとも生じることがない。即ち、燃料(この場合、燃料貯留システムに貯留された燃料の総体)が、本発明の燃料貯留システムから如何なる経路を辿って内燃機関に供給されるにせよ、劣化燃料が使用されることによる上記各種不具合は軽減される。
このように、本発明の燃料貯留システムによれば、内燃機関が長期間使用されない場合に蒸発燃料及び劣化燃料により生じ得る、燃費の悪化、各部の動作阻害、又は燃焼特性の悪化等、各種の不具合を軽減することが可能となるのである。
ここで、本発明の燃料貯留システムにより得られる上記各種効果は、上記各種不具合が発生する可能性を的確に見極めた上でなければ、実践上有意なものとはなり難い。例えば、燃料を移送する必要がないにもかかわらず燃料の移送を実行したところで、移送手段の駆動エネルギが無駄になるだけであり、また場合によっては燃料の蒸発をかえって促進する結果ともなりかねない。
その点、本発明の燃料貯留システムによれば、判別手段が、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る特定手段により特定される、第1の燃料の燃料性状に基づいて、移送の要否を判別する構成となっている。
特定手段により特定される「燃料性状」とは、燃料の蒸発し易さ(予め燃料自身が有する性質としての蒸発し易さのみならず、燃料の貯留環境等、燃料の蒸発し易さに影響を与える各種の要因を含む趣旨である)、及び劣化状態(例えば、劣化の度合い等)のうち少なくとも一方を含むものである。燃料性状は、好適には、これらを夫々直接的に又は間接的に規定する二値的、段階的又は連続的な物理量、制御量又は指標値等として特定される。例えば、燃料性状とは、燃料が軽質(相対的に蒸発し易い燃料であり、例えば冬季に給油される冬燃料等が該当する)であるか重質(相対的に蒸発し難い燃料であり、例えば夏季に給油される夏燃料等が該当する)であるかにより、二値的に特定されてもよい。尚、燃料劣化が燃料の重質化を招き得る点に鑑みれば、「劣化の状態」と「蒸発し易さ」とは、相互に全く独立して規定されるものでなくてもよい。
尚、本発明に係る「特定」とは、特定対象(本発明では、燃料性状)又は特定対象と相関する物理量、制御量又は指標値を、所定の検出手段を介して直接的に又は間接的に検出すること、当該検出手段を介して直接的に又は間接的に検出された特定対象と相関する物理量、制御量又は指標値に基づいて予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する値を選択すること、この種の特定対象と相関する物理量、制御量若しくは指標値又は選択された値等から、予め設定されたアルゴリズムや計算式に従って導出すること、或いはこのように検出、選択又は導出された値等を、例えば電気信号等の形で単に取得すること等を包括する広い概念である。係る概念の範囲において、特定手段は如何にして燃料性状を特定してもよく、例えば、燃料性状センサ等の検出手段から燃料性状の検出結果を電気的に取得してもよいし、給油時にインフラ情報として先述した冬燃料又は夏燃料等の情報が提供されるならば、この種の情報を取得してもよいし、冬燃料及び夏燃料の提供時期が予め定められている場合には、カレンダ等を介して給油時の時候を取得してもよい。
本発明の燃料貯留システムによれば、第1の燃料の燃料性状に基づいて第1の燃料に係る移送の要否が判別され、当該移送が必要と判別された場合に第2の液室へ第1の燃料が移送される。ここで、上述した概念としての燃料性状は、燃料移送の必要性と高い関連性を有することは明らかであるため、本発明によれば、燃費悪化又は内燃機関の円滑な動作の阻害等、各種の不具合の発生頻度或いは発生規模等を軽減しつつ、実践的にみて不要な燃料移送については的確に排除することができ、移送手段の効率的な動作を促し得る点において、この種の燃料性状に基づいた判別がなされない場合と較べて顕著に有利となる。
本発明の燃料貯留システムの一の態様では、前記第2の液室は、前記第1の液室と較べて小容量である。
この態様によれば、第2の液室の形状或いは構造によって、燃料の蒸発抑制に係る効果が比較的簡便に実現される。
本発明の燃料貯留システムの他の態様では、前記第2の液室は、容量可変構造を有する。
ここで、「容量可変構造」とは、貯留可能な燃料の容積を可変とし得る物理的、機械的、電気的、磁気的又は化学的な構造を包括する概念であって、例えば、第2の液室の燃料貯留部位が、例えば樹脂材料で構成される等して伸縮可能に構成されること等を指す。第2の液室がこの種の容量可変構造を備える場合、移送される燃料の量に関係なく、移送後の燃料の蒸発を好適に抑制し得るため、実践上有益である。
本発明の燃料貯留システムの他の態様では、前記制御手段は、前記第1の燃料が全て前記第2の液室に移送されるように前記移送手段を制御する。
この態様によれば、燃料移送後における、第1の燃料の残量が、全て第2の液室に移送されるため、第1の液室において燃料蒸発を生じさせることなく、第2の液室によって得られる燃料の蒸発抑制に係る効果を可及的に最大限に得ることが可能となる。尚、「全て」とは、第1の液室に燃料分子が一個たりとも残存しないといった、実践上実現し難い厳密な状態を表すものではなく、第1の液室に残存する第1の燃料の量が実践上ゼロとみなし得る程度に少ない状態を好適に含む趣旨である。
本発明の燃料貯留システムの他の態様では、前記特定手段は、前記燃料性状として前記第1の燃料が軽質燃料であるか否かを特定し、前記判別手段は、前記第1の燃料が前記軽質燃料である場合に前記移送が必要であると判別する。
この態様によれば、特定手段が、燃料性状として、先に例示した如く第1の燃料が軽質燃料であるか否かを特定し(即ち、軽質燃料であるか重質燃料であるかを二値的に特定し)、軽質燃料である場合に、判別手段により第1の燃料の移送が必要であると判別される。軽質燃料は、相対的に蒸発し易い性質を有する燃料であって、内燃機関の使用頻度が低い場合には、キャニスタの吸着材を飽和させ易い(必然的に、飽和状態を超えて、パージのための内燃機関の始動が要求され易い)が、この態様によれば、第1の燃料が軽質燃料である場合には第2の液室への燃料移送がなされるため、燃料の蒸発速度が低減され、蒸発燃料のパージ機会を減少させることが可能となって、燃費の悪化を好適に抑制することが可能となる。
燃料性状として軽質燃料であるか否かが特定される本発明の燃料貯留システムの一の態様では、前記特定手段は、給油時の時候に基づいて前記第1の燃料が前記軽質燃料であるか否かを特定する。
先述したように、燃料には冬燃料と夏燃料があり、前者は軽質燃料、後者は重質燃料である。従って、燃料性状が、軽質燃料であるか重質燃料であるかによって二値的に扱われる場合、例えばカレンダ等から取得される給油時の時候(端的には季節であってもよい)に基づいて、簡便に燃料性状の特定が可能である。
燃料性状として軽質燃料であるか否かが特定される本発明の燃料貯留システムの他の態様では、前記特定手段は、前記燃料性状として外気温を特定し、前記判別手段は、前記第1の燃料が前記軽質燃料であり且つ前記特定された外気温が所定値以上である場合に前記移送が必要であると判別する。
この態様によれば、第1の燃料の燃料性状として、更に外気温が特定され(特定の概念に鑑みれば、直接的でも間接的でも構わず、後者の場合、先述したカレンダ等により外気温を大略の範囲で推定してもよい)、第1の燃料が軽質燃料であり、且つこの特定された外気温(瞬間値であっても一定又は不定期間における平均値であってもよい)が、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて燃料の蒸発を促進させ得るもの等として設定され得る所定値以上である(尚、「以上」とは、基準値の設定次第により容易に「より大きい」と置換し得る概念であり、基準値がいずれの領域に属するかは本発明の本質に影響を与えない)場合に燃料移送が必要であると判別される。
軽質燃料は蒸発し易いため、貯留環境としての外気温が高ければ、それだけ蒸発速度が高くなる(無論、重質燃料であれその傾向は不変であるが、重質燃料は元より夏季を中心として供給される燃料であり、外気温により移送の要否を判別することは無意味に近い)。従って、このように外気温を参照することによって、燃料移送の要否判別を簡便に且つ的確に行うことが可能となる。補足すると、第1の燃料が軽質燃料であることをもって燃料移送が必要である旨の判断が下される場合、給油直後の冬燃料が第2の液室に移送されるといった事態が生じ得る(冬季に冬燃料を給油するのは至極当然であり、このような場合について、第2の液室へ燃料を移送するのは、実践上余り意味を持たない)が、外気温を参照することにより、このような実践上有意とは言い難い燃料移送を排除することが可能となるのである。
本発明の燃料貯留システムの他の態様では、前記特定手段は、前記燃料性状として前記第1の燃料の残量を特定し、前記判別手段は、前記特定された残量が所定値未満である場合に前記移送が必要であると判別する。
この態様によれば、燃料性状として、第1の燃料の残量が特定され(当該残量の大小は、蒸発し易さの小大に夫々対応するため、本発明に係る燃料性状として好適である)、特定された残量が所定値未満(尚、「未満」とは、基準値の設定次第により容易に「以下」と置換し得る概念であり、基準値がいずれの領域に属するかは本発明の本質に影響を与えない)である場合に燃料移送が必要である旨が判別される。
第1の燃料の量が少ない場合、燃料が重質燃料であろうが軽質燃料であろうが、その蒸発は促進され易い。従って、例えば好適な一形態として予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて燃料の蒸発が無視し得ない速度で生じ得る旨に相当する基準値(即ち、所定値)を設定すること等により、燃料移送の要否判別を簡便に且つ的確に行うことが可能となる。
本発明の燃料貯留システムの他の態様では、前記特定手段は、前記燃料性状として、前記第1の燃料が劣化しているか否かを特定し、前記判別手段は、前記第1の燃料が劣化している場合に前記移送が必要であると判別する。
この態様によれば、特定手段が、燃料性状として、先に例示した如く、第1の燃料が劣化しているか否かを特定し(即ち、劣化しているか正常であるかを二値的に特定し)、劣化している場合に、判別手段により第1の燃料の移送が必要であると判別される。従って、内燃機関に対し燃料の供給がなされるに際して劣化した燃料のみが使用されるといった事態は回避され、内燃機関の各部の動作が阻害される、或いは燃焼が不安定になるといった不具合が少なくとも軽減される。
本発明の燃料貯留システムの他の態様では、前記特定手段は、前記第1の液室に対し給油がなされてよりの経過時間に基づいて前記第1の燃料が劣化しているか否かを特定する。
燃料の劣化は、主として給油時点からの時間経過に伴って生じるものである。従って、この場合、給油がなされてよりの経過時間に基づいて、第1の燃料が劣化しているか否かが正確に且つ簡便に特定され得る。尚、この際、先述した気候条件等が参照され、例えば高温下(例えば、夏季)では低温下(例えば、冬季)と較べて燃料劣化が生じ易いものとして、燃料が劣化している旨を規定する判断基準値を、高温条件下と低温条件下とで変化させてもよい。この場合、第1の燃料が劣化しているか否かが更に精細に特定され得る。
本発明の燃料貯留システムの他の態様では、前記移送がなされるに際してドライバに対し前記第1の液室への給油を促す給油促進手段を更に具備する。
この態様によれば、例えば、ドライバに知覚(視覚的、聴覚的又は触覚的な知覚を問わない)可能な、例えば各種インジケータ、アラーム、ブザー或いは音声案内装置及びそれらを駆動する駆動装置等の形態を採り得る給油促進手段により、第1の燃料が第2の液室へ移送された際に、第1の液室への燃料給油が促されるため、内燃機関の駆動要求が生じた際に、内燃機関を好適に駆動させることが可能となり実践上有益である。
また、この際、第2の液室が満タン状態でなければ、給油した燃料(言わば、新規な第1の燃料)を、第2の液室が満タン状態となるまで第2の液室に更に移送してもよい。この場合、第2の液室に移送された燃料が劣化燃料であればその劣化状態が幾らかなり改善され、また満タン状態であれば燃料が蒸発し難くなるため、蒸発抑制に係るより高い効果を得ることもできる。
本発明の燃料貯留システムの他の態様では、前記車両は、前記内燃機関と共に動力源として機能する少なくとも一つの電動機を備えたハイブリッド車両である。
この態様によれば、車両が、内燃機関とは異なる動力源としての、例えば、モータ或いはモータジェネレータ等の形態を採り得る電動機を備えたハイブリッド車両として構成され、この電動機が、例えばインバータや各種のPCU(Power Control Unit)等を介した、電流制御、電圧制御又は電力制御等各種の動力制御により、車軸に対し直接的に又は間接的に、バッテリ等各種蓄電手段からの放電電力に応じた動力を出力可能に構成される。尚、この際、内燃機関における、例えばクランクシャフト等の機関出力軸には、例えば直接的に又は間接的に、ジェネレータ或いはモータジェネレータ等の形態を採り得る発電機が接続され、内燃機関の動力により適宜発電可能に構成されていてもよい。
ハイブリッド車両では、電動機の動力のみを使用したEV(Electric Vehicle)走行なる走行形態が実現可能であり、とりわけ外部電源(例えば家庭に設置された設置型の又は可搬性を有する各種電源(好適な一形態として、例えば家庭用コンセント及び専用又は汎用の充電プラグ等を適宜含む)、或いは市街地又は郊外地に、専用又は汎用のインフラ設備等として設置された(好適な一形態として、例えばガソリンスタンドやそれに類するインフラ施設等に付設されていてもよい)各種電源等を指す)から供給される外部電力(即ち、ハイブリッド車両内部で生成される電力とは異なる)を使用した通電により、バッテリ等の蓄電手段に対し適宜に充電がなされる構成を有する、所謂プラグインハイブリッド車両においては、内燃機関の動作頻度は極端に小さくなり易い。
従って、ハイブリッド車両においては、蒸発燃料又は劣化燃料の処理がより重要な意味を持つ。即ち、本発明の燃料貯留システムは、ハイブリッド車両に対して顕著に効果的である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる模式的なブロック図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる模式的なブロック図である。
図1において、ハイブリッド車両10は、減速機構11及び車輪12、並びにECU100、エンジン200、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)、動力分割機構300、PCU400、バッテリ500、充電プラグ600、リレー回路700、燃料供給システム800、警告ランプ900、外気温センサ1000及びカーナビゲーション装置(以下、適宜「カーナビ装置」と略称する)1100を備えた、本発明に係る「ハイブリッド車両」の一例である。
減速機構11は、エンジン200及びモータジェネレータMG2から出力された動力に応じて回転可能に構成された、デファレンシャルギア(不図示)等を含んでなるギア機構であり、これら動力源の回転速度を所定の減速比に従って減速可能に構成されている。減速機構11の出力軸は、ハイブリッド車両10の車軸(符号省略)に連結されており、これら動力源の動力は、回転速度が減速された状態で当該車軸及び当該車軸に連結された、駆動輪としての車輪12に伝達されるように構成されている。
尚、減速機構11の構成は、エンジン200及びモータジェネレータMG2から供給される動力を、その動力に基づいた軸体の回転速度を減速しつつ車軸に伝達可能である限りにおいて何ら限定されず、単にデファレンシャルギア等を含んでなる構成を有していてもよいし、複数のクラッチ及びブレーキ並びに遊星歯車機構により構成される所謂リダクション機構として複数の変速比を得ることが可能に構成されていてもよい。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、ハイブリッド車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「特定手段」、「判別手段」及び「制御手段」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する貯留状態制御処理を実行することが可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「特定手段」、「判別手段」及び「制御手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、ハイブリッド車両10の動力源の一つとして機能するように構成された、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンである。エンジン200の詳細な構成は、後に図2を参照する形で詳述する。
モータジェネレータMG1は、バッテリ500を充電するための或いはモータジェネレータMG2に電力を供給するための発電機として、更にはエンジン200の動力をアシストする電動機として機能するように構成された電動発電機である。
モータジェネレータMG2は、本発明に係る「電動機」の一例たる電動発電機であり、エンジン200と共にハイブリッド車両10の動力源の一つとなる電動機として、或いはバッテリ500を充電するための発電機として機能するように構成されている。
尚、これらモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える。但し、他の形式のモータジェネレータであっても構わない。
動力分割機構300は、エンジン200の動力をMG1及び車軸へ分配することが可能に構成された遊星歯車機構である。尚、動力分割機構300の構成は公知の各種態様を採り得るため、ここではその詳細な説明を省略するが、簡略的に説明すると、動力分割機構300は、中心部に設けられたサンギアと、サンギアの外周に同心円状に設けられたリングギアと、サンギアとリングギアとの間に配置されてサンギアの外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギアと、後述するクランクシャフト205の端部に結合され、各ピニオンギアの回転軸を軸支するプラネタリキャリアとを備える。
このサンギアは、サンギア軸を介してMG1のロータ(符合は省略)に結合され、リングギアは、リングギア軸を介してMG2の不図示のロータに結合されている。リングギア軸は、車軸と連結されており、MG2が発する動力は、リングギア軸を介して車軸へと伝達され、同様に車軸を介して伝達される車輪12からの駆動力は、リングギア軸を介してMG2に入力される。係る構成の下、動力分割機構300により、エンジン200が発する動力は、プラネタリキャリアとピニオンギアとによってサンギア及びリングギアに伝達され、エンジン200の動力が2系統に分割される。この際、サンギアに伝達される動力によって、モータジェネレータMG1が正回転側に駆動されると、モータジェネレータMG1により発電が行われる構成となっている。
PCU400は、バッテリ500から取り出した直流電力を交流電力に変換して、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ500に供給することが可能に構成された不図示のインバータ等を含み、バッテリ500と各モータジェネレータとの間の電力の入出力を、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ500を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御することが可能に構成された電力制御ユニットである。PCU400は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
バッテリ500は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を駆動するための電力に係る電力供給源として機能することが可能に構成された充電可能な蓄電池である。ここで、バッテリ500は、ハイブリッド車両10の車外に設置される外部電源20により、適宜充電可能に構成されている。即ち、バッテリ500は、各モータジェネレータの発電作用により生じる電力の他に、外部電源20からの電力供給によっても充電される構成となっており、ハイブリッド車両10は、所謂プラグインハイブリッド車両となっている。
充電プラグ600は、リレー回路700の入力端子と電気的に接続されており、且つ外部電源20との電気的な接続を可能とする金属製のプラグである。尚、外部電源20は、例えば家庭用の100V電源であってもよいし、市街地や郊外の然るべきインフラ施設(例えば、ガソリンスタンドやサービスステーション)等にインフラ設備として設置されるものであってもよく、その物理的、機械的、機構的、電気的又は化学的態様は何ら限定されない趣旨である。
リレー回路700は、充電プラグ600側の入力端子と、バッテリ500側の出力端子との間の電気的な接続状態を二値的に且つ選択的に切り替え可能なスイッチング回路である(図1では接続されていない状態が示されている)。リレー回路700は、ECU100と電気的に接続されており、当該接続状態は、ECU100により制御される構成となっている。尚、入力端子と出力端子とが電気的に接続された状態において、バッテリ500は充電プラグ600と電気的に接続された状態となり、充電プラグ600が外部電源20と接続されている場合には、半ば自動的にバッテリ500への通電がなされ、充電が開始される構成となっており、入力端子と出力端子とが接続されていない状態において、バッテリ500は充電プラグ600から解放され、充電プラグ600が外部電源20と接続されている又はいないに関係なく、バッテリ500への通電が停止される構成となっている。
燃料供給システム800は、エンジン200に対し燃料たるガソリンを供給可能に構成された、本発明に係る「燃料貯留システム」の一例を含む装置群である。尚、燃料供給システム800については、後に図2を参照する形で詳述する。
警告ランプ900は、ハイブリッド車両10の車内におけるコンソールパネル付近にドライバによる視認が可能に設置されてなるインジケータであり、本発明に係る「給油促進手段」の一例である。警告ランプ900は、然るべきタイミングにおいて、給油が必要である旨を表す「Empty」なる文字が赤色に点灯する構成を有している。警告ランプ900の当該点灯に係る駆動系は、ECU100と電気的に接続されており、警告ランプ900は、ECU100の制御を受けて適宜に点灯する構成となっている。
外気温センサ1000は、ハイブリッド車両10の車外温度たる外気温Tを検出可能に構成されたセンサである。外気温センサ1000は、ECU100と電気的に接続されており、検出された外気温Tは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
カーナビ装置1100は、ハイブリッド車両10に搭載され、例えばハイブリッド車両10の位置情報、ハイブリッド車両10の周辺の道路情報(例えば、道路種別、道路幅、車線数、制限速度及び道路形状等)、ハイブリッド車両10の周囲に設置された各種施設の情報、ハイブリッド車両10周辺の渋滞情報、環境情報及び日時等の各種一般情報(カレンダ機能等により取得される)を含む各種ナビゲーション情報を取得可能或いは表示可能に構成された装置である。
カーナビ装置1100は、GPS衛星から供給されるGPS信号を受信することが可能に構成されたGPSアンテナ、道路上にインフラ設備として設置された電波ビーコン及び光ビーコンから、主として交通情報を含むVICS情報に関するデータを取得することが可能に構成されたVICSアンテナ、及び大気測定局や大気質常時測定局等によって測定される大気中のNOx濃度やオゾン濃度に関するデータ、更には、光化学スモッグ注意報や光化学スモッグ警報等、その都度適宜発令される大気汚染に関連する各種報知情報の発令状態を表す環境情報に関するデータを、これら各種測定局や各種放送局等から無線通信を介して取得することが可能に構成された各種無線通信装置等を含み、これらを介して取得される各種情報を各種ナビゲーション情報として、コンソールパネル上に設置されたディスプレイ装置に視覚情報又は適宜音声情報として表示可能に構成されている。
ここで、図2を参照し、エンジン200及び燃料供給システム800の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、エンジン200及び燃料供給システム800の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図2において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。また、クランクシャフト205の近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。尚、エンジン200は、紙面と垂直な方向に4本の気筒201が直列に配されてなる直列4気筒エンジンであるが、個々の気筒201の構成は相互に等しいため、図2においては一の気筒201についてのみ説明を行うこととする。
尚、本発明に係る「内燃機関」とは、ガソリンエンジンに限らず、軽油を燃料とするディーゼルエンジン又はアルコールとガソリンとの混合燃料を使用可能なバイフューエルエンジン等の形態を有していてもよい。また、ガソリンエンジンであるにせよ、その気筒配列は、直列型式に限定されない。
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート210において、インジェクタ212から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。この際、燃料は、燃料供給システム800により供給される構成となっている。尚、燃料を噴射する噴射手段の形態は、図示するような所謂吸気ポート噴射型インジェクタの構成を採らずともよく、例えば、フィードポンプ或いは他の低圧ポンプにより圧送される燃料の圧力を更に高圧ポンプによって昇圧せしめ、高温高圧の気筒201内部へ燃料を直接噴射することが可能に構成された、所謂直噴インジェクタ等の形態を有していてもよい。
気筒201内部と吸気管207とは、吸気バルブ211の開閉によってその連通状態が制御されている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり吸気バルブ211の開閉に連動して開閉する排気バルブ213の開弁時に排気ポート214を介して排気管215に導かれる。
一方、吸気管207における、吸気ポート210の上流側には、図示せぬクリーナを経て導かれた吸入空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ208が配設されている。このスロットルバルブ208は、ECU100と電気的に接続されたスロットルバルブモータ209によってその駆動状態が制御される構成となっている。尚、スロットルバルブモータ209は、基本的にはドライバの意思を反映したアクセル開度Taに応じたスロットル開度が得られるように、ECU100により駆動制御されるが、その駆動制御に際してドライバの意思が介在する必要は必ずしもなく(無論、ドライバの意思に反することのない範囲である)、言わば自動的にスロットル開度を調整することも可能である。即ち、スロットルバルブ208は、一種の電子制御式スロットルバルブとして構成されている。
排気管215には、三元触媒216が設置されている。三元触媒216は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能に構成された排気浄化装置である。
また、排気管215には、エンジン200の排気空燃比を検出することが可能に構成された空燃比センサ217が設置されている。更に、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータジャケットには、エンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(LLC)に係る冷却水温を検出するための水温センサ218が配設されている。
一方、図2において、燃料供給システム800は、メインタンク801を有する。メインタンク801は、金属材料で形成された所謂燃料タンクであり、本発明に係る「第1の液室」の一例である。メインタンク801内部には、本発明に係る「第1の燃料」の一例たる燃料FL1が貯留される構成となっている(尚、図示される燃料FL1の貯留状態は、メインタンク801における燃料FL1の一貯留状態に過ぎない)。
メインタンク801内部には、残量センサ802が設置されている。残量センサ802は、フロート式の液面高検出センサであり、メインタンク801における燃料FL1の残量を数値化して検出することが可能に構成されている。残量センサ802は、ECU100と電気的に接続されており、検出された燃料FL1の残量Rは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
メインタンク801内部には、フューエルポンプ803が配設されている。フューエルポンプ803は、メインタンク801内部の燃料貯留空間から燃料FL1を吸い上げることが可能に構成されたポンプ装置であり、吸い上げられた燃料FL1は、フューエルポンプ803に接続されたフィードパイプ804を介して、先述したインジェクタ212の燃料噴射弁に圧送供給される構成となっている。
メインタンク801には、給油管805が接続されており、その内部においてメインタンク801の燃料貯留空間に連通している。給油時には、この給油管805の先端部分に取り付けられたフューエルキャップ806が取り外され、燃料たるガソリンが給油管805を介してメインタンク801内部に給油される構成となっている。
また、燃料供給システム800は、メインタンク801に加えてサブタンク816を有する。サブタンク816は、メインタンク801と較べて小さい容積を有する、金属材料で形成された所謂燃料タンクであり、本発明に係る「第2の液室」の一例である。サブタンク816内部には、本発明に係る「第2の燃料」の一例たる燃料FL2が貯留される構成となっている(尚、図示される燃料FL2の貯留状態は、サブタンク816における燃料FL2の一貯留状態に過ぎない)。
サブタンク816内部には、残量センサ820が設置されている。残量センサ820は、フロート式の液面高検出センサであり、サブタンク820における燃料FL2の残量を数値化して検出することが可能に構成されている。残量センサ820は、ECU100と電気的に接続されており、検出された燃料FL2の残量は、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
サブタンク816内部には、フューエルポンプ817が配設されている。フューエルポンプ817は、サブタンク816における燃料貯留空間から燃料FL2を吸い上げることが可能に構成されたポンプ装置であり、吸い上げられた燃料FL2は、フューエルポンプ817に接続されたフィードパイプ818を介して、先述したフィードパイプ804に圧送供給される構成となっている。
フィードパイプ818における、フィードパイプ804との接続部位近傍には、流量調整バルブ819が配設されている。流量調整バルブ819は、その開弁状態に応じてフィードパイプ818とフィードパイプ804との連通面積を可変とし得る弁体を有しており、ECU100と電気的に接続された図示せぬ駆動系によってこの弁体の開弁状態が連続的に可変に制御されることによって、フィードパイプ818からフィードパイプ804へ流入する燃料FL2の流量を可変に制御することが可能となっている。尚、フィードパイプ818にはフィードパイプ804側からの燃料FL1の流入を防止する逆流防止弁(不図示)も設置されている。
尚、本実施形態では、メインタンク801及びサブタンク816が夫々インジェクタ212に接続されているが、インジェクタ212は、メインタンク801のみと接続されていてもよい。この場合、後述する移送ポンプ822は、好適には双方向に燃料を移送可能に構成される。
メインタンク801及びサブタンク816には、夫々連通管821の両端部が接続されており、その内部において各タンクに連通する構成となっている。この連通管821上には、移送ポンプ822が設置されている。
移送ポンプ822は、内部に設置された、モータ駆動されるポンプ翼車の回転により、メインタンク801内に貯留された燃料FL1をサブタンク816内部に圧送供給することによって、燃料FL1をサブタンク816内に移送することが可能に構成された、本発明に係る「移送手段」の一例たる電動式のポンプ装置である。
移送ポンプ822において、このモータを駆動する駆動装置は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその駆動状態が制御される構成となっている。尚、駆動装置への電力供給は、先に述べたPCU400を介して適宜になされる構成となっている。また、連通管821には、サブタンク816からメインタンク801への燃料の流入を防止する逆流防止弁823が設置されている。
尚、本実施形態における移送ポンプ822は、ポンプ翼車の回転方向が一方向であり、メインタンク801からサブタンク816への燃料FL1の移送のみが可能に構成されているが、これは本発明に係る「移送手段」の一形態に過ぎず、燃料はメインタンク801とサブタンク816との間で双方向に移送可能に構成されていてもよい。このような双方向の移送は、例えば、上記ポンプ翼車の回転方向を逆転させることにより得られてもよいし、他のポンプを別途設置することにより得られてもよい。
メインタンク801の上方には、メインタンク801内部に貯留された燃料FL1の液面上部空間とブリーザ配管810とを適宜に連通させることが可能に構成されたベントバルブ809が備わる。
ベントバルブ809は、メインタンク801の内圧とブリーザ配管810との差圧が所定値に達すると開弁するように構成されたバルブ装置である。ベントバルブ809は、その開弁時において、蒸発燃料(ベーパ)を含む空気を、ブリーザ配管810を介して後述するキャニスタ811に供給することが可能に構成される。
ベントバルブ809は、ROV(Roll Over Valve)807及びCOV(Cut Off Valve)808を介して上記液面上部空間と連通する構成となっている。
ROV807は、給油時の液面上昇により閉弁し、ベントバルブ809とメインタンク801との連通を遮断するように構成されている。また、ROV807は、車両転倒時等においてもベントバルブ809とメインタンク801との連通を遮断する構成となっており、ブリーザ配管810を介して燃料FL1が外部に漏洩しない構成となっている。
COV808は、ROV807と並列配置されており、ROV807よりも更に液面が上昇した場合にベントバルブ809とメインタンク801との連通を遮断するように構成されている。COV808は、給油時の液面上昇に際しては、ROV807の閉弁後も開弁状態を維持するが、車両旋回による液面の動揺等により液面がCOV808まで到達するような場合には閉弁し、ベントバルブ809とメインタンク801との連通を遮断するように構成されており、ベントバルブ809を介して燃料FL1が外部に漏洩しない構成となっている。
キャニスタ811は、内部に蒸発燃料を吸着保持可能な活性炭等の吸着材812を備えたベーパ吸着装置である。キャニスタ811は、先述したブリーザ配管810、大気連通管813及びパージ用配管814の三種類の配管に接続されている。
大気連通管813は、ハイブリッド車両10の車外空間と連通する管状部材である。大気連通管813は、後述するパージコントロールバルブ815が閉弁し且つ先に述べたベントバルブ809が開弁している場合には、ブリーザ配管810を介してキャニスタ811に流入するガスのうち吸着材811によるベーパ吸着後に残留する清浄な空気を車外へ導くと共に、パージコントロールバルブ815が開弁し且つベントバルブ809が閉弁している場合には、車外から外気をキャニスタ811に導くように構成されている。
パージ用配管814は、一端部がキャニスタ811の下方に接続され、他端部が吸気管207のスロットルバルブ208上流側(気筒と反対側)に接続された、パージガスの通路である。
ここで、「パージガス」とは、大気連通管813を介して適宜導かれる外気と吸着材812に吸着保持されたベーパとの混合体(ベーパの吸着量がゼロであれば、即ち外気そのもの)であり、係るパージガスは、エンジン200の稼動時に、パージ用配管814を介して吸気管207に供給され、パージ(即ち、蒸発燃料を吸気系へ戻す処理)がなされる構成となっている。
パージコントロールバルブ815は、パージ用配管814上に設置された、VSV(Vacuum Switching Valve)である。パージコントロールバルブ815の弁体は、エンジン200の非稼動時には、パージコントロールバルブ815の上流側と下流側(この場合の上流側及び下流側とは、パージガスの流れ方向を基準とした方向概念であって、上流側とは即ちキャニスタ側であり、下流側とは即ちスロットルバルブ208側を指す)との連通を遮断する遮断位置で停止するようにコイルバネ等の弾性体により付勢されている。
一方、エンジン200が稼動状態にある場合、吸気管207には主として吸気行程において負圧が形成される。この負圧によって、VSVたるパージコントロールバルブ815の弁体位置は、上記遮断位置から変化し、パージコントロールバルブ815の上流側と下流側とが連通する。その結果、エンジン負圧により大気連通管813を介して外気が導かれ、また係る外気が、パージ用配管814へ到達する途上において吸着材812に保持されたベーパと適宜混合されることによって、上述したパージガスとしてパージ用配管814を介して吸気管207へ供給されるのである。
尚、パージコントロールバルブ815は、本実施形態ではVSVとして構成されるが、その構成はVSVに限定されない。例えば、パージ用配管814上には、電磁アクチュエータ等により駆動される弁体を備えた電磁制御式の弁装置が設置されていてもよい。
<実施形態の動作>
ハイブリッド車両10は、エンジン200を機関停止状態とし、且つモータジェネレータMG2によりハイブリッド車両10の走行に要する動力を供給せしめることにより、EV走行を行うことが可能である。
ハイブリッド車両10は、エンジン200を機関停止状態とし、且つモータジェネレータMG2によりハイブリッド車両10の走行に要する動力を供給せしめることにより、EV走行を行うことが可能である。
特に、ハイブリッド車両10のように、外部電源20からの充電が可能に構成されたプラグインハイブリッド車両においては、他のハイブリッド車両よりも広範な運転条件でEV走行を選択することが可能であり(即ち、バッテリ500のSOCを、MG1による発電或いは減速時のエネルギ回生以外によって、これらと較べれば自由なタイミングで回復させることが可能であり、車速や要求出力による制限が緩和される傾向がある)、必然的にエンジン200の稼動頻度は低下する。まして、動力源としてエンジン200(それに類する各種内燃機関)のみを有する車両と較べれば、当該稼動頻度は極端に低いものとなる。
一方で、エンジン200が稼動しているか否かにかかわらず、メインタンク801内の燃料FL1はその蒸発速度の高低はさておき蒸発するから、生じたベーパは、給油時の液面上昇によるタンク内圧の上昇を待たずとも適宜ベントバルブ809を押し開き、キャニスタ811の吸着材812に吸着される。
ここで、上述したように、エンジン200の稼動頻度が極端に低い場合、VSVたるパージコントロールバルブ815は上記遮断位置のままであり、ベーパのパージが行われない。このため、余りに長期にわたってエンジン200が非稼動となると、ベーパ量が吸着材812の保持限界を超える、換言すればキャニスタ811が飽和状態を超える可能性がある。
このようにキャニスタ811が飽和状態を越えた場合、或いは近未来的に飽和状態を超えると予測される場合(例えば、飽和状態にある場合、或いは近未来的に飽和状態に陥る可能性が高い場合等を含む)等においては、大気連通管813を介してベーパが外界に放出される事態を防止するために、エンジン200を稼動させ、吸気管207に負圧を形成することによって先に述べたパージを実行する必要がある。
ところが、このような理由によるエンジン200の始動は、ハイブリッド車両10の要求駆動力の観点から見れば必ずしも必要ではない(即ち、ベーパの大気放出を防止するためだけに燃料をエンジン200内で強制的に燃焼させているに過ぎない)から、燃費の観点からは望ましくない。
また、燃料の蒸発とは別に、余りに長期にわたって燃料が使用されない(エンジン200が非稼動である)場合、燃料自体に経時的な劣化が生じて、エンジン200の各部の円滑な動作が阻害される可能性がある。或いは、エンジン200において燃焼が悪化(特に、始動特性が悪化)する可能性がある。このような問題は、ハイブリッド車両に限らず通常の車両においても同様に生じ得る。そこで、本実施形態では、これらの問題を解決すべく、ECU100により貯留状態制御処理が実行される。
ここで、図3を参照して、貯留状態制御処理の詳細について説明する。ここに、図3は、貯留状態制御処理のフローチャートである。
図3において、ECU100は、メインタンク801に貯留された燃料FL1をサブタンク816に移送するか否かを決定する、移送要否判別処理を実行する(ステップS200)。ここで、図4を参照し、移送要否判別処理の詳細について説明する。ここに、図4は、移送要否判別処理のフローチャートである。
図4において、ECU100は、カーナビ装置1100を利用し、燃料FL1が軽質燃料であるか否かを判別する(ステップS201)。
ここで、燃料には軽質燃料たる冬燃料と、重質燃料たる夏燃料とがあり、前者は比較的気温の低い期間に、後者は比較的気温の高い期間に、夫々提供されている。ECU100は、予め直近の給油時に、カーナビ装置1100のカレンダ機能を利用し、本発明に係る「給油時の時候」の一例としての給油時の季節に関する情報(先に述べた、「各種一般情報」の一例)を取得し、燃料性状を特定するための参照情報として、然るべき記憶手段(例えば、RAMやフラッシュメモリ)に予め記憶している(即ち、燃料性状を特定する特定手段の動作の一例である)。
そして、ECU100は、ステップS201に際し、この参照情報を当該然るべき記憶手段等から読み出し、直近の給油時における季節が、冬季燃料の提供時期に相当する場合には燃料FL1が軽質燃料である旨の判別を行い、夏季燃料の提供時期に相当する場合には、燃料FL1が重質燃料である旨の判別を行う(即ち、燃料性状を特定する特定手段の動作の一例である)。
尚、冬季燃料の提供時期及び夏季燃料の提供時期については、予めROMに設定情報として与えられているが、サービスステーションや各種情報発信拠点よりインフラ情報等としてこの種の燃料性状情報が提供される場合には、カーナビ装置1100の無線通信装置等を利用してこの種の燃料性状情報を取得してステップS201に係る判別を行ってもよい。或いは、燃料供給システム800に燃料性状センサ等の各種検出手段が備わる場合には、当該検出手段による検出結果を参照して燃料FL1が軽質燃料であるか重質燃料であるかの二値的な特定を行ってもよい。
燃料FL1が軽質燃料である場合(ステップS201:YES)、ECU100は、更に外気温センサ1000により検出される外気温Tが予め設定された基準値Tth以下であるか否かを判別する(ステップS202)。
基準値Tthは、それよりも高い温度領域において、軽質燃料たる燃料FL1の蒸発速度が実践上看過し難くなる旨を規定する温度であり、冬燃料が晒される可能性が本来低い夏季に相当する温度に設定されている。より具体的には、基準値Tthは、例えば摂氏30℃前後の値であってもよい。
尚、ここでは、外気温Tが参照されるが、この種の瞬間的な温度値ではなく、一定又は不定の期間にわたる外気温の平均値が参照されてもよい。
外気温Tが基準値Tthよりも高い場合(ステップS202:NO)、ECU100は燃料移送フラグFGを、燃料FL1の移送が必要である旨を表す「1」に設定する(ステップS206)。一方、燃料FL1が重質燃料である(ステップS201:NO)又は外気温Tが基準値Tth以下である(ステップS202:YES)場合、ECU100は、残量センサ802により検出される燃料FL1の残量Rが基準値Rth以上であるか否かを判別する(ステップS203)。
残量Rの基準値Rthは、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、それ未満の領域では、燃料が、重質であるか軽質であるかにかかわらず実践上看過し難い速度で蒸発するものと判断される値に設定されている。例えば、基準値Rthは、満タン給油時の残量Rを100とすれば、概ね20〜30前後の値であってもよい。残量Rが基準値Rth未満である場合(ステップS203:NO)、ECU100は、燃料FL1が蒸発し易いものとして、燃料移送フラグFGを「1」に設定する(ステップS206)。
一方、残量Rが基準値Rth以上である場合(ステップS203:YES)、ECU100は更に、燃料FL1の貯留期間ΔTが基準値ΔTth以下であるか否かを判別する(ステップS204)。
ここで、「貯留期間」とは、直近の給油時から現時点に至る期間の長さを指し、燃料の劣化状態を規定する指標値の一例となる。ECU100は、直近の給油時において内蔵タイマによるカウントを開始しており、ここでは、その積算時間値が貯留期間ΔTとして取得される。
また、基準値ΔTthとは、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、それよりも大きい値において実践上看過し難い燃料劣化が生じ得るものとして決定された値である。例えば、基準値ΔTthは、180日内外の値であってもよい。また、等しい貯留期間であっても、外界の環境条件によっては、燃料の劣化速度に変化が生じる場合もある。従って、ECU100は、現時点の時候や気候条件に基づいて、適宜基準値の補正又は貯留期間ΔTの補正を行ってもよい。或いは、予めこの種の気候条件等に応じた複数の基準値を記憶しておいてもよい。
ECU100は、貯留期間ΔTが基準値ΔTthよりも長い場合(ステップS204:NO)、燃料FL1が劣化しているものとして燃料移送フラグFGを「1」に設定する(ステップS206)と共に、貯留期間ΔTが基準値ΔTth以下である場合(ステップS204:YES)、即ち、燃料FL1が蒸発し易い条件になく、且つ劣化しているとも判断されない場合には、燃料移送フラグFGを、燃料移送が不要である旨を表す「0」に設定する(ステップS205)。
ステップS205又はステップS206により燃料移送フラグFGが「0」又は「1」のいずれかに設定されると、移送要否判別処理は終了する。
図3に戻り、移送要否判別処理が終了すると、ECU100は、先に設定された燃料移送フラグFGが「1」であるか、即ち燃料移送が必要であるか否かを判別する(ステップS101)。燃料移送フラグFGが「0」、即ち燃料移送の必要が無い場合(ステップS101:NO)、ECU100は、処理をステップS200に戻し、処理を繰り返す。
燃料移送フラグFGが「1」である場合(ステップS101:YES)、ECU100は、移送ポンプ822を駆動制御して、サブタンク816への、メインタンク801内の燃料FL1の移送を開始する(ステップS102)。
この際、ECU100は、基本的に燃料FL1を全量サブタンク816に移送させる。先述したように、サブタンク816はメインタンク801と較べて小容量であり、等量の燃料を貯留した場合、燃料の蒸発速度はサブタンク816の方が低くなる(即ち、本発明に係る「蒸発が抑制された状態で」燃料を貯留可能である旨の一例である)。即ち、燃料FL1を全量サブタンク816に移送することによって、燃料供給システム800全体として見た場合に、ベーパの発生を抑制することが可能となる。
ここで、本実施形態では、以下の如くにして更にベーパの発生が抑制される。即ち、燃料FL1の移送が開始されると、ECU100は、サブタンク816が満タン状態(残量センサ820により検出される残量によって判断可能である)であるか否かを判別する(ステップS103)。サブタンク816が満タン状態でない場合(ステップS103:NO)、ECU100は更に、メインタンク801が空になったか否かを判別する(ステップS104)。
サブタンク816が満タン状態でなく且つメインタンク801が空でない場合(ステップS104:NO)、ECU100は、処理をステップS102に戻して燃料FL1の移送を継続させると共に、サブタンク816が満タン状態でなく且つメインタンク801が空である場合(ステップS104:YES)、警告ランプ900を点灯させる(ステップS105)。警告ランプ900は、既に述べたように、給油を促すインジケータであり、点灯制御されることにより、ドライバに給油を促すことが可能となる。
尚、貯留状態制御処理を実行するにあたってのハイブリッド車両10の動作状態は特に限定されず、ハイブリッド車両10がEV走行している期間において当該処理が実行されてもよいが、ハイブリッド車両10がプラグインハイブリッド車両である点に鑑みれば、エンジン200、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2のいずれもが停止してなるソーク状態において外部電源20を介してなされる充電時が、貯留状態制御処理の実行機会として好適な一形態となる。この場合、特に充電が自宅でなされる場合には、ドライバが車内に居ない可能性があり、警告ランプ900の点灯は無駄な電力消費を生みかねない。従って、このような場合には、次回のイグニッションオン時(即ち、車両の始動時)において、警告ランプ900が点灯制御されてもよい。
警告ランプ900が点灯制御されると、ECU100は、給油が完了したか否かを判別する(ステップS106)。給油が完了していない場合(ステップS106:NO)、ECU100はステップS106を繰り返し実行して、処理を実質的に待機状態に制御する。一方、給油が完了した場合、ECU100は、処理をステップS102に戻し、一連の処理を実行する。即ち、サブタンク816が満タン状態となるまで、給油後のメインタンク801から燃料FL1が移送される。このような過程を辿り、サブタンク816が満タン状態となると(ステップS103:YES)、ECU100は、燃料移送フラグFGを「0」に設定し、処理をステップS200に戻す。貯留状態制御処理は、このようにして実行される。
ここで、ステップS103に係る処理により、サブタンク816が満タン状態とされた場合、サブタンク816での燃料の蒸発は、サブタンク816内の余剰空間が最小限となる点に鑑みれば最大限に抑制される。即ち、燃料の蒸発を可及的に抑制することが可能となるのである。尚、このような措置は、劣化燃料を移送する場合には、蒸発抑制を目的とする場合と較べれば利点が少ないが、劣化燃料のみをサブタンク816に貯留することに較べれば、正常な燃料を幾らかなり混合することによって、サブタンク内の燃料の劣化の度合いを低下させることが可能であり、エンジン始動後の燃料処理(本実施形態では特に限定されない)を考えれば無意味ではない。
以上説明したように、本実施形態に係る貯留状態制御処理によれば、メインタンク801に貯留された燃料FL1が蒸発し易い状態にある場合は、燃料FL1がサブタンク816に移送される。この際、本実施形態では特に、メインタンク801への給油が促され、且つ新規に給油された燃料の一部が、サブタンク816が満タン状態となるまでサブタンク816に移送される。
このため、燃料の蒸発が好適に抑制され、キャニスタ811の吸着材812がベーパの保持限界を超える事態が少なくとも抑制、好適には防止される。従って、ベーパをパージする目的のみによりエンジン200を始動させる機会を減少させることが可能となり、燃費の悪化を抑制することが可能となる。
また、係る燃料移送は、燃料が劣化していると判断された場合にも実行されるため、エンジン200の始動が要求された際に、劣化燃料のみが供給されるといった事態が防止され、エンジン200の円滑な動作が阻害される或いは燃焼が不安定となるといった不具合が防止される。即ち、本実施形態によれば、長期間エンジン200が不使用である場合に蒸発燃料又は劣化燃料により生じ得る各種の不具合が好適に防止されるのである。
<第2実施形態>
次に、図5を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。ここに、図5は、本発明の第2実施形態に係る燃料供給システム1200の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
<第2実施形態>
次に、図5を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。ここに、図5は、本発明の第2実施形態に係る燃料供給システム1200の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図5において、燃料供給システム1200は、サブタンク816に替えて、ケース1210に収容された容量可変型のサブタンク1220を備える点において、第1実施形態と相違している。
サブタンク1220は、金属製のケース1210に収容されており、伸縮可能な樹脂製材料(例えば、硬質ゴムや強化ゴム等)で構成された、本発明に係る「容量可変構造」の一例たる構造を有する容器である。
このサブタンク1220によれば、貯留する燃料FL2の量に応じて、その容量が可変とされ得るため、先に述べた貯留状態制御処理に係るサブタンクを満タン状態とする旨の蒸発抑制措置を講じる必要はなくなり、その時点の燃料FL1を全量サブタンク1220に移送するだけで、燃料の蒸発を好適に抑制することが可能となるため、実践上有益である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う燃料貯留システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…ハイブリッド車両、100…ECU、200…エンジン、201…気筒、203…ピストン、205…クランクシャフト、300…動力分割機構、400…PCU、500…バッテリ、600…充電プラグ、700…リレー回路、800…燃料供給システム、801…メインタンク、809…ベントバルブ、810…ブリーザ配管、811…キャニスタ、812…吸着材、813…大気連通管、814…パージ用配管、815…パージコントロールバルブ、816…サブタンク、821…連通管、822…移送ポンプ、900…警告ランプ、1000…外気温センサ、1100…カーナビ装置、1200…燃料供給システム。
Claims (12)
- 車両において内燃機関の燃料を貯留するシステムであって、
前記燃料を前記内燃機関に供給するための燃料供給装置に接続されると共に前記燃料を第1の燃料として貯留可能な第1の液室と、
前記第1の液室と較べて蒸発が抑制された状態で前記燃料を貯留可能な第2の液室と、
前記第1の燃料を前記第2の液室へ移送可能な移送手段と、
前記第1の燃料の燃料性状を特定する特定手段と、
該特定された燃料性状に基づいて前記第2の液室への前記第1の燃料の移送の要否を判別する判別手段と、
前記移送が必要である旨が判別された場合に前記第1の燃料が前記第2の液室へ移送されるように前記移送手段を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする燃料貯留システム。 - 前記第2の液室は、前記第1の液室と較べて小容量である
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料貯留システム。 - 前記第2の液室は、容量可変構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料貯留システム。 - 前記制御手段は、前記第1の燃料が全て前記第2の液室に移送されるように前記移送手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料貯留システム。 - 前記特定手段は、前記燃料性状として前記第1の燃料が軽質燃料であるか否かを特定し、
前記判別手段は、前記第1の燃料が前記軽質燃料である場合に前記移送が必要であると判別する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料貯留システム。 - 前記特定手段は、給油時の時候に基づいて前記第1の燃料が前記軽質燃料であるか否かを特定する
ことを特徴とする請求項5に記載の燃料貯留システム。 - 前記特定手段は、前記燃料性状として外気温を特定し、
前記判別手段は、前記第1の燃料が前記軽質燃料であり且つ前記特定された外気温が所定値以上である場合に前記移送が必要であると判別する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の燃料貯留システム。 - 前記特定手段は、前記燃料性状として前記第1の燃料の残量を特定し、
前記判別手段は、前記特定された残量が所定値未満である場合に前記移送が必要であると判別する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の燃料貯留システム。 - 前記特定手段は、前記燃料性状として、前記第1の燃料が劣化しているか否かを特定し、
前記判別手段は、前記第1の燃料が劣化している場合に前記移送が必要であると判別する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料貯留システム。 - 前記特定手段は、前記第1の液室に対し給油がなされてよりの経過時間に基づいて前記第1の燃料が劣化しているか否かを特定する
ことを特徴とする請求項9に記載の燃料貯留システム。 - 前記移送がなされるに際してドライバに対し前記第1の液室への給油を促す給油促進手段を更に具備する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料貯留システム。 - 前記車両は、前記内燃機関と共に動力源として機能する少なくとも一つの電動機を備えたハイブリッド車両である
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の燃料貯留システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008214327A JP2010048196A (ja) | 2008-08-22 | 2008-08-22 | 燃料貯留システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008214327A JP2010048196A (ja) | 2008-08-22 | 2008-08-22 | 燃料貯留システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010048196A true JP2010048196A (ja) | 2010-03-04 |
Family
ID=42065467
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008214327A Pending JP2010048196A (ja) | 2008-08-22 | 2008-08-22 | 燃料貯留システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010048196A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102192052A (zh) * | 2010-03-11 | 2011-09-21 | 本田技研工业株式会社 | 蒸发燃料处理装置 |
JP2011185226A (ja) * | 2010-03-11 | 2011-09-22 | Honda Motor Co Ltd | 制御バルブの制御方法 |
JP2012255376A (ja) * | 2011-06-08 | 2012-12-27 | Mitsubishi Motors Corp | 外気温推定装置 |
CN103397961A (zh) * | 2013-08-04 | 2013-11-20 | 贵州詹阳动力重工有限公司 | 双车体全地形车燃油供给系统 |
KR101858197B1 (ko) | 2013-12-05 | 2018-05-16 | 스카니아 씨브이 악티에볼라그 | 차량에 대한 레인지를 결정하는 방법 및 시스템 |
-
2008
- 2008-08-22 JP JP2008214327A patent/JP2010048196A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102192052A (zh) * | 2010-03-11 | 2011-09-21 | 本田技研工业株式会社 | 蒸发燃料处理装置 |
JP2011185226A (ja) * | 2010-03-11 | 2011-09-22 | Honda Motor Co Ltd | 制御バルブの制御方法 |
US8640676B2 (en) | 2010-03-11 | 2014-02-04 | Honda Motor Co., Ltd. | Evaporated fuel treatment apparatus |
JP2012255376A (ja) * | 2011-06-08 | 2012-12-27 | Mitsubishi Motors Corp | 外気温推定装置 |
CN103397961A (zh) * | 2013-08-04 | 2013-11-20 | 贵州詹阳动力重工有限公司 | 双车体全地形车燃油供给系统 |
KR101858197B1 (ko) | 2013-12-05 | 2018-05-16 | 스카니아 씨브이 악티에볼라그 | 차량에 대한 레인지를 결정하는 방법 및 시스템 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10363925B2 (en) | Method for detecting leaks in an intake manifold | |
US9115665B2 (en) | Method and system for engine control | |
JP5185059B2 (ja) | ハイブリッド車両の制御装置 | |
US9284924B2 (en) | Vehicle refueling detection method utilizing hydrocarbon sensor | |
US10378485B2 (en) | Systems and methods for preheating a fuel vapor storage canister | |
US20140318504A1 (en) | Air intake system hydrocarbon trap purging | |
CN103628996A (zh) | 用于油稀释度控制的方法和系统 | |
EP2141343B1 (en) | Control method and system for dual-fuel engine | |
US10941704B2 (en) | Systems and methods for controlling engine operation to support external electric loads | |
US20190136775A1 (en) | Systems and methods for conducting onboard engine cleaning routines in a vehicle | |
US9376969B2 (en) | Air intake system hydrocarbon trap purging | |
JP2010048196A (ja) | 燃料貯留システム | |
JP2008105639A (ja) | ハイブリッド車両の制御装置 | |
US10865724B2 (en) | Systems and methods for characterization of aged fuel for an engine cold start | |
JP2009085036A (ja) | 蒸発燃料処理装置 | |
JP2010270652A (ja) | 蒸発燃料処理装置 | |
US20200317183A1 (en) | Systems and methods for controlling engine operation to support external electric loads | |
JP5373459B2 (ja) | 燃料タンクシステムの制御装置 | |
JP5983469B2 (ja) | ハイブリッド車の制御装置 | |
JP2008088864A (ja) | デュアルフューエルエンジンの制御装置 | |
JP2010138813A (ja) | 燃料貯留システム | |
JP2010242512A (ja) | 燃料貯留システム | |
JP2010047175A (ja) | 燃料貯留システム | |
CN114763769A (zh) | 用于蒸发排放控制的自适应燃料补给 | |
JP2015034491A (ja) | 車両用触媒の保護装置 |