以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
(実施形態)
図1は、狭角V型内燃機関を示す構成図である。なお、狭角V型内燃機関200は、例えば、複数の気筒を有するが、図1には、狭角V型内燃機関200の1気筒分の構成を示す。図1に示すように、狭角V型内燃機関200は、シリンダー221と、ピストン222とを含んで構成されるレシプロ型の内燃機関である。狭角V型内燃機関200は、シリンダーヘッド210と、シリンダーブロック220と、クランクケース230とを含んで構成される。
シリンダーブロック220は、貫通孔が形成される。シリンダーブロック220は、前記貫通孔の一方の開口側にシリンダーヘッド210が取り付けられ、他方の開口側にクランクケース230が取り付けられる。
シリンダーヘッド210は、吸気ポート211と、排気ポート212と、筒内燃焼空間215とが形成される。筒内燃焼空間215は、シリンダーヘッド210の部分のうち、シリンダーブロック220に取り付けられる部分に凹んで形成される。
吸気ポート211は、筒内燃焼空間215に開口する。これにより、狭角V型内燃機関200は、吸気ポート211を介して空気を筒内燃焼空間215に導く。排気ポート212は、筒内燃焼空間215に開口する。これにより、狭角V型内燃機関200は、排気ポート212を介して筒内燃焼空間215内の排気ガスを筒内燃焼空間215から排出する。
シリンダーヘッド210には、インジェクタ213と、点火プラグ214とが設けられる。インジェクタ213は、燃料を噴射する部分が、例えば、吸気ポート211に突出して設けられる。これにより、インジェクタ213は、吸気ポート211内に燃料を噴射する。吸気ポート211に噴射された燃料は、吸気ポート211内の空気と共に筒内燃焼空間215に導かれる。
点火プラグ214は、筒内燃焼空間215内の空気と混ざった燃料を燃焼させる。点火プラグ214は、火花が発生する部分が、筒内燃焼空間215に突出して設けられる。点火プラグ214は、例えば、吸気ポート211と排気ポート212とに囲まれた位置に火花が発生する部分が突出するように設けられる。
シリンダーブロック220は、シリンダー221が形成される。シリンダー221は、シリンダーブロック220に形成される前記貫通孔の少なくとも一部である。また、シリンダーブロック220の内部には、ピストン222と、コネクティングロッド223とが設けられる。ピストン222は、シリンダー221の内部をシリンダー221の軸SLに沿って移動する。
コネクティングロッド223は、ピストン222を境に筒内燃焼空間215の反対側に設けられる。コネクティングロッド223は、一方の端部がピストン222に回動できるように連結され、他方の端部が、クランクケース230に収納されるクランクシャフト231に回動できるように連結される。
クランクシャフト231は、ピストン222の往復運動を回転運動に変換する。コネクティングロッド223を介して入力されたピストン222の運動エネルギーは、クランクシャフト231によって回転運動に変換されて、狭角V型内燃機関200から取り出される。
図2は、狭角V型内燃機関のシリンダーヘッド鉛直方向に投影した投影図である。本実施形態の狭角V型内燃機関200は、例えば、図1に示す構成と同様の構成の気筒を、第1気筒1から第6気筒6まで合計6気筒有する。
図2に示すように、第1気筒1と、第3気筒3と、第5気筒5とが一列に配列されて、第1バンクが構成される。また、第2気筒2と、第4気筒4と、第6気筒6とが一列に配列されて、第2バンクが構成される。狭角V型内燃機関200は、第1バンクと第2バンクとが成す角であるバンク角が、例えば、15度以下に設定される内燃機関であって、いわゆる狭角V型内燃機関である。
ここで、本実施形態では、前記バンク角を以下のように取り扱う。第1気筒1の図1に示すシリンダー221の軸SLと、第3気筒3のシリンダー221の軸SLと、第5気筒5のシリンダー221の軸SLとをすべて含む仮想の面を第1の面とする。また、第2気筒2のシリンダー221の軸SLと、第4気筒4のシリンダー221の軸SLと、第6気筒6のシリンダー221の軸SLとをすべて含む仮想の面を第2の面とする。前記バンク角は、前記第1の面と前記第2の面とが成す2つの角度のうち、小さい方の角度をいう。
ここで、以下、前記第1の面と、前記第2の面とを等しく2分する仮想の面と直交する方向を幅方向といい、前記第1の面と、前記第2の面とを等しく2分する仮想の面に沿う方向のうち、クランクシャフト231に沿う方向を縦方向とする。
本実施形態では、前記第1の面と、前記第2の面とを等しく2分する仮想の面に沿う方向のうち、クランクシャフト231と直交する方向が鉛直方向に沿うように狭角V型内燃機関200を車両に設置するものとして説明する。よって、以下、前記第1の面と、前記第2の面とを等しく2分する仮想の面に沿う方向のうち、クランクシャフト231と直交する方向を鉛直方向として扱う。
ここで、シリンダーヘッド210を構成する部材の壁面のうち、前記仮想の面に直交する方向、つまり幅方向の前記壁面であって、第1バンクの排気ポート212及び第2バンクの排気ポート212が配置される側の壁面を基準壁面216とする。第1バンクと第2バンクの2つのバンクのうち、それぞれの排気ポート212と基準壁面216との間の距離が小さい方のバンクを第2バンクとする。
狭角V型内燃機関200は、バンク角が一般的なV型内燃機関よりも小さい。よって、狭角V型内燃機関200は、第1バンクのシリンダーヘッド210と、第2バンクのシリンダーヘッド210とが一体に構成される。これにより、狭角V型内燃機関200は、シリンダーヘッド210の幅方向の大きさが、一般的なV型内燃機関のシリンダーヘッドの幅方向の大きさよりも低減される。
一方、狭角V型内燃機関200は、有する気筒の数及び気筒の大きさが同じ場合、各気筒がすべて一列に配列される直列型内燃機関よりも縦方向の大きさが小さい。これは、狭角V型内燃機関200は、第1気筒1と第3気筒3との間の距離、第3気筒3と第4気筒4との間の距離、第2気筒2と第4気筒4との間の距離、第4気筒4と第6気筒6との間の距離を低減するために、各気筒が交互に千鳥状に配置されるためである。
以上のように、狭角V型内燃機関200のシリンダーヘッド210は、一般的なV型内燃機関のシリンダーヘッドよりも幅方向の大きさが低減されると共に、直列型内燃機関のシリンダーヘッドよりも縦方向の大きさが低減される。このようにして、狭角V型内燃機関200は、シリンダーヘッド210が小型化される。一方で、シリンダーヘッド210が小型化されると、狭角V型内燃機関200を冷却する冷却媒体が流れる通路の断面積の大きさや形状も、より厳しい制限を受ける。
例えば、シリンダーヘッド210の小型化と共に、前記通路の断面積が小さく設定されると、狭角V型内燃機関200を冷却するために必要な一定の流量を確保するためには、前記通路に冷却媒体を送り出すウォーターポンプの負荷が大きくなる。
また、シリンダーヘッド210が小型化されると、前記通路が形成される部分のスペースに余裕がなくなり、設計の自由度が低下するおそれがある。これにより、前記通路の形状が複雑に湾曲するおそれがある。
シリンダーヘッド210の小型化と共に、前記通路の形状が複雑に湾曲して形成されると、前記通路を流れる冷却媒体の圧力の損失が増大する。よって、狭角V型内燃機関200を冷却するために必要な一定の流量を確保するためには、前記通路に冷却媒体を送り出すウォーターポンプの負荷が大きくなる。
これにより、前記ウォーターポンプが大型化するおそれがある。一方、ウォーターポンプの負荷を変えずに、ウォーターポンプが前記通路に送り出す冷却媒体の流量を小さくすると、狭角V型内燃機関200の冷却が不十分になるおそれがある。
しかしながら、次に説明する構成を備えることにより、本実施形態の冷却装置100は、ウォーターポンプが大型化するおそれを抑制できる。また、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200の冷却が不十分になるおそれを抑制できる。以下、冷却装置100の構成を説明してその理由を説明する。
図3は、狭角V型内燃機関を冷却する冷却装置の全体の構成を示す構成図である。図3に示す冷却装置100は、狭角V型内燃機関200を冷却する。なお、本実施形態では、冷却装置100は、バンク角が例えば15度以下の狭角V型内燃機関を冷却するものとして説明するが、冷却装置100は、バンク角が例えば15度を超えるV型内燃機関を冷却してもよい。
冷却装置100は、第1バンクのシリンダーヘッドと、第2バンクのシリンダーヘッドとが一体に形成されるV型内燃機関を冷却するものである。よって、冷却装置100の冷却の対象は、シリンダーヘッドが一体に構成されるV型内燃機関であれば、バンク各の大きさは限定されない。
冷却装置100は、例えば、冷却媒体通路110上にラジエター150と、ウォーターポンプ160と、狭角V型内燃機関200とが配置される。冷却媒体通路110は、狭角V型内燃機関200との間で熱交換する冷却媒体が流れて循環する通路である。ウォーターポンプ160は、冷却媒体を冷却する。ラジエター150は、冷却媒体を送り出して冷却媒体通路110内を循環させる。
ラジエター150によって、冷却された冷却媒体は、ウォーターポンプ160によって狭角V型内燃機関200に向けて送り出される。次に、冷却媒体は、狭角V型内燃機関200のシリンダーブロック220及びシリンダーヘッド210に形成された冷却通路120に導かれる。
冷却通路120は、冷却媒体通路110の一部である。冷却媒体は、冷却通路120の入口である冷却通路入口111を介して冷却通路120に導かれる。なお、冷却通路120の構成は後述する。冷却通路入口111を介して冷却通路120に導かれた冷却媒体は、狭角V型内燃機関200と熱交換をする。これにより、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200を冷却する。
次に、狭角V型内燃機関200と熱交換した冷却媒体は、冷却通路120の出口である冷却通路出口112に導かれる。冷却通路出口112を介して冷却通路120から排出された冷却媒体は、冷却媒体通路110内を流れてラジエター150に導かれる。ラジエター150に導かれた冷却媒体は、ラジエター150によって冷却されて、ウォーターポンプ160によって送り出されて、再度、冷却通路120に導かれる。
冷却装置100は、上述のように冷却媒体を循環させて狭角V型内燃機関200を冷却する。ここで、狭角V型内燃機関200は、冷却通路120の構成に特徴がある。以下に説明する構成の冷却通路120に冷却媒体を流すことで、冷却装置100は、冷却する箇所のうち比較的効果の高い箇所の温度を重点的に調節できると共に、冷却通路120を流れる冷却媒体の圧力の損失を低減できる。
図4は、シリンダーブロック及びシリンダーヘッドを示す斜視図であって、冷却通路内を流れる冷却媒体の流れを示す斜視図である。図4には、シリンダーブロック220及びシリンダーヘッド210に形成される各通路を流れる冷却媒体の「流れ」を模式的に示す。よって、冷却通路120は、図4に示すような直線を組み合わせた通路に限定されない。
冷却通路120は、第1系統通路130と、第2系統通路140と、排出用冷却通路148とを含んで構成される。第1系統通路130は、第1気筒用冷却通路131と、第3気筒用冷却通路133と、第5気筒用冷却通路135と、第1系統共通通路137とを含んで構成される。第2系統通路140は、第2気筒用冷却通路142と、第4気筒用冷却通路144と、第6気筒用冷却通路146と、第2系統共通通路147とを含んで構成される。
ここで、冷却通路120はシリンダーヘッド210及びシリンダーブロック220に形成される。冷却通路120のうち、シリンダーヘッド210に形成される部分がシリンダーヘッド側冷却通路120Hであり、シリンダーブロック220に形成される部分がシリンダーブロック側冷却通路120Sである。
第1系統共通通路137、第2系統共通通路147、排出用冷却通路148は、シリンダーブロック220に形成される通路であって、シリンダーブロック220には形成されない。よって、第1系統共通通路137、第2系統共通通路147、排出用冷却通路148は、シリンダーブロック側冷却通路120Sである。
一方、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路は、シリンダーブロック220に形成される部分と、シリンダーヘッド210に形成される部分とが含まれる。よって、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路は、シリンダーブロック側冷却通路120Sとシリンダーヘッド側冷却通路120Hとが組み合わされて構成される。
具体的には、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路のシリンダーヘッド側冷却通路120Hが、シリンダーブロック側冷却通路120Sと連通するように、シリンダーヘッド210がシリンダーブロック220に取り付けられることによって、冷却通路120は形成される。
第1系統通路130は、第1バンクを構成する各気筒と熱交換する冷却媒体が流れる通路である。第2系統通路140は、第2バンクを構成する各気筒と熱交換する冷却媒体が流れる通路である。第1系統通路130を流れた冷却媒体及び第2系統通路140を流れた冷却媒体は、排出用冷却通路148に集合する。
第1系統共通通路137は、シリンダーブロック220に、例えば孔として形成される。第1系統共通通路137は、冷却通路入口111に開口する。これにより、第1系統共通通路137に、冷却通路入口111を介して冷却媒体が導かれる。
第1気筒用冷却通路131は、一方の端部である上り側端部131aが第1系統共通通路137に開口し、他方の端部である下り集合側端部131bが排出用冷却通路148に開口する。これにより、第1系統共通通路137内の冷却媒体は、第1気筒用冷却通路131に導かれる。
ここで、第1気筒用冷却通路131は、図2に示すように、第1気筒1の2つの排気ポート212間を通過するように形成される。これにより、第1気筒用冷却通路131を流れる冷却媒体は、第1気筒1の排気ポート212と熱交換する。具体的には、冷却媒体が排気ポート212を冷却する場合、排気ポート212の熱は、排気ポート212を形成する部材、つまりシリンダーヘッド210の部材を介して第1気筒用冷却通路131に伝わる。
第1気筒用冷却通路131に伝わった熱は、第1気筒用冷却通路131を流れる冷却媒体に伝わる。熱が伝えられた冷却媒体は、第1気筒用冷却通路131を流れて排出用冷却通路148を介して冷却通路120から排出される。これにより、排気ポート212は、冷却装置100によって冷却される。
排気ポート212は、狭角V型内燃機関200を構成する部材の中でも、高温になる部分である。よって、冷却装置100は、排気ポート212を重点的に冷却すると好ましい。また、排気ポート212を重点的に冷却することにより、冷却装置100は、結果として、筒内燃焼空間215も冷却できる。これは、筒内燃焼空間215は、排気ポート212同じ部材に形成されるためである。
ここで、筒内燃焼空間215を冷却することにより、冷却装置100は、筒内燃焼空間215内の混合気の温度上昇を抑制できる。これにより、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200に発生するノッキングを抑制できる。
本実施形態では、冷却装置100は、基本的に狭角V型内燃機関200を冷却するものである。しかしながら、冷却装置100は、例外的な態様として、例えば、狭角V型内燃機関200を暖めて、狭角V型内燃機関200の暖機を促進してもよい。例えば、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146の各通路は、各気筒の2つの吸気ポート211を通るように形成される。
これにより、狭角V型内燃機関200の暖機が未完了の時に、冷却通路120に狭角V型内燃機関200よりも高温な熱媒体を供給することによって、冷却装置100は、吸気ポート211を暖める。具体的には、冷却通路120を流れる熱媒体の熱が、シリンダーヘッド210を構成する部材を介して吸気ポート211に伝わる。これにより、冷却装置100は、吸気ポート211を暖めることができる。
吸気ポート211を暖めることにより、冷却装置100は、吸気ポート211を介して筒内燃焼空間215に導かれる吸気を暖めることができる。狭角V型内燃機関200の暖機が未完了の時に、筒内燃焼空間215に導かれる吸気を暖めると、筒内燃焼空間215内に導かれた燃料の気化を促進できる。
また、吸気ポート211を介して筒内燃焼空間215の壁面や、シリンダー221の壁面が暖められる。これにより、筒内燃焼空間215の壁面や、シリンダー221の壁面に付着した燃料の気化を促進できる。燃料の気化が促進されると、未燃焼の燃料が低減される。このようにして、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200の暖機が未完了の時に、吸気ポート211を重点的に暖めることにより、燃料の燃焼を促進できる。
以上のように、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200を冷却する場合に限らず、狭角V型内燃機関200の暖機を促進する場合にも有用である。以下、冷却通路120の構成の説明に戻る。
図4に示すように、第1気筒用冷却通路131を流れる冷却媒体は、排出用冷却通路148に導かれる。排出用冷却通路148は、例えば、シリンダーブロック220に孔として形成される。排出用冷却通路148は、冷却通路出口112に開口する。これにより、排出用冷却通路148内の冷却媒体は、冷却通路出口112を介して冷却通路120から排出される。
第3気筒用冷却通路133は、一方の端部である上り側端部133aが第1系統共通通路137に開口し、他方の端部である下り集合側端部133bが排出用冷却通路148に開口する。これにより、第1系統共通通路137内の冷却媒体は、第3気筒用冷却通路133に導かれる。
ここで、第3気筒用冷却通路133は、図2に示すように、第3気筒3の2つの排気ポート212間を通過するように形成される。これにより、第3気筒用冷却通路133を流れる冷却媒体は、第3気筒3の排気ポート212を冷却する。
第5気筒用冷却通路135は、一方の端部である上り側端部135aが第1系統共通通路137に開口し、他方の端部である下り集合側端部135bが排出用冷却通路148に開口する。これにより、第1系統共通通路137内の冷却媒体は、第5気筒用冷却通路135に導かれる。
ここで、第5気筒用冷却通路135は、図2に示すように、第5気筒5の2つの排気ポート212間を通過するように形成される。これにより、第5気筒用冷却通路135を流れる冷却媒体は、第5気筒5の排気ポート212を冷却する。
上述のように、第1気筒1、第3気筒3、第5気筒5の排気ポート212を冷却した冷却媒体は、第1気筒用冷却通路131、第3気筒用冷却通路133、第5気筒用冷却通路135を流れて排出用冷却通路148に導かれる。排出用冷却通路148に導かれた冷却媒体は、冷却通路出口112を介して冷却通路120から排出される。
第2系統共通通路147は、シリンダーブロック220に、例えば孔として形成される。第2系統共通通路147は、冷却通路入口111に開口する。これにより、第2系統共通通路147に、冷却通路入口111を介して冷却媒体が導かれる。
第2気筒用冷却通路142は、一方の端部である上り側端部142aが第2系統共通通路147に開口し、他方の端部である下り集合側端部142bが排出用冷却通路148に開口する。これにより、第2系統共通通路147内の冷却媒体は、第2気筒用冷却通路142に導かれる。
ここで、第2気筒用冷却通路142は、図2に示すように、第2気筒2の2つの排気ポート212間を通過するように形成される。これにより、第2気筒用冷却通路142を流れる冷却媒体は、第2気筒2の排気ポート212を冷却する。
第4気筒用冷却通路144は、一方の端部である上り側端部144aが第2系統共通通路147に開口し、他方の端部である下り集合側端部144bが排出用冷却通路148に開口する。これにより、第2系統共通通路147内の冷却媒体は、第4気筒用冷却通路144に導かれる。
ここで、第4気筒用冷却通路144は、図2に示すように、第4気筒4の2つの排気ポート212間を通過するように形成される。これにより、第4気筒用冷却通路144を流れる冷却媒体は、第4気筒4の排気ポート212を冷却する。
第6気筒用冷却通路146は、一方の端部である上り側端部146aが第2系統共通通路147に開口し、他方の端部である下り集合側端部146bが排出用冷却通路148に開口する。これにより、第2系統共通通路147内の冷却媒体は、第6気筒用冷却通路146に導かれる。
ここで、第6気筒用冷却通路146は、図2に示すように、第6気筒6の2つの排気ポート212間を通過するように形成される。これにより、第6気筒用冷却通路146を流れる冷却媒体は、第6気筒6の排気ポート212を冷却する。
上述のように、第2気筒2、第4気筒4、第6気筒6の排気ポート212を冷却した冷却媒体は、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146を流れて排出用冷却通路148に導かれる。排出用冷却通路148に導かれた冷却媒体は、冷却通路出口112を介して冷却通路120から排出される。
図2に示すように、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第1気筒用冷却通路131、第2気筒用冷却通路142、第3気筒用冷却通路133、第4気筒用冷却通路144、第5気筒用冷却通路135、第6気筒用冷却通路146は、幅方向に沿って形成される。以下、このように形成される通路を横流し通路という。
ここで、本実施形態では、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、各気筒の2つの排気ポート212間を結ぶ仮想の線と直交する方向と、幅方向とが一致する。よって、幅方向に沿って形成される通路を横流し通路として扱うが、具体的には、横流し通路は、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、各気筒の2つの排気ポート212間を結ぶ仮想の線と直交する方向に沿って形成される通路である。
ここで、各気筒の2つの排気ポート212間を結ぶ仮想の線とは、より具体的には、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影したときに、それぞれの排気ポート212の中心を結ぶ線である。
また、前記仮想の線と直交する方向には、例えば、前記仮想の線に対して85度から95度の間で交わる方向も含まれる。つまり、前記仮想の線と直交する方向は、前記仮想の線と完全に直交する方向に限定されず、製造誤差や、他部材との干渉を抑制するため等の設計変更の範囲が含まれる。
第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路が横流し通路である場合、冷却装置100は、前記各通路を流れる冷却媒体の圧力の損失を低減できる。例えば、内燃機関の一般的な冷却通路は、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、冷却通路が縦方向に沿うように形成される。このような通路を縦流し通路という。
縦流し通路の場合、各気筒の2つの排気ポート間を冷却通路が通過するように前記冷却通路を構成すると、前記冷却通路は、S字型の通路を組み合わせた通路となる。これは、各気筒の2つの排気ポートが、狭角V型内燃機関の縦方向に並んで形成されるためである。
これにより、狭角V型内燃機関の縦方向に沿って冷却通路が形成される場合、前記冷却通路は、各気筒の2つの排気ポート間を通過するために、狭角V型内燃機関の縦方向から狭角V型内燃機関の幅方向に方向が転じられる。よって、前記冷却通路は、S字型の通路を組み合わせた通路となる。これにより、流れの方向が変化する回数が増加するため、冷却装置は、前記冷却通路を流れる冷却媒体の圧力の損失が増大する。
しかしながら、横流し通路の場合、図2に示すように、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影すると、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路が直線となる。これは、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路は、もともと狭角V型内燃機関200の幅方向に沿って形成されるためである。
よって、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路は、前記冷却通路は、各気筒の2つの排気ポート間を通過するために、形成される方向が転じられない。よって、冷却装置100は、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路を流れる冷却媒体の流れの方向が変化する回数を低減できる。結果として、冷却装置100は、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路を流れる冷却媒体の圧力の損失を低減できる。
これにより、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200を冷却するために必要な一定の流量を確保するためのウォーターポンプ160の負荷を低減できる。これにより、冷却装置100は、ウォーターポンプ160が大型化するおそれを抑制できる。
例えば、冷却通路に導く冷却媒体の流量が同じという条件下では、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路の構成が横流し通路の場合、冷却通路の構成が縦流し通路の場合よりもウォーターポンプ160の大きさが半分以下となる。
また、冷却装置100は、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路を流れる冷却媒体の圧力の損失を低減できるため、ウォーターポンプ160が大型化されなくても、冷却媒体の流量であって狭角V型内燃機関200を冷却するために必要な流量を確保できる。よって、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200の冷却が不十分になるおそれを抑制できる。
また、横流し通路の場合、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路を並列に接続することが容易である。これは、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路が、幅方向に形成されるためである。しかしながら、縦流し通路の場合、冷却通路が縦方向、つまり各気筒の配列方向に沿って形成されるため、各気筒の2つの排気ポート212間を通る通路を並列に接続することが困難である。
狭角V型内燃機関200に縦流し通路を設ける場合、例えば、各気筒の2つの排気ポート212間を通るように、1本の冷却通路が形成される。または、第1バンクと第2バンクとに分かれて、2本の冷却通路が形成される。これらの場合、各気筒に供給される冷却媒体の温度にばらつきが生じる。
例えば、第1気筒1から第6気筒6まで順に、一本の冷却通路がそれぞれの2つの排気ポート212間を通過するように冷却通路が形成される場合、第2気筒2に導かれる冷却媒体は、第1気筒1の熱がすでに伝えられている。よって、第2気筒2に導かれる冷却媒体の温度は、第1気筒1に導かれた時の冷却媒体の温度よりも高い。このように、第1気筒1に導かれる冷却媒体の温度が一番低く、第6気筒6に導かれる冷却媒体の温度が一番高い。
各気筒に導かれる冷却媒体の温度にばらつきが生じると、各気筒に導かれる冷却媒体と、各気筒の2つの排気ポート212との温度差にばらつきが生じる。よって、冷却装置の各気筒に対する冷却性能にもばらつきが生じる。
しかしながら、本実施形態の冷却装置100は、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路は、それぞれが並列に接続される。つまり、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路には、他の気筒の排気ポート212と熱交換をした後の冷却媒体が導かれない。
よって、冷却装置100は、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路に導かれる冷却媒体の温度の差が低減される。結果として、冷却装置100は、各気筒に対する冷却性能のばらつきが低減される。
図5は、シリンダーブロックを鉛直方向に直交する面で切った断面図であって、図4のA−A断面を示す断面図である。図6は、シリンダーブロックを鉛直方向に直交する面で切った断面図であって、図4のB−B断面を示す断面図である。図7は、シリンダーヘッドを鉛直方向に直交する面で切った断面図であって、図4のC−C断面を示す断面図である。図8は、シリンダーヘッドを鉛直方向に直交する面で切った断面図であって、図4のD−D断面を示す断面図である。
次に、第1系統共通通路137、第2系統共通通路147、排出用冷却通路148、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路の具体的な形状の一例を、図4から図8までを主に用いて説明する。
A−A断面は、シリンダーブロック220の部分のうち、図1に示すクランクケース230側の部分の断面である。A−A断面には、第1系統共通通路137及び排出用冷却通路148が含まれる。B−B断面は、シリンダーブロック220の部分のうち、シリンダーヘッド210側の部分の断面である。B−B断面には、第2系統共通通路147が含まれる。
C−C断面は、シリンダーヘッド210の部分のうち、シリンダーブロック220側の部分の断面である。C−C断面は、筒内燃焼空間215の断面が含まれる。D−D断面は、シリンダーヘッド210の部分のうち、C−C断面よりもシリンダーブロック220から遠い部分の断面である。
以下、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路を上り部分と、頂部と、下り部分とに分けて説明する。上り部分は、冷却媒体が図1に示すクランクケース230から離れる方向に向かって流れる部分である。上り部分には、各通路の符号にupを付す。
頂部は、冷却媒体が、鉛直方向に略直交する方向に流れる部分である。頂部には、各通路の符号にtopを付す。下り部分は、冷却媒体がクランクケース230に近づく方向に向かって流れる部分である。下り部分には、各通路の符号にdownを付す。
図5に示すように、第1系統共通通路137は、第2バンク側の気筒である第2気筒2、第4気筒4、第6気筒6のシリンダー221の周囲にシリンダー221を囲うように形成される。ここで、ここでいう「囲う」とは、シリンダー221の周囲を完全に包囲するものに限られず、図5に示すように、部分的にシリンダー221に接触しない部分があるものも含まれる。
第1系統共通通路137は、第2気筒2に隣接する部分であって第4気筒4とは反対側の部分を含んで形成される。第2気筒2に隣接する部分であって第4気筒4とは反対側の部分が、第1気筒用冷却通路131の上り側端部131aとなる。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合には、第2気筒2に隣接する部分であって第4気筒4とは反対側の部分は、第1気筒1の排気ポート212と対向する。
第1系統共通通路137は、第2気筒2のシリンダー221と第4気筒4のシリンダー221との間の部分を含んで形成される。第2気筒2のシリンダー221と第4気筒4のシリンダー221との間の部分が、第3気筒用冷却通路133の上り側端部133aとなる。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合には、第2気筒2のシリンダー221と第4気筒4のシリンダー221との間の部分は、第3気筒3の排気ポート212と対向する。
第1系統共通通路137は、第4気筒4のシリンダー221と第6気筒6のシリンダー221との間の部分を含んで形成される。第4気筒4のシリンダー221と第6気筒6のシリンダー221との間の部分が、第5気筒用冷却通路135の上り側端部135aとなる。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合には、第4気筒4のシリンダー221と第6気筒6のシリンダー221との間の部分は、第5気筒5の排気ポート212と対向する。
排出用冷却通路148は、第1バンク側の気筒である第1気筒1、第3気筒3、第5気筒5のシリンダー221の周囲にシリンダー221を囲うように形成される。排出用冷却通路148は、第1気筒1のシリンダー221と第3気筒3のシリンダー221との間の部分を含んで形成される。
第1気筒1のシリンダー221と第3気筒3のシリンダー221との間の部分が、例えば、第2気筒用冷却通路142の下り集合側端部142bとなる。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合には、第1気筒1のシリンダー221と第3気筒3のシリンダー221との間の部分は、第2気筒2の吸気ポート211と対向する。
排出用冷却通路148は、第3気筒3のシリンダー221と第5気筒5のシリンダー221との間の部分を含んで形成される。第3気筒3のシリンダー221と第5気筒5のシリンダー221との間の部分が、例えば、第4気筒用冷却通路144の下り集合側端部144bとなる。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合には、第3気筒3のシリンダー221と第5気筒5のシリンダー221との間の部分は、第4気筒4の吸気ポート211と対向する。
排出用冷却通路148は、第5気筒5に隣接する部分であって第3気筒3とは反対側の部分を含んで形成される。第5気筒5に隣接する部分であって第3気筒3とは反対側の部分が、例えば、第6気筒用冷却通路146の下り集合側端部146bとなる。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合には、第5気筒5に隣接する部分であって第3気筒3とは反対側の部分は、第6気筒6の吸気ポート211と対向する。
排出用冷却通路148は、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第1気筒1の吸気ポート211と対向する部分を含んで形成される。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第1気筒1の吸気ポート211と対向する部分が、例えば、第1気筒用冷却通路131の下り集合側端部131bとなる。
排出用冷却通路148は、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第3気筒3の吸気ポート211と対向する部分を含んで形成される。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第3気筒3の吸気ポート211と対向する部分が、例えば、第3気筒用冷却通路133の下り集合側端部133bとなる。
排出用冷却通路148は、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第5気筒5の吸気ポート211と対向する部分を含んで形成される。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第5気筒5の吸気ポート211と対向する部分が、例えば、第5気筒用冷却通路135の下り集合側端部135bとなる。
ここで、第1系統共通通路137及び排出用冷却通路148は、上述のように、各気筒のシリンダー221を囲うように形成される。これにより、第1系統共通通路137及び排出用冷却通路148は、各気筒のシリンダー221を冷却する。つまり、第1系統共通通路137及び排出用冷却通路148が各気筒のシリンダー221を囲うように形成されることにより、第1系統共通通路137及び排出用冷却通路148は、いわゆるウォータージャケットの機能を実現できる。
第2系統共通通路147は、図6に示すように、各気筒を包み込まないように形成される。第2系統共通通路147は、例えば、図2に示す基準壁面216に沿って形成される。第2系統共通通路147は、第2系統共通通路147の表面積が、第1系統共通通路137の表面積よりも小さく形成される。
これにより、第2系統共通通路147は、第1系統共通通路137よりもシリンダー221の熱を受ける面積が小さい。よって、第2系統共通通路147を流れる冷却媒体の温度は、第1系統共通通路137を流れる冷却媒体の温度よりも低い。
第2系統共通通路147は、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第2気筒2の排気ポート212と対向する部分を含んで形成される。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第2気筒2の排気ポート212と対向する部分が、第2気筒用冷却通路142の上り側端部142aとなる。
第2系統共通通路147は、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第4気筒4の排気ポート212と対向する部分を含んで形成される。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第4気筒4の排気ポート212と対向する部分が、第4気筒用冷却通路144の上り側端部144aとなる。
第2系統共通通路147は、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第6気筒6の排気ポート212と対向する部分を含んで形成される。鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、第6気筒6の排気ポート212と対向する部分が、第6気筒用冷却通路146の上り側端部146aとなる。
ここで、第2系統共通通路147は、図5に示す冷却通路入口111の近傍の通路に開口し、第2系統共通通路147には、冷却通路入口111の近傍から冷却媒体が導かれる。例えば、第2系統共通通路147は、図5に示す各気筒のシリンダー221の近傍の通路に開口する場合、第2系統共通通路147には、各気筒のシリンダー221の近傍から冷却媒体が導かれる。
各気筒のシリンダー221の近傍の冷却媒体は、各気筒のシリンダー221の熱をより多く受け取っている。よって、各気筒のシリンダー221に近づくほど、冷却通路入口111の近傍の冷却媒体より冷却媒体の温度は高くなる。
このため、第2系統共通通路147が各気筒のシリンダー221の近傍の通路に開口する場合、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146を流れる冷却媒体の温度も、第2系統共通通路147が冷却通路入口111の近傍の通路に開口する場合よりも高くなる。
これにより、第2気筒2の排気ポート212と冷却媒体との温度差、第4気筒4の排気ポート212と冷却媒体との温度差、第6気筒6の排気ポート212と冷却媒体との温度差が小さくなる。よって、冷却装置100による、第2バンク側の排気ポート212の冷却性能が低下する。
しかしながら、本実施形態の第2系統共通通路147は、冷却通路入口111の近傍の通路に開口する。よって、第2系統共通通路147には、冷却通路120内の冷却媒体の中で、比較的温度が低い冷却媒体が導かれる。
これにより、冷却装置100は、第2気筒2の排気ポート212と冷却媒体との温度差、第4気筒4の排気ポート212と冷却媒体との温度差、第6気筒6の排気ポート212と冷却媒体との温度差の低下を抑制できる。結果として、冷却装置100は、第2バンク側の排気ポート212の冷却性能の低下を抑制できる。
ここで、第2系統共通通路147が開口する部分は、冷却通路入口111に近ければ近いほど好ましい。よって、本実施形態では、第2系統共通通路147は、冷却通路入口111を介して冷却通路120に導かれた直後の冷却媒体が流れる部分に開口する。
図9は、冷却通路入口の形状を模式的に示す斜視図である。図10は、冷却通路入口の他の形状を模式的に示す斜視図である。ここで、冷却通路入口111は、冷却媒体の流れを第1系統共通通路137と第2系統共通通路147とに向けて分岐させるように形成される。具体的には、冷却通路入口111は、図9に示すように、例えば、二股に形成され、一方が第1系統共通通路137と連通し、他方が第2系統共通通路147と連通して形成される。
また、ここでいう「二股」とは、図10に示すようなT字型に分岐するものも含まれる。つまり、冷却媒体の流れが分岐される分岐点の形状は限定されない。このようにして、冷却通路入口111が二股に形成されて、第1系統共通通路137と第2系統共通通路147とに冷却媒体が分岐されることにより、冷却装置100は、第2系統共通通路147に冷却通路120内の冷却媒体の中で比較的温度が低い冷却媒体が導かれる。
なお、本実施形態では、第1系統共通通路137と第2系統共通通路147とは、シリンダーブロック220の内部で分岐されるものとして説明したが、第1系統共通通路137と第2系統共通通路147とは、シリンダーブロック220の内部で分岐されなくてもよい。
例えば、シリンダーブロック220には、冷却通路入口111とは別の第2の入口が形成され、第2系統共通通路147は、前記第2の入口に開口する。つまり、第1系統共通通路137と第2系統共通通路147とは、シリンダーブロック220の外部で分岐される。
この場合、第2系統共通通路147には、冷却通路入口111を介して第1系統共通通路137に導かれる冷却媒体とは別に、前記第2の入口を介して冷却媒体が導かれる。この場合であっても、冷却装置100は、第2気筒2の排気ポート212と冷却媒体との温度差、第4気筒4の排気ポート212と冷却媒体との温度差、第6気筒6の排気ポート212と冷却媒体との温度差の低下を抑制できる。結果として、冷却装置100は、第2バンク側の排気ポート212の冷却性能の低下を抑制できる。
但し、第1系統共通通路137と第2系統共通通路147とが、シリンダーブロック220の内部で分岐されて形成される方が、シリンダーブロック220の外部で分岐される場合よりも、冷却装置100は、シリンダーブロック220の外部に取り付けられる配管の数を低減できる。
冷却媒体の流れを、シリンダーブロック220の外部で分岐する場合、第2系統通路140に導かれる冷却媒体を、シリンダーブロック220に導かれる前に冷却器によってあらかじめ冷却してもよい。これにより、第2系統通路140に導かれる冷却媒体の温度は、第1系統通路130に導かれる冷却媒体の温度よりも低くなる。
これにより、冷却装置100は、第2バンクの各気筒の冷却性能の低下を抑制できる。以下、第2系統通路140に導かれる冷却媒体の温度が、第1系統通路130に導かれる冷却媒体の温度よりも低いと好ましい理由を説明する。
本実施形態では、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146は、第1系統共通通路137とは別に形成される第2系統共通通路147に開口するものとして説明した。しかしながら、第2バンク側の気筒の排気ポート212を冷却するために必要な冷却媒体の流量を十分に確保できるのであれば、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146は、第1系統共通通路137に開口してもよい。
但し、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146は、第1系統共通通路137に開口せずに、第2系統共通通路147に開口する方が好ましい。つまり、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146には、第1系統共通通路137でシリンダー221と熱交換した後の冷却媒体とは別の冷却媒体が導かれると好ましい。
上述のように、第1系統共通通路137は、第2バンクの各気筒を囲うように形成されて、いわゆるウォータージャケットの機能を兼ねる。よって、第1系統共通通路137を流れる冷却媒体の温度は、第2系統共通通路147を流れる冷却媒体の温度よりも高い。しかしながら、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146に導かれる冷却媒体の温度は低いほど好ましい。以下にその理由を説明する。
図7に示すように、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146は、第1気筒用冷却通路131、第3気筒用冷却通路133、第5気筒用冷却通路135よりも冷却媒体が流れる断面積が小さい。つまり、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146は、第1気筒用冷却通路131、第3気筒用冷却通路133、第5気筒用冷却通路135よりも細い。
これは、第2バンクの各気筒の排気ポート212から図2に示す基準壁面216までの距離が、第1バンクの各気筒の排気ポート212から基準壁面216までの距離よりも小さいためである。つまり、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146が設けられる部分は、第1気筒用冷却通路131、第3気筒用冷却通路133、第5気筒用冷却通路135が設けられる部分よりも狭い。
よって、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146は、第1気筒用冷却通路131、第3気筒用冷却通路133、第5気筒用冷却通路135よりも冷却媒体が流れる断面積が小さくなる。
第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146の冷却媒体が流れる断面積を増加させるためには、第1バンクと第2バンクとを近づける、つまり、バンク角を小さくする方法が考えられる。これにより、第2バンクの各気筒の排気ポート212と、図2に示す基準壁面216との間の距離が広がる。
この場合、シリンダーヘッド210及びシリンダーブロック220を幅方向に大型化することなく、冷却装置100は、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146の冷却媒体が流れる断面積を増加できる。しかしながら、バンク角の低減にも限界がある。
また、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146の冷却媒体が流れる断面積を増加させる方法として、シリンダーヘッド210及びシリンダーブロック220を幅方向に大型化する方法が考えられる。
しかしながら、狭角V型内燃機関200は、シリンダーヘッド210を小型化できる点が通常のV型内燃機関よりも優れる点である。よって、狭角V型内燃機関200は、シリンダーヘッド210の小型化が求められている。これにより、シリンダーヘッド210及びシリンダーブロック220を幅方向に大型化する方法は好ましくない。
そこで、本実施形態では、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146の断面積を増加させずに、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146に導く冷却媒体の温度を低下させる。これにより、冷却装置100は、第1系統通路130の各排気ポート212に対する冷却性能と、第2系統通路140の各排気ポート212に対する冷却性能とのばらつきを低減する。
第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146は、第1系統共通通路137には開口せず、第1系統共通通路137とは別の第2系統共通通路147に開口する。これにより、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146に導かれる冷却媒体の温度は、第1気筒用冷却通路131、第3気筒用冷却通路133、第5気筒用冷却通路135に導かれる冷却媒体の温度より低くなる。
第1系統共通通路137内の冷却媒体は、各気筒のシリンダー221から熱をより多く受け取っている。よって、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146を流れる冷却媒体の温度は、第1気筒用冷却通路131、第3気筒用冷却通路133、第5気筒用冷却通路135を流れる冷却媒体の温度よりも低い。
これにより、冷却装置100は、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146を流れる冷却媒体と、第2気筒2、第4気筒4、第6気筒6の排気ポート212との温度差の低下を抑制できる。
よって、冷却装置100は、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146を流れる冷却媒体の流量が第1気筒用冷却通路131、第3気筒用冷却通路133、第5気筒用冷却通路135を流れる冷却媒体の流量よりも少なくても、第2気筒2、第4気筒4、第6気筒6の排気ポート212を十分に冷却できる。
このようにして、冷却装置100は、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146に導く冷却媒体を第2系統共通通路147から導くことにより、シリンダーヘッド210及びシリンダーブロック220の大型化を抑制すると共に、第2気筒2、第4気筒4、第6気筒6の排気ポート212を十分に冷却できる。
次に、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146までの各通路の構成を冷却媒体の流れの上流側から下流側に向かって説明する。図6及び図7に示すように、第1気筒用冷却通路131upは、第2気筒2に隣接する部分であって第4気筒4とは反対側の部分を通るように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。冷却媒体は、第1気筒用冷却通路131up内を図1に示すクランクケース230から離れる方向に向かって流れる。
第3気筒用冷却通路133upは、第2気筒2のシリンダー221と第4気筒4のシリンダー221との間の部分を通るように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。冷却媒体は、第3気筒用冷却通路133up内をクランクケース230から離れる方向に向かって流れる。
第5気筒用冷却通路135upは、第4気筒4のシリンダー221と第6気筒6のシリンダー221との間の部分を通るように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。冷却媒体は、第5気筒用冷却通路135up内をクランクケース230から離れる方向に向かって流れる。
図7に示すように、第2気筒用冷却通路142upは、第2気筒2の排気ポート212と対向する部分から、第2気筒2の2つの排気ポート212間を通るように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。冷却媒体は、第2気筒用冷却通路142up内を図1に示すクランクケース230から離れる方向に向かって流れる。この時、冷却媒体は、排気ポート212を冷却する。
第4気筒用冷却通路144upは、第4気筒4の排気ポート212と対向する部分から、第4気筒4の2つの排気ポート212間を通るように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。冷却媒体は、第4気筒用冷却通路144up内を図1に示すクランクケース230から離れる方向に向かって流れる。この時、冷却媒体は、排気ポート212を冷却する。
第6気筒用冷却通路146upは、第6気筒6の排気ポート212と対向する部分から、第6気筒6の2つの排気ポート212間を通るように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。冷却媒体は、第6気筒用冷却通路146up内を図1に示すクランクケース230から離れる方向に向かって流れる。この時、冷却媒体は、排気ポート212を冷却する。
図8に示すように、第1気筒用冷却通路131topから第6気筒用冷却通路146topは、図1に示す筒内燃焼空間215を形成する壁面である天井部を包むように形成される。これにより、第1気筒用冷却通路131topから第6気筒用冷却通路146topを流れる冷却媒体は、筒内燃焼空間215や、筒内燃焼空間215に設けられる部材、例えば点火プラグを冷却する。
第1気筒用冷却通路131topから第6気筒用冷却通路146topを流れる冷却媒体は、各気筒の排気ポート212から吸気ポート211に向かって流れる。これにより、冷却装置100は、排気ポート212をより重点的に冷却できる。以下にその理由を説明する。
冷却媒体は、通常、各通路を流れた時間が長いほど温度が上昇する。これは、時間の経過と共に、冷却媒体が狭角V型内燃機関200から受け取る熱量が蓄積されていくためである。よって、吸気ポート211よりも先に排気ポート212に冷却媒体を導くことにより、冷却装置100は、より温度が低い状態の冷却媒体を排気ポート212に導くことができる。
これにより、冷却装置100は、吸気ポート211よりも排気ポート212を重点的に冷却できる。よって、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200の部位の中でも、最も高温になる排気ポート212を重点的に冷却することで、狭角V型内燃機関200に発生するノッキングをより好適に抑制できる。
第1気筒用冷却通路131downは、第1気筒1の吸気ポート211と対向する部分を通って形成される。また第1気筒用冷却通路131downは、図6、図7、図8に示すように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。第1気筒用冷却通路131downは、例えば、3つ形成される。3つの第1気筒用冷却通路131downは、図8に示すように、すべて第1気筒用冷却通路131topと連通する。
冷却媒体は、第1気筒用冷却通路131topから第1気筒用冷却通路131downに導かれて、第1気筒用冷却通路131down内を図1に示すクランクケース230に近づく方向に向かって流れる。この時、冷却媒体は、第1気筒1のシリンダー221の吸気ポート211側を冷却する。
図8に示すように、第3気筒用冷却通路133downは、第3気筒3の吸気ポート211と対向する部分を通って形成される。また第3気筒用冷却通路133downは、図6、図7、図8に示すように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。第3気筒用冷却通路133downは、例えば、3つ形成される。3つの第3気筒用冷却通路133downは、図8に示すように、すべて第3気筒用冷却通路133topと連通する。
冷却媒体は、第3気筒用冷却通路133topから第3気筒用冷却通路133downに導かれて、第3気筒用冷却通路133down内を図1に示すクランクケース230に近づく方向に向かって流れる。この時、冷却媒体は、第3気筒3のシリンダー221の吸気ポート211側を冷却する。
第5気筒用冷却通路135downは、第5気筒5の吸気ポート211と対向する部分を通って形成される。また、第5気筒用冷却通路135downは、図6、図7、図8に示すように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。第5気筒用冷却通路135downは、例えば、3つ形成される。3つの第5気筒用冷却通路135downは、図8に示すように、すべて第5気筒用冷却通路135topと連通する。
冷却媒体は、第5気筒用冷却通路135topから第5気筒用冷却通路135downに導かれて、第5気筒用冷却通路135down内を図1に示すクランクケース230に近づく方向に向かって流れる。この時、冷却媒体は、第5気筒5のシリンダー221の吸気ポート211側を冷却する。
図8に示すように、第2気筒用冷却通路142downは、第2気筒2の吸気ポート211と対向する部分であって、第1気筒1と第3気筒3との間の部分を通って形成される。第2気筒用冷却通路142downは、図6、図7、図8に示すように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。第2気筒用冷却通路142downは、図8に示すように、第2気筒用冷却通路142topと連通する。
冷却媒体は、第2気筒用冷却通路142topから第2気筒用冷却通路142downに導かれて、第2気筒用冷却通路142down内を図1に示すクランクケース230に近づく方向に向かって流れる。この時、冷却媒体は、第2気筒2のシリンダー221の吸気ポート211側を冷却する。
図8に示すように、第4気筒用冷却通路144downは、第4気筒4の吸気ポート211と対向する部分であって、第3気筒3と第5気筒5との間の部分を通って形成される。また第4気筒用冷却通路144downは、図6、図7、図8に示すように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。第4気筒用冷却通路144downは、図8に示すように、第4気筒用冷却通路144topと連通する。
冷却媒体は、第4気筒用冷却通路144topから第4気筒用冷却通路144downに導かれて、第4気筒用冷却通路144down内を図1に示すクランクケース230に近づく方向に向かって流れる。この時、冷却媒体は、第4気筒4のシリンダー221の吸気ポート211側を冷却する。
第6気筒用冷却通路146downは、第5気筒5の吸気ポート211と対向する部分であって、第5気筒5と隣接する部分のうち、第3気筒3と反対側の部分を通って形成される。また、第6気筒用冷却通路146downは、図6、図7、図8に示すように、シリンダー221の軸SLに沿って形成される。第6気筒用冷却通路146downは、図8に示すように、第6気筒用冷却通路146topと連通する。
冷却媒体は、第6気筒用冷却通路146topから第6気筒用冷却通路146downに導かれて、第6気筒用冷却通路146down内を図1に示すクランクケース230に近づく方向に向かって流れる。この時、冷却媒体は、第6気筒6のシリンダー221の吸気ポート211側を冷却する。
第1気筒用冷却通路131downから第6気筒用冷却通路146downの各通路を流れた冷却媒体は、第1気筒用冷却通路131の下り集合側端部131bから第6気筒用冷却通路146の下り集合側端部146bの各端部を介して、排出用冷却通路148に導かれる。排出用冷却通路148に導かれた冷却媒体は、第1バンク側の気筒である第1気筒1、第3気筒3、第5気筒5のシリンダー221を冷却して、冷却通路出口112を介して排出用冷却通路148から排出される。
冷却装置100は、上記構成の冷却通路120に冷却媒体を流すことによって、各気筒の排気ポート212を重点的に冷却する。これにより、冷却装置100は、筒内燃焼空間215内の混合気の温度上昇を抑制できる。これにより、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200に発生するノッキングを抑制できる。
また、冷却装置100は、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146の各通路が、鉛直方向にシリンダーヘッド210を投影した場合に、幅方向に沿って形成される。これにより、冷却装置100は、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146の各通路が、直線を組み合わせた形状に形成される。
よって、冷却装置100は、第1気筒用冷却通路131から第6気筒用冷却通路146の各通路を流れる冷却媒体の圧力の損失を低減できる。結果として、冷却装置100は、ウォーターポンプ160が大型化するおそれを抑制できる。
冷却装置100は、比較的スペースに余裕がない部分である、第2気筒2、第4気筒4、第6気筒6の排気ポート212と対向する部分にそれぞれ第2気筒用冷却通路142up、第4気筒用冷却通路144up、第6気筒用冷却通路146upが形成される。しかしながら、第2気筒用冷却通路142up、第4気筒用冷却通路144up、第6気筒用冷却通路146upには、第1系統共通通路137を流れる冷却媒体ではなく第1系統共通通路137とは別の第2系統共通通路147を流れる冷却媒体が導かれる。
第1系統共通通路137は、シリンダー221を囲うように形成されるのに対し、第2系統共通通路147は、シリンダー221を囲うように形成されない。よって、第1系統共通通路137を流れる冷却媒体の方が、第2系統共通通路147を流れる冷却媒体よりもシリンダー221の熱がより多く伝えられている。これにより、第2系統共通通路147を流れる冷却媒体の方が、第1系統共通通路137を流れる冷却媒体よりも温度が低い。
結果として、第2気筒用冷却通路142、第4気筒用冷却通路144、第6気筒用冷却通路146は、第1気筒用冷却通路131、第3気筒用冷却通路133、第5気筒用冷却通路135よりも断面積が小さく形成されても、導かれる冷却媒体の温度が低いため、排気ポート212を十分に冷却できる。
また、冷却媒体は、冷却通路120内を、排気ポート212から吸気ポート211に向かって流れる。冷却媒体は、通常、各通路を流れた時間が長いほど温度が上昇する。よって、吸気ポート211よりも先に排気ポート212に冷却媒体を導くことにより、冷却装置100は、より温度が低い状態の冷却媒体を排気ポート212に導く。
これにより、冷却装置100は、吸気ポート211よりも排気ポート212を重点的に冷却できる。よって、冷却装置100は、狭角V型内燃機関200の部位の中でも、最も高温になる排気ポート212を重点的に冷却することで、狭角V型内燃機関200に発生するノッキングをより好適に抑制できる。
また、第1系統共通通路137及び排出用冷却通路148は、各気筒のシリンダー221を囲うように形成される。このようにして、第1系統共通通路137及び排出用冷却通路148は、シリンダーブロック220及び各気筒のシリンダー221を冷却する。つまり、第1系統共通通路137及び排出用冷却通路148は、いわゆるウォータージャケットの機能を実現する。
これにより、狭角V型内燃機関200は、別途、シリンダーブロック220及び各気筒のシリンダー221を冷却するウォータージャケットを必要としない。一般的なウォータージャケットは、狭角V型内燃機関の面のうち縦方向の2面に設けられる。よって、狭角V型内燃機関200は、前記縦方向の2面にウォータージャケットが設けられない分、狭角V型内燃機関200の縦方向の大きさを低減できる。