JP2010047863A - 表面多孔質炭素繊維、前駆体繊維及びそれらの製造方法 - Google Patents

表面多孔質炭素繊維、前駆体繊維及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】引張強度、引張弾性率が低下することなく、繊維表面における孔の直径、孔の占有率、細孔容積が制御された表面多孔質炭素繊維を提供する。
【解決手段】繊維表面に孔を有する多孔質炭素繊維であって、窒素を用いたガス吸着量測定装置で測定される細孔容積が15〜100cm3/g、単繊維引張強度が3000〜4000MPa、孔の平均直径が0.05〜0.5μm、繊維表面上の孔の面積占有率が30〜60%、である表面多孔質炭素繊維。好ましくは、繊維長さが2mm以上である。更には、炭素繊維中の金属含有率が11〜50質量ppmであることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維表面に多数の孔が形成された炭素繊維、その製造用原料の前駆体繊維、及びそれらの製造方法、並びに、多孔質炭素繊維からなるシートに関する。
炭素繊維の製造方法としては、原料繊維にポリアクリロニトリル(PAN)等の前駆体繊維を使用し、耐炎化処理及び炭素化処理を経て炭素繊維を得る方法が広く知られている。このようにして得られる炭素繊維は、高い強度、弾性率などの良好な物性を有している。
近年、炭素繊維を利用する複合材料[例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など]の工業的な用途は、大きく広がりつつある。特にスポーツ・レジャー分野、航空宇宙分野、自動車分野においては、(1)より高性能化(高強度化、高弾性化)、(2)より軽量化(繊維軽量化及び繊維含有量低減)、(3)複合化した際のより高い複合材料の物性の発現性向上(炭素繊維と樹脂との間の界面における接着性、即ち炭素繊維表面の接着性の向上)に向けた要求が強まっている。
上記(1)〜(3)に関する複合材料の物性を向上させる方法において、(3)の炭素繊維表面の接着性を改善させる方法が特に注目される。この改善方法により、剥離に関係する諸物性(例えば、ILSS、GIC、GIICなど)が向上することが知られている。
この炭素繊維表面の接着性は、炭素繊維表面に官能基を付与して繊維の濡れ性を改善すること、炭素繊維表面に凹凸を生じさせて表面を多孔質にすることによりアンカー効果を発揮させることなどで改善できる。炭素繊維表面の凹凸は、湿式紡糸方法による凝固工程において前駆体繊維の繊維軸に平行な皺として生成させることができる。また、電解酸化処理工程におけるエッチング作用によって繊維表面が削られることで、炭素繊維表面の凹凸を増加させることができる。しかし、いずれの方法による炭素繊維表面の接着性の向上も十分なものではない。
上記以外の炭素繊維表面の凹凸を生成させる方法として、等方性のピッチ系炭素繊維を酸素存在下500〜700℃で加熱処理することで全多孔質炭素繊維を得る方法(例えば、特許文献1参照)、PAN系紡糸用ポリマーと有機金属等を含むPAN系ポリマーとを混合して紡糸原液とし、この混合液を紡糸することで前駆体繊維を得、この前駆体繊維に耐炎化処理及び炭素化処理を施して全多孔質炭素繊維を得る方法(例えば、特許文献2参照)がある。
しかし、特許文献1の方法で得られる多孔質炭素繊維は、原料繊維が強度発現工程を省いて製造される引張り強度が約2000MPa以下の低強度の等方性炭素繊維なので、これを強化用繊維として用いてなる複合材料も低強度であり、強化用繊維として不十分なものである。また、特許文献1の多孔質炭素繊維は短繊維なので、このことも強化用繊維として使い勝手が悪いものである。
特許文献2の方法で得られる多孔質炭素繊維は活性炭の長繊維である。この繊維は、比表面積、活性度を高めているため、強度、弾性率などは低くなり、強化用繊維として使用することを目的としていない。
即ち、一般に炭素繊維の繊維表面は平滑であるが、上述のように一部の文献には繊維表面に凹凸を持つ炭素繊維が開示されている。しかし、これらの一部の文献の中で、繊維表面に平均直径が0.05〜0.5μm程度の穴を多数持ち且つ穴の直径が制御されることを特徴とする炭素繊維は、特許文献1に開示されているピッチ系炭素繊維等の低強度の等方性炭素繊維のみである。
特許文献1に記載されている多孔質炭素繊維の製造用原料は、一般的な炭素繊維である。この一般的な炭素繊維に更なる後加工処理として酸素存在下の加熱処理等を施すことによって、特許文献1の目的の多孔質炭素繊維は得られる。この更なる後加工処理工程を必要とすることから、特許文献1に開示される多孔質炭素繊維の製造方法は、一般的な炭素繊維の製造方法と比べて、より多工程化し且つより複雑化しているため生産性が著しく低下する。
以上述べたように、従来の多孔質炭素繊維は、低強度であり、複合材料用の補強材として使用に耐えられるものは無かった。
特開平5−302215号公報 (特許請求の範囲) 特開2004−44074号公報 (特許請求の範囲)
本発明者は、強度が従来の炭素繊維と同じように高く且つ繊維と樹脂との間の界面における接着性を高めるために、その表面が多孔化された炭素繊維を開発することを試みた。
その結果、アクリロニトリル系の粗原料繊維に、所定濃度の金属溶液を接触させて繊維中の金属含有率が所定範囲の前駆体繊維を、通常の耐炎化処理、次いで炭素化処理することによって、強度が高く、表面が多孔化された炭素繊維を連続的に製造できることを見出した。
この製造方法によれば、一般的な炭素繊維の製造方法の工程に比べて、多工程化も複雑化もされてなく、簡便で且つ安定的に上記多孔質炭素繊維を製造できる。
よって、本発明の目的とするところは、強度が高く且つ繊維と樹脂との間の界面における接着強度等の物性に優れる多孔質炭素繊維、その製造用原料の前駆体繊維、及びそれらの製造方法、並びに、多孔質炭素繊維からなるシートを提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
[1] 繊維表面に孔を有する表面多孔質炭素繊維であって、窒素を用いたガス吸着量測定装置で測定される細孔容積が15〜100cm3/g、単繊維引張強度が3000〜7000MPa、孔の平均直径が0.05〜0.5μm、繊維表面上の孔の面積占有率が30〜60%である表面多孔質炭素繊維。
[2] 繊維長さが2mm以上である[1]に記載の表面多孔質炭素繊維。
[3] 炭素繊維中の金属含有率が11〜50質量ppmである[1]又は[2]に記載の表面多孔質炭素繊維。
[4] [1]乃至[3]のいずれかに記載の表面多孔質炭素繊維製造用前駆体繊維であって、前駆体繊維中の金属含有率が70〜300質量ppmである前駆体繊維。
[5] 前駆体繊維中に含有される金属が、Fe、Ti、Cu、Al、Zn及びNiから選ばれる1種以上の非イオン金属及び/又は金属イオンである[4]に記載に前駆体繊維。
[6] アクリロニトリルを90質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を紡糸して得られた粗原料繊維と、濃度110〜450質量ppmの金属溶液とを接触させて前駆体繊維中の金属含有率を70〜300質量ppmとすることを特徴とする前駆体繊維の製造方法。
[7] [6]に記載の製造方法で製造される前駆体繊維。
[8] [4]、[5]及び[7]のいずれかに記載の前駆体繊維を、加熱空気中220〜300℃で熱処理して耐炎化繊維を得、得られた耐炎化繊維を、不活性ガス雰囲気中、温度600〜2000℃で炭素化処理することを特徴とする表面多孔質炭素繊維の製造方法。
[9] [8]に記載の製造方法で製造される表面多孔質炭素繊維。
[10] [1]乃至[3]及び[9]のいずれかに記載の表面多孔質炭素繊維から構成される炭素繊維シート。
本発明の表面多孔質炭素繊維は、繊維表面における孔の直径、孔の占有率、細孔容積が所定の範囲に制御されているので、繊維の強度、弾性率を低下させることなく、繊維と樹脂との間の界面における接着性、即ち繊維表面の接着性が向上する。そのため、複合材料の強化用繊維として適している。
本発明の製造方法は、アクリロニトリルを所定量以上含有する単量体を重合して得られる共重合体を紡糸して得られる粗原料繊維を、所定濃度の金属溶液と接触させて繊維表面近傍に非イオン金属及び/又は金属イオンを含む前駆体繊維を得、この前駆体繊維を、常法により耐炎化処理、次いで炭素化処理するので、一般的な炭素繊維の製造設備及び製造条件がそのまま使用できる。従って、簡便で且つ安定的な製造方法である。
本発明の炭素繊維の繊維表面における孔は、その平均直径や深さが微生物の定着に適度であるので、この炭素繊維を水質浄化用の微生物床として用いる場合は、微生物の定着が短縮化され、水質浄化用炭素繊維として適している。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の表面多孔質炭素繊維の繊維直径は3〜10μm、好ましくは4.5〜7.5μmであり、炭素繊維は異方性の構造を有する。この点で特許文献1の等方性を有する炭素繊維と相違する。
本発明の表面多孔質炭素繊維は、繊維表面に孔を有する炭素繊維である。孔は、炭素繊維表面に集中して多数存在し、孔の底は繊維の中心にまで到達していない。つまり、本炭素繊維は、その表面に多数の孔を有するが、中心部は、通常の炭素繊維と同様の構造である。
孔の平均直径は0.05〜0.5μmで、好ましくは0.08〜0.5μmである。
孔の深さは、現在のところ正確には解っていない。しかし、孔が繊維の中心まで達していると、炭素繊維の強度は従来の多孔質炭素繊維と同程度の低強度になると考えられる。従って、本炭素繊維の孔の深さは0.5μm以下と推定される。
本発明の表面多孔質炭素繊維は、窒素を用いたガス吸着量測定装置で測定される細孔容積が12〜100cm3/gであることが好ましく、15〜60cm3/gであることが特に好ましい。この値は、通常の炭素繊維の細孔容積0.3cm3/g(比較例1)の50〜150倍である。しかし、従来の活性炭素繊維の1/50〜1/100倍である。この点で本炭素繊維は、通常の炭素繊維とも、また活性炭素繊維とも異なる。
繊維表面上の孔の面積占有率が30〜60%、好ましくは35〜55%である。孔の占有率は、後述する電子顕微鏡(SEM)観察写真における孔の単位当たりの面積占有度合いを示す。
このように孔径等が制御された孔を繊維表面に形成してなる本発明の表面多孔質炭素繊維は、繊維表面が複合材料の強化用繊維として適した凹凸状態になっている。この繊維表面状態の多孔質炭素繊維は、繊維の強度、弾性率を低下させることなく、樹脂と繊維との接地面積が物理的に増加し、そのアンカー効果により繊維表面と樹脂との接着性が向上する。即ち、本発明の表面多孔質炭素繊維は、向上した接着性を有すると共に高強度、高弾性率の複合材料の強化用繊維として機能する。
本発明の表面多孔質炭素繊維において、繊維表面と樹脂との接着性は、後述するマイクロドロップレット法による接着強度で67〜100MPaが好ましく、75〜90MPaがより好ましい。
本発明の表面多孔質炭素繊維の強度は、後述する単繊維引張強度で3000〜7000MPaであり、3200〜4000MPaが好ましい。本発明の表面多孔質炭素繊維の弾性率は、後述する単繊維引張弾性率で220GPa以上が好ましく、230〜240GPaがより好ましい。これらの引張強度及び弾性率は、通常の製法で製造した標準的な炭素繊維とほぼ同等である。
なお、本発明の表面多孔質炭素繊維の繊維表面における孔は、その平均直径や深さが適度な孔いわゆるマクロ細孔である。従来、水質浄化用炭素繊維は、表面が平滑な炭素繊維が用いられている。これに対し、本発明の表面多孔質炭素繊維を水質浄化用炭素繊維として用いる場合、繊維表面のマクロ細孔が、微生物の格好の繁殖エリアになる。そのため、本発明の表面多孔質炭素繊維は、従来の水質浄化用炭素繊維よりも、微生物の定着が短縮化されるので、水質浄化用炭素繊維として適している。
本発明の表面多孔質炭素繊維は、例えば、以下の方法により製造することができる。
<前駆体繊維>
本例の表面多孔質炭素繊維の製造方法に用いる前駆体繊維は、紡糸口金から紡糸原液を紡出して得たPAN系繊維を粗原料繊維として使用する。具体的には、アクリロニトリルを90質量%以上、好ましくは95質量%以上含有し、その他の単量体を10質量%以下含有する単量体を単独又は共重合した紡糸溶液を紡糸して製造する、PAN系の粗原料繊維が好ましい。その他の単量体としてはイタコン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸エステル等が例示される。
紡糸方法としては湿式、乾湿式又は乾式紡糸方法いずれの方法も用いることができるが、最終的に得られる炭素繊維が表面に襞を形成し、前述の孔と共に、樹脂との接着性が期待できるので、湿式紡糸方法がより好ましい。なお、紡糸溶液としては、30〜60質量%の塩化亜鉛溶液に上記アクリル系重合体を溶解したものが好ましい。
なお、必要に応じて、紡糸ノズルに異型口金(例えば亀甲型)を用いて紡糸しても構わない。また、紡糸原液の不純物を除去するために紡糸原液の濾過を必要に応じて実施しても構わない。紡糸原液の濾過の実施は、工程安定化、強度・弾性率等の品位の改善に大きく寄与するので、得られる炭素繊維について繊維表面の多孔質化がある程度で良く、工程安定化、品位の改善が優先して求められる場合には有効である。これらの紡糸工程は、従来公知の工程である。
次に、粗原料繊維と金属溶液とを接触させる。この接触工程は、前記紡糸工程の後に設けられる、洗浄工程、湿熱延伸工程の少なくとも一方の工程を利用して粗原料繊維に金属を含浸させることができる。洗浄工程も、湿熱延伸工程も、一般的な炭素繊維の製造方法の工程である。
洗浄工程において、粗原料繊維と金属溶液との接触は、例えば、所定濃度の金属を溶解する洗浄水に粗原料繊維を浸漬して通過させることにより行うことができる。洗浄に用いる金属溶液の温度は25〜80℃とすることが好ましい。また、接触時間は1〜10分が好ましい。
粗原料繊維に付与する金属の種類は、Fe、Ti、Cu、Al、Zn及びNiから選ばれる1種以上のものが好ましく、Ti、Cu及びNiから選ばれる1種以上のものがより好ましいが、繊維表面の多孔質化の効果や値段等を考慮すると、Cuが最も好ましい。
粗原料繊維と接触させる金属溶液は、粗原料繊維に金属を安定して供給できれば、非イオン金属及び金属イオンのいずれの金属溶液でも良いが、取り扱い易さや溶解性が良好なことを考慮すると、金属イオン又は有機金属錯イオンを溶解させた洗浄水が好ましい。金属イオンの化合物としては、塩酸、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩を用いることができる。
上記金属溶液の濃度は110〜450質量ppmが好ましく、130〜350質量ppmがより好ましく、170〜300質量ppmが特に好ましい。この濃度の金属溶液と接触させることにより、繊維表面近傍に金属が偏在する金属含有率が70〜300質量ppm、好ましくは濃度90〜250質量ppm、特に好ましくは濃度110〜200質量ppmの前駆体繊維が得られる。
金属溶液の濃度が110ppm未満の場合は、得られる多孔質炭素繊維において、強度、弾性率等の繊維物性は高いが、繊維表面の孔径が小さくなり過ぎる。金属溶液の濃度が450質量ppmを超える場合は、金属由来の不純物が多くなり、耐炎化炉、炭素化炉を通過させる工程安定性が阻害される。更に、強度、弾性率等の繊維物性の劣化が著しくなり、安定的に炭素繊維を製造することが難しくなる。
前述の特許文献2では、粗原料繊維への金属付与は、紡糸工程で紡糸原液に有機金属ポリマーを混合させることによるもの、いわゆる混合系紡糸原液によるものである。そのため、特許文献2の方法で金属を付与して得られる前駆体繊維は、繊維芯部から繊維表面まで一様に金属が分布する。即ち、繊維芯部にも金属が多量に分布する。この前駆体繊維を炭素化する場合は、前駆体繊維芯部に多量に分布する金属が作用して均一に多孔化した多孔質炭素繊維になる。この多孔質繊維は、全体が多孔質であるので、比表面積、活性度は高い。しかし、強度、弾性率などは低下し、強化用繊維として不十分なものである。
湿熱延伸工程における粗原料繊維と金属溶液との接触は、例えば、上記濃度の金属溶液を湿熱延伸中に粗原料繊維に噴霧することにより行うことができる。噴霧する金属溶液の温度は60〜100℃とすることが好ましい。
上記粗原料繊維は、張力を掛けつつ洗浄処理、湿熱延伸処理を施すが、洗浄工程、湿熱延伸工程を通してのトータル延伸倍率は10〜15倍とすることが好ましい。
本発明の製造方法における粗原料繊維への金属付与は、紡糸工程の後処理工程である洗浄工程、湿熱延伸工程で、微量な金属を粗原料繊維に含浸させることを特徴とする。即ち、本発明の紡糸工程で用いる紡糸原液は、金属を含まない単一系紡糸原液である。なお、金属溶液との接触は上記に限られず、独立した金属溶液槽を設け、洗浄工程、湿熱延伸工程以外で接触するようにしても良い。
上記方法にて、得られた前駆体繊維は、既知の前駆体繊維の場合と同様に保管できる。また、前駆体繊維は、保管することなく、既知の誘導方法にて誘導し、炭素繊維製造工程の次工程に連続して投入しても良い。保管の有無に関係なく、生産性は実質的に変わらない。
<耐炎化処理>
得られた前駆体繊維は、引き続き加熱空気中220〜300℃、好ましくは230〜260℃で熱処理して耐炎化繊維を得る。この時の処理は、一般的に、延伸倍率0.85〜1.30の範囲で処理されるが、高強度・高弾性率の炭素繊維を得るためには、0.95以上がより好ましい。
金属によって孔の形成される機構は以下のものと推測される。
前駆体繊維を、耐炎化工程、後述の炭素化工程で熱処理するに際し、前駆体繊維表面には、金属が一様に凝集体として分散している。凝集体の金属間において非イオン金属及び/又は金属イオン同士が引っ張りあって凝集体は収縮しようとする。凝集体の外側においては、前駆体繊維同士が引っ張りあって前駆体繊維も収縮しようとする。また、凝集体と前駆体繊維との界面部の非イオン金属及び/又は金属イオンは、前駆体繊維の収縮方向、即ち凝集体の外側方向に引っ張られる。
非イオン金属及び/又は金属イオン同士の結合は、前駆体繊維同士の結合よりも弱いことはもとより、前駆体繊維、これを熱処理して得られる耐炎化繊維、炭素繊維と、非イオン金属及び/又は金属イオンとの結合よりも弱い。そのため、前駆体繊維の熱処理に際し、繊維表面では、非イオン金属及び/又は金属イオンの凝集体の中央部において凝集体の一部が脱落し、その部分に微細な孔が開く。この微細孔の周縁部には、残渣として非イオン金属及び/又は金属イオンが残留している。
孔が開いたことで、微細孔周縁部残渣の非イオン金属及び/又は金属イオン同士の結合は更に弱くなる。そのため、熱処理が進むと、微細孔周縁部残渣の非イオン金属及び/又は金属イオンは、微細孔の外側方向に引っ張られて孔は広がる。
<炭素化処理>
上記耐炎化繊維は、従来の公知の方法を採用して炭素化することができる。例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、好ましくは酸素濃度が0.05体積ppm未満の不活性ガス雰囲気下で昇温し、炭素化炉で徐々に温度を高めると共に、耐炎化繊維の張力を制御して焼成する。不活性ガスについて、アルゴンは高価なため、大規模連続生産には窒素が好ましい。焼成温度については、炭素化炉で温度を高めて、最高温度領域で、600〜2000℃に保つことが好ましく、1000〜1500℃に保つことがより好ましい。
なお、炭素化工程において、酸素濃度が0.1〜0.5体積ppm程度存在しても、繊維表面における孔の直径、孔の占有率、細孔容積ついては、本発明の構成範囲内の多孔質炭素繊維は得られる。しかし、単繊維の引張強度が3000MPa未満に低下し、シート化処理する際の後加工性が低下する。また、炭素化工程が不安定化し、且つ炭素化炉の寿命が著しく低下するため、生産性(特にコスト)の観点から好ましくない。
<表面酸化処理>
上記炭素化処理後の繊維は、必要に応じ、炭素繊維の表面に表面官能基を付与させるため表面酸化処理を施す。表面酸化処理には気相、液相処理も用いることができるが、工程管理の簡便さと生産性を高める点から、液相処理が好ましい。液相処理のうちでも、液の安全性・安定性の面から、電解液を用いる電解処理が好ましく、電解液に用いる電解質としては硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機酸塩が好ましい。処理電気量については、炭素繊維1g当り電気量10〜15クーロンの範囲内で処理することが好ましい。処理電気量が5クーロン未満の場合は、表面処理の効果が少なく、所定の表面形態を得ることはできない。処理電気量が20クーロンを超える場合は、過剰処理により繊維強度の低下を招く。
<サイジング処理>
上記表面酸化処理後の繊維は、必要に応じ、引き続いて炭素繊維の取扱性改善、形態安定化、樹脂との親和性向上のためサイジング処理を施す。サイジング方法は、従来の公知の方法で行うことができ、サイジング剤は、用途に即して適宜組成を変更して使用し、均一付着させた後に、乾燥することが好ましい。付着量は0.5〜2.0質量%が好ましい。サイジング剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂が例示される。
<巻き取り処理>
上記サイジング処理後の繊維は、必要に応じ、引き続いて巻き取り処理を施す。巻き取り方法は、従来の公知の方法で行うことができる。その通常の方法では、炭素繊維は9.8〜29.4Nの張力下でボビン等に巻き取られ、パッケージされる。
このようにして得られた炭素繊維は、孔径等が制御された孔を繊維表面に形成してなる表面多孔質炭素繊維であるので、樹脂と複合化して複合材料にした場合、樹脂との良好な接着性を有する補強材として機能する。
また、得られた炭素繊維は、最終的に炭素繊維内に残留する金属の量が11〜50質量ppm、好ましくは13〜40質量ppm、更に好ましくは20〜35質量ppmである。この範囲に炭素繊維内の残留金属量を制御するには、前述したように、粗原料繊維に付与する金属溶液の濃度を110〜450質量ppm、好ましくは130〜350質量ppm、特に好ましくは170〜300質量ppmに調節する。
炭素繊維内の残留金属量が11質量ppm未満の場合は、炭素繊維の強度、弾性率等の繊維物性は高いが、繊維表面の孔径等の制御が不十分である。炭素繊維内の残留金属量が50質量ppmを超える場合は、炭素繊維の強度、弾性率等の繊維物性が低下する。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。また、各実施例及び比較例における処理条件、前駆体繊維、耐炎化繊維、炭素繊維の物性についての評価方法は以下の方法により実施した。
<細孔容積(窒素吸着量)>
ユアサアイオニクス社製AUTOSORB−1を用いて、以下の条件
吸着ガス:N2
死容積:He
吸着温度:77K(液体窒素温度)
測定範囲:相対圧(P/Po) = 0.01 − 1.0
P:測定圧、Po:N2の飽和蒸気圧
で吸着等温線(BET−BJH法)に従って細孔容積分布曲線を求めた。この曲線の総面積から全細孔容積を計算した。
<炭素繊維の強度、弾性率>
JIS R 7606に規定された方法に基いて、炭素繊維の単繊維引張強度、単繊維引張弾性率を測定した。
<孔の平均直径、占有率>
炭素繊維について、走査型電子顕微鏡(島津製作所製)を用いて繊維表面の写真を撮影した。この繊維表面を孔部(A)と平滑部(B)とに分け、次式
占有率 = A / (A + B)
によって繊維表面における孔の占有率を算出した。繊維表面における孔の平均直径は、写真撮影した孔を画像解析処理することによって算出した。
<接着性評価>
繊維と樹脂との界面における接着性は、複合材界面特性評価装置(東栄産業社製)を用いたマイクロドロップレット試験による接着強度として以下の手順で評価した。
はじめに、炭素繊維ストランドから炭素繊維モノフィラメントを取り出し、コ字状の台紙の両端側に設けた突出部に炭素繊維モノフィラメントの両端をそれぞれ接着剤で固定し、炭素繊維モノフィラメントを台紙に張設した。
この台紙を装置の台紙ホルダーにセットした。260℃に加熱し溶融させたポリプロピレン樹脂(出光石油化学社製、J−900GP)を、装置に備えられた試料容器の網目から液滴状に懸垂して台紙に張設した炭素繊維モノフィラメントに接触させることによりマイクロドロップレットを付着させた。
マイクロドロップレットを室温で十分に冷却した後、炭素繊維モノフィラメントをSUS製ブレードで挟み、台紙を0.06mm/minの速度で炭素繊維モノフィラメントの繊維軸方向に移動させ、マイクロドロップレットから炭素繊維モノフィラメントを引き抜くとともに、ロードセルで引き抜き時の最大荷重Fを測定した。10個以上の測定用試料を作製して測定を行い、直径30〜100μmのマイクロドロップレットについて荷重Fの平均値を求めた。なお、測定は、窒素雰囲気下、雰囲気温度23℃で行い、1個の測定用試料で測定するサンプル数は5個とした。
次式(i)により界面剪断強度τを算出し、炭素繊維フィラメントとポリプロピレン樹脂の接着強度を評価した。
τ=F/πdl …… (i)
なお、式(i)中、Fは引き抜き時の最大荷重、dは炭素繊維フィラメント径、lはマイクロドロップレットの引き抜き方向の粒子径を示す。
実施例1
アクリロニトリル95質量%/アクリル酸メチル5質量%/イタコン酸0.1質量%よりなる共重合体紡糸原液を湿式紡糸し、粗原料繊維を得た。この粗原料繊維を、Cuを塩酸塩として水に溶解させたCu濃度250質量ppmの水洗浴を用いて温度30℃で洗浄した。その後、乾燥・湿熱延伸・オイリング処理して繊維中のCu量が160質量ppmの前駆体繊維を得た。 この粗原料繊維は、張力を掛けつつ洗浄処理〜オイリング処理を施したが、洗浄工程〜オイリング工程を通してのトータル延伸倍率は3倍であった。
この前駆体繊維を、熱風循環式耐炎化炉の最高温度域を260℃に設定した加熱空気中で耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。
この耐炎化繊維を、炭素化炉の最高温度域を1400℃に設定した加熱窒素ガスの不活性雰囲気中で炭素化処理し、繊維中のCu量が30質量ppm、窒素吸着による細孔容積45cm3/g、単繊維引張強度が3300MPa、単繊維引張弾性率が233GPaの炭素繊維を得た。
この炭素繊維の繊維表面を、電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1のように繊維表面に孔が観察された。孔の平均直径は0.4μm、孔の面積占有率は55%であった。
次いで、この炭素繊維を、20℃、濃度1.5Nの硝酸アンモニウム水溶液を電解液(処理剤)として用い、処理電気量15c/gで、表面酸化処理を施した。
引き続き公知の方法で、サイジング剤を施し、乾燥してマイクロドロップレット法による接着性評価が85MPaの表面酸化処理、サイジング処理後の炭素繊維を得た。
実施例2〜3及び比較例1〜4
実施例1で得られた粗原料繊維を表1に示す条件で洗浄処理した以外は、実施例1と同様に、乾燥・湿熱延伸・オイリング処理、耐炎化処理、炭素化処理、表面酸化処理、サイジング処理を行い、表1に示す物性の前駆体繊維、炭素繊維を得た。
以上の結果、実施例2〜3で得られた炭素繊維は表1に示すように、実施例1と同様に、繊維表面における孔の直径、孔の占有率、細孔容積が制御された表面多孔質炭素繊維であり、単繊維引張強度、単繊維引張弾性率に目立った低下はなく、マイクロドロップレット法による接着性評価が優れており、複合材料用の炭素繊維として良好な物性の表面多孔質炭素繊維であった。
他方、比較例1〜3で得られた炭素繊維は表1に示すように、繊維表面における孔が無いか、僅かであり、マイクロドロップレット法による接着性評価が劣っており、良好な物性の炭素繊維ではなかった。
また、比較例1で得られた炭素繊維の繊維表面を、電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図2のように繊維表面に孔が観察されなかった。
比較例4で得られた炭素繊維は表1に示すように、繊維表面における孔の占有率や細孔容積が過剰になり、単繊維引張強度、単繊維引張弾性率等の繊維物性が劣っており、良好な物性の炭素繊維ではなかった。
なお、実施例1〜3で得られた炭素繊維モノフィラメント(単繊維)の引張強度について、従来の一般的な炭素繊維である比較例1〜3で得られた炭素繊維の単繊維引張強度と大きな差異はないということは、実際に使用する際に重要である。なぜならば、例えば、本発明の表面多孔質炭素繊維を紗糸し、多孔質炭素繊維シートとして使用する場合、フィラメント1000〜50000本を束ねたストランドの強度よりもモノフィラメントとしての強度の方が、シートとしての強度により強い影響を及ぼすからである。
また、単繊維引張弾性率についても、従来の一般的な炭素繊維と同等の物性が得られた。このことは、材料設計上、重要である。例えば、本発明の表面多孔質炭素繊維を紗糸し、多孔質炭素繊維シートとして使用する場合、単繊維引張弾性率が大きく変化すると、シートの剛性も大きく変化するため、設計上好ましくない。しかし、本発明の表面多孔質炭素繊維における単繊維引張弾性率は、従来の一般的な炭素繊維の単繊維引張弾性率と同等であるため、シートの剛性も同等である。
実施例4
実施例1で得られた粗原料繊維と金属溶液との接触を、洗浄工程ではなく湿熱延伸工程で行うと共に、金属溶液のCu濃度を250質量ppmではなく200質量ppmにした以外は、実施例1と同様に、乾燥・湿熱延伸・オイリング処理、耐炎化処理、炭素化処理、表面酸化処理、サイジング処理を行い、前駆体繊維、炭素繊維を得た。
得られた前駆体繊維中のCu量は155質量ppmであった。得られた炭素繊維について、繊維中のCu量は28質量ppm、窒素吸着による細孔容積は42cm3/g、単繊維引張強度は3280MPa、単繊維引張弾性率は235GPa、孔の平均直径は0.3μm、孔の面積占有率は52%、マイクロドロップレット法による接着性評価は83MPaであった。
以上の結果、実施例4で得られた炭素繊維は、実施例1と同様に、繊維表面における孔の直径、孔の占有率、細孔容積が制御された表面多孔質炭素繊維であり、単繊維引張強度、単繊維引張弾性率に目立った低下はなく、マイクロドロップレット法による接着性評価が優れており、複合材料用の炭素繊維として良好な物性の表面多孔質炭素繊維であった。
実施例5
実施例1で得られた粗原料繊維と接触させる金属溶液を、Cu濃度250質量ppmの水洗浴ではなく、Fe濃度250質量ppmの水洗浴にした以外は、実施例1と同様に、乾燥・湿熱延伸・オイリング処理、耐炎化処理、炭素化処理、表面酸化処理、サイジング処理を行い、前駆体繊維、炭素繊維を得た。
得られた前駆体繊維中のFe量は100質量ppmであった。得られた炭素繊維について、繊維中のFe量は40質量ppm、窒素吸着による細孔容積は38cm3/g、単繊維引張強度は3260MPa、単繊維引張弾性率は230GPa、孔の平均直径は0.2μm、孔の面積占有率は47%、マイクロドロップレット法による接着性評価は76MPaであった。
以上の結果、実施例5で得られた炭素繊維は、実施例1と同様に、繊維表面における孔の直径、孔の占有率、細孔容積が制御された表面多孔質炭素繊維であり、単繊維引張強度、単繊維引張弾性率に目立った低下はなく、マイクロドロップレット法による接着性評価が優れており、複合材料用の炭素繊維として良好な物性の表面多孔質炭素繊維であった。
実施例6
実施例1で得られた粗原料繊維と接触させる金属溶液を、Cu濃度250質量ppmの水洗浴ではなく、Al濃度250質量ppmの水洗浴にした以外は、実施例1と同様に、乾燥・湿熱延伸・オイリング処理、耐炎化処理、炭素化処理、表面酸化処理、サイジング処理を行い、前駆体繊維、炭素繊維を得た。
得られた前駆体繊維中のAl量は30質量ppmであった。得られた炭素繊維について、繊維中のAl量は25質量ppm、窒素吸着による細孔容積は40cm3/g、単繊維引張強度は3270MPa、単繊維引張弾性率は230GPa、孔の平均直径は0.3μm、孔の面積占有率は55%、マイクロドロップレット法による接着性評価は80MPaであった。
以上の結果、実施例6で得られた炭素繊維は、実施例1と同様に、繊維表面における孔の直径、孔の占有率、細孔容積が制御された表面多孔質炭素繊維であり、単繊維引張強度、単繊維引張弾性率に目立った低下はなく、マイクロドロップレット法による接着性評価が優れており、複合材料用の炭素繊維として良好な物性の表面多孔質炭素繊維であった。
Figure 2010047863
実施例1で得られた炭素繊維の繊維表面を示す図面代用電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例1で得られた炭素繊維の繊維表面を示す図面代用電子顕微鏡(SEM)写真である。

Claims (10)

  1. 繊維表面に孔を有する表面多孔質炭素繊維であって、窒素を用いたガス吸着量測定装置で測定される細孔容積が15〜100cm3/g、単繊維引張強度が3000〜7000MPa、孔の平均直径が0.05〜0.5μm、繊維表面上の孔の面積占有率が30〜60%である表面多孔質炭素繊維。
  2. 繊維長さが2mm以上である請求項1に記載の表面多孔質炭素繊維。
  3. 炭素繊維中の金属含有率が11〜50質量ppmである請求項1又は2に記載の表面多孔質炭素繊維。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の表面多孔質炭素繊維製造用前駆体繊維であって、前駆体繊維中の金属含有率が70〜300質量ppmである前駆体繊維。
  5. 前駆体繊維中に含有される金属が、Fe、Ti、Cu、Al、Zn及びNiから選ばれる1種以上の非イオン金属及び/又は金属イオンである請求項4に記載に前駆体繊維。
  6. アクリロニトリルを90質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を紡糸して得られた粗原料繊維と、濃度110〜450質量ppmの金属溶液とを接触させて前駆体繊維中の金属含有率を70〜300質量ppmとすることを特徴とする前駆体繊維の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法で製造される前駆体繊維。
  8. 請求項4、5及び7のいずれかに記載の前駆体繊維を、加熱空気中220〜300℃で熱処理して耐炎化繊維を得、得られた耐炎化繊維を、不活性ガス雰囲気中、温度600〜2000℃で炭素化処理することを特徴とする表面多孔質炭素繊維の製造方法。
  9. 請求項8に記載の製造方法で製造される表面多孔質炭素繊維。
  10. 請求項1乃至3及び9のいずれかに記載の表面多孔質炭素繊維から構成される炭素繊維シート。
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