JP2010047501A - イソシアネート混合物の製造前処理方法 - Google Patents

イソシアネート混合物の製造前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イソシアネート混合物の反応性に影響を及ぼす、鉄をはじめとした金属の混入量の低減されたイソシアネート混合物を得るためのイソシアネート混合物の製造前処理方法を提供すること。
【解決手段】アミン混合物EおよびホスゲンFを反応させてイソシアネート混合物を合成する反応工程と、このイソシアネート混合物を含む反応工程液を濃縮する濃縮工程と、を備える製造工程によりイソシアネート混合物Gを製造する前に、前処理として、製造工程の系内に酸性物質Cおよび前処理媒体AおよびBを導入し、これらを反応工程の系内および濃縮工程の系内の少なくとも一方で循環させた後、製造工程外に排出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、イソシアネート混合物の製造前処理方法に関する。
イソシアネート混合物の製造工程は、アニリンとホルムアルデヒドとを酸触媒の存在下で縮合させてアミン混合物を合成する縮合工程、またはニトロ化合物やニトリル化合物の水素化反応等によりアミン混合物を得る工程、この縮合工程または水素化反応等によって得られたアミン混合物とホスゲンとを不活性溶媒中で反応させて実質的にイソシアネート混合物を合成する反応工程、このイソシアネート混合物と反応工程で用いた不活性溶媒と上記反応により副生した塩化水素および/または余剰のホスゲン等の酸性化合物とからなる反応工程液からイソシアネート混合物、不活性溶媒および酸性化合物を分離して不活性溶媒および酸性化合物を回収する濃縮工程、並びにイソシアネート混合物を蒸留して留出分と残留分とに分離する精製工程からなる。
上記イソシアネート混合物の工業的な製造工程は、一般的に、コストやメンテナンスの面から鉄やステンレスを主体とする金属製設備を用いて行われている。
この製造設備の定期修理等では、機器や配管を開放して点検するため、それらを構成する金属は空気中の酸素と接触し、酸化されて金属酸化物の形態、例えば、鉄であれば酸化鉄として製造工程内に残存する。残存した金属酸化物は、通常イソシアネート混合物には不溶である。
しかし、上述のとおり、イソシアネート混合物製造時にはアミン混合物とホスゲンとの反応で副生した塩化水素や余剰のホスゲン等の酸性化合物が存在し、これらによって製造系内、特に反応工程および濃縮工程の系内は酸性雰囲気となっており、この酸性雰囲気に晒された金属酸化物は、イソシアネート混合物に溶解し易い金属塩化物に変化する。
このように金属製設備が酸性化合物による腐食や侵食を受けた結果、微量の金属、特に鉄が、反応工程液中に溶け出し、最終製品であるイソシアネート混合物に混入してしまう。
また、イソシアネート混合物を含む反応工程液は、上述したように、酸性化合物により酸性状態となる。この状態で溶媒の還流が行われると、還流設備が酸によって腐食および/または侵食され、溶媒中に鉄などの金属成分が混入することになる。その結果、還流設備からの金属を含んだ状態で溶媒が反応工程(反応槽)に戻ることになるため、反応工程液中の金属含有量がさらに増大することになる。
一方、濃縮工程では、反応工程液から分離される溶媒にイソシアネート混合物が同伴して収率が低下するのを防止するため、回収された溶媒の一部は再び濃縮工程に戻される。しかし、この溶媒も酸性状態であるため、上記と同様に設備の腐食などによって金属が溶媒中に溶け出し、溶媒とともに濃縮工程に戻ることになるため、ポリイソシアネートを含む濃縮液中の金属含有量がさらに増大することになる。
イソシアネート混合物中に含まれる鉄分量が多くなると、イソシアネート混合物の貯蔵安定性に影響を及ぼすことがある。
また、イソシアネート混合物はポリウレタンの出発原料として用いられているが、イソシアネート混合物のポリオール化合物等との反応性は、イソシアネート混合物に含まれる鉄分量に影響を受ける。
さらに、酸性化合物と金属酸化物との反応により生じる水などの副生物が、イソシアネート混合物に混入すると、その改質、変質を引き起こす原因ともなる。
以上のような理由から、イソシアネート混合物の鉄分含有量は可能な限り少ないことが望まれる。
一般的に、イソシアネート混合物中の鉄分含有量が10ppm以下であれば、イソシアネート混合物の貯蔵安定性やポリウレタン製造原料として用いる場合の反応性などに悪影響を与えるものではないと言われている。
この点、上記製造工程によって得られたイソシアネート混合物中に含まれる鉄分含有量は、通常10ppm以下であり、イソシアネート混合物の貯蔵安定性やポリウレタン製造原料として用いる場合の反応性などに大きな影響を与えるものではない。
しかし、設備の定期修理等を行った後、製造再開直後に得られたイソシアネート混合物においては、鉄含有量が数百ppmに及ぶ場合があり、その貯蔵安定性やポリオール化合物等との反応性などに悪影響を及ぼすことがある。
以上のような問題点に鑑み、イソシアネート混合物中に含まれる鉄分の量を減少させることを目的とした様々な技術が開発されている。
例えば、特許文献1では、少なくとも100m2/gの内部表面積を有する微孔質吸着剤にてジフェニルメタンジイソシアネート、またはジフェニルメタン系ポリイソシアネートを処理する手法が開示されている。
特許文献2では、塩基性吸着剤にて有機ポリイソシアネート組成物を処理する手法が開示されている。
しかし、特許文献1の手法では、イソシアネート混合物中の鉄含有量を実用上問題のないレベルまで低減し得るものの、微孔吸着剤がイソシアネート混合物中に混入してしまうという新たな問題を招来する。
また、特許文献2の手法では、塩基性の吸着剤を用いているため、処理後の有機ポリイソシアネート組成物の改質、変質が懸念される上に、その貯蔵安定性にも問題がある。
特許第3881046号公報 特開2006−160684号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、イソシアネート混合物の反応性に影響を及ぼす、鉄をはじめとした金属の混入量の低減されたイソシアネート混合物を得るためのイソシアネート混合物の製造前処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、イソシアネート混合物の製造前に、製造工程内の少なくとも一部を酸性物質および前処理媒体にて循環処理し、これらを製造工程外に排出することで、この後に行われるイソシアネート製造工程にて得られるイソシアネート混合物中の金属含有量を効率的に低減し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. アミン混合物およびホスゲンを反応させてイソシアネート混合物を合成する反応工程と、この反応工程で得られたイソシアネート混合物を含む反応工程液を濃縮する濃縮工程と、を備える製造工程によりイソシアネート混合物を製造する前に行われる前処理方法であって、前記製造工程の系内に酸性物質および前処理媒体を導入し、これらを前記反応工程の系内および前記濃縮工程の系内の少なくとも一方で循環させた後、前記製造工程外に排出することを特徴とする前処理方法、
2. 前記酸性物質および前処理媒体を、前記反応工程の系内および濃縮工程の系内の双方で循環させた後、前記製造工程外に排出する1の前処理方法、
3. 前記酸性物質および前処理媒体を、前記製造工程外で混合した後、前記製造工程の系内に導入する1または2の前処理方法、
4. 前記酸性物質が、塩化水素である1〜3のいずれかの前処理方法、
5. 前記前処理媒体が、ポリイソシアネートである1〜4のいずれかの前処理方法、
6. 前記前処理媒体が、クロロベンゼンとポリイソシアネートとの混合媒体である1〜4のいずれかの前処理方法、
7. 前記前処理媒体が、クロロベンゼンまたはジクロロベンゼンである1〜4のいずれかの前処理方法、
8. 前記ポリイソシアネートが、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々2個有するイソシアネートを20〜70質量%、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々3個以上有するイソシアネート系多核縮合体を80〜30質量%含有する5または6の前処理方法、
9. 前記酸性物質が塩化水素であり、前記前処理媒体がポリイソシアネートを含み、前記塩化水素およびポリイソシアネートの混合物中の前記塩化水素含有量が1〜5質量%である1〜6のいずれかの前処理方法、
10. 処理温度が、50〜150℃である1〜9のいずれかの前処理方法、
11. 1〜10のいずれかの前処理方法を実施した後、アミン混合物とホスゲンとを反応させることを特徴とするイソシアネート混合物の製造方法
を提供する。
本発明によれば、酸性物質と前処理媒体とをイソシアネート混合物の製造工程内で循環した後、製造工程外へ排出することで、従来イソシアネート混合物中へ混入していた金属成分、特に鉄分を、イソシアネート混合物の製造開始前に製造工程外へ排出することができる。
このため、上記前処理後に、アミン混合物とホスゲンを反応させてイソシアネート混合物を製造することで、従来イソシアネート混合物中に混入していた鉄分等の金属分の混入量を減少させることができる。具体的には、鉄分を10ppm以上含むイソシアネート混合物の製造量を、大幅に低減させることができる。
したがって、ポリウレタン原料として供する上で必要となる鉄分含有量の調整(低減化)などの作業工程が不要となるという利点がある。
しかも、上述した特許文献1の方法と違い、イソシアネート混合物を吸着剤で処理する方法ではないから、最終製品であるイソシアネート混合物へ吸着剤が混入することもない。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るイソシアネート混合物の製造前処理方法は、アミン混合物およびホスゲンを反応させてイソシアネート混合物を合成する反応工程と、この反応工程で得られたイソシアネート混合物を含む反応工程液を濃縮する濃縮工程と、を備える製造工程によりイソシアネート混合物を製造する前に行われる前処理方法であり、製造工程の系内に酸性物質および前処理媒体を導入し、これらを反応工程の系内および濃縮工程の系内の少なくとも一方で循環させた後、製造工程外に排出するものである。
すなわち、イソシアネート混合物の反応性に影響を及ぼす、鉄をはじめとした金属のイソシアネート混合物への混入を防止するため、予め製造工程(の一部)で酸性物質と前処理媒体を循環させ、製造設備内に存在する金属酸化物を金属塩化物として前処理媒体中に溶解させた後、これを前処理媒体とともに製造工程外に排出する。これにより、その後の製造工程中に設備が酸性条件下に晒されたとしても、反応工程液中に混入してくる金属分は、前処理を行わない場合に比べて著しく減少することになる。
この際、上記酸性物質および前処理媒体の循環は、反応工程の系内のみで行った場合でも、濃縮工程の系内のみで行った場合でも、その後の製造工程にてイソシアネート混合物に混入する金属量を低減することができるが、より効果的にその混入量を低減させることを考慮すると、反応工程の系内および濃縮工程の系内の双方で酸性物質および前処理媒体の循環を行うことが好ましい。
本発明において、酸性物質および前処理媒体の循環は、イソシアネート混合物製造時に反応工程液および溶媒と接触する設備内(の一部)で行う。
具体的には、反応工程では、例えば、アミン混合物とホスゲンとの反応が行われる反応槽や、この反応中に加熱還流される溶媒が通過する還流設備内を循環させる。
濃縮工程では、例えば、濃縮が行われる濃縮槽や、濃縮時に留去された溶媒が一部還流される場合の還流設備内を循環させる。
また、反応槽と濃縮槽が別々の槽である場合、反応槽と濃縮槽の間を循環させてもよい。
さらに、濃縮後に、粗イソシアネート混合物を一時貯留するタンクを用いる場合、濃縮槽とこのタンクとの間とを循環させてもよい。
酸性物質および前処理媒体の製造工程内への導入部位は特に限定されるものではなく、設備の任意の位置から行うことが可能である。
例えば、反応工程を行う反応槽に導入したり、濃縮工程を行う濃縮槽に導入したり、その双方に導入したりすることができる。
酸性物質および前処理媒体を製造工程内へ導入するにあたっては、これらを別々に導入しても、これらを予め製造工程外で混合してから導入してもよいが、操作の簡便さ等を考慮すると、後者の手法が好適である。
特に、後者の手法を用いると、前処理媒体として後述するポリイソシアネートを用いる場合に、酸性物質の濃度調節を容易に行うことができる。
本発明の前処理方法に用いられる酸性物質としては、特に限定されるものではなく、塩化水素、臭化水素、フッ化水素等のハロゲン化水素;塩素、臭素、フッ素等のハロゲン;塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。これらの中でも、金属酸化物との反応性などを考慮すると、塩化水素、臭化水素が好適であり、さらに経済性の面を考慮すると、塩化水素がより好ましい。
また、前処理媒体としては、金属塩化物等の金属分の溶解能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリイソシアネートを用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート混合物;イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート混合物;トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族イソシアネート混合物など種々のものを用いることができるが、前処理後に製造するイソシアネート混合物中に混入する金属分の低減化を目的としていることから、前処理媒体としても、製造されるイソシアネート混合物と同一の組成を有するものが好適である。
特に、鉄分の溶解能を考慮すると、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々2個有するイソシアネートを20〜70質量%、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々3個以上有するイソシアネート系多核縮合体を80〜30質量%含有するMDI混合物(ポリメリックMDI)を用いることが好ましい
また、一般的にイソシアネート混合物に用いられる有機溶媒を用いることもでき、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、好ましくはクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどを、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることもできる。
この場合も、上記と同様の理由から、後のイソシアネート混合物の製造工程で用いる不活性溶媒と同一の溶媒か、それよりも金属分の溶解能に優れた溶媒を用いることが好ましい。
さらに、上記ポリイソシアネートと、上記有機溶媒とを任意の割合で混合して前処理媒体とすることもできる。
特に、鉄分の溶解能を高めることを考慮すると、ポリイソシアネートと、クロロベンゼンとの混合媒体を用いることが好適である。
この場合、これらの混合比率は、質量比で、ポリイソシアネート:クロロベンゼン=90:10〜50:50程度が好適である。
本発明の前処理方法では、以上で説明した酸性物質および前処理媒体の中でも、特に、塩化水素と、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートおよびクロロベンゼンの混合物との組み合わせが、鉄分の溶解能に優れていることから好適であり、特に、ポリイソシアネートとして上述したMDI混合物を用いたものが最適である。
この場合、ポリイソシアネート中の塩化水素含有量は、1〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましく、1〜3質量%がより一層好ましい。
塩化水素含有量が1質量%より低い場合、金属の溶解効率が低下する場合があり、一方、5質量%より高い場合、当該混合物中の塩化水素による製造設備の極端な腐食および/または侵食が起こる場合がある。
なお、塩化水素含有量は、JIS K−1603に準拠して測定される酸度で表される数値である。
前処理方法の処理温度は、特に限定されるものではないが、50〜150℃が好適である。処理温度がこの範囲外であると、酸性物質と処理媒体への金属の溶解効率が低下する虞がある。また、例えば酸性物質に塩化水素、有機溶媒にポリイソシアネートを用いた場合では、処理温度が50℃より低いと、塩化水素とポリイソシアネートの混合物への金属の溶解性が低くなり、150℃より高温では塩化水素とポリイソシアネートの混合物中の、塩化水素含有量の著しい低下や、ポリイソシアネートへの塩化水素の溶解効率が低下し、結果的に塩化水素およびポリイソシアネートの混合物中への金属の溶解効率が低下する。
これらを考慮すると、より好ましくは60〜140℃、より一層好ましくは80〜130℃である。
処理圧力は0.01〜5MPa、好ましくは0.03〜3MPaである。処理時間は1〜50時間であり、好ましくは1〜24時間である。
なお、前処理媒体として有機溶媒を用いた場合、循環後、排出された酸性物質および前処理媒体は、例えば蒸留などの精製方法により精製することで、イソシアネート混合物の製造における反応工程で用いる不活性溶媒として再利用することが可能である。
本発明のイソシアネート混合物の製造方法は、上述した前処理方法を実施した後、アミン混合物とホスゲンとを反応させてイソシアネート混合物を製造するものであり、イソシアネート製造工程自体は、アミン混合物およびホスゲンを不活性溶媒中で反応させてイソシアネート混合物を合成する反応工程と、このイソシアネート混合物を含む反応工程液を濃縮する濃縮工程と、を備える従来公知のものである。
ここで、イソシアネート混合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート混合物;イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート混合物;トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族イソシアネート混合物等が挙げられ、これらに応じて適宜なアミン混合物が用いられる。
中でも、鉄分の影響が特に問題になるMDI混合物、具体的には、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々2個有するイソシアネートを20〜70質量%、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々3個以上有するイソシアネート系多核縮合体を80〜30質量%含有するMDI混合物の製造前に、本発明の方法を用いると効果的である。
不活性溶媒は、一般的にイソシアネート混合物の製造に用いられるものであれば任意であり、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサンなどを用いることができる。
なお、その他の製造条件、例えば、ホスゲン化反応条件、濃縮条件、蒸留条件などの諸条件は、製造するイソシアネート混合物に応じて、従来公知の条件を適宜採用すればよい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
[1]第1実施形態
図1には、本発明の第1実施形態に係る前処理方法が行われるイソシアネート混合物の製造装置1が示されている。
定期修理を終えた製造装置1において、前処理に用いられる前処理媒体であるポリイソシアネートAおよびクロロベンゼン(ジクロロベンゼン)Bは、反応槽10および濃縮槽20内に導入される。
その後、酸性物質である塩化水素Cが、反応槽10および濃縮槽20内に吹き込まれ、所定温度、例えば、110℃で反応工程および濃縮工程の双方またはいずれか一方の系内において循環処理が行われる。
すなわち、反応槽10内に導入されたポリイソシアネートA、クロロベンゼン(ジクロロベンゼン)Bおよび塩化水素Cは、反応槽10と、第1熱交換器11および第1溶媒回収タンク12との間で還流される。
一方、濃縮工程の系内においても、ポリイソシアネートA、クロロベンゼン(ジクロロベンゼン)Bおよび塩化水素Cは、同様に、濃縮槽20と、第2熱交換器21および第2溶媒回収タンク22との間で還流される。
また、この際、ポリイソシアネートA、クロロベンゼン(ジクロロベンゼン)Bおよび塩化水素Cは、反応槽10と濃縮槽20との間においても循環される。
以上の循環処理は、例えば、1〜50時間程度の所定時間行われる。循環処理終了後、ポリイソシアネートA、クロロベンゼン(ジクロロベンゼン)Bおよび塩化水素Cは濃縮槽20で濃縮され、クロロベンゼン(ジクロロベンゼン)Bは排出物D1として、ポリイソシアネートAは排出物D2として製造工程外に排出される。なお、濃縮せずに、それぞれの工程から排出物D2,D3としてポリイソシアネートAおよびクロロベンゼン(ジクロロベンゼン)Bを排出してもよい。
[2]第2実施形態
図2には、本発明の第2実施形態に係る前処理方法が行われるイソシアネート混合物の製造装置2が示されている。
以下の説明では、第1実施形態と同一の構成については同一符号を付すのみでその説明を省略する。
この第2実施形態では、ポリイソシアネートAおよび塩化水素Cの製造工程内への導入態様が、上記第1実施形態と異なっている。
すなわち、ポリイソシアネートAおよび塩化水素Cは、まず、第1混合槽40および第2混合槽50内でそれぞれ混合され、塩化水素を含むポリイソシアネートが調製される。この塩化水素含有ポリイソシアネートが、反応槽10および濃縮槽20内に導入される。
上記各実施形態で説明した一連の前処理によって、製造設備が塩化水素Cと接触し、それを構成する金属が酸化されて生じた金属酸化物が塩化物に変化し、前処理媒体であるポリイソシアネートAおよびクロロベンゼン(ジクロロベンゼン)B中に溶解する。この金属成分はポリイソシアネートAおよびクロロベンゼン(ジクロロベンゼン)Bとともに、排出物D2,D3として製造工程外に排出されることになる。このため、その後にイソシアネート混合物を製造した場合に、イソシアネート混合物中に混入する金属分が減少する。
上述した前処理後は、通常のイソシアネート混合物の製造が行われる。
すなわち、アミン混合物EおよびホスゲンFが、それぞれ不活性溶媒であるクロロベンゼンとともに反応槽10内に導入され、加熱還流条件下でホスゲン化反応が行われる(反応工程)。
反応工程終了後、生成したイソシアネート混合物、酸性化合物およびクロロベンゼンを含む反応工程液は濃縮槽20で濃縮される(濃縮工程)。
この工程で留去されたクロロベンゼンおよび酸性化合物は、第2熱交換器21に送られ、第2溶媒回収タンク22で回収された後、その一部は濃縮槽20に戻され、残余は系外に排出される(図示省略)。
濃縮工程終了後、粗イソシアネート混合物は、蒸留塔30へ送られ、ここで留出分である低沸点化合物等と分離精製され、残留分としてイソシアネート混合物Gが得られる(精製工程)。
なお、上記各実施形態では、反応工程および濃縮工程の全ての系内において前処理が行われていたが、これに限られず、いずれか一部のみで前処理が行われる態様でもよい。
また、反応工程および濃縮工程の系内が同時に前処理されていたが、これに限られず、任意の順序で前処理することができる。
さらに、前処理にあたって、ポリイソシアネートA、クロロベンゼン(ジクロロベンゼン)Bおよび塩化水素Cは、反応槽10および濃縮槽20の双方に導入されていたが、いずれか一方にのみ導入される態様でもよい。
上記製造装置1,2では、反応槽10と濃縮槽20が別体とされていたが、反応槽が濃縮槽を兼ねてもよい。
加えて、図示はしていないが、塩化水素(酸性物質)とポリイソシアネートとを予め混合した前処理媒体が導入される上記第2実施形態において、上記第1実施形態と同様に、さらに別途、塩化水素C(酸性物質)を製造工程内へ導入することもできる。
また、アミン混合物E、ホスゲンFの供給を開始してイソシアネート混合物の製造を開始した後、これらの供給を一旦停止させて、反応工程および濃縮工程に滞留している、製造されたイソシアネート混合物を含む反応工程液、または製造されたイソシアネート混合物を、前処理媒体として用いることも可能である。
その他、製造設備の構成や製造条件などは、本発明の目的を達成し得る限りにおいて、適宜変更することができる。
以下、参考例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、酸度はJIS K−1603に準拠して測定し、鉄含有量はイソシアネート混合物をろ過後、原子吸光光度計(AA−6800,(株)島津製作所製)を用いて測定した。また、特に記載がない限り、温度は全て摂氏温度、パーセントは全て質量パーセントである。
[参考例1]塩化水素とポリメリックMDIによる鉄分溶解
ポリメリックMDI(1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々2個有するイソシアネートを42質量%、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々3個以上有するイソシアネート系多核縮合体を58質量%含有するポリメリックMDI、酸度0.009%、鉄分10ppm)500gを、容器内を窒素置換したガラス製撹拌翼付ガラス製1Lフラスコに導入した。そこへ酸化鉄720mg(鉄分換算1000ppm)を添加し、塩化水素ガスを吹き込みながら80℃で撹拌した。8時間後、新たにポリメリックMDIに溶解した鉄分は1000ppm、酸度は1.3%であった。
[参考例2]塩化水素とポリメリックMDI、クロロベンゼンによる鉄分溶解
参考例1と同一のポリメリックMDI 400gおよびクロロベンゼン100gを、容器内を窒素置換したガラス製撹拌翼付ガラス製1Lフラスコに導入した。そこへ酸化鉄720mg(鉄分換算1000ppm)を添加し、塩化水素ガスを吹き込みながら80℃で撹拌した。8時間後、新たにポリメリックMDIに溶解した鉄分は900ppmであった。
[参考例3]
(1)塩化水素を含むポリメリックMDIの調製
参考例1と同一のポリメリックMDI 1000gに、塩化水素ガスを室温で2時間吹き込んだ。塩化水素を含むポリメリックMDIの酸度は3.0%であった。
(2)塩化水素を含むポリメリックMDIによる鉄分溶解
上記で調製した塩化水素含有ポリメリックMDI 500gを、容器内を窒素置換したガラス製撹拌翼付ガラス製1Lフラスコに導入した。そこへ酸化鉄720mg(鉄分換算1000ppm)を添加し、80℃で撹拌した。8時間後、新たにポリメリックMDIに溶解した鉄分は900ppm、酸度は1.1%であった。
[比較参考例1]ポリメリックMDIによる鉄分溶解
参考例1と同一のポリメリックMDI 500gを、容器内を窒素置換したガラス製撹拌翼付ガラス製1Lフラスコに導入した。そこへ酸化鉄720mg(鉄分換算1000ppm)を添加し、80℃で撹拌した。8時間後、新たにポリイソシアネートに溶解した鉄分は0ppmであった。
[1]第1実施形態の前処理
[実施例1]塩化水素、ポリメリックMDIおよびクロロベンゼンによる前処理
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置1において、反応槽10および濃縮槽20に、参考例1と同一のポリメリックMDI A 30tおよびクロロベンゼンB 30tを導入した。
その後、反応槽10および濃縮槽20内に塩化水素Cをそれぞれ吹き込みながら(吹き込み量100Nm3/h、以下同様)、ポリメリックMDI AおよびクロロベンゼンBを、反応工程の系内および濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、塩化水素Cの吹き込みを止め、濃縮槽20で濃縮してクロロベンゼンBを除去し(排出物D1)、ポリメリックMDI Aを排出した(排出物D2)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は500ppmであった。
[実施例2]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例1における前処理が完了した後、アミン混合物Eのクロロベンゼン溶液およびホスゲンFのクロロベンゼン溶液を反応槽10へ導入し、イソシアネート混合物の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の7質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は8ppmであった。
なお、得られたイソシアネート混合物は、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々2個有するイソシアネートと、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々3個以上有するイソシアネート系多核縮合体とからなるポリメリックMDIである。
[実施例3]塩化水素、ポリメリックMDIおよびクロロベンゼンによる前処理(別形態)
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置1において、反応槽10および濃縮槽20に、参考例1と同一のポリメリックMDI A 30t、およびクロロベンゼンB 30tを導入した。
その後、濃縮槽20内に塩化水素Cを吹き込みながら、ポリメリックMDI AおよびクロロベンゼンBを、反応工程の系内および濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、塩化水素Cの吹き込みを止め、濃縮槽20で濃縮してクロロベンゼンBを除去し(排出物D1)、ポリメリックMDI Aを排出した(排出物D2)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は500ppmであった。
[実施例4]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例3における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の7質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は8ppmであった。
[実施例5]塩化水素およびポリメリックMDIによる前処理
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置1において、反応槽10および濃縮槽20に、参考例1と同一のポリメリックMDI A 30tを導入した。
その後、濃縮槽20内に塩化水素Cを吹き込みながら、ポリメリックMDI Aを、反応工程の系内および濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、塩化水素Cの吹き込みを止め、ポリメリックMDI Aを反応槽10および濃縮槽20から排出した(排出物D2,D3)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は400ppmであった。
[実施例6]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例5における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の10質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は9ppmであった。
[実施例7]塩化水素およびクロロベンゼンによる前処理
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置1において、反応槽10および濃縮槽20に、クロロベンゼンB 40tを導入した。
その後、濃縮槽20内に塩化水素Cを吹き込みながら、クロロベンゼンBを、反応工程の系内および濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、塩化水素Cの吹き込みを止め、クロロベンゼンBを濃縮槽20から排出した(排出物D2)。排出したクロロベンゼン中の鉄分の含有量は150ppmであった。
[実施例8]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例7における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の30質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は25ppmであった。
[実施例9]塩化水素およびジクロロベンゼンによる前処理
前処理媒体としてジクロロベンゼンB 40tを用いた以外は、実施例7と同様にして前処理を行った。
排出したジクロロベンゼン中の鉄分の含有量は150ppmであった。
[実施例10]前処理後のイソシアネート混合物の製造>
実施例9における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の32質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は28ppmであった。
[実施例11]塩化水素、ポリメリックMDIおよびクロロベンゼンによる前処理(反応工程のみにおける実施)
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置1において、反応槽10のみに、参考例1と同一のポリメリックMDI A 20tおよびクロロベンゼンB 20tを導入した。
その後、反応槽10に塩化水素Cを吹き込みながら、ポリメリックMDI AおよびクロロベンゼンBを、反応工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、塩化水素Cの吹き込みを止め、反応槽10からポリメリックMDI AおよびクロロベンゼンBを排出した(排出物D3)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は250ppmであった。
[実施例12]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例11における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の18質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は15ppmであった。
[実施例13]塩化水素およびポリメリックMDIによる前処理(反応工程のみにおける実施)
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置1において、反応槽10のみに、参考例1と同一のポリメリックMDI A 30tを導入した。
その後、反応槽10に塩化水素Cを吹き込みながら、ポリメリックMDI AおよびクロロベンゼンBを、反応工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、塩化水素Cの吹き込みを止め、反応槽10からポリメリックMDI Aを排出した(排出物D3)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は200ppmであった。
[実施例14]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例13における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の20質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は16ppmであった。
[実施例15]塩化水素、ポリメリックMDIおよびクロロベンゼンによる前処理(濃縮工程のみにおける実施)
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置1において、濃縮槽20のみに、参考例1と同一のポリメリックMDI A 20tおよびクロロベンゼンB 20tを導入した。
その後、濃縮槽20に塩化水素Cを吹き込みながら、ポリメリックMDI AおよびクロロベンゼンBを、濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、塩化水素Cの吹き込みを止め、濃縮槽20からポリメリックMDI AおよびクロロベンゼンBを排出した(排出物D2)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は200ppmであった。
[実施例16]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例15における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の18質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は14ppmであった。
[実施例17]塩化水素およびポリメリックMDIによる前処理(濃縮工程のみにおける実施)
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置1において、濃縮槽20のみに、参考例1と同一のポリメリックMDI A 30tを導入した。
その後、濃縮槽20に塩化水素Cを吹き込みながら、ポリメリックMDI Aを、濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、塩化水素Cの吹き込みを止め、濃縮槽20からポリメリックMDI Aを排出した(排出物D2)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は200ppmであった。
[実施例18]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例17における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の18質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は14ppmであった。
[2]第2実施形態の前処理
[実施例19]塩化水素、ポリメリックMDIおよびクロロベンゼンによる前処理
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置2において、反応槽10および濃縮槽20にクロロベンゼンB 30tを導入した。次いで、第1および第2混合槽40,50内でポリメリックMDI Aと塩化水素Cとを予め混合して調製した塩化水素含有ポリメリックMDI(酸度3.0%)30tを、反応槽10および濃縮槽20に導入し、ポリメリックMDIおよびクロロベンゼンBを、反応工程の系内および濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、反応槽10および濃縮槽20からポリメリックMDIおよびクロロベンゼンBを排出した(排出物D2,D3)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は300ppmであった。
[実施例20]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例19における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の15質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は23ppmであった。
[実施例21]塩化水素、ポリメリックMDIおよびジクロロベンゼンによる前処理
ジクロロベンゼンB 30tを用いた以外は、実施例19と同様にして前処理を行った。
排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は300ppmであった。
[実施例22]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例21における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の16質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は24ppmであった。
[実施例23]塩化水素およびポリメリックMDIによる前処理
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置2において、第1および第2混合槽40,50内でポリメリックMDI Aと塩化水素Cとを予め混合して調製した塩化水素含有ポリメリックMDI(酸度3.0%)30tを、反応槽10および濃縮槽20に導入した。その後、ポリメリックMDIを、反応工程の系内および濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、反応槽10および濃縮槽20からポリメリックMDIを排出した(排出物D2,D3)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は400ppmであった。
[実施例24]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例23における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の10質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は22ppmであった。
[3]第1実施形態と第2実施形態を併せた前処理
[実施例25]塩化水素、ポリメリックMDIおよびクロロベンゼンによる前処理
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置2において、反応槽10および濃縮槽20にクロロベンゼンB 30tを導入した。次いで、第1および第2混合槽40,50内でポリメリックMDI Aと塩化水素Cとを予め混合して調製した塩化水素含有ポリメリックMDI(酸度3.0%)30tを、反応槽10および濃縮槽20に導入した。
その後、濃縮槽20内に塩化水素Cを吹き込みながら、ポリメリックMDI AおよびクロロベンゼンBを、反応工程の系内および濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、反応槽10および濃縮槽20からポリメリックMDI AおよびクロロベンゼンBを排出した(排出物D2,D3)。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は500ppmであった。
[実施例26]前処理後のイソシアネート混合物の製造
実施例25における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の9質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は20ppmであった。
[比較例1]ポリメリックMDIのみによる前処理
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置において、反応槽および濃縮槽に、参考例1と同一のポリメリックMDI30tを導入した。
その後、塩化水素の吹き込みを行わずに、ポリメリックMDIを反応工程の系内および濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、濃縮槽からポリメリックMDIを排出した。排出したポリメリックMDI中の鉄分の含有量は10ppmであった。
[比較例2]前処理後のイソシアネート混合物の製造
比較例1における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の70質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は40ppmであった。
[比較例3]クロロベンゼンのみによる前処理
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置において、反応槽および濃縮槽に、クロロベンゼン30tを導入した。
その後、塩化水素の吹き込みを行わずに、クロロベンゼンを、反応工程の系内および濃縮工程の系内にて110℃で24時間循環させた。24時間後、濃縮槽からクロロベンゼンを排出した。排出したクロロベンゼン中の鉄分の含有量は5ppmであった。
[比較例4]前処理後のイソシアネート混合物の製造
比較例3における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の75質量%であり、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は45ppmであった。
[比較例5]ジクロロベンゼンのみによる前処理
ジクロロベンゼン40tを用いた以外は、比較例3と同様にして前処理を行った。
排出したジクロロベンゼンにおける鉄分の含有量は5ppmであった。
[比較例6]前処理後のイソシアネート混合物の製造
比較例5における前処理が完了した後、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の80質量%、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は50ppmであった。
[比較例7]イソシアネート混合物の製造(前処理なし)
定期修理を終えたイソシアネート混合物の製造装置において、前処理を行わずに、実施例2と同様にイソシアネート混合物(ポリメリックMDI)の製造を開始した。
製造開始後6日間における、鉄分を10ppm以上含有するイソシアネート混合物の製造量は、全イソシアネート混合物の製造量の90質量%、6日間において製造された全イソシアネート混合物における鉄分の平均含有量は60ppmであった。
本発明の第1実施形態に係るイソシアネート混合物の製造前処理方法に用いられる装置の概略構成図である。 本発明の第2実施形態に係るイソシアネート混合物の製造前処理方法に用いられる装置の概略構成図である。
符号の説明
1 イソシアネート混合物製造装置
10 反応槽,濃縮槽
20 濃縮槽
30 蒸留塔
40 第1混合槽
50 第2混合槽
A ポリメリックMDI(前処理媒体)
B クロロベンゼンまたはジクロロベンゼン(前処理媒体)
C 塩化水素(酸性物質)
D1,D2,D3 排出物
E アミン混合物
F ホスゲン
G イソシアネート混合物

Claims (11)

  1. アミン混合物およびホスゲンを反応させてイソシアネート混合物を合成する反応工程と、この反応工程で得られたイソシアネート混合物を含む反応工程液を濃縮する濃縮工程と、を備える製造工程によりイソシアネート混合物を製造する前に行われる前処理方法であって、
    前記製造工程の系内に酸性物質および前処理媒体を導入し、これらを前記反応工程の系内および前記濃縮工程の系内の少なくとも一方で循環させた後、前記製造工程外に排出することを特徴とする前処理方法。
  2. 前記酸性物質および前処理媒体を、前記反応工程の系内および濃縮工程の系内の双方で循環させた後、前記製造工程外に排出する請求項1記載の前処理方法。
  3. 前記酸性物質および前処理媒体を、前記製造工程外で混合した後、前記製造工程の系内に導入する請求項1または2記載の前処理方法。
  4. 前記酸性物質が、塩化水素である請求項1〜3のいずれか1項記載の前処理方法。
  5. 前記前処理媒体が、ポリイソシアネートである請求項1〜4のいずれか1項記載の前処理方法。
  6. 前記前処理媒体が、クロロベンゼンとポリイソシアネートとの混合媒体である請求項1〜4のいずれか1項記載の前処理方法。
  7. 前記前処理媒体が、クロロベンゼンまたはジクロロベンゼンである請求項1〜4のいずれか1項記載の前処理方法。
  8. 前記ポリイソシアネートが、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々2個有するイソシアネートを20〜70質量%、1分子中にベンゼン環およびイソシアネート基を各々3個以上有するイソシアネート系多核縮合体を80〜30質量%含有する請求項5または6記載の前処理方法。
  9. 前記酸性物質が塩化水素であり、前記前処理媒体がポリイソシアネートを含み、前記塩化水素およびポリイソシアネートの混合物中の前記塩化水素含有量が1〜5質量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の前処理方法。
  10. 処理温度が、50〜150℃である請求項1〜9のいずれか1項記載の前処理方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載の前処理方法を実施した後、アミン混合物とホスゲンとを反応させることを特徴とするイソシアネート混合物の製造方法。
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