JP2010046895A - 微小凹凸が形成された型内塗装成形品の製造方法および型内塗装成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】絵付成形品表面に微小凹凸が形成された塗装膜を形成し、熱ナノインプリントのような所望のナノ構造表面を得、例えば触感、超撥水性、セキュリティホログラムなどの従来にない優れた性能の表面特性を有する立体形状型内塗装成形品を提供する。
【解決手段】表面にナノ構造の凹凸形状4を形成した塗装膜形成金型3と裏面側金型5とを備える型内塗装金型を用い、絵付成形品2を保持させた裏面側金型5に塗装膜形成金型3を対向させ、型締め後、絵付成形品2と塗装膜形成金型3との間に形成されるキャビティに塗料溶液を充填する型内塗装成形品の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】表面にナノ構造の凹凸形状4を形成した塗装膜形成金型3と裏面側金型5とを備える型内塗装金型を用い、絵付成形品2を保持させた裏面側金型5に塗装膜形成金型3を対向させ、型締め後、絵付成形品2と塗装膜形成金型3との間に形成されるキャビティに塗料溶液を充填する型内塗装成形品の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した成形金型を用いて絵付成形品表面に微小凹凸が形成された塗装膜を形成することを特徴とする型内塗装成形品の製造方法に関するものである。
最近、表面にナノ構造の凹凸形状を形成する方法として、例えば特許文献1のような熱ナノインプリント法が注目されている。
熱ナノインプリント法は、電子線などで描いた母型の金型からニッケル電鋳からなるスタンパーを作製し、それを基体シート等の上に載置し、高温高圧下で押し付け、冷却後、スタンパーを基体シート1等から外して基体シート等上に微小な凹部を形成する方法である。押し付ける際の温度は基体シート等の軟化点以上でかつ熱分解温度未満に設定し、圧力は一般的に数MPa〜数十MPaに設定する。数秒から数分間押圧した後、急速冷却または自然冷却して基体シート等の表面が軟化点以下になるまで放置する。
しかし、熱ナノインプリントは、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した非常に高精度の金型を用いて高い精度で均一かつ適度な熱および圧力を加える必要がある。したがって、小さいサイズの平滑な樹脂シートに対してしか適用できず、立体形状の射出成形品などのように圧力や熱を均一に加えるのが困難なものに対しては適用できない。また、熱ナノインプリントに使用するような表面にナノ構造の凹凸形状を形成した射出成形金型を用いて、通常のインサート成形絵付法により立体形状の射出成形品を得ようとしても絵付けインサートシートが追随せず、熱ナノインプリントのような所望のナノ構造表面を得ることができない問題があった。
したがって、本発明は、上記のような問題点を解消し、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した塗装膜形成金型を用いて絵付成形品表面に微小凹凸が形成された型内塗装成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の型内塗装成形品の製造方法および型内塗装成形品は上記の目的を達成するために、次のように構成した。
すなわち、本発明の型内塗装成形品の製造方法は、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した塗装膜形成金型と裏面側金型とを備える型内塗装金型を用い、絵付成形品を保持させた裏面側金型に塗装膜形成金型を対向させ、塗装膜形成金型と裏面側金型との型締め後、絵付成形品と塗装膜形成金型とで形成されるキャビティに塗料溶液を充填し、型開きして、絵付成形品表面に微小凹凸が形成された塗装膜を形成するように構成した。
また本発明の第2態様の型内塗装成形品の製造方法は、前記キャビティに充填する塗料溶液が、粘度500〜3000mPa・sの塗料溶液であるように構成することもできる。
また本発明の第3態様の型内塗装成形品の製造方法は、型内塗装金型が表面側金型と回転機構とをさらに備え、回転機構の作動により、裏面側金型と表面側金型との間で絵付成形品を形成後、絵付成形品を保持させた裏面側金型と対向する金型を表面側金型から塗装膜形成金型に切り替えることを特徴とするように構成することもできる。
また本発明の第4態様の型内塗装成形品の製造方法は、型内塗装金型が表面側金型をさらに備え、射出成形装置を回転盤が付いた回転式の射出成形装置とし、回転盤の作動により、裏面側金型と表面側金型との間で絵付成形品を形成後、絵付成形品を保持させた裏面側金型と対向する金型を表面側金型から塗装膜形成金型に切り替えることを特徴とするように構成することもできる。
また本発明の第5態様として、型内塗装成形品は、成形品表面に塗装膜が形成された型内塗装成形品であって、該塗装膜表面にナノ構造の微小凹凸が形成された型内塗装成形品であるように構成した。
また本発明の第6態様として、第5態様の型内塗装成形品は、前記塗装膜表面に形成されるナノ構造の微小凹凸が、モスアイ形状であることを特徴とするように構成することもできる。
また本発明の第7態様として、第5態様の型内塗装成形品は、前記塗装膜表面に形成されるナノ構造の微小凹凸が、マイクロレンズアレイ形状であることを特徴とするように構成することもできる。
また本発明の第8態様として、第5〜7態様の型内塗装成形品は、前記成形品表面に形成される塗装膜が、熱硬化性樹脂であることを特徴とするように構成することもできる。
また本発明の第9態様として、第5〜8態様の型内塗装成形品は、前記成形品がインサート加飾成形品または転写加飾成形品のいずれかの絵付成形品であることを特徴とすることもできる。
本発明の型内塗装成形品の製造方法は、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した塗装膜形成金型と裏面側金型とを備える型内塗装金型を用い、絵付成形品を保持させた裏面側金型に塗装膜形成金型を対向させ、型締め後、絵付成形品と塗装膜形成金型との間に形成されるキャビティに塗料溶液を充填するので、ナノ構造の凹凸形状に容易に充填できる。
したがって、絵付成形品表面に微小凹凸が形成された塗装膜を形成可能であり、熱ナノインプリントのような所望のナノ構造表面を得ることができる。したがって、例えば触感、超撥水性、セキュリティホログラムなどの従来にない優れた性能の表面特性を有する立体形状型内塗装成形品を得ることができる効果がある。
図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1〜図3は本発明の表面に微小凹凸が形成する型内塗装成形品の製造方法の一例を示す断面図である。図中、1は塗料溶液、2は絵付成形品、3は表面にナノ構造の微小凹凸形状を形成した塗装膜形成金型、4は塗装膜形成金型3におけるナノ構造の微小凹凸形状部位、5は裏面側金型、6は絵付成形品2と塗装膜形成金型3とで形成されるキャビティ、7は絵付成形品2の表面に形成された塗装膜,8は塗装膜7の表面のナノ構造の微小凹凸、9は塗料溶液1を供給するポンプ、50は塗料溶液注入機、100はナノ構造の微小凹凸が形成された型内塗装成形品、である。なお、各図において同じ構成部分については同じ符号を付している。
本発明の第1の実施態様にかかる絵付成形品表面に微小凹凸が形成された型内塗装成形品100(図8参照)の製造方法は、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した塗装膜形成金型3と裏面側金型5とを備える型内塗装金型を用い、絵付成形品2を保持させた裏面側金型5に塗装膜形成金型3を対向させ(図1参照)、塗装膜形成金型3と裏面側金型5との型締め後、ポンプ9から供給される塗料溶液1を絵付成形品2と塗装膜形成金型3とで形成されるキャビティ6に充填し(図2参照)、塗料溶液1を硬化させた後、塗装膜形成金型3を型開きして、絵付成形品2表面に塗装膜7を形成するとともに、その塗装膜7の表面に微小凹凸8を形成する(図3参照)ことを特徴とする。
まず、表面にナノ構造の凹凸形状を形成した塗装膜形成金型3について説明する。塗装膜形成金型3は、原則的に絵付成形品2を保持させた裏面側金型5と合わさることによりキャビティ6を形成する。塗装膜形成金型3の材質は、通常の射出成形金型に使用される銅合金、アルミ合金などの鋼材を使用する。鋼材は、湯の加圧力で変形しない程度の剛性が必要である。なお、塗装膜形成金型3と裏面側金型5の金型の材質は同じであってもよいし、異なっていてもよい。塗装膜形成金型3にナノ構造の凹凸形状を形成する方法としては、電子線描画・機械加工などがある。
塗装膜形成金型3の表面に形成されるナノ構造の凹凸形状の例としては、(1)抜き勾配20度〜50度の角錐または円錐状のピラミッド状のピラーが100〜500nmのピッチで整然と配列した構造(以下、モスアイ構造という。)で反射防止効果を呈する形状(図4参照)やその反転パターン、(2)曲率半径10μm〜5000μmの半球状の凸部が0.5μm〜100μmのピッチで整然と配列した構造(以下、マイクロレンズアレイ構造という。)でレンズ効果を呈する形状(図5参照)やその反転パターンがあげられる。なお、これ以外に虹色のホログラム意匠を呈する形状や、艶消し効果を呈するマット形状などであってもよい。またこれらは、部分的に形成してもよいし、全体に形成してもよい。また、これらの形状の一つのみを形成してもよいし、複数の形状の組み合わせであってもよい。
なお、これらのナノ構造の凹凸形状の形成位置は、絵付成形品の意匠パターンと同調できる位置に設けるのが好ましい。例えば、無色透明のディスプレイ窓部にはモスアイ構造の凹凸形状が形成され、着色意匠部分にはマイクロレンズアレイ構造の凹凸形状を設けることにより、ディスプレイ画面が反射防止効果により鮮明になり、かつ着色意匠部分はレンズ効果により深みのある意匠が形成される。
キャビティ6の形状は、所望とする塗装膜7のパターンや厚みに応じて適宜設定する。塗装膜7の厚みは通常10μm〜100μm程度に設定するが、キャビティ6を適宜設定し裏面側金型5に圧縮機構を設けることにより、通常の型内塗装では形成困難な5μm以下の非常に薄い厚みの塗装膜7を形成することが可能であり、反対に1mm以上の非常に厚い厚さにすることも可能である。ただし、厚みが1μm未満であれば、塗料溶液1の材質や注入する際の圧力、圧縮機構の条件を調整しても形成するのが困難となり、厚みが5mm以上となると塗料溶液1の硬化時間が長くなって生産性が低下する。
型内塗装技術は樹脂成形を行って絵付成形品2を得た後、金型内に塗料溶液1を注入し、絵付成形品2の表面を塗装膜7で覆う方法で、型締めされた金型内に高圧で塗料溶液1を注入する方法(高圧法)と、絵付成形完了後金型を僅かに開き低圧で塗料溶液1を注入し、その後再度金型を閉じて絵付成形品2の表面を塗料で閉じて被覆し、そのまま塗料溶液1を硬化させる方法(低圧法)とがある。通常は、裏面側金型5と表面側金型11とで成形品を形成した後に微小な型開きにより表面側金型11を若干後退させ、表面側金型11と成形品表面との隙間にできた新たなキャビティに塗料溶液1を注入して数MPaの圧力を保持した状態で硬化させる低圧法が一般的であるが、以下に述べる高圧法を改良した方法も有力である。すなわち、 型内塗装金型が表面側金型11と回転機構12とをさらに備え、回転機構12の作動により、裏面側金型5と表面側金型11との間で絵付成形品2を形成後、絵付成形品2を保持させた裏面側金型5と対向する金型を表面側金型11から塗装膜形成金型3に切り替える方法(図6参照)や、型内塗装金型が表面側金型11をさらに備え、射出成形装置を回転盤13が付いた回転式の射出成形装置とし、回転盤13の作動により、裏面側金型5と表面側金型11との間で絵付成形品2を形成後、絵付成形品2を保持させた裏面側金型5と対向する金型を表面側金型11から塗装膜形成金型3に切り替える方法(図7参照)がある。
塗装膜形成金型3および裏面側金型5の金型温度は、塗料溶液1の材質に応じて塗料溶液1が数秒以内に硬化する温度に設定する。ただ、硬化が速過ぎると塗装膜形成金型3のナノ構造の凹凸形状の転写性が低下するので、この部分については、若干、硬化が遅くなるよう金型温度を低めに設定する。たとえば、ナノ構造の凹凸形状の部分を入れ子形状にしておき、この部分には別の金型温度調節機構を連結させ、硬化を少し遅らせることで、塗料溶液1の粘度を低く維持させたまま、ナノ構造の凹凸形状の細部にまで均等に行き渡らせるためである。また、この入れ子の部分に油圧などによる圧縮機構を駆使して、塗料溶液1を圧縮してナノ構造の凹凸形状の細部にまで均等に行き渡らせるようにすれば、より忠実なナノ構造の凹凸形状を形成できる。
つぎに、本発明の型内塗装品の製造方法に用いる塗料溶液1について説明する。塗料溶液1は、ポンプ9から塗料溶液注入機50に供給され、塗料溶液注入機50から1ショット分の正確な量を適度な圧力でキャビティ6に注入される。塗料溶液1の材質としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーなどの過酸化物触媒によって硬化が可能なバインダー成分を主体とする一液型塗料や、エポキシ樹脂/ポリアミン硬化系、ポリオール樹脂/ポリイソシアネート硬化系などの、金型注入直前に主剤/硬化剤を混合する二液型塗料などの熱硬化性樹脂があげられる。その中でも、アクリレート基を有するオリゴマー又は不飽和ポリエステル樹脂、あるいはこれらの成分と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーのうちのいずれかと架橋効率が8以上である有機過酸化物開始剤を含有する一液型塗料は、硬化性・付着性・外観・耐候性に優れており、硬化時間を短縮でき、付着力・外観・耐候性の問題から型内被覆方法を適用できなかった樹脂成形材料にも適用可能である点で非常に良好である。これらの塗料溶液1は、従来型のスプレーやディッピングで使用 される塗料のような揮発性有機溶剤を含んでいないか、含んでいても非常に少なくなっている。
また、塗料溶液1の色は、塗装膜7を通して絵付成形品2の絵柄が見えるように透明あるいは半透明であるのが好ましい。
塗料溶液1の粘度としては、500〜7000mPa・sの範囲内でパターンや厚みに応じて適宜設定する。ただ、ナノ構造の凹凸形状がとくに微細な場合は、細部に塗料溶液1が行き渡るよう比較的低粘度の500〜3000mPa・sの範囲内で設定するのが好ましい。塗料溶液注入機50は、例えば塗料タンクの上部に圧力をかけ、1ショット分の塗料溶液1の正確な量が塗料タンクから計量・射出・バルブの構造を兼ね備えた射出ユニットに送られる構造のものが挙げられる。塗料溶液1の注入位置は、ノズル後が残るのを防止するため、鍵穴やエンブレム取り付け位置等を利用したり、製品の外側に仮製品部を設けてそこに設置するのが好ましい。
塗料溶液1の注入時間は1〜10秒程度で、塗料溶液1の材質やキャビティ6の大きさなどによって適宜設定する。塗料溶液1の注入圧力は10〜400kgf/cm2程度の範囲内で適宜設定すると良いが、塗膜中にバリや気泡を防止するためには圧力は高めに設定した方が好ましい。
つぎに、本発明の型内塗装品の製造方法に用いる絵付成形品2について説明する。絵付成形品2は成形樹脂表面に絵付層が設けられた成形品である。成形樹脂は、通常の熱可塑性の射出成形樹脂やエンジニアリングプラスチックのほか、熱硬化性の成形樹脂材料など特に限定はされないが、成形しやすく絵付層や塗料溶液1との密着が良いものが好ましい。具体的には、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂(ABS系樹脂)、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などがあげられる。
成形樹脂表面に絵付層を設ける方法としては、金型内に成形同時絵付シートを載置し、キャビティに成形樹脂を充填して成形と同時に絵付けをする成形同時絵付法が挙げられる。成形同時絵付シートは、基体シート上に少なくとも絵付層が形成されたものであり、成形樹脂の射出成形時の熱圧によって絵付層が基体シート上から成形樹脂に転写貼付する機能をもつ絵付シートである。成形同時絵付シートは、必要に応じて成形樹脂への貼付を向上させるための接着層や、絵付層を基体シートから剥離させ塗装膜7と密着させるための剥離層、およびこれらの層どうしの密着を向上させるためのアンカー層、基体シートと剥離層の離型を助けるための離型層などが設置される。絵付層は所望のパターンで所望の着色インキを単層または複数層形成する場合のほか、金属蒸着層等を形成して金属光沢のある意匠表現をする場合もある。また、基体シートを絵付成形品2上に残存させ、基体シートと塗装膜7とを密着させることも可能であり、この場合には剥離層や離型層は形成されない。なお、基体シートが残存する絵付成形品2をインサート加飾成形品といい、基体シートが残存しない絵付成形品2を転写加飾成形品という。また、成形樹脂表面に絵付層を設けない場合には、本発明の型内塗装成形品は絵付成形品2ではなく成形樹脂から形成される成形品の表面に塗装膜7が形成されたものとなる(図示せず)。
上記ナノ構造の微小凹凸形状を形成した塗装膜形成金型3を用いる型内塗装法により、通常の射出成形では形成できないナノ構造の微小凹凸形状を表面にもったナノ構造の微小凹凸が形成された型内塗装成形品100を得ることが可能である。また、この方法は、成形中も塗膜形成後も揮発性有機化合物(VOC)を系外に発散することがないため環境対策のための大掛かりな設備も当然不要となる。
塗装膜形成金型3と、回転機構12の付いた裏面側金型5と、表面側金型11とを備える型内塗装金型を用いて、金型温度が50℃に設定された裏面側金型5と、同じく金型温度が50℃に設定された表面側金型11との間に200μmの厚みからなるアクリルインサートフィルムからなる成形同時絵付けシートをセットし、型締めし、表面側金型11から、加熱溶融した透明のABS樹脂を射出し、40秒間冷却して表面側金型11を開くことにより、長さ100mm、幅50mm、高さ3mmの直方体形状の絵付成形品2が裏面側金型5に保持された状態で得られた。次に、絵付成形品2が保持されたままの裏面側金型5が回転機構12の作動により180度回転して、表面の一部に微小凹凸形状を形成した塗装膜形成金型3側に切り替えされた。微小凹凸形状は勾配30度の四角錐のピラミッド状のピラーが300nmのピッチで整然と配列したモスアイ構造であった。そして、220トンの型締め圧力で裏面側金型5と金型温度が95℃に設定された塗装膜形成金型3とが型締めされ、長さ100mm、幅50mm、高さ20μmの外形形状のキャビティ6が形成された。次に、このキャビティ6に塗料溶液1(大日本塗料(株)製プラグラス8000・粘度3000mPa・s)を注入し、40秒間保持して塗料溶液1を固化させた後、塗装膜形成金型3を開くことにより、絵付成形品2上に塗装膜7が一体被覆された型内塗装成形品100が得られた(図6参照)。得られた型内塗装成形品100の表面を電子顕微鏡で観察すると、塗装膜形成金型3の表面に形成されていたモスアイ構造の反転されたパターンとほぼ同様のパターンが塗装膜7の一部に形成されていた。そして、このパターンが形成された表面の反射率を測定すると反射率が0.55%で、パターンが形成されていない部分の反射率4%に比べて格段の反射防止効果を有していた。
型内塗装金型を回転機構12のない通常の金型とし、裏面側金型5を回転式射出成形装置の回転盤13にセットし、厚み38μmのポリエステルフィルムの基体シート、メラミン樹脂からなる離型層、アクリル樹脂からなる無色透明剥離層、塩化ビニル樹脂からなる無色透明絵付層および無色透明接着層を備える成形同時絵付けシートを用い、表面側金型11を開けて裏面側金型5に保持された状態で絵付成形品2を得るとともに絵付成形品2から基体シートを剥がし、絵付成形品2が保持されたままの裏面側金型5が回転盤13の作動により180度回転して、表面の一部に微小凹凸形状を形成した塗装膜形成金型3側に切り替えされ、裏面側金型5と塗装膜形成金型3とが型締めされた以外は実施例1と同様にして絵付成形品2上に塗装膜7が一体被覆された型内塗装成形品100が得られた(図7参照)。得られた型内塗装成形品100は、実施例1と同様に表面を電子顕微鏡で観察すると、塗装膜形成金型3の表面に形成されていたモスアイ構造の反転されたパターンとほぼ同様のパターンが塗装膜7の一部に形成されていた。そして、このパターンが形成された表面の反射率を測定すると反射率が0.54%で、パターンが形成されていない部分の反射率4%に比べて格段の反射防止効果を有していた。
塗装膜形成金型3のキャビティの微小凹凸形状が形成されている部分を入れ子にし、この部分の金型温度が70℃になるよう別の温調機構を付加させ、さらに油圧による圧縮機構を設置して、塗料溶液をキャビティ内に注入した瞬間に塗装膜形成金型3の入れ子を油圧で裏面側金型5側に圧縮してキャビティの外形形状を長さ100mm、幅50mm、高さ10μmに圧縮した以外は実施例1と同様にして型内塗装成形品100が得られた。得られた型内塗装成形品100は、表面を電子顕微鏡で観察すると、塗装膜形成金型3の表面に形成されていたモスアイ構造の反転されたパターンが実施例1の場合よりさらに忠実に塗装膜7の一部に形成されていた。そして、このパターンが形成された表面の反射率を測定すると反射率が0.31%で、パターンが形成されていない部分の反射率4%に比べて格段の反射防止効果を有していた。
上記成形同時絵付シートの塩化ビニル樹脂からなる絵付層を木目模様柄にし、塗装膜形成金型3の微小凹凸形状を曲率半径150μmの半球状の凸部が50μmのピッチで整然と配列したマイクロレンズアレイ構造とした以外は、実施例1と同様にして型内塗装成形品100が得られた。得られた型内塗装成形品100は、表面を電子顕微鏡で観察すると、塗装膜形成金型3の表面に形成されていたマイクロレンズアレイ構造の反転されたパターンとほぼ同様のパターンが塗装膜7の一部に形成されていた。そして、このパターンが形成された表面は上記レンズ効果を呈する塗装膜表面のナノ構造により、木目模様が立体的に見える優れた意匠を呈していた。
本発明は、携帯電話などの通信機器、電子情報機器、液晶ディスプレイ、太陽電池など、各種成形品において好適に用いることができ、産業上有用なものである。
1 塗料溶液
2 絵付成形品
3 表面にナノ構造の微小凹凸形状を形成した塗装膜形成金型
4 塗装膜形成金型3におけるナノ構造の微小凹凸形状部位
5 裏面側金型
6 絵付成形品2と塗装膜形成金型3とで形成されるキャビティ
7 絵付成形品2の表面に形成された塗装膜
8 塗装膜7の表面のナノ構造の微小凹凸
9 塗料溶液1を供給するポンプ
11 表面側金型
12 回転機構
13 回転式射出成形装置の回転盤
50 塗料溶液注入機
100 ナノ構造の微小凹凸が形成された型内塗装成形品
2 絵付成形品
3 表面にナノ構造の微小凹凸形状を形成した塗装膜形成金型
4 塗装膜形成金型3におけるナノ構造の微小凹凸形状部位
5 裏面側金型
6 絵付成形品2と塗装膜形成金型3とで形成されるキャビティ
7 絵付成形品2の表面に形成された塗装膜
8 塗装膜7の表面のナノ構造の微小凹凸
9 塗料溶液1を供給するポンプ
11 表面側金型
12 回転機構
13 回転式射出成形装置の回転盤
50 塗料溶液注入機
100 ナノ構造の微小凹凸が形成された型内塗装成形品
Claims (9)
- 表面にナノ構造の凹凸形状を形成した塗装膜形成金型と裏面側金型とを備える型内塗装金型を用い、
絵付成形品を保持させた裏面側金型に塗装膜形成金型を対向させ、塗装膜形成金型と裏面側金型との型締め後、絵付成形品と塗装膜形成金型とで形成されるキャビティに塗料溶液を充填し、型開きして、絵付成形品表面に微小凹凸が形成された塗装膜を形成することを特徴とする型内塗装成形品の製造方法。 - 前記キャビティに充填する塗料溶液が、粘度500〜3000mPa・sの塗料溶液であることを特徴とする請求項1に記載の型内塗装成形品の製造方法。
- 型内塗装金型が表面側金型と回転機構とをさらに備え、
回転機構の作動により、
裏面側金型と表面側金型との間で絵付成形品を形成後、絵付成形品を保持させた裏面側金型と対向する金型を表面側金型から塗装膜形成金型に切り替えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の型内塗装成形品の製造方法。 - 型内塗装金型が表面側金型をさらに備え、
射出成形装置を回転盤が付いた回転式の射出成形装置とし、回転盤の作動により、
裏面側金型と表面側金型との間で絵付成形品を形成後、絵付成形品を保持させた裏面側金型と対向する金型を表面側金型から塗装膜形成金型に切り替えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の型内塗装成形品の製造方法。 - 成形品表面に塗装膜が形成された型内塗装成形品であって、該塗装膜表面にナノ構造の微小凹凸が形成された型内塗装成形品。
- 前記塗装膜表面に形成されるナノ構造の微小凹凸が、モスアイ形状であることを特徴とする請求項5に記載の型内塗装成形品。
- 前記塗装膜表面に形成されるナノ構造の微小凹凸が、マイクロレンズアレイ形状であることを特徴とする請求項5に記載の型内塗装成形品。
- 前記成形品表面に形成される塗装膜が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の型内塗装成形品。
- 前記成形品がインサート加飾成形品または転写加飾成形品のいずれかの絵付成形品であることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれかに記載の型内塗装成形品。
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- 2008-08-21 JP JP2008212740A patent/JP2010046895A/ja not_active Withdrawn
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