JP2010045920A - 直流給電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常運転時の損失を抑えつつ、かつ地絡事故時の電流を限流可能とする。
【解決手段】異なる電力系統にそれぞれ接続された複数の整流器2a、2bと、各整流器の出力にそれぞれ第1の直流遮断器3a、3bを介して接続された複数の母線4a、4bと、各母線にそれぞれ第2の直流遮断器5a1、5a2、5b1、5b2を介して接続された複数の負荷に直流電力を供給する直流給電装置において、各母線を互いに限流手段21を介して並列接続することにより、他系統の母線から流入する地絡電流を限流手段21で限流する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、直流給電装置に係り、特に、複数の整流器の出力をそれぞれ複数の母線に接続し、その複数の母線を並列接続して複数の負荷に直流電力を供給する冗長化された直流給電装置における地絡事故時の電流を限流する技術に関する。
従来の直流給電装置としては、異なる電力系統にそれぞれ接続された複数の整流器の出力を、それぞれ第1の直流遮断器を介して複数の母線に出力し、それらの母線を並列接続して複数の負荷に直流電力を供給する構成のものが知られている。例えば、特許文献1に記載の直流給電装置は、ダイオードで構成された複数の整流器の直流出力側にそれぞれ直流遮断器を接続し、各直流遮断器に接続されたき電線に電車のパンタグラフを接触させて電力をレールを介して再び整流器に戻す回路を形成している。
このような直流給電装置においては、ダイオード及びサイリスタなど半導体素子の性能向上に伴い、低損失化や大容量化が実現されたことから、一旦、地絡事故が発生すると、並列接続された母線を介して複数の整流器から事故点に電流が供給されて、瞬時に大きな地絡電流が流れるという問題が生じた。
そこで、特許文献1では、整流器への帰線に抵抗、リアクトル、あるいはその両者で構成される限流装置を挿入することにより地絡電流を抑制することが提案されている。
しかし、直流給電装置の帰線に限流装置を接続すると、通常の給電時においても常に損失が発生することから、同文献では、限流装置に直流遮断器を並列接続し、通常時は直流遮断器を閉じて限流装置を短絡して損失の発生を防止するようにしている。
特開平7−186788号公報
しかしながら、特許文献1の方法によれば、限流装置を短絡する直流遮断器が必要となるため、装置が大型化し、かつコストアップを余儀なくされるという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、通常運転時の損失を抑えつつ、かつ地絡事故時の電流を限流できる直流給電装置を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、異なる電力系統にそれぞれ接続された複数の整流器と、該各整流器の出力にそれぞれ第1の直流遮断器を介して接続された複数の母線と、該各母線にそれぞれ第2の直流遮断器を介して接続された複数の負荷に直流電力を供給する直流給電装置において、前記各母線を互いに限流手段を介して並列接続する構成としたことを特徴とする。
このように構成することにより、一の母線の負荷側の系統に地絡事故が発生した場合、並列接続された母線を介して複数の整流器から事故点に電流が供給されても、事故点に接続された母線以外の母線から供給される事故電流は限流手段によって限流される。したがって、地絡電流を抑えることができるから、第1又は第2の直流遮断器の遮断容量を低く設定しても、安全に地絡電流を遮断して、直流給電装置の信頼性を向上できる。また、通常の運転時には、限流手段に流れる電流は小さいため、損失の発生を低減できるから、効率を損なうことがない。
この場合において、限流手段は、抵抗、リアクトル、リアクトルと抵抗の直列回路のいずれか1つを用いることができる。
また、第1の直流遮断器は、遮断用スイッチと可飽和リアクトルの直列回路と、該直列回路に並列接続された非線形抵抗と、前記直列回路に並列接続されたコンデンサと転流スイッチの直列回路からなる転流式直流遮断器を用いることができる。
本発明によれば、通常運転時の損失を抑えつつ、かつ地絡事故時の電流を限流できる直流給電装置を提供することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態の直流給電装置のシステム構成図を示す。本実施形態は、電車のき電線に直流電力を供給する冗長化された直流給電装置である。一般に、電車のき電線には、2つの系統から並列にき電(電力供給)される。き電線は、電圧降下を回避するために、一定区間ごとに区分され、区分ごとに電力供給される。また、一方の系統がダウンしても、他方の系統から電力を融通できるように冗長化されている。
図1に示すように、直流給電装置は、2つの系統100、200にそれぞれ接続された2つの変圧器1a、1bを電源とする2つの整流器2a、2bが備えられている。整流器2a、2bの直流出力の正極側は、それぞれ整流器保護用遮断器である第1の直流遮断器3a、3bを介してそれぞれ2つの母線4a、4bに接続されている。一方の母線4aには、それぞれき電線保護用遮断器である第2の直流遮断器5a1、5a2を介して、複数の区間に区分されたき電線6a、7aが接続されている。他方の母線4bには、それぞれ第2の直流遮断器5b1、5b2を介して、複数の区間に区分されたき電線6b、7bが接続されている。き電線6a、7aは例えば上りの電車8にパンタグラフを介して直流電力を供給し、き電線6b、7bは例えば下りの電車8にパンタグラフを介して直流電力を供給するようになっている。電車8に供給された直流電力は、レール9と帰線10を介して整流器2a、2bの負極側に帰還されるようになっている。このようにして、系統100の電力は、主に、上りのき電線6aと下りのき電線7aに供給され、系統200の電力は、上りのき電線6bと下りのき電線7bに送られる。
また、第1の直流遮断器3a、3bは整流器保護用であり、それらの直流遮断器の2次側に設けられた電流検出器12a、bを介して、保護リレー11a、11bにより逆方向電流が検出されたときトリップするようになっている。同様に、第2の直流遮断器5a1、5a2、5b1、5b2は、それらの直流遮断器の2次側に設けられた電流検出器14a1、14a2、14b1、14b2を介して、保護リレー13a1、13a2、13b1、13b2により事故電流が検出されたときトリップされるようになっている。
本発明の特徴は、2つの母線4a、4bを限流手段21を介して並列接続したことにある。この限流手段21は、リアクトル、抵抗、あるいはリアクトルと抵抗の直列回路のいずれかで構成する。但し、一方の系統がダウンしたときの電力供給を考えると、抵抗よりもリアクトルの方が損失が少ないので好ましい。
次に、本実施形態の動作について説明する。まず、通常の運転状態では、2つの系統100、200の両方の整流器2a、2bから、それぞれのき電線6a、6b、7a、7bに直流電力が並列に供給され、これにより一方の系統がダウンしても、き電線6a、6b、7a、7bへの直流電力の供給が確保される。なお、通常の運転状態では、限流手段21に流れる電流は2つの系統100、200間で融通する電流程度であるから、限流手段21における損失は小さく、電力効率を損なう程ではない。また、一方の系統がダウンしたときは、他方の系統から母線を介して直流電流が供給されることになるが、その場合でも通常の負荷電流による限流手段21の損失で収まる。
次に事故時の動作について説明する。まず、図2に示すように、き電線6aとレール9と間で地絡事故が発生した場合を考える。この場合、地絡事故点101には、系統100側からの地絡電流I1と系統200側からの地絡電流I2の両者が重畳して流れる。この事故電流は電流検出器14a1を介して保護リレー13a1により検出され、保護リレー13a1が動作して、第2の直流遮断器5a1をトリップ(開放)する。これにより、き電線6aがシステムから切り離されるので、他のき電線には直流電力が継続して供給される。
このときの地絡電流I1、I2の時間変化を図3に示す。地絡電流I2は、限流手段21を介して流れるため、I1に比べて小さい。ここで、限流手段21を設けずに母線4a、4bを直接並列接続すると、地絡電流I1とI2はほぼ同等になり、地絡事故点101の電流はI3(≒2×I1)になる。すなわち、限流手段21によって、第2の直流遮断器5a1に要求される遮断容量が小さくて済む。
次に、図4に示すように、系統100側の整流器2aと第1の直流遮断器3aとの間で地絡故障102が発生した場合を考える。この場合、系統200側から地絡電流I4が流れ込み、電流検出器12aを介して保護リレー11aが逆方向電流を検出して動作し、第1の直流遮断器3aをトリップする。また、変圧器1aの1次側に設けられた図示していない交流遮断器は、変圧器1aの1次側に設けられた保護リレーでトリップされる。このとき、系統200側から流れる地絡電流I4は、限流手段21を介して流れるため地絡電流は低減されるから、第1の直流遮断器3aに要求される遮断容量は、限流手段21を挿入しない場合に比べて、小さくて済む。
以上述べたように、本実施形態によれば、限流手段21を介して2つの母線4a、4bを並列接続することによって、第1の直流遮断器3a、3b及び第2の直流遮断器5a1、5a2、5b1、5b2に要求される遮断容量が軽減されるから、直流給電装置の小形化及びコスト低減を実現できる。
(実施形態2)
図5に、本発明の他の実施形態の直流給電装置のシステム構成図を示す。本実施形態が実施形態1と異なる点は、実施形態1の第1の直流遮断器3a、3b、及び第2の直流遮断器5a1、5a2、5b1、5b2として、図6に記載の転流式直流遮断器300を用いたことにある。図5及び図8では、第1の直流遮断器5a1の部分にて転流式直流遮断器300の構成を記載しているが、他の直流遮断器についても同一の転流式直流遮断器が用いられている。その他の点は、実施形態1と同一であることから、同一符号を付して説明を省略する。
転流式直流遮断器300の構成及び動作原理を図6にて説明する。転流式直流遮断器300は、予め充電したおいたコンデンサによって直流電流に高周波電流を印加し、強制的に電流のゼロ点を生成することによって遮断する装置である。コンデンサ302は、図示していない直流充電装置によって、常時充電された状態になっている。転流式直流遮断器300は、真空バルブが適用される遮断用スイッチ301に可飽和リアクトル305を直列に接続して主回路が形成されている。遮断用スイッチ301と可飽和リアクトル305の直列回路に非線形抵抗304が並列接続されている。さらに、遮断用スイッチ301と可飽和リアクトル305の直列回路にコンデンサ302と転流スイッチ303の直列回路が並列に接続されている。ここで、非線形抵抗304は、遮断用スイッチ301が遮断した後、回路のインダクタンスに蓄積されたエネルギーを吸収するための抵抗である。
このように構成される転流式直流遮断器300では、遮断用スイッチ301が開極され、まだ遮断が完了していないときに(遮断用スイッチ301の開極がアークで電気的に接続されている状態)、転流スイッチ303を投入して、予め充電されたコンデンサ302と可飽和リアクトル305の共振によって、例えば、周波数1〜2kHzの高周波電流Ihを地絡電流Iに重畳させるようになっている。 一方、遮断用スイッチ301の真空バルブスイッチは、1kHz以上の周波数領域になると、周波数に比例して遮断性能が劣化する。そこで、珪素鋼板の積層構造となっている可飽和リアクトル305を遮断用スイッチ301に直列に接続している。可飽和リアクトル305は、電流がゼロに近づくについて、鉄心の飽和が解消されてインダクタンスが急激に増加し、電流変化率di/dtが低減されて、遮断用スイッチ301により遮断しやすくなる。
このように構成される転流式直流遮断器300の遮断方法について説明する。図7に、地絡電流遮断時の電流波形を示す。例えば、図2と同様に、事故点101においてき電線が地絡して地絡電流Iが発生すると、保護リレー13a1が動作して転流式直流遮断器300(図2記載の第2の直流遮断器5a1)をトリップさせる。このとき、転流式直流遮断器300は、遮断用スイッチ301を開極し、転流スイッチ303を投入する。これにより、コンデンサ302から高周波電流Ihが地絡電流Iに重畳され、図7に示すように、合成電流(I+Ih)が最初にゼロになる時点で、遮断用スイッチ301の遮断が完了する。
また、図4と同様に、系統100側の整流器2aで地絡故障が発生した場合の本実施形態の動作を図8を用いて説明する。図8において、事故点102には系統200側からも地絡電流I4が流れこむ。この場合、転流式直流遮断器300には、通常の運転時とは逆向きの電流が流れることになる。その地絡電流I4を保護リレー11aが検知して動作し、転流式直流遮断器300及びトランス1aの1次側の交流遮断器を開放する。
このとき転流式直流遮断器300に流れる電流波形を図9に示す。コンデンサ302は、あらかじめ順方向の電流に対応するように充電されているため、逆方向に流れる電流に対しては、高周波電流Ihの第2波目で電流のゼロ点を生成することになる。高周波電流Ihの重畳回路の抵抗分によって、高周波電流Ihは時間とともに減衰するため、逆方向の電流は順方向に比べて遮断しにくくなる。
更に、高周波電流Ihによって地絡電流Iのゼロ点を生成しようとしても、電流がゼロに近づくと、可飽和リアクトル305のインダクタンスが急激に増加するため、高周波電流Ihの一部Ih2は、遮断用スイッチ301ではなく、図10に示すように、母線4a及び4bを介して系統200の整流器2b側に分流してしまう。この分流により、電流のゼロ点の生成が困難になり、ますます遮断しにくくなってしまう。なお、電車8からレール9側に流れるルートも存在するが、インピーダンスの大きい電車8のモータを介するため無視できる。
しかし、本実施形態によれば、限流手段21を設けていることから、事故点102における地絡事故を遮断することができる。ここで、図9の遮断時における電流波形を用いて、限流手段21の効果について説明する。限流手段21がある本発明の場合の電流波形を実線、限流手段21がない場合の電流波形を点線で示してある。限流手段21によって系統200側から流れる地絡電流Iが低減され、更に、高周波電流Ihの系統200の整流器2bへの分流を抑制できる。そのため、高周波電流Ihによる電流ゼロ点の生成が容易となり、遮断性能が向上する。すなわち、順方向に比べて逆方向電流が遮断しにくい転流式直流遮断器300にとって、2つの母線4a、4bを並列接続する部位に設けた限流手段21は特に有効に作用する。
以上、2系統に冗長化された直流給電装置の実施形態に基づいて本発明を説明したが、3系統以上に冗長化された直流給電装置に本発明を適用して、同様の効果を奏することができることはいうまでもない。
本発明の直流給電装置の一実施形態のシステム構成図である。 図1の実施形態のき電線における地絡事故時の動作を説明する図である。 図1の実施形態のき電線の地絡事故時における限流手段の効果を説明する図である。 図1の実施形態の整流器における地絡事故時の動作を説明する図である。 本発明の直流給電装置の他の実施形態のシステム構成図である。 図5の実施形態の転流式直流遮断器の構成図である。 図5の実施形態のき電線の地絡事故時における転流式直流遮断器による遮断時の電流波形を示す。 図5の実施形態の整流器における地絡事故時の動作を説明する図である。 図5の実施形態の整流器における地絡事故時の動作において、限流手段により転流式直流遮断器300の遮断失敗を防げることを説明する電流波形図である。 図5の実施形態の整流器における地絡事故時において、転流式直流遮断器による遮断動作を説明する図である。
符号の説明
1a、1b 変圧器
2a、2b 整流器
3a、3b 第1の直流遮断器
4a、4b 母線
5a1、5a2、5b1、5b2 第2の直流遮断器
6a、6b、7a、7b き電線
8 電車
9 レール
10 帰線
11a、11b 保護リレー
12a、12b 電流検出器
13a1、13a2、13b1、13b2 保護リレー
14a1、14a2、14b1、14b2 電流検出器
21 限流手段

Claims (3)

  1. 異なる電力系統にそれぞれ接続された複数の整流器と、該各整流器の出力にそれぞれ第1の直流遮断器を介して接続された複数の母線と、該各母線にそれぞれ第2の直流遮断器を介して接続された複数の負荷に直流電力を供給する直流給電装置において、
    前記各母線を互いに限流手段を介して並列接続したことを特徴とする直流給電装置。
  2. 請求項1に記載の直流給電装置において、
    前記限流手段は、抵抗、リアクトル、リアクトルと抵抗の直列回路のいずれか1つであることを特徴とする直流給電装置。
  3. 請求項1又は2に記載の直流給電装置において、
    前記第1の直流遮断器は、遮断用スイッチと可飽和リアクトルの直列回路と、該直列回路に並列接続された非線形抵抗と、前記直列回路に並列接続されたコンデンサと転流スイッチの直列回路からなる転流式直流遮断器であることを特徴とする直流給電装置。
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