JP2827564B2 - 直流電気車用遮断システム - Google Patents

直流電気車用遮断システム

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JP2827564B2
JP2827564B2 JP3090282A JP9028291A JP2827564B2 JP 2827564 B2 JP2827564 B2 JP 2827564B2 JP 3090282 A JP3090282 A JP 3090282A JP 9028291 A JP9028291 A JP 9028291A JP 2827564 B2 JP2827564 B2 JP 2827564B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は直流電気車の保護遮断及
び負荷との電気的回路切離しを行う遮断システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の直流電気車の遮断システムを図
3、図4及び図5を用いて説明する。
【0003】電車線(架線,トロリー線)1からパンタ
グラフ2を介して集電された直流は、主回路ヒューズ3
等の必要機器、直列に接続された2台の又は1台の気中
接触器4a,4b、これら気中接触器(単位スイッチと
も言う)4a,4bの開極時間より遮断時間が短い気中
遮断器5、フィルタリアクトル7とフィルタコンデンサ
8からなるフィルタ回路を介してインバータ9に流れ込
む。インバータ9では直流を公知の技術により3相の交
流に変換して誘導電動機10を駆動する。
【0004】電気車が力行しているときにインバータの
相短絡などの原因による過電流事故が起こったとする。
【0005】図示しない過電流検出器により過電流が検
出されるとトリップ指令が気中遮断器5に送出され、気
中遮断器5はアークを出しながら開放動作をする。次の
瞬間事故電流は抵抗器6に転流され、急増傾向にあった
事故電流はおよそ2500A(架線電圧1500Vの場
合)に制限される(減流遮断という)。そして、気中接
触器4a,4bに開極指令が与えられ事故電流を完全に
遮断し、エアギャップにより電圧も遮断する。このよう
に気中遮断器5及び気中接触器4a,4bで事故電流を
協調的に遮断する理由は、気中遮断器5で非減流遮断を
することも可能であるが遮断器本体が大きなものとなっ
てしまい、電気車に搭載できなくなってしまうからであ
る。従って、直流電気車用気中遮断器では非減流遮断を
することができない。
【0006】またインバータ9には、ノッチ入り切り時
のトルクの変動を防止するため特公昭60−53557 号公報
に記載されているように、いわゆる、電流ソフトスター
ト・ソフトオフ機能がある(直流電動機制御用のチョッ
パにも同様の機能がある)。運転士がノッチを入れると
電気車は加速を始め、ノッチをオフにすると電動機電流
は徐々に絞られ電気車は惰行運転となる。このとき、日
本の慣行では気中接触器4a,4bを開極する。
【0007】インバータ9の能力では、ノッチオフ時の
電動機電流をほぼ0にすることが可能であるが、気中接
触器の磁気吹き消し力の問題から定格電流のほぼ1割の
電流値までしか絞っていない。磁気吹き消し力について
説明する。
【0008】図6,図7に気中接触器の簡単な構造を示
した。図6は断面図、図7は図6に示したものを上部か
ら見た図である。図のように電流が流れている状態で接
点32を開極したとする。鉄心30は電流IMによって
磁化され、アーク誘導鉄板31接点32を介して磁気回
路を構成する。図6では紙面表面から裏面に向かって磁
束Bが存在する。
【0009】このとき接点32が開極されると接点間に
アークが飛び、この瞬間F方向、つまり、気中接触器の
外側に力が働きアークが吹き消される。この吹き消し力
が弱いと、アークが吹き消されずいつまでも残り接点材
質を溶融させてしまう。従って、磁気吹き消し力が得ら
れるように、気中接触器は定格で最良の遮断能力が得ら
れるように設計され、また、その1割の電流値でも切る
ことができるような基準となっている。
【0010】第8図に気中接触器の遮断電流−アークタ
イム特性(1500V)を示した。遮断電流が大きいと
ころでは磁気吹き消し力が働きアーク持続時間も短いの
であるが、60Aより小さくなるにつれて急激にアーク
持続時間が長くなってくる。そして、7〜8Aあたりで
極大となり1A前後から遮断能力が回復してくる。
【0011】気中接触器は通常定格遮断電流の10%の
電流値以下(ウイークゾーン)での電流遮断動作を行わ
ないように他の制御系に協調をとらせている。
【0012】上記のような気中で接点を開極させる遮断
器や接触器はその遮断のメカニズム上かならずアークを
外部に飛ばす構造となっている。この気中アークは、電
車火災の原因となる可能性が大きくさらに防災上の面か
ら艤装上様々な制約を受ける。例えば、大きなアークシ
ュートをホーム側に向け、しかもその前には何も配置す
ることができない等である。また、気中アークにより部
品の酸化,溶損という接点のメンテナンスが必要であ
る。
【0013】近年、電気車用遮断器のノンアーク化及び
メンテナンスフリー化を図るため、電気車用半導体遮断
器が開発されつつある。電気車の科学1989年8月号
Vol.43.No.3第26頁〜第30頁には、GTO遮
断器が記載されている。図4を用いて説明する。図3の
構成と相違するところは気中遮断器5がGTO11,1
2になったことである。
【0014】GTO遮断器と並列に抵抗を接続して減流
遮断を行う場合、電流は抵抗に移り気中接触器4a,4
bからアークを飛ばすことにより遮断する。従って、ア
ークは必ず遮断システムからでることになる。
【0015】GTO遮断器と並列に非直線抵抗を接続し
て非減流遮断を行う場合。
【0016】過電流事故が起きたことを考える。図示し
ない過電流検知器の動作によりGTO11がオフされ、
このとき事故電流は遮断される(非減流遮断,直接遮
断)。そして、架線と制御系とのあいだの電圧を切り離
す(回路に絶縁用の空隙ギャップを存在させる)ため、
気中接触器4a,4bを開極させる。このとき気中接触
器4a,4bが遮断する電流はGTOの漏れ電流と非直
線抵抗の漏れ電流の和で、約10mAである。この場合
は気中接触器でも遮断することができる。しかし、次の
ような諸問題によりこの領域での遮断は非常に不安定で
ある。
【0017】第1に、非直線抵抗の劣化に伴う漏れ電流
の増大が挙げられる。非直線抵抗は遮断回数の増加と共
に性能が劣化(特に、漏れ電流が増加)し、ついには開
放してしまうという性質がある。このときの漏れ電流は
最大数Aにもなり気中遮断器のウイークゾーンに突入し
てしまう。
【0018】第2に、諸条件による気中接触器の能力劣
化である。架線電圧が増大(定格1500Vのとき18
00V〜900V)することによってアーク持続時間は
増加する。また、湿度が高いとき、鉄心が逆励磁されて
いるときにはアーク持続時間は増加する。このときウイ
ークゾーンが1A以下に広がることも充分考えられるた
め、設計思想上、このような不安定領域(電流がウィー
クゾーン以下の領域)での使用は避ける必要がある。
【0019】また、ノッチオフ時には電流を制御器側で
絞ってほぼ0にすることができる。この場合、気中遮断
器が切る電流は、インバータ3相分の漏れ電流、インバ
ータの並列に接続されたか電圧抑制サイリスタの漏れ電
流、電圧検出器の漏れ電流及びその他の漏れ電流の合計
電流で約150mAある。この場合も、上記同様不安定
領域であるため、使用は避けたい。
【0020】さらに、電気車用遮断器のノンアーク化及
びメンテナンスフリー化を図る他の方式として、近年、
電気車用直流真空遮断器が開発された。電気車の科学19
90年3月号Vol.43.No.3第33頁〜第38頁
に記載されている。図5を用いて説明する。
【0021】過電流事故が起きたことを考える。図示し
ない過電流検知器の動作により真空バルブ13が高速で
開極し、図示しない転流電流により真空バルブ内のアー
クは消滅する。このときのdi/dtを非直線抵抗14
によって吸収させ事故電流を遮断する(非減流遮断,直
接遮断)。そして、架線と制御系とのあいだの電圧を切
り離す(回路に絶縁用の空隙ギャップを存在させる)た
め、気中接触器4a,4bを開極させる。
【0022】この場合も、非直線抵抗14の劣化による
漏れ電流の増加という(1500V,1mA程度が数A)
問題は残る。
【0023】また、ノッチオフ時においてもGTO遮断
器と同様の問題が存在する。
【0024】また、電気車のノッチオフ時に気中接触器
を開極させなければよいという考え方もあるが、電気車
の保守者が遮断器より負荷側を点検しようとすると感電
死するという、極めて危険な事故となるので受け入れら
れない。従って、遮断した後は接点電極間の空隙ギャッ
プによる絶縁を保つ必要がある。
【0025】何れの場合を考えても、遮断システムを常
に安定に動作させようとすると、気中接触器を安定な領
域で使用する必要があり、そのためには、減流遮断の方
が望ましい。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】上記したように気中接
触器、気中遮断器の構成では事故時及びノッチオフ時に
気中接点からアークがでることは宿命である。
【0027】また、非減流遮断方式の遮断器を用いた場
合、遮断器が理想的な非減流遮断をするのであれば、過
電流事故時、気中接触器4a,4bはアークレスとなり
うるのであるが、不安定領域であるので、漏れ電流の影
響による接点溶融や遮断不能という事態がが起こってし
まう。従って、減流遮断方式とするが、気中接触器から
アークがでることは必至である。
【0028】本発明の目的は、アークを発生しない直流
電気車の遮断システムを提供することにある。
【0029】
【課題が解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、直流を受電するパンタグラフと、このパン
タグラフと負荷との間の電気路に設けられた接触器と、
遮断器を備えた直流電気車用遮断システムにおいて、前
記接触器をアーク発生源が真空バルブに代表される密閉
容器に封入された接触器とし、前記遮断器を真空バルブ
に非直線抵抗を並列接続した構成よりなる非減流遮断の
遮断器としたものである。
【0030】
【作用】本発明は、遮断器と接触器と協調して電源遮断
する直流電気車用遮断システムにあり、遮断器を真空バ
ルブに非直線抵抗を並列接続した構成よりなる非減流遮
断の遮断器とすることにより、非直線抵抗に流れる漏れ
電流の数mAまで遮断でき、この漏れ電流値は、接触器
のアーク持続時間が長くなるウイークゾーンの範囲以下
の電流となるので、この電流をアーク発生源が真空バル
ブに代表される密閉容器に封入された接触器によって裁
断してもアークが発生しないことになる。 これより本発
明によれば、接触器のアークレス化により、アークによ
る火災の心配も必要なくなり、さらにアークを大気中に
発生させないことから、艤装に際してアークエリアに対
する配慮が必要なくなり スペースさえあれば何処にで
も設置可能となるので、省スペースや電気車の軽量化に
も寄与するという効果を奏する。 なお、万が一、非線形
抵抗器が劣化して漏れ電流が増えたとしてもアーク発生
源が真空バルブに代表される密閉容器に封入された接触
器であるので、アークによるスパッタが周辺機器に飛散
することはなくそれへの配慮も不要となる。
【0031】
【実施例】以下本発明の1実施例を図1に基づいて説明
する。架線1から入力された主回路電流はパンタグラフ
2、主回路ヒューズ3、真空接触器15a,15bの真
空バルブ、直流真空遮断器13の真空バルブ、フィルタ
コンデンサ7及びフィルタコンデンサ8から成るフィル
タ回路を介して制御装置であるインバータ9に入力され
る。インバータ9ではインバータ制御部26の指令によ
り可変電圧可変周波数の3相交流を出力し誘導電動機1
0を動作させ、電気車を駆動する。また、真空接触器1
5a,15bや直流真空遮断器13が動作してもそれら
のアーク発生源である接点は真空を保つための密閉容器
内に封入されている。
【0032】真空接点の裁断電流について説明する。真
空接点には、裁断電流といって電流が電流ゼロ点を通過
する前に切れてしまうという特性がある。この裁断電流
は接点材質にもよるが1〜20Aである。本実施例はこ
の裁断電流を最大限利用することにあるといえる。
【0033】つまり、遮断器として非減流遮断器を用い
ることにより、電流を数mAまで遮断することができ
る。そして、接触器を真空バルブを用いた真空接触器と
することによって、数mAの漏れ電流を完全に遮断し、
しかも接点間のギャップにより電圧をも切り離すことが
できる。これにより、気中にアークのでない直流電気車
の遮断システムとすることができる。
【0034】ところで、真空接触器の接点の開極は次の
ケースが考えられる。
【0035】(1)遮断器が過電流遮断トリップ動作し
た時 (2)接触器の接点が通常のシーケンス以外で開極する
時 (3)電気車が主幹制御器の指令によって駅などに停車
する時、力行回生をやめ惰行運転に入るとき 以下上記の順に従って説明する。
【0036】(1)遮断器が過電流遮断トリップ動作し
た時 直流真空遮断器13から主電動機10側に何らかの異常
が発生し、回路に過電流が流れると、電流検知器27が
それを検知する。その出力が制御部19に入力されると
制御部19からトリップ信号が与えられ、直流真空遮断
器13の主反発コイル18に動作指令を与えて直流真空
遮断器13の真空バルブを高速度開極(主反発コイル励
磁から電流遮断までの時間は3.0〜9.5ms)する。
真空バルブはこの状態でロックされる(図示なし)。回
路のインダクティブエネルギーは非直線抵抗素子16に
よって一括吸収処理するようになっている。即ち、非減
流遮断(直接遮断)する方式である。
【0037】制御部19は真空接触器15a,15bに
対して開極指令を与え、リレー23をオフする。真空接
触器15a,15bの操作コイル17a,17bの励磁
電流がなくなり、真空接触器15a,15bは開極す
る。真空接触器15a,15bは高速開極機構(特開平
2−215021号,特開平2−215022号)はもっていないので
通常、つまり、直流真空遮断器13の電流遮断時間より
一桁遅い時間(コイルのオフ指令から約50ms)で開
極する。これにより、架線1とインバータ9は電圧的に
切り離される。
【0038】非直線抵抗16(バリスタ等)は直流真空
遮断器13が遮断動作を行ったときにでるサージ電圧を
吸収するためのサージ電圧吸収器である。非直線抵抗1
6の漏れ電流は1500Vのとき約1mAであり、真空
接触器15aの裁断電流(接点材質にもよるが概ね1A
〜20A)以下であるので容易にその電流を遮断するこ
とができる。
【0039】(2)接触器の接点が通常のシーケンス以
外で開極する時 ところで、真空接触器15a,15bの裁断電流は前記
の値であるので、これ以上の電流である定格電流や事故
電流を遮断することはできない。
【0040】この問題を解決するために、本実施例では
真空接触器15a,15bの操作コイル17a,17b
の励磁電流を監視する手段を設け、操作コイル17aま
たは17bの断線を検知する。
【0041】断線が検知されたら、真空接触器の開極時
間よりもはるかに遮断時間の速い直流真空遮断器に開路
指令を送出する。
【0042】ここで、用語の定義をする。一般に、接点
を開かせる指令を開路指令といい、この開路指令が送出
されてから接点が開き始めるまでの時間を開極時間とい
い、また、開路指令が送出されてから電流遮断動作が終
了するまでの時間を遮断時間という。
【0043】特開平2−215021 号公報に記載された直流
真空遮断器の動作の様子を図9に示した。これによると
開極時間は0.6ms であり、前記のように遮断時間は
9.5msである。また、特開平2−215022 号公報に記載
された真空接触器の開極時間は50ms(図10)であ
り、直流真空遮断器の遮断時間よりはるかに遅い。本実
施例はこの点を利用したものである。
【0044】励磁電源22と操作コイル17a,17b
はリレー接点23,24を介して直列に接続され、閉回
路を構成する。真空接触器15a,15bの接点はノー
マリオフ接点であるので、リレー接点23,24が閉じ
られると真空接触器15a,15bの接点はオンする。
【0045】電流検出器28の出力は制御部19に入力
されリレーコイル等の閉回路に断線があったことを検出
する。
【0046】操作コイル17a,17bが完全に断線す
ると、図11に示す励磁電流曲線となり、定格コイル励
磁電流が約半分になった時点で断線を検出する。また、
図12にもあるように、疑似断線を起こすことも考えら
れる。この場合は、定格コイル励磁電流の約1/3で検
出するようにすれば確実である。
【0047】また、図13に制御部19の詳細を示し
た。電流検出器28の出力は断線検出部191に入力さ
れ前記設定値との比較が行われる。比較の結果、コイル
励磁電流が設定値以下になると操作コイル励磁回路に断
線が起こったもしくは起こりつつあるとして遮断器制御
部に遮断器動作指令を送出する。キャンセル用スイッチ
192,193及び論理和回路194を介して遮断器制
御部195に入力され、直流真空遮断器13に開路指令
が送出される。
【0048】これにより、真空接触器15a,15bが
事故電流や定常電流といった真空バルブの裁断電流以上
の電流を切ろうとする前に直流真空遮断器13が遮断す
るので真空バルブを破損することはない。
【0049】本実施例においては、図1に記載したよう
に真空バルブの操作コイル17a,17bを直列接続し
た構成としたが、電源22に対して、それぞれを並列に
接続してそれぞれに電流検出器を接続する構成とするこ
ともできる。
【0050】この場合、それぞれの電流検出器に表示器
等を接続し、運転台などに設置すればどの操作コイルが
断線したのか容易に分かるという効果がある。
【0051】また、真空接触器15a,15bの開極動
作を予測(検出)する手段として、例えば受発光素子等
による真空接触器の可動鉄心及びこれに連動する可動物
体の移動を直接検出しても本目的は達成出来る。
【0052】(3)電気車が主幹制御器の指令によって
駅などに停車する時、力行、回生をやめ惰行運転に入る
とき 前記したが、インバータやチョッパなどの電力変換器を
用いた電動機制御装置においては、ノッチオフ時に電流
を絞り込むことができる。
【0053】ノッチオフ時には通常接触器を開極させて
電圧遮断を行っている。気中接触器では前記した諸問題
があるために必ずアークを出して架線との分離を行わな
ければならなかった。
【0054】本実施例では、気中接触器を真空接触器に
置き換え、しかも、ノッチオフ時の電流絞り込み量を真
空接触器の裁断電流以下とすることによりアークを飛ば
すことなく架線との電気的分離を行うことができる。以
下、第1図に基づいて詳細を説明する。
【0055】インバータ制御部26が、図示しない主幹
制御器がノッチオフされたことを受けると、その指令に
従って電動機電流を漸減させるようにインバータ9を制
御する。
【0056】この電動機電流の最終絞り込み量は真空接
触器15a,15bの裁断電流値以下に予め設定してお
き、絞り込みが終わったとき(電動機電流を検出して確
認する方法、電流指令が最終絞り込み量になったことを
確認する方法がある。後者の場合ノッチオフ指令を送出
しても真空接触器の開極にはまだ時間的に余裕があるか
ら裁断電流以上の電流を遮断する恐れはない。)にイン
バータ制御部はノッチオフ指令をリレー接点24に送り
接点を開く。
【0057】まず、操作コイル17bの電流がなくなる
ので真空接触器15bの真空バルブが開極する。このと
き、真空バルブ内の接点間に生じたアークが消弧するこ
とによるサージ電圧は直流真空遮断器13の真空バルブ
を介して(接点は閉じている)非直線抵抗16によって吸
収される。
【0058】この非直線抵抗16は、直流真空遮断器1
3が電流遮断したときのサージ吸収も兼ねている。
【0059】コンデンサ21及び抵抗20から成る遅延
開路により真空接触器15aの操作コイル17aには真
空接触器15bが開極しても、励磁電流をしばらく流し
続ける。これにより、インバータ制御部26から同時に
ノッチオフ指令が出ても、真空接触器15aの操作コイ
ル17aはコンデンサの電荷がコイルに流れ釈放遅れ時
素を持つため、接点は遅れて開極することになる。この
時点ではインダクティブエネルギーは非直線抵抗素子1
6によって吸収した後であるためサージは発生しない。
【0060】このように構成した理由は、ノッチオフ時
の絞り込み量は必ずしもゼロでないこともあり得ること
及びインバータを構成する電力用半導体をオフにしても
後段の負荷には前記した漏れ電流が存在することによ
る。つまり、真空接触器15bの真空バルブには100
mA以上の大きい電流が流れる可能性があるためであ
る。
【0061】非直線抵抗16によりサージが吸収された
後の、漏れ電流は1mA程度であるのでサージは発生し
ない。
【0062】また、電気車には前記したようにアレスタ
ー25を常設するシステムとなっている。よって、特に
サージ電圧に対する抑制に対する配慮は必要ない。この
場合は、真空遮断器13の真空バルブにのみ非直線抵抗
を並列接続するだけですむ。しかし、アレスター25は
避雷器であるため、抑制電圧が遮断器のサージ吸収時の
電圧より高い設定になっているのが一般的であるが、吸
収動作を繰り返すと劣化するという寿命の問題があるの
で得策ではない。
【0063】さらに、本実施例では、非直線抵抗を真空
接触器と直流真空遮断器に共用したが、真空接触器15
bと直流真空遮断器13のそれぞれに非直線抵抗を並列
接続しても同様の効果がある。
【0064】従って、本実施例によれば直流電気車用遮
断システムのアーク発生源である接点を真空中に封入さ
れた真空バルブを用いたのでアークをシステムの外部に
放出することがない。
【0065】以上、遮断器を真空遮断器として説明した
が、GTO(サイリスタ)等の半導体遮断器を用いても
アークレス,省スペースを実現することができる。
【0066】図2にその構成を示した。図1と同一符号
は同一構成を示すものとする。
【0067】図1と相違する構成は、直流真空遮断器1
3がGTO(サイリスタ)遮断器11,12に置き替わ
り、合わせて制御部19が制御部29になったことであ
る。
【0068】GTO(サイリスタ)11は力行時用遮断
器で、GTO(サイリスタ)12は回生時用遮断器であ
る。また、制御部29には開路、閉路指令に応じてゲー
ト電極にオンオフ指令を与えるゲート制御部(図示しな
い)がある。力行中であるか回生動作中であるかはイン
バータ制御部26から指令をもらうことによりわかる。
【0069】GTO(サイリスタ)遮断器11,12は
オフしても漏れ電流が流れるが、この電流の大きさは真
空接触器15bの裁断電流以下であるので容易に非減流
遮断をすることができる。
【0070】遮断器が過電流遮断トリップ動作した時、
接触器の接点が通常のシーケンス以外で開極する時は前
出の直流真空遮断器を用いた場合と同様の制御である
が、ノッチオフ指令が送出された場合は次のような制御
も考えられる。
【0071】直流真空遮断器の場合、その動作回数に制
限があるためノッチオフ指令が送出されても直流真空遮
断器で電流を遮断することはできない。
【0072】しかし、GTO(サイリスタ)遮断器の場
合、ノッチオフ時にインバータ側で真空接触器の裁断電
流以下になるまで電流を絞らなくとも、使用回数に制限
のないGTO(サイリスタ)遮断器で電流を遮断し、漏
れ電流を真空接触器15a,15bで遮断するように構
成することができる。
【0073】以上の実施例では、電動機駆動用の電力変
換装置をインバータとして説明したが、これは電動機が
交流機であるためであり、直流機を使用した場合はチョ
ッパを用いることができる。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、遮断器に非減流遮断器
および接触器に真空バルブを用いているので、遮断シス
テムのいずれからもアークを発生するようなことが無く
なる。このことから、接点のメンテナンスフリー化が達
成され、また、アークが原因で火災となるような問題も
解消することができる。さらに、アークを大気中に発生
させないことから、艤装に際して、アークエリアに対す
る配慮が必要なくなり、スペースさえあれば何処にでも
設置可能となるので、省スペースや電気車の軽量化にも
寄与するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気車の遮断システムとして真空接触器と真空
遮断器とを用いた本発明の構成を表す図。
【図2】電気車の遮断システムとして真空接触器とGT
O(サイリスタ)遮断器とを用いた本発明の構成を表す
図。
【図3】電気車の遮断システムとして気中接触器と気中
遮断器とを用いた従来構成を表す図。
【図4】電気車の遮断システムとして気中接触器とGT
O(サイリスタ)遮断器とを用いた従来構成を表す図。
【図5】電気車の遮断システムとして気中接触器と真空
遮断器とを用いた従来構成を表す図。
【図6】気中接触器(気中遮断器)の磁気吹き消し力を
説明する図。
【図7】図6を上方から見た図。
【図8】気中接触器(気中遮断器)の遮断電流とアーク
タイムの関係を説明する図。
【図9】真空遮断器の開極時間を説明する図。
【図10】真空接触器の開極時間を説明する図。
【図11】真空接触器の励磁電流と断線検出の設定値を
説明する図。
【図12】真空接触器の励磁電流と疑似断線検出の設定
値を説明する図。
【図13】制御部19を説明する図。
【符号の説明】
11,12…GTO(サイリスタ)遮断器、13…直流
真空遮断器、15a,15b…真空接触器、16…非直
線抵抗体、17a,17b…操作コイル、19…制御
部、20,21…遅延回路、28…電流検出器。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流を受電するパンタグラフと、このパン
    タグラフと負荷との間の電気路に設けられた接触器と、
    遮断器を備えた直流電気車用遮断システムにおいて、前
    記接触器をアーク発生源が密閉容器に封入された接触器
    とし、前記遮断器は真空バルブに非直線抵抗を並列接続
    した構成よりなる非減流遮断の遮断器とすることを特徴
    とする直流電気車用遮断システム。
  2. 【請求項2】直流を受電するパンタグラフと、このパン
    タグラフと負荷との間の電気路に設けられた接触器と、
    遮断器を備えた直流電気車用遮断システムにおいて、前
    記接触器を真空接触器とし、前記遮断器は真空バルブに
    非直線抵抗を並列接続した構成よりなる非減流遮断の遮
    断器とすることを特徴とする直流電気車用遮断システ
    ム。
  3. 【請求項3】直流を受電するパンタグラフと、このパン
    タグラフと負荷との間の電気路に設けられた接触器と、
    遮断器を備えた直流電気車用遮断システムにおいて、前
    記接触器を真空接触器とし、前記遮断器を非減流遮断す
    るものであって、前記真空接触器の開極時間より遮断時
    間が短い遮断器とし、この真空接触器の真空バルブが裁
    断電流以上の電流を遮断することを予測する手段と、こ
    の予測手段によって遮断動作が予測された場合前記遮断
    器に開路指令を与える手段とを備えた直流電気車用遮断
    システム。
  4. 【請求項4】直流を受電するパンタグラフと、このパン
    タグラフと負荷との間の電気路に設けられた接触器と、
    遮断器を備えた直流電気車用遮断システムにおいて、前
    記接触器を真空接触器とし、前記遮断器を非減流遮断す
    るものであって、前記真空接触器の開極時間より遮断時
    間が短い遮断器とし、この真空接触器の真空バルブの操
    作コイルの励磁電流を検出する手段と、この検出手段の
    出力が設定値以下になったとき前記遮断器に開路指令を
    与える手段とを備えた直流電気車用遮断システム。
  5. 【請求項5】直流を受電するパンタグラフと、このパン
    タグラフと負荷との間の電気路に設けられた接触器と、
    遮断器を備えた直流電気車用遮断システムにおいて、前
    記接触器を真空接触器とし、前記遮断器を非減流遮断す
    るものであって、前記真空接触器の開極時間より遮断時
    間が短い遮断器とし、この真空接触器の真空バルブが裁
    断電流以上の電流を遮断動作することを検出する手段
    と、この検出手段によって遮断動作が検出された場合前
    記遮断器に開路指令を与える手段とを備えた直流電気車
    用遮断システム。
  6. 【請求項6】直流を受電するパンタグラフと、このパン
    タグラフと負荷との間の電気路に設けられた複数の接触
    器と、遮断器と、電気車を駆動する電動機と、この電動
    機を制御する制御装置とを備えた直流電気車用遮断シス
    テムにおいて、前記接触器を真空接触器とし、前記遮断
    器を非減流遮断する遮断器とし、これら接触器のうち少
    なくとも一つの接触器と前記遮断器の直列体に並列に非
    直線抵抗を接続し、前記制御装置が電動機電流を絞った
    とき、前記複数の接触器のうち前記並列に非直線抵抗が
    接続された接触器を先に開極動作させる手段を備えた直
    流電気車用遮断システム。
  7. 【請求項7】直流を受電するパンタグラフと、このパン
    タグラフと負荷との間の電気路に設けられた複数の接触
    器と、遮断器を備えた直流電気車用遮断システムにおい
    て、前記接触器を真空接触器とし、前記遮断器は真空バ
    ルブに非直線抵抗を並列接続した構成よりなる非減流遮
    断の遮断器とし、これら接触器のうち少なくとも一つの
    接触器と並列に非直線抵抗を接続した直流電気車用遮断
    システム。
  8. 【請求項8】直流を受電するパンタグラフと、このパン
    タグラフと負荷との間の電気路に設けられた複数の接触
    器と、遮断器と、電気車を駆動する電動機と、この電動
    機を制御する制御装置とを備えた直流電気車用遮断シス
    テムにおいて、前記接触器を真空接触器とし、前記遮断
    器を非減流遮断する遮断器とし、これら接触器のうち少
    なくとも一つの接触器と並列に非直線抵抗を接続し、前
    記複数の接触器のうち前記並列に非直線抵抗が接続され
    た接触器を先に開極動作させる手段を備えた直流電気車
    用遮断システム。
  9. 【請求項9】直流を受電するパンタグラフと、このパン
    タグラフと負荷との間の電気路に設けられた複数の接触
    器と、遮断器と、電気車を駆動する電動機と、この電動
    機を制御する制御装置とを備えた直流電気車用遮断シス
    テムにおいて、前記接触器を真空接触器とし、前記遮断
    器を非減流遮断する遮断器とし、前記制御装置の電流の
    絞り込み量を前記接触器の裁断電流以下とした直流電気
    車用遮断システム。
  10. 【請求項10】直流を受電するパンタグラフと、このパ
    ンタグラフと負荷との間の電気路に設けられた複数の接
    触器と、遮断器と、電気車を駆動する電動機と、この電
    動機を制御する制御装置とを備えた直流電気車用遮断シ
    ステムにおいて、前記接触器を真空接触器とし、前記遮
    断器を非減流遮断するものであって、前記真空接触器の
    開極時間より遮断時間が短い遮断器とし、これら真空接
    触器の真空バルブの操作コイルの励磁電流を検出する手
    段と、この検出手段の出力が設定値以下になったとき、
    前記遮断器に開極指令を与える手段と、これら接触器の
    うち少なくとも一つの接触器と前記遮断器の直列体に並
    列に非直線抵抗を接続し、前記制御装置が前記電動機電
    流を前記真空接触器の裁断電流以下に絞ったとき、前記
    複数の接触器のうち前記並列に非直線抵抗が接続された
    接触器を先に開極動作させる手段を備えた直流電気車用
    遮断システム。
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