JP2010045904A - 単相ブラシレスモータ - Google Patents

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啓佐敏 竹内
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Abstract

【課題】デッド・ロック・ポイントを有さず、補助巻き線無しで始動可能な単相ブラシレスモータに関する技術を提供する。
【解決手段】本発明の一形態による単相ブラシレスモータは、複数の電磁コイル11〜14を有するコイル列と、複数の永久磁石31〜34を有する磁石列とを備える。コイル列は磁性部材20を備えており、この磁性部材20は、単相ブラシレスモータの停止時において磁性部材20が磁石列に引きつけられることによって、逆誘起電圧のピーク位置で停止するように構成されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、永久磁石と電磁コイルとを利用した単相ブラシレスモータに関する。
モータ業界では、1相モータと2相モータの両方を総称して「単相モータ」と称していた。しかし、以下の説明において、「単相モータ」とは、2相モータを除き、1相モータのみを意味している。
永久磁石と電磁コイルとを利用したブラシレスモータとしては、例えば特開2001−298982号公報に記載されたものが知られている。
この従来技術のブラシレスモータでは、デジタル磁気センサからのオン/オフ信号を用いて制御を行っている。具体的には、デジタル磁気センサのオン/オフ信号を用いて、電磁コイルへの印加電圧の極性反転のタイミングが決定されている。また、駆動信号としては、3相駆動信号が使用されている。
従来のブラシレスモータでは、2相以上の駆動信号が利用されており、単相の駆動信号を使用するものは存在しなかった。この理由は、以下で説明する単相モータの始動特性に関係している。
単相モータは、永久磁石とコイルとが正対する位置において停止すると、始動できないという特性がある。この位置は、「デッド・ロック・ポイント」又は「デッド・ポイント」と呼ばれている。このため、通常の単相モータでは、始動を確実に行うために補助巻き線を設けておき、始動時にのみ補助巻き線に電流を流して始動させる始動方法が採用されている。また、ある種の単相モータでは、主巻き線と補助巻き線の位相をずらすために、コンデンサが使用されている。
一方、通常のブラシレスモータでは、いわゆるインバータ駆動が採用されている。しかし、インバータ駆動を利用して単相モータを始動させると、始動時に補助巻き線やコンデンサに大きな電流が流れるので、スイッチング素子やコンデンサが破損し易いという問題が生じる。このように、従来は、単相モータをブラシレスモータとして構成することが困難であるという問題があった。
本発明は、デッド・ロック・ポイントを有さず、補助巻き線無しで始動可能な単相ブラシレスモータに関する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
単相ブラシレスモータであって、
複数の電磁コイルを有するコイル列と、
複数の永久磁石を有する磁石列と、
を備え、
前記コイル列は磁性部材を備えており、
前記磁性部材は、
(i)前記単相ブラシレスモータの停止時において前記磁性部材が前記磁石列に引きつけられることによって、各永久磁石と各電磁コイルとが、前記電磁コイルによる逆誘起電圧のピーク位置で停止するように構成されており、
(ii)前記電磁コイルよりも前記永久磁石に近接した位置に設けられたフロントティース部を有しており、前記単相ブラシレスモータの停止時において、前記フロントティース部と前記永久磁石とによって磁気回路が構成される、
単相ブラシレスモータ。
この単相ブラシレスモータによれば、逆転時にもデッド・ロック・ポイントの問題を生じることなく、そのまま逆転させることが可能である。また、フロントティース部と永久磁石とによって磁気回路が構成されるので、これらの間の磁気結合によって、より正確な位置にモータを停止させることが可能である。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、単相ブラシレスモータ、その制御方法(又は駆動方法)制御回路(又は駆動回路)、それらを用いたアクチュエータや、電子機器、家電機器等の形態で実現することができる。
図1A,1Bは、本発明の一実施例としての単相ブラシレスモータのモータ本体の構成を示す断面図である。このモータ本体100は、外形がそれぞれ略円筒状のステータ部10及びロータ部30を有している。ステータ部10は、略十字状に配列された4つのコイル11〜14と、2つのコイル11,12の間の中央の位置に配置された磁気センサ40とを有している。磁気センサ40は、ロータ部30の位置(すなわちモータの位相)を検出するためのものである。各コイル11〜14には、磁性体材料で形成された磁気ヨーク20が設けられている。磁気ヨーク20の形状についてはさらに後述する。コイル11〜14と磁気センサ40は、回路基板120(図1B)の上に固定されている。回路基板120は、ケーシング102に固定されている。なお、ケーシング102の蓋は図示が省略されている。
ロータ部30は、4つの永久磁石31〜34を有しており、ロータ部30の中心軸が回転軸112を構成している。この回転軸112は、軸受け部114(図1B)で支持されている。各磁石の磁化方向は、回転軸112から外側に放射状に向かう方向である。磁石31〜34の外周には、磁気ヨーク36が設けられている。但し、この磁気ヨーク36は省略してもよい。
図2A〜2Cは、磁石列とコイル列の位置関係、及び、磁気センサ出力とコイルの逆起電力波形との関係を示す説明図である。なお、「逆起電力」を「逆誘起電圧」又は「誘起電圧」とも呼ぶ。図2Aに示すように、4つの磁石31〜34は、一定の磁極ピッチPmで配置されており、隣接する磁石同士が逆方向に磁化されている。また、コイル11〜14は、一定のピッチPcで配置されており、隣接するコイル同士が逆向きに励磁される。この例では、磁極ピッチPmはコイルピッチPcに等しく、電気角でπに相当する。なお、電気角の2πは、駆動信号の位相が2πだけ変化したときに移動する機械的な角度又は距離に対応づけられる。本実施例では、駆動信号の位相が2πだけ変化すると、ロータ部30が磁極ピッチPmの2倍だけ移動する。
4つのコイル11〜14のうち、第1、第3のコイル11,13は同一の位相の駆動信号で駆動され、第2、第4のコイル12,14は第1及び第3のコイル11,13の駆動信号から180度(=π)だけ位相がずれた駆動信号で駆動される。通常の二相駆動は2つの相(A相とB相)の駆動信号の位相が90度(=π/2)ずれており、位相のずれが180度(=π)の場合は無い。また、モータの駆動方法において、位相が180度(=π)ずれた2つの駆動信号は、同じ位相であると見なされる場合が多い。従って、本実施例のモータにおける駆動方法は、単相駆動であると考えることができる。
図2Aは、モータ停止時における磁石31〜34とコイル11〜14の位置関係を示している。本実施例のモータでは、各コイル11〜14に磁気ヨーク20が設けられている。図2Aの右端に示すように、磁気ヨーク20は、コア部22と、フロントティース部24とを有している。フロントティース部24は、コア部22から左右対称に形成されている。なお、左右方向は、ロータ30の移動方向を意味している。フロントティース部24は、コア部22よりも磁石31〜34に近接した位置に設けられている。この結果、フロントティース部24が磁石31〜34に引きつけられることによって、図2Aに示す位置でモータが停止する。
図2Aには、さらに、ティース部24と磁石21〜34を貫通するいくつかの磁束線MFが描かれている。モータ停止時には、磁束線MFは、第1の磁石のN極を出発点として、1つの磁気ヨーク20の左右のフロントティース部24を経由し、第2の磁石のS極に到達する。換言すれば、フロントティース部24は、モータ停止時において、2つの磁石と磁気ヨーク20の間で構成される磁気回路を閉じる機能を有している。
モータ停止時には、各コイルの磁気ヨーク20のフロントティース部24が磁石31〜34によって引きつけられ、各コイルの中心が各磁石31〜34同士の境界に来る位置においてロータ部30が停止する。この結果、各コイル11〜14の中心が、隣接する磁石同士の中間に来た状態でモータが停止することになる。また、この時、磁気センサ40は、磁石31〜34のいずれかに対向する位置にある。この停止位置における位相は、一般に(n+1/2)πである(nは任意の整数)。
図2Bは、コイルに発生する逆起電力の波形の例を示しており、図2Cは、磁気センサ40の出力波形の例を示している。磁気センサ40は、モータ運転時のコイルの逆起電力とほぼ相似形状のセンサ出力SSAを発生することができる。但し、磁気センサ40の出力SSAは、モータの停止時にはそのピーク値を示す。なお、コイルの逆起電力は、モータの回転数とともに上昇する傾向にあるが、波形形状(正弦波)はほぼ相似形状に保たれる。磁気センサ40としては、例えばホール効果を利用したホールICを採用することができる。この例では、センサ出力SSAと逆起電力Ecは、いずれも正弦波か、正弦波に近い波形である。モータの駆動制御回路は、センサ出力SSAを利用して、逆起電力Ecとほぼ相似波形の電圧を各コイル11〜14に印加することによって、モータを動作させることが可能である。
以上のように、本実施例のモータでは、位相が(n+1/2)πの位置(ここでnは整数)でモータが停止するので、デッド・ロック・ポイントが発生しない。従って、始動コイルを必要とせずに、常に始動することが可能である。特に、モータ停止位置では、逆誘起電圧がピーク値を示すので、最も大きな始動トルクが得られるという利点がある。また、本実施例のモータでは、停止状態から正転動作と逆転動作の両方を容易に実現することが可能である。さらに、本実施例では、磁気ヨーク20のフロントティース部24が左右対称に設けられているので、バランスが良く、振動の少ないモータを実現可能である。
変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施例では、磁石数とコイル数をそれぞれ4としていたが、本発明は任意の磁石数及びコイル数のモータに適用可能である。
上記実施例では、モータを駆動する駆動回路の構成の説明は省略したが、本発明では周知の種々の駆動回路を適用可能である。なお、典型的な駆動回路は、磁気センサの出力を利用して、電磁コイルに駆動電圧を印加する回路である。
上記実施例では、磁性部材(磁気ヨーク20)が各コイル毎に設けられていたが、コイル数と異なる数の磁性部材をコイル列に設けるようにしてもよい。この場合にも、磁性部材は、単相ブラシレスモータの停止時において磁性部材が磁石列に引きつけられることによって、逆誘起電圧のピーク位置で停止するように構成されることが好ましい。但し、各コイル毎に磁性部材を設けるようにすれば、磁石列全体の重量バランスを取り易いという利点がある。
本発明は、ファンモータ、時計(針駆動)、ドラム式洗濯機(単一回転)、ジェットコースタ、振動モータなどの種々の装置のモータに適用可能である。本発明をファンモータに適用した場合には、上述した種々の効果(低消費電力、低振動、低騒音、低回転ムラ、低発熱、高寿命)が特に顕著である。このようなファンモータは、例えば、デジタル表示装置や、車載機器、燃料電池式パソコン、燃料電池式デジタルカメラ、燃料電池式ビデオカメラ、燃料電池式携帯電話などの燃料電池使用機器、プロジェクタ等の各種装置のファンモータとして使用することができる。本発明のモータは、さらに、各種の家電機器や電子機器のモータとしても利用可能である。例えば、光記憶装置や、磁気記憶装置、ポリゴンミラー駆動装置等において、本発明によるモータをスピンドルモータとして使用することが可能である。
第1実施例における電動モータのモータ本体の構成を示す断面図である。 磁石列とコイル列の位置関係、及び、磁気センサ出力とコイルの逆起電力波形との関係を示す説明図である。
符号の説明
10…ステータ部
11〜14…電磁コイル
20…磁気ヨーク(磁性部材)
22…コア部
24…フロントティース部
30…ロータ部
31〜34…永久磁石
36…磁気ヨーク(永久磁石用)
40…磁気センサ
100…モータ本体
102…ケーシング
112…回転軸
114…軸受け部
120…回路基板

Claims (1)

  1. 単相ブラシレスモータであって、
    複数の電磁コイルを有するコイル列と、
    複数の永久磁石を有する磁石列と、
    を備え、
    前記コイル列は磁性部材を備えており、
    前記磁性部材は、
    (i)前記単相ブラシレスモータの停止時において前記磁性部材が前記磁石列に引きつけられることによって、各永久磁石と各電磁コイルとが、前記電磁コイルによる逆誘起電圧のピーク位置で停止するように構成されており、
    (ii)前記電磁コイルよりも前記永久磁石に近接した位置に設けられたフロントティース部を有しており、前記単相ブラシレスモータの停止時において、前記フロントティース部と前記永久磁石とによって磁気回路が構成される、
    単相ブラシレスモータ。
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