JP2010040732A - 描画装置及び描画方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】パターンの重ね合わせ誤差を低減させる描画装置および描画方法を提供することを目的とする。
【構成】本発明の描画装置100は、電子ビームを用いて、パターン12をマスク基板10に、パターン12を相補するパターン14をマスク基板20に描画する描画部と、マスク基板10に描画されたパターン12の位置ずれ量をパターン14の描画位置に加算する加算部と、を備え、描画部は、パターン12の位置ずれ量が加算されたマスク基板20上の描画位置にパターン14を描画することを特徴とする。本発明によれば、両パターンの重ね合わせ誤差を低減することができる。よって、隣り合うパターン同士の接触を回避することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、描画装置及び描画方法に係り、特に、二重パターニング(ダブルパターニング:Double Patterning)或いは二重露光(ダブル露光:Double Exposure)に用いる相補パターンを描画する装置および方法に関する。
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。これらの半導体デバイスへ所望の回路パターンを形成するためには、高精度の原画パターン(レチクル或いはマスクともいう。)が必要となる。
ここで、回路線幅の微細化に伴って、より波長の短い露光光源が求められるが、露光光源となる例えばArFレーザーの延命手法として、近年、二重露光技術と二重パターニング技術が注目されている。二重露光は、レジストが塗布されたウェハに2枚のマスクを取り替えながら同一領域に続けて露光する手法である(例えば、特許文献1参照)。そして、その後に現像、及びエッチング工程等を経て所望するパターンをウェハ上に形成する。他方、二重パターニングは、レジストが塗布されたウェハに第1のマスクで露光し、現像、及びエッチング工程等を経てから再度レジストを塗布して第2のマスクでウェハの同一領域に露光する手法である。これらの技術は、現在の技術の延長で行なうことができる点でメリットがある。そして、これらの技術では、ウェハ上で所望するパターンを得るために2枚のマスクが必要になる。
図9は、従来の二重パターニング用マスクを説明するための概念図である。
図9に示すように、所望するパターン302をウェハへ露光するためには、フォトマスク300では、解像度が得られないために、2つのマスクに分ける必要があった。すなわち、フォトマスク310にパターン302の一部となるパターン312を形成し、フォトマスク320にパターン302の残りの一部となるパターン314を形成していた。そして、ステッパやスキャナ等の露光装置にこれら2つのフォトマスク310,320を順にセットして、それぞれ露光していた。
また、これらのフォトマスクは、電子線(電子ビーム)描画装置によって製造される。電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、これらの高精度の原画パターンの生産に用いられる。
図10は、可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。
可変成形型電子線(EB:Electron beam)描画装置は、以下のように動作する。まず、第1のアパーチャ410には、電子線330を成形するための矩形例えば長方形の開口411が形成されている。また、第2のアパーチャ420には、開口411を通過した電子線330を所望の矩形形状に成形するための可変成形開口421が形成されている。荷電粒子ソース430から照射され、開口411を通過した電子線330は、偏向器により偏向される。そして、可変成形開口421の一部を通過して、ステージ上に搭載された試料に照射される。ステージは、描画中、所定の一方向(例えば、X方向とする)に連続的に移動している。このように、開口411と可変成形開口421との両方を通過できる矩形形状が、試料340の描画領域に描画される。開口411と可変成形開口421との両方を通過させ、任意形状を作成する方式を可変成形方式という。
以上のように電子ビーム描画装置によって、二重露光用の複数のフォトマスクや二重パターニング露光用の複数のフォトマスクが製造される。ここで、電子ビーム描画装置で描画する場合、経時変化として電子ビームのビームドリフトが生じる。そのために、相補関係にある1枚目のマスクを描画するときと2枚目のマスクを描画するときとで所望する位置に描画する場合でもその位置がずれてしまうといった問題があった。位置がずれるとパターンの重ね合わせ誤差(オーバーレイのエラー)を生じる。例えば、本来、所定の間隔で離れているはずの隣り合うパターン同士が接触してショートを起こしてしまうといった問題があった。
特開2007−072423号公報
上述したように、電子ビームのビームドリフトのために、マスク製造段階で、相補関係にあるマスクパターンの描画位置に誤差を生じさせてしまうといった問題があった。そのために、それら2つのマスクを使った露光の際にパターンの重ね合わせ誤差を生むといった問題があった。
そこで、本発明は、かかる問題点を克服し、パターンの重ね合わせ誤差を低減させる描画装置および描画方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様の描画装置は、
荷電粒子ビームを用いて、第1のパターンを第1のマスク基板に、第1のパターンを相補する第2のパターンを第2のマスク基板に描画する描画部と、
第1のマスク基板に描画された第1のパターンの位置ずれ量を第2のパターンの描画位置に加算する加算部と、
を備え、
描画部は、第1のパターンの位置ずれ量が加算された第2のマスク基板上の描画位置に第2のパターンを描画することを特徴とする。
かかる構成によれば、ビームドリフトの経時変化分を考慮した位置に第2のパターンを描画することができる。
また、第1のパターンの位置ずれ量は、第1のマスク基板の基板面の複数の位置で測定され、
加算部は、複数の位置で測定された第1のパターンの各位置ずれ量を近似する近似式から得られる値を第1のパターンの位置ずれ量として第2のパターンの描画位置に加算すると好適である。
そして、第1のパターンは、複数の測定用パターンを含むと好適である。
また、描画装置は、さらに、第1のパターンの位置ずれ量を示すマップを記憶する記憶部を備え、
加算部は、マップを記憶部から読み出し、読み出されたマップから第2のパターンの位置に加算する第1のパターンの位置ずれ量を取得すると好適である。
本発明の一態様の描画方法は、
荷電粒子ビームを用いて、第1のパターンを第1のマスク基板に描画する工程と、
第1のマスク基板に描画された第1のパターンの位置を計測する工程と、
計測された結果得られた第1のパターンの位置ずれ分だけ位置をずらして第1のパターンを相補する第2のパターンを第2のマスク基板に描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、一方のパターンの位置ずれ分だけ他方の位置をずらしているので両パターンの重ね合わせ誤差を低減することができる。よって、隣り合うパターン同士の接触を回避することができる。
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の他の荷電粒子を用いたビームでも構わない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
図1において、描画装置100は、描画部150と制御部160を備えている。描画装置100は、荷電粒子ビーム描画装置の一例である。描画部150は、電子鏡筒102と描画室103とを備えている。そして、描画装置100は、2枚のマスク基板10,20の一方に所望する複数の相補パターンの一方を、マスク基板10,20の他方に所望する複数の相補パターンの他方を描画する。制御部160は、描画データ処理部110、偏向制御回路120、デジタル・アナログ変換器(DAC)130、アンプ132、及び磁気ディスク装置109,140を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、第1のアパーチャ203、投影レンズ204、偏向器205、第2のアパーチャ206、対物レンズ207、及び偏向器208が配置されている。また、描画室103内には、移動可能に配置されたXYステージ105が配置されている。また、XYステージ105上には、2枚のマスク基板10,20が配置されている。2枚のマスク基板10,20として、二重露光や二重パターニング露光用のフォトマスク基板が含まれる。これらのマスク基板は、例えば、まだ何もパターンが形成されていないマスクブランクスが含まれる。偏向制御回路120は、偏向位置演算部122、グリッドマッチングコレクション(GMC)補正部124、相補マスク残差補正部126、偏向電圧演算部128及びメモリ129を有している。ここで、偏向制御回路120内で偏向位置演算部122、GMC補正部124、相補マスク残差補正部126及び偏向電圧演算部128といった各機能の処理をソフトウェアにより実施させても構わない。或いは、偏向位置演算部122、GMC補正部124、相補マスク残差補正部126及び偏向電圧演算部128が、電気的な回路によるハードウェアにより構成されても構わない。或いは、電気的な回路によるハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実施させても構わない。或いは、かかるハードウェアとファームウェアとの組合せでも構わない。また、ソフトウェアにより、或いはソフトウェアとの組合せにより実施させる場合には、偏向制御回路120に入力される情報或いは演算処理中及び処理後の各情報はその都度、メモリ129に記憶される。また、磁気ディスク装置109には、相補パターンの一方が定義された描画データファイルと他方が定義された描画データファイルが格納されている。磁気ディスク装置140には、GMCマップ142が格納されている。また、相補パターンの一方を描画した後には、残差マップ144が格納される。図1では、本実施の形態1を説明する上で必要な構成部分以外については記載を省略している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
図2は、実施の形態1における相補パターンの描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図2において、実施の形態1における相補パターンの描画方法は、第1のマスクの偏向位置演算工程(S102)と、第1のマスクのGMC補正工程(S104)と、第1のマスクの描画工程(S106)と、第1のマスクの残差測定工程(S108)と、残差マップ作成工程(S110)と、第2のマスクの偏向位置演算工程(S112)と、第2のマスクのGMC補正工程(S114)と、第2のマスクの残差補正工程(S116)と、第2のマスクの描画工程(S118)といった各工程を実施する。
まず、描画データ処理部110において、相補パターンの一方が定義された描画データを磁気ディスク装置109から読み出し、装置内部フォーマットのショットデータに変換処理を行なう。そして、ショットデータは、偏向制御回路120に出力される。このショットデータに基づいて、パターンの形状や描画位置が制御されることになる。ここでは、特に、描画位置について説明する。また、XYステージ105上には、先に描画される相補マスクの一方となるマスク基板10(第1のマスク基板)が配置される。
S(ステップ)102において、第1のマスクの偏向位置演算工程として、偏向位置演算部122は、マスク基板10に描画される相補パターンを形成する各ショットの偏向位置を演算する。例えば、以下の式(1−1)及び式(1−2)に示すような多項式を用いて演算すると好適である。ここでは、設計座標(x,y)の偏向位置座標(X,Y)を演算する場合について一例として記載する。
(1−1) X=a+a・x+a・y+a・x+a・xy+a
+a・x+a・xy+a・xy+a・y
(1−2) Y=b+b・x+b・y+b・x+b・xy+b
+b・x+b・xy+b・xy+b・y
ここでの各係数a〜aとb〜bは、描画前に予め測定した位置データを近似して求めておき、偏向制御回路120に設定しておけばよい。例えば、電子ビーム200のキャリブレーション等を行なって、測定された位置と設計上の位置との誤差から描画装置の座標系を補正する。ここでは、3次多項式を用いているがこれに限るものではなく、その他のn次多項式であっても構わない。この多項式により設計座標と実際に描画される位置とのずれを補正することができる。しかし、これだけでは、十分な補正ができない場合がある。そこで、さらに、描画装置100では、GMC補正を行なうと好適である。
S104において、第1のマスクのGMC補正工程として、GMC補正部124は、GMCマップ142を磁気ディスク装置140から読み出し、既に演算された偏向位置(X,Y)を補正する。上述した3次の多項式では、補正しきれない場合等では、ここでのマップによる補正が有効である。GMCマップ142は、描画前に予め作成される。描画装置100では、描画装置100の座標系を理想的な座標系に補正するため、描画されるマスクの全面を所定のグリッド寸法でメッシュ状に分割し、各メッシュの頂点の位置を測定する。そして、測定された位置と設計上の位置との誤差から描画装置の座標系を補正している(かかる機能を「グリッドマッチングコレクション:GMC」機能と呼ぶ。)。具体的には、レジストが塗布されたマスクブランクスの上述した各メッシュの頂点の位置に相当する位置にGMC測定用のパターンを描画する。そして、かかるマスクを現象及びエッチング等のプロセス処理を行なって、描画されたパターンから位置精度の測定を行なえばよい。そして、得られた結果から位置を補正するためのGMCマップ142を作成する。
図3は、実施の形態1におけるGMCマップのデータファイルの一例を示している。
図3において、設計座標(x,y)における寸法誤差を補正するための補正量(x’,y’)がGMCマップ142のデータとして定義される。ここでは、一例として、x’=50nm、y’=−20nmであることが示されている。
そして、このGMCマップ142を用いて描画装置の座標系を補正する。GMC補正後の座標(X’,Y’)は、例えば、以下の式(2−1)及び式(2−2)で求めることができる。
(2−1) X’=X+x’
(2−2) Y’=Y+y’
ここでは、設計座標(x,y)における寸法誤差を補正するための補正量(x’,y’)をGMCマップ142から読み出し、既に演算された偏向位置座標(X,Y)に加算することで補正する場合を示している。そして、偏向電圧演算部128は、以上のようにして得られた補正後の偏向位置座標(X’,Y’)を引数として、偏向器208で電子ビーム200を偏向させるための偏向量となる偏向電圧(Ex,Ey)を演算する。偏向電圧は、以下の式(3−1)及び式(3−2)で求めることができる。
(3−1) Ex=F(X’
(3−2) Ey=G(Y’
S106において、第1のマスクの描画工程として、描画部150は、電子ビーム200を用いて、相補パターンの一方(第1のパターン)を第1のマスク基板10に描画する。具体的には、まず、デジタル信号である偏向電圧(Ex,Ey)信号が偏向制御回路120からDAC130に出力される。そして、DAC130にて、アナログの偏向電圧に変換され、アンプ132にて増幅されて偏向器208に印加される。以下、描画部150の動作について説明する。
照射部の一例となる電子銃201から出た電子ビーム200は、照明レンズ202により矩形例えば長方形の穴を持つ第1のアパーチャ203全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形例えば長方形に成形する。そして、第1のアパーチャ203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、投影レンズ204により第2のアパーチャ206上に投影される。かかる第2のアパーチャ206上での第1のアパーチャ像の位置は、偏向器205によって偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させることができる。その結果、電子ビーム200は成形される。そして、第2のアパーチャ206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、対物レンズ207により焦点を合わせ、偏向器208により偏向される。その結果、XYステージ105上のマスク基板10の所望する位置に成形された電子ビーム200のショットが照射される。XYステージ105の動作は、連続移動する。すなわち、描画装置100は、XYステージ105が連続移動しながら描画する。或いはステップアンドリピート移動を行なっても構わない。その場合には、描画装置100は、XYステージ105がステップアンドリピート移動しながら停止中に描画する。
以上のようにして、第1のマスク基板となるマスク基板10に相補パターンの一方(第1のパターン)が描画される。その際、第1のパターンには、複数の測定用パターンが含まれると好適である。
図4は、実施の形態1における2つの相補パターンのうち、先に描画されるパターンの一例を示す図である。
図4において、マスク基板10には、本来のパターン12の他に、複数の測定用パターン16も描画される。この測定用パターン16は、後述する第1のパターンの寸法ずれを測定するために用いられる。そのため、マスク面全面に渡って配置されるように描画すると好適である。形状は、特に限定しないが、例えば、十字型のパターンが好適である。
続いて、第2のマスク基板となるマスク基板20に相補パターンの他方(第2のパターン)を描画することになるが、そのまま、描画したのでは、半導体基板等へ第1と第2のパターンを露光した際に上述したようにビームドリフトの経時変化に伴って第1と第2のパターンが接触して回路がショートしてしまう恐れがある。そのため、実施の形態1では、既にマスク基板10上に描画した第1のパターンの寸法ずれを測定して、その誤差分を考慮してマスク基板20に第2のパターンを描画する。
S108において、第1のマスクの残差測定工程として、描画されたマスク基板20が描画装置100から搬出され、マスク基板20上に描画されたパターンの位置ずれ量を測定する。ここでは、複数の測定用パターン16が描画されているので、これらの複数の測定用パターン16の位置ずれ量を測定する。このように、第1のパターンの位置ずれ量は、第1のマスク基板10の基板面の複数の位置で測定される。
S110において、残差マップ作成工程として、測定結果に基づいて、マスク基板20上に描画されたパターンの位置ずれを位置毎に定義した残差マップ144を作成する。ここでは、位置ずれ量を補正するための補正量ではなく、位置ずれ量そのものを定義する。複数の位置で測定された各測定用パターン16の位置ずれ量を近似する近似式から得られるマップ上の各座標での近似値を第1のパターンの位置ずれ量とすればよい。作成された残差マップ144は、磁気ディスク装置140に格納される。残差マップ144のデータファイルフォーマットは、他の描画装置でも使用可能なフォーマットで作成されると好適である。なぜなら、マスク基板10とマスク基板20とが別々の描画装置で描画される場合でも対応することができるからである。
図5は、実施の形態1における先に描画したパターンにおける残差マップのデータファイルの一例を示している。
図5において、設計座標(x,y)における測定用パターン16の位置ずれ量(x”,y”)が残差マップ144のデータとして定義される。ここでは、一例として、x”=10nm、y”=−10nmであることが示されている。
ここで、配置される実パターンとなるパターン12のレイアウトによっては、測定用パターン16をマスク基板10上に配置するのが困難な場合もあり得る。そのような場合には、実パターンとなるパターン12の描画位置の位置ずれ量を測定しても構わない。その場合には、実パターンの位置ずれ量に基づいて残差マップ144を作成すればよい。
次に相補マスクの他方となるマスク基板20(第2のマスク基板)の描画を行なうことになる。まず、描画データ処理部110において、相補パターンの他方(第2のパターン)が定義された描画データを磁気ディスク装置109から読み出し、装置内部フォーマットのショットデータに変換処理を行なう。そして、ショットデータは、偏向制御回路120に出力される。このショットデータに基づいて、パターンの形状や描画位置が制御されることになる。ここでも、上述したように、特に、描画位置について説明する。また、XYステージ105上には、後に描画される相補マスクの他方となるマスク基板20が配置される。以下、工程順に説明する。
S112において、第2のマスクの偏向位置演算工程として、偏向位置演算部122は、マスク基板20に描画される相補パターンを形成する各ショットの偏向位置を演算する。ここでも、予め係数が設定された式(1−1)及び式(1−2)に示すような多項式を用いて演算すればよい。
S114において、第2のマスクのGMC補正工程として、GMC補正部124は、予め用意されたGMCマップ142を磁気ディスク装置140から読み出し、既に演算された第2のパターン用のショットの偏向位置(X,Y)を補正する。補正の仕方は、第1のパターン用のショットの偏向位置の補正の仕方と同様である。すなわち、GMC補正後の座標(X’,Y’)は、上述した式(2−1)及び式(2−2)で求めればよい。このまま、偏向電圧を求めたのでは、第1のパターンを描画したときから今回の第2のパターンを描画するときまでに生じた描画位置の経時変化に対応できない。そこで、実施の形態1では、以下のように残差マップ144を用いて描画位置を補正する。
S116において、第2のマスクの残差補正工程として、相補マスク残差補正部126は、残差マップ144を磁気ディスク装置140から読み出し、マスク基板10に描画された第1のパターンの位置ずれ分だけ第2のパターンの位置をずらすように補正する。例えば、残差補正後の座標(X”,Y”)は、以下の式(4−1)及び式(4−2)で求めることができる。
(4−1) X”=X’+x”
(4−2) Y”=Y’+y”
ここでは、設計座標(x,y)における第1のパターンの位置ずれ量(x”,y”)を読み出された残差マップ144から取得し、既に演算されたGMC補正後の偏向位置座標(X’,Y’)に加算することで補正する場合を示している。相補マスク残差補正部126は、加算部の一例となる。このように、相補マスク残差補正部126は、複数の位置で測定された第1のパターンの各位置ずれ量を近似する近似式から得られる値を第1のパターンの位置ずれ量として第2のパターンの描画位置に加算すると好適である。そして、偏向電圧演算部128は、以上のようにして得られた補正後の偏向位置座標(X”,Y”)を引数として、偏向器208で電子ビーム200を偏向させるための偏向量となる偏向電圧(Ex,Ey)を演算する。偏向電圧は、上述した式(3−1)及び式(3−2)でX’をX”に、Y’をY”に置き換えることで求めることができる。
S118において、第2のマスクの描画工程として、描画部150は、電子ビーム200を用いて、相補パターンの他方(第2のパターン)を第2のマスク基板20に描画する。具体的には、まず、デジタル信号である第2のパターン用の偏向電圧(Ex,Ey)信号が偏向制御回路120からDAC130に出力される。そして、DAC130にて、アナログの偏向電圧に変換され、アンプ132にて増幅されて偏向器208に印加される。そして、描画部150によって描画される。描画部150の動作については、上述したとおりである。
以上のようにして、第2のマスク基板となるマスク基板20に相補パターンの他方(第2のパターン)が描画される。
図6は、実施の形態1における描画位置の変遷を説明するための概念図である。
図6において、まず、偏向位置演算によって、偏向位置P0が求まる。これをGMCマップ142によってP1で示す位置に補正する。しかし、このままでは描画位置の経時変化に対応できない。そこで、残差マップ144により第1のパターンの位置ずれ分だけ位置をずらしてP2で示す位置に補正する。第1のパターンの位置ずれ量を第1のパターン描画時から第2のパターンの描画時までに生じた描画位置の経時変化とみなして第2のパターンを描画する際に補正することにより第1と第2のパターンの位置関係のずれを低減させることができる。ひいては第1と第2のパターンの接触を回避することができる。
図7は、実施の形態1における2つのマスク基板上の各パターンと2重パターニング後のパターンの一例を示す図である。
図7に示すように、先に描画されたマスク基板10のパターン12が実線から点線で示す位置に位置ずれを起こした場合には、後に描画するマスク基板20のパターン14も実線から点線で示す位置にずらして描画されるため、最終的に2つのマスク基板10,20を用いてウェハ30に露光されたパターン32はパターン12,14の位置関係を維持、或いは位置関係のずれを低減することができる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した手法は、複数の相補パターンを重ねて露光する二重露光用フォトマスクについても同様に成り立つ。また、上述した例では、第2のマスクのGMC補正工程(S114)を行なっているが、これに限るものではなく、第2のマスクのGMC補正工程(S114)を省略して、第2のマスクの偏向位置演算工程(S112)の次に第2のマスクの残差補正工程(S116)を行なう場合があっても構わない。また、第1のマスクのGMC補正工程(S104)についても省略する場合があっても構わない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての描画装置及び描画方法は、本発明の範囲に包含される。
実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。 実施の形態1における相補パターンの描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。 実施の形態1におけるGMCマップのデータファイルの一例を示している。 実施の形態1における2つの相補パターンのうち、先に描画されるパターンの一例を示す図である。 実施の形態1における先に描画したパターンにおける残差マップのデータファイルの一例を示している。 実施の形態1における描画位置の変遷を説明するための概念図である。 実施の形態1における2つのマスク基板上の各パターンと2重パターニング後のパターンの一例を示す図である。 従来の二重パターニング用マスクを説明するための概念図である。 従来の可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。
符号の説明
10,20 マスク基板
12,14,32,302,312,314 パターン
16 測定用パターン
30 ウェハ
100 描画装置
340 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
109.140 磁気ディスク装置
110 描画データ処理部
120 偏向制御回路
122 偏向位置演算部
124 GMC補正部
126 相補マスク残差補正部
128 偏向電圧演算部
129 メモリ
130 DAC
132 アンプ
142 GMCマップ
144 残差マップ
150 描画部
160 制御部
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203,410 第1のアパーチャ
206,420 第2のアパーチャ
204 投影レンズ
205,208 偏向器
207 対物レンズ
300,310,320 フォトマスク
330 電子線
411 開口
421 可変成形開口
430 荷電粒子ソース

Claims (5)

  1. 荷電粒子ビームを用いて、第1のパターンを第1のマスク基板に、前記第1のパターンを相補する第2のパターンを第2のマスク基板に描画する描画部と、
    前記第1のマスク基板に描画された前記第1のパターンの位置ずれ量を前記第2のパターンの描画位置に加算する加算部と、
    を備え、
    前記描画部は、前記第1のパターンの位置ずれ量が加算された前記第2のマスク基板上の描画位置に前記第2のパターンを描画することを特徴とする描画装置。
  2. 前記第1のパターンの位置ずれ量は、前記第1のマスク基板の基板面の複数の位置で測定され、
    前記加算部は、前記複数の位置で測定された前記第1のパターンの各位置ずれ量を近似する近似式から得られる値を前記第1のパターンの位置ずれ量として前記第2のパターンの描画位置に加算することを特徴とする請求項1記載の描画方法。
  3. 前記第1のパターンは、複数の測定用パターンを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の描画方法。
  4. 前記描画装置は、さらに、前記第1のパターンの位置ずれ量を示すマップを記憶する記憶部を備え、
    前記加算部は、前記マップを記憶部から読み出し、読み出された前記マップから前記第2のパターンの位置に加算する前記第1のパターンの位置ずれ量を取得することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の描画方法。
  5. 荷電粒子ビームを用いて、第1のパターンを第1のマスク基板に描画する工程と、
    前記第1のマスク基板に描画された前記第1のパターンの位置を計測する工程と、
    計測された結果得られた前記第1のパターンの位置ずれ分だけ位置をずらして前記第1のパターンを相補する第2のパターンを第2のマスク基板に描画する工程と、
    を備えたことを特徴とする描画方法。
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