以下に、本発明の実施例を説明する。実施例と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。実施例1は主に請求項1、2、4、5などに関し、実施例2は主に請求項3、6などに関する。なお、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施しうる。
<実施形態1の概要>
本実施形態の地図データ生成装置、および、地図データ生成方法は、デジタル地図上にポリゴンとして表示されたり(図2)、航空写真で表示されたりする(図示せず)、「論理的建物オブジェクト」(0201、0202、図中実線で示す)のIDに、一以上の内包点(0201A、0202A)を関連付けたデータを保持しておく。そして、コメントなどの属性データを登録する論理的建物オブジェクトを特定するため、デジタル地図上の任意の一点(0203、図中星印:以下、「選択座標」という)の入力を受付けると、論理的建物オブジェクトIDごとに、関連付けられている内包点(0201A、0202A)を利用して、仮想ポリゴン(0201B、0202B、図中破線で示す)を生成し、選択座標(0203)を包含する仮想ポリゴンを特定する(図の場合、0202Bを特定)。
そして、選択座標(0203)を包含する仮想ポリゴン(0202B)を特定すると、その仮想ポリゴン(0202B)を生成するための内包点(0202A)を関連付けられている論理的建物オブジェクト(0202)のIDを特定する。
その後、入力を受付けたコメントなどの属性データを、前記特定した論理的建物オブジェクト(0202)のIDに関連付けて登録する。
なお、図2においては、説明の便宜上、内包点(0201A、0202A)や、仮想ポリゴン(0201B、0202B、図中破線で示す)をデジタル地図上に表示しているが、当然、これらを非表示とすることも可能である。
<実施形態1の機能的構成>
本実施形態の地図データ生成装置の機能ブロックの一例を図3に示す。図3に示すように、本実施形態の「地図データ生成装置」(0300)は、「内包点座標保持部」(0301)と、「蓄積部」(0302)と、「算出部」(0303)と、「登録部」(0304)を有する。また、「算出部」(0303)は、「取得手段」、「内包点抽出手段」、「同一ID内包点抽出手段」、「判断手段」を有してもよい。
ここで、本装置の機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやRAM、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部やその外部周辺機器用のI/Oポート、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、情報入力に利用されるユーザインターフェイスなどが挙げられる。
またこれらハードウェアやソフトウェアは、RAM上に展開したプログラムをCPUで演算処理したり、メモリやハードディスク上に保持されているデータや、インターフェイスを介して入力されたデータなどを加工、蓄積、出力処理したり、あるいは各ハードウェア構成部の制御を行ったりするために利用される。また、この発明は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、および同製品を記憶媒体に固定した記憶媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
以下、本実施形態の「地図データ生成装置」(0300)の「内包点座標保持部」(0301)と、「蓄積部」(0302)と、「算出部」(0303)と、「登録部」(0304)と、「算出部」(0303)の「取得手段」と、「内包点抽出手段」と、「同一ID内包点抽出手段」と、「判断手段」の機能的構成について詳細に説明する。
「地図データ生成装置」(0300)は、インターネットを介して提供されたり、ユーザが個別に保持し利用したりする、「論理的建物オブジェクト(ビル・家・店などの建物や、公園・娯楽施設・運動場などの施設、など)をポリゴンで表示したデジタル地図」や、「論理的建物オブジェクトを航空写真で表示したデジタル地図」とともに利用されることを目的とした地図データを生成するよう構成されている。ここでの「地図データ」とは、デジタル地図上に表示される論理的建物オブジェクトのIDに、その論理的建物オブジェクトの属性データ(施設の名称や、住所、電話番号、当該場所の訪問日、コメント、静止画像、動画像、など)を関連付けたものであり、当該データを生成し、前記デジタル地図とともに利用可能に構成することで、多様な情報が埋め込まれた利便性の高いデジタル地図とすることができる。
「内包点座標保持部」(0301)は、地図座標上に表示される論理的建物オブジェクトのIDに、その論理的建物オブジェクトの地図座標上における占有領域内に配置される一以上の内包点を関連付けて保持するよう構成されている。「論理的建物オブジェクト」とは、デジタル地図上に表示される建物、施設、自然物などのあらゆるオブジェクトが該当する。このような論理的建物オブジェクトは、デジタル地図上において、ポリゴンで表示されたり、実際にその論理的建物オブジェクトを撮像した航空写真で表示されたりする。
内包点座標保持部(0301)は、地図座標上に表示される論理的建物オブジェクトそれぞれにユニークなID(以下、「論理的建物オブジェクトID」という)を付与し、各論理的建物オブジェクトIDに内包点を関連付けて保持する。
ここで、「内包点」とは、それぞれの論理的建物オブジェクトの地図座標上における占有領域内に配置される一以上の座標点であり、緯度・経度により表すことができる。各論理的建物オブジェクトIDに関連付けられる内包点の数や位置は、任意の設計事項であり、論理的建物オブジェクトIDごとに異なってもよい。例えば、図4に示すように、1つの論理的建物オブジェクト(0401)の占有領域内の両端に、2点の内包点(0401A)を配置し、その論理的建物オブジェクト(0401)のIDに関連付けて保持してもよい。または、1つの論理的建物オブジェクト(0402)の占有領域内の四隅に、4点の内包点(0402A)を配置し、その論理的建物オブジェクト(0402)のIDに関連付けて保持してもよい。さらには、1つの論理的建物オブジェクト(0403)の占有領域内の略中心に、1点の内包点(0403A)を配置し、その論理的建物オブジェクト(0403)のIDに関連付けて保持してもよい。あるいは、1つの論理的建物オブジェクトに対して、前記以外の数の内包点を配置し、その論理的建物オブジェクトのIDと関連付けて保持してもよい。
しかし、内包点は、以下で説明するように、ユーザにより受付けたデジタル地図上の任意の一点(以下、「選択座標」という)を基に、属性データを関連付けて登録する1つの論理的建物オブジェクトのIDを特定するために利用される。よって、内包点は、各論理的建物オブジェクトの地図座標上における占有領域の大きさや形状、周辺の論理的建物オブジェクトの占有領域の大きさや形状、周辺の論理的建物オブジェクトとの位置関係などを十分に考慮して配置するのが望ましい。なお、前記点などを考慮した望ましい内包点の配置の仕方は、以下で説明する算出部(0303)における「内包点の座標と選択座標との位置関係の算出手段」の詳細な説明により、自明となる。
参考までに、図5に、地図座標上に表示される論理的建物オブジェクトのIDに、その論理的建物オブジェクトの地図座標上における占有領域内に配置される一以上の内包点を関連付けたデータの一例を模式的に示す。図に示すように、内包点座標保持部(0301)は、論理的建物オブジェクトIDのそれぞれに、代表点をも関連付けて保持してもよい。前記代表点は、地図座標上における論理的建物オブジェクトの占有領域内の略中心点の座標(緯度・経度)であってもよい。当該代表点は、論理的建物オブジェクトの属性データ(名称など)をデジタル地図上において表示する位置を決定などするために利用することができる。
なお、前記説明した従来技術の「代表点方式」は、1つの論理的建物オブジェクトのIDに対して、「1つの点(代表点)」を関連付けて保持し、前記点(代表点)を利用して、地図座標上にて選択された任意の選択座標から、1つの論理的建物オブジェクトのIDを特定する。一方、本実施形態においては、1つの論理的建物オブジェクトのIDに対して「1つ以上の点(内包点)」を関連付けて保持し、前記1つ以上の点(内包点)を利用して、地図座標上にて選択された任意の選択座標から、1つの論理的建物オブジェクトのIDを特定する。すなわち、本実施形態は、1つのポリゴンに対して関連付けて保持する点の数は、「代表点方式」のように「1つ」に制限されない点で異なる。
これは、「代表点方式」においても、本実施形態においても、論理的建物オブジェクトのIDに関連付けられた点(内包点または代表点)を利用して、属性データを関連付けて登録する1つの論理的建物オブジェクトのIDを特定する点で共通するが、その利用手段が異なることから生じうる相違点である。本実施形態における前記「内包点」の利用手段は、以下で詳細を説明する。また、「代表点方式」における「内包点(代表点)」の利用手段は、前記で説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
ここで、図5のようなデータを作成して内包点座標保持部(0301)に保持させる手段としては、以下のような手段が考えられる。例えば、あらかじめ、地図座標上に表示される論理的建物オブジェクトのIDそれぞれに、代表点(緯度・経度)を関連付けたデータを保持している場合には、前記代表点(緯度・経度)をそのまま内包点として転用して保持する。かかる場合、すべての論理的建物オブジェクトIDに1点のみの内包点が関連付けて保持されていることになる。
その後、前記データを基に、図6に示すようなインターフェイスを利用して、論理的建物オブジェクトIDごとに内包点の数、位置の変更を受付けてもよい。図6のインターフェイスは、1つの論理的建物オブジェクトIDを特定した後(例:「ポリゴンIDの直接入力」、「アイコン(0601)で選択された地図座標上の一点と最も近い内包点を関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを特定」など)、地図座標上でのアイコン(0601)のクリックや、座標数値(緯度・経度)の直接入力などの手段により、変更後の内包点の座標(緯度・経度)を入力して登録するように構成されている。
その他、未だ、論理的建物オブジェクトIDを発行されていない論理的建物オブジェクトに対して内包点を関連付けて保持させる場合には、以下のような手段でもよい。例えば、図7に示すように、まず、任意の論理的建物オブジェクトIDを発行する。そして、内包点を関連付ける論理的建物オブジェクトを地図座標上に表示(ポリゴンまたは航空写真として表示)した状態で、地図座標上でのアイコン(0701)のクリックにより、内包点として登録する座標数値(緯度・経度)の入力を受付けるように構成してもよい。または、任意の論理的建物オブジェクトIDを発行した後、数値の直接入力により、内包点として登録する座標数値(緯度・経度)の入力を受付けてもよい。
なお、前記手段は一例であり、本実施形態の内包点座標保持部(0301)が保持するデータは、その他の手段により登録されたものであってもよい。
「蓄積部」(0302)は、地図座標上に表示される論理的建物オブジェクトに関する店舗名などの属性データを、選択座標と関連付けて蓄積するよう構成されている。「属性データ」は、店舗名、会社名、建物名、施設名、住所、電話番号、FAX番号、URL、Eメールアドレス、静止画像、動画像、口コミ情報、など、論理的建物オブジェクトに関するあらゆるデータが該当する。「選択座標」とは、緯度・経度により地図座標上の一点を特定する数値データであり、前記属性データと関連付けて蓄積される。前記選択座標は、関連付けられている属性データを関連付けて登録する論理的建物オブジェクトIDを特定するために利用される。
ここで、蓄積部(0302)が、前記「選択座標と属性データ」を蓄積するために、前記データを取得する手段としては、以下のようなものが考えられる。
例えば、地図座標上に表示される論理的建物オブジェクトの代表点(緯度・経度)に、店舗名、会社名、建物名、施設名、などの属性データを関連付けたデータがあらかじめ存在している場合には、前記データを内部メモリや外部機器などから取得する。そして、取得したデータの代表点(緯度・経度)をそのまま選択座標(緯度・経度)として転用することで、前記「選択座標と属性データ」を取得してもよい。
または、キーボード、マウス、操作キー、タッチパネルディスプレイなどを利用して、ユーザなどが入力した「選択座標と属性データ」を取得してもよい。当該手段については、以下の実施形態で詳細を説明する。
「算出部」(0303)は、内包点の座標と選択座標との位置関係を算出するよう構成されている。「内包点」は、緯度・経度で特定される数値データであって、論理的建物オブジェクトIDに関連付けて内包点座標保持部(0301)に保持されている。一方、「選択座標」は、緯度・経度で特定される数値データであって、論理的建物オブジェクトに関する属性データと関連付けて蓄積部(0302)に保持されている。
すなわち、算出部(0303)は、内包点座標保持部(0301)と蓄積部(0302)のそれぞれから、内包点データと選択座標データを取得しそれらの位置関係を算出する。
算出内容としては、例えば、選択座標から最も近い距離に位置する内包点を算出したり、選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点を算出したり、特定した1つの内包点が関連付けられている論理的建物オブジェクトIDと同じ論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている他の内包点を算出したり、特定した1つの内包点と、前記内包点と同じ論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている他の内包点と、を利用して仮想ポリゴンを生成し、選択座標が前記仮想ポリゴン内に含まれるか否かを算出したりする。
ここで、「仮想ポリゴン」とは、論理的建物オブジエェクトIDに関連付けられている内包点を利用して生成されるポリゴンであり、「選択座標」を基に属性データを関連付けて登録する一つの論理的建物オブジェクトIDを特定するために、仮想的に生成されるポリゴンである。
地図座標上における論理的建物オブジェクトの占有領域の形状や位置を緯度・経度で表したデータ(例:「デジタル地図上において論理的建物オブジェクトをポリゴンで表示した際の、各ポリゴンの形状や配置する位置を緯度・経度で表したデータ」)を保持している場合には、選択座標がどの論理的建物オブジェクトの占有領域内に包含されるかを特定することで、属性データを関連付けて登録する一つの論理的建物オブジェクトIDを特定することができる。しかしながら、前記データを保持していない場合には、前記のような手段により属性データを関連付けて登録する一つの論理的建物オブジェクトIDを特定することはできない(本発明は、前記のようなデータを保持していないケースを想定した発明である。)。
そこで、本実施形態の算出部(0303)は、論理的建物オブジェクトIDのそれぞれに関連付けて保持されている内包点を利用して、論理的建物オブジェクトIDごとに仮想的なポリゴンを生成し、選択座標がどの仮想ポリゴン内に包含されるかを特定することで、属性データを関連付けて登録する一つの論理的建物オブジェクトIDを特定する。なお、仮想ポリゴンの生成方法などについては、以下で詳細を説明する。
ここで、算出部(0303)は、前記算出などを行うために、「取得手段」と、「内包点抽出手段」と、「同一ID内包点抽出手段」と、「判断手段」とを有してもよい。
「算出部」(0303)の「取得手段」は、蓄積部(0302)から属性データと関連付けられている選択座標を取得するよう構成されている。
「算出部」(0303)の「内包点抽出手段」は、取得手段が取得した選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点を抽出するよう構成されている。すなわち、内包点抽出手段は、選択座標と、内包点座標保持部(0301)に保持されている内包点との距離を算出し、算出した距離とあらかじめ保持している所定の閾値とを大小比較する。そして、大小比較の結果が、所定の閾値以下(または、閾値より小さい)である内包点を抽出する。
具体的には、図8に示すように、選択座標として星印(0801)で示す位置の座標が取得された場合、内包点抽出手段は、所定の閾値(=L)以下の距離に位置する2つの内包点(0802A、0803A)を抽出することとなる。
ここで、選択座標と内包点の距離を算出する手段としては、2点間の距離の公式を利用し、{(緯度の差)2+(経度の差)2}1/2により算出することができる。また、所定の閾値は、任意の設計事項である。
「算出部」(0303)の「同一ID内包点抽出手段」は、内包点抽出手段にて抽出された内包点が関連付けられている論理的建物オブジェクトIDと同じ論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている他の内包点がある場合には、その内包点(以下、「同一ID内包点」という)を抽出するよう構成されている。すなわち、同一ID内包点抽出手段は、内包点抽出手段にて抽出された内包点を識別すると、内包点座標保持部(0301)が保持している「論理的建物オブジェクトIDと内包点を関連付けたデータ」(図5参照)を利用して、抽出された内包点が関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを識別する。そして、識別した論理的建物オブジェクトIDと同じ論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている他の内包点があるか確認し、他の内包点がある場合にはその内包点(同一ID内包点)をすべて抽出する。
ここで、同一ID内包点抽出手段は、内包点抽出手段が抽出したすべての内包点に対して、一度に前記同一ID内包点抽出の処理を行ってもよいし、または、以下で説明する判断手段の判断結果に応じ、順次、前記処理を行ってもよい。前記処理を順次行う場合には、選択座標から最も近い距離に位置する内包点から順に行うようにしてもよい。
具体的には、内包点抽出手段で図8に示すように2つの内包点(0802A、0803A)が抽出された場合、同一ID内包点抽出手段は、それぞれの内包点(0802A、0803A)ごとに、同一ID内包点(0802B、0803B)を抽出することとなる。この時、まず、選択座標(0801)から最も近い距離に位置する内包点(0803A)の同一ID内包点(0803B)のみを抽出し、そして、以下で説明する判断手段の判断結果に基づき、必要に応じて、他の内包点(0802A)の同一ID内包点(0802B)を抽出するようにしてもよい。
「算出部」(0303)の「判断手段」は、内包点抽出手段と同一ID内包点抽出手段とで抽出された同一論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている内包点が複数ある場合には、前記複数の内包点から構成される仮想ポリゴン内に、取得された選択座標が含まれるか判断するよう構成されている。そして、選択座標が含まれる仮想ポリゴンを特定すると、特定した仮想ポリゴンを生成するための内包点を関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを特定することとなる。
具体的には、判断手段は、まず、内包点抽出手段と同一ID内包点抽出手段とで抽出された同一論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている内包点の数を確認する。そして、内包点の数が複数あると判断した場合には、所定のルールに従い、仮想ポリゴンを生成する。そして、選択座標が生成した仮想ポリゴン内に含まれるかを判断する。
ここで、仮想ポリゴンを生成する所定のルールとしては、特段制限されないが、以下のようなものであってもよい。例えば、内包点の数が2個の場合には、図9に示すように、2点(内包点:0901)を向かい合う両辺の中心とする正方形(0903:破線)の仮想ポリゴンを生成するようなルールであってもよい。図9中、実線のポリゴン(0902)は「地図座標上に表示される論理的建物オブジェクトをポリゴンまたは航空写真で表示したもの」を、丸点(0901)は「その論理的建物オブジェクトのIDに関連付けられた内包点」を、破線のポリゴン(0903)は「その論理的建物オブジェクトのIDに関連付けられた内包点を利用して生成された仮想ポリゴン」を示している(当該前提は、図10、11、12においても同様である。)。
その他の仮想ポリゴン生成ルールとしては、内包点の数が3個の場合には、図10に示すように、3点(内包点)を頂点とする三角形の仮想ポリゴンを生成すようなルールであってもよい。また、内包点の数が4個の場合には、図11に示すように、4点(内包点)を頂点とする四角形の仮想ポリゴンを生成するようなルールであってもよい。4点(内包点)の座標を基に、四角形の仮想ポリゴンを生成する手段としては、以下のようなものであってよい。例えば、4点(内包点)の中から任意の1点(内包点)を選択し、その1点(内包点)から近い距離に位置する順に2つの点(内包点)を特定する。そして、最初に選択した1つの点(内包点)と、前記算出した2つの点(内包点)それぞれとを結んで、四角形を構成する4辺のうちの2辺を構成するように定めることで、4点(内包点)を頂点とする四角形を生成する。また、内包点の数が5個以上の場合には、5点以上の内包点を頂点とする多角形を生成するようなルールであってもよい。前記多角形を生成する手段としては、前記四角形を生成する手段と同様の手段などを利用して実現することができる。
判断手段は、前記のようなルールに従い仮想ポリゴンを生成した後、生成した仮想ポリゴン内に選択座標が含まれているか判断する。なお、「選択座標が仮想ポリゴン内に含まれる」とは、仮想ポリゴンを構成する複数の辺により閉じられた領域の中(辺上を含めてもよい)に、選択座標が位置することを意味する。
判断手段は、選択座標が仮想ポリゴン内に含まれていると判断すると、以下で説明する登録部(0304)に、その仮想ポリゴンを生成するための内包点を関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを特定することとなる。一方、選択座標が仮想ポリゴン内に含まれていないと判断すると、選択座標から所定の閾値内の距離に位置する他の内包点を基に新たな仮想ポリゴンを生成し、新たに生成した仮想ポリゴン内に選択座標が含まれているか判断する。そして、前記処理を、選択座標が含まれる仮想ポリゴンを特定し、一つの論理的建物オブジェクトIDを特定するまで繰り返すこととなる。
なお、前記処理を内包点抽出手段が抽出したすべての内包点(選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点)に対して行っても、1つの論理的建物オブジェクトIDを特定することができなかった場合の処理については、以下で説明する。
ここで、判断手段による前記「内包点抽出手段と同一ID内包点抽出手段とで抽出された同一論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている内包点の数の確認」の結果、内包点の数が1個の場合には、判断手段は、その内包点に対する前記処理(仮想ポリゴンを生成し、1つの論理的建物オブジェクトIDを特定)はスキップし、選択座標から所定の閾値内の距離に位置する他の内包点に対する前記処理に移行してもよい。または、内包点の数が1個の場合にも、仮想ポリゴンを生成し、仮想ポリゴン内に選択座標が含まれているか判断してもよい。かかる場合に仮想ポリゴンを生成するルールとしては、例えば、図12に示すように、内包点(1201)を中心点とする一辺の長さがMの正方形を生成するようなルールであってもよい。Mの値は、任意の設計事項である。
なお、判断手段での前記処理(仮想ポリゴンを生成し、1つの論理的建物オブジェクトIDを特定)の結果、選択座標が含まれる仮想ポリゴンが1つもなかった場合、すなわち、1つの論理的建物オブジェクトIDを特定できなかった場合には、以下のような手段により、1つの論理的建物オブジェクトIDを特定してもよい。
例えば、前記処理により生成したすべての仮想ポリゴンのすべての辺と選択座標との距離を算出し、最も近い距離の辺を含む仮想ポリゴンを特定する。そして、前記特定した仮想ポリゴンを生成するための内包点を関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを特定してもよい。
また、「内包点抽出手段と同一ID内包点抽出手段とで抽出された同一論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている内包点の数の確認」の結果、内包点の数が1個であった場合で、内包点が1個の場合には仮想ポリゴンを生成しないよう定めている場合には、その内包点と選択座標との距離を算出する。そして、前記算出した「仮想ポリゴンのすべての辺と選択座標との距離」と前記「内包点と選択座標との距離」の中から、最も小さい距離を特定し、その距離を算出するために利用された内包点を特定し、前記特定した内包点を関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを特定してもよい。
なお、選択座標と仮想ポリゴンを構成する辺との距離の算出は、選択座標から仮想ポリゴンを構成する辺に対して垂線を下ろし、その長さを算出するようにしてもよい。そして、選択座標から辺に対して垂線を下ろせない場合には、その辺を構成する2つの内包点のうち、選択座標から距離が近い方の内包点との距離を算出して、前記比較のためのデータとして利用してもよい。
「登録部」(0304)は、算出部での算出結果に応じて論理的建物オブジェクトIDと属性データとを関連付けて登録するよう構成されている。すなわち、登録部(0304)は、算出部(0303)がある選択座標を基に特定した1つの論理的建物オブジェクトIDを識別すると、蓄積部(0302)にて前記選択座標と関連付け蓄積されている属性データを、前記特定された論理的建物オブジェクトIDに関連付けて登録する。参考までに、図13に、論理的建物オブジェクトIDに属性データを関連付けて登録したデータの一例を模式的に示す。
なお、登録部(0304)は、1つの論理的建物オブジェクトIDに対して、2組以上の属性データを別々に登録できるように構成してもよい。このように構成することで、1つの論理的建物オブジェクトに複数の店や会社などが存在している場合おいても、それらの属性データを、別々に登録することが可能となる。参考までに、図14に、1つの論理的建物オブジェクトIDに2組以上の属性データを関連付けて登録したデータの一例を模式的に示す。かかる場合、登録部(0304)は、属性データを登録する際、属性データを関連付ける1つの論理的建物オブジェクトIDを識別すると、その論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている施設IDの数を確認するように構成する。そして、施設IDの数が1つの場合には、その施設IDに関連付けて登録する。一方、施設IDの数が複数ある場合には、複数の施設IDに対応する名称などを一覧表示し、属性データをいずれの施設IDに関連付けて登録するかの選択入力をユーザから受付ける。そして、ユーザの選択入力に従い、特定した施設IDに関連付けて登録してもよい。
<実施形態1のハードウェア構成>
図15は、上記機能的構成をハードウェアとして実現した際の構成の一例を表す図である。
以下に、図15のハードウェア図を用いて、本実施形態を実現する手段の一例を説明する。図に示すように、本実施形態の地図データ生成装置は、「内包点座標保持部」、「蓄積部」、「算出部」、「登録部」、「算出部」の「取得手段」、「内包点抽出手段」、「同一ID内包点抽出手段」、「判断手段」などを構成する「CPU」(1501)、「主記憶装置」(1502)、「プログラム記憶装置」(1503)、「2次記憶装置」(1504)、「ユーザI/F」(1505)、「インターネットI/F」(1506)、「ディスプレイ」(1507)、「HDD」(1508)、「外部機器I/F」(1509)、「バス」(1510)などを備えている。
主記憶装置(1502)は、プログラム実行中に動的にデータ書換可能な記憶装置である。主記憶装置(1502)はプログラム記憶装置(1503)に記憶されているデジタル地図表示プログラムや属性データ登録プログラムなどを実行するために必要なスタックやヒープ等のワーク領域を提供する。また主記憶装置(1502)は、デジタル地図上に表示される論理的建物オブジェクトのIDと内包点座標を関連付けたデータや、ユーザI/F(1505)またはインターネットI/F(1506)などを介して取得した選択座標と属性データを関連付けたデータや、選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点を抽出するために利用する内包点抽出閾値データや、前記内包点抽出閾値データを利用して抽出した抽出内包点データや、前記抽出内包点を基に抽出した同一ID内包点データや、仮想ポリゴンを生成するためのルールを定めたデータや、前記抽出内包点と同一ID内包点を利用して作成した仮想ポリゴンのデータや、前記仮想ポリゴンと選択座標との位置関係を基に特定した論理的建物オブジェクトIDのデータや、外部機器などから取得した論理的建物オブジェクトの代表点(緯度・経度)と属性データを関連付けたデータなどを保持したりする。
2次記憶装置(1504)はプログラム実行中に動的にデータ書換可能な記憶装置であり、装置の電源が切れても、記憶しているデータが消去されない。2次記憶装置は、ユーザなどの要求に応じて出力するデジタル地図データや、デジタル地図上に表示される論理的建物オブジェクトのIDと内包点座標を関連付けたデータや、選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点を抽出するために利用する内包点抽出閾値データや、ユーザなどが登録した属性データを論理的建物オブジェクトIDと関連付けたデータや、ユーザなどからの属性データの登録を誘導するためのインターフェイスに関するデータや、仮想ポリゴンを生成するためのルールを定めたデータなどを保持したりする。
ユーザI/F(1505)は、ユーザなどからの指示信号や、選択座標、属性データの入力などを受付ける。また、論理的建物オブジェクトIDと内包点を関連付けて登録する指示信号を受付けたり、登録する内包点の座標の入力を受付けたりしてもよい。
インターネットI/F(1506)は、デジタル地図データを送信したり、選択座標や属性データを受信したりする。また、登録している属性データを送信してもよい。ディスプレイ(1507)は、デジタル地図を出力したり、デジタル地図上に内包点をマッピングしたデータを出力したり、仮想ポリゴンを表示したりする。HDD(1508)は、ユーザなどが登録した属性データのうち、動画像や静止画像などのようにデータ量が大きいものを論理的建物オブジェクトIDと関連付けて保持する。「外部機器I/F」(1509)は、有線/無線で外部機器と通信し、外部機器が保持している論理的建物オブジェクトの代表点(緯度・経度)とその論理的建物オブジェクトの属性データを関連付けたデータなどを取得したりする。
以下、本実施形態の地図データ生成装置が、外部機器I/Fなどを介して取得した論理的建物オブジェクトの代表点(緯度・経度)とその論理的建物オブジェクトの属性データを関連付けたデータを利用して、論理的建物オブジェクトIDと属性データを関連付けて登録する処理の一例について説明する。
まず、ユーザI/F(1505)を介して、外部機器より論理的建物オブジェクトの代表点(緯度・経度)と属性データとを関連付けたデータを取得する指示信号を受付けると、CPU(1501)は、主記憶装置(1502)のワーク領域に展開された属性データ登録プログラムに従い、外部機器I/F(1509)を制御する。そして、外部機器と通信し、論理的建物オブジェクトの代表点(緯度・経度)と属性データを関連付けた一組以上のデータを取得して、主記憶装置(1502)のデータ領域に格納する。
その後、属性データ登録プログラムの選択座標・属性データ取得命令に従い、前記代表点(緯度・経度)と属性データを関連付けた一組以上のデータを取り出すと、すべての組の代表点(緯度・経度)をそのまま選択座標(緯度・経度)として変換し、選択座標(緯度・経度)と属性データを関連付けたデータとして、主記憶装置(1502)のデータ領域に格納する。
そして、属性データ登録プログラムの内包点抽出命令に従い、2次記憶装置(1504)より、論理的建物オブジェクトIDと内包点を関連付けたデータと、内包点抽出閾値データを取り出す。また、一組の選択座標と属性データを関連付けたデータを特定する。そして、特定した組の選択座標と、論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている内包点との距離を算出し、算出した距離と内包点抽出閾値とを大小比較する。そして、前記大小比較の結果、算出した距離が所定の閾値より小さかった場合には、選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点(抽出内包点)として主記憶装置(1502)のデータ領域に格納する。その後、前記処理を繰り返すことで、選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点をすべて抽出する。
その後、抽出内包点を関連付けている論理的建物オブジェクトIDを識別し、前記論理的建物オブジェクトIDと同一の論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている内包点を抽出する。そして、抽出した内包点を、同一ID内包点として主記憶装置(1502)のデータ領域に格納する。
次に、属性データ登録プログラムの仮想ポリゴン生成命令に従い、前記で主記憶装置(1502)のデータ領域に格納した、抽出内包点と同一ID内包点の総数を確認する。そして、その総数に応じた所定の仮想ポリゴン生成ルールに従い、仮想ポリゴンを生成して主記憶装置(1502)のデータ領域に格納する。
その後、属性データ登録プログラムの選択座標位置関係判断命令に従い、選択座標が、前記仮想ポリゴン内に含まれるかを判断する。判断の結果が含まれないだった場合には、他の抽出内包点を基に、前記と同様の処理を繰り返す。一方、判断の結果が含まれるだった場合には、その仮想ポリゴンを生成するための内包点を関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを識別し、特定論理的建物オブジェクトIDとして主記憶装置(1502)のデータ領域に格納する。そして、前記選択座標に関連付けられている属性データを、前記特定論理的建物オブジェクトIDに関連付け、そのデータ種に応じて2次記憶装置(1504)やHDD(1508)などに保存する。
その後、主記憶装置(1502)のデータ領域に格納されている選択座標と属性データを関連付けたデータの中から、他の組のデータを特定し、同様の処理を繰り返す。
<実施形態1の処理の流れ>
本実施形態の処理の流れの一例を図16(A)、(B)のフローチャートに示す。図16(A)、(B)は、本実施形態の地図データ生成装置が、外部機器I/Fなどを介して取得した論理的建物オブジェクトの代表点(緯度・経度)とその論理的建物オブジェクトの属性データを関連付けたデータを利用して、論理的建物オブジェクトIDと属性データを関連付けて登録する処理の一例である。
まず、デジタル地図上に表示される論理的建物オブジェクトの代表点(緯度・経度)と、それに関連付けた属性データとを取得する指示を受付けると(S1601)、内部メモリや外部機器などから論理的建物オブジェクトの代表点(緯度・経度)と属性デ−タを関連付けた一組以上のデータを取得する(S1602)。そして、取得した一組以上のデータのすべての代表点の座標(緯度・経度)をそのまま選択座標(緯度・経度)として変換し、選択座標(緯度・経度)と属性データを関連付けたデータとして格納する(S1603)。
その後、ステップS1603で格納した、選択座標と属性データを関連付けた一組以上のデータの中から、一組のデータを特定し(S1604)、特定したデータから選択座標を取得する(S1605)。そして、すべての論理的建物オブジェクトIDと関連付けられているすべての内包点の中から、取得した選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点(抽出内包点)をすべて抽出する(S1606)。
その後、ステップS1606で抽出した抽出内包点の中から、1つの内包点を特定する(S1607)。前記特定は、例えば、選択座標から距離が近い順に特定してもよい。ステップS1607で1つの内包点を特定すると、その内包点を関連付けている論理的建物オブジェクトIDを識別する(S1608)。そして、その論理的建物オブジェクトIDと関連付けられている他の内包点(同一ID内包点)があるか確認し、ある場合にはその内包点を抽出する(S1609)。
その後、特定した内包点と同一ID内包点との総数を算出する。そして、総数が1だった場合には(S1610)、ステップS1616に進む。一方、総数が2以上であった場合には(S1610)、ステップS1611に進み、それらの内包点を利用して、所定のルールに従い、仮想ポリゴンを生成する。そして、仮想ポリゴンと選択座標の位置関係を算出し(S1612)、選択座標が仮想ポリゴン内に含まれるか判断する(S1613)。
ステップS1613での判断の結果が、「選択座標が仮想ポリゴン内に含まれる」である場合には、その仮想ポリゴンを生成するための内包点を関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを特定し(S1614)、特定した論理的建物オブジェクトIDに、ステップS1604で特定した属性データを関連付けて登録する(S1615)。その後、ステップS1604で特定されてないデータがあるか確認し(S1624)、ない場合には処理を終了する。一方、ある場合には、ステップS1604に戻り、同様の処理を繰り返す。また、ステップS1613での判断の結果が、「選択座標が仮想ポリゴン内に含まれない」である場合には、ステップS1616に進む。
ステップS1616では、ステップS1606で抽出された抽出内包点の中で、ステップS1607において特定されていない内包点が存在するか確認する。そして、特定されていない内包点が存在する場合には、ステップS1607に戻り、新たに1つの内包点を特定し、前記と同様の処理を繰り返す(S1607〜1616)。一方、ステップS1607において特定されていない内包点が存在しない場合には、ステップS1617に進む。
ステップS1617では、前記処理において生成したすべての仮想ポリゴンを構成するすべての辺と選択座標との距離を算出する。そして、ステップS1617において、選択座標との距離を算出できなかった辺が存在した場合には、その辺を構成する2点のうち、選択座標との距離が近い点との距離を算出する(S1618)。また、ステップS1610での算出結果が特定した内包点と同一ID内包点の総数が1であった場合、前記特定した内包点と選択座標との距離を算出する(S1619)。そして、ステップS1617〜1619において算出したすべての距離の中から、最も近い距離を特定する(S1620)。
そして、前記結果をもとに、1つの論理的建物オブジェクトIDを特定し(S1621)、特定した論理的建物オブジェクトIDに、ステップS1604で特定した属性データを関連付けて登録する(S1622)。その後、ステップS1603で格納したデータの中に、ステップS1604で特定したデータ以外のデータがあるか確認し(S1623)、ない場合には処理を終了する。一方、ある場合には、ステップS1604に戻り、同様の処理を繰り返す。
なお、前記処理の流れはあくまで一例であり、本発明の機能を実現できる範囲内で、自由に設計変更が可能である。例えば、ステップS1617〜S1619の処理については、処理の順番を自由に変更可能である。
<実施形態1の発明の効果>
本発明の地図データ生成装置、および、地図データ生成方法により、デジタル地図上に表示される論理的建物オブジェクトの、地図座標上における占有領域の形状や位置を緯度・経度で表したデータ(例:「デジタル地図上において論理的建物オブジェクトをポリゴンで表示した際の、各ポリゴンの形状や配置する位置を緯度・経度で表したデータ」など)を保持していなくても、コストや時間を掛けず、デジタル地図上にて特定された任意の一点を基に、属性データを名寄せする論理的建物オブジェクトを高精度に特定することが可能となる。
<実施形態2の概要>
本実施系形態の地図データ生成装置、および、地図データ生成方法は、実施形態1を基本とし、さらに、ユーザから、選択座標と属性データの入力を受付ける機能を有することを特徴とする。
<実施形態2の機能的構成>
本実施形態の地図データ生成装置の機能ブロックの一例を図17に示す。図17に示すように、本実施形態の「地図データ生成装置」(1700)は、「内包点座標保持部」(1701)と、「蓄積部」(1702)と、「算出部」(1703)と、「登録部」(1704)と、「入力受付部」(1705)を有する。また、「算出部」(1703)は、「取得手段」、「内包点抽出手段」、「同一ID内包点抽出手段」、「判断手段」を有してもよいし、「蓄積部」(1702)は、「入力受付手段」を有してもよい。
なお、本実施形態の「内包点座標保持部」(1701)と、「算出部」(1703)と、「登録部」(1704)と、「算出部」(1703)の「取得手段」、「内包点抽出手段」、「同一ID内包点抽出手段」、「判断手段」の機能的構成については、実施形態1と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。以下、本実施形態の「入力受付部」(1705)と、「蓄積部」(1702)の「入力受付手段」の機能的構成について詳細に説明する。
「入力受付部」(1705)は、地図座標上の一点を特定した選択座標の入力と、地図座標上に表示される論理的建物オブジェクトに関する属性データの入力を受付けるよう構成されている。入力を受付ける具体的手段としては、例えば、地図データ生成装置(1700)に備え付けられたキーボード、操作キー、マウス、タッチパネルディスプレイなどを介して入力されたデータを受付けてもよい。または、前記手段などにより入力されたデータを、インターネットを介して受信し、受付けてもよい。ユーザがインターネットを介して前記データを送信するために使用する機器としては特段制限されず、PC、携帯電話・PDAなどの携帯端末、デジタルTVなどの家電機器、など、インターネットに接続可能で、受信したデジタル地図データを表示可能なディスプレイなどを有しており、選択座標や属性データなどを入力可能なインターフェイスを有しているあらゆる機器を利用することができる。
なお、「選択座標」とは、属性データを関連付けて登録する論理的建物オブジェクトIDを特定するために利用される地図座標上の任意の一点であり、緯度・経度で表すことができる。選択座標の入力手段としては、数値を直接入力できてもよいし、ディスプレイなどに表示されているデジタル地図上で、任意の1点を特定することで、その点に対応する緯度・経度が入力されてもよい。デジタル地図上で任意の1点を特定する入力手段としては、ディスプレイ上に表示されたアイコンなどを利用して任意の1点を特定できてもよいし、タッチパネル入力により任意の1点を特定できてもよい。
「蓄積部」(1702)の「入力受付手段」は、入力受付部にて受付けた前記属性データを、前記選択座標と関連付けて蓄積するよう構成されている。そして、入力受付手段により蓄積された前記データは、実施形態1で説明したように、算出部(1703)での算出処理に使用される。
<実施形態2のハードウェア構成>
図18は、上記機能的構成をハードウェアとして実現した際の構成の一例を表す図である。
以下に、図18のハードウェア図を用いて、本実施形態を実現する手段の一例を説明する。図に示すように、本実施形態の地図データ生成装置は、「内包点座標保持部」、「蓄積部」、「算出部」、「登録部」、「入力受付部」、「蓄積部」の「入力受付手段」、「算出部」の「取得手段」、「内包点抽出手段」、「同一ID内包点抽出手段」、「判断手段」、などを構成する「CPU」(1801)、「主記憶装置」(1802)、「プログラム記憶装置」(1803)、「2次記憶装置」(1804)、「ユーザI/F」(1805)、「インターネットI/F」(1806)、「ディスプレイ」(1807)、「HDD」(1808)、「バス」(1810)などを備えている。
以下、本実施形態の地図データ生成装置が、インターネットなどを介してユーザから取得した「ある論理的建物オブジェクトに関する属性データ」を登録する処理の一例について説明する。
まず、インターネットI/F(1806)を介して、デジタル地図表示指示信号を取得すると、主記憶装置(1802)のデータ領域に展開されたデジタル地図表示プログラムに従い、2次記憶装置(1804)より所定のデジタル地図データを取り出す。そして、取り出したデジタル地図データを、インターネットI/F(1806)を介して、前記指示信号の送信元に送信する。また、インターネットI/F(1806)を介して、デジタル地図に表示されている論理的建物オブジェクトに属性データを登録するためのインターフェイスを表示する指示信号を取得すると、主記憶装置(1802)のデータ領域に展開された属性データ登録プログラムに従い、2次記憶装置(1804)より属性データ入力インターフェイスデータを取り出す。そして、取り出した属性データ入力インターフェイスデータを、インターネットI/F(1806)を介して、前記指示信号の送信元に送信する。
その後、インターネットI/F(1806)を介して、前記属性データ入力インターフェイスより入力された「選択座標」と「属性データ」を取得すると、取得した前記データを主記憶装置(1802)のデータ領域に格納する。そして、属性データ登録プログラムの内包点抽出命令に従い、2次記憶装置(1804)より、論理的建物オブジェクトIDと内包点を関連付けたデータと、内包点抽出閾値データを取り出す。
その後、前記選択座標と、論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている内包点との距離を算出し、算出した距離と内包点抽出閾値とを大小比較する。そして、前記大小比較の結果、算出した距離が所定の閾値より小さかった場合には、選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点(抽出内包点)として主記憶装置(1802)のデータ領域に格納する。その後、前記処理を繰り返すことで、選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点をすべて抽出する。
その後、抽出内包点を関連付けている論理的建物オブジェクトIDを識別し、前記論理的建物オブジェクトIDと同一の論理的建物オブジェクトIDに関連付けられている内包点を抽出する。そして、抽出した内包点を、同一ID内包点として主記憶装置(1802)のデータ領域に格納する。
次に、属性データ登録プログラムの仮想ポリゴン生成命令に従い、前記で主記憶装置(1802)のデータ領域に格納した、抽出内包点と同一ID内包点の総数を確認する。そして、その総数に応じた所定の仮想ポリゴン生成ルールに従い、仮想ポリゴンを生成して主記憶装置(1802)のデータ領域に格納する。
そして、属性データ登録プログラムの選択座標位置関係判断命令に従い、選択座標が、前記仮想ポリゴン内に含まれるかを判断する。判断の結果が含まれないだった場合には、他の抽出内包点を基に、前記と同様の処理を繰り返す。一方、判断の結果が含まれるだった場合には、その仮想ポリゴンを生成するための内包点を関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを識別し、特定論理的建物オブジェクトIDとして主記憶装置(1802)のデータ領域に格納する。そして、取得した属性データを特定論理的建物オブジェクトIDと関連付け、そのデータ種に応じて2次記憶装置(1804)やHDD(1808)に保存する。
<実施形態2の処理の流れ>
本実施形態の処理の流れの一例を図19のフローチャートに示す。図19は、ユーザから入力を受付けた「選択座標と属性データ」を基に、前記属性データを、任意の論理的建物オブジェクトIDに関連付けて登録する処理の一例である。
まず、ユーザより、デジタル地図の表示指示を受付けると(S1901)、指示内容に従い、所定の地域のデジタル地図データを出力する(S1902)。なお、ステップS1901で受付ける表示指示は、インターネットを介して送信されてきたものでもよいし、地図データ生成装置に備え付けられたキーボード、操作キー、マウス、などを介して入力されたものであってもよい。インターネットを介して送信されてきたデジタル地図の表示指示を受付けた場合、ステップS1902では、インターネットを介して、前記指示の送信先にデジタル地図データを送信する。一方、地図データ生成装置に備え付けられたインターフェイスからデジタル地図の表示指示を受付けた場合、ステップS1902では、地図データ生成装置に備え付けられたディスプレイなどにデジタル地図データを出力する。なお、以下で出てくるユーザからの入力の受付や、データの出力についても、前記概念と同様、インターネットを介したものでもよいし、地図データ生成装置に備え付けられた入力インターフェイスやディスプレイなどを介したものであってもよい。
ステップS1902で所定のデジタル地図データを出力した後、属性データを登録するためのインターフェイスを表示する指示を受付けると(S1903)、属性データを登録するためのインターフェイスを出力する(S1904)。そして、前記インターフェイスから、属性データと、前記属性データを関連付ける論理的建物オブジェクトのIDを特定するための選択座標の入力を受付けると(S1905)、前記選択座標から所定の閾値内の距離に位置する内包点(抽出内包点)をすべて抽出する(S1906)。
その後、ステップS1906で抽出した抽出内包点の中から、1つの内包点を特定する(S1907)。前記特定は、例えば、選択座標から距離が近い順に特定してもよい。ステップS1907で1つの内包点を特定すると、その内包点を関連付けている論理的建物オブジェクトIDを識別する(S1908)。そして、その論理的建物オブジェクトIDと関連付けられている他の内包点(同一ID内包点)があるか確認し、ある場合にはその内包点を抽出する(S1909)。
その後、特定した内包点と同一ID内包点との総数を算出する。そして、総数が1だった場合には(S1910)、ステップS1916に進む。一方、総数が2以上であった場合には(S1910)、それらの内包点を利用して、所定のルールに従い、仮想ポリゴンを生成する(S1911)。そして、仮想ポリゴンと選択座標の位置関係を算出し(S1912)、選択座標が仮想ポリゴン内に含まれるか判断する(S1913)。
ステップS1913での判断の結果が、「選択座標が仮想ポリゴン内に含まれる」である場合には、その仮想ポリゴンを生成するための内包点を関連付けられている論理的建物オブジェクトIDを特定し(S1914)、特定した論理的建物オブジェクトIDに、ステップS1905で受付けた属性データを関連付けて登録する(S1915)。一方、ステップS1913での判断の結果が、「選択座標が仮想ポリゴン内に含まれない」である場合には、ステップS1916に進む。
ステップS1916では、ステップS1906で抽出された抽出内包点の中で、ステップS1907において特定されていない内包点が存在するか確認する。そして、特定されていない内包点が存在する場合には、ステップS1907に戻り、新たに1つの内包点を特定し、前記と同様の処理を繰り返す(S1907〜1916)。一方、ステップS1907において特定されていない内包点が存在しない場合には、ステップS1917に進む。
ステップS1917では、前記処理において生成したすべての仮想ポリゴンを構成するすべての辺と選択座標との距離を算出する。そして、ステップS1917において、選択座標との距離を算出できなかった辺が存在した場合には、その辺を構成する2点のうち、選択座標との距離が近い点との距離を算出する(S1918)。また、ステップS1910での算出結果が特定した内包点と同一ID内包点の総数が1であった場合、前記特定した内包点と選択座標との距離を算出する(S1919)。そして、ステップS1917〜1919において算出したすべての距離の中から、最も近い距離を特定する(S1920)。
そして、前記結果を基に、1つの論理的建物オブジェクトIDを特定し(S1921)、特定した論理的建物オブジェクトIDに、ステップS1905で受付けた属性データを関連付けて登録する(S1922)。
なお、前記処理の流れはあくまで一例であり、本発明の機能を実現できる範囲内で、自由に設計変更が可能である。例えば、ステップS1905では、属性データと選択座標の入力を同時に受付けているが、まず、選択座標のみの入力を受付け、1つの論理的建物オブジェクトIDを特定した後に属性データの入力を受付けてもよい。また、ステップS1917〜S1919の処理については、処理の順番を自由に変更可能である。
<実施形態2の発明の効果>
本発明の地図データ生成装置、および、地図データ生成方法により、デジタル地図上に表示される論理的建物オブジェクトの、地図座標上における占有領域の形状や位置を緯度・経度で表したデータ(例:「デジタル地図上において論理的建物オブジェクトをポリゴンで表示した際の、各ポリゴンの形状や配置する位置を緯度・経度で表したデータ」など)を保持していなくても、ユーザから任意の論理的建物オブジェクトに関する属性データと、その論理的建物オブジェクトを特定するための選択座標の入力を受付けた際、高精度にユーザの意図した論理的建物オブジェクトを特定し、属性データを関連付けて登録することが可能となる。
その結果、ユーザが意図する論理的建物オブジェクトと異なった論理的建物オブジェクトに属性データが関連付けて登録されるなどという不都合が生じにくくなり、利便性の高いサービスを提供することが可能となる。