JP2010039305A - カラーフィルター用顔料分散体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化膜形成後、ポストベーク前の初期コントラスト比が大きく、かつ耐熱性及び保存安定性に優れたカラーフィルター用顔料分散体の製造方法、及びカラーフィルター用着色組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、(1)顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)及び有機溶媒(C)を混合分散して混合物を得る工程I、及び得られた混合物をメディア式分散機を用いて分散処理する工程であって、分散体粘度を10〜120mPa・sに維持し、かつ分散処理時間のうち60%以上の間、分散体粘度を20〜100mPa・sに維持して分散処理する工程IIを有するカラーフィルター用顔料分散体の製造方法であって、〔工程I/工程II〕の処理時間比が20/80〜2/98であり、工程I開始時における〔(A)/(B)〕の重量比を100/30〜100/70とし、工程II終了時における該重量比を100/30〜100/150とするカラーフィルター用顔料分散体の製造方法、及び(2)得られた顔料分散体、バインダー、多官能モノマー及び光重合開始剤を含有するカラーフィルター用着色組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用顔料分散体の製造方法、及びカラーフィルター用着色組成物に関する。
液晶表示装置(LCD)は、小型・軽量化及び大画面化ができるという長所を有することから開発が盛んである。この液晶表示装置のカラー発色にはカラーフィルターが用いられ、カラーフィルターの製造法としては顔料分散法が汎用されている。
顔料分散法では、顔料分散体と感光組成物を混合したカラーレジスト溶液を透明基板上に塗布した後、露光・硬化、現像、熱硬化させることで透明基板上に着色パターンを形成させる。この顔料分散法においては顔料を微細に分散させる必要があるために、分散方法の検討がなされている。
特許文献1には、顔料を効率的に微細化分散させ、顔料の再凝集を防止し、ひいては透過率、コントラスト、表面平滑性の高いカラーフィルターを得ることを課題として、メディア攪拌型分散機を用いて顔料を溶媒中に分散させる複数の分散工程を有する顔料分散液の製造方法であって、第1の分散工程で用いるメディアの平均粒径をφ(1)(mm)、第2の分散工程で用いるメディアの平均粒径をφ(2)(mm)としたときに、φ(1)/φ(2)が4〜40であり、かつφ(2)が0.1mm以下である顔料分散液の製造方法が開示されている。
特許文献2には、輝度、色純度及びコントラストの改善を課題として、顔料、分散剤、樹脂ワニス及び溶剤からなる混合物を分散機にて直径0.02mm以上0.2mm未満のマイクロビーズを使用して分散処理するカラーフィルター用着色組成物の製造方法が開示されている。
特開2007−16206号公報 特開2005−242335号公報
顔料分散体を用いたカラーフィルターの製造において、(i)硬化膜のポストベーク(焼き締め)工程後に、コントラスト比が大きく低下するという問題や、(ii)カラーフィルター製造までの保存期間に顔料分散体の分散状態が不安定となり、顔料分散体の粘度が変化するという問題もあった。
本発明は、硬化膜形成後、ポストベーク前の初期コントラスト比が大きく、かつ耐熱性及び保存安定性に優れたカラーフィルター用顔料分散体の製造方法、及びカラーフィルター用着色組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、カラーフィルター用顔料分散体の製造において、顔料と顔料分散用ポリマーの重量比及び分散処理操作を制御することにより、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)下記工程I及びIIを有するカラーフィルター用顔料分散体の製造方法であって、工程Iと工程IIの処理時間比〔工程I/工程II〕が20/80〜2/98であり、工程I開始時における顔料(A)と顔料分散用ポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕を100/30〜100/70とし、工程II終了時における該重量比〔(A)/(B)〕を100/30〜100/150とするカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
工程I:顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)及び有機溶媒(C)を混合分散して混合物を得る工程
工程II:工程Iで得られた混合物をメディア式分散機を用いて分散処理する工程であって、分散体粘度を10〜120mPa・s(20℃)に維持し、かつ分散処理時間のうち60%以上の間、分散体粘度を20〜100mPa・s(20℃)に維持して分散処理する工程
(ただし、工程Iでメディア式分散機を用いる場合には、工程Iで使用したメディアより粒径の小さいメディアを用いる。)
(2)(1)の製造方法によって得られたカラーフィルター用顔料分散体、バインダー、多官能モノマー及び光重合開始剤を含有するカラーフィルター用着色組成物。
本発明によれば、硬化膜形成後、ポストベーク前の初期コントラスト比が大きく、かつ耐熱性及び保存安定性に優れたカラーフィルター用顔料分散体の製造方法、及びその製造方法により得られた分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することができる。
本発明のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法においては、原料成分として、顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)及び有機溶媒(C)が用いられる。
まず、これらの各成分について説明する。
〔顔料(A)〕
本発明に用いられる顔料(A)は、無機顔料及び有機顔料いずれであってもよい。また必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料、レーキ顔料が挙げられる。アゾ顔料としてはC.I.ピグメントレッド3等の不溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド48:1等の溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6等の銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
縮合多環顔料としては、C.I.ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド123等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントイエロー109等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ66等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のインジゴ系顔料、C.I.ピグメントグリーン8等の金属錯体顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントオレンジ71等のジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料が好ましい。
Figure 2010039305
式(1)中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。なお、ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
顔料(A)は、明度Y値の向上の観点から、その平均一次粒子径を、好ましくは100nm以下、更に好ましくは20〜60nmにした微粒化処理品を用いることが望ましい。顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測してその平均をその粒子の粒子径とし、次に100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒子径の直方体と近似して求め、体積平均粒子径を求めそれを平均一次粒子径とする。
ジケトピロロピロール系顔料の市販品の好適例としては、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「Irgaphor Red B-CF」、「Igaphor Red BK-CF」、「Irgaphor Red BT-CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
上記の顔料(A)、特にジケトピロロピロール系顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔顔料分散用ポリマー(B)〕
本発明で用いられる顔料分散用ポリマー(B)は、顔料(A)、特にジケトピロロピロール系顔料を有機溶媒(B)中で安定に微細化した状態で分散させうるものであればよく、公知の顔料分散用ポリマーを使用することができる。この顔料分散用ポリマー(B)は、カラーフィルターを形成する場合にバインダーとしても働くものと考えられる。
顔料分散用ポリマー(B)としては、例えば、特開平3−277673号公報、特開平10−339949号公報、特表2003−517063号公報等に記載の主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマー;特公平7−96654号公報、特開平7−207178号公報等に記載の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を有するポリエステル系オリゴマー;オルガノシロキサンポリマー(信越化学工業株式会社製、商品名:KP341等);(メタ)アクリル酸系(共)重合体(共栄油脂化学工業株式会社製、商品名:ポリフローNo.75、90、95等);ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;裕商株式会社製、商品名:W001等のカチオン系界面活性剤;裕商株式会社製、商品名:W004、W005、W017等のアニオン系界面活性剤;アストラゼネカ株式会社製の商品名:ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、28000等の各種ソルスパース分散剤、味の素ファインテクノ株式会社製の商品名:アジスパーPB−821、PB−822、三洋化成株式会社製の商品名:イソーネットS−20等が挙げられる。
これらの中では、微細安定化の観点から、下記(b1)成分と(b2)成分とをカップリング反応させることにより得られるグラフトポリマーが好ましい。
(b1)成分:反応性官能基を含有するビニルモノマー(b1a)由来の構成単位、及び窒素原子を含有するビニルモノマー(b1b)由来の構成単位を含む共重合体
(b2)成分:片末端に、(b1)成分の反応性官能基と反応しうる官能基を有するポリ(メタ)アクリル酸アルキル及び/又はポリスチレン
(b1)成分である特定の共重合体は、顔料分散用ポリマー(B)の主鎖を構成し、(b2)成分である特定のポリ(メタ)アクリル酸アルキル及び/又はポリスチレンは、主鎖にグラフトする側鎖を構成する。
[(b1)成分]
(b1)成分は、反応性官能基を含有するビニルモノマー(b1a)由来の構成単位、及び窒素原子を含有するビニルモノマー(b1b)由来の構成単位を含む共重合体であり、該ビニルモノマー(b1a)と(b1b)を含むモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
(b1)成分が上記構成を有することにより、顔料分散用ポリマー(B)の顔料吸着性を維持しながら、残存する反応性官能基を利用して、ポリマー修飾等が可能となる。
[反応性官能基を含有するビニルモノマー(b1a)]
反応性官能基を含有するビニルモノマーとしては、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基を含むビニルモノマー等が挙げられる。
エポキシ基を含有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、N−グリシジル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル類、1,2−エポキシ−5−ヘキセン等が挙げられる。
イソシアネート基を含有するビニルモノマーとしては、昭和電工株式会社製のイソシアネートモノマーである、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(製品名:カレンズMOI)、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(製品名:カレンズMOI−BP)、メタクリル酸 2−([1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(製品名:カレンズMOI−BM)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(製品名:カレンズAOI)等が挙げられる。
カルボキシ基を含有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等が挙げられる。
リン酸基を含有するビニルモノマーとしては、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
スルホン酸基を含有するビニルモノマーとしては、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
アミノ基を含有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
これらの中では、反応性、重合速度の面から、エポキシ基を含有するビニルモノマーが好ましく、グリシジル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルがより好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの両方を意味する。
[窒素原子を含有するビニルモノマー(b1b)]
窒素原子を含有するビニルモノマーとしては、アミド結合を有するビニルモノマーが好ましく、より具体的には、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類、ビニルピリジン類、含窒素スチレン系モノマー、含窒素(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド2−メチルプロピルスルホン酸、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルフェニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルピロリドン類としては、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
ビニルピリジン類としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられ、含窒素スチレン系モノマーとしては、p−スチレンスルホンアミド、p−アミノスチレン、アミノメチルスチレン等が挙げられる。
含窒素(メタ)アクリル酸エステルとしては、N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6)(メタ)アクリレート、1−(N,N−ジアルキルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ピペリジノエチル(メタ)アクリレート、1−ピロリジノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル−2−ピロリジルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルフェニルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中では、顔料への吸着性の観点から、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類が好ましく、N−ビニルピロリドンがより好ましい。
[その他のモノマー(b1c)]
(b1)成分は、ビニルモノマー(b1a)由来の構成単位、及びビニルモノマー(b1b)由来の構成単位を含む共重合体であるが、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前記モノマーと共重合可能なその他のモノマー(b1c)を共重合させることができる。
その他のモノマー(b1c)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等のスチレン類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアルコール性水酸基を有するモノマーが好ましい。
モノマー(b1a)、(b1b)及び(b1c)の各々は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(b1)成分中のモノマー(b1a)、(b1b)、及び(b1c)由来の構成単位の含有量は、特に制限はないが、(b1a)由来の構成単位が5〜95重量%、(b1b)由来の構成単位が5〜95重量%、(b1c)由来の構成単位が0〜80重量%であることが好ましい。
[(b1)成分の製造]
(b1)成分の製造方法に特に制限はなく、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等を採用しうるが、溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いる溶剤に特に制限はなく、エタノール等のアルコール類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、エーテル類、芳香族化合物、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、過硫酸系開始剤等が挙げられる。また必要に応じて、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のメルカプタン類等の連鎖移動剤等を用いることもできる。
反応温度は、用いる重合開始剤、溶媒の種類等により適宜選択できるが、通常50〜100℃の範囲が好ましい。
(b1)成分の数平均分子量は、本発明の製造方法で得られる分散体の保存安定性及び顔料の分散速度の低下を抑制する観点から、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1000〜30,000、更に好ましくは2000〜20,000である。また、(b1)成分の重量平均分子量は、同じ観点から、好ましくは1500〜150,000、より好ましくは3000〜90,000、更に好ましくは6000〜60,000である。
(b1)成分のエポキシ価は、(b2)成分との反応性等の観点から、19〜375mgKOH/gが好ましく、30〜350mgKOH/gがより好ましく、40〜300mgKOH/gが特に好ましい。(b1)成分の数平均分子量やエポキシ価は、モノマー(b1a)、(b1b)等の共重合条件を調節することにより所望のものを得ることができる。なお、数平均分子量、エポキシ価の測定は実施例記載の方法により行うことができる。
[(b2)成分]
(b2)成分は、その片末端に(b1)成分の反応性官能基と反応しうる官能基を有するポリ(メタ)アクリル酸アルキル及び/又はポリスチレンである。
(b1)成分の反応性官能基と反応しうる官能基としては、カルボキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられ、(b1)成分の反応性官能基の種類を考慮して、適宜選択することができる。
(b1)成分の反応性官能基がエポキシ基であるとき、(b2)成分は、片末端にカルボキシ基を有する重合体(片末端カルボン酸型の重合体)又は片末端にアミノ基を有する重合体(片末端アミノ基型の重合体)であることが好ましい。
(b1)成分の反応性官能基がイソシアネート基であるとき、(b2)成分は、片末端にヒドロキシル基を有する重合体(片末端ヒドロキシル基型の重合体)又は片末端にアミノ基を有する重合体(片末端アミノ基型の重合体)であることが好ましい。
片末端カルボン酸型のポリマーとしては、片末端にカルボキシ基を有する、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、又はポリ(メタ)アクリル酸ステアリル等の片末端カルボン酸型のポリ(メタ)アクリル酸アルキル類、又は片末端カルボン酸型ポリスチレン等が挙げられる。
片末端アミノ基型のポリマーとしては、片末端にアミノ基を有する、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、又はポリ(メタ)アクリル酸ステアリル等の片末端アミノ基型のポリ(メタ)アクリル酸アルキル類、又は片末端アミノ基型ポリスチレン等が挙げられる。
片末端ヒドロキシル基型のポリマーとしては、片末端にヒドロキシル基を有する、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、又はポリ(メタ)アクリル酸ステアリル等の片末端ヒドロキシル基型のポリ(メタ)アクリル酸アルキル類、又は片末端ヒドロキシル基型ポリスチレン等が挙げられる。
これらの中から、使用する溶媒との溶解性が高いポリマーを選択して使用することができる。例えば、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを使用する際には、片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル、片末端カルボン酸型ポリスチレン等を使用することが好ましい。
(b2)成分には、必要に応じて、官能基を有する他のモノマーを少量共重合することもできる。これらのモノマーとしては、(b1)成分を構成するモノマーである、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアルコール性水酸基を有するモノマー(b1c)、メタクリル酸等のカルボキシ基を有するモノマー(b1a)、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有するモノマー(b1a)等が挙げられる。それらの共重合量は(b1)成分と(b2)成分とのカップリング反応の妨げにならない程度であれば特に制限はないが、10重量%未満が好ましい。
[(b2)成分の製造]
(b2)成分の製造方法に特に制限はなく、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等を採用しうるが、特に溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いる溶剤、重合開始剤、連鎖移動剤、反応温度は、(b1)成分の製造で記載したもの及び条件と同じである。片末端にカルボン酸を導入するために、4,4’−アゾビス(4−シアノ酪酸)等のカルボン酸を含む重合開始剤や、メルカプトプロピオン酸等のカルボン酸を含む連鎖移動剤を使用することが好ましく、片末端にアミノ基を導入するために、アミノエタンチオール等の連鎖移動剤、片末端にヒドロキシル基を導入するために、メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を使用することが好ましい。
(b2)成分の数平均分子量は、本発明の組成物の分散体としての保存安定性及び増粘抑制の観点から、好ましくは500〜20,000、より好ましくは700〜10,000、特に好ましくは700〜6000である。
また、(b1)成分の反応性官能基に対する(b2)成分の官能基のモル比〔(b2)成分の官能基/(b1)成分の反応性官能基)〕は、未反応(c2)を抑制する観点から、0.05〜1.0が好ましく、0.1〜0.9がより好ましく、0.2〜0.8が特に好ましい。
[顔料分散用ポリマー(B)の製造]
顔料分散用ポリマー(B)は、(b1)成分の反応性官能基と、該反応性官能基と反応しうる(b2)成分の官能基とのカップリング反応により製造される。
カップリング反応の際には、触媒を用いてもよい。特にエポキシ基とカルボン酸の反応の場合やイソシアネート基とヒドロキシル基の反応の場合には、触媒を添加することが好ましい。エポキシ基とカルボン酸の反応の触媒としては、第四級アンモニウム塩、第三級アミン、アルカリ金属の水酸化物、無機酸、スルホン酸、カルボン酸、固体酸、固体塩基等が挙げられる。
第四級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等のハロゲン化物が挙げられ、第三級アミンとしては、トリエチルアミン、ジメチルブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
上記触媒の中では、第四級アンモニウム塩、第三級アミンが好ましく、第四級アンモニウムハライドがより好ましく、テトラブチルアンモニウムブロマイド等が特に好ましい。触媒の添加量については特に制限はないが、カルボン酸に対して、0.5〜200mol%が好ましい。
イソシアネート基とヒドロキシル基の反応の場合の触媒としては、ピリジン等のアミン類やジブチルスズジラウレート等の有機金属類が上げられる。触媒の添加量については特に制限はないが、イソシアネート基に対して、0.05〜200mol%が好ましい。
溶媒としては、(b1)成分、及び(b2)成分を溶解するものであれば、特に制限はない。溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系の濃度に特に制限はないが、全量中の(b1)成分と(b2)成分の合計量は、粘度上昇を抑制して良好なハンドリング性を確保する観点及び反応時間を短縮する観点から、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%である。反応温度も特に制限はないが、反応速度の観点から、60℃以上であることが好ましい。
カップリング反応の進行は、各反応性官能基を定量することにより確認することができる。例えばエポキシ基を有する(b1)成分とカルボキシ基を有する(b2)成分を用いる場合は、反応系中の酸価、エポキシ基を測定することにより、また、アミノ基を有する(b2)成分を用いる場合は、アミン価を測定することにより、カップリング反応の進行状況を確認できる。
上記の方法で得られた顔料分散用ポリマー(B)における、全構成単位中の(b1a)成分由来の構成成分の含有量は、顔料への吸着性の観点及び粘度上昇の抑制や分散粒径の適正化の観点から、好ましくは1〜65重量%、より好ましくは3〜50重量%、更に好ましくは5〜45重量%である。
顔料分散用ポリマー(B)の全構成単位中の(b1b)成分由来の構成成分の含有量は、顔料への吸着性の観点及び粘度上昇の抑制や分散粒径の適正化の観点から、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。
顔料分散用ポリマー(B)の全構成単位中の(b2)成分由来の構成単位の含有量は、顔料への吸着性の観点及び粘度上昇の抑制の観点から、好ましくは30〜95重量%、より好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%である。
顔料分散用ポリマー(B)の重量平均分子量は、同じ観点から、好ましくは1000〜1000,000、より好ましくは2000〜800,000、更に好ましくは5000〜700,000である。
〔有機溶媒(C)〕
本発明に用いられる有機溶媒(C)は特に限定されないが、沸点が70℃以上、さらに100℃以上の高沸点の有機溶媒が好ましい。また、顔料(A)の分散性の観点、及び顔料分散体を油性とする観点から、有機溶媒(C)のSP値(溶解度パラメータ)は、好ましくは8〜9(cal/cm31/2、より好ましくは8.4〜8.9(cal/cm31/2である。なお、有機溶媒(C)のSP値は、Fedorsの方法〔Robert F.Fedors, Polymer Engineering and Science, 14, 147-154 (1974)〕により計算することができる。
このような有機溶媒(C)の具体例としては、セロソルブ類、カルビトール類、アルコール類等、及び下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010039305
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R3は水素原子又はメチル基を示す。)
セロソルブ類としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。カルビトール類としては、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。アルコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
上記の中では、前記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
一般式(2)において、R1及びR2の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。これらの中では、メチル基及びエチル基が好ましい。
一般式(2)で表される化合物としては、例えば、(i)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート、(ii)プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のアルカンジイルグリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
これらの中では、顔料分散用ポリマー(B)の溶解性又は分散性と、顔料(A)、特にジケトピロロピロール系顔料の分散性の観点から、アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、SP値8.73、沸点145℃)がより好ましい。
有機溶媒(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[カラーフィルター用顔料分散体の製造]
本発明のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法は、下記工程I及びIIを有する方法であって、工程Iと工程IIの処理時間比〔工程I/工程II〕が20/80〜2/98であり、工程I開始時における顔料(A)と顔料分散用ポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕を100/30〜100/70とし、工程II終了時における該重量比〔(A)/(B)〕を100/30〜100/150とすることを特徴とする。
工程I:顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)及び有機溶媒(C)を混合分散して混合物を得る工程
工程II:工程Iで得られた混合物をメディア式分散機を用いて分散処理する工程であって、分散体粘度を10〜120mPa・s(20℃)に維持し、かつ分散処理時間のうち60%以上の間、分散体粘度を20〜100mPa・s(20℃)に維持して分散処理する工程
(ただし、工程Iでメディア式分散機を用いる場合には、工程Iで使用したメディアより粒径の小さいメディアを用いる。)
[工程I]
工程Iの混合分散は、粒径の大きい粉末である顔料(A)と、顔料分散用ポリマー(B)と有機溶媒(C)とを馴染ませ、工程IIの分散処理を効率的に行うことができる程度まで、予め混合分散しておくために行われる。
顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)及び有機溶媒(C)の混合分散は、一度に全成分を混合し、分散してもよいが、顔料分散用ポリマー(B)と有機溶媒(C)とを予め混合して予備混合物を調製し、得られた予備混合物に顔料(A)を混合し、分散して最終的な混合物を得ることが好ましい。
工程I開始時における顔料(A)と顔料分散用ポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕は、工程IIにおける分散処理時に、顔料(A)に必要量の顔料分散用ポリマー(B)を付着させる観点から、該重量比〔(A)/(B)〕を100/30〜100/70、好ましくは100/40〜100/60とする。
工程Iの混合分散時間は特に制限はないが、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜4時間がより好ましく、1〜3時間が更に好ましい。この混合分散時間は、工程I及びIIを通した全分散時間のうち2〜20%の間、好ましくは4〜15%の間、より好ましくは6〜12%の間である。
工程Iで用いる混合分散機に特に制限はなく、公知の種々の分散機を用いることができる。例えば、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)、ウルトラタラックス、DISPAX-REACTOR、コロイドミル、CMS、MHD(IKAジャパン株式会社、商品名)、クリアミックス(エム・テクニック株式会社、商品名)、ケイディーミル(キネティック・ディスパージョン社、商品名)等の高速撹拌混合装置、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機等が挙げられる。工程Iで用いられるメディア式分散機の具体例としては、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、顔料(A)の微細化の観点から、ペイントシェーカーやビーズミル及び高圧ホモジナイザーが好ましい。
[工程II]
工程IIは、工程Iで得られた混合物をメディア式分散機を用いて分散処理する工程であって、分散体粘度を10〜120mPa・s(20℃)に維持し、かつ分散処理時間のうち60%以上の間、分散体粘度を20〜100mPa・s(20℃)に維持して分散処理する。
メディア式分散機に用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。
工程IIの分散処理は、顔料(A)を微細化するために、粒径の小さいメディアを用いて行うことが好ましい。メディアの粒径は、顔料を微細化する観点から、0.1mm以下が好ましく、0.08mm以下がより好ましく、0.07mm以下が更に好ましい。一方、顔料からメディアを分離する観点から0.003mm以上が好ましく、0.005mm以上がより好ましく、0.01mm以上が更に好ましい。前記観点から、メディアの粒径は、0.003〜0.1mmが好ましく、0.005〜0.08mmがより好ましく、0.01〜0.07mmが更に好ましい。
工程Iでメディア式分散機を用いた場合には、工程IIでは工程Iで用いたメディアより小さい粒径のメディアを用いる。このように実施することにより、得られた顔料分散体から硬化膜を形成した際のポストベーク前の初期コントラスト比を高く維持することができる。
工程IIに用いるメディア式分散機としては、ペイントシェーカー、ビーズミル等が好ましく、市販のメディア式分散機としては、スターミル(アシザワ・ファインテック社製、商品名)、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)、DCPスーパーフロー(日本アイリッヒ社製、商品名)、コスモ(日本アイリッヒ社製、商品名)、MSCミル(三井鉱山株式会社製、商品名)等が挙げられる。
また、分散体の粘度は、分散機の動力や顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)及び有機溶媒(C)の混合比率を調整することによって、10〜120mPa・s(20℃)に調整することができる。
工程IIの分散時間は、顔料(A)を十分に微細化する観点から、3〜200時間が好ましく5〜50時間がより好ましい。この分散時間は、工程I及びIIを通した全分散時間のうち80〜98%の間、好ましくは85〜95%の間、より好ましくは88〜94%の間である。
すなわち、工程Iと工程IIの処理時間比〔工程I/工程II〕は20/80〜2/98であり、15/85〜4/96が好ましく、12/88〜6/94がより好ましい。
前記(A)〜(C)の3成分が分散に適した比率で混合されていると、通常、分散が進行するにつれて粘度が上昇し、そのまま分散を継続すると分散体粘度が10〜120mPa・s(20℃)の範囲を外れるおそれがある。これに対しては、工程IIの途中で有機溶媒(C)を添加して希釈する方法等で分散体粘度を10〜120mPa・s(20℃)に維持することができるが、顔料分散用ポリマー(B)を添加する方法が好ましい。顔料分散用ポリマー(B)を添加すれば、顔料(A)の分散性が向上するため粘度が低下し、分散体の安定性も向上する。
工程IIの分散処理中に、顔料分散用ポリマー(B)を添加する時期としては、顔料(A)の過剰な分散を抑制しつつ、十分な微粒子化を行う観点から、工程IIにおける分散処理時間のうち40〜90%の時間が経過した時点が好ましく、50〜90%の時間が経過した時点がより好ましく、60〜85%の時間が経過した時点がより好ましい。添加回数は1回でもよいが、分散体粘度を20〜100mPa・s(20℃)に維持するために、2回以上に分けて添加してもよい。
工程IIで添加される顔料分散用ポリマー(B)の添加量は、分散体粘度を20〜100mPa・s(20℃)に維持できる範囲であれば特に制限はないが、分散処理の初期に適切な分散性を与え、分散処理の後期には顔料(A)に必要量の顔料分散用ポリマー(B)を付着させる観点から、顔料(A)100重量部に対して、好ましくは8〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部、更に好ましくは12〜30重量部添加することが望ましい。また、分散体中の顔料分散用ポリマー(B)全量のうち好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは18〜30重量%を添加することが好ましい。
工程II終了時における顔料(A)と顔料分散用ポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕は、耐熱性及び保存安定性の観点から、100/30〜100/150とし、好ましくは100/60〜100/120、より好ましくは100/60〜100/80とする。
工程IIにおいては、分散処理時間のうち60%以上の間、分散体粘度を20〜100mPa・s(20℃)に維持して分散処理する。
工程IIの分散体粘度が20〜100mPa・s(20℃)を維持している時間(以下、「所定粘度維持時間」(T)という)は、下記の式(3)〜(10)で求められる。
下記式において、T0は前回のサンプリング時の分散時間(hr)、T1は今回のサンプリング時の分散時間(hr)、V0は前回のサンプリング時の分散体粘度(mPa・s(20℃))、V1は今回のサンプリング時の分散体粘度(mPa・s(20℃))を表す。
(i)V0及びV1が20〜100mPa・s(20℃)を維持している場合
T=T1−T0 (3)
(ii)V0及びV1が20〜100mPa・s(20℃)を維持していない場合
T=0 (4)
(iii)V0が20Pa・s(20℃)未満であり、V1が20〜100mPa・s(20℃)の範囲内である場合
T=〔(V1−20)/(V1−V0)〕×(T1−T0) (5)
(iv)V0が20〜100Pa・s(20℃)の範囲内であり、V1が20mPa・s(20℃)未満である場合
T=〔(V0−20)/(V0−V1)〕×(T1−T0) (6)
(v)V0が100Pa・s(20℃)を上回っており、V1が20〜100mPa・s(20℃)の範囲内である場合
T=〔(100−V1)/(V0−V1)〕×(T1−T0) (7)
(vi)V0が20〜100Pa・s(20℃)の範囲内であり、V1が100mPa・s(20℃)を超えた場合
T=〔(100−V0)/(V1−V0)〕×(T1−T0) (8)
(vii)V0が20Pa・s(20℃)未満であり、V1が100mPa・s(20℃)を超えた場合
T=〔80/(V1−V0)〕×(T1−T0) (9)
(viii)V0が20Pa・s(20℃)未満であり、V1が100mPa・s(20℃)を超えた場合
T=〔80/(V0−V1)〕×(T1−T0) (10)
工程IIにおいて、分散体粘度を20〜100mPa・s(20℃)に維持できた分散処理時間の割合〔所定粘度維持時間率(%)〕は以下の式(11)で求められる。
所定粘度維持時間率(%)=〔(所定粘度維持時間Tの合計)/(工程IIにおける全分散処理時間)〕×100 (11)
工程IIにおいては、耐熱性に優れた分散体を得る観点から、上記式(11)で表される所定粘度維持時間率が60%以上であり、好ましくは65%以上であり、より好ましくは68%以上である。
分散体粘度は、分散体を一部サンプリングして粘度計で測定することによって得られるが、具体的には実施例記載の方法により測定する。
サンプリングは工程I及びIIを通して5回以上行うことが好ましく、そのうち工程I終了時と工程II終了時には必ず行う。サンプリングは、工程I終了時のサンプリングを含め、少なくとも工程I及びIIを通した全分散時間の30%を経過した時点で合計2回以上、55%経過した時点で合計3回以上、80%経過した時点で合計4回以上行うことが好ましい。
得られる分散体の保存安定性の観点から、工程IIにおける分散処理時間のうち70%以上の間、分散体温度を好ましくは10〜35℃、より好ましくは15〜30℃、更に好ましくは18〜27℃に維持して分散処理することが好ましい。分散体温度の測定は実施例記載の方法により行う。
分散時には発熱があるため、温度を10〜33℃に維持するため分散機を適宜冷却することが好ましい。分散機がペイントシェイカーの場合は、分散体の入った容器に冷風を吹き付けるスポットクーラーを用いて冷却することが好ましく、ビーズミル、ニーダー、高圧ホモジナイザーの場合は、ジャケットに冷媒を流して冷却することが好ましい。
工程IIにおいて、分散体温度を10〜35℃に維持できた分散処理時間の割合〔所定温度維持時間率(%)〕は以下の式(12)で求められる。
所定温度維持時間率(%)=〔(10〜35℃に維持できた分散処理時間の合計)/(工程IIにおける全分散処理時間)〕×100 (12)
工程IIにおいては、耐熱性に優れた分散体を得る観点から、上記式(12)で表される所定時間維持時間率が好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%、特に好ましくは95%以上である。
[その他の工程]
本発明方法においては、工程I及び工程IIのみを行うことで、カラーフィルター用顔料分散体を得ることができるが、工程IIの後に、未吸着ポリマーの除去工程、有機溶剤による再分散工程等の工程を行うことができる。
未吸着ポリマーの除去工程としては、例えば、工程IIで得られた顔料分散体を膜分離処理又は遠心分離処理することにより、顔料分散体から、顔料(A)に未吸着のポリマーを除去することができる。未吸着のポリマーを除去することによって、耐熱性が向上するため、好ましい。未吸着のポリマーが少ないことで、ポストベーク時の熱による顔料の凝集が抑制されると考えられる。
再分散の方法に特に制限はなく、前記のペイントシェーカーや高圧ホモジナイザー等の分散機等を用いて混合、分散させることができる。また、超音波ホモジナイザー等を用いて再分散することもできる。再分散工程で用いる有機溶剤としては、前記の有機溶媒(C)が挙げられる。
高出力超音波ホモジナイザーの市販例としては、シャープ株式会社製のSILENTSONIC UT−204、株式会社日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−300T、同US−1200T、同RUS−1200T、同MUS−1200T、ヒールッシャー社製の超音波プロセッサーUIPシリーズ等が挙げられる。これらの超音波照射装置を用いて、好ましくは25kHz以下の周波数で微細分散することができる。
超音波照射方式としては、アジテーター、マグネチックスターラー、ディスパー等の攪拌手段を併用するバッチ式、超音波照射部を備えたチャンバー中に分散体を一定流量で送るフロー式が挙げられる。超音波ホモジナイザーと前記のペイントシェーカーや高圧ホモジナイザー等とを併用することもできる。
再分散を行うことによって、初期コントラスト比が向上するため、好ましい。再分散により、コントラスト比の低下に影響を与える粗大粒子が微粒化されると考えられる。
[カラーフィルター用顔料分散体]
本発明の製造方法によって得られるカラーフィルター用顔料分散体は、顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)、及び有機溶媒(C)を含有する顔料分散体であって、顔料(A)と顔料分散用ポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕が100/30〜100/150であり、工程IIにおいて、分散体粘度を10〜120mPa・s(20℃)に維持し、かつ分散処理時間のうち60%以上の間、分散体粘度を20〜100mPa・s(20℃)に維持して分散処理されたものであるため、耐熱性、保存安定性に優れている。
顔料分散体中の顔料(A)の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
有機溶媒(C)の含有量は、良好な着色性及び粘度を得る観点から、顔料分散体中の全固形分に対して、100〜3000重量%が好ましく、200〜1000重量%がより好ましい。
顔料分散体中の顔料(A)、特にジケトピロロピロール系顔料の体積中位粒径(D50)は、カラーフィルター用色材として良好なコントラストを得るために、90nm以下が好ましく、30〜90nmがより好ましく、40〜90nmが更に好ましい。
なお、本発明において体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して50%になる粒径を意味する。本発明における体積中位粒径(D50)の値は、製造直後の顔料分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で300倍に希釈し、粒度分析計(シスメックス株式会社製、ZETASIZER Nano−ZS)を用いて測定条件として、例えばジケトピロロピロール系顔料粒子屈折率:1.51、ジケトピロロピロール系顔料密度:1.45g/cm3、PGMEA屈折率:1.40、PGMEA粘度:1.081cPを入力して、測定(20℃)することができる。
本発明の非水系顔料分散体の固形分20重量%における粘度(25℃)は、カラーフィルター用色材として良好な粘度とするために、1〜200mPa・sが好ましく、1〜100mPa・sがより好ましい。また、インクジェット法によりカラーフィルターを製造する際の良好な吐出性を維持するために、1〜50mPa・sが好ましく、1〜30mPa・sがより好ましい。
[カラーフィルター用着色組成物]
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、前記製造方法によって得られたカラーフィルター用顔料分散体を含有するが、顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)、有機溶媒(C)以外にバインダー、多官能モノマー、及び光重合開始剤を含有する。
バインダーとしては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(例えば、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体等)、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体とアルコール類との反応物等を挙げることができる。その重量平均分子量は、5,000〜200,000が好ましい。本発明の非水系顔料分散体中のバインダーの含有量は、全固形分に対して20〜80重量%が好ましい。
多官能モノマーは硬化成分であり、具体的には、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等)、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等を挙げることができる。本発明の顔料分散体中の多官能モノマーの含有量は、全固形分に対して10〜60重量%が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。例えば4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノンが好ましい。本発明の非水系顔料分散体中の光重合開始剤の含有量は、全固形分に対し、0.2〜10重量%が好ましい。
さらに、粘度を調節して、均一な塗布膜形成を可能とし、保存安定性を高める観点から、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、酢酸エチル等の溶剤を添加することもできる。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り、「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリマーの分子量、固形分、エポキシ価、分散体粘度、分散体温度、保存安定性及び耐熱性の測定、評価は以下の方法により行った。
(1)ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定
カラムとして昭和電工株式会社製、K−804Lカラムを2本直列で用い、溶媒として、1mmol/LのファーミンDMを含有するクロロホルムを用いたGPC法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)固形分の測定
シャーレにガラス棒と乾燥無水硫酸ナトリウム10gを量り採り、そこにポリマー溶液2g(サンプル量)を加えてガラス棒で混合し、105℃の減圧乾燥機(圧力8kPa)で2時間乾燥した。乾燥後の重さを計り、次式より固形分を算出した。
固形分=[〔サンプル量−(乾燥後の重さ−(シャーレ+ガラス棒+無水硫酸ナトリウムの重さ))〕/サンプル量]×100
(3)エポキシ価の測定
ポリマー溶液に塩酸を加え、クロルヒドリン化により消費された量を水酸化カリウムのmg数で表した。
(4)分散体粘度の測定
スポイトにより分散体2mLをサンプリングし、5分間25℃に置いた後、分散体の粘度を、E型粘度計(ローターNo.2、20rpm、20℃)を用いて測定した。
(5)分散体温度の測定
分散工程中の分散体粘度の測定を行った際に、温度計をポリビンに挿入し、1分後の温度を測定した。
(6)保存安定性の評価
顔料分散体の調製直後(保存前)の粘度を、E型粘度計(ローターNo.2、20rpm、20℃)を用いて測定した。同様にして、顔料分散体を40℃で7日間保存した後の粘度を測定し、保存前後の粘度変化を対比して、下記式により求めた粘度変化率から保存安定性を評価した。粘度変化率が小さいほど、保存安定性が良好である。
粘度変化率=〔(7日間保存後の粘度(mPa・s)−調製直後(保存前)の粘度(mPa・s))/調製直後(保存前)の粘度(mPa・s)〕×100(%)
(7)初期コントラスト比、及び耐熱性(コントラスト比保持率)の測定
顔料濃度を10%に調整した顔料分散体1.00部、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(バインダー、モル比:30/70、重量平均分子量:14000、固形分40重量%のPGMEA溶液)0.15部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(多官能モノマー:日本化薬株式会社製、DPHA)0.046部、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン(光重合開始剤:和光純薬工業株式会社製)0.035部、PGMEA0.474部を均一になるまで混合し、顔料分散組成物を得た。ガラス基板上に顔料分散組成物をスピンコーターで塗布した後、水平台にて6分間静置し、80℃で3分間ホットプレートにより乾燥した。次いで、得られた塗膜に紫外線ファイバースポット照射装置(モリテックス社製、MUV−202U)を用いて60mJ/cm2まで紫外線を照射した(ポストベーク前硬化膜)。ポストベーク前硬化膜の膜厚が3〜5μmの範囲内であることを確認し、次いで、260℃のクリーンオーブン内で30分間加熱してポストベーク(焼き締め)を行い硬化膜を作製した(ポストベーク後硬化膜)。
ポストベーク前後の硬化膜のコントラスト比をコントラスト測定器(壺坂電機株式会社製、CT−1)を用いて測定した。
本試験方法において、ポストベーク前硬化膜のコントラスト比(初期コントラスト比)は2000以上を使用可能とした。
耐熱性は、次式で示すコントラスト比保持率で評価した。
コントラスト比保持率(%)=(ポストベーク後硬化膜のコントラスト比/ポストベーク前硬化膜のコントラスト比)×100
コントラスト比保持率が高いほど、耐熱性が良好である。
製造例1〔ポリ(メタクリル酸グリシジル・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル・N−ビニルピロリドン)の合成〕
還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにN−ビニル−2−ピロリドン(以下、「VP」という)38.9g、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」という)9.6g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEMA」という)5.7g、メルカプトエタノール(連鎖移動剤)0.4g、エタノール75.7gを仕込み、窒素置換を行った。77℃で攪拌しながら、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、アゾ系重合開始剤、商品名:V−65)1.5gをエタノール9.8gに溶解した液を添加した(初期仕込モノマー溶液)。
77℃で攪拌しながら、VP 58.4g、GMA 57.7g、HEMA 28.3g、メルカプトエタノール2.0g、前記重合開始剤2.5g、エタノール173gを混合した溶液(滴下モノマー溶液1)を、90分かけて滴下した。
滴下終了後に更に、GMA 28.8g、HEMA 22.7g、メルカプトエタノール0.45g、前記重合開始剤1.0g、エタノール65gを混合した溶液(滴下モノマー溶液2)を3時間かけて滴下した。更に1時間、77℃で攪拌後、前記重合開始剤0.3gとエタノール7.5g(滴下モノマー溶液3)を加えた。更に77℃で1時間攪拌した後、前記重合開始剤0.3gとエタノール7.5g(滴下モノマー溶液4)を加えた。更に1時間攪拌した後、冷却し、ポリマーb1(GMA−HEMA−VP)のエタノール溶液を得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)により求められた数平均分子量は7500(ポリスチレン換算)、重量平均分子量は22100であり、固形分は36%、エポキシ価は49mgKOH/gであった。結果を表1に示す。
Figure 2010039305
製造例2〔片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチルの合成〕
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル200g、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)25.6g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)25gを仕込み、窒素置換した後、80℃で攪拌しながら、メタクリル酸メチル800g、3−メルカプトプロピオン酸102.2g、PGMEA 400g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)8gを3時間かけて滴下した。更に1時間、80℃で攪拌後、前記重合開始剤8g、3−メルカプトプロピオン酸3.6g、PGMEA 400gを加えた。更に、80℃で2時間攪拌し、末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル溶液(ポリマーb2)を得た。溶液の酸価は34mgKOH/gであり、ゲル浸透クロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)により求めた数平均分子量は1100、重量平均分子量は1700、固形分は56%であった。
製造例3〔エポキシ基とカルボン酸のカップリング反応による顔料分散用ポリマー(B)の製造〕
還流冷却器、温度計、及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに製造例1で得られたポリマー溶液83g、製造例2で得られたポリマー溶液88g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)44g、エタノール44g、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)(触媒)3.5gを仕込み、90℃で15時間攪拌した。冷却後、エバポレーターにて(バス温63℃、圧力92kPa)、エタノールを留去し、ポリマー(B)(HEMA−VP−MMA)溶液を得た。エタノール留去前の溶液の酸価は0.1mgKOH/gであった(反応率99%)。このポリマー(B)溶液のゲル浸透クロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)により求めた数平均分子量は7600、重量平均分子量は60300であり、固形分は40%であった。結果を表2に示す。
Figure 2010039305
実施例1〔顔料分散体の調製〕
ジケトピロロピロール系顔料(A)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR BK−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))11部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(C)75.25部、製造例3で得られたポリマー(B)(固形分40.0%)13.75部(固形分として5.5部)、ジルコニアビーズ(メディア粒径0.3mm)200部をポリビンに入れ、工程Iとしてペイントシェーカーにてスポットクーラー(床置き型スポットエアコン 型式:SR−P20YE4 日立アプライアンス社製)を強冷の条件で運転し、ポリビンから、約20cmの距離から冷風を送風することによって、冷却しながら、3時間振とうし、次いでその分散体80部とジルコニアビーズ(メディア粒径0.05mm)160部をポリビンに入れ、工程IIとしてペイントシェーカーを用いて前記と同様にして24時間振とうした。さらにポリマー(B)(固形分40.0%)4.0部(固形分として1.6部)を分散体の入ったポリビンに添加し、引き続き工程IIとして6時間振とうした。ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が45.2nmで顔料濃度10%、ポリマー(B)6.8%の顔料分散体を得た。工程I及びIIにおいて、サンプリングした時の分散時間、分散体の粘度、及び分散処理時の温度の状況を表3及び4に示し、結果を表5に示す。
比較例1〔顔料分散体の調製〕
実施例1において、工程Iの際に添加する顔料(A)及びポリマー(B)の量を表5に記載された量とし、工程IIの際にポリマー(B)を添加しなかった以外は実施例1と同様に処理を行い、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が43.2nmで顔料濃度10%、分散ポリマー8.5%の顔料分散体を得た。結果を表3〜5に示す。
実施例2〔顔料分散体の調製〕
実施例1において、工程Iの際に添加する顔料(A)及びポリマー(B)の量を表5に記載された量とし、スポットクーラーを用いなかったことと、工程IIの際にポリマー(B)を添加しなかった以外は実施例1と同様に処理を行い、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が46.2nmで顔料濃度12.7%、分散ポリマー6.0%の顔料分散体を得た。結果を表3〜5に示す。
比較例2〔顔料分散体の調製〕
実施例1において、工程Iの際に添加する顔料(A)及びポリマー(B)の量、及び工程IIの際に添加するポリマー(B)の量を表5に記載された量とし、スポットクーラーを用いなかった以外は実施例1と同様に処理を行い、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が45.0nmで顔料濃度11.2%、分散ポリマー8.4%の顔料分散体を得た。結果を表3〜5に示す。
実施例3〔顔料分散体の調製〕
実施例1において、工程Iの際に添加する顔料(A)及びポリマー(B)の量、及び工程IIの際に添加するポリマー(B)の量を表5に記載された量とし、スポットクーラーを用いなかった以外は実施例1と同様に処理を行い、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が47.0nmで顔料濃度10.5%、分散ポリマー7.1%の顔料分散体を得た。結果を表3〜5に示す。
比較例3〔顔料分散体の調製〕
実施例1において、工程Iを行わなかった以外は実施例1と同様に処理を行い、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が52.0nmで顔料濃度10%、分散ポリマー6.8%の顔料分散体を得た。結果を表3〜5に示す。ただし、比較例3で得られた顔料分散体は初期コントラスト比が著しく低かったため、耐熱性評価及び保存安定性評価を行わなかった。
比較例4〔顔料分散体の調製〕
実施例1において、工程IIの処理時間を6時間とし、ポリマー(B)を添加しなかった以外は実施例1と同様に処理を行い、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が56.0nmで顔料濃度10%、分散ポリマー5.0%の顔料分散体を得た。結果を表3〜5に示す。ただし、比較例4で得られた顔料分散体は初期コントラスト比が著しく低かったため、耐熱性評価及び保存安定性評価を行わなかった。
比較例5〔顔料分散体の調製〕
実施例1において、工程Iの際に添加する顔料(A)及びポリマー(B)の量を表5に記載された量とした以外は実施例1と同様に処理を行ったが、工程Iの途中で高粘度となり、分散ができなかった。
Figure 2010039305
Figure 2010039305
Figure 2010039305
表5において、実施例1〜3で得られた顔料分散体は、比較例1〜2に比べて、耐熱性及び保存安定性が極めて優れており、実施例1は実施例3に比べて、保存安定性がより優れていることが分かる。

Claims (6)

  1. 下記工程I及びIIを有するカラーフィルター用顔料分散体の製造方法であって、工程Iと工程IIの処理時間比〔工程I/工程II〕が20/80〜2/98であり、工程I開始時における顔料(A)と顔料分散用ポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕を100/30〜100/70とし、工程II終了時における該重量比〔(A)/(B)〕を100/30〜100/150とするカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
    工程I:顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)及び有機溶媒(C)を混合分散して混合物を得る工程
    工程II:工程Iで得られた混合物をメディア式分散機を用いて分散処理する工程であって、分散体粘度を10〜120mPa・s(20℃)に維持し、かつ分散処理時間のうち60%以上の間、分散体粘度を20〜100mPa・s(20℃)に維持して分散処理する工程
    (ただし、工程Iでメディア式分散機を用いる場合には、工程Iで使用したメディアより粒径の小さいメディアを用いる。)
  2. 工程IIにおける分散処理時間のうち40〜90%の時間が経過した時点で、さらに顔料分散用ポリマー(B)を添加する、請求項1に記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  3. 工程IIで添加される顔料分散用ポリマー(B)の量が、顔料(A)100重量部に対して8〜50重量部である、請求項2に記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  4. 工程IIにおける分散処理時間のうち70%以上の間、分散体温度を10〜35℃に維持して分散処理する、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
  5. 顔料(A)が、下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料である、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
    Figure 2010039305
    (式中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。)
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られたカラーフィルター用顔料分散体、バインダー、多官能モノマー及び光重合開始剤を含有するカラーフィルター用着色組成物。
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